スパイダーマンの設定は「実写では再現不可能」と言われていたが、映画『スパイダーマン』は当時のCG技術を結集させ、再現に成功した。このシリーズは3作で完結する予定であったところ、好評のため第4作目以降の制作が発表された。しかし制作会社のソニー・ピクチャーズは「学生期を描く作品にするため」としてリブート作品『アメイジング・スパイダーマン』を制作。同作以降は3D映画として公開されている。
続編2作品とスピンオフ作品の制作が予定されていた『アメイジング・スパイダーマン』であったが、第2作目の興行収入が配給側の予想を大きく下回った影響もあり、ソニー・ピクチャーズは当初の予定を変更してマーベル・スタジオ(ウォルト・ディズニー・スタジオ)とのパートナーシップを締結し、「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」に含まれる新シリーズとして再リブートすることが決定。『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは事実上の打ち切りとなったが、新シリーズの単独映画の配給はソニーが引き続き担当する。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)がスパイダーマンのMCUデビュー作となり、2017年には新シリーズ第1作目となる『スパイダーマン:ホームカミング』が公開され、その後『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)以降はアベンジャーズの一員として活躍。また、MCUではスパイダーマンの登場に合わせて『アイアンマン2』(2010年)や『アベンジャーズ』(2012年)といったMCU過去作品の展開を基にした新設定が加えられた。
サム・ライミ版
サム・ライミが監督したスパイダーマン3部作 では、トビー・マグワイアが演じ、猪野学が日本語吹替を担当した。このバージョンのピーター / スパイダーマンは、『マーベル・シネマティック・ユニバース』の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも登場し、本作で共演した他のピーター / スパイダーマンとの区別と意思の伝達のため、ピーター2の愛称でも呼ばれるようになる。
キャラクター像
“アース96283”のピーター・パーカー/スパイダーマン。
大人しく気弱で垢抜けず、科学好きで、写真撮影を趣味とするカメラマン志望の、平凡で何処か孤独な様子も垣間見せる心優しい青年。伯父のベン・パーカーと伯母のメイ・パーカーのもとで育ち、長年の隣人でもあるメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)に恋し、彼女と距離を縮めようとあれこれ努力しているが、彼女が自分の親友のハリーと付き合いはじめたと知ると気持ちを押し殺してしまうこともあるなど報われていない。また、高校卒業後はコロンビア大学に進学し、フリーのカメラマンとしても働き始めるが、被写体がスパイダーマンであるものをはじめとする写真を“デイリー・ビューグル”へ何度持ち込んでも思うような値段では買い取ってもらえず、カメラマンとして雇うことも認められないなど、編集長のJ・ジョナ・ジェイムソンにしばしば丸め込まれてこき使われている。
ある日、科学の授業でコロンビア大学の自然科学部に見学に赴いた際、遺伝子操作された末に飼育箱から逃げ出した“スーパースパイダー”のうちの1匹に右手の甲を噛まれ、その結果、常人を大きく上回るスーパーパワーを身につけた超人となる。
一度は賞金目当てのアマチュアレスリングにその力を使うが、ベンの死をきっかけに、彼の言葉を心に刻んで、人助けのために自分の力を使うと決心。独立生活をはじめたニューヨークの街で以前レスリングで名付けられたリングネーム“スパイダーマン”を名乗って、自警活動を開始し、時には誹謗中傷に晒されながらも、危険に陥った市民たちを何度も救っていく。
能力
もとは貧弱な体形で眼鏡をかけなければ視点がぼやけるほどの近視だったが、スーパースパイダーに噛まれると、身長はそのままに、筋肉質な体格に変貌し、クモに基づく特殊能力を身につけた。そのため、脅威的な身軽さと腕力、反射神経、硬い鈍器による連続殴打に耐えられる強靱性、眼鏡が不要になるだけでなく常人をも上回る動体視力に加え、クモの脚のような無数のトゲが生えた両掌と両足の裏を物壁に貼り付けてよじ登り、天井を這って動き回る能力などを発揮し、自警活動では人命救助からヴィランとの戦闘まで、これらの能力全般をフルに活かし、特に怪力が強調されたシンプルかつ豪快な戦法や活躍を披露する。
また、ノーマン・オズボーンやオットー・オクタビアスといった天才科学者や、大学の講師であるカート・コナーズからも一目置かれ、学業に専念できれば、同級生たちの中でもトップになれるほど科学の知識技能に優れており、“アース616”に転移した際には、ほかの並行世界のピーター/スパイダーマンと協力して、ヴィラン一同の治療用の薬品やデバイスを完成させている。
- スパイダー・センス
- 身に迫る危険を察知する超感覚。他者から不意打ち攻撃を見舞われてもピーターは、この感覚が過敏になって、周囲にあるの全てのものの動きをスロー状態に変化したように感じ取り、危険を回避することができる。
- オーガニック・ウェブ
- 両手首の発達した腱から放出する、クモ糸のように高い粘着性を持つ糸。伸ばした糸でビルとビルの間のスイングや、敵の拘束、落下した人物の救出などに利用される。ピーターの意思で放出量の調整や、掌大のボール状に硬めて飛び道具として射出することも可能。
- この身体機能だけでウェブの生成・放出できる特性は、アース616に転移してピーター・パーカー/スパイダーマン(ピーター1)やピーター・パーカー/スパイダーマン(ピーター3)と出会った際に、ウェブを生成・射出に“ウェブ・シューター”を用いる必要がある彼らからは驚愕と尊敬の眼差しを向けられた。
また、これらの能力の強弱はピーター自身の精神状態で大きく変化し、ピーターが意気消沈しているとウェブを出すことも脅威的な身体能力全般を発揮できなくなるだけでなく、近眼に戻ってしまうほど視力も落ちてしまう。
スーツ
- スパイダーマン・スーツ
- 本格的に自警活動をはじめることを決意したピーターが、アマチュアレスリングで着用した赤いパーカーと青いズボンのイメージを全身タイツとマスクに落とし込んでデザインし、作り上げたヒーロースーツ。若干全体の色調が控えめで、胸部と背中のスパイダーマークはかなりリアルなクモのシルエットとなっている。
- スパイダーマンの正体を隠すためのコスチュームでもあり、作られて以降、ピーターは常にこのスーツを普段着の下に着用しているが、彼が一度自警活動を中断してしまった際に、ごみ集積場に捨てられた挙句、デイリー・ビューグルに渡り、ジェイムソンの編集長室の壁面に一時飾られたこともあった。また、他の衣類と一緒に洗濯機に入れて洗濯すると、他の衣類にスーツカラーが色移りしてしまったり、ある程度の攻撃を受けたり着用中のピーター自身の筋肉が膨らむと張り裂けるなど、染料と強度に難がある。
- ブラック・スーツ
- ピーターが着ていたスパイダーマン・スーツの1着に、“シンビオート”が寄生して染め上げられたスーツ。基本的なディテールは、通常のスパイダーマン・スーツと同等だが、その名の通り基本カラーが黒となっている。これを着用したピーターは、シンビオートの性質により、気分が晴れるだけでなく、物理的な怪力や身のこなしの軽やかさなどが今まで以上に強力なものに変化したが、同時に彼の性格に悪影響を及ぼしてしまう。ピーターはこのスーツを自警活動から私生活にも用いるほど気に入って、一時期着用し続けていたが、最終的にその副作用を恐れたピーターと教会の鐘の音によってシンビオートが剥がされ、破棄されることになる。
各作品での活躍
- 『スパイダーマン』
- ピーター・パーカーはMJに恋する、穏やかで心優しい高校生であるが、彼女と距離を縮めようとしても報われず、学校でもフラッシュに酷い虐めを受けて周りのスクールメイトからも馬鹿にされるなど、悶々とした毎日を送っていた。
- ある日学校の社会科見学で訪れた大学の研究所で、スーパー・スパイダーに噛まれると、体調が悪化して自宅で意識を失い、その翌朝目を覚ますと、向上した視力と筋肉質に変化した自身の体格を目の当たりにし、学校でMJが転んだ際も、彼女が持っていたトレイを食器ごと器用にキャッチするだけでなく、殴りかかってきたフラッシュのパンチを全て交わして相手を数メートル先まで突き飛ばしてしまい、更に路地裏で目の前にあった壁をよじ登り、ビルの屋上で手からウェブを伸ばし、屋上からのスイングと着地に成功して有頂天になる。
