ゴジラ(Godzilla)は、東宝の映画ゴジラシリーズに登場する架空の怪獣。
ゴジラ | |
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ゴジラシリーズのキャラクター | |
1954年版『ゴジラ』のゴジラ | |
初登場 | 『ゴジラ』(1954年) |
作者 | |
演 | |
詳細情報 | |
別名 |
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性別 | オス |
家族 |
大型獣脚類をはじめとする二足歩行恐竜をモデルに創作された、怪獣の代名詞的存在。日本のみならず、世界各国で高い人気を有する。外形は第1作公開当時の恐竜に対する知見を基に、胴体が地面から垂直に立つ姿勢にデザインされている。
最初の異名は
ゴジラはあくまでもゴジラシリーズの看板キャラクターであって必ずしも主人公・主役というわけではない。むしろ敵役として描かれる作品も少なくない。ミレニアムシリーズなどを手掛けた脚本家の三村渉は、ゴジラを台風や津波のような自然そのものと解釈しており、人間側がゴジラを愛していてもゴジラが襲ってくる時が訪れる理不尽さが魅力であり、完結することのない戦いであると評している。
『広辞苑』にその名が掲載されている唯一の日本の怪獣である。
2016年には第29回東京国際映画祭・ARIGATŌ賞を受賞した。2018年、アメリカ航空宇宙局(NASA)と、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡研究チームは共同でガンマ線天体で構成する22の「星座」を制定したが、ゴジラもその1つに採用されている。
プロデューサーの田中友幸はアメリカ映画『原子怪獣現わる』をヒントに、恐竜型怪獣が暴れる映画を当初から構想していた。怪獣の描き方について、『キング・コング』に魅了されていた特技監督の円谷英二は同じストップモーション・アニメーションによる撮影に意欲を見せたが、予算の都合や撮影期間の問題で着ぐるみによる撮影に決定した。
名前の「ゴジラ」とは、力強い「ゴリラ」と体の大きな「クジラ」を混合した造語である。企画時には「ゴジラー」と伸ばす案も存在した。
英語名の「GODZILLA」は海外輸出の際に命名されたもので、大戸島(架空の島)の伝承に由来するという第1作の設定から、単なるローマ字表記ではなく「GOD(神)」を冠している。
第1作の脚本にもとづき、「水棲爬虫類から陸上哺乳類に進化途中の巨大生物」と設定された。脚本内での描写は、「丸ビルくらいの大きさ」「アフリカ象のような大きな耳」「全身に鋼鉄のようなウロコ」「体をうねらせて這い出る」「全身から光を放って周囲を燃やす」というものであった。
当初、頭部デザインは挿絵漫画家の阿部和助に依頼されたが、彼の画は「キノコ雲のイメージが強すぎて参考程度にしかならなかった」と言われている。その後、美術チーフの渡辺明によってアメリカ合衆国の雑誌『ライフ』の図解からイグアノドン、ティラノサウルス、ステゴサウルス[要出典]などの恐竜画を参考にイメージがまとめられ、デザイン画が起こされた。
表皮の質感には「魚のうろこ状」「いぼのような半球状の突起物」などの試行錯誤のすえ、ワニをモチーフにしたうえで火傷によるケロイドをイメージさせる、「畝のあるごつごつ状」が採用された。「背びれ」は粘土原型の時点で、水爆によって骨化したイメージになっている。また、劇中に「服部時計店(銀座和光ビル)にある時計塔の鐘の音に怒り、破壊する」という描写があるため、本来の爬虫類にはない耳介がつけられた。
『ゴジラ2000 ミレニアム』などでデザインを手掛けた西川伸司は、ウロコにも岩にも見える皮膚の表現がゴジラのデザインにおける最大の発明であると評しており、これによって生物か無生物かを曖昧にするとともに既存の生物と似ていない唯一無二の存在としていると述べている。
体色はデザインの変遷やスーツの改修により、登場作品ごとに微妙に異なる。一方、アメリカでは緑色と認知されている。
血色は基本赤色で統一している。
1954年公開の第1作『ゴジラ』では、作中に登場する古生物学者の山根恭平博士が「ジュラ紀から白亜紀にかけて生息していた海棲爬虫類から陸上獣類に進化しようとする中間型の生物の末裔が、ビキニ環礁の水素爆弾実験で安住の土地を追われ、出現したのではないのか」と説明する。しかし、以後の作品の多くでは「ビキニ環礁の水爆実験で飛散した放射能を浴びて変貌した」と説明される。また、「平成ゴジラシリーズ」ではゴジラの元となった恐竜ゴジラザウルスが登場する(詳細は後述)。
「ゴジラ」の名は、物語上では大戸島の伝説の海神「呉爾羅」に由来する。身長は50メートル。この設定は、1975年公開の第15作『メカゴジラの逆襲』まで用いられた。
1984年公開の第16作『ゴジラ』は第1作の直接的な続編として製作されたが、第1作当時と違って都会に高層ビルが多く建ったことを考慮し、ゴジラの身長は80メートルに変更された。1991年公開の第18作『ゴジラvsキングギドラ』では、「南方の孤島・ラゴス島に生息し続けていた恐竜ゴジラザウルスが、ビキニ環礁の水爆実験で飛散した放射能を浴びて変貌した」と設定され、同作後半にてこの事実が明らかになったあと、実験当時のラゴス島に生息していたゴジラザウルスは未来人によってベーリング海へ移送され、ここまで語られたゴジラの存在自体が抹消される。その後、ベーリング海にて眠っていたゴジラザウルスは、放射性廃棄物や原子力潜水艦の核エネルギーを浴びて最強・最大である身長100メートルのゴジラに変貌する。以降は平成vsシリーズ最終作である1995年公開の第22作『ゴジラvsデストロイア』まで、そのゴジラが出現する。
1999年公開の第23作『ゴジラ2000 ミレニアム』から2004年公開の第28作『ゴジラ FINAL WARS』までの新世紀シリーズでは第1作を踏襲しつつも、3式機龍が登場する第26作『ゴジラ×メカゴジラ』と第27作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』が2部作となっていること以外、各作品が独立した設定となっている。ただし、1954年の第1作でゴジラが日本に上陸した設定は踏襲され、作中で日本国民にゴジラの存在が認知されていたという事実は共通している。『ゴジラ2000 ミレニアム』、第25作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』、機龍二部作では第1作の初代ゴジラのあとに現れた別個体だが、第24作『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』では第1作の初代ゴジラが倒されずに生き延びたという設定である。また、『ゴジラ FINAL WARS』では第1作の出来事に多少触れてはいるが、時系列は近未来と設定されており、具体的な関連性は明確になっていない。身長はvsシリーズから縮小され、『ゴジラ2000 ミレニアム』、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』、機龍二部作では55メートル、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では60メートルとなっているが、『ゴジラ FINAL WARS』ではふたたび100メートルとなっている。
