日本のワイン(にっぽんのワイン)では、日本で生産されるワインについて述べる。
日本産ワインは、ヨーロッパ産ワインに比べて、含有する有機酸塩が少ないと言われてきた。これは日本のワインが主に原料とした甲州種のぶどう由来の有機酸が欧州種と比較して少ないためと考えられる。この特徴から、欧州系のぶどうから醸造されたワインに比べて、魚介類との相性が良いとされている。
また研究では、ワインの適温は、有機酸の種類と含有量、タンニン・炭酸ガスの量によって異なるとされているが、一般的には欧州系ぶどうのワインがガーヴと呼ばれる地下保管庫による自然冷却が適温であるのに対して、日本産ワインは冷蔵庫で強めに冷やした状態が飲みやすいとされる。
一方で、欧州系のぶどうと比較して、甲州種から造られたワインは、香りに乏しく、凡庸と言われてきたが、近年、醸造技術の進歩と、ぶどうの収穫時期の適正化、ブドウの糖度向上、産地ごとの特徴の把握などにより、世界的に評価される日本ワインが醸造されるようになってきている。
また、メルローやシャルドネなどの国際品種を中心に、ヨーロッパの国際コンクールで評価されるワインも長年作られてきた。ただし、長い間、日本国内で「国産ワイン」として売り出すための基準は、酒税法の他には、酒造業界の自主基準しかない状態だった。このため、輸入されたブドウや濃縮果汁を使用したものを使用して、日本国内で醸造されたワインも「国産ワイン」に含まれていた。
2015年(平成27年)10月30日、国税庁は、日本国内で生産されたブドウのみを使って、日本国内で製造された果実酒だけを「日本ワイン」とする表示告示を策定した。地名表記も厳格化され、表のラベルに産地として地名を使用する場合には「ブドウを85%以上収穫した地域で醸造したワイン」に限られることとなり、2018年の施行を前に商品名を変更した事例もある。
国税庁の平成26年度(2014年度)の調査では、平成25年のワインの製成数量は 95,098 キロリットルであり、前年と比較して7.7%増加した。このうち、大手5社(サッポロワイン、サントネージュワイン、サントリーワインインターナショナル、マンズワイン、メルシャンと資本関係のある販売会社:アサヒビール、サッポロビール)の市場シェアは78.7%だった。
日本生産ワインの原料は、72.0%が輸入原料(果汁、ワイン)、28.0%日本産原料で、内訳は25.9%が日本産の生ぶどう、1.7%がその他となっている。販売総量の構成は、19.4%が日本産ぶどうを全量使った日本ワイン、80.6%が日本ワイン以外の輸入原料を使用し、日本で醸造した「国産ワイン」だった。
輸入原料の使用割合は大手5社では、95.9%の輸入原料を使用しているが、製成数量が年間500キロリットル~5,000キロリットルの中堅企業でも、30.8%の輸入原料を使用している。一方、年間500キロリットル以下の小規模なワイナリーでは、5%以下とほぼ全量日本産ブドウを使用していた。
国産ブドウの種類別の使用量で一番多いのは甲州で、次にマスカット・ベーリーA、ナイアガラ、コンコード、デラウェア、メルロー、シャルドネ、キャンベル・アーリーの順になっている。
ワイン原料になる、ブドウ産地別の生産量では、山梨県(6,973トン)、長野県(5,656トン)、北海道(3,124トン)、山形県(2,688トン)、岩手県(706トン)、新潟県(399トン)の順になっており、この6道県で全体の88.3%を生産している。生産された生ブドウは北海道で90.7%、長野県で89.1%、山梨県でも85.9%が、同じ道県内で加工されているのに対して、山形県では56.8%しか県内で加工されておらず、残りの4割のブドウは、他地域に出荷されていた。
