まんことは、日本語における女性器の俗語である。接頭語「お」を付けて「おまんこ」と表現されることも多い。辞書によっては「満紅、満戸、万古、真所」などの当て字の紹介が見られる。英語では「cunt」「pussy」がこの語に相当する。
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以下、断りが無い限り、女性器それ自体でなく、日本語における「まんこ」について解説する。
テレビやラジオにおいては、放送禁止用語の一種である。1999年、沖縄県の漫湖(まんこ)がラムサール条約の登録湿地に認定された際、NHKが字幕では「漫湖」と出しながら、ナレーションでは「認定されたのは“この湖(みずうみ)”で・・・」と読んで、「まんこ」という音声が電波に乗るのを巧妙に回避した、という証言がある。ゲームにおけるプレイヤーの命名の際も入力禁止に設定されていることが多い。これに対して男性器の俗称である「おちんちん」は、放送禁止用語に指定されていることが少ない。「おちんちん」や「ちんこ」は器官そのものを指す用語であるのに対し、「まんこ」は性行為を意味することもあるため、特に女性軽視の用語であるとして使用が強く制限されている。
明治になってから使われ始めた言葉で、ルーツはそれほど古くない。江戸時代にはぼぼと呼ばれていた。
1921年に発行された『言泉』では、「まんこは陰門に同じ」とする(語義を知りたければ陰門を見よ、ということ)と記されていた。また、戦前の1932年より刊行がなされた近代的国語辞典の『大言海』には、「まんこ(名)【陰門】[眞處ノ音便]女児ノ陰部」と記されていた。
ある時期より「まんこ」の知名度が上昇し、2018年に発行された『広辞苑』第七版では見出し語として採録されるばかりでなく、「女性器の俗語」と語義も説明している。『性的なことば』では、まんことの単語が全国区で認知されるようになったのは1988年頃ではないか、と述べている。
以上を根拠に、少なくとも関西圏では「めこ」はともかく「まんこ」は周知されていなかったとする。
語源は諸説ある。
「まんこ」またはその類義語に「-する」とつなげ、換喩によって「性交する」の意味で使う。
男性の運気を上昇させる女性のことを「あげまん」、逆に下降させる女性のことを「さげまん」と呼ぶが、この場合の「まん」は「めぐり合わせ、幸せ、運」を意味する言葉であり、まんこの略語ではない。しかしながら、1990年に公開された映画「あげまん」によってこの言葉が広まると、わざと性的な意味に解釈させるようにもなった。
誰とでも気軽に性交を行なう女性に対して、「ヤリマン」ということがある。これは、性交するという意味の「やる」と「マンコ」を合わせた単語である。『性的なことば』によれば、従来用いられてきた「サセ子」と言う単語が、あくまで性行為をさせると言う受動的なものであるのに対し「ヤリマン」は、女性側が能動的・主体的に性行為に臨むと言うニュアンスを与える。なお、同様の男性のことを「ヤリチン」という場合もある。
『日本俗語大辞典』は、「まんこ」の類語として「赤貝、赤門、奥の院、おまんこ、おまんたん、おめこ、毛饅(頭)、こうまん、肉壺、如来、秘花、ボックス、饅頭、蜜壺、やち」を挙げる。『日本民俗・粋・洒落辞典』は「陥穽(おとしあな)、茶、富士山、へき」も女性器を表すとする。
『すごくエッチなゲームシナリオが書ける本』では、女性器の隠喩として、おまんまん、秘部、蜜穴、肉穴、割れ目、クレバス、女陰、大事なところ、前の穴、肉壁が、また漫画『性教育120%』第1巻では、日本の各地による女性器の呼称の違いとして、アンペ、ほと、ヘノコ、マンジュー、オマン、サネ、オチョンチョン、オチンチン、チャンベ、カンノンサマ、オソソ、ボボ、イキミ、ヘヘ、ベベ、ベタ、ベッチョ、ペペ、カイ、ツビ、メメ、メコ、メンチョ、チャコ、ヤチ、ママ、オメサン、オメコ、モッチョー、ホー、ポー、ホーミ、ピィ、ヒーが紹介されている。
NHK「シチズンラボ」のアンケート調査(期間:2021年12月-2022年8月、回答者:10歳から69歳までの男女1,201人)では、「あなたが子どものときに育った家庭では、女性の性器を何と呼んでいましたか?」という質問に対し、6割近く(58%)が「家庭で使う女性器の名前はなかった」と回答しており、男性器に全国共通の「おちんちん」といった呼び名があるのに対し、女性器には共通の呼び名がないことが示されている。小貫によると、呼び名がない家庭では、「あそこ」「下」「前」「おしり」などの表現を使って説明しているという。また同調査では、家庭で女性器に特定の「名前があった」と答えた3割余り(32%)の内、一番多かった回答は「おまた」ないし「また」で、全体の1割余り(12%)を占めており、この呼び方は近年増えているようである。
なお、小貫によると、女性器に共通の呼び名がないのは日本特有のことではなく、性に関して比較的に開かれた文化をもつオランダやスウェーデンを含め、多くの国で同様である。
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