2016年公開の第29作『シン・ゴジラ』では身長118.5メートルのゴジラが、2017年公開の第30作から2018年公開の第32作までのアニメ映画3部作『GODZILLA 怪獣惑星』『GODZILLA 決戦機動増殖都市』『GODZILLA 星を喰う者』では推定身長300メートルのゴジラがそれぞれ登場する。なお、『シン・ゴジラ』に登場するゴジラは、初代ゴジラの特徴や容姿、古代から生息していた生物が放射能を浴びたことで変異を遂げたこと、放射熱線を武器とするなどの要素は踏襲しながらも、それまでの作品とは違って過去作との関連性は無く第1作とは完全に独立しており、正体不明の巨大生物として登場するうえ、姿形も当初の水棲生物から陸棲生物への進化を遂げながら巨大化するなど、過去作には見られなかった要素が盛り込まれている。アニメ映画3部作に登場するゴジラも、過去作とのつながりは無く2030年に初めて現れた怪獣とされている。ただし、昭和版と同じくアニメ映画3部作に共通する設定として、ゴジラの名前は「大戸島の龍神・呉爾羅」から付けられている。
2023年公開の『ゴジラ-1.0』でも、初代ゴジラの特徴や容姿、変異や武器、正体不明の巨大生物、完全に独立しているなどの要素、「呉爾羅」の名前などはほぼ踏襲されているが、身長は初代ゴジラとほぼ同じの50.1メートルとなっている。
スーツアクターは中島春雄(『対ガイガン』まで)、手塚勝巳(『三大怪獣 地球最大の決戦』まで)など。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
(第2形態) | |
身長 | 28 m |
全長 | 122 m |
(第3形態) | |
身長 | 57 m |
全長 | 168.25 m |
(第4形態) | |
身長 | 118.5 m |
全長 | 333 m |
体重 | 9万2千 t |
映画『シン・ゴジラ』(2016年)に登場。
元々は太古の時代より生き残っていた深海棲の海洋生物が60年前に海洋投棄された放射性廃棄物を大量摂取したことにより放射能に耐性が付いただけでなく、それの影響により突然変異と異常成長を繰り返し誕生したと推測される生物。
アメリカのエネルギー省(DOE)では以前からこの生物の存在を把握しており、同国の生物調査機関に属していた牧悟郎元教授が中心となって生態の研究が進められ、彼の故郷である大戸島の伝承にある神の化身「呉爾羅(ごじら)」の名から「GODZILLA」という英語名が与えられていた。日本政府は「巨大不明生物」と呼称し、牧の情報を入手して以降は、日本語訳した「ゴジラ」の通称も用いるようになる。
その身体には人間の約8倍という膨大な量の遺伝子情報が内包され、それには爬虫類のみならず魚類や鳥類などといった他の種類に属する生物の形質も多数併せ持ち、世代交代を経ない単一の個体であらゆる環境に対する適応進化を行う。必要に応じて自己退化能力も有し、自由に進化・退化が可能であること、細胞分裂による無性生殖も可能であると分析され、このまま放置すれば「自己増殖による無制限の繁殖」「有翼化しての飛行能力の獲得による世界規模のテリトリー拡大」「小型化への変異」といった危険性についても言及される。
体内には、生体原子炉ともいえる「熱核エネルギー変換生体器官」を持つ。それによって生み出されるエネルギーは莫大であり、超高温の体温を保つ表皮の一部からは高熱によって生じた赤い光が漏出する。活動の際には、未知の放射性元素を撒き散らす。それに加え、細胞には元素変換を行える機能を有しており、それを利用して体内に取り込んだ水と空気の反応だけで自身の生存に必要なエネルギーをすべて生成することが可能で、他の栄養素を摂取する必要が一切ないと推測され、その口は牙が不ぞろいで下顎には舌もなく、生物の捕食には適さない。自然界にはもはや天敵となるものは存在せず、従来の生物的常識を超越した性質は「完全生物」や「霞を食べて生きる仙人」にも例えられ、生物には不可避の「死」という概念すらも克服している可能性も指摘される。熱エネルギーの冷却には血液流による液体冷却と背びれからの放熱を用いているが、後者は補助的なものであり、もし血液の循環に問題が発生した場合は熱の冷却が追いつかず、原子炉スクラムのような状態となってエネルギー生成器官の機能が停止し、そのまま全身が凍結する。矢口蘭堂が率いる日本政府の巨大不明生物災害対策本部(巨災対)はこの特性を利用し、大量の血液凝固剤を直接口から注入することでゴジラを封じ込める「矢口プラン」を提唱し、自衛隊によってこれを実行に移すべく立案された「ヤシオリ作戦」をもってゴジラに臨んだ結果、凍結に成功している。
プロポーションとしては5つの形態が設定されている。
イメージデザインは前田真宏が担当。庵野が持っていた「原点回帰」というコンセプトと、庵野が描いた初代ゴジラの首が高く伸びて全体が屹立したスケッチなどを手掛かりにしたという。
前田は、ゴジラのキャラクターを最も際立たせているのは放射能を取り込んだ怪獣ということであり、放射能によって急激に遺伝子が壊れ、自分でも予想が付かない姿となり、原水爆にまつわるさまざまなイメージが混じった初代ゴジラは、終戦間もない時代でしか出せないものであると思っていたという。その時代から遠いところへ来て、公害をモチーフにしたヘドラなど、社会性を持ったさまざまな敵と闘ってきたが、その多くはエンタテインメントのようなアプローチでリアリティはなかった。だが、3.11によって、初代の時代に引き戻されたところがあり、それを体現したゴジラにすることとなった。
初代ゴジラは爬虫類が変化したもの、という説明があるが、本作品では急激な進化の行きつく先にあるものは何なのかという考え方から恐竜型には寄せておらず、海から上がってきたゴジラが急激に突然変異が起こって、みるみる変化していき、最終的に初代ゴジラのイメージに近くなったフォルムと解釈したという。
第1形態は、前田が考案した巨大なオタマジャクシのようなものとなった。
第2形態のラブカのような頭部は、陸に上がった両生類の感じであるという。
第4形態は、手は細くて筋張った小さなものにしており、せり出した胸骨は鳥類に近いが、鳥とは異なり、筋肉は付いておらず、首の屹立を強調するために、首と胸骨の間に段差を付けている。尻尾はちゃんとした顔ではないがそこだけ毛や歯が生えていたり、あるべきものではない組織ができかかっているものとして、顔のようで顔ではないものが尻尾に付いていることとなった。
キャラクターデザインではモノクロで描かれていたが、自己再生と崩壊を繰り返しながら進化していくゴジラは、絶えず傷だらけになりながら増殖して大きくなっていくことから、マグマや傷の血を彷彿とさせる赤い体色となった。ただし、痛々しい感じの傷口のようにするために、奥まった溝の部分は赤く、出っ張ったところは黒くしている。
当初は海から上がってくることから陸上ではうまく歩けず、尻尾で支えて歩くイメージであることから、庵野の案で尻尾は大きくしており、足も地面に全体が付くのではなく、かかとが上がっている感じにしている。
キャラクターデザイン・雛形製作は竹谷隆之。
首から胸部にかけては筋が入っている感じにしているが、筋肉ではなく気持ち悪さが出た感じにしている。表皮や筋肉は、重力が下に及んで垂れ下がっていることから、下半身は皺が出来てどっしりとしている。
