『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(えいがドラえもん のびたのなんきょくカチコチだいぼうけん)は、2017年の日本のSFコメディアニメ映画。藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』を原作とした、映画「ドラえもん」シリーズの第37作。高橋敦史が監督・脚本を務めた。
映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 | |
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監督 | 高橋敦史 |
脚本 | 高橋敦史 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 | 水田わさび 大原めぐみ かかずゆみ 木村昴 関智一 釘宮理恵 浪川大輔 浅田舞 織田信成 サバンナ 平原綾香 |
音楽 | 沢田完 |
主題歌 | 平井堅「僕の心をつくってよ」 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 | |
配給 | 東宝 |
公開 | 2017年3月4日 |
上映時間 | 101分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 44.3億円 |
前作 | 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生 |
次作 | 映画ドラえもん のび太の宝島 |
10万年前の南極にて、謎の少女カーラと老人ヒャッコイ博士は都市遺跡を探索中に「ブリザーガ」と呼ばれる巨像の骨格を発見する。カーラはその頭部から「リング」を抜き取るが、遺跡を護るタコ型の巨像オクトゴンの襲撃を受けて取り落としてしまう。リングは腕輪のような形に変形しながら水路へ沈んでいった。
10万年後、現代の東京ではドラえもんとのび太が夏の暑さに耐えかねていた。ある日、ドラミから22世紀のロボット占いでドラえもんは「氷難で最悪な一週間になるから氷に近づくな」と忠告される。しかし、占いを信じないドラえもんはその話から南太平洋に浮かぶ巨大な氷山へ遊びに行くことを思いつく。ひみつ道具「氷細工ごて」で氷の遊園地を作ったドラえもん達は、氷山の下層部分で氷漬けになったリングを見つける。調べてみたところ、リングが埋まったのは、人が住んでいるはずもない10万年前の南極だった。
リングの落とし主に会うために氷山の動きを辿り、氷が作られた場所へ南極探検に向かったドラえもんたち。激しいブリザードを避けてビバークした場所で「ここほれワイヤー」が氷の下に大きな反応を見つける。さっそく氷底探検車で氷を掘り進むと、広大な地底空間と氷に閉ざされた巨大な都市遺跡が姿を現した。遺跡でひと際大きな塔に入ると氷漬けになっていた謎の生物モフスケを発見、更に何故かドラえもんの姿で氷漬けになっていた石像ヤミテムの襲撃を退けた一同は、その場所の氷が10万年前に出来た事を突き止めると、リングを届けるため「タイムベルト」で10万年前へとタイムスリップする。
氷に閉ざされる以前の遺跡へたどり着いたドラえもん達は、オクトゴンに襲われていたカーラとモフスケに似た姿の生物ユカタンを救出する。カーラにリングを返そうとするのび太だが、石コウモリの襲撃を受けリングと荷物を奪われてしまう。更に氷点下100℃に達する夜が迫っている事を知らされた一同はヒャッコイ博士のシェルターへ避難することになる。カーラたちは自分たちのことをヒョーガヒョーガ星から調査にやってきた異星人と名乗り、遺跡を作ったのも彼らの祖先だと説明する。ヒョーガヒョーガ星人は失われた古代技術を研究することで科学を発展させようとしていたが、惑星開拓用に製造された最強の石像ブリザーガの封印を解いた為にヒョーガヒョーガ星を氷漬けにされてしまった。博士たちは故郷を救うため、ブリザーガを封じる力を持つリングを手に入れようとしていたのだ。
翌朝、石コウモリに取り付けた「トレーサーバッジ」の反応を追って遺跡調査へ向かった一同。遺跡内ではドラえもんの姿に擬態したヤミテムが暗躍し、鈴と四次元ポケットを奪われた本物のドラえもんが偽物と誤解されてしまう。しかし、本物のドラえもんの身を挺した行動とのび太の優しさでヤミテムの陰謀が発覚。怒り狂ったヤミテムを「急速冷灯」で氷漬けにし、奪還した四次元ポケットの中に入っていたリングをカーラに手渡すことに成功する。だが、同じころブリザーガの骨格がリングを外された影響で復活、地球を氷漬けにしようと暴走を始める。タイムベルトを使って10万年後に避難しようとする一同だが、ドラえもんとユカタンが強風に吹き飛ばされて10万年前に取り残されてしまう。
現代に辿り着いたもののタイムベルトの電池が切れ、氷に閉ざされた地底空間で途方に暮れる一同。しかし、ドラえもんはユカタンを氷漬けにして冬眠させることで未来へ予備の電池を送っていた。現代で発見されたモフスケの正体は永い眠りを経て変色したユカタンだったのだ。10万年前へ舞い戻ったのび太達はドラえもんを救出し、ひみつ道具を駆使してブリザーガの動きを止め、リングを頭部に突き刺して再封印することに成功する。リングは塵になって消滅したが、荷物を取り返すため石コウモリの巣を捜索していたジャイアンとスネ夫が無数のリングの残骸を発見する。ブリザーガ封印の希望を得たカーラと博士はドラえもんたちを地上へ送り届け、宇宙へと帰っていった。
冒険を終えた一週間後、ドラえもんとのび太は天体望遠鏡で10万光年彼方にあるヒョーガヒョーガ星の座標を観測する。そこには10万年前の光景、博士の研究が成功し惑星を覆う氷が溶けつつあるヒョーガヒョーガ星の姿が映っていた。
藤子プロでは『映画ドラえもん』のアイデアとして以前より南極が上がっており、生前の藤子Fも長編の舞台案として言及していたという。切り口としてはてんとう虫コミックス『ドラえもん』18巻収録作品「大氷山の小さな家」を用いている。
監督には2013年よりテレビシリーズの絵コンテ・演出・脚本・原画を担当していた高橋敦史を起用。高橋は本作で脚本のみならず絵コンテ・演出まで務めた。
