概要
セウォルの航路。仁川港より出港し、観梅島沖で転覆し沈没した。 2014年 4月16日 午前8時58分頃、韓国 ・仁川広域市 の仁川港 から済州島 へ向かっていた清海鎮海運 (チョンヘジンかいうん、청해진해운 )所属の大型旅客船「セウォル (世越、SEWOL)」が全羅南道 珍島郡 の観梅島 (クァンメド)沖海上で転覆・沈没した。セウォルには修学旅行 中の京畿道 安山市 の檀園高等学校 2年生生徒325人と引率の教員14人のほか、一般客108人、乗務員29人の計476人が乗船しており、車両150台あまりが積載されていた。大韓民国国立海洋調査院(朝鮮語版 ) によると現場周辺は水深27メートルから50メートルで目立った暗礁はなく、16日午前の時点で視界は良好、波高約1メートルと航行の安全に影響するような自然条件はなかった。
この事故は乗員・乗客の死者299人、行方不明者5人、捜索作業員の死者8人を出し、韓国で発生した海難事故としては1993年10月に全羅北道 扶安郡 蝟島と辺山面格浦里の間の沖合いで292人の死者を出した『西海フェリー沈没事故 』を上回る大惨事となった。前の運航会社が同じマルエーフェリー であること、建造した日本の造船所が同じであること、事故形態が似ていることから、2009年11月に日本の三重県で発生した「ありあけ」座礁横転事故 と比較された。韓国では2013年まで10代の死亡原因第1位は自殺 だったが、この事故により多数の高校生が死亡したため2014年の10代死亡原因第1位は運輸事故となった。
経緯
事故原因
2014年5月時点で、主な事故原因は以下が指摘されていた。
過積載とバラスト水の操作 運航会社の問題 船長の離席と三等航海士の経験不足 不適切な船体改造 船体検査制度の不備 船体の故障 2014年10月6日、最高検察庁 は、セウォル号惨事に対する最終捜査結果を発表した。「清海鎮海運が船を無理に増・改築し、過剰積載状態で出港した後、船員の運航の過失で沈没した。救助に行った木浦海洋警察署の問題ある対処、救護会社選定過程での不法行為で死亡者が増えた」としている。一方、2017年に発足した「セウォル号船体調査委員会」の最終報告書では、機械の欠陥などの理由でセウォル号が沈没したという「内因説」と、衝突など外力による沈没の可能性を追加で調査しなければならないという内容の「外力説」の2種類の原因が併記され、結論は出なかった。
過積載とバラスト水の操作 セウォル号の沈没の最大要因は、過積載 とバラスト水 の操作と考えられる。
船を運行していた清海鎮海運 の当初の発表によると、事故当時、セウォルには車両150台、貨物657トンが積載されていた、とし、貨物も含めた総積載量は限度内に収まっていると釈明していた。だが、発表内容には疑問がもたれ、聯合ニュース は「最大積載量を超過していた可能性が高い」と論じていた。 最終的な発表によると、セウォル号の改造後の安全が確保される貨物量の上限は987トン(うち車両は150台)とされていたが、実際は大型トレーラー3台など車両180台で2451トン、大型鉄製タンク3基や鉄筋など貨物1157トンの計3608トンと、上限の3.6倍という過積載状態であった。 セウォル号の運航では日常的に過積載が行われていた。仁川港資料によると、セウォル号は改造後、仁川から済州へ片道394回航行したが、246回が過積載だった。136回が2000トン、13回は3000トンを超過していた。事故当日が最も積載量を超過していたと考えられている。 5月5日、韓国の聯合ニュースは、合同捜査本部の話として、セウォル号のバラスト水 が、基準の4分の1しかなかったことを報じた。セウォル号の復原力 を保つにはバラスト水 が約2000トン必要と考えられているが、事故当時は約580トンしかなかった。一等航海士は、積み荷を多く載せるため、バラスト水を抜いた事を認めている(また、バラスト水をあらかじめ抜いてしまうと、緊急時に対応できなくなるとされている)。 コンテナの固定方法にも問題があった。出港前にコンテナを積んでいた作業員の供述によると、固定装置を使用せず、ロープで縛っただけである。 船員の過失 多数の行方不明者、死者を出した原因として、乗員側の重大な過失や不適切な避難誘導が指摘されている。
事故当時、イ船長(男性、69歳)は操舵室を留守にしていたこと、乗客の避難誘導をしなかったこと、真っ先に脱出をはかり、9時35分頃に到着した海洋警察の船で、最初に保護されていることなどが伝えられた。朝鮮日報 によれば、乗組員による避難誘導が全く行われなかったと、救助された乗客が証言している。 イ船長は、事故発生のおよそ40分程前に操舵室をいったん離れると、事故発生のおよそ10分前に操舵室に来て会話をし、その後また操舵室を離れて、船長室にいたときに事故が発生したとされている。乗組員の証言として、船長は船長室でゲームをしていたようだ、とする指摘もあるが、イ船長は携帯電話のメッセージを見ていただけなどと否定した。 イ船長は非正規社員であり、当初運航を任されていた本来の47歳の船長に代わって船を操縦していたことが明らかになり、杜撰な運航体制に一部のインターネットユーザーから非難が殺到した。 事故当時、セウォル号を操船していた三等航海士は新人であり、この航路での操船は初めてであった。なお、船長に代わって三等航海士が船の操縦を指示することそのものは、韓国の法律上、違法ではない。また合同捜査本部は、事故地点で90度超の舵を切った行動そのものは「針路変更をすべき地点だった」としており、この進路変更が急激な旋回だったかを調査している。 事故当日は濃霧のため出港時間が遅延したため(予定より2時間ほど遅い午後9時頃に出港)、航海士の運航区間が変わり、一等航海士に代わって新人の三等航海士が、危険区間である孟骨水道の舵の指揮を執った。通常、直線区間であれば18 - 20ノット、危険区間である狭い所では 16 - 18ノットとの意見がある。 