- それからMJの気を引くための自動車の購入資金の調達目当てに、3000ドルの賞金を得ようと“NYWL”主催のアマチュアレスリングへの参戦を決めるが、試合当日に最近のピーターの様子を心配しはじめていたベンに会場近くに車で送られて説教されるが、増長していたことから反抗的になって心無い一言を返して別れてしまった。レスリングでは、対戦相手のボーン・ソー・マッグローに勝利したが、100ドルしか賞金を受け取れず、その仕返しに自分の目の前でレスリングのオーナーから金を強奪した強盗犯のデニス・キャラディンを逃がしてしまう。しかし、帰りにベンとの待ち合わせ場所に行くと、銃で撃たれて倒れていたベンの最期を看取る結果となり、警察無線から聞きとった連絡でベンを撃ったと思しき犯人を追い詰めると、その正体があの時逃したキャラディンだったことに衝撃を受け、彼を廃墟で追い詰める。最終的にキャラディンは足を滑らせ、窓から転落し、自滅した。
- 高校卒業後はノーマンによって、彼の息子であり、自身の唯一の親友でもあるハリー・オズボーンとの同居も始まると、ベンが遺した言葉を噛みしめ、ニューヨークの平和を守るために力を使うことを決意。遂にスパイダーマンとして、自警活動を開始する。犯罪や災害を見つけると解決に次々と貢献し、住民からの賛否両論の批評を浴びる中、私生活ではMJと仲が進展しない交流が続くが、オズコープ社調和の祭典の会場に現れた、ノーマンの凶悪な別人格であるグリーン・ゴブリンと初対決で、苦戦の末に撃退すると、デイリー・ビューグルで再び現れたゴブリンに眠らされて連れ去られ、「仲間にならないか?」と持ちかけられた。
- 後日、ゴブリンが引き起こした火災現場のマンションで住民を助けた直後に、遭遇したゴブリンに先日の交渉を拒否して、負傷しつつも撃退。だが、その直後に行われたパーティーで滴り落ちてしまった一滴の血や傷口をノーマンに見られたことからスパイダーマンの正体に気づかれ、ゴブリンにメイを襲われてしまった。そしてメイの証言で、正体がゴブリンに確信されたことと、MJにも危険が迫っていると悟ると、彼女にかけた電話に出たゴブリンからの連絡を受け、スパイダーマンとしてジョージ・ワシントン・ブリッジに急行。そこで川に落とされる直前のMJと、偶然近くを運行していたゴンドラに乗っていた子供達のどちらを救うかの二者択一をゴブリンから迫られ、窮地に陥りつつも、橋の上に居た市民たちや船で駆けつけた人々の助力を受けて両方とも救うことに成功した。
- そしてゴブリンに決闘を挑まれ、ほぼ一方的に叩きのめされるも、相手の挑発に激怒して反撃し、ゴブリンを追い詰めた。そして自身の正体を明かしつつ、ノーマンの人格に戻ったフリとグライダーを使った相手の騙し討ちを直前で察知・回避したが、これによって致命傷を負い、自我を取り戻したノーマンの「ハリーには言うな」という頼みを聞き、絶命したノーマンの遺体をオズボーン邸に運び込むが、その様子を目撃したハリーに「スパイダーマンが父を殺した」という誤解を与えてしまうこととなった。
- ラストシーンでは、ノーマンの葬儀で父を亡くし落ち込むハリーを慰めるが、彼から父の仇としてスパイダーマンを討つという激しい敵意を聞き、同時にMJから愛を伝えられるが、「どんなに必死に戦ってもいつも自分の愛する人たちが代償を払わされる」という考えに至ったことから「今は無理だ、今は友達として君の側にいる」と伝えて去り、スパイダーマンとして自警活動を再開する。
- 『スパイダーマン2』
- 本作では、自警活動と私生活のバランスを取れずに苦労し、その結果MJとは疎遠になり、ハリーとの関係にも亀裂が入るなど、二重生活の極度の精神的疲労からパワーを失って、自警活動を一時降りてしまう姿が描かれる。そんな中、マッドサイエンティストのドクター・オクトパスとの対決を迫られる。
- グリーン・ゴブリンとの死闘から2年後、大学生活とピザ屋のバイトを掛け持ちする傍らで、スパイダーマンとしての活動にも身を投じていたが、急な自警活動の連続で、遅刻を繰り返し、バイトをクビにされて生活費に苦労すると共に、立派な舞台女優となったMJ出演の観劇にも間に合わず、ハリーとはお互い親友でありたいのに彼がノーマンを殺したと疑ってやまないスパイダーマンを今でも憎んでいることから嫌味をぶつけられ、メイも自宅のローンが滞っていて困っている事実を知るなど、さまざまな困難に直面してしまう。そんな中、ハリーの紹介で以前から尊敬していた温厚な科学者、オクタビアスと出会い、彼と"核融合装置”や愛について話し交流を深め、MJにもう一度想いを伝えようとしたが結局失敗し、断念した。
- 後日、オクタビアスの装置の公開実験の観覧に参加すると、暴走してしまった装置をスパイダーマンとして停止させ、被害を最小限に食い止めたが、オクタビアスの妻である、ロージーの犠牲と、装備したアームがアクシデントで癒着し、凶悪化した人工知能に思考を乗っ取られ、ドクター・オクトパスとなってしまったオクタビアス、そして窮地を助けられたにもかかわらず、スパイダーマンのせいですべて失ったと恨みを倍増させたハリーを目の当たりにすることになった。そして、家のローン返済の件でメイと銀行を尋ねたところに銀行強盗に乗り出したオクトパスと初対決。最後はメイの協力によって、オクトパスを撃退した。
- だが、MJやハリーからの嫌味と八つ当たりなどを受けたことでヒーローとしての使命に迷いを感じると、パワーを出すことができなくなってしまい、そのことを遠回しに相談した医者からのアドバイスで、スパイダーマンを引退し、私生活に専念することを決める。大学では授業に遅刻することなく参加できるようになったものの、MJとの仲は相変わらず不調で、街の犯罪率も上がり、自分は火災現場で全ての人を救いきれなかった現実に落ち込んだ結果、メイにベンの最期の日の出来事を打ち明けたことから励まされ、MJがオクトパスに攫われたことを機に、再びスパイダーマンになると決意するとパワーを取り戻した。そしてオクトパスと、走行中の電車で死闘を繰り広げ、戦いに巻き込まれた乗客たちを危機から救ったが、力尽きてオクトパスに捕まり、ハリーの下に差し出されてしまう。
- そこでハリーに、マスクを剥がされてその正体を知られるも、愕然とするハリーの下を後にし、オクトパスがMJを捕らえて、核融合装置を再起動させた廃屋に到着。装置を止める為にオクトパスと対峙。またしても暴走する装置を止めるため、オクトパスに正体を明かし、彼に必死に呼びかけ、本当のオクタビアスとしての意識を取り戻させて、装置の暴走を阻止させることに成功。オクタビアスは装置と共に海に沈む悲惨な最期を遂げたが、MJの救出は果たし、スパイダーマンである危険から一緒に居られなかったと告げて跳び去った。
- そしてラストシーンでは、婚約者との結婚式を途中で抜け出したMJから「あなたと共に生きて危険に立ち向かいたい」と愛を伝えられて、ようやく恋人同士となり、MJに見送られながら自警活動に出かける。
- 『スパイダーマン3』
- 本作では、これまでと打って変わって自警活動と私生活の両立が安定し、そのお陰で朗らかで確かな自信を持つ人物像に変化した反面、一定の慢心も抱えるようになり、このことがMJとの交際にも感情の行き違いやすれ違いを起こして、悪影響を及ぼしてしまうことになる。その中で、“ニュー・ゴブリン”となったハリーや新たなヴィランのフリント・マルコ/サンドマンとの因縁の対決、シンビオートに寄生されたことによる思い上がりなど、これまで以上に混迷する物語の中心に立つことになる。
- ドクター・オクトパスとの戦いから数ヵ月後。街の犯罪をスパイダーマンとして激減させたことで大勢の市民からの支持を浴び、大学生活も順調でMJとの交際も彼女へのプロポーズを考えはじめるくらいに進展しているなど、幸せな暮らしを送れるようになっていたが、ハリーには未だにノーマンの一件で恨まれていた。このことから、ニュー・ゴブリンとなったハリーが復讐に襲いかかってきたが、返り討ちにすると、彼が一時的な心肺停止状態から一命を取り留めた代わりにノーマンが亡くなる前からの記憶を喪失し、優しい親友としての顔に戻ったことを受けて安堵感を覚えた。
- しかしその後、舞台公演の不評で落胆したMJの気持ちを理解しきれていない励ましや、自らが授与される名誉市民賞の贈呈パーティーにおけるグウェン・ステイシーとのキスをMJの眼前で行うなど、彼女に対して不謹慎な態度を見せ始め、現金輸送車を襲っていたサンドマンと対峙した後に、予約した高級レストランでのプロポーズで、たまたまグウェンに出会し、MJが取り乱して立ち去ったことも手伝ってプロポーズの予定を完全に破綻させてしまった。
- そこへ、ベンを殺した真犯人がサンドマンの正体である、フリントであった事を知らされ、怒りと私怨にかられると、彼の再出現をずっと待つが、その最中にMJとのデートの時から密かに付き纏っていたシンビオートがスパイダーマン・スーツに寄生。これを着込んで“ブラック・スパイダーマン”になり、性格が凶暴化してしまう。その後は、サンドマンとの復讐戦に挑んで、配水管を破壊して噴出させ、激流をぶつけて撃退に成功した。
- これ以降、コナーズからシンビオートの性質や危険性を忠告されたにもかかわらず、ブラック・スーツに魅入られてしまいつつあったことからメイにベンの仇であるフリントが死んでせいせいしたと報告するだけでなく、スパイダーマンの名誉を汚そうとするエディ・ブロック・Jr.の捏造写真を腕づくで暴き、記憶を取り戻したハリーに脅されたMJに絶交を突きつけられると、ハリーが思い出したと察して、彼と殺し合い同然の激戦を繰り広げて叩きのめし、アースラ・ディコヴィッチやエディ・ブラントとプレイボーイ同然に交流し、ジェイムソンにも大口を叩くくらいに変貌するなど、調子に乗りすぎた振る舞いを次々と取ってしまう。挙句の果てには、MJが働きはじめたバーにグウェンを連れ、2人の仲を見せつけただけでなく、店内で暴れた勢いで止めようとしたMJまでも突き飛ばす愚行に及んでしまった。これらのことにショックを受けて正気を取り戻すと、教会の頂上でブラック・スーツを強引に引き剥がしてシンビオートを放棄した。