栽培されているブドウの品種は、地域によって傾向が異なり、伝統的に日本原産のブドウを栽培していた地域では、甲州種やマスカットベリーAが多く栽培されており、甘味果実酒の原料を主に生産していた地域では、ナイアガラやコンコード、デラウェアなどのアメリカ合衆国産品種やセイベル系品種が多く栽培されている。また、近年、ワイン用ブドウ品種を栽培始めた地域ではシャルドネ、メルロー、カベルネ系の欧州産ワイン用品種が多くなっている。
国税庁による、平成28年度の都道府県別の酒税課税統計では、ワインの生製量は多い順に、神奈川県(生産量は秘匿)、栃木県(24,556キロリットル)、山梨県(13,858キロリットル)、岡山県(4,669キロリットル)、長野県(4,467キロリットル)、北海道(2,819キロリットル)の順になっており、上位の県には、それぞれ大手のワイナリーが立地している。
ヤマブドウを使ったワインも各地で醸造されており、ワインに適した品種改良も行われている。
近年では地元産の果実を使用したフルーツワインを専門とするワイナリーも登場している。
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世界の主要ワイン生産国においては品質管理や表示基準や原産地生産などを定めたワイン法を有するのが一般的ではあるが、日本では長年にわたって甘味果実酒がワインという名で流通していた。その後の世界貿易自由化の流れで輸入果汁や輸入バルクワインを原料にしてきた経緯もあって、一律の厳密な法制度は整っておらず、酒税法上は原料産地や葡萄品種に関係なく日本国内で醸造・最終製品化を行う事で「国産(すなわち日本産)」を表示することが可能となってきた。
日本で生産されているワインのうち、約80%は世界から輸入した濃縮ぶどう果汁を日本国内の工場で加工して「国産ワイン」とのラベルで出荷されている(国税庁『果実酒製造業の概況』(平成24年度))。日本のメーカーが発売する低価格帯ワインは、輸入した濃縮果汁を日本で醸造したものである(ものによってはそれにバルク輸入した輸入ワインが混ぜられている事もある)。スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売されている「国産ワイン」の殆どは、このような工業製造によるワインであるが、世界基準では生ぶどうを原料とする醸造酒だけが「ワイン」となっており、日本で販売されている濃縮果汁の「国産ワイン」は、ワインとして認められていない。
このように、ワインについての統一的な法整備や規制が無いため、国際的に日本は「ワイン後進国」として見なされており、酒税法の中で上述のような工業製造が認められているため、輸入果汁の加工品にすぎない「日本産ワイン」が国内市場で広く流通している。一方で、従来、ブドウの生産地でもワイン製造は出荷できない、生食用ぶどうの処分方法という位置付けが長く、良質なぶどうを使用したワイン製造に結びついてこなかった。このため、消費者の間では国産ワインについて、「安かろう悪かろう」というイメージが根強く、日本のワイン産業の成長を長年阻害していた。
日本のワイン産業の発展、ぶどう農業の活性化、税収の増加などの観点から、2010年代に入り、日本で栽培されたぶどう100%を使ったワインを「日本ワイン」と表示する流れも広まった。2014年春、自民党主体で「ワイン法制に関する勉強会」が発足。国内法の制定に向けた準備を始めた。これに引き続き、酒税法や政令、省令の改定により、日本国政府による原産地表示にかかる法的ルール整備がされた。2018年から施行される日本ワインの呼称厳密化のルールでは、日本で生産された生ぶどう100%使用したワインのみが「日本ワイン」の名称を使用でき、原産地域の表示を行う場合には、その地域のぶどうを85%以上使用することが必要になる。
既に一部の地方公共団体で、独自の原産地呼称管理制度が始まっており、長野県の長野県原産地呼称管理制度や、山梨県甲州市のワイン原産地認証条例などがある。