総監督の庵野秀明からは「完全生物」という指示を受け、地球上の生態系の頂点として造形された。イメージデザインの前田真宏のコンセプトスケッチをもとに初代ゴジラをリスペクトした造形を主軸に、「(生態系の頂点のため)警戒する必要がない」として瞼や耳介がない、「何かを捕食して生きるわけでもない」ために歯が噛み合わない乱杭歯となっている、などの差異が見られる。また、庵野との打ち合わせの際に「人が入れないようなシルエット」という指示も出されている。小さい目は「生き物の中で一番恐い」人間の眼を参考にしたほか、皮膚の質感はゴーヤ、頭部はキノコ雲をイメージして造形されている。さらに、「自己分裂を繰り返す」「すべての生物の要素が入った完全生物」といったコンセプトから、尻尾の先端には形成不全なできかかった感じの人の歯や肋骨といったパーツが生えており、原型の尻尾も粘土に魚や蛇の骨を埋め込んでいる。竹谷によれば、庵野は頭部に脳がないがらんどうなものを要望し、また尻尾に脳があるかもしれないとも述べていたという。
歴代作品で初めて着ぐるみをいっさい使わず、CGで造形したモデルをモーションキャプチャで動作させている。CG製作は白組が担当。デザインの検討用に模型が作られており、2016年に開催された「ニコニコ超会議」では、形状検討用として作られた「1号雛形」が公開された。1号雛形はイベント用に仮着色しかなされていないが、これと同じ形状のものに着彩を施した着彩検討用の「2号雛形」が存在しており、それらを元にして映像製作が進められた。この2号雛形は、ワンフェス2017[冬]で一般公開されている。尻尾は操演でも動かせないというほどの長さで、腕も着ぐるみにするには大人が腕を通せないほど細く、足もかかとが浮いており、爪の先端も体重を支える角度をなしていないという、着ぐるみを使わずCGによる造形と操演を前提としたデザインである。一方、着ぐるみが持っていたゴムの質感やたるみなども意図的に表現している。これについて竹谷は、ハリウッドでは生物的なリアリティの追求に向いてしまうが、日本人には初代ゴジラの着ぐるみのイメージがあるため、それを排してしまうと違うものになってしまうと述べている。
モーションアクターが野村であることは劇場公開まで伏せられており、公開と同時に「329人目のキャスト」として報じられた。野村は演じるにあたって「人間くささ」を排除し、神や幽霊など「無機質」な動きを心がけ、モーションキャプチャを収録する際にはゴジラの面を着けて顎を動かす面の使い方を意識したという。従来のゴジラと異なり手のひらが上を向いているのは、「(中国や日本など)東洋の龍は玉を上向きに掴んでいる」という野村からの指摘を参考にしたためである。
第2形態は、モチーフのラブカの気持ち悪さを落とし込むことが意図され、また庵野の要望によりエラは刃物で斬られたような繋がっていない切れた形状となった。当初、竹谷は目のないデザインを提案したが却下され、その後も雛型やCG製作で目の試行錯誤が続いたという。庵野の案で小さな眼点を大きな目の周辺に足している。第2形態は幼体であることから半透明の感じの体色にしてほしいと言われたため、半透明の樹脂で型を抜いて質感を出している。胸郭は樋口真嗣の案で尖らせ、アスファルトなどを割りながら進んでいくこととなった。
第3形態は、雛型では第2形態と同様の細い足であったが、CGでは太めに修正されている。竹谷は、雛型の時点では初めて立ち上がるので不安定感を出すことを樋口から要望されていたと述べている。
第5形態は、他の形態と同様にスキャニングデータが製作されたが、映像には竹谷の製作した雛型そのものが使用された。当初は背びれに人型が密集しているという案も存在した。
スタッフやキャストと立ち並ぶイベントには本作品のゴジラは登壇できず、「平成VSシリーズ」や「ミレニアムシリーズ」用のスーツアクターが入れる着ぐるみが代用されている。また、本作品のゴジラを登場させる際も頭部のみなどで、全体像としては登場しない。
ゴジラ | |
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体高 | 50.1 m |
体重 | 2万 t |
映画『ゴジラ-1.0』(2023年)に登場。
小笠原諸島の一つである大戸島周辺の海を縄張りとし、近海を回遊していた島の伝承に伝えられている再生能力を持つ大型海洋生物「呉爾羅」が、1946年夏にアメリカ軍による核実験の際、ビキニ環礁にて行われたクロスロード作戦による放射能の影響を受けて変異した。身体の表皮は原子爆弾によって焼け爛れ、放射性物質が体表の奥深くまで紛れ込んだ結果、エラーに次ぐエラーが表皮の細胞に発生し、元の姿を取り戻せないまま再生能力が暴走したかのように以前の姿を遥かにしのぐ巨体に巨大化した姿である。襲撃後の船に残った皮膚組織からは、大量の放射能が検知されている。
顔にある損傷と再生によって負った傷が特徴的である。新生丸の機雷によって傷を顔面に受けた後には、酷い損壊によって再生機能にエラーが生じて牙が頬にまで生えている。神々しさを感じさせる直立して胸を張った姿勢で、小さな頭に足が太い三角形に見えるフォルムで、足は(鳥のような)獣脚になっているほか、肘には爪状の突起が生えている。その再生能力は生物として並外れており、固い表皮を仮に破られて頭部を欠損してもものの数秒で再生する。
武器の放射熱線を放つ際には、原子爆弾のインプロージョン方式のように背びれが尾から順に伸びていき、一気に沈み込んで吐くものとなっている。なお、放射熱線を放つたびに自身の頭部にもダメージを与え、顔が焼けては再生しており、それゆえに連射は再生が追いつかなくなるため、行えない。
1945年、大戸島の守備隊基地を全高15メートルの大きさで襲撃し、敷島浩一少尉と整備兵の橘宗作以外の整備兵全員に襲いかかり、死亡させる。
1947年、太平洋にてアメリカの船舶を襲った後、小笠原諸島近海にて敷島らの乗る特設掃海艇・新生丸と遭遇し、新生丸と行動をともにしていた海進丸とシンガポールから急行した高雄を沈没させた。その後、東京湾から東京に上陸して品川を経て銀座まで進攻した際に放射熱線を放ち、国会議事堂周辺を蒸発させて壊滅的な被害をもたらす。
数日後、相模湾に出現した際には野田健治の提案した海神作戦により、深海1,500メートルまでの急降下と急上昇による減圧・加圧を繰り返され、表皮にダメージを負う。最終的に、機関砲を一部降ろして機内に250キログラム爆弾2個と500キログラム爆弾を搭載した震電を敷島が操縦し、放射熱線を発射寸前の口内に特攻して自爆(敷島は寸前で脱出)した結果、頭部を完全に爆破されて放射熱線のエネルギーで内部から自壊し、海底へ沈んでいった。
身長の設定については、監督の山崎貴による「50メートルくらいだと見上げた時に目が合う感覚もあるし、ゴジラと人間を一緒に撮ることもできる」との意向のもと、CGモデルの発注当初は50メートルとされていたが、完成したものを正確に計測してみると10センチメートル高かったため、それを採用して50.1メートルとなった。山崎は『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』でも、従来の怪獣よりも小さかったことで、人間との対比がしっかりと描けるから怖さを感じられたため、背景を作り込めて画の情報量が多くなる小さな怪獣ほど怖さを演出しやすいというが、小さいから怖いとはいっても50メートルの初代ゴジラより小さいと「ゴジラ」の風情がなくなるということもあり、初代に合わせた大きさになったという。過去のゴジラ映画は、すべてが制作された時代を舞台とした現代劇であったが、本作品では初めて時代劇となっている。これについて山崎は、ゴジラが昔の建物に合わせて小さくなったわけではなく、小さくしたいから昔を舞台にしたという。