- そして、フリントと手を組んだエディ/ヴェノムにMJが連れ去られ、建設中のビルに捕縛されたことを知ると、ハリーに謝罪の言葉を伝え、共闘を頼むが、断られて単身で現地に向かい、ビルに貼り付けられたタクシーに乗せられたMJを救おうとヴェノムとサンドマンを相手に決戦を挑む。だがヴェノムに捕まり、サンドマンの巨大な拳で何度も殴られて窮地に陥った。そこへ自身が誤解していた事に気づき、ピーターとの友情を思い出して参戦したハリーのおかげでピンチを脱し、MJの救出にも成功。ハリーがサンドマンを一時牽制されると、自身はエディにシンビオートを手放すよう説得するが聞きいられず、彼の一撃をくらいかけるが、そこに割って入ったハリーが身代わりになってしまった。そしてエディから金属音で分離させたシンビオートにパンプキン・ボムを投げ込むも、それを止めようと飛び込んだエディも爆風に呑まれ、爆死してしまった。
- その直後、戦意を失ったフリントからベンを誤って殺してしまった経緯と、強盗に加担してしまった真相、そしてその事への後悔を打ち明けられると、「あなたを許す」と返し、飛び去る彼を見送った。そして瀕死の状態であったハリーの下へ駆け付け、これまでの経緯を彼に改めて謝り、互いに親友であることを認め合って、ハリーの最期を看取った。数日後、ハリーの葬儀に出席し、MJが働くバーでピーター・パーカー、そしてスパイダーマンとして、彼女とこれからも人生を共に歩んでいくことを改めて決意する。
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
- 本作では、ハリーと死別して以降の彼が、アース616に転移する形で物語後半から登場。その人相は、ほかのピーター2人よりも年季が入りはじめたものに変わっており、それに伴って単身で長く続けている自警活動においてもスイングのしすぎで腰を痛めたと述懐している。そんな現在でも、ベンを殺された夜の一連の出来事や、親しかったオズボーン父子が自分への憎しみからゴブリンへ変貌して戦った末に救えなかったことが心残りで、MJとはハリーとの死別後も無事に交際を続けている様子である。また、お気に入りの場所は「クライスラー・ビル」と話し、「今まで戦った中で一番やばかった敵は?」の問いかけには「ヴェノム」と返答している。
- “カフカルの魔法陣”の影響でアース616のニューヨークの路地裏にいたところ、突如開かれたゲートウェイを通り抜けてミシェル・ジョーンズ(MJ)やネッド・リーズ、ピーター3と出会い、彼と互いにウェブを撃ち合って別の並行世界のピーター/スパイダーマンであることを証明し、自分たちのピーターに会いたいと願うMJたちに「彼が行きそうな場所は?」と助言して“ミッドタウン高校”の屋上に赴いてピーター1とも邂逅。メイ・パーカーを失って失意の底にいたピーター1に、前述のベンからの最期の言葉の重みを説くなど、彼を再びヒーローとして立ち上がらせた。
- ヴィラン一同を治療するための薬品やデバイスの開発では、ノーマンの死後からずっと考えてきたゴブリンの凶悪な人格のみを抹消する血清の精製を、ネッドやピーター3と身の上話を交わしながら完成させることに成功。そして自由の女神像に赴き、ほかのピーターたちとの触れ合った後、現れたヴィラン一同との決戦に突入すると、最初はチーム戦に不慣れなことから連携ミスをしてしまったが、ピーター1の言葉で改めて団結。フリントを捨て身で止めようとした後に、ピーター1が作ったデバイスでフリントの体質を治療して「一緒に帰ろう」と呼びかけ、自分たちのサポートに駆け付けたオクタビアスに対しても、懐かしむように再会・交流して、ゴブリンの急襲の余波で自由の女神像から転落したカート・コナーズ(アース120703)をウェブで救出し、追い詰めたゴブリンにとどめを刺そうとしたピーター1を制止した代わりに自分が背後からゴブリンに刺されながら、結果的にノーマンを救うことに繋げるなど、多くの場面で貢献した。
- そしてスティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジが、崩壊してしまった時間と空間の境界の修復のためにカフカルの魔法陣を再発動し始めると、今回出会って共闘できたことをほかのピーターたちと喜び、別れを告げ合って、カフカルの魔法陣の効果で元の世界に帰還する。
マーク・ウェブ版
マーク・ウェブが監督した『アメイジング・スパイダーマンシリーズ』では、アンドリュー・ガーフィールドが演じ、前野智昭が日本語吹替を担当した。このバージョンのピーター / スパイダーマンは、『マーベル・シネマティック・ユニバース』の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも登場し、本作で共演した他のピーター / スパイダーマンとの区別と意思の伝達のため、ピーター3の愛称でも呼ばれるようになる。
キャラクター像
“アース120703”のピーター・パーカー/スパイダーマン。
“ミッドタウン・サイエンス・ハイスクール”に通う科学者志望の高校生。周囲から嘲笑の対象とされてしまう側面もあるが、いじめられてる学生を見つけると率先して助けに行くほど、正義感はヒーローになる前から強く、科学の話題になるとすぐ早口になるくらいに高い探究心も持ち合わせるなど、明るく前向きな優しい青年で、写真撮影とスケートボーディングを嗜好するため、いつも愛用のカメラとスケボーを携行している。お気に入りの場所はエンパイアーステート・ビルで、同級生のグウェン・ステイシーには彼女の写真をディスプレイの壁紙にあてているほど想いを寄せているが、彼女へ上手くアプローチできないことも度々あるほどシャイで不器用な性格でもある。またずっと兄弟が欲しかったらしく、“アース616”に転移して、ピーター・パーカー/スパイダーマン(ピーター1)やピーター・パーカー/スパイダーマン(ピーター2)と出会って共闘した際には、兄弟ができたと感じて3人のピーター/スパイダーマンの中で最も歓喜している。
幼少期にオズコープ社の科学者だった父、リチャード・パーカーと母であるメアリー・パーカーが行方不明となったことから伯父のベン・パーカーと伯母のメイ・パーカーに育てられたが、現在でも覚えている両親との別れ際の出来事が心の傷となっている。
そして現代、高校で平凡なスクールライフを過ごしていたある日、自宅で見つけた両親の極秘資料に目を通してオズコープ社に赴き、そこで飼育・遺伝子組み換えされていたクモに首の後ろを噛まれたことから超人的な能力が身に付いた。当初は自身の身体の変化に戸惑ったものの、ベンを手にかけた強盗と思われる犯罪者を捕まえていく活動をきっかけに自警活動を開始。警察からは危険人物と見做されたり、父との因縁が浮き彫りとなったオズコープの陰謀に巻き込まれるなどの苦難が続くも、ニューヨークのヒーロー“スパイダーマン”として活躍する日々を送る。
能力
遺伝子組み換えされたクモに噛まれたことで、ドアノブを砕く握力や、自動車も容易くひっくり返す腕力、背景の雷すらも一瞬だけ止まって見える速さで手足を動かせる俊敏性、脅威的な身軽さ、反射神経、平衡感覚、肉体の強度、自然治癒能力など、身体能力全般が常人を大きく上回るものとなっており、両手の指先を物体に吸着させる能力も有し、これを元にクモの如く壁に貼り付いて登り、天井を這って動き回る。これにより、アクロバティックでスピーディーなアクションや戦法を多用して活動する。
また、父親譲りの科学分野に秀でた才能を持っており、カート・コナーズと異種間遺伝子交配の研究を進めたほか、ウェブ・シューターの開発・改良や、“アース616”に転移した際のほかの並行世界のピーター/スパイダーマンとの共同作業でヴィラン一同の治療用の薬品やデバイスを完成させるなど、エンジニアとしても優れている。
- スパイダー・センス
- 身に迫る危険を察知する超感覚。ピーターは集中力によってこの感覚を鋭くさせ、敵からの攻撃や迫り来る災害などを距離を問わず察することができ、持ち前の俊敏性も合わせて、電流やマシンガンの銃撃を周囲で動くさまざまな存在が止まって見える速度で動いて回避しつつ、周りの人々を被災から救うこともできる。一方で受動的でもあるこの力は、ピーターが疲れ果てていたり、気が散ったりしていると発現されず、制御しきれていない不完全なものでもある。
ツール
- スパイダーマン・スーツ
- ベンを手にかけた強盗を自身の手で探し捕まえる活動を始めたピーターが、素性を隠す必要を感じて作り上げたクモをモチーフとするスーツ。スーツの色はかなり鮮やかな青と赤を基調とし、細長く鋭い脚のクモのシルエットを胸部と背中のマークにあしらっている。
- マスクはピーターが最初の強盗探しの末に辿り着いたプロレス会場で見た大きなレスラーマスクをヒントにして作られ、市販のサングラスのレンズを両目のフィルターにあてた。スーツ本体部分は、スパンデックス素材の全身タイツとして完成した。しかし、激戦で破損することも少なくないほど、耐久性は高くない。
