『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(ゴジラ モスラ メカゴジラ とうきょうエス オー エス)は、2003年12月13日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第27作である。カラー、シネマスコープ、ドルビーデジタル。併映は『とっとこハム太郎 ハムハムハグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!』。興行収入は13億円で、観客動員数は110万人。略称は『GMMG』『東京SOS』。
ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS | |
---|---|
Godzilla : Tokyo S.O.S. | |
監督 | |
脚本 |
|
製作 | 山中和成 |
製作総指揮 | 富山省吾 |
出演者 | |
音楽 | 大島ミチル |
撮影 | |
編集 | 普嶋信一 |
製作会社 | 東宝映画 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2003年12月13日 |
上映時間 | 91分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 13億円 |
前作 | ゴジラ×メカゴジラ |
次作 | ゴジラ FINAL WARS |
ゴジラミレニアムシリーズの第5作である本作品は、前年に公開された『ゴジラ×メカゴジラ』の好評を受けて製作された、同作の1年後を舞台とした直接の続編であり、ミレニアムシリーズで世界観が唯一繋がっている。モスラが卵、幼虫、成虫でそれぞれ登場するが、これは配給側からの要請によるもので、メカゴジラとモスラは本作品で初共演となった。
前作で主人公を演じた釈由美子も少し登場するが、本作品では脇役に移行しており、主人公は金子昇が演じる3式機龍の整備士となっている。
前作以上に歴代の東宝映画が史実であるという設定を活かし、前作でも作中で語られたように1961年の映画『モスラ』と直接つながった世界であり、本作品では共通人物として小泉博が同じ中條信一役で出演している。
劇中では前作と異なり「メカゴジラ」という呼称は一切登場せず、一貫して「機龍」と呼称されている。また、メインタイトルでは「機龍」と最初に表示されてから「メカゴジラ」に変わっている。
主な舞台は、港区および千代田区。前作でミニチュアが制作された実在の建物は横浜・八景島シーパラダイスのアクアミュージアムのみであったが、本作品では東京タワーや国会議事堂が制作され、大規模な破壊が描写されているのも特徴である。そのほか、2003年4月に開業した六本木ヒルズも登場している。東京タワーの眼下にある増上寺も、映画『キングコングの逆襲』(1967年)に登場していたものの、1974年に再建された本堂が東宝特撮映画に登場するのは本作品が初である。
ゴジラと3式機龍の死闘から1年が経過した2004年。米軍からの連絡で高速飛翔体が日本に侵入する。その後、雪が降る軽井沢にある別荘で、43年前にインファント島を調査し、モスラの日本襲撃の際に尽力した中條信一の元に小美人が現れる。彼女たちは死んだ生物に人間が手を加えてはならないとして、ゴジラの骨を海に返すよう訴え、その代わりにモスラが命を懸けてゴジラを食い止めることを約束する。しかし、その場に居合わせた信一の甥・義人にとって、それは受け入れられない要請だった。義人は機龍の整備士であり、機龍に対しては並々ならぬ愛着を抱いていたのである。
信一が旧友でもある五十嵐隼人首相に直接、この件を進言したことから、事態は問題化することになる。政府にとって機龍はゴジラ対策の要であり、モスラは日本を襲撃した外敵に他ならないからだった。政府は機龍の代わりにはならないとしてこの請願を棄却し、先の対ゴジラ戦で大きく損傷した機龍の整備を急がせる。
ゴジラの脅威は再び日本に迫りつつあった。九十九里浜ではほかの巨大生物に襲われたと推測される巨大生物カメーバの死体が漂着し、グアム島沖ではアメリカの原子力潜水艦がゴジラに撃沈される。核物質を吸収したゴジラは護衛艦隊の攻撃を潜り抜けると陸自の兵器群を破壊する。政府と特生自衛隊は1年前に対ゴジラ戦で破壊し尽され、再開発途中の品川特別区でゴジラを迎撃することを決定する。
やがてゴジラが東京に上陸し、首都高速を破壊すると港区方面へと進んでいく。その進路上には機龍のいる八王子駐屯地がある。一方、信一の孫・瞬はモスラを呼び寄せるため、学校の校庭に机を持ち出してインファントの紋章を描く。ゴジラが品川埠頭の防衛ラインを突破したその時、どこからともなくモスラが飛来、ゴジラと激突する。