山崎は、本作品のゴジラには生息地が戦争で荒らされていることへの怒りがあるといい、細胞が核の火によって破壊され、再生しようとしてエラーが多発しているという状態になったことで、さらに怒りが大きくなり、東京へやってきたという。アメリカの核実験でやられたのに日本に来るのはおかしいと疑問に感じたというが、ゴジラを「祟り神」であると考えれば、日本人にとっては腑に落ちるといい、ゴジラの怒りは人間が持つ怒りとも少し異なっており、制御できる性質のものではないため、どこでも暴れ得る。そのゴジラを迎え撃つ日本人は、「祟り神」の怒りを海で収めるという儀式を行って鎮まってもらうものであるという。
企画・プロデュースの岸田一晃は、これまで培われたゴジラ像から離れた異端ともいうべき『シン・ゴジラ』のゴジラに対し、本作品ではこれまでの約70年の歴史の中で描かれたゴジラへのリスペクトを持ち合わせつつ、より強くより怖い正統派のゴジラを目指したという。
岸田は、本作品は人々が生を追求する物語である以上、直接的に人間に対して危害を加えて死なせる描写を表現することで、ゴジラという存在の恐ろしさを描いているという。
ゴジラとの戦いについては、当初は第1作でのオキシジェン・デストロイヤーを使ったことに倣い、再生能力を暴走させて殺害する超兵器「ゲノムアクセラレータ」を開発する案が検討されたが、最先端すぎてあまり現実的ではないとの結論から、かつて山崎が『アルキメデスの大戦』でも依頼した後藤一信が軍事監修兼作戦立案で参加することとなった。後藤は戦後当時の日本がゴジラとどう戦えるのかとさまざまな作戦を考えてくれたうえ、泡で包んで沈めた海中にてフロンガスを使用することによって生じた大量の氷柱がゴジラに突き刺さるとの後半部分のアイデアも考えてくれたが、山崎は一撃で終わってしまうので映画としての面白味に欠けると判断し、前半だけ採用させてもらったという。
デザインスケッチは山崎、デザインはモデリングアーティストの田口工亮が担当。本作品のゴジラはフルCGで描かれている。
当初は『ゴジラ・ザ・ライド』とは異なる方向性のデザインも検討されており、獣感の強い細身体形で前傾姿勢のものもあり、かかとを浮かせた足の形は最後まで引き継がれている。そのほかにも、背びれが現在よりも目立つもの、俊敏そうな鳥足のような脚をしたもの、半身をビキニ環礁で被爆してその半分がゴジラのようなもの、もう半分がケロイド状のものなど、試行錯誤が重ねられた。顔の肉が機雷で取れてからは、エラーが細胞再生に生じて骨や牙が見えたスカーフェイス状態になってしまうものも考えられたが、後半にずっとその顔で登場するのはどうかと思い、なくなった。
本作品のゴジラは細胞が再生するが、あまりにも酷いダメージを受けると完全に再生できずにエラーが出るというものとなっており、一度ビキニ環礁の原爆実験によって強烈なダメージを受け、再生しようとしてこの姿になったという設定のため、新生丸の機雷や高雄の砲撃によって再生した部分は他と顔の色が異なることから、ある程度ディス・イズ・ゴジラという部分は大事にしなければと思い、初代『ゴジラ』に近い時代設定にしたということもあり、変化球なデザインでは無い王道的なゴジラにしようと決めていたため、最終的に理想的なゴジラであった『ゴジラ・ザ・ライド』のゴジラが一番良いと判断し、それをブラッシュアップしたものとなった。
ハリウッドの前傾姿勢のゴジラは戦う気満々であるが、首が立った日本のゴジラは半分は神様であることから、基本的には直立しており、人間のようには見えないように足は獣脚となっている。
『シン・ゴジラ』では長い尻尾は特徴的であったが、本作品のゴジラはそうでもない長さだという。だが、素早く尻尾が振り回されると街に大変な被害をおよぼすものとなっている。
『シン・ゴジラ』では人間のような目であったことから、本作品では当初は半月形の「ゴジラ目」にする予定であったが、田口が人間のような目に何度もしていたため、怖い目であるとだんだん思えてきて、田口のこだわりを活かすものとなった。
スーツは制作されていないが、高さ2.3メートルの模型が東宝によって5体制作されており、TOHOシネマズ日比谷(2023年7月14日から8月31日まで)、ワンダーフェスティバル2023夏(2023年7月30日)、大浜パーキングエリアの下り売店(2023年12月10日まで)などに展示されている。
山崎は、『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』の映像を作った際に怖さが距離の近さであるということを思ったといい、距離が近いのはスーツが人間に近づくとディテールのバレが出てしまうが、デジタルであると情報を寄った分だけ追加していけるといい、できるだけデジタルにしかできない表現を入れないとデジタルにした意味がないため、序盤で大戸島に出現したゴジラの攻撃方法はデジタルゆえの距離の近さであり、相互関係が作れるという良さであるという。
ある程度は恐竜のような動きをできるようにして、感情的になった際には激しく体を動かすが、ハリウッドのゴジラのように野獣的に戦うのではなく、神様と獣の両方を兼ね備えた存在という意識であると考えたという。
映画『GODZILLA』アニメーション3部作(2017年 - 2018年)に登場。
作中世界の1999年から地球上に現れ始めた怪獣のなかでも別格の存在に位置付けられる、植物を起源とした超進化生命体。
命名は戦略生物学教授のキョウヘイ・ヤマネ博士らによるもので、小笠原諸島の大戸島に伝わる龍神「呉爾羅」に由来する。
老化せずに成長と進化を続ける特性によって、全高300メートルという巨体を2万年間で獲得した頂点生物で、骨格は存在せず、金属成分を多く含有した超進化植物の繊維で構成される。植物は遺伝子の水平伝播によってさまざまな生物の特性遺伝子を取り込んでいるとされ、クマムシのようにあらゆる悪条件に耐えられる。その防御性能は、体細胞を強力な電磁石として機能させ、背びれの「生体内増幅器官」から桁外れの高周波電磁パルスを放射することで、表皮直下にありとあらゆる物理干渉を遮断する「電磁メタマテリアル」の「非対称性透過シールド」を展開する能力によるものである。また、表皮は多層泡状構造を形成することで熱核攻撃やマグマ溜りにも耐える超高熱耐性を有しており、組織の一部がプラズマ焼却されても猛烈な細胞再生能力によって回復してしまう。
シールド、泡状表皮、再生力の組み合わせにより無敵に近い存在ではあるが、狭い範囲に大量の攻撃エネルギーを集中させると、1/10,000 - 1/3,500秒ほど、シールド無効時間となる周期的な「ノイズ」が発生するという弱点がある。このノイズを干渉波攻撃で拡大することによりメタマテリアルのシールドに隙間を生じさせることが可能となっており、その間に同調攻撃で増幅機関を破壊し、組織が修復されるまでの数十秒で電磁パルスプローブスピア(略称:EMPプローブ)を体内深部に打ち込むことで理論上は打倒でき、体内電流がオーバーロードした状態では自らのエネルギー量に比例してショートするので、熱線を放射するほどの高電圧を帯びることで自爆が誘発される。
攻撃手段として、口から放つ高加速荷電粒子ビーム「熱線」があり、頑強なほかの怪獣の甲羅をも貫くどころか山さえも吹き飛ばす。胴体は荷電粒子砲の加速機器に相当する機能を持つ。さらに威力を高めると螺旋を描く真紅の柱のような攻撃に変化し、月と同等の質量を持つ小惑星を地球から狙撃して粉砕するうえ、その余波で異星人の技術による強化シールドさえ破る強烈な電磁波が発生し、300キロメートル以上離れた地点の電子機器すら破壊する。なお、増幅機関である背びれが破壊されただけなら熱線発射能力は損なわれない。