- 完成以降、ピーターがスパイダーマンとして自警活動を行う際に着用するようになる。
- アレクセイ・シツェビッチとの初対決の頃からは、マスクのフィルターが白いものに変わった。
- ウェブ・シューター
- ピーターが両前腕に装備するウェブの発射装置。オズコープ社がクモの糸から開発した新繊維“バイオケーブル”を購入したピーター自身によって2つの腕時計と組み合わせて作られた。発射されるバイオケーブル製のウェブは非常に高い粘着力を有しており、伸ばしたウェブはピーター/スパイダーマン自身のぶら下がりや高所でのスイング、敵の拘束、落下した人物の救出、銃創を負った際の傷口をふさぐ衛生材料の代わりなどに利用される。
- 最初のシューターは、ウェブを発射する際に赤く発光する特徴があったが、水没すると壊れてしまうほど水に弱いという難点もあった。
- シツェビッチとの初対決の頃からは、より洗練されたデザインのものに改良され、発光機能もオミットされた。マックス・ディロンとの初対決において、相手の電撃で一度故障してしまったが、その後修復され、グウェンの手伝いでマックスの電撃対策として磁気バリアーを張る機能が追加された。
各作品での活躍
- 『アメイジング・スパイダーマン』
- 高校生になったピーター・パーカーは、学校から帰宅したある日、自宅の地下室にあった父親のカバンからリチャードとコナーズが写る写真記事や、“00 崩壊率の数式”が書かれたファイルを見つけると、両親の失踪の手がかりを掴むため、コナーズに近づこうとオズコープ社の公開実習に実習生として参加。そこで主任研修生と働くグウェンやコナーズと出会う中、偶然ぶつかったラジット・ラタが持っていた資料を目にして忍び込んだ研究室でクモに刺された末に、グウェンに追い出されたが、帰りの電車の中で驚異的な身体能力に目覚める。その後、コナーズの自宅を訪れ、自分がリチャードの息子であることと、崩壊率の数式を話してコナーズと本格的に交流するようになり、学校でもバスケットボールでフラッシュに仕返しした。だがこれらが遠因となってベンと口論になり、家を飛び出し、やけを起こしてコンビニ強盗をわざと見逃してしまうが、自分を追いかけてきたベンがその強盗に銃で撃たれ、帰らぬ人となると激しく後悔し、強盗に復讐を誓った。
- それから驚異的な能力を用いて悪人らを退治しつつ、ベンを撃った強盗を見つける日々に明け暮れるが、犯人は見つからず、やがて自ら作り上げたスーツとマスク、ウェブ・シューターも用いたスパイダーマンとなり、自警活動に取り組むようになる。警察の中では、彼を正体不明の味方として見る者や、グウェンの父親のジョージ・ステイシー警部のように批判する者に分かれるようになった。
- そんな中、ウィリアムズバーグ橋で暴れていたトカゲの怪物“リザード”と対決し、巻き込まれたラタたちを救って相手を撤退させると、翌日に自身の力で市民を守るとグウェンに打ち明け、昨夜の怪物が自分と共に開発した試験薬を投与したコナーズであると察し、そのことをジョージが取り合ってくれなかったことから、コナーズ=リザードの証拠を集めようと地下水道にウェブと複数のカメラを設置するが、リザードに変身したコナーズに襲われて大怪我を負い、彼に自身がスパイダーマンであると気づかれてしまった。それでもグウェンにコナーズのことは自分の責任だから自分で解決すると誓った。
- やがて自身を狙うコナーズがリザードの姿で高校に現れると、3度目の激闘となり、グウェンの助力を得てリザードを地下水道へ撃退させると尾行して、グウェンに解毒剤の用意を頼み、さらにリザードが試験薬とオズコープ社の”ガナーリ装置”を使い、ニューヨークでバイオテロを実行させようしていることを突き止めた。そこからオズコープ社に向かうも、その途中で警官たちに発砲され負傷し、ジョージにマスクを剥がされて正体を知られてしまった。撃たれた怪我で思うように前進できなくなったが、オズコープ社にグウェンがいることを伝えたことでジョージから信用を得られると、先日救出した市民や警察の全面協力で作動した街中のタワークレーンとウェブを合わせた連続スイングで、オズコープ社の屋上に到着。ガナーリ装置を起動させようとするリザードとの決戦に突入し、グウェンの保護を果たしてきたジョージも駆けつけると、グウェンが用意した解毒剤を託され、ガナーリ装置に解毒剤を間一髪で取りつけることに成功。バイオテロを阻止し、ニューヨークの街を守れたものの、オズコープ社から転落してしまった。しかし、人としての姿と心を取り戻したコナーズに救われ、致命傷を負って倒れていたジョージの下に駆け寄ると、「一つ約束してくれ、もう、グウェンには近づくな」と言われ、彼の最期を看取った。
- 数日後、ジョージの葬儀に直接参列せずに物陰から見守り、父の訃報を知らせに来たグウェンに「もう会えない」と一度はジョージの遺言通りに彼女との関係を終わらせようとした。しかしメイの励ましや、ベンが遺した留守番電話メッセージに心を打たれると、高校の授業中にグウェンへ「守れない約束もある」と囁き、ジョージの遺言に背いて、グウェンとのこれからの仲を築くことを決意する。
- 『アメイジング・スパイダーマン2』
- 本作では、グウェンとの関係とジョージとの約束から来るジレンマや、新たなヴィランであるマックス・ディロン/エレクトロとハリー・オズボーン/グリーン・ゴブリンとの衝突が描写されるが、その末に深い傷心を負うことなる。
- スパイダーマンとして街の悪党を退治する日々をおくりながら高校卒業も果たし、グウェンとは卒業式での彼女によるスピーチ中に壇上で熱いキスを交わすほど親密な仲となっていたが、グウェンの家族との食事会の直前でジョージの遺言と幻が脳裏に浮かんでレストランに入ることを躊躇い、これに気付いたグウェンに別れを切り出され、両者の交際は終わってしまった。自警活動中にそのことが頭から離れない中、ニューヨークに帰郷した幼馴染のハリーや、卒業直前にシツェビッチの暴動から救った後に怪物と化したマックスと再会。タイムズスクエアで猛威を振るいながらも助けを求めるマックスに対しては、彼が憧れるスパイダーマンとして歩み寄ろうとしたが、一人の警官の狙撃や周囲の野次馬たちの様子から勘違いした彼に敵視されてしまい、やむを得ず居合わせた消防士たちの協力を得て反撃し、辛勝した。
- 一方ハリーからは、彼が亡き父、ノーマン・オズボーンと同じ病気にかかり、余命もわずかであることから自然治癒能力を有するスパイダーマンの血液の提供を嘆願され、同日の夜にスパイダーマンとしてハリーの前に現れると、危険性が極めて高いという理由で彼の依頼を拒んだ。さらに父の遺品調査中にメイからリチャードの悪い噂を聞かされ、取り乱してしまう。しかし、自分の部屋でリチャードの遺品であるコインを見つけて、グランド・セントラル駅地下に隠されていたプラットホームに辿り着くと、廃車内に構えられた父のラボを発見。そこのPCの映像に映るリチャードの発言から、オズコープ社の裏の目的が生物兵器の開発で、自分の両親はそれが原因で暗殺されたこと、そしてかつて自分を噛んだクモの秘密を知った。
- そしてグウェンから、彼女が今もピーターを愛しており、オックスフォード大学に合格したためイギリスに出国することになったと留守電で知ると、空港へ向かうグウェンを追い、ブルックリン橋に「I LOVE YOU」の文字型のウェブを張って、彼女に会うことに成功。「自分は今でもグウェンを愛している。一緒にイギリスに行く」と伝えた。
- しかしスパイダーマンへの復讐心とハリーの手引きで刑務所から脱獄したエレクトロがニューヨーク中を停電させ、彼がいる発電所に向かうと激戦となり、より強力となったエレクトロに苦戦しつつも、グウェンの助力も得て相手に過電流を一気に流しこみ、打倒した。だがその直後、グリーン・ゴブリンとなったハリーが現れてグウェンを攫ってしまう。追いかけた先の時計台で激戦となり、ハリーによってグウェンは時計台内部に突き落とされ、伸ばしたウェブでグウェンを繋ぎ止めたが、そのウェブが切れてしまい、再び落下した彼女を救おうとしたウェブを伸ばすも、それが届いた瞬間にグウェンは地面に強く打ち付けられて命を落とした。ハリーには勝てたが、グウェンを救う事は出来なかったのだ。そしてグウェンの葬儀後、愛する人を亡くした絶望から自警活動をやめてしまう。
- だが5ヶ月後、メイの言葉を受けて卒業式におけるグウェンのスピーチ動画を視聴すると、スパイダーマンとして再びニューヨークの街を守ることを決意。街中でロボットスーツを身に着けて暴れるシツェビッチ/ライノに立ちはだかったスパイダーマンコスの男児の下に駆け付けてお礼を伝え、シツェビッチと対峙し、彼に反撃するカットで物語は終了する。
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
