『魔女の宅急便』(まじょのたっきゅうびん)とは、角野栄子による児童書(児童文学)である。
シリーズ1作目『魔女の宅急便』は、主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として一人立ちする姿を描く。オリジナルは1982年から1983年にかけて『母の友』に連載された。その後シリーズ化されており、福音館書店から刊行されている。表紙画、挿画は第1巻が林明子、第2巻が広野多可子、第3 - 6巻は佐竹美保がそれぞれ手がけた。英語、イタリア語、中国語、スウェーデン語版も出版されている。2009年10月、最終巻『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』が刊行され、24年に亘って描かれた同シリーズは完結した。その後『魔女の宅急便特別編』として3冊が刊行されている。
宮崎駿監督によって1989年にアニメ映画化版が制作された。また2014年、清水崇監督により実写映画化された(主演・小芝風花、詳細節参照)。
1989年度制作のスタジオジブリのアニメ映画。本作の第1巻の前半部分を原作として制作された
童話ならではのファンタジー性が濃い作風である原作から一転し、主人公キキの持つ魔女由来の飛行能力をあくまで「人が持つ才能・特技の一種」として位置づけ、少女が特技を活かして独り立ちをしていくという現実的な視点に立った作風に描いており、映画オリジナルの要素が多い。
スタジオジブリとして4作目にあたる映画であり、観客動員数は『天空の城ラピュタ』の77万人、『となりのトトロ』『火垂るの墓』の80万人から、本作は264万人となり、スタジオジブリの知名度と人気を一挙に押し上げた作品である。
角野はアニメ映画化に際し、当初は唯一の注文として「キキが旅立つ時にキキの故郷の木に付けられていた鈴を鳴らすこと」のみを求めていた。その後制作が進むに連れ内容が大きく変わることに否定的になったが、宮崎と角野が数回対談し解決された。角野は「タイトルと名前」そして「世界を変えないで下さい」と伝えていたものの、「(映画は)お話の筋がちょっと違うのでびっくりしました。私はもう少し可愛いラブストーリーになるかと思ってたんです」と述べ、「映画を見てから原作を読む方が凄く多くて、それはそれで良かったと思います」と『週刊朝日』2019年7月19日号において振り返っている。
1993年に横内謙介脚本、蜷川幸雄演出、宇崎竜童音楽によるミュージカル作品が制作された。
2017年に岸本功喜の脚本・演出による新たなミュージカル版を制作。
2016年に劇場アニメ『魔女の宅急便』の舞台化作品が、イギリスのサザーク・プレイハウスで12月8日から2017年1月8日まで上演。監督ケイティ・ヒューイット、脚色ジェシカ・シアン。
魔女の宅急便 | |
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Kiki's Delivery Service | |
監督 | 清水崇 |
脚本 | 奥寺佐渡子 清水崇 |
原作 | 角野栄子 |
製作 | 梅川治男 |
製作総指揮 | 森重晃 修健 |
ナレーター | 角野栄子 |
出演者 | 小芝風花 尾野真千子 広田亮平 筒井道隆 宮沢りえ |
音楽 | 岩代太郎 |
主題歌 | 倉木麻衣「Wake me up」 |
撮影 | 谷川創平 |
編集 | 高橋歩 |
製作会社 | 「魔女の宅急便」フィルムパートナーズ |
配給 | 東映 Edko Films Golden Village Pictures Sky Films Aurum Producciones Njutafilms Another World Entertainment Arthaus Liberation Films |
公開 | 2014年3月1日 2014年4月17日 2014年6月6日 2014年10月4日(SITGES) 2014年10月10日 2015年3月14日(BUFF) 2015年6月5日 2015年8月5日(SIYFF) 2015年8月14日 2018年6月15日 |
上映時間 | 108分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 5.3億円 |
2014年3月1日公開の実写版日本映画。アニメ版のリメイクではなく、原作の第1巻・第2巻を基とした実写化であり、全編を通して原作者の角野栄子がナレーションを担当、カメオ出演もしている。
正式な制作発表に先立ち、2013年4月11日、スタジオジブリのアニメ作品を元とした実写リメイク映画が企画されていると一部で報道されたが、スタジオジブリ側はこれを否定し、実写作品の製作には関わっていないことを表明している。その後、同年4月24日にアニメではなく大元の小説を原作とする実写映画版が『呪怨』などを手がけた清水崇の監督で制作されることと、主演が制作当時16歳の小芝風花であることが発表された。小芝にとっては初主演作品となる。