原産地名称保護制度として、欧州連合のフランスでは「アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(AOC 原産地統制呼称)」、アメリカ合衆国では「アメリカ葡萄栽培地域(American Viticultural Areas 略称A.V.A.)」が、法律制度として定められている。
「テロワール」という表現で、ワインと原料となるぶどうの環境などの地域性が重視されたワインがある。こうした動きは、醸造用のぶどうの生産地域では、ブドウ生産からワイン製造までの過程を、生産地の環境と共に楽しむワインツーリズムの広がりなどが期待できるため、地域振興策として注目されている。その反面、これまでぶどう産地としてワインを地場産業にしていた北海道や北関東、関西などの地域の自治体やワイナリーでは、自産地のぶどうの他に、他産地のぶどうや輸入果汁、ワインを使用してきたために、一部銘柄のワインに地名を冠して売れなくなるため、戸惑いの声が上がっている。
また、原料表示の厳格化の結果、原料比率の多い順に記載しなければならなくなり、他産地のぶどうを原料の筆頭に書く必要が出たり、外国のワインを筆頭に書いたり事態になっている。その他、施行までに生ぶどうの生産を多くしようと、苗木の駆け込み需要が発生しており、各地の苗木業者で苗木不足が発生する事態になっている。
あるいは、従前からの尺貫法基準のボトル(720ml=4合)も、世界標準である750mlに対して輸出入上の齟齬をきたすなど、ワイン先進国と足並みを揃えるには克服すべき課題も多い。
日本列島では、縄文時代中期には酒造具である可能性が考えられている有孔鍔付土器が存在する。有孔鍔付土器は酒造具であるとする説と打楽器であるとする説があるが、前者であれば、ブドウ果汁を発酵させた飲料(液果酒)が造られ、飲用に供されていたとも言われる。すなわち、日本最古の酒は葡萄酒だった可能性もある。
1483年(文明15年)に『後法興院記』において、、関白近衛家の人がワインを飲んだと記述があり、おそらくこれが最古の記録である。貝原益軒も『大和本草』の中で、ワインを外国からの輸入酒として記載している。その一方で日本で「葡萄酒」を作ったという文献も見られるが、この葡萄酒はワインではなく、ブドウの果実を焼酎に漬込んだり、あるいはブドウ果汁を日本酒などとブレンドしたりした、果実酒・リキュールの類のものであった。
ワイン醸造については、江戸時代初期の寛永年間、豊前小倉藩主の細川忠利が家臣の上田太郎右衛門にワイン造りを命じた記述が発見されている。文献からは、1627年(寛永4年)から 1632年(寛永9年)にかけての6年間、毎年葡萄酒を仕込ませ、納品させていたことが判明している。また製造した葡萄酒は、葡萄をアルコールに漬けた果実酒(混成酒)やリキュールの類ではなく、ヤマブドウの一種であるガラミを、黒大豆の酵母を添加物としてアルコール発酵させた醸造酒、いわゆるワインであることが明らかになっている。しかし、当時ワインはキリスト教への入信を勧める際に用いられたこともあり、禁教令の強化にともない、忠利は小倉藩から肥後熊本藩への転封を機にワイン造りを終了させたとみられる。
江戸時代後期の文化14年(1817年)には日本で西洋の方法によって薬用葡萄酒が初めて作られた。『和蘭薬鏡』(1820年)に「葡萄酒は葡萄汁を取り醸し造るものなり(略)甲斐国市川大門村(山梨県市川三郷町)の医師・橋本伯寿(善也)と鰍沢(山梨県富士川町)の薬舗・白嶺屋勇蔵がオランダの造法に従って葡萄酒を醸造」との記述が見られる。
日本で本格的にワイン生産が行われるようになったのは、文明開化を受けて西洋文化を積極的に摂取するようになった明治時代以降である。 最初は「生き血」と勘違いされるなどの偏見もあった。