- 本作では、ヒーローとして再起して以降の彼が、アース616に転移する形で物語後半から登場。シツェビッチとの戦いの後、グウェンの死から完全に立ち直れず、その悲しみから自警活動において冷酷に人を殴り続けるなど「親愛なる隣人」としての正気を失って情け容赦が無いヒーローとなってしまった過ちや、マックスを結果的に倒してしまったことに対する後悔を打ち明ける傍らで、ピーター1とミシェル・ジョーンズ(MJ)の仲を自分のことのように嬉しく思ったり、他のピーターとの自警活動の話題で盛り上がるなど、抑揚が激しい姿も複数見せる。
- “カフカルの魔法陣”の影響でアース616のニューヨークの路地裏にいたところ、突如開かれたゲートウェイを通り抜けてMJやネッド・リーズと出会い、別の並行世界のピーター/スパイダーマンであることを証明して、その直後にピーター2とも出会うと、自分たちのピーターに会いたいと願うMJたちに「彼が行きそうな場所は?」と助言して“ミッドタウン高校”の屋上に赴いてピーター1とも邂逅。メイ・パーカーを失って失意の底にいたピーター1に、ベンやグウェンと死別したことについて話し、「君には僕のようになってほしくない」と思いやって、彼を再び立ち上がらせた。
- ヴィラン一同を治療するための薬品やデバイスの開発では、以前コナーズを治療した経験から彼の解毒剤の精製に志願し、ピーター2と身の上話を交わしながら完成させることに成功。そして自由の女神像に赴き、ほかのピーターたちとの触れ合いの後、現れたヴィラン一同との決戦に突入すると、最初はチーム戦に不慣れなことから連携ミスをしてしまったが、ピーター1の言葉で改めて団結。組みついてきたコナーズに対して挨拶したほか、オットー・オクタビアス/ドクター・オクトパスによって力と戦意を喪失したマックスと再会して「君は凡人なんかじゃ無い」と励まし、ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリンの急襲の余波で自由の女神から転落したMJを、紙一重で救えなかったピーター1の代わりに身を挺して飛び降りて救出する活躍も見せ、ゴブリンと死闘を繰り広げるピーター1にゴブリン用の血清を投げ渡してゴブリンをノーマンの人格に戻すことにも貢献した。
- そしてスティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジが、崩壊してしまった時間と空間の境界の修復のためにカフカルの魔法陣を再発動し始めると、今回出会って共闘できたことをほかのピーターたちと喜び、別れを告げ合って、カフカルの魔法陣の効果で元の世界に帰還する。
MCU版
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、トム・ホランドが演じる。日本語吹替は榎木淳弥が担当。
本項は、“アース616”(正史の宇宙)におけるピーター/スパイダーマンを主軸に表記する。
キャラクター像
“アース616”のピーター・パーカー/スパイダーマン。“ミッドタウン高校”に通い、ニューヨーク・クイーンズのアパートで伯母のメイ・パーカーと同居している少年。
一見すると目立たず、時にはやや頼りないところも見せるため、他者から見下されることもあるが、好奇心旺盛かつおしゃべり好きで天真爛漫なお調子者。戦闘中も無駄口が多く、敵味方双方から呆れられる場面もある。『スター・ウォーズ』をはじめとするSF映画やニューヨーク・メッツのファンである。そのため、まだ未成年であることも手伝って他のヒーローたち以上に人生経験が浅く、年相応に短慮かつ精神的にも未熟であり幼稚な振る舞いが目立つ。憧れのトニー・スターク/アイアンマンからは期待を寄せられると同時に「坊や」と呼ばれることも少なくない。
トニーと出会う前から、自らの特殊能力と自作のウェブ(クモ糸)を射出する“ウェブ・シューター”と正体を隠すための“ホームメイド・スーツ”を用いてクイーンズの困った人を助ける“親愛なる隣人 スパイダーマン”として自警活動をしていた。活動中も市民への軽快な挨拶や道案内などを忘れない肩書き通りの親しみ易さも持ち、そして徐々にではあるが、さまざまな経験を通して真のヒーローへと成長していく。
変異体
能力
劇中で詳細は語られないが、放射能を浴びた特殊なクモに噛まれた影響から、常人の何倍もの耐久力や怪力と俊敏性、壁を自由によじ登り、天井を這って移動できるほどの吸着能力など、クモと同等の能力を有しており、ウェブ・シューターを合わせたトリッキーな戦闘スタイルで戦う。また、頭脳面でも、講師の唐突な質問にも完璧に答えることができ、全米学力コンテストチームのエースとしても期待されているほど元来の学力は非常に優秀で、メイの影響でイタリア語も堪能であり、科学や数学といった理学各種や、映画を中心としたサブカルチャーの造詣が深く、ウェブ・シューターを含む自身の装備の開発から独創的な作戦の考案まで、ヒーローとしての活動においても培ってきた知識を最大限に活かして戦っている。
ツール
- スパイダーマン・スーツ(Spider-Man Suit)
- ピーター・パーカー/スパイダーマンが着用する、クモの意匠をイメージしたスーツ。
- ハイテク・スーツ(High-tech Suit)
- ピーターの意見や能力を参考に、トニーが数百万ドルと最先端テクノロジーを注ぎ込んで開発した、高性能スパイダーマン・スーツ。赤と青のツートンカラーを基調に、黒いウェブ模様が施されている。引っかかりを最小限に抑える滑らかな素材でできており、マスクのアイピースは、刺激物をフィルターにかける他、表情筋を反映させて絞る機能や青いディスプレイも表示される。その他、着用時に胸部を軽く叩くことでスーツのサイズを着用者の身体に合わせて調整する自動フィット機能や、スーツ着用者の位置をトニーへ知らせるGPS、着用者の体温保持と濡れたスーツ本体を自動乾燥させるためのヒーター、背部のスパイダーマークからの降下用パラシュート放出機能などが備わっている。
- これに加えて、トニーによって施されていた機能制限プログラム“補助輪モード(Training Wheels Protocol)”を外すとサポートAIの“カレン”が起動する。それと同時に、スパイダー・ドローンの操作、右腕に搭載された敵の居場所を追跡・盗聴できるクモ型のGPS追跡装置(Spider-Tracer)、強化戦闘モード(Enhanced Combat Mode)、スーツ装着中に撮影した全映像の再生機能、視点に捉えた対象のX線スキャン、両脇の下からムササビのように展開することで、短時間滑空と落下中の方向転換を可能とする“ウェブ・ウィング(Web Wings)”、尋問用のボイスチェンジャー、ウェブ・シューターの各発射機能を練習するためのトレーニングコースまで、“アイアンマン・アーマー”に比肩するほどの、より多数の機能が使用可能となる。
- ライプツィヒ・ハレ空港での戦いでは、トニーからの貸与という形で提供されたが、その際の成果から正式に譲り受けた。以降ピーターはこのスーツを着用して自警活動を行うものの、フェリーで一般市民を巻き込む事故を起こしたことでトニーに一時没収されてしまった。だが、ピーターは独力でエイドリアン・トゥームス/バルチャーに勝利したことを認められたことにより、再びこのスーツを託されて自警活動を再開する。
- ピーターはニューヨークに現れた“ブラック・オーダー”との戦いでも着用し、科学史ツアーの事前準備時には、このスーツを敢えて自室に残したが、彼を心配したメイがピーターの鞄へメモ書きと共に忍ばせ、後に邂逅したニック・フューリー(擬態)のチームに赴く際にも着用した。その後ピーターが、後述のステルス・スーツやアップグレード・スーツを着用し、ニューヨークへの帰郷時にも持参していなかった様子であるため、このスーツの現状は不明。
- アース89521におけるピーターもこのスーツを着用して活躍する。
- アップグレード・スーツ(Upgraded Suit)
- ハイテク・スーツを参考に、ピーター自身が新開発したスーツ。ロンドンでのベック/ミステリオとの決戦に向けて新たに作成した。
- 基本的な意匠はハイテク・スーツと共通であるが、カラーリングは赤と黒のツートンカラーに変更されている他、パラシュートを放出する背中のスパイダーマークが胸のスパイダーマークと共通のデザインかつ白色となった。機能面では、ウェブ・シューターがピーター自身の発明により最小化され、スーツ内蔵式となり、ウェブ・カートリッジも省略されている。また、ベックが駆使するドローン対策としてテイザー・ウェブの電圧が引き上げられている。その一方で、サポートAIやスパイダー・ドローンなどの機能は簡略化されており、ピーターは全ての機能をマニュアル操作で使用している。
- 前述のとおり、ベックとの決戦の際に着用し、激戦で所々が破損したが、事後には完全に修復され、ミシェル・ジョーンズ(MJ)とのデートの際に再着用する。
- スパイダーマンの正体が世間にバレてしまった際、ミステリオを崇拝するファンによってぶつけられたカラーボールの塗料が胸元に付着したことで後述のとおり、裏返してブラック&ゴールド・スーツを使用するが、その後メイに洗濯してもらったことで再着用する。
- ブラック&ゴールド・スーツ(Black and Gold Suit)
- ミステリオを崇拝するファンによってぶつけられたカラーボールの塗料が付着して使用不可となったアップグレード・スーツを裏返しにして使用したスーツで、アップグレード・スーツの裏地となっている黒をベースにスーツの基板回路となっている金色のステッチが施されている。また、MJとネッド・リーズとビデオ通話をするために、胸元にはピーターのスマートフォンがガムテープで固定されている。