4月20日の時点では、セウォル号はおよそ21ノット (時速39キロ)で航行し、1度目の旋回を19ノット(同35キロ)で曲がり、2回目の旋回直後の時点では、およそ5ノット(同9キロ)まで減速した。この2度の急旋回により船体が傾き、荷崩れを起こし、セウォル号沈没の原因になったと考えられていた。三等航海士は、合同捜査本部の調べに対し、現場付近で速度を落として右に曲がるべきなのに、ほぼ全速力で進んで方向を変えた、などと供述。また、最高速度の時速39キロに近い時速35キロで方向転換していたこと、操舵装置がぐいっと回ってバランスを失い、統制不能になったことなどを説明した。 4月22日、その後に報じられた船舶自動識別装置 (AIS) の記録により、セウォル号は、16日午前8時48分37秒から同49分13秒までの36秒間が途絶えていたことがわかった。停電が発生し、非常バッテリーに切り替わりが起こったものと考えられている。この停電直後に減速が始まり、同49分37秒から大きく右旋回を始め、39秒間で67度(最初の19秒間で45度、続く20秒間で22度)回った。速度も停電する前までは17ノット(時速約31.5キロ)とされ、信号が復旧した時には15ノット、右旋回を始めた時点で10ノット、67度の旋回を終えた時には5ノット(同約9キロ)まで減速していた。さらに約1分後の同51分9秒には3ノットまで減速し、南西方向に船首を向け、北へと流された。この急旋回により船体が傾き、荷崩れを起こし、セウォル号沈没の原因になったと考えられる。この三等航海士は、その後、操舵角度を5度以上回せば沈没の危険があることを知りながらも、15度以上の大角変針によって船を沈没させ、さらに救護措置を取らず脱出した疑いで、起訴された。 さらに、船が沈没した位置は全羅南道新安郡 と珍島郡の間の、屏風島 、観梅島 、孟骨島 、松島等の島の密集地域で、事故発生当時は風が強かったわけでもなく、波も比較的穏やかだったが、濃霧による2時間の出航遅延を取り戻すために本来のコースとは異なる島々の間を通る直線コースを進んだものとみられている。 セウォル号出港前、本来は船長が作成すべき旅客船安全点検報告書を、三等航海士が作成し、代理署名して提出されていたことが報道される。航海士のパクは乗客数を476人、貨物657トン、コンテナ0本、車両150台と記入し、貨物を固縛していないにもかかわらず、船積み状態を『良好』と記入した。合同捜査本部の取り調べに対し、三等航海士は、確かめず内容を記入したとし、前任の航海士から全て良好と作成すればよいと言われていたので、そうしてきた、などと話した。点検報告書は事故後、車両台数が150台から180台に、コンテナは0本から150本に変えられていた。海運組合の誰かが事故後に加筆したとみられる。 また事故船の乗務員による避難誘導も完全でなく、「救命胴衣を着用して待機してください」という自動船内放送が流れたのみで、船員も乗客へは「動かないでください」とのみ繰り返していたという声もある。そのため、4階にいた多くの高校生たちのほとんどは船内放送に従って待機したままと見られ、適切な避難誘導がされれば多くの命が助かったとする声もある。朝鮮日報 の報道によると、船長は座礁の通報から40分後には船外に出て、約50人の乗客とともに最初の警察警備艇に救助されていたほか、約30人いた乗組員のうちほとんどが救助され、船の最下層にいた機関士や操舵手ら6人もこの最初の救助船にいた。大韓民国船員法では、『船長は緊急時に際しては人命救助に必要な措置を尽くし、旅客が全員降りるまで船を離れてはならない』旨規定しており、4月18日、韓国海洋警察などの合同捜査本部は、事故当時、乗客の救助を尽くさず船を脱出したとして、船長について特定犯罪加重処罰法違反など、三等航海士と操舵手については業務上過失致死傷の疑いでそれぞれ逮捕状を請求した。4月19日未明、3人は逮捕された。捜査当局の捜査はさらに進み、4月21日には遺棄致死容疑でセウォルの航海士3名および機関長の計4名に対して身柄拘束を行った上で逮捕状を請求した。 セウォル号の乗組員達が乗客に避難誘導しなかったのは、乗組員達が救命ボートが使えないことをあらかじめ知っており、これを隠すためであった疑いがもたれ、捜査当局から追及を受けている。セウォル号の甲板には、少なくとも42の救命カプセルが備え付けられ、もしカプセルが正常であれば、水没したときに固定具が自動的に外れ、海に浮かぶしくみとされている。セウォル号沈没時に浮かんでいた救命ボートはなく、現場に到着した海洋警察が甲板から落とそうと試みると、固定器具が錆びついていて、手では外せなかった。その後、2つを海に蹴落としたが、そのうちの1つは開かなかった。 事故当時、副船長を務めていた人物が、前日に入社したスタッフであったことが伝えられる。清海鎮海運側は、見習いではあるが、航海の経験は7年あるとの説明をした。また、セウォル号の安全設備担当の船員も、同じ日に入社していた。事故当時、乗っていた船員15名のうち8名はセウォル号での乗船経験が半年未満だった。 入社2年目の女性乗員(22歳)は、最後まで船内に残り、救命胴衣をかき集めて乗客へ配布して回り、避難を呼びかけるアナウンスを続けた。さらに高校生たちを励まし、沈没直前には乗客たちに海へ飛び込むよう指示を出した。これにより乗客たちは脱出に成功し近くの漁船に救助されたが、女性乗員は同日正午に遺体で発見された。保健福祉部 は、この女性乗員を含む死亡した乗員3名を「義死者」に認定し、補償を行った。 不適切な船体改造 フェリーなみのうえ(2010年2月14日) 右舷サイドランプは韓国への売却後に撤去された。 乗組員以外の原因として、船舶の改造が挙げられている。