五十嵐は機龍の出動を待機させるも、モスラはゴジラの攻撃に傷ついていき、死を覚悟して鱗粉攻撃に出る。その姿を見た五十嵐はモスラ援護のため機龍の出撃を決定し、同時にこれを機龍最後の出撃とすることを決意する。ゴジラとの死闘の中、モスラが焼死し、機龍もゴジラとの近接戦闘で回路を破壊され制御不能に陥るが、体内に侵入した義人の修理により再起動を果たす。しかし作業中に受けたダメージでハッチが損傷し、義人は機龍のメンテナンスブースに閉じ込められてしまう。
そんな中、親モスラの遺していた卵から孵った双子の幼虫が東京に上陸し、口から吐く大量の繭糸でゴジラの動きを封じた。小美人が人間たちにゴジラの骨を海に沈める(=機龍を海に沈める)よう訴えたその時、機龍が内部の初代ゴジラの意思によって再び暴走を始め、ゴジラを抱えて日本海溝に向かって飛行し始めた。義人は機龍と運命を共にしようとするが、しらさぎで追尾してきた梓が損傷したハッチを吹き飛ばすと、機龍は義人を逃がすかのように脱出路を開く。機龍は義人にメンテナンスブースのモニターを介して別れのメッセージを表し、それを見た義人は機龍へ別れを告げ、義人は機龍から脱出する。そして、機龍はゴジラを抱えたまま海へ身を投げ、2頭のゴジラは静かに太平洋の深海へ沈み眠りに就いた。そして、小美人とモスラもインファント島へと帰っていく。
だが、エンドロール終了後、ゴジラを含む巨大生物の遺伝子カプセルが保存されている特自特殊生物研究本部の内部が映し出される。そこではゴジラを含む巨大生物のDNA貯蔵庫の扉が閉まり、その前を研究員と思わしき白衣姿の男性が通り過ぎる中、培養細胞による再生実験開始の時刻を知らせるアナウンスが流れていた。
参照:
前作『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)公開前に企画が立ち上げられた段階では、続編とする予定ではなく、モスラを登場させることのみが決定していた。前作に引き続き監督として依頼を受けた手塚昌明は、機龍を登場させてよいか確認し、続編として制作されることとなった。さらに、手塚は自身が愛好する『モスラ』(1961年)の世界観も組み込んだ。ミレニアムシリーズでは毎回世界観を変えてきたが、製作の富山省吾はそれを明確に掲げていたのは最初の3作品までとしつつ、前作と本作品は同じ映画の前後編という意識であったことを述べている。
手塚は、前2作品で女性を主人公とした作品を作っていたため、本作品では男性を主人公にする予定であったが、当初のプロットでは家城茜が主役に近いストーリーであった。だが、富山が同じ役者を主役とする作品を2年続けて作りたくなかったことと、釈が『スカイハイ 劇場版』(2003年)の主演を務めていてスケジュールが合わなかったことから、釈の出演日数を2 - 3日にし、主人公が『モスラ』に登場した中條信一の甥っ子である機龍の整備士となった。釈の登場を秘匿していたため、ポスターに釈の名前は載っていない。
プロデューサーの山中和成は、本作品を機龍2部作の完結編として位置づけたほか、機龍を再登場させることやモスラを登場させることを条件とした。当初のプロットは、三村渉、山田政史、横谷昌宏が参加したコンペ形式で行われたが、手塚の納得できるものがなかったため、茜の登場部分を減らしたプロットを手塚自身が執筆し、これが採用された。その後、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)を手掛けた横谷とともにシナリオを作っていった。富山によれば、手塚は新しい脚本家と組むことを望んでいたといい、脚本家の立場から世界観を緻密に構成できる人物として、SFのセンスとストーリーを深掘りすることができる横谷が適任であったという。また、手塚が脚本を手掛けたことにより、前作から引き続く世界観をしっかり描き出し、手塚自身の怪獣映画に対する愛情を活かしてくれたと評している。
富山は、本作品を新世紀のゴジラシリーズのゴールと位置づけており、生誕50周年を前に完結させることで次作以降に新たなゴジラを始めるという意図であった。造形プロデューサーの若狭新一によれば、スタッフ全体が本作品でゴジラシリーズが終了するという雰囲気であったといい、次作品の制作は本作品の制作終了直後に伝えられたという。書籍『ゴジラ大辞典』では、ゴジラとともに初代ゴジラの記憶を取り戻した機龍が海に沈むラストは、ゴジラ映画として一つの完結を描いたものと評している。
リアルなSF考証を行っていた前作に対し、モスラはファンタジックな存在のため、横谷は両者を違和感なく合わせることが課題であったと語っている。手塚は、前作でも扱っていた「命」をテーマとしてストーリーを構成し、本作品でその結論を描いている。
