『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』(ドラえもん のびたのパラレルさいゆうき)は、1988年(昭和63年)3月12日に公開されたドラえもん映画作品。原作漫画は存在せず、特集記事が『月刊コロコロコミック』1987年12月号から1988年4月号まで掲載された。映画シリーズ第9作。
ドラえもん のび太のパラレル西遊記 | |
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Doraemon: The Record of Nobita's Parallel Visit to the West | |
監督 | 芝山努 |
脚本 | もとひら了 |
原作 | 藤子不二雄Ⓕ |
出演者 | レギュラー 大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 ゲスト 水谷優子 池田勝 柴田秀勝 栗葉子 石森達幸 加藤精三 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | 君がいるから/堀江美都子、こおろぎ'73 |
編集 | 井上和夫、渡瀬祐子 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 | シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1988年3月12日 |
上映時間 | 93分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 13.6億円 |
前作 | ドラえもん のび太と竜の騎士 |
次作 | ドラえもん のび太の日本誕生 |
映画ドラえもん のび太の パラレル西遊記 (アニメ版単行本) | |
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漫画 | |
作者 | 藤子不二雄Ⓕ(原作) |
出版社 | 小学館 |
レーベル | てんとう虫コミックス・アニメ版 |
発売日 | 1988年5月28日 |
巻数 | 2(上下巻) |
その他 | 藤本がカバー画2点を描き下ろし |
テンプレート - ノート |
原作は藤子不二雄Ⓕ(藤本弘。のちの藤子・F・不二雄)で、藤子不二雄独立後の『ドラえもん』映画第1作目である。
同時上映は『エスパー魔美 星空のダンシングドール』『ウルトラB ブラックホールからの独裁者B・B!!』。
本作は『西遊記』がモチーフであり、唐の時代の中国〜中央アジアを舞台としている。ストーリーは妖怪に支配されるパラレルワールドと化した世界を修正するため、のび太たちが『西遊記』の登場人物に扮して、ドラえもんと共に妖怪たちと戦うというものである。のび太が孫悟空、ジャイアンが猪八戒、スネ夫が沙悟浄、しずかが三蔵法師の役に就いた。
今作は「ドラえもんのひみつ道具を発端として発生した事件が世界規模で現実世界に悪影響を及ぼしてしまう」という展開で、「日常の中の非日常」「どんな歴史を揺るがす大事件であってもなるべく仲間内で解決し、一般社会には影響を残さない」というシリーズのテーマを覆した初の作品となっており、過失とはいえドラえもん自身が敵役を生み出してしまった点で、他の作品と一線を画している。また、映画作品としてドラミが登場したのは『のび太の魔界大冒険』以来であり、本作でも同作と同様にドラえもんたちの危機を救う。
藤本は1986年に胃癌手術をし、復帰後に再度体調を崩し1987年3月から療養していたため、本作の原作漫画は描かれなかった(藤本による漫画が一切描かれなかったのは、存命時のドラえもん長編映画作品の中では唯一)。このため、次作『のび太の日本誕生』以降は、大長編漫画と映画で何作目かを表す番号が1つずつずれることになった。その代わりとして、映画のフィルムコミック上下巻が初めて発売され、上下巻ともカバー画を藤本が描き下ろした。この際、フィルムコミックは、アニメ映画の各場面を使用している。これを皮切りに次作以降の作品でもフィルムコミックが発売され、本作以前の作品も後に発売されるようになった。またドラえもん映画の中で、作者名義が藤子不二雄Ⓕとなっている唯一の作品である。
脚本はもとひら了が担当したが、「西遊記の世界」というアイディアは藤本本人から出されたものである。当時プロデューサーを務めた別紙壮一によると藤本の口述とラフ案を元に脚本・キャラクター設計が作られ、美術設定も藤本の体調が許す範囲で打ち合わせを行ったという。また、「パラレル西遊記」というタイトルも藤本の提案だと語っている。