- 送電施設でマックス・ディロン/エレクトロとフリント・マルコ/サンドマンを捕獲する際に着用し、マックスとの戦闘で固定していたスマートフォンを落としてしまったことで、液晶のガラス面が割れてしまった他、電気を帯びたことでステッチの一部が縮れてしまったが、マックスとフリントの捕獲に成功する。
- インテグレート・スーツ(Integrated Suit)
- ハッピーの自宅でDr.オクトパスを治療後、彼から返却されたナノマシンをアップグレード・スーツに取り込んだスーツ。アイアン・スパイダー・スーツの蜘蛛の意匠が金色になっている。アイアン・スパイダー・スーツより耐久性は劣るものの、アイアン・スパイダー・スーツとアップグレード・スーツ双方の機能を持っている。自由の女神像の戦いにて使用。
- ゲームの「Marvel's Spider-Man」ではハイブリッドスーツという名称で登場している。
- ホームメイド・スーツ(Homemade Suit)
- トニーに出会う以前に、ピーターが自警活動のために自ら作り、着用していたコスチューム。市販の布製の水色のジャージや、赤いフード付きスリーブレスパーカーとブーツ、オープンフィンガーグローブ、ゴーグル付きマスクを簡単に組み合わせて作ったものである。ゴーグルにシャッター機能があるが、これと後述のウェブ・シューターを除くと他の特殊機能はなく、正体を隠すためのものという趣きが強いコスチュームである。
- ピーターはトニーと出会う前までは自室の天井裏に折り畳んで収納し、ハイテク・スーツを得てからはミッドタウン高校のロッカーの下に隠したままとなっていたが、トゥームスの悪行の阻止に向かう際にピーターは、没収されたハイテク・スーツの代わりに着用する。
- 以後の活動では着用していないものの、ベックの罠に嵌ってしまった際には、相手の仮想空間でこのコスチューム姿となっている。
- アイアン・スパイダー・スーツ(Iron Spider Armor)
- ピーターのアベンジャーズ加入に際してトニーが新たに開発した、“アイテム17(Item 17)”のコードネームを持つスパイダーマン・スーツ。黒、赤、金というやや暗めの配色と胸部に大きめのスパイダーマークが施された、若干筋肉質なデザインである。“アイアンマン・アーマー マーク50”と同じく全身ナノマシンで構成されており、マスク装着も全自動で行う上に、両前腕部にはより強力なウェブ・シューターが備わっており、背中からは4本のクモの足のような“スパイダー・アーム(spider-arms)”やパラシュートを出現させることが可能。このスパイダー・アームは、“即死モード(Instant-Kill Mode)”起動でより強力な攻撃を繰り出す。また、アイアンマンのサポートAIである“F.R.I.D.A.Y.”ともリンクしているため、トニーの指示でスーツの機能を自在に操作することもできる。さらに、小型の充電用ポッドに収めて電気によるエネルギーチャージも可能。さらに、独自のサポートAIや左前腕の高性能デバイスも搭載されており、スタークネットワークにアクセスさせて、視界に収まった人物の顔認証から、ペアリングした他のマシンのコントロールまでできる。
- ピーターのアベンジャーズ加入を認めたトニーが、記念として彼に贈呈しようと“アベンジャーズ・コンパウンド“の格納庫を展開して披露したが、ピーターがアベンジャーズ加入を断ったため、彼の手に渡らずに終わる。
- それから2年後に、エボニー・マウのQシップに引きずり込まれたことによって宇宙空間で呼吸困難に陥ったピーターを救うべく、トニーがF.R.I.D.A.Y.に命じアベンジャーズ・コンパウンドから射出、装着させた。以降ピーターによって、2度にわたるサノスの群勢との戦いで使用される。
- 後にピーターは、メイのボランティア活動に同席した際にもこのスーツを装着したが、高校の研修旅行の事前準備時には、ハイテク・スーツと同様に自室に敢えて置かれていっている。
- アップグレード・スーツに塗料をぶつけられると、ピーターに再び装着され、オットー・オクタビアス/ドクター・オクトパスとの戦いでオクタビアスのアームにナノマシンを一部剥がされて取り込まれてしまったが、そのおかげでピーターの方からアームの操作権限を奪い取ることができたため、オクタビアスの拘束に繋がった。オクタビアスが正気に戻ったことでナノマシンはアップグレード・スーツに移植される形でピーターに返却されたが、残りのナノマシンは“ダメージ・コントロール局”に押収された充電ポッドの中に収納されたままであることから、このスーツは使用不能となる。
- ステルス・スーツ(Stealth Suit)
- 通称“ナイト・モンキー(Night Monkey)”。プラハでスパイダーマン活動をするにあたり、“スパイダーマンであることを隠す”ことを目的としてニック・フューリー(擬態)が手配したスーツ。「ステルス」とあるが、あくまで隠密行動用のものであり、技術的なステルス機能が搭載されているわけではない。
- 全身黒を基調としており、素材はナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウのスーツと似た質感で、胸部アーマーはコンバット・ドローンの銃撃に耐えるほどの強度を有しているが、ウェブ模様やスパイダーマークなどスパイダーマンを思わせる意匠は廃されている。フィンガーレスグローブ、跳ね上げ式シャッター機能付きのゴーグルなどホームメイド・スーツとの共通点も多い。ただしサイズについては、ピーターの身体にきつかった様子であった。
- “ナイト・モンキー”との通称は、ネッドがその場を誤魔化すための思いつきで名付けたものであったが、実際にニュース番組などでも使用された。
- プラハでの戦いから、ベルリンでベックの罠に嵌った末にオランダの留置場へ流れ着く場面までに着用し、最後はズボンとシューズを除いて留置場の看守に没収され、ピーターもこれを取り戻すことなく留置場を後にしている。
- ニュー・レッド&ブルースーツ(New Red & Blue Suit)
- 自由の女神像の戦いの後にピーターがミシン縫いで自作したスーツ。共闘した並行世界2人のピーター/スパイダーマンが着用したスーツの要素を取り入れており、赤と青がより鮮やかになった色合いやシンプルな意匠で、ハイテク・スーツから続くアイピースのシャッター機能やより小型化されたウェブシューターを備えるが、これがピーターの独自開発品なのか以前のスーツを流用したのかは不明。
- ウェブ・シューター(Web-Shooters)
- スーツの上から両腕に装備する、自家製のウェブ(クモ糸)発射装置にしてメインウェポン。ピーターは発射したウェブを、相手の拘束や物品の確保、スイングしながらの移動のためのロープ代わりに駆使する。なお、ウェブは発射してから2時間で溶けるとピーターが明言している。
- トニー・スターク製
- トニーによってハイテク・スーツと共に開発されたウェブ・シューター。面積が小さいアームガードのような形状だが、クモ糸の原液“ウェブ・フリュイド(Web-Fluid)”が入った“ウェブ・カートリッジ(Web-Cartridge)”とウェブの補充装置“カートリッジ・リフィラー(Cartridge Refiller)”を搭載し、高い粘着力と強度を持つウェブを放つ。“スパイダー・シグナル(Spider-Signal)”の投影機能も備えており、その他にも、壁へ射出して貼り付け、特定の範囲内に入ったターゲットへウェブを飛び散らせる“ウェブ・マイン(Web Mine)”や、相手を失神させる程度の電気ショックを流す“テイザー・ウェブ(Taser Web)”、優れた連射性能を誇る“ラピッド・ファイア(Rapid Fire)”、壁に当てると一度だけ跳弾する“リコシェ(Ricochet Web)”、複数の標的を狙い撃つ“スプリット(Splitter Web)”、一発で通常よりも大きなウェブを放つ“グレネード・ウェブ(Web Grenade)”など、576通り以上の多種多様なウェブの発射機能も備わっている。
- アース89521におけるピーターも装備する。
- ピーター・パーカー製
- ピーターがホームメイド・スーツと共に作った、自家製のウェブ・シューター。四角い無骨なブレスレット型で、トニー製のものほど高性能ではないが、申し分無い強度のウェブを放てる。
- ピーターのほか、ネッドもこれを使ってハーマン・シュルツ/ショッカー(二代目)を牽制し、ピーターを救う。
- マジック・シューター(Magic Enchanted Web-Shooter)
- ストレンジの魔術によってアイアン・スパイダーのウェブ・シューターを改造し作成されたウェブ・シューター。魔術に用いられるエルドリッチ・ライトのウェブを一撃放ち命中させることで、命中させた対象を“サンクタム・サンクトラム”の地下牢へと転送させることができる。並行世界から来たヴィラン一同を捕獲するためにストレンジからピーターに託され、ブラック&ゴールド・スーツと共に行使されたが、ピーターがヴィラン一同の処遇を巡ってストレンジと対立した際に、ストレンジに没収される。