ストーリー上では、モスラの双子の幼虫など、『モスラ対ゴジラ』(1964年)のオマージュも散見される。手塚は、旧来のファンに懐かしさを与えるとともに、子供たちには自身が幼少期に『モスラ対ゴジラ』で味わった驚きと興奮を感じてもらいたいという思いであったと語っている。
人間ドラマでは、前作のように主人公1人の内面を描くのではなく、群像劇的な描写となっており、手塚は人は1人で戦っているのではなく周りの人の暖かさがあることを本作品のテーマであるとしている。前作でも整備士の描写が予定されていたが、カットされていた。
主演の金子昇は、スーパー戦隊シリーズ『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)で主演を務め人気を博していた俳優であり、東宝と東映で特撮作品の主演を務めることとなった。金子は、2001年公開の『劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』でも主演しているが、これは上映時間が短いため、長編映画としては本作品が初である。金子の起用は手塚からの提案によるもので、人気がありこれから伸びる魅力がある俳優として、富山は即決したという。バイクでの走行シーンなども金子自身が演じた。
ヒロインの吉岡美穂は、意外性のある人物として起用された。テレビドラマ『逮捕しちゃうぞ』(2002年)で吉岡と共演経験のあった金子は、吉岡が想像よりも素敵な役作りを行っていたことに感心したといい、自身も気合が入ったと語っている。
秋葉恭介役の虎牙光揮は、富山からの推薦で起用された。手塚は、当初怖い印象を抱いていたが、笑顔の写真が良かったため虎牙に決めたと述べている。
中條信一役の小泉博は、『モスラ』と同役での出演であり、手塚からの希望により起用された。手塚は、小泉が東宝のDVD特典映像に出演していたことを知り、断られる覚悟で依頼したという。小泉は、40年経って同じ役を演じることは自身のキャリアでも珍しいものであったといい、「不思議な出演」であったと述べている。また、小美人とのシーンでは、旧作と同様のやりにくさを感じたが、昔からのスタッフがちゃんと伝統を教えていることが感じられて嬉しかったことを語っている。
中條瞬役は、オーディションで別の子役に決まりかかっていたが、その後やってきた大森樹は今までオーディションに受かったことがないと語り、手塚は起用を決めたという。手塚は、大森を見て男の子らしさを感じた旨も語っている。
小美人を演じる大塚ちひろと長澤まさみは、どちらも第5回東宝シンデレラオーディション出身である。
神崎役の益岡徹は、田中美里と共演した舞台『かもめ』を手塚が観ていたことから起用された。二階堂役の升毅も手塚は好きな俳優に挙げており、どこかに出てもらえたらという考えであったことを語っている。秋葉功役の清水紘治は、以前にスーパー戦隊シリーズで悪役をやっていたことから、手塚は悪役っぽさもありながら息子思いという役柄にふさわしいと考えた旨を述べている。
望月役の佐藤亮太は佐藤蛾次郎、田所役の本郷慎一郎は本郷功次郎の実子であり、息子つながりであることからキャスティングされた。
チビスケ役の服部沙智子は、金子と同じ事務所であったことから起用された。
前作から続投の中尾彬・上田耕一・中原丈雄らは、スタッフから「スリーアミーゴス」とも称されていた。
脚本・監督の手塚昌明のカメオ出演は、これまでの作品と同様にエンドクレジット後のシーンである。また、プロデューサーの富山省吾も避難民としてカメオ出演している。
前作に引き続いて自衛隊による全面協力のもと、金子も役作りのため、航空自衛隊に体験入隊している。金子は、C-1輸送機の整備作業に参加し、そこで整備士として必要な敬礼の作法や工具の使用法を学んだうえ、「どうして整備士になったのか?」という経験談を通じ、外面だけでなく内面も整備士らしく演じられたという。
本編撮影は、2003年6月19日から8月14日にかけて行われた。
前作同様、戦車の走行シーンは陸上自衛隊富士学校の敷地内で撮影された。看板や自動販売機などを持ち込んで街中を再現しており、ガードレールも東京都シンボルマークが入った本物を用いている。電話ボックスは、前作で本物を用いたところ重量で苦労したため、本作品ではベニヤで折りたたみ式のものを制作している。山林が映り込んでしまう場所では、自衛隊車両を並べて背景を隠している。
義人と梓が会話するグラウンドも富士学校のグラウンドを用いており、訓練中の隊員として本物の自衛隊員が撮影に参加している。日比谷公園のシーンには同校のパレード場を用いており、門柱や塀などは本物に似せた造形物を制作しており、テントの一部は自衛隊のものを使用している。