体表はあらゆる電波を吸収する性質を持ち、熱線発射時を除けば赤外線も放射線もほとんど感知できない。その完璧な隠密性から発見は困難となっており、ほとんどの精密誘導兵器も機能しないため、攻撃の際にはある程度の距離まで接近しなければならないが、接近すれば熱線に伴う電磁波障害で軍用電子機器でも故障してしまう。電磁推進器官の存在が示唆されるほどに優れた遊泳速度は2040年代の最新鋭潜水艦を上回るとされ、優れたステルス性も加わり異星人の技術をもってしても海中での追跡は困難であった。
高度な知性を持つことが推察できる行動を取ることが確認されており、2042年のゴラスや2046年のメカゴジラなど、自身の脅威になると判断した存在を積極的に排除しようとする。人類を探し出して攻撃を行うことから「決して人類を見逃さない」と評されるうえ、自分以外の怪獣に対しても強い敵愾心を見せるという習性を持つ。前述の通り普段は放射線はほとんど観測できないが、通過した経路には高濃度の放射線が(場所によっては人間の致死量を上回るほどに)残留するうえ、破壊跡にはその放射能汚染に引き寄せられるかのように数多くの怪獣が出現する。
その脅威から、真の霊長、怪獣たちの王(King of Monsters)、ヤツ、破壊神、究極生物、G、恐怖の象徴、神の獣などとも呼ばれた。メトフィエスによると「驕れる者への制裁の鉄槌」「自らを万物の霊長と僭称した種族への摂理からの復讐者」であるといい、同様の存在によって破滅に追いやられた異星文明も多いとされる。
ゴジラ・アース (2030年) | |
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体高 | 50 m |
体重 | 1万 t |
(紀元後2万年) | |
体高 | 300 m以上 |
体重 | 10万 t以上 |
ゴジラ・フィリウス | |
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体高 | 50 m |
体重 | 1万 t |
監督の瀬下寛之は「進化の最終存在」として、地球上の生命体で一番大きく一番寿命が長い「樹木」をコンセプトとして挙げ、特異な環境の中心にいる巨大な「世界樹」のような存在としている。
超進化した植物が他類の強者の特徴を合成した「想像上の生き物」をモチーフとし、伝説や神話の生物が具現化したかのような、御神木や巨大な古木のような威厳があるようなデザインとなっている。全体像は「ゴジラらしい」象徴性を維持しつつ、独自のシルエット、かつ金剛力士像のような想像上の筋肉を足すことにより、威風堂々とした雰囲気にしている。頭部はゴジラとしての印象から離れすぎない程度に神獣としての「獅子」をイメージして猿、犬、竜などをモチーフに模索し、「肉食感」を強めないように小さめに、口・顎も大きくはなく、眼に哲学者のような高い知性を感じさせる。表皮は枯れ木のようなシルエットだが、色は金属のような鈍く光る紺碧、表面には苔が生えている。脊椎に沿って3列に並ぶ背びれは、肉厚なヒイラギの葉のような形状、背中の中央部が一番大きく、表面は葉脈のようで、高出力の電磁波を発生させる際にはこの脈に沿って光が移動し、ヒレ全体を発光させる。腕は屈めば自分の足先に届くくらいに長く、手は人間並みに器用な動きができる印象、爪は植物の棘が進化した感じである。脚は太くて力強く、いざとなったら前傾姿勢でダッシュできるような可能性を残したシルエットである。長大な尾は3本目の足として体を支えるが、下側の接地面積が少ない形状をしており、繊維質なので触手のように伸縮し、鋭利な先端で攻撃もできる。
『シン』同様スーツは制作されておらず、イベントへの登壇の際にはvsシリーズのスーツが用いられている。詳細はGODZILLA (アニメ映画)#プロモーションを参照。
ゴジラ GODZILLA | |
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身長 |
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全長 | 90 m(小説版) |
体重 |
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走力 | 480 km/h |
出身地 |
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ベビーゴジラ BABY GODZILLA | |
身長 | 3 m |
体重 | 不明 |
移動速度 | 約60 - 80 km/h |
出身地 | ニューヨーク・マジソンスクェアガーデン |
映画『GODZILLA』(1998年、アメリカ)に登場。
ポリネシアに生息するイグアナとうかがえる生物にフランスの核実験による放射能が蓄積した結果、突然変異して生まれた新種の生物。外見は明確に背びれこそ存在するものの、過去作品の登場個体と大きく異なっており、ティラノサウルスなどの獣脚類に酷似している。魚食性であり、多数の魚類を喰らうほか、幼体であるベビーゴジラにも、それを餌として集めて与える。知能が相当高いようで、人間が仕掛けた罠を見破ったり、戦闘ヘリを待ち伏せて撃破したり、原潜を翻弄して同士討ちに追い込んだりしている。出現地点は南太平洋・ポリネシア近海→パナマ サン・ミゲル湾の小島→ジャマイカ・グレート・ペドロ・ブラフ→アメリカ東海岸沖→ニューヨーク・マンハッタン。
戦闘の際には巨体を振るうことによる破壊以外はかぎ爪を用いる程度で、過去作品の登場個体のような放射熱線を吐く能力は持っていないが、出火している場所に息吹を吐きかけることで火力を増大させ、対象に命中させるといった攻撃も用いる。また、強靱な脚で飛び上がって相手に強烈な蹴りを浴びせるハイジャンプ・キックを使いこなす。
変温動物であるため、極端に体温が低い。劇中ではゴジラの体温よりもビルの温度の方が高かったため、赤外線探知ミサイルで狙ったにもかかわらずミサイルが外れてクライスラービルを破壊してしまうという描写が存在する。
動きは時速480キロメートルで走れるほど素早いため、時速150キロメートル(原語では時速80ノット)の戦闘ヘリからも逃れられる。一方、ハドソン川では魚雷の直撃によって衰弱する、終盤ではタクシーに翻弄されるという演出もなされている。水中での移動速度は魚雷と同等で、米原潜の3倍。
無性生殖によって一度に200個のベビーゴジラの卵を産卵するため、倒し損ねれば数年で人類を滅ぼす恐れがあると分析される。しかし、砲弾で出血するうえ、魚雷で深手を負い(小説版[要ページ番号])、最後は主人公たちが乗るタクシーに誘導されてブルックリン橋のワイヤーに絡め取られて動けなくなったところでF/A-18C編隊が発射したハープーンミサイル攻撃によって絶命するなど、肉体は過去作品の登場個体と違って脆弱である。マディソン・スクエア・ガーデンにおいて孵化したベビーゴジラの大群や多くの卵も同じようにF/A-18Cのハープーンミサイルによる空爆で全滅するが、エンディングでは残っていた卵1個からベビーゴジラが誕生する(ベビーゴジラのその後については「ゴジラ ザ・シリーズ#ゴジラ」を参照)。
通称はトラゴジ。
制作はタトプロス・デザインズによって行われ、アニマトロニクスのほかに成体の着ぐるみが24分の1サイズで3体作られた。