- スパイダー・ドローン(Spider-Drone)
- クモ型の小型偵察ドローン。普段はハイテク・スーツ胸部に黒いスパイダー・マークとして装備されているが、スーツ着用者やカレンの指示でスーツから分離し、地上を跳ね回るほか、ホバリング飛行で行動し、搭載された小型カメラで捉えた映像と情報をスーツの着用者へ送信し、赤外線スキャンと録画機能・検索機能など高性能機能も持つ。
- ハイテク・ケース(High-tech Case)
- 序盤のピーターの自撮りシーンで登場した、トニー製のスパイダーマンの装備各種を収めたツールボックス。ケースには、ユーザーへ装備各種の使用法を理解できるようにアシストするホログラフィック・ディスプレイも備え付けてある。
- スパイダーマンの装備各種を安全に携帯・運用するために開発されたが、ピーターはこのケースをその用途に用いることはなかった。
このほかにもピーター/スパイダーマンは、空港での戦いの際にスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカから彼のトレードマークである“キャプテン・アメリカの盾”を奪って一時的に装備したほか、ヴェネツィアで“水のエレメンタル”と対峙した際には、手元にスパイダーマン・スーツが1着も無かったため、落ちていた仮面を被って挑んだ。ロンドンでの戦いでは、“コンバット・ドローン”の衝撃波砲やアームも奪い取って使用し、更にドローン本体も盾代わりとして利用した。グリーン・ゴブリンとの決戦では、相手の“パンプキン・ボム”を逆利用したり、機能不全となった“ゴブリン・グライダー”も凶器として持ち上げ、振り下ろしている。
各作品での活躍
- 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
- 本作からMCU初登場。
- 物語のおよそ半年前頃からスパイダーマンとして自警活動を行なっており、それらの活躍をネット映像で見てアパートを訪ねてきたトニーからスカウトを受け、ライプツィヒ・ハレ空港での大乱戦に臨んだ。戦いでは、バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーとサム・ウィルソン/ファルコンを同時に相手どっても互角以上に渡り合い、スティーブから「根性がある」と評されるほど善戦し、さらにジャイアントマンへと巨大化したスコットの両足を縛り付けるなど大活躍したが、倒れこんで来たスコットの右手に勢い余って激突して疲弊。トニーから帰宅するように促された。
- アパートに帰ると、メイに戦いで受けた怪我をごまかしながら、トニーから貰ったウェブ・シューターのスパイダー・シグナル照射を試す。
- 『スパイダーマン:ホームカミング』
- 本作では彼の私生活と自警活動双方が描写される。その中で、自身の力を過信している節があることから、活動中に周囲の建造物を次々と壊す、アベンジャーズへの加入を夢見てトニーに認めてもらおうと躍起になる、自警活動に専念する為に学校を中退しようと考えかけるなど、若さから来る欠点が劇中で顕著に描写される。
- 空港での戦いの成果からハイテク・スーツを貰えたことで大きな自信を付けて上機嫌になり、私生活との両立に奮闘しながらも自警活動を行っていたが、トニーに認められず、彼との一応の連絡役であるハッピーにも相手にされない日々に次第に不満を募らせていく。
- そんなある日、ネッドにスパイダーマンであることを知られてしまうと共に、武器密売を行うバルチャーの一味の存在を知り、彼らによるアーロン・デイヴィスとの取引及びダメージ・コントロール局のトラックからの物資強奪を阻止したが、代わりに思いを寄せる上級生のリズ・トゥームスのホームパーティーや、ワシントンD.C.での合宿を途中で抜け出して皆に迷惑をかけることになってしまう。
- それにもかかわらず、ワシントン記念塔での事故からネッドやリズたちを救って校内でのスパイダーマンの人気を上げたことで増長してしまい、デイヴィスから得た情報で乗り込んだフェリーで、バルチャーの一味が行っていた取引の現場を抑えるも、功を焦るあまりトニーからの忠告も聞かず、フェリーを真っ二つにしてしまう事故を起こし、トニーに尻拭いをさせて叱責を受ける大失態を犯してしまった。これにより、ハイテク・スーツを没収され、自警活動を一度中止して普通の高校生活を送るも、リズの父親であるエイドリアン・トゥームスがバルチャーであると知り、リズとのホームカミング・パーティーの約束を反故にすることを覚悟でトゥームスに挑むことを決意。ホームメイド・スーツを手にし、ネッドと共に不意打ちしてきたシュルツを捕縛すると、アベンジャーズ・タワーからの物資を強奪しようとするトゥームスと対峙。一味の拠点や飛行中の輸送機双方で危機に陥りながらも、トゥームスを捕らえることに成功した。
- 後日、パーティーでの出来事と父親の逮捕で傷心のまま転校することになったリズと別れることになるも、ハッピーやトニーから今回の活躍を認められ、アベンジャーズの一員として正式にスカウトされる。だが、ヒーローとしての責任や覚悟に目覚めたことから今まで通りの“親愛なる隣人”として活動を続けていく旨を伝え、一時的に断った。帰宅後、トニーから返上されたハイテク・スーツに身を包んだところをメイに目撃されてしまう。
- 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
- 本作では、高校の課外授業中にスパイダー・センスで危機を感知して、ニューヨーク市内で戦っていたトニーとストレンジの元へ駆けつけて参戦。トニーの指示を受けてマウに捕まったストレンジを救おうとするも、Qシップに引きずり込まれてしまい、トニーに助けられて帰宅するよう促されるが、自身の戦う決意を表明して、参戦を許可される。
- 『エイリアン2』を見て得た知識を取り入れた戦法でマウを倒し、ストレンジ救出にも繋げるとトニーに評価され、正式にアベンジャーズ入りを認められる。辿り着いた惑星“タイタン”で、最初に遭遇した“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”と交戦するも、サノス打倒のために手を組み、タイタンに現れたサノスとの戦いにおいても、周囲と連携をとりながら相手を翻弄する。しかし、“インフィニティ・ストーン”を複数持つサノスには及ばず、気絶したドラックスとマンティスを相手の猛攻から救いながら立ち回るも、サノスが地球で引き起こした“デシメーション”により、トニーに抱かれながら塵と化して消滅してしまう。
- 『アベンジャーズ/エンドゲーム』
- 本作ではデシメーションから5年もの間消滅したままだったが、アベンジャーズの尽力により復活し、クライマックスにおける2014年からタイムトラベルしてきたサノスの群勢との最終決戦の際に、タイタンと繋がったゲートウェイからストレンジやガーディアンズと共に戦地となったアベンジャーズ・コンパウンド跡地に登場。スティーブの号令で大乱闘に突入すると、トニーとの再会を果たし、ティ・チャラ/ブラックパンサーから渡された“ナノ・ガントレット”をスティーブやヴァルキリー(ブリュンヒルデ)、ペッパー・ポッツ/レスキューの助力を得ながら“量子トンネル”に向かって運び、遅れて駆け付けたキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルにガントレットを託した。
- トニーによってサノスの群勢が消滅し、戦いが終わると、瀕死のトニーに駆け寄って「スタークさん勝ったよ、あなたが勝ったんです」と声を掛けるも、応えることができなかったトニーの最期を看取ることになり、後日にはミッドタウン高校にてネッドとの再会を喜び、トニーの葬儀にメイと共に参列する。
- 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
- サノスの群勢との決戦から8ヶ月後の本作では、トニーを失った悲しみから抜け出せずに彼を恋しがる様子を数回見せる一方、普段の高校生活の方では「自警活動の夏休みとして科学史ツアーを楽しみたい」 と、これまでとは対照的な考えを持つようになり、その最中、想いを寄せるようにもなったMJとの恋模様や、ベック/ミステリオによる騒動に直面し、一人の若者としてもヒーローとしてもまた一歩成長していく。
- 物語冒頭で、メイのボランティア活動にスパイダーマンとして参加し、その際に受けたマスコミからのインタビューで、人々に崇拝されるほどの存在となったトニー/アイアンマンの意志を継ぐのかどうかと問われて困惑するも、MJやネッドたちとツアーへ出かける。しかし、行きの飛行機内からヨーロッパ各地までスクールメイトのブラッド・デイヴィスの介入もあってMJと真っ当に触れ合えず、自分たちのチームへの協力を依頼してきたフューリー(擬態)に、トニーに認められた者という理由で譲渡された高性能AI“E.D.I.T.H.”の誤操作でデイヴィスを射殺しかけて叱責されるなど、自分の都合ばかり優先したことで失態を繰り返してしまう。その挙げ句に騙されたとは言え、ヴェネツィアやプラハで“エレメンタルズ”に対して共闘したベックに惹かれ、ヒーローとしての不甲斐無さを痛感した心境を打ち明けて、トニーの自身に対する意思を曲解し、彼にE.D.I.T.H.を譲渡してしまう。