該当船のセウォル は1994年に日本 で建造され、当初、鹿児島県 のマルエーフェリー が鹿児島-沖縄航路で「フェリーなみのうえ 」(JG検査船舶)として運行していたもの。長崎県 の林兼船渠 において1994年 6月に竣工し、翌7月の定期点検時に建造時の5,997総トンから6,586総トンに改造、マルエーフェリー時代は5階建てで、船底に最も近い1階部分に貨物甲板、2階に乗用車 約200台分の車両甲板、3階にレストラン や案内所、売店などがあり、客室は3階より上にあった。
2012年10月1日にマルエーフェリーを引退した後、すでに就航していた「オハマナ」(元大島運輸 「フェリーあけぼの (初代) 」)の増備用として東京の商社を通じて、韓国の清海鎮海運に「ほぼ鉄屑同然(スクラップ)」として約8億円で売却された。その際、最上階部分船体後方に客室を増設したり、船首右舷側の貨物用ランプウェイを取り外すなどの改造が施され、重心がマルエフェリー時代より高くなり、定員数は804人から921人に、総トン数は6,825トンにそれぞれ増加、車両180台、20フィートコンテナ 152個を積載可能な船舶として、清海鎮海運は「韓国最大のクルーズ船」と幅広く宣伝、2013年 3月15日 より「セウォル」として仁川-済州間週2往復の定期運行を開始、定員を活かして団体旅行にも利用されていた。
この改造は韓国船級協会 の規定に合致しており違法ではないが、船体下部に位置したランプウェイの取り外しや船体上後部への客室の増設などの改造は重心位置が高く後部に移動し、バランスを取るのが難しくなったために転覆した可能性が複数の有識者により指摘されている。しかし、反対の意見もあり捜査当局はあらゆる可能性も含め捜査するとした。4月22日に韓国船級協会が客室の増改築の結果、重心が51センチ上がって復原力が大幅に低下したが、積載できる重量の倍以上の貨物を載せていたというセウォルの復原性検査の結果を公開した。
なお、改造を行った全羅南道の会社は、2010年から船舶改装に参入した小規模企業であり、関係者によれば「大型旅客船の改装を行った実績がないとみられる」といい、また韓国船級協会も傾斜度検査などの改造後の十分な検証が行われなかったと指摘されている。 また、李明博 政権の2009年 に、企業コストを削減するために旅客船の船齢制限を20年から30年に延長するなど、船舶に関する規制緩和が成立しており、これが今回の事故に影響したのではないかと野党新政治民主連合 の議員が主張している。
5月26日、沈没の原因の捜査を行っている合同捜査本部は、起訴状の中で『セウォル号は2012年に輸入された後、兪炳彦(当時、清海鎮海運の会長)の指示で、客室や貨物室の拡張、兪容疑者の展示室の増設などの工事が行われた』などと述べた。これらの船体の増改築工事により、セウォル号は重心が上昇し、復原性を確保する為には、改造前よりも積載量を1448トン減らし、バラスト水を1324トン増やさなければならなくなった。しかし、清海鎮海運は139回の過剰積載を続け、約29億ウォンもの不当な利益を得ていた。これらの沈没原因となった復原性や過積載の問題についても、兪炳彦は報告を受けていた。
6月9日、セウォル号の船会社である清海鎮海運が、セウォル号の安全基準よりも多く車両を載せるため、車の固縛装置(D-リング)785個を無断で取り付け、車両196台分多く載せられるように改造していたことが報じられる。昨年2月の韓国船級による安全検査を受けた後、設置した。
運航会社の問題 運航会社の清海鎮海運 は事件の数年前から故障や衝突などの事故を繰り返していることが分かっている。2011年4月にエンジン故障により622名の乗客を乗船させたまま約5時間航行不能となる漂流事故を起こし、2013年3月にも燃料フィルター欠陥によりまた約5時間の漂流事故を起こし、2014年4月には漁船との衝突事故を起こしている。また、前述の韓国内での旅客船の船齢制限とも関係するが、同社の仁川-済州島間で運航されている僚船「オハマナ」は1989年9月の就航でありセウォルよりも船齢が約5年古く、2009年の規制緩和によって廃船を免れた船である。事故後の同船に対する捜査で救命ボートや脱出用シューターが正常に作動しなかったことが明らかになり、船員の一部は非常時の安全教育を受けていないと供述したことから、安全軽視の企業体質が指摘される状況となっている。 社員への緊急時避難教育をしていなかったことが指摘されている。清海鎮海運の監査報告書によると、昨年、船員への研修費が54万ウォン(約53,000円)しかなかった。対して、広告費は2億3000万ウォン、接待費は6060万ウォンであった。総合ニュースによると、他社の教育訓練費用も同じように低いことが指摘されている。 清海鎮海運が日常的に過積載を続けていたことが指摘されている。就航以来、検査機関が指定した積載可能量 約980トンの2 - 3倍を上回る貨物を載せることがあり、事故時には約3,600トンを積載していた。旅客収入が伸び悩む一方、貨物輸送収入は前年比36%増であった。これらの過積載によって得られた不当な利益は、29億5000万ウォン(日本円でおよそ2億9000万円)に上る。 一部報道によると、事故当日、船の重量オーバーを指摘する船員がいたが、清海鎮海運側は取り合わなかった。 2009年から2013年の間、清海鎮海運で発生した事故が6件あった。2011年4月、セウォル号と同じ済州-仁川航路間で修学旅行生648人を乗せた船(セウォル号とは異なる)がエンジントラブルで5時間動けなくなる事故が起こったが、この船の一等航海士として乗船していたのも、今回の船長であった。このときも乗客には待機を指示しただけだった。 沈没事故より1か月ほど前の2月末、セウォル号を売却するため、清海鎮海運が国際中古船舶取り引きサイトに登録していたことが報道される。合同捜査本部の取り調べにより、セウォル号の船員全員が、船の復原性に問題があったと陳述をしているとされ、清海鎮海運側が、あらかじめセウォル号の船体に欠陥があったことを把握していた可能性がある。 