中部地方の内陸に位置する山梨県(旧甲斐国)では、江戸時代後期より勝沼村(現在の甲州市勝沼)の一部地域において、商品作物としての甲州葡萄の栽培が行われていた。明治初年には山梨県令・藤村紫朗の主導した殖産興業政策によって葡萄酒の醸造が試みられ、これに先行して甲府在住の山田宥教と詫間憲久、二人の共同出資によってワインの醸造を行ったのが、近代的なワイン醸造における元祖とされている。山田は大翁院という仏教寺院(真言宗)の法印(住職)で、ワインづくりは1870年(明治3年)頃とされるが、1874年の『甲府新聞』記事に「多年葡萄酒醸造に心を用る」と記されていることから、幕末から試みていたとの推測もある。当初は日本酒用の麹を使っていたが、米国カリフォルニア州でワイン醸造を学んだ大藤松五郎が参画して、欧米流の醸造法を導入した。1877年(明治10年)には、藤村が主導して旧甲府城内に葡萄酒醸造所が設けられ、山田らのワインづくりを引き継いだ。
ぶどう農家が集中していた勝沼村でも1877年(明治10年)に「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されるが、初期の会社にはワイン醸造のための技術が確立しておらず、当時最先端の醸造技術を習得するために同村出身の高野正誠と土屋助次郎(龍憲)がフランスに留学。帰国後、醸造量を150石として、海外製品より安かったことも歓迎され、その全てを売りつくした。高野と土屋はその功績を称えられ後年、2人の洋服姿の写真を図案化したマークが勝沼の街のシンボルとして各所に使われている。
また、日本のワイン史の黎明期において、新潟県の川上善兵衛や愛知県出身の神谷傳兵衛らの醸造家の努力や業績については特筆されるものがある(当該項目参照)。
当初はアメリカ系のブドウ種(主にデラウェアやアディロンダック)の栽培が中心であったが、その後は国策によって、味わいにおいてより優れたフランス系の品種に変更された。しかし、欧州系の樹種に寄生したフィロキセラ(Phylloxera:ブドウネアブラムシ・ブドウの項参照)による荒廃により壊滅に追い込まれ(1885年(明治18年))、日本でのワイン醸造の歴史は一旦は頓挫する。しかしながら当時、唯一アメリカ種に拠っていた山梨県はこの禍を免れ、今日の隆盛の礎となったとされる。
1888年には東京衛生試験所(東京府豊島郡神田和泉町にあり東京大学医学部附属病院が周辺にあった)の所長田原良純が肥後国(熊本県)のワインの成分を分析し、その結果が赤酒製造法とともに内務省から発表された。
昭和以前には、免許、税法などの整備はなく、ぶどうが穫れるところでは各家で各々の方法で醸造されており、その過程で黒ぶどうで作られたものは「赤酒」などと俗称されていた。1939年(昭和14年)3月に物品税が、1940年(昭和15年)3月29日に酒税法(果実酒に関する施行規則)が公布されるにつれ、無届出・無認可な自家醸造は「闇酒(密造酒)」になり廃れた。
以降、国産ワインの需要も少なく各地で細々と造られているだけであったが、第二次世界大戦中にワイン製造の際の副次品である酒石酸から生成されるロッシェル塩結晶が兵器(音波探知)の部品になるとして、国内でぶどう酒醸造が奨励され、大増産された経緯もある。ただ、これはあくまでも軍事兵站上の需要であり、飲用を主目的としたものではなかった。のち戦後の農業革新の過程で、戦前〜戦時の遺産(畑地や醸造技術など)を生かして、生産に適した地域ではある程度の規模を持ったワイン醸造が民生用として再開された。しかし、日本で生産されるワインには、輸入果汁やバルクワインの混入も多く、まだまだ発展途上と言われ、評価は低かった。
一方、日本人の嗜好としては、当初はワインの酸味や渋味が受け入れられず、長らく蜂蜜など糖分を加えて、これらを緩和させた甘口ワインが主流であった。当時の消費者が「ワイン」として認識していたものは、サントリーの「赤玉ポートワイン」や合同酒精の「ハチブドー酒」のような甘味果実酒である。加えて当初は薬用酒・滋養酒の側面が強かったが、大正中期から昭和初期に嗜好品へと変化していった。しかし、甘味果実酒を「ワイン」と認識する傾向は1970年代頃まで続き、本来のワインはむしろ「葡萄酒」と呼ばれ、趣味性も高く、一部の愛好家のみが嗜好するもので、ヨーロッパからの輸入品に頼っていた。