着ぐるみは硬いフォームラバーとゴム紐の上に薄いフォームラテックスの皮膚をかぶせ、筋肉が皮膚の下で動く感じを出している。逆関節の脚には人が入って歩けるように継ぎ足しを付けている。ゴジラの首の中に俳優の頭があり、日本の着ぐるみと同様に、視界を得るための小さな穴が開けられた。頭部はファイバーグラス製で、電動サーボモータが8つ入っており、目、目蓋、半透明の瞬膜、小鼻、舌の動きを外からコントロールすることが可能となっている。ただし、眉を動かす、口をゆがめるといった人間的な表情は極力排除されている。
アニマトロニクスは油圧式で動き、6分の1サイズで高さ6メートルの上半身のみが作られた。油圧で首、手首、肘、肩などの動きを完全に制御し、コンピューターにその動きを記憶・再現させることも可能。ロサンゼルスにあるヒューズ社の飛行機格納庫に上半身が運び込まれ、撮影時には『トゥルーライズ』でハリアー機を乗せるのに用いられた油圧式の台座に据え付けられた。
上記のほか、巨大な口の内部、巨大な4本の鉤爪、足指の間の部分は、俳優の演技と絡むショットの際に用いられる実物大のものが作られた。
タトプロスは反応の仕方や仕草はワニにインスピレーションを与えられたといい、原典のように物を手で掴んだり投げたりするのは、あまりにも人間的であると思ったため、手の代わりに口や首を使った動きを強調するようなデザインとなった。尻尾も原典では根元から先までほとんど同じ太さであったが、本作品では先の方を極端に細くスリムにして、鞭のように使っても納得がいくようにしている。脚も原典のように2つではなく、3つの関節がある恐竜の脚のようになったのは、ジャンプしたり、ビルに登ったりしそうに見えるからであるという。背ビレも実在の動物では大抵後ろ向きだが、攻撃的に見えるように前向きにしており、形も尖ったものにしている。
ミニチュアの橋や建物を壊しながら進むシーンでは、通常の2倍から10倍以上の高速度で撮影しなければならないが、秒速200コマの撮影では着ぐるみはスローモーションに動いているようにしか見えないため、ゴジラの頭、手、足、尾の形にベニヤ板を切り抜いて緑色に塗装したものを、ミニチュアの爆破に合わせて動かして撮影され、後にCGのゴジラに置き換えられた。
怪獣映画を中心とした作品群モンスター・ヴァース(2014年 - 、アメリカ)に登場。同一個体が継続して登場している。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
身長 | 355 ft(108.2 m、108 m) |
尻尾の長さ | 167.74 m |
体重 | 9万 t |
映画『GODZILLA ゴジラ』(2014年)に登場。
多量の天然の放射能が地上に満ちている中、巨大生物が
体内に原子炉のような器官を持ち、莫大な熱エネルギーを生成することが可能である。敵との戦いで危機に陥ると、体内の放射能エネルギーを生体電気で発火させ、青白い放射熱線として相手に吐きかける。放射熱線の威力は絶大であるが、体力を激しく消耗するので多用はできない。作中では敵怪獣ムートーの体格の大きいメスに2回使用し、倒したあとは使用の影響でその場に倒れ込む。なお、放射熱線を使用する際には、コイル鳴きのような音と共に背びれが尻尾から順に青く発光していく。なお、オスのムートーに対しては、長い尾の強烈な一撃を浴びせて高層ビルに叩きつけ、尾だけではなくそのまま垂直倒壊するビルをも利用し、圧死させている。
基本的には日本版ゴジラの特徴や容姿を踏襲しているが、体格はそれより筋肉質で大柄であり、鳴き声も日本のものをイメージしながらも若干異なる。表皮は分厚く頑丈で、ミサイルや戦車や軍艦の砲撃はもちろん核攻撃にも耐える。首にはえらがあり、水中で呼吸できる。ムートーに強い敵意を向ける一方で人間には興味を示さず、攻撃されても吠えたりや身じろぎしたりはするものの、反撃はしない。しかし、その巨体は移動するだけで高波の発生や建物の倒壊などの天災的な被害をもたらす。冒頭の資料により、メイン号なる米軍艦を爆破沈没させていることが暗示されている。ムートーを追う理由については、天敵に対する攻撃本能なのか、理解しきれない部分が少なくない。作中、主人公のブロディと視線を合わせて意思を疎通したような素振りも見せるが、行動原理についても不明な点が多く、人智を超えた神に近い生物であるかのように描かれている。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
身長 | 119.8 m |
尾長 | 177.4 m |
体重 | 9万9,634 t |
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)に登場。
前作から5年が経過した本作品では体格もさらに大型化し、放射熱線の使用頻度も増している。巨大生物調査機関モナークのアドバイザーを務める芹沢猪四郎博士によって多く研究され、四大文明以前に栄えていた古代文明によって崇められた神話世界の神や王という扱いをされ、そのころには宿敵であるギドラとの戦いが行われていたことも判明する。
性格は
南極のモナーク施設で目覚めたギドラの前に出現して交戦するものの逃亡され、追跡して大西洋プエルトリコ沖に到達し、ラドンを下したギドラと再戦する。水中戦でギドラを圧倒し、首の1本を噛みちぎる深手を与えるが、アメリカ軍からオキシジェン・デストロイヤーを撃ち込まれ、活動機能が低下して戦闘不能に追い込まれる。
その後、かつて自身を崇拝していた人類が建設した古代文明の神殿にして海底洞窟内の、大量の放射能やウランが発生している住拠で核エネルギーを吸収しながら回復を図っていた。地球支配を謀るギドラへの対抗手段として用いようと考えたマーク・ラッセルは、ゴジラを復活させるために核兵器の使用を提案し、芹沢たちと共に潜水艦で住処へ向かうが、トラブルによってミサイル発射システムが発射不可能な状態に陥ったため、芹沢が単身で核弾頭を携えて住処へ赴き、自らの命と引き換えに起爆させる。その結果、核エネルギーを吸収してさらに強靱な姿となって復活したゴジラはボストンへ向かい、そこで三度ギドラに挑む。序盤こそモスラの加勢も得て戦いは優勢となるものの、先の核エネルギーの吸収量が過剰だったためにあと数分で核爆発を起こす状態に陥っており、予想外のギドラの強力な攻撃に加え、モスラがラドンに妨害されたこともあって劣勢となり、満身創痍の状態に陥る。しかし、ギドラの攻撃でモスラの身体が爆散した際に降り注いだ粒子を吸収し、それによって体内の核エネルギーの制御に成功すると、周囲の建築物を溶解させるほどの高熱を発しながら、モスラの体模様を模した体内放射でギドラのほぼ全身を焼き尽くし、最後に残った首の1本をも放射熱線で消滅させる。
そして、ラドンや他のタイタンたちに崇められる怪獣王として君臨してからは、タイタンたちを監視して抑止する目的で世界各所に出没している。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
身長 | 119.8 m |
尾長 | 177.4 m |
体重 | 9万9634 t |
映画『ゴジラvsコング』(2021年)に登場。
前作でギドラとの死闘を制し、地球上のタイタンたちの頂点に立って生態系のバランスを保つことにより、人類から再び救世主と崇められるようになった怪獣王。体格に変化はないが、必殺技である放射熱線の威力は大幅に向上しており、劇中では原子力空母を一撃で轟沈させる、香港の高層ビル群の大半を倒壊させる、さらには地上から地殻を貫通して地下空洞に到達させるといった強さを発揮している。また、肉弾戦についてもコングを圧倒するほどの強さを発揮している。