セウォル号は、2013年11月にも改造による復原力の低下で航行中に貨物が崩れる事故を起こしていたことが分かっている。しかし、清海鎮海運は報告を受けながら、対策を取っていなかった。 船体検査制度の不備 セウォル号の改装を請け負った会社は、セウォル号を改装するまで、大型客船の改装を行った実績がなかったとする海洋水産部 関係者の証言もある。安全検査を受け持つ韓国船級協会 関係者によると、船舶に無理が生じる可能性があるため、4度以上傾けて検査することができず、自社の安全検査基準を満たしていたので合格させた、としている。 増改築の検査制度自体にも欠陥があったことが指摘されている。韓国では船舶を改造する際、長さ・幅・深さ・用途の4項目を変更する場合は、海洋水産部長官の許可が必要であったが、セウォル号の改造(客室2階分を垂直方向に増設、乗客定員117人増、船体重心を51センチ引き上げる)は高さの変更であり、民間団体である韓国船級協会の検査のみで許可が下りた。また、セウォル号は船首右側にあった50トンのサイドランプ等が除去され、左右が不均等となっていたが、この改造も海洋水産部の許可を必要としなかった。 2014年2月、セウォル号の救命ボートの安全点検をおこなったはずの整備会社が、実は検査をしていなかった事が報道される。整備会社は救命ボートの検査をしていないにもかかわらず、韓国政府に管理を委託されている業界団体に、良好であるとする嘘の書類を提出した。合同捜査本部は、整備会社の次長を拘束、同団体の管理態勢も捜査する予定とした。セウォル号の救命ボートは、船が建造された20年前に取り付けられたままのもので、固定器具は錆びており、船体を塗り直した塗料により甲板にくっついて使えない状態であった。 セウォル号には水圧を感知して膨らむ救命ボートが46艘設置されていたが、実際に使われたのは1艘のみであった。これは固定器具がさび付いて外せなくなり、ほぼ全てのボートが使用不能だったためとされ、救助活動を行った警察官も2つのボートを海に蹴落としたが、1つは開かなかった。2月時点での安全検査では「良好」と判定されており、検査機関が船の運航会社と癒着して検査を手抜きした疑いがあると捜査当局は見ている。また、使用不能であることが発覚するのを恐れたため、船員が待機指示をさせたとも指摘されている。 6月13日、沈没したセウォル号は、航路ごとの輸送需要予測を基準にした運航認可基準を満たしていなかったことが報じられる。仁川-済州島航路を運航するには、セウォル号は船体が大きすぎて就航基準を満たしていなかった。このため清海鎮海運の幹部が、木浦海洋安全審判院のトップを務めているパク・ソンギュに、合計でおよそ5千万ウォン(約500万円)の賄賂を渡して便宜を依頼したとされ、パクらは偽造書類と知りつつも、2011年9月に認可を出した。セウォル号が運航されていた仁川~済州島航路は、平均運送収入率(従来の船舶の平均収入÷既存・新規船舶の最大可能収入)が25%を超えなければならないが、実際には24.3%にとどまっており、本来は運航認可が下りない状態であった。 「セウォル号運航管理規定」が承認される以前、海洋警察署の職員3人が、セウォル号の船会社である清海鎮海運から食事・酒・観光などの接待や、無賃による交通の便宜を受けていたことが報じられる。承認のための審査委員会では未提出書類などの請求もされずに審査が進められたとされ、運航承認での不正疑惑が持ち上がっている。 韓国船級協会は、セウォル号船体の重さを100トン程少なく計算し、さらにコンテナの重さを減らした状態で復原性を検査し、そのまま承認していた。 船体の故障 安全の検査結果とその後の対策にも問題があった。2月に実施された特別安全点検では、5ヶ所に不具合があったと指摘されている。しかし、措置を取ったとする清海鎮海運側の報告を受けただけで、再点検を実施しなかった。その1つは二重水密扉の作動不良であり、沈没後の生存を左右するエアポケット の発生条件にも影響すると考えられる。 沈没したセウォル号は、操舵機に故障がありながらも、運航を続けていたとする指摘もある。事故前から操舵機の電源接続に不良があり、船長(事故時のイ船長とは別)から、清海鎮海運に対して修理申告書が提出されていた。しかし、清海鎮海運の船の修理を担当する企業側は、(最近)セウォル号を修理した事実はなく、修理依頼を受けていなかった。一部報道では、清海鎮海運会社は明らかに船の異常を把握していたにもかかわらず、15日以上も無理な運航をしていたと指摘している。 韓国船舶事業の問題 海洋安全審判員の統計によると、昨年登録された韓国の船舶数8万360隻の中、海難事故が発生した船舶数は818隻であり、100隻に1隻の割合で、事故が発生していると考えられている。(2012年は全体の1.1%、2011年1.4%、2010年1.1%、2009年1.1%)2009-2013年の統計で、もっとも多いのは船員の運航過失であり、その内訳は、警戒不注意(652件)、航行法規違反(161件)、党職勤務怠慢(19件)である。さらに、この5年間で懲戒処分となる免許取り消し例は1件もなかったことが指摘されている。 1日平均で550隻が通過する日本の関門海峡でも、韓国船による海難事故が多発しているとの指摘がある。平成21-25年の間、関門海峡 で海難事故を起こした外国船籍の貨物船74隻中、韓国人船長が31人であり、全体の4割を占めて最多。中には韓国船籍のケミカルタンカー (クリスタルサンブ号)の座礁もあり、もし積み荷を積んだ状態であったならば、広範囲が化学物質によって汚染された危険があった。 政治的な問題 「船長を含め乗組員のほとんどが契約社員 であり、正社員 がいなかった」という雇用上の問題。「海軍が救援活動に入れない(民間の救助会社が優先される為)」という政治的な問題。「こういった改革は、李明博政権 時に導入されたもの」と経済評論家 の三橋貴明 は指摘する。 長年の政官財の癒着と腐敗が、セウォル号沈没と被害拡大への遠因との指摘もある。