- その後漸くMJと2人きりで歩けた時に、彼女にスパイダーマンの正体であることを確信されると共に、“火のエレメンタル”から落ちたホログラムのプロジェクターを拾ったことを知らされて、ベックがペテンであることに気付き、それをフューリー(擬態)に伝えようとベルリンに向かった。だが、ベックのドローンとホログラムを使った罠に嵌まり、プロジェクター奪還に加え、MJとネッドにミステリオの素性を話したと白状するよう誘導され、列車に撥ねられてオランダに流れ着いてしまった。
- 目覚めた留置場を脱出するとハッピーへ連絡し、ジェット機で駆け付けた彼に弱音を吐露するが、ハッピーから励ましを受けて奮起し、友達を救いベックを倒す決意を固めた。ジェット機内で完成させたアップグレード・スーツに身を包むと、到着したロンドン上空からハッピーのサポートを受けてベックに感知されることなく降下し、“合体エレメンタルズ”に擬装していたドローン群に戦いを挑んだ。ベックが操るドローン群と激闘を繰り広げ、遂にベック本人と対峙。相手のホログラムや残ったドローンの総攻撃と不意打ちを凌いで戦いを制するとE.D.I.T.H.を奪還し、全ドローンを撤退させた。そして捨て台詞を遺したベックの最期を見届けると、難を逃れて駆け付けたMJと再会。彼女にプレゼントしようとしていたブラックダリアのネックレスが割れてしまっていたことに落ち込むが、互いに不器用なやりとりをしながらキスを交わし、晴れてカップルとなった。
- アメリカに帰国し、旅行で仲睦まじくしていたネッドとベティ・ブラントがあっさり別れたことや、メイとハッピーの噛み合わない関係に呆れるも、自身はスーツ姿でMJと2人でニューヨーク市街を豪快なスイングするデートを楽しむ。だが一区切りついたところで街頭スクリーンにベックの同胞らによる捏造映像が放送され、そこに映った今際の際のベックがスパイダーマンの正体を公開したことにパニックになりかける。
- 『ホワット・イフ...?』シーズン1第5話
- アース89521におけるピーターが登場。“ゾンビ・アポカリプス”が発生した地球のアメリカで、ゾンビ化を免れたヒーローたちの一員としてゾンビらに立ち向かう。
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
- 本作においては、スパイダーマンの正体が公となったことが遠因となって物語本筋の騒動のきっかけを生んでしまい、そこからこれまで以上に心身共に傷付いていくだけでなく、グリーン・ゴブリンと対峙した際には後述の理由から「八つ裂きにしてやりたい」と口にするほどの強い復讐心と明確な殺意をもって猛攻をしかける姿も見せ、最終的に後には戻れないといっても過言でないほどの決断に迫られることになる。また、本作で共演する他のピーター / スパイダーマンとの区別と意思の伝達のため、ピーター1の愛称でも呼ばれるようになる。
- スパイダーマンの正体を公開するニュース映像が放送された8番街の群衆からMJと共にスイングで跳び去るが、ロンドン襲撃とベック殺害容疑がかかってしまったことから取材ヘリ群による撮影やミステリオの信奉者らの批判の的となってしまい、ダメージ・コントロール局に連行・尋問されただけでなく、ピーターの協力者と見なされたMJやネッド、メイやハッピーもそのとばっちりを受けることになってしまった。マット・マードックの弁護でベック殺害容疑は晴れて不起訴となったものの、いざ学校へ登校すると押し寄せていた野次馬や、校内の教師陣と生徒たちまでから支持と非難両方の面で注目されてしまい、民衆からのバッシングも止まないことからハッピーのコンドミニアムにメイと居候をはじめたが、MJやネッドと共に受験したMITなどの全ての大学を不合格とされてしまった。
- そこでサンクタム・サンクトラムへ出かけ、かつて共闘したストレンジに「スパイダーマンの正体を知られた事実を無かったことにできませんか?」と相談し、彼からの同情心を受けて“カフカルの魔法陣”を発動してもらうが、その最中にストレンジへ何度も注文の口出しをして妨害したことから呪文を失敗させてしまい、MITの再受験を直接相談しようともしないで安易にストレンジを頼ったと彼から叱責され、追い出された。しかしその叱責とフラッシュからの提案を元に、MIT副総長補佐との直談判に向かったところ、突如現れたオクタビアス/ドクター・オクトパスと遭遇。彼を激戦の末に捕縛してMIT副総長補佐を救った後にグリーン・ゴブリンの襲撃も受けるものの、ストレンジによってサンクタム・サンクトラムの地下に転移させられて、呪文の失敗で並行世界からスパイダーマンの正体を知るヴィランがこのアース616に複数現れたため、事態の収拾としてそれらを捕縛するように指示された。
- そしてMJやネッドの協力を受け、赴いた軍事研究施設でマックス/エレクトロに出会し、直後に現れたフリント/サンドマンの加勢でマックスを一度鎮静させると彼らを地下牢に転移させ、メイに保護されたノーマン/ゴブリンも案内させると、既に捕縛されていたカート・コナーズ/リザードも合わせて5名のヴィランを一堂に会させた。だがメイの激励とヴィラン一同の問題を受けて彼らを助けることを決めかけていたことから、マルチバースの均衡を保つ目的で彼らをそのまま元の世界に戻そうとしたストレンジと対立し、“マッキナ・ディ・カダヴァス”の争奪戦となってストレンジの魔術に翻弄されるも、意表を突いて彼を拘束して“ミラー次元”に放逐。ストレンジから取り上げたマッキナ・ディ・カダヴァスとスリング・リングをMJとネッドに託し、治療して救うと決めたヴィラン一同をメイと共にコンドミニアムへ案内した。オクタビアスを元来の人物に戻すことに成功したが、ノーマンの肉体を乗っ取っていたゴブリンに煽られたオクタビアス以外のヴィランが逃亡したため彼らの治療に失敗。ゴブリンと激しい肉弾戦となるも、コナーズの不意打ちも手伝って追い込まれてしまい、さらにメイを手にかけられ、彼女の最期を看取る結果となった。さらに、この一件を取り上げたデイリー・ビューグルの街頭ニュースが追い打ちとなって失意に沈んてしまう。
- そんな精神状態のまま高校の屋上にいたところに駆けつけたMJとネッドに支えられ、並行世界から転移してきた2人のピーター/スパイダーマンを紹介されると、ヴィラン一同の救済を諦めていたことからマッキナ・ディ・カダヴァスを使って2人のピーターとヴィラン一同を元の世界に戻そうとしたがMJから反対され、2人のピーターの境遇とヴィラン一同を救いたいという強い思いを知ると、彼らと力を合わせてもう一度ヴィラン一同を救うと決意。高校の化学室で治療用デバイスと薬品を皆の協力で完成させると、テレビ通話でデイリー・ビューグルのニュースを介してヴィラン一同に自由の女神像へ誘き出そうと呼びかけた。女神像でほかのピーターたちとの触れ合いの後、現れたマックス、コナーズ、フリントとの決戦に突入し、ピーター2とピーター3がチーム戦に不慣れなことから連携ミスをしてしまったが、彼らに「ムズムズを信じて連携しよう」と呼びかけるほどのリーダーシップを見せ、改めて団結し合って勇躍するとコナーズを元の姿と人格に戻すことに成功した。
- やがてフリントとマックスも治療され、ネッドによってストレンジがミラー次元から帰還したところにゴブリンの急襲を受け、その余波で転落したMJの救出に失敗してしまうが、彼女はピーター3に救われた。そしてゴブリンとの激しい死闘に突入し、相手の挑発に平静を失って追い詰めた末に自らの手でとどめを刺そうとしたが、ピーター2の介入とピーター3のサポートでそれを阻止されると共に、ゴブリン用の血清をゴブリンに投与してノーマンに戻した。さらに再び崩壊・侵蝕しはじめた時間と空間の境界を修復するためストレンジに「全世界の人々からピーター自身に関する記憶」を消すよう頼み、了承した彼の心遣いを受けて、共闘してくれたピーター2とピーター3に感謝の言葉と別れを告げ、MJとネッドには皆から自分に関する記憶が全て失われると伝えつつ忘れても必ずまた見つけると涙ながらに約束し合い、ストレンジの魔術の成功と共に2人の元から跳び去った。
- 数週間後のクリスマスシーズン、約束通りにMJがアルバイトするドーナツ店で彼女に再会し、居合わせたネッドにも自身を思い出して貰おうとしたが、MJの怪我に貼られた絆創膏を見て「今はまだ思い出さない方がいい」と考えなおし、ドーナツ店を退店した。次にメイの墓標を訪ね、自身を忘れたハッピーと共に彼女を偲び、「初対面の者同士」として言葉を交わして立ち去った。そして、新しく借りた古びたアパートの一室で一人暮らしをはじめ、高卒資格取得を目指しつつ再びスパイダーマンとして自警活動を再開する。
ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース作品の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』にもポストクレジットシーンに登場。エディとヴェノムの転移先の部屋のテレビにて放送していたデイリー・ビューグルのニュース内の映像に映っていた。