前作から5年が経過した今回、これまで歯牙にもかけていなかった人類への襲撃をおこなうようになり、巨大テクノロジー企業「エイペックス・サイバネティクス」の本社を全壊させる。また、コングが髑髏島から海上を移送されていた最中には、その艦隊を襲撃してコングを溺死寸前にまで追い込むほか、モナークの援護攻撃に遭って逃れられたコングが地下空洞に到着した後には、地上から放射熱線で攻撃する。地上へ戻ってきたコングとの再戦では、コングの先祖たちがゴジラの背鰭から造ったコングの専用武器である斧が放射熱線で活性化したためもあって追い込まれるが、逆襲してコングを左肩の脱臼を経て心肺停止寸前にまで追い込む。その後、エイペックスの開発した対ゴジラ用ロボット兵器であるメカゴジラに襲撃されて劣勢となった際には、人間たちによる電気ショックで蘇生したコングの斧を放射熱線で活性化させるなど、共闘を展開する。コングによるメカゴジラの撃破を見届けた後には改めて睨み合うものの、コングが斧を収めたこともあってさらなる戦いには突入せず、海へ帰っていった。
ここでは映画シリーズ以外の映像作品に登場するゴジラについて記述する。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
身長 | 50 m |
体重 | 2万 t |
出身地 | 不明 |
特撮テレビドラマ『流星人間ゾーン』(1973年)に登場。
2代目ゴジラと同一個体。作品中で「正義の怪獣」と呼ばれるゾーンファミリーの助っ人。その多くは軍団で恐獣が現れた際にゾーンジュニアのゾボットに招聘されてゾーンファイターとともに戦っている。
本作品では高い知能を持ち、戦闘時でもビルを破壊しないように移動している。
本作品ではキングコングのように胸を叩く。第21話では、岩山の秘密基地から登場している。
ゴジラ GODZILLA | |
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別名 | 怪獣王 |
身長 | 50 m(推定) |
体重 | 2万 t(推定) |
出身地 |
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出現地 | 東京駅→銀座 |
3D映画『怪獣プラネットゴジラ』(1994年)に登場。
ラドン、モスラとともに緑の惑星「怪獣プラネット」に生息していた。惑星探査艇であるアース号やプラネット号に付着していた地球の汚染物質によって凶暴化して、地球の東京駅にラドンとともにワープして出現し、Gフォースの攻撃を退け、ラドンと戦ったあとに、銀座でモスラと戦う。アース号から散布された、ゴジラが食べていた惑星の緑の木の実を浴びて大人しくなり、青い光球に包まれて宇宙へ帰る。
特撮テレビドラマ『ゴジラアイランド』(1997年 - 1998年)に登場。
ゴジラアイランドの怪獣として登場する。島の怪獣たちのリーダーのような役目を持っている。普段は「ゴジラのどうくつ」に棲息しており、島に敵の怪獣が現れると一目散に出撃し、島の平和を守っている。基本的には温厚な性格だが、ジュニアが敵に襲われた際には、単身敵の懐に入り込むといった勝気な面もある。
他の怪獣に比べて圧倒的な戦闘力を持っており、X星人もゴジラだけは恐れる。武器は口から吐く6万度の放射熱線。ガイガンとの戦いでは「曲がる熱線」を使用する。
「スペースゴジラの悪霊編」ではかつて撃退したスペースゴジラに取り憑かれ、島の怪獣たちのオーラを吸い取り、赤い熱線を吐き大暴れする。また、「さよならトレマ編」ではデストロイアとメガロにだまされ、マタンゴ島の洞窟に閉じ込められる。
造形物はバンダイのソフビ人形。
テレビアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021年)に登場。
円城塔執筆の小説版では怪獣側の視点が描かれることで、本作品におけるゴジラの目的や“ミサキオク”の地下の骨の秘密などの詳細をうかがい知ることができる。
デザインは山森英司。
造形は初代ゴジラのデザインを元にしつつ、初期の昭和ゴジラのイメージを統合し、なおかつ新しい初めて見る姿が志向されている。山森は、「絶対に人類と意思疎通が不可能な畏怖すべき生物としての威厳を持たせる」ことをこだわりとして挙げている。
『シン・ゴジラ』では神のような神秘的な存在としていたが、本作品のゴジラは怪獣ではなく、生物のような方向に寄せていったといい、上に手の平を向けていた『シン・ゴジラ』に対して本作品では生物であることから下に向けている。進化するという設定は、『シン・ゴジラ』の設定が取り入れられており、各形態には山森の提案で過去の東宝怪獣の意匠が入れられている。
イベント『ゴジラ・フェス』での上映作品に登場。
『ゴジラVSヘドラ』(2021年)に登場。
工業地帯を蹂躙していくヘドラのもとへ現れ、肉弾戦の果てに放射熱線を吐こうとするが、怪力で押し倒されたところに硫酸ミストを浴びせられ、左眼を潰される。それでも反撃に出て前蹴りでヘドラを送電塔群へ蹴り倒し、感電したヘドラの身動きが鈍っている隙に起き上がると、放射熱線で撃破して夕焼けの中を歩き去っていく。
『フェス・ゴジラ3 ガイガン来襲』(2022年)に登場。
ヘドラを撃破したその夜、負傷から全快した姿で工業地帯を後にして(海へ帰ろうと)街を歩行していたところ、飛来したガイガンと交戦する。当初は放射熱線をハンマーハンドで防がれて光線砲で手傷を負わされたうえ、光線砲をパンチで故障させたものの回転カッターで腹部に重傷を負わされて昏倒するが、ハンマーハンドでとどめを刺されそうになった際に両手で受け止めて身動きを封じ、そのまま起き上がって至近距離からの放射熱線で撃破する。
『フェス・ゴジラ4 オペレーション ジェットジャガー』(2023年)に登場。
ガイガンを撃破した後、倒すべき相手がいなくなったためにしばらくの日々は日本各地を蹂躙しており、とある夜も市街地を蹂躙していたところ、そこに出撃してきた対ゴジラ用人型戦闘マシーンのジェットジャガーと交戦する。当初は放射熱線の連射を回避されるなど苦戦するものの、一度背後を取った以降は回避を許さず蹴り倒すなど次第に追い詰めていき、ついにはとどめの放射熱線を浴びせようとしたところでキングギドラの乱入に遭い、引力光線で昏倒させられてしまう。キングギドラによる破壊活動に際し、一時休戦して共闘すべきと判断したジェットジャガーに助け起こされ、共にキングギドラに立ち向かう。
エイプリルフール企画『ゴジラVSタイガース』(2022年)に登場。
西宮市付近に現れ、放射熱線を吐くなどして町を蹂躙しながら阪神甲子園球場へ進撃する。到着したところで虎龍隊「タイガース」が極秘開発していた対ゴジラ最終兵器「虎龍」(メカトラッキー)による迎撃に遭い、放射熱線を金属バット2本で撃ち返されるなどの反撃に遭う。
ゴジラが持つ最大の必殺技。共通して発動前に背びれが光るものの、作品媒体によって設定や描写が異なる。
『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』ではモノクロゆえに白熱光で描写されていたが、『キングコング対ゴジラ』以降はカラー化に伴い、青白い霧状の熱線として描かれるようになる。昭和シリーズでは対象を熱して炎上させるものであったが、平成VSシリーズ以降は爆発させる効果として描かれている。呼称については、『ゴジラ』のポスターに「放射能」と表記されたあと、「放射能火炎」とさまざまな資料に表記されたことから、昭和シリーズ当時の世代には「放射能火炎」の呼称が定着した。一方、平成VSシリーズ以降の世代には前述のビーム状描写からも、「放射熱線」の呼称が定着している。