その後、東京オリンピック(1964年(昭和39年))や大阪万博(1970年(昭和45年))などの国際交流や大手メーカーのPRを通じて、本格的なワインに対する一般の認知度も高まり、ブドウを果物として生食することとは別に、飲用として摂取することも広まってきた。これを受けてワイナリーと称する専業生産者も本腰を入れるようになり、欧州本場に倣った垣根式 (これまでの棚作りに比して日光に当たる効率が良い分、糖分やその他の有機成分の熟成度が高いといわれる) の栽培法を取り入れ、害虫に強いヨーロッパ系新種のワイン用に特化したブドウ栽培を展開し始めた。輸入ブドウを国内で加工したワインも多いが、一方でいくつかのワイナリーからは純国内栽培による優秀なワインも生産されて、海外の品評会での受賞もあり、国際的に評価され始めた。また、日本独特の消費者感覚から無添加・無農薬の有機ワインも生産された。
洋酒に関する輸入関税の減税や、日本の食文化の多様化、ポリフェノールの健康効果によるブームなども手伝って、1980年代後半のバブル景気を機に欧州産のワインが多く輸入されるようになって以降は、ようやく本格的なワインが理解されるようになり、日本での品質の高いワイン生産を促進させる下地となった。
2002年、構造改革特別区域として醸造免許の要件を緩和した「ワイン特区」が設けられた。特区内では年間の見込数量が2キロリットルに緩和される。収益との兼ね合いからあえて利用しないワイナリーも存在する。同年には、日本最大のワイン生産量を誇る山梨県が主導して「国産のぶどうを100パーセント使用して造った日本産ワイン」を対象とする国産ワインコンクール(2015年には日本ワインコンクールと改称)が行われるようになり、ヴィニョロン(Vigneron)と呼ばれる個人醸造家による出品から大手メーカーの力作まで、純日本産ワインの品質向上を競うようになっている。
2020年代には国際的な評価も向上し、輸出額も約3億5000万円(2021年)に達した。ブドウ栽培の技術も向上している。しかし地球温暖化により長野県などではブドウ栽培に影響が出ていることから、栽培方法の工夫や温暖な気候に適した品種への変更など模索が続いている。
地理的表示(GI)では、「ぶどう酒」の酒類区分で国税庁長官が指定した酒類のGIは、いずれも当該道府県を産地の範囲とする山梨・北海道・山形・長野・大阪の5つで、このうち山梨はEU・英国との間で、北海道はEUとの間でそれぞれ相互保護に合意しているGIとなっている。
生産量では、2018年における「日本ワイン」の都道府県別生産量は、山梨県(5,189kl)・長野県(3,950kl)・北海道(2,603kl)・山形県(1,159kl)・岩手県(580kl)・岡山県(394kl)・新潟県(339kl)・宮崎県(306kl)・島根県(241kl)・栃木県(237kl)が上位10道県で、大阪府(170kl)は11位となっている。
近年の酒造メーカの総合酒造メーカ化の流れにより大手ビールメーカや洋酒メーカがワイン醸造も合併や事業買収で傘下に収めている。こうした結果、メルシャン(キリンビール)(キリンビールがメルシャンを合併)、登美の丘ワイナリー(サントリー)、グランポワール(サッポロビール)、サントネージュ(アサヒビール)(協和発酵キリンから事業譲渡)といった大手酒造メーカーやマルスワイナリー(本坊酒造)やシャルマンワイナリー(江井ヶ嶋酒造)のような中堅や中小の酒造メーカが自社で国内でワイン醸造を行なうようになっている。また、マンズワイン(キッコーマン)のような醸造メーカーが醸造技術を活かしてワイン醸造を行っているケースもある。