前作での本編セットは残っていなかったため、司令室などはすべて作り直している。機龍のメンテナンスブースやしらさぎのコクピットのほか、護衛艦、F-15、P3C、米原潜などの内部もセットを制作している。
中條の別荘は、仙川町にあるモデルハウスを用いて撮影された。居間の暖炉も同所に備えつけられていたものだが、実際に使用することはできなかったため、火は照明で、煙は合成でそれぞれ表現している。金子は、この撮影の時に披露とプレッシャーから帯状疱疹を発症していた。
中條の自宅は、下北沢のハウススタジオ綿谷邸を用いている。映画やテレビドラマなどで多用されている場所のため、外に植木を設置したり、室内では象徴的な窓を本棚で隠すなどしている。
ハワイの米軍基地は、生田の川崎市上下水道局長沢浄水場を用いており、手塚の提案によりヤシの木を立ててハワイの雰囲気を出している。カロリン諸島のジャングルは、よこはま動物園ズーラシアの熱帯雨林エリアで撮影された。
前作で破壊され復興中という設定の品川の描写には、当時開発工事中であった横浜高速鉄道みなとみらい線新高島駅周辺の空撮が用いられた。
崩壊する東京タワーの瓦礫が落ちてくるシーンは、東宝スタジオ第7ステージ前で撮影され、クレーンを用いて瓦礫を降らせている。中條と瞬に瓦礫が降りかかるシーンは、大プール脇で撮影された。義人が瓦礫の中を車で走行するシーンは、兜町で道路使用許可を取り撮影している。東京タワーの展望台で監視を行う自衛隊員のシーンは、実際に東京タワー展望台内で撮影された。
虎ノ門駅の入口部分は、前作に引き続き撮影に使用しているソニー厚木テクノロジーセンターの守衛所を、駅構内は北総鉄道矢切駅をそれぞれ用いて撮影している。
義人がバイクで走行する通路は、港北パーキングエリア下のトンネルを用いており、通風口や階段はセットを用いている。
モスラマークを描く小学校は、横浜市立子安小学校で撮影しており、俯瞰のシーンは隣接する高層マンションの最上階から撮影している。
首相官邸の執務室は、横浜港流通センターの会議室で撮影している。防衛庁前は、実際の通用門で撮影しており、秋葉の父と義人が会う部屋には東京ビッグサイトの小会議室が用いられた。
機龍から脱出した義人の空中でのシーンはブルーバックで撮影され、金子は床から伸びた金属棒に設置された脇から膝ぐらいまでのギプスのみで体を支えていた。シーンとしては数秒であったが、撮影は1日がかりで行われており、金子は体を支え続けるのに苦労した旨を語っている。脱出した義人と秋葉が乗るボートのシーンは、伊豆の海上で撮影された。
P-3Cの飛行カットは『ゴジラvsデストロイア』(1995年)、海上自衛隊艦隊の発砲カットは『ゴジラvsビオランテ』(1989年)、品川開発区上空を飛行するヘリのパイロットは『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999年)の東海村シーンの反転、ゴジラを品川埠頭で攻撃する90式戦車の乗員は『×メカゴジラ』の館山戦のカットが流用されている。
特殊技術は、浅田英一が初担当。富山は、浅田について中野昭慶と同じく造形の迫力を出すことができると評しており、近年のゴジラ映画に欲しかった要素であったと述べている。浅田は、自身が初めて助監督を務めた『ゴジラ対メガロ』(1973年)では特撮監督はいたものの技術スタッフは共通していたため一貫した流れでスムーズに撮影が進んでおり、ミレニアムシリーズでも前々作ぐらいからなるべくディレクターは1人であるという意識になっていたといい、本作品では手塚の考えを画にすることに重きを置いていたと語っている。特撮班助監督の加藤晃も、本作品では手塚と綿密に打ち合わせていたことがいい結果になったと述べている。
本作品では、モスラの外見では合成が難しいため、極力合成を用いずに造形物の撮影で表現している。また、デイシーンは空気感などを表現することが難しいため、ナイトシーンが中心となった。撮影を担当した江口憲一は、合成を行う撮影では全部決められた動きをしなければならないが、撮り切りでは予測できない面白さがあったと述懐している。
機龍ドックのセットや、しらさぎやメーサー殺獣光線車のミニチュアなど、特撮美術では前作から流用しているものも多い。特撮美術の三池敏夫は、企画時点で前作からの流用を意図していたといい、予算的には助かったと述べている。主人公が整備士となったことから、ドックのセットでは整備士の人形が多数配置されている。
特撮撮影は、2003年6月9日から8月18日にかけて行われた。