事故前、海洋警察によるセウォル号の点検がわずか1時間で済まされていたり、20年前の救命ボートがずっと検査されないまま『良好』とされていた問題が指摘されているが、他にも根本的な官僚腐敗や官僚制度の歪みがあるとされ、4月29日、大統領の朴槿恵も、「官フィア(官僚マフィア)や公職鉄鉢(公務員は食いっぱぐれないの意)といった、恥ずべき言葉を一掃するという気持で、長年にわたって積もった官僚社会の弊害をえぐりだす改革を断行し、国民が納得できるレベルまで状況を改善しなければならない」などと述べた。 監査院は7月8日、中間監査報告を発表。「セウォル号沈没事故の背景には、船の導入から運航手続き、事故後の対応まで、政府に総合的な業務の怠慢と不正等があった」などと伝えられる。調査発表によると沈没と被害の拡大原因は複合的とされ、清海鎮海運が変更したセウォル号の定員・載貨重量をそのまま不当認可した仁川港湾庁、韓国船級での杜撰な復原力 検査、海洋警察庁による不適切な運航管理規定審査、船舶運航管理者である海運組合もセウォル号出港前の貨物重量及び車両台数や固定方法を点検しておらず、事故後の海洋警察も船内に残る乗客を救出する機会を逃し、全羅南道・珍島の管制センターの対応が不十分で、交信を通じたセウォル号への救出措置を怠っていた。さらに海洋警察は現場の状況や移動手段を考慮せず、現場での救出活動に限界を招いていたとされ、災害時に中心的な役割を果たすはずの中央災害安全対策本部も対応できていなかった。他にも各機関での連携がとれず事故状況の伝達も遅れ、さらに情報を正確に伝えることもできず、誤った情報で韓国国民の不信を招いた。 韓国社会の問題 セウォル号沈没事故の遠因には、韓国社会の体質にも原因があるとされた。朝鮮日報はコラムにて、韓国社会は「生き残りたければ他人を押しのけてでも前に出るべきだと暗に教えてきた」として、家庭・学校・職場を問わず、犠牲と分かち合いよりも競争と勝利が強調され、清き失敗よりも汚い成功をモデルにしてきた結果としている。また韓国では基本、規則、基礎、ルールを大切に考える人間に対し、何か世間知らずの堅物のように見下す雰囲気があり、それどころか、ずる賢い手口を駆使できる人の方が、有能な人間のように扱われるとされ、今回のセウォル号沈没事故の根底には、このような基本を無視する韓国社会の病弊があることを指摘している。 その他 事故発生の当初、インターネットなどでは魚雷 や機雷 による襲撃説が飛び交った。 2016年12月25日、韓国のネットユーザーが、セウォル号のレーダー映像を基に「セウォル号が軍 の潜水艦 とぶつかった外部衝突によって沈没した可能性がある」と主張し、JTBC がこれを特集として報じた。潜水艦の衝突が原因とする説は、事故発生当初から何度か出ては消えるを繰り返しており、目新しい説ではなかったが、このネットユーザーが著名であったため、話題となった。翌12月26日、韓国国防部 は、「事実無根」とこれを否定した。さらに翌27日にも国防部は改めて否定し、セウォル号が沈んだのは水深37メートルの海域で、漁船 や商船の移動が多く、潮流 が速いため、潜水艦の航路として使えない場所と説明した。虚偽の流布には法的措置を取るとも表明した。 2018年4月13日、「セウォル号船体調査委員会」は、事故の原因として「外部の物体との衝突説」を正式に問題提起し、調査に着手した。委員会は「正常に船が旋回すれば1秒に1度も傾くことはないが、セウォル号内部のブラックボックス映像を見ると、船が1秒に10度も傾くなど、外力が作用しなければ説明できない点が発見された」と説明している。2018年8月6日、セウォル号船体調査委員会が提出した報告書では、機械の欠陥などの原因である「内因説」と、衝突など外力による沈没の可能性を追加で調査しなければならないという「外力説」が併記され、結論は出なかった。 事故後の行動
5月11日、最高検察庁デジタル捜査センターは、事故直後から完全沈没時まで時間帯別にセウォル号がどれくらい傾いていたかに対する分析を終えた。海洋警察の警備艇が到着した時刻は、4月16日の午前9時30分頃。この時すでにセウォル号は左舷側に45度ほど傾いていたとされている。救援の到着を知った船内の生徒達は、海洋警察の到着や、待機をもとめるアナウンスが流れている事などをメッセージで船外に送っていた。それから15分後の9時45分頃、セウォル号は62度ほどに傾いた。午前10時頃、「船が60度傾いて沈没している」、「上から落ちてきたキャビネットに隣のクラスの子たちが下敷きになった」、「私は膝にアザができた」、などの危機的状況を訴える学生達のメッセージが送信されていた。さらに10時15分頃、「『待てだって、待て』という放送の後に他の案内放送は流れていない」、と言った内容のメッセージが送られ続け、そして2分後の10時17分、「母さん、父さん会いたいよ。 船がまた傾いた」、などといった最後のメッセージが送られた。 この時、セウォル号の傾きは108.1度であった。
4月19日時点、生存者の証言によると、船体の傾きが感じられてから、脱出を促すアナウンスがあるまで、およそ1時間23分ほどとされていた。それまで案内係で後に義死者認定される女性と、もう1人の案内係の男性が、船内から動かぬよう待機をもとめるアナウンスを繰り返しており、乗客に脱出が指示されたのは、10時15分頃、女性が海に飛び込むようアナウンスをした時が最初とされている。しかし、10時15分頃に船内から送信されたメッセージ(待てだって、待てという放送の後に他の案内放送は流れていない)から考えると、脱出指示のアナウンスは10時15分ちょうどに近い時間か、それよりも遅い転覆間際の頃になり、これまで船内待機の指示に従っていた乗客にとって、脱出は絶望的と思われる。 船長を始め、機関士などの操船関係者15名は、全員の脱出と救助が確認されている。