プロデューサーの森重晃は、清水起用の理由を、他の数名の監督候補と比較して、作品に対するモチベーションの高さと、ホラー映画でのVFX使用のセンスなどを評価したためとしている。制作にあたり、監督の清水は、世界的に評価されているアニメ版により、大衆のイメージが固まっている中で実写版に挑戦することは「無謀」であるとしながらも「だからこそ挑戦したい」といい、映画オリジナルの世界観を時間をかけて見出したと語っている。
小芝は500人以上が参加したオーディションによって選ばれている。キャスティングに対してはインターネットを中心に議論が起き、一部の者が小芝のブログに批判を書きこんだこともあった。監督の清水は「直前まで違う子がイチオシだったりしましたが、その後、ひっくり返りました。最終的には、彼女じゃないと、撮りたくないってところまでいったんです」と、いきさつを語る。
撮影は同年5月23日から東映東京撮影所で開始され、キキの実家などをスタジオ撮影しているほか、5月30日より香川県の小豆島にて、地中海の雰囲気を持つ場所にオープンセットを設置してのロケーション撮影が行われている。6月7日に行われたロケ現場のマスコミ公開には原作者の角野も訪れ、実写化については自らも望んでいたことであるといって、アニメやミュージカル化などを含めて「いろいろなキキがあっていいと思います」とコメントし、実写化ならではのドラマティックな解釈に期待を寄せた。
小芝の演じるキキのビジュアルは、清水のアイデアにより「野生児」っぽさをイメージして、切りっぱなしに見える髪型を採用している。角野はそんな小芝について「すごくかわいらしくてイメージ通りです。今まで生身のキキを見たいとずっと思っていました」「風花さんに会って、ひとみの中に強い意志と何か憂いがひそんでいるのを見たとき、この人からどんなキキが生まれてくるかと、心がときめきました」「スケートできたえたという体で、どんな飛び方を見せてくれるでしょう。たのしみです。『風』という字をすでに持っている風花さん、この『魔女の宅急便』という映画をほうきにして、大きな世界に旅立って下さい」とコメントした。
なお、本作制作の数年前には原作を基としたハリウッドによる実写映画化の企画があったが、実現しなかったことが明らかになっている。
日本公開では全国281スクリーンで封切られ、2014年3月1日・2日の初週2日間の成績は動員11万6,857人、興収1億2,766万300円で全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)3位を記録。ファミリー層をはじめとする幅広い観客を集め、大人6に対し子供4、男女比は4対6で、子供層では特に女児に訴求した結果となった。
日本以外では、2014年4月17日に香港、同年6月に台湾、同年10月にスペインで公開されるほか、シンガポール、インドネシア、ベトナム、ドイツでも公開が予定されている。
日清食品のカップ麺「カップヌードル」のテレビCMシリーズ『HUNGRY DAYS』第1弾として、2017年に本作品を翻案する形で作成された。
「もしキキがこの現代で17歳の女子高校生になって高校生活を送っていたら?」というコンセプトの元、横浜に住む高校生のキキとトンボの恋愛模様を描いており、キャラクターデザインを窪之内英策が担当、CMソングとしてBUMP OF CHICKENがオリジナル楽曲「記念撮影」を提供している。
横浜で黒猫のジジと一緒に住む17歳の女子高生、キキ。ある日、淡い恋心を抱く幼なじみのトンボが後輩の女子に告白されるのを見かけてしまう。心がざわつき、トンボと過ごした日々がフラッシュバックした刹那、キキは意を決する。
まず、書籍の題号は、登録商標としては扱っていないため対象外である。そして、特許庁では「魔女の宅急便」と「宅急便」を異なる言葉として扱っていて、「宅急便」はヤマト運輸(現:ヤマトホールディングス)が1979年4月27日に、「魔女の宅急便」はスタジオジブリが1992年10月30日にそれぞれ登録している。
また、タイトルが「ヤマト運輸の商標権に触れて問題になった」と一部で話題になった。原作者の角野栄子は「宅急便」を「普通名詞だと思っていた」といい、ヤマト運輸の登録商標だとは知らなかったためで、雑誌連載からの単行本化で第1巻の刊行時に、ヤマト運輸から「宅急便は登録商標だから使用禁止」とクレームが入ったものの「『魔女の』を冠した本なので問題はないということになり、一件落着しました」と後に角野は講演で明かしている。アニメ映画版にはヤマト運輸が映画に協賛し製作委員会に参加した(アニメ映像をそのまま同社の広告・CMに起用した)ほか、実写映画版においてもヤマトホールディングスが特別協力に名を連ねた。
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