特撮パートでは、東京タワーと国会議事堂の破壊シーンが大きな見せ場として用意された。東京タワーは『モスラ』を、国会議事堂は1954年の映画『ゴジラ』を、それぞれ踏襲した選定である。ゴジラが東京タワーを破壊したのは本作品が初であり、富山によると「日本を代表する建物の国会議事堂と東京タワーがゴジラのゴールとして壊すのにふさわしい」として選ばれた。脚本の横谷も、怪獣映画といえば東京を舞台にビルを壊すことだという想いがあり、前作では目立ったランドマークもなかったことから、実在の建物を壊したかったと述べている。ミニチュアは通常の1/25スケールではなく、東京タワーが1/70、国会議事堂が1/40で作られた。江口は、極端にスケールを変えることで引きの画で効果的に見せたと述べている。国会議事堂のセットは『ゴジラvsモスラ』のものを参考にしているほか、特殊技術の浅田は国会議事堂にロケハンに行ったという。操演の鳴海聡は、無理な発注をしたミニチュアであるため今後同じものは作れないだろうといい、歴史に残るシーンになったと感じたことを述懐している。東京タワーのモデルは鉄骨製だが、爆破時は展望台部分をバルサ製のものに差し替えている。タワーの爆破シーンは、撮影場所やアングルを変えて4度に渡り撮影された。倒れる際のアオリカットは、屋外にてクレーンで吊って撮影された。倒れ方には事前に複数の方法が検討され、最終的に爆破時にピアノ線を切って自由落下させる方法となった。視覚効果プロデュースの小川利弘によれば、東京タワーをCGで制作できないかという打診もあったが、骨組みを壊すだけならできたが、完成作品のような迫力は出せなかっただろうと述べている。
以前のようなスタジオいっぱいにミニチュアセットを作り込む手法は取りづらくなっていることから、本作品ではミニチュアを段階的にスケールダウンさせることで縦方向に広がりを出し、ワンカットごとに奥行きをつける表現を行っている。これにより当時の特撮では少なくなっていた引きの画を見せることができたが、浅田はパンすることはできず、ワンカットごとにセッティングを変えなけなければならない大変さもあったと述懐している。一方で、レールによる横移動での撮影も多用することで、シネスコ画面を効果的に用いている。
モスラとF-15とのドッグファイトシーンでは、スピード感を出すため雲の表現を従来用いられていた綿やドライアイスではなく、CGで描写している。『超全集』では、F-15、雲、ミサイルのすべてをフルCGで描写したと紹介しているが、江口は実際にはミニチュアも用いており、ごちゃまぜに繋がっているのでわからなくなっていると証言している。『3式機龍コンプリーション』では、F-15Jのミニチュアを用いた撮影風景のスチールが掲載されている。
ゴジラが原潜を襲撃するシーンでは、セットでスモークを焚いて撮影している。リアルな深海をイメージしてスモークの濃さを1メートル先も見えない状態としたが、横からのライトの光が棒状に映ってしまい光源がバレてしまうため、上から光を当てている。
沿岸に展開したメーサー車部隊のシーンは、『ゴジラ』(1984年版)での埠頭に展開した自衛隊のシーンをオマージュしている。浅田は、同作品に助監督として参加していた。
品川のセットは、前作での戦闘から復興中という設定のため、建設中のビルやクレーンのミニチュアが多く作られた。
雪のシーンでは、ファンタジックさを表現するため紫の照明を当てている。
音楽は、前作に引き続き大島ミチルが担当。『ゴジラ×メガギラス』では効果音に音楽が負けてしまったとの反省から、前作ではロシアのオーケストラによる収録を行ったが、収録後にバランス調整が行いにくいという問題点があった。本作品では、前作よりも繊細な音楽が求められたため、日本国内で音楽録音が行われた。演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団が務めた。編成は前作よりも弦が少ないが、大島は日本のスタジオではこれが限界の人数であったと述べている。
前作では、冒頭のシーンでの音楽が雨音でマスキングされてよく聴こえなかったため、大島は手塚に冒頭で雨を降らせないように頼んだという。
本作品では、キャラクターが増えたため、モスラ(成虫、幼虫)と小美人は同じメロディとしている。この主題には、古関裕而による『モスラ』でのメロディを取り込んでいる。「モスラの歌」のアレンジでは、民族的なイメージからケーナを使用している。
ゴジラとメカゴジラのテーマは、どちらも前作から流用しているが、ゴジラは単独での出番が少なかったため、楽曲の使用時間も短いものとなった。大島は、本作品ではメカゴジラが主役という認識であったといい、クライマックスでもテーマを用いるなど思い入れが強かったという。エンドロールは、ゴジラの1つの区切りとしてレクイエムとしている。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.