また乗客の避難誘導をせず、専用通路などを使用して脱出したことに、国内外からの批判があがっている。このとき機関長は、船長の指示なく脱出命令を出したとされ、機関室が救命ボートを下ろす義務を果たさず脱出したことを、韓国メディアは批判している。 セウォル号沈没事故で、乗客を船内に置きざりにして逃げたとして逮捕された船の乗員らが、救助の船に乗り移る直前に、作業服を着替えていたことが各メディアで伝えられる。一般の乗客を装う目的だった疑いが強いが、乗員らは着替えた理由の供述を拒んでいる。脱出直前、機関長は作業服を脱いで半袖のシャツに着替え、航海士の1人は船室までジャンパーを取りに戻ったとされ、イ船長は下着姿で救助船に飛び移ったが、ズボンをわざわざ脱ぎ捨てた疑いがあるとみられている。 韓国の旅客船セウォル号沈没事故で、乗客を船内に置いて逃げた機関室の船員らが、船内で負傷して動けなくなっていた調理担当の船員2人も放置して、脱出していたことが伝えられる。これまでの調べで、機関長をはじめとする機関室の乗務員7人は、脱出のしやすいよう寝室前の通路に集まり、救出がくるまでの30分間、何もせずに待っていたことが伝えられていたが、今回合同捜査本部の説明によると、機関士2人は、怪我をした調理師たちを目撃したが救助しなかった、などと供述しており、その目撃者も4人いる。また彼らは、海洋警察の船に乗り移ってからも、負傷して動けないでいる2人の存在を、知らせなかった。9時5分頃には通路に集まっていた機関室の7人は、9時48分頃には海洋警察に救助されたと伝えられている。 交信記録 4月20日、セウォル号と珍島管制センターとの交信内容が公開される。午前9時25分、管制側は、船長が直接判断して乗客を脱出させるようにと指示を出した。しかし、セウォル号側は、救助できる他の船舶等がいつ来るのかを尋ね続け、交信が途絶えた9時37分まで乗客が脱出しているという内容は含まれていなかった。その間、管制センター側は、11回程度の交信を続け、セウォル号が沈没中だから可能な救命胴衣と救命ボートを海に投下するようにと指示していた。事故対策本部から公開された、セウォル号(セ)と珍島交通管制センター(管)とのおおまかな交信内容は以下の通り。
管:セウォル号は沈没していますか? セ : そうです。海洋警察に早く連絡をお願いします。 管:救命ボートへの乗船を始めましたか セ : 乗れていない。大きく傾いていて不可能だ。 管:浸水状態は? セ:船体が50度以上左舷に傾いていて、人が動くのは無理な状況だ。船員をブリッジに集めたが動けない。早く来てくれ。 管:警備艇の到着まであと15分です。救命道具を着用するように放送しなさい。 セ:放送もできない状態だ。 管:放送がだめでも、外に出て、乗客達に救命胴衣や衣装をたくさん着させて。 セ:脱出させたら、すぐに救助できるのか。 管:浮輪でも持たせて、浮かせて、早く。 管:こちらでは状況が分からないので、乗客を脱出させるか船長が早く決断して。 セ:そうじゃなくて、脱出したら、すぐ救助できるのかと聞いてる。 管:警備艇が10分以内に着く。 セ:10分以内に着くって? 管:10分くらいかかる。10分だ 管 : 1分後にヘリが到着予定です セ : ゆっくり言ってください。 管 : すぐにヘリが到着します。 セ : 乗客が多すぎて、ヘリだけではだめだと思う。 管 : ヘリも到着するし、近くの船舶も接近中ですから耐えてください。 管:脱出した人が使えるように救命衣や救命ボートを投下しなさい。 セ:浸水状態の確認は不可能。現在、海洋警察などの船が50mに接近中。左舷側にいる乗客が脱出を試みている。船は60度左舷側に傾いている状態。航空機も来たようだ。<※交信が途絶える>。 ※ただし、以上の交信記録は、海洋警察側が交信内容を編集または一部を削除したという疑いが持たれている。
人物
兪炳彦 韓国の検察は、清海鎮海運の実質オーナーである兪炳彦 (ユ・ビョンオン、ko:유병언 )の関連企業や宗教団体などを家宅捜索し、関係者約30人を出国禁止処分とした。兪炳彦は1941年京都生まれで、「人類が近く滅亡する」と主張する新興宗教を主宰していたこともあり、信者32人の集団自殺に関係して1991年に懲役4年の判決を受けた。 なお、韓国で「セウォル」という言葉の漢字 表記は通常「歳月」となるが、セウォル号は「世越」と表記する。これは実質的オーナーの兪炳彦 の宗教的思想から名付けた。 イ・ジュンソク 事故当時のセウォル号船長。 5月15日に拘束起訴された。罪状は、不作為による殺人、殺人未遂、特定犯罪加重処罰法違犯、業務上過失船舶埋没、水難救護違反、船員法違反容疑。 セウォル号沈没事故からおよそ10年前、沖縄近海でも転覆事故が起こっており、この時は乗船員として自衛隊に救出された。 三等航海士 事故当時、操船権を握っていた人物とされ、生存者名簿記載に名前がなかったことから、救出時に身分を偽っていた疑いが持たれている。 船体の復原性から、操舵角度を5度以上回せば沈没の危険があることを知りながらも、15度以上の大角変針によって船を沈没させ、さらに救護措置を取らず脱出した疑いで、起訴されている。 操舵手 上述の三等航海士と同じく、復原性の危険を知りながら15度以上の大角変針によって船を沈没させ、救護措置を取らず脱出した逃走船舶罪で起訴された。 自称民間ダイバー 4月18日、MBNのインタビューに民間ダイバーを自称して出演「外側から客室のなかから音がするのを聞いた。生存者がいるはず」「大勢のダイバー達が駆けつけているが捜索の協力をさせてもらえてない」「海洋警察に、適当に時間をつぶして帰れと言われた」などと答えて捜索活動を混乱させた人物。また過去にはK-POPアイドルの従姉妹と偽り、グループ内でイジメがあるなどとネットに書き込みをしたり、自称作詞家として金銭的なトラブルを起こした。 このインタビュー放送直後、自身のツイッターに、私がMBNに出演したのがそんなに羨ましいのか。