国税庁の平成26年度の酒税統計資料では、アンケートに回答のあった176社のうち、年間生産5000キロリットル以上の企業が5社、500キロリットル以上、5000キロリットル未満の企業が11社、100キロリットル以上、500キロリットル未満の企業が24社、100キロリットル未満の企業が134社となっている。少数の大手、中堅企業と大多数の小規模ワイナリーという構図になっている。
生食用のぶどう農家が安価な醸造用ぶどうの生産に乗り気でなかったこと。農地法の規制があって、醸造メーカが直接自社農場を持ちにくかったこと。1970年代の自由化の流れもあり安価な輸入果汁や輸入ワインの入手ができたこと。これらの要因があり大手のワイナリーに限らず中小のワイナリーも含めて、輸入濃縮ぶどう果汁や輸入バルクワインを使用した安価なワインを国内製造(国産)ワインと称して製造してきた。その一方で、自社農園や契約農家が生産した国内産ぶどうを使用して自社ワイナリーで生産した日本ワインの生産、販売やより高品質なワインの研究も行っている。特に大企業は輸入果汁などから作る大量生産ワインと高度のぶどう栽培から行われる本格的なワイン製造の二面戦略をとっている。こうした大企業は技術の囲い込みなどを行わなかったため、現在の日本ワインの知名度や品質の向上には、こうしたワイナリーの研究開発や地道な農家育成、自社ノウハウの公開と指導といった活動が大きく寄与している。
近年、特に、大手メーカーとは別に、比較的中規模から、家族経営のもの、日本国内には数多くのワイン醸造業者があり、それぞれがそれぞれの経営・生産方針に則り、小規模ながらも多くの銘柄を産出している。それぞれが各々の得意をもって、自ら柱となり道となり、日本のワイン業界を盛り立てているのである。
尚、国税庁の統計上は原料が国産であるかないかに関わらず日本国内で醸造したワインは「国産」として統計されるため、メーカーが濃縮ぶどう果汁を輸入して日本国内で工場生産したワインも「国内産」の生産量に計上されている(下記「原産地表示」の項参照)。国内のワイン生産の構造上、こうした大手の廉価ワインの生産量が圧倒的に多いことから、統計上は大手メーカの大量生産工場が存在する府県がワイン生産量の上位になり、平成22年度の統計では「日本でのワイン生産量が最も多い県」は神奈川県となる。これは藤沢市にメルシャンの工場があることによる。
日本薬局方に「ブドウ酒」がアルコール系滋養強壮剤として収載されている。食欲増進などにリモナーデ剤としてそのまま(赤酒リモナーデ)、もしくは他剤と配合して飲み易くする為、高血圧などの食事療法にも用いられている。薬用として使用されるようになったのは、明治時代に流行した腸チフス・赤痢・コレラなど、病後の滋養強壮にと使用されたの始まりと見られている。
かつてはシャトーカミヤ(現オエノンホールディングス)が「局方ハチブドウ酒」として製造していたものの、薬価改定の理由によって1982年(昭和57年)に製造中止となり、長らく空白状態が続いていた。しかし、現在では製薬会社2社が製造販売している。
愛知県の中北薬品によって、1992年(平成4年)に同社津島工場において生産が再開され、現在では「くすりのぶどう酒(医薬品名「日本薬局方ブドウ酒」)」として薬局・薬店を通して一般にも購入する事ができる。ただし、一般のワイン同様、20歳未満の者への販売は二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律で禁止されているほか、飲用後の車両運転も飲酒運転であるため、道路交通法で禁止されている。東京都の司生堂製薬もブドウ酒を製造しているが、こちらは詳細は不明である。
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