類似した技または同系統の技として、ミニラのリング状熱線、リトルゴジラ(ゴジラジュニア)の泡状熱線、ハンナ・バーベラ版ゴジラの放射熱線、『ゴジラ ザ・シリーズ』版ゴジラのパワーブレスがある。
先述の「放射熱線」を除けば、基本的に「噛みつく」や「パンチ」、「体当たり」などの肉弾戦を多用する。そのほか、「投げ技」などの格闘技も時折披露している。
全怪獣の中でも屈指の怪力を持ち、自分よりも倍以上に重い相手を投げ飛ばしたこともある。それ以外にも、オリジナル技として「ゴジラプレス」(敵の尾をつかんで空中に振り上げたのち、地面に思いっきり叩きつける)と呼称されるものがあり、さらに背びれを刃物のように使うなど、技巧派な一面もある。
平成VSシリーズ以降、劇中内にたびたび登場するゴジラの細胞組織。G細胞とも呼ばれる。
放射熱線と同じく作品媒体によって設定や扱いが異なるが、概ねゴジラの生命力の強さを理由づけするとともに、ゴジラと同質の怪獣が誕生する一因となっている。共通する設定として自己再生能力遺伝子を有しており、それによって極めて高速で細胞を再生・活性化させる性質を持っている。これによってどんな負傷からでもごく短時間で回復するため、ゴジラの高い生命力・耐久力の源ともいうべき存在である。しかし、同時にG細胞は極めて浸食性が高い細胞であり、それを制御できる存在はゴジラのみである。もしゴジラ以外の生命体がG細胞を摂取した場合、たちまちG細胞に全身を乗っ取られ、変異を経て怪獣化してしまう。
初出の『ゴジラvsビオランテ』ではゴジラの不死の性質と放射性物質を食べる性質が遺伝子資源として有望視されており、中東のサラジア共和国がG細胞の遺伝子を移植して砂漠でも栽培可能な植物を製造しようと目論んでいたほか、日本は原子力事故が発生した際の処理に使用するANEB(抗核エネルギーバクテリア)を製造しようと研究している。また、アメリカ合衆国は核兵器を無力化する生物兵器としてANEBを恐れているほか、同国の遺伝子工学企業大手4社の共同機構「バイオメジャー」は遺伝子工学分野での市場独占を狙いサラジアの計画を阻止しようとしている。『vsビオランテ』の劇中ではそれら3か国が独占を狙って暗躍する場面も描かれるが、以後の作品で同様の事件は(確認できる限りでは)起きていない。
G細胞にまつわる作品は以下のとおり。
ゴジラの鳴き声は、助監督や録音助手が松脂をつけた革手袋でコントラバスの緩めた弦をこすった音色をソニーのKPに録音し、10種くらい選んだものを手動で再生速度を速めから遅めに調整しながらゆっくり逆回転再生した音であり、その中から6 - 7種の声を最終的に使っている。これは、1954年の『ゴジラ』の製作時に音楽を担当した作曲家の伊福部昭が足音とともに発案して音響効果の三縄一郎が編集加工したものであり、サウンドトラックCDに収録されている。また、後年の東宝映画や円谷プロの怪獣の声もこの手法を使用していた。
平成VSシリーズでも初代の鳴き声を加工したものを用いている。この鳴き声だけは、1998年の『GODZILLA』も同じである。『ゴジラvsモスラ』で高音に加工したものを多用したところ、ファンからは不評で次作では元に戻している。
『ゴジラ2000 ミレニアム』では、初代と同じ手法を用いてゴジラの声が新録された。
『ゴジラ-1.0』では、ZOZOマリンスタジアムにて約10人の録音部隊がそれぞれ録音機とマイクを持ち、初代の声を電光掲示板の裏の一番大きなスピーカーから流して収録したものを用いている。
2004年11月29日、ハリウッドで殿堂入りを果たす。ゴジラのプレートは、それまでハリウッド大通りに埋め込まれていたが、除幕式が行われ、取り外された。殿堂入りしたキャラクターにはミッキーマウス、ドナルドダックがおり3例目。怪獣としてはもちろん、日本のキャラクターとしても初めてである。
ここでは伊福部昭の曲について説明する。
映画第1作のタイトルクレジットの音楽より「ゴジラのテーマ」として知られるこの曲は、『管絃楽の為の音詩「寒帯林」』、『ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲』のモチーフがベースとなっている。また、伊福部が当時より敬愛していたモーリス・ラヴェル作曲の『ピアノ協奏曲ト長調 第3楽章』にはこの曲に非常に似たモチーフが現れることも知られている。このモチーフ、すなわち第1作のスコアナンバーM1「ゴジラ追撃せよ」は、その曲のタイトルからも分かるようにもともと「ゴジラに対抗する人類のテーマ」として書かれた曲である。本来、生物としてのゴジラのテーマ曲として書かれたのは、コントラファゴットなどの低い音の響きが特徴的なMA「ゴジラの猛威(ゴジラの恐怖)」という、ゴジラ品川上陸の際の音楽である。
なお、伊福部が音楽を担当した映画にはM1と同じモチーフが幾度か使われており、ゴジラの1作目の数年前に製作された映画では『社長と女店員』(1948年)、『蜘蛛の街』(1950年)に、ゴジラの1作目以降では『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(1962年)にも流用されている。
「ゴジラの猛威」のモチーフは、その後の作品でもゴジラの恐怖を象徴する曲として、編曲を重ねながら使われ続けた。『メカゴジラの逆襲』では第1作M1、いわゆる「『ゴジラ』のテーマ」がゴジラの出現のモチーフとして初めて使用された。その後も伊福部が担当した『vsキングギドラ』からは第1作のM1がゴジラのテーマ曲として使われ、「ゴジラの猛威」は使われなかったが、『vsメカゴジラ』では「ゴジラの猛威」が再び現れることとなった。なお、伊福部の音楽監督としての最終作『vsデストロイア』では「ゴジラの猛威」という曲名は与えられなかったものの、冒頭のシーンで新たに編曲されたものが使用された。
『vsキングギドラ』でのゴジラが海中から出現するシーンでは、導入部にハープの音が加えられ、恐怖感だけでなく期待感を持たせるアレンジとなっている。エンドロールでも中間にハープの音が入っている。同作品のゴジラザウルスのテーマは、ゴジラのテーマとは似て非なる楽曲となっている。
ゴジラの英語表記である「Godzilla」の綴りは、第1作が1956年に『Godzilla, King of the Monsters!』のタイトルで全米公開された際に設定された。このような綴りゆえ、「ゴジラ」ではなく「ガッドジラ」または「ガズィーラ」といった発音になっている。
1998年の『GODZILLA』と2014年の『GODZILLA ゴジラ』でもタイトルにこの表記が使われているが、2014年版に出演した渡辺謙は、作中で一貫して「Gojira(ゴジラ)」と発音している。これは、渡辺が撮影時にスタッフから英語圏での発音を依頼されるも日本人としてのこだわりから頑なに拒否したためであり、結果として海外のファンからも称賛を受けた。その後、2016年の『シン・ゴジラ』では長谷川博己演じる主人公が英語圏での発音について「言いにくいな」と評するシーンがある。
2018年10月18日、アメリカのNASAは、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡の運用10周年を記念してガンマ線の発生源となっている天体をつないだ22個のガンマ線星座を発表し、その中に「ゴジラ座」が含まれている。
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