羨ましければ、お前達も現場にきて顔を出して話せばいい。私はこのまま俳優デビューすることになるかもしれない、などと書き込みをして、非難を受けた。また彼女には、民間潜水士の経歴も資格もなかった。 4月20日の夜、全南地方警察庁では逮捕令状を請求していたなか、出頭した。同29日には、民間潜水士を詐称して虚偽のインタビューをした疑惑(出版物による名誉毀損など)で検察に送検された。 取り調べに対し、当初は「放送会社側が勝手に民間の潜水士だと表記した」などと 責任を転嫁していたが、先に放送会社に電話をかけてインタビューを要望し、自ら民間潜水士だと名乗っていた証拠を突きつけられると「思い出せない」などと答えた。 またSNSに、目の前で死体の顔を見た、などと嘘を書いたことが確認され、情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律違反疑惑(名誉毀損)が追加された。 2011年3月24日、東北大震災の関連で、MBCニュースに出演していたことがあった。このときは「愛する人も友達も日本にいる、私だけが(韓国に)1人帰ることが…」などと答えていたが、韓国メディアは発言内容の信憑性を疑っている。 2015年 1月9日 、光州 の地裁はこの人物に対して無罪を言い渡した。無罪となった理由は「インタビューは、救助作業に積極的に臨まなければならないという趣旨だと考えられる。虚偽の事実だと認識したと考えるのは困難で、海洋警察 の名誉を傷つけたとも考えられない」というものである。この無罪判決については、韓国内で批判する声もある。 その他 韓国の最高検察庁 が2014年10月16日にまとめた最終報告によれば、計399人を立件し、うち154人を拘束した。
証言
乗組員証言 船長の証言 4月17日、船長は搬送先の病院で身分を聞かれたとき、「私はただの船員、何も知らない」などと、答えた。一部報道では、このとき船長が、20万ウォン(約2万円)の紙幣を乾かす姿が目撃されたとし、この現金が誰のものかで、他の船員と言い争っていた。 4月22日、検察・警察合同捜査本部の取り調べに対して、「尻がつらかったので飛び出したら、ちょうど救助船が来た。救助隊員が早く乗れと言うので指示に従っただけ」などと、供述した。 検警合同捜査本部の調べに対し、当初は、喫煙のため操舵室の外に出ていた、などと話していたが、下着姿だったことが明らかになると、船室でズボンを着替えようとしたが、船が傾いたので急いで出て行った、などと証言を変えたとされている。 合同捜査本部によると、私が操船していたら事故は起きなかった、などと発言した。 事故から4年前のテレビインタビューで、安全で快適な旅を提供すると笑顔で語っていた。さらに、乗務員の指示に従っていれば、フェリーは他のどの交通機関よりも安全だ、などとも語っていた。 2004年元旦、済州島の新聞に掲載されたインタビューの内容によると「初めて乗船した船が沖縄近海で転覆して、自衛隊がヘリコプターで救助してくれた。あの時に救助されていなかったら、今の私はなかった」などと語った。他にも海の危険について「人はズル賢い。だが危機を乗り越えられればそんな思いも消える。それで今日まで私は船に乗っている」などと答えたとされ、さらに「客が家族と幸せな時間をわかちあえることに慰められる」「今日も明日も、船と一緒にいるつもりだ」などと語った。 イ船長は乗客救護措置を取らずに逃げた動機について、船員だけは何とか生きなければいけないと考えた、などと述べた。 三等航海士の証言 4月22日、検察・警察合同捜査本部の取り調べに対し、「教科書で学んだ通りにしただけ。海難事故が起き、たくましい男性でも耐えられない状況のなかでは、私には何もできなかった」などと、供述した。 操舵手の証言 4月20日、船長らとともに逮捕された操舵手は、船が急旋回した時の状況について「普段より舵が大きく動きました。私がミスした部分もあるが、異常に早く舵が回った」などと、述べた。捜査当局は船の急旋回が人為的なミスなのか、それとも船に問題があったのかの両面から調査する。 合同捜査本部によると、正しく操舵したが、船首が戻り舵が利かなかった、などと話した。 4月22日、調査書に、「私は救助された後、セウォル号の周りを巡回し、救助活動を行った。海洋警察に代わって船の窓ガラスを割り、乗客を救助した」などの内容を書き連ね、調査員から調査以外のことを書かないようにと注意されたとする(この救助活動を手伝ったという操舵手は事故当時勤務中だった操舵手とは別人の非番だった人物であり、海警が撮影した動画により、救助活動が確認されたが、インタビューの際態度が悪かったため、批判の声が上がった)。 二等航海士の証言 4月23日、捜査員から、事故当時、救命ボートの作業をしなかったことへの質問に対して、「操作しようとしたが、滑るため、そっち(救命ボートのある場所)まで行くのが困難だった」などと、供述した。イ船長やほかの乗務員たちも、船体があまりに傾いていたため、体を支えるのも困難だった、と供述したが、朝鮮日報では、(救助の場面を見る限り)乗務員らの説明は嘘ではないかと指摘している。 他乗組員の証言 4月21日、新たに逮捕状が請求された一等航海士ら4人が、報道陣の取材に応じた。乗組員の1人は、当時、私はいなかったが、舵を反対にきった可能性もあるし、舵が故障したかもしれないと答え、その一方で、復原力があまりにもない船だったとも答え、船の構造上に問題があったと主張した。 元・現職航海士達の証言 清海鎮海運では、以前からコンテナ固縛装備がきちんと備えられていない。ロープで縛ったり、天気がよければ積み込んだまま目的地に向かう。コンテナの下穴は、ラッシングバーを掛けて甲板に固定するものだが、船会社で確保しているのは一部だけ。下のコンテナと上のコンテナとを固定するコーンもない。波が高くないときは固定しないで出発した、他の沿岸旅客船でも状況は似ている。また、積み込みも重量で区分していない、などと述べた。 