大阪府の万博記念公園で開催された公開イベントでは、同1988年製作の熱気球「夢気球・ドラバルくん」が公開され、藤本や大山のぶ代も搭乗した。後に地球温暖化などが大きな問題として取り上げられたことに先駆け、クリーンエネルギーによる乗り物として作られたものであり、同様の試みはソラえもん号、『南海大冒険』での帆船「ドラりん丸」、『翼の勇者たち』での熱気球「バルえもん」、『ふしぎ風使い』での大凧「ドラ・で・カイト」へと続いた。
東宝邦画系春のドラえもん映画シリーズで、安孫子素雄(藤子不二雄Ⓐ)が単独で執筆した漫画作品のアニメと併映される最後の作品となった。また、ドラえもん映画としてはモノラル音源並びに昭和時代に製作された最後の作品ともなった。
ある時、夢の中でのび太は主役の孫悟空になりきっていたが、丸い球体に落書きをしたつもりで、釈迦になっていたドラえもんの手のひらに捕まってしまい、『勉強第一』というレッテルを貼られた巨石に閉じ込められる羽目になった。
夢から醒めたのび太は、自分が学校の教室にいて、皆で演劇の練習をしている最中だということに気づく。小学校の新入生歓迎会に際し、のび太の提案によって「西遊記」の劇をやることになったのだ。孫悟空役をやりたかったのび太であったが、孫悟空役は出木杉に取られてしまい、のび太は提案者であるにもかかわらず「村人その1」という端役で、セリフも「助けてくんろー!」のみだった。
孫悟空が実在すると信じるのび太は、「本物に似ている人が孫悟空になるべきだ」と主張し、タイムマシンで西暦636年の中央アジア・タクラマカン砂漠へ向かう。そこで自分そっくりの孫悟空を目撃。そのことを他の者に告げるも、そもそも架空のキャラクターであるはずの孫悟空の目撃談など誰も信じない。もし孫悟空がいなかったら「ドラえもんの道具を使い放題」との約束でしずかたちを連れ、再びタクラマカン砂漠へやって来たのび太だったが既に孫悟空はいない。仕方なく、ドラえもんのひみつ道具・ヒーローマシンでのび太自ら孫悟空に成りすましたものの調子に乗ってボロを出し、結局ばれてしまう。のび太は嘘つき扱いされ、「ドラえもんの道具を使い放題」という約束に従わざるを得なくなる。
現代に帰還したジャイアンたちは、のび太も入れて、ヒーローマシンで西遊記を始める。コンピューターの判断でのび太は孫悟空、しずかは三蔵法師、ジャイアンは猪八戒、スネ夫は沙悟浄となるが、なぜか敵の妖怪がおらず何にもしていないのにゲームクリアになってしまう。その後もママが怪しげな料理を振舞ったり、パパの影に角が見えたり、奇妙なことが続く。翌日、のび太たちは学校で劇の練習をするが、悟空ではなく牛魔王が勝利して、三蔵法師が食べられる結末になっていた。さらに、出木杉の頭には角が生えており、先生に至っては牛の怪物に変身。逃げ出したのび太たちは帰宅するが、母親たちも変貌していた。ドラえもんとのび太は超高層ビル群の中にそびえ立つ見慣れない城を発見し、歴史が変わってしまったことに気づく。ドラえもんが唐の時代で使ったヒーローマシンを起動状態のまま放置していたためゲーム内の妖怪たちが現実世界に侵入して三蔵法師を食い殺し、それが歴史的事実になったため、「西遊記」の劇の結末も変わってしまっていたのだ。それだけでは飽きたらず、徐々に進化した妖怪たちは妖術を武器に人間を滅ぼして地球全体の歴史を支配してしまったのだった。元の世界に戻すには、唐の時代へ戻って妖怪たちを1匹残らず倒すしかない。ヒーローマシンで西遊記の登場人物に扮したのび太たちとドラえもんは失態から書き換わってしまった歴史を修正して三蔵法師を守るために再び唐の時代へと向かった。
ヒーローマシン内のキャラクターは、#ヒーローマシン内のキャラクターを参照。
以下のほか、妖怪によって支配された歴史では、各キャラクターの家族や先生、出木杉やその生徒たちも妖怪になっていた。
当時のブームを反映し、ビデオゲームを意識したつくりとなっている。
モチーフの『西遊記』でも使用される道具。スピンオフ作品なども含めると、どれも同様の効果を持つひみつ道具が存在するが、これが同じ道具であるかは不明。なお、これ以外に、『ドラえもん』では孫悟空に由来する道具として、クローンリキッドごくうも存在する。
孫悟空の道具 | 同様のひみつ道具 |
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如意棒 | 如意スティック |
筋斗雲 | きんとフード |
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