脚本会議は藤子プロの人間・シンエイ動画のプロデューサーを交え週1回約半年かけて行い、ストーリーを練る際にはスノーボールアース仮説を取り入れた。藤子Fが貸本屋時代に描いた漫画を参考にしたほか、過去の『ドラえもん』を組み合わせてもいるという。また、元南極越冬隊隊長の三浦英樹に取材を行った。
高橋は本作を子供向けに振り切るため、泣きのドラマや親にとってのいいシーンは「湿っぽくやった方が映画らしくなる」としつつも「『ドラえもん』は元々そんなにしっとりした世界ではない」『ドラえもん』ぽくない」とし、外したとも語っている。
高橋がスタジオジブリ出身であることに言及したインタビューでは、宮崎駿から影響を受けたものとして「どうやって遅れがちになるスケジュールを具体的に維持していくか、という方法論」、「システムを作るところから作品に入っていく」部分を挙げており、本作ではその一環としてストーリーボード(イメージボード)を制作した。描画はイラストレーターのヒョーゴノスケと丹地陽子が共同で手がけ、一部がアレンジされ宣伝ポスターとなっている。イメージボードは脚本に書かれた場面からビジュアルを作っていったが、脚本と同時進行だったために内容の変更で使用されなかった物もあったという。のちに制作で使用されたイメージボードは全て『アニメスタイル 012 2017.12』に収録された。
作画面ではキャラクターデザインが『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』(2013年)より担当してきた丸山宏一に替わり、清水洋が抜擢された。これは監督が替わってもキャラクターデザインが同じ体制では前年の作品と平行して進められないためであり、メインキャラクターも本作用に清水がデザインし直した。高橋はキャラクターの頭身を下げ、作画が大変になりすぎないようベースをシンプルにするよう提案したという。
美術にはスタジオワイエスが初登板し、設定を池田祐二、監督を高木佐和子が務めた。また本作より「撮影特殊効果」という役職が新たに設けられ、アニメフィルムの大矢創太が就任した。
公開後に一部で本作はハワード・フィリップス・ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』をはじめとしたクトゥルフ神話が原案ではないかと指摘されており、映画ライターの滝口アキラはその説を否定しつつ『狂気の山脈にて』をはじめとした様々なラヴクラフト作品の要素がオマージュされていると指摘し、それらを低年齢層向けの映画として成立させた高橋の手腕を高く評価している。
全国371スクリーンで公開され、2017年3月4、5日の初日2日間で興収6億9181万3500円、動員59万0291人となり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第1位を獲得。4月16日までの44日間で動員365万6559人、興収41億4795万7300円を記録(東宝調べ)し、アニメ第2作2期シリーズとしては最高記録であった『新・のび太の日本誕生』(2016年)の41億2000万円を上回った。最終興行収入は44億3000万円となった
動員数 (万人) | 興行収入 (億円) | 備考 | ||||
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週末 | 累計 | 週末 | 累計 | |||
1週目の週末 (3月4日・5日) | 1位 | 59.0 | 59.0 | 6.92 | 6.9 | |
2週目の週末 (3月11日・12日) | 2位 | 43.3 | 113.9 | 5.07 | 13.4 | |
3週目の週末 (3月18日・19日) | 3位 | 3.81 | 18.8 | 20日まで累計興収21.3億円、動員183.7万人 | ||
4週目の週末 (3月25日・26日) | 25.8 | 228.9 | 3.04 | 26.5 | 週末動員は3位で、週末興収は4位 | |
5週目の週末 (4月1日・2日) | 25.6 | 311.7 | 2.79 | 35.4 | 週末動員は3位で、週末興収は4位 | |
6週目の週末 (4月8日・9日) | 4位 | 356.4 | 1.66 | 40.4 | 週末動員は4位で、週末興収は5位 | |
7週目の週末 (4月15日・16日) | 6位 | 365.7 | 41.5 | |||
8週目の週末 (4月22日・23日) | 9位 | 0.40 | 42.0 | 週末動員は10位で、週末興収は9位 | ||
9週目の週末 (4月29日・30日) | - | 0.33 | 42.4 | |||
10週目の週末 (5月6日・7日) | - | 382.2 | 0.35 | 43.4 |
むぎわらしんたろう作画。『月刊コロコロコミック』2016年12月号から2017年4月号まで連載された。大長編ではなく、4コマギャグ漫画形式。「協力」としてサバンナの高橋茂雄の名前が記載されている。未単行本化作品。『コロコロコミック』に掲載された関連漫画が単行本化されないのは、ドラえもんのオリジナル長編映画作品では初(リメイク映画では過去にも存在する)。
上記のタイトルで小学館ジュニア文庫より新書判が2021年11月26日発売。執筆は白井かなこ。
ニンテンドー3DSゲーム『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が2017年3月2日にフリュー株式会社より発売された。 おおまかなあらすじは映画版と同じだが、設定や展開が映画版と異なる部分が多い。
毎年恒例のデザインコンテスト。今回は、パオパオのデザインの募集を行った。
2016年12月30日の羽田発福岡行きJL331便にて就航し、2017年5月下旬まで国内線で運航された。なお、これとは別に国際線にて2016年9月より2017年3月まで「JAL ドラえもんJET」が運航された。機材はボーイング767-300ERのJA622Jで、機体後方に映画の衣装を着たドラえもんが描かれているほか、「JAL ドラえもんJET」同様に後方の乗降扉がどこでもドアに見立てられてピンク色に塗装されている。
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