乗船客証言 元海兵隊の証言 韓国テレビ局の取材に対して、沈没の前夜、辺山半島と群山市近海の間を航行中に、突然船体が左に15度傾いた。椅子に座った客は椅子ごと移動し、ごみ箱や缶コーヒーなどが床を転がった。すぐに船体は元通りになったが、このとき船長からは何も説明がなかった。事故時も船体が突然傾き、傾きが45度を超えた時点で事故だとわかり、脱出しようと思った、などと述べた。 利用者証言 運送ドライバーの証言 4月23日、運送ドライバー達は、セウォル号では、重量測定をしているのを見たことがない、と答えた。仲介して荷物を運ぶ仕事をしているドライバーAは、セウォル号に詰む貨物車の重量検査をしている様子を見たことが無い、料金がいくらかも知らずに乗船していると答えた。また、直接料金を支払っていたドライバーBは、貨物車1台で55万ウォン - 60万ウォンかかる、貨物車両の重量を測ったりするのは見たことがない、と話した。 韓国国内の反応 被害者家族 行方不明者の家族らは珍島にある体育館で寝泊まりし、捜索の進展を待ち続けている。
4月22日、16日は394人だったボランティアの数が、20日には2350人になったと報道される。カウンセリングが受けられる他、18日には電話回線が6本引かれ、食糧や生活必需品の段ボール59万箱分が届けられた。また、薬剤師約200人が交代でボランティアに参加し、症状にあわせて薬を無料で配布している。彭木港では数十のテントが並び、企業も加わり様々なサービスを提供しており、キムチや炊き出しのチゲ、応急診療まですべて無料で提供されている。 行方不明者家族側から環境の改善を求めていることが報じられる。館内は24時間照明がつけられたままで眠れず、仕切もなく、複数のカメラに撮られており、プライバシーが守られていないないと言う。また、シャワールームも2つしかなく、体育館外のトイレは不衛生な時も多い。 行方不明者の保護者代表が、被害者とは無関係な選挙予備候補者であったことが報道される。代表のソンは「代表は、(被害者の)親からお願いされて、一時的にお預かりしたもの」などと釈明した。その後、22日に離党した。ソンは17日に、朴が体育館を訪れたとき、司会を務めていた。 4月19日、珍島の体育館で、潜水士が撮影した捜索海域の映像が上映され、速い潮流で捜索が難航している状況に理解を得ようとした。しかし上映後には、カメラが船内に入れていない、などの怒号が飛び、居合わせた海洋警察に殴りかかった男性がいた。 4月21日、生存者家族と遺族との衝突が報道される。病院内を患者衣姿でいた学生を見かけた行方不明家族が、「うちの子はいったいどこへ行ったんだ」と言い放ち、すぐに学生の保護者も、「うちの子は罪人か、なぜうちの子に文句を言うのか」と対立したが、病院関係者によって制止された。病院内に葬儀場と病室が存在するためだと考えられている。 4月23日、中国メディアで、韓国社会の服従文化が原因で逃げ出す機会を失い、被害が多くなったとの指摘が報じられる。このなかで行方不明家族の母親の発言として、言うことを聞かない子どもが生きて帰り、聞き分けのよい子が行方不明になってしまった。他の保護者とも話したが、知らない大人や先生の言うことは信じるなと教えるべきだったかもしれない、などとする意見があったことが紹介された。別の母親からは、船員が逃げ出したことを前提に、これでどうして大人達が信じられるのか、危機のとき、大人の言うことを聞くようにと教えるべきか、聞かないように教えるべきか、どちらか分からない、などと嘆いた。 4月24日、行方不明者の家族らは、捜索の進展がないことに業を煮やし、彭木港にある家族対策本部の海洋警察庁次長に猛抗議をすると、李海洋相と海洋警察庁の金錫均長官を床に座らせ、籠城した。一部の家族は、無線機を奪い取り、「全人員を動員しろ、長官命令だ」、などと叫んだ。 4月27日、珍島の室内体育館前でボランティア活動をしていたケバブ屋台が、雰囲気が合わないなどの抗議を受けて撤収した。ケバブ屋は珍島郡庁から活動許可をもらっていたが、活動できたのは5時間足らず。店の前には、セウォル号沈没事故で犠牲になった方々のご冥福をお祈りします、行方不明者が無事に帰還することを切に願っています、などと書かれた横断幕を掲げていた。 4月29日、犠牲者の遺族対策委員会は、私的組織や市民団体の行っている寄付・募金活動は、(セウォル号)遺族の意志とは無関係だ。(我々の)同意していない寄付・募金を直ちに中止してほしい、などとした声明を出した。また、閣僚会議の場で非公開に朴が謝罪したことについて、真の謝罪ではないと主張した。 5月1日、韓国移動電話各社は、被害者とその家族を対象に、4月から5月分の携帯電話料金の免除を決めたとする。分割払い金残額や解約・機種変更の違約金も対象。 5月5日、行方不明者家族や遺族が集まる港や体育館に、無関係な市民が押しかけ、被害者家族を装いながら備品を盗んだり、食事をするなどの問題が報道される。寝具や手ぬぐい、美容品、非常食の持ち帰りや、トイレットペーパーの紛失なども相次ぎ、関係者を装いたびたび救護用品を盗んでいた男には、拘束令状が出された。この他にも記念撮影をするカップルや、好奇心で行方不明家族に近づくなどの行為がある。 5月11日、韓国政府は中央災難安全対策本部会議を開き、事故犠牲者家族の1世帯当たり85万3400ウォン(約8万5000円)の生活費と、家族1人当たり42万ウォンの救護費が支給されることになった。高校生のいる世帯は学費として70万200ウォンが追加支給される。生活安定資金とは、災難及び安全管理基本法に基づき、被災者家族に2か月分の生活費を支援する制度。 5月19日、情報保安課に所属する刑事が、セウォル号の遺族の一行を尾行し、摘発された。警察庁長の崔東海は尾行について謝罪。安山檀園警察署が遺族の同意を求めずに刑事を配置したことについても認めた。遺族は不法査察だと反発している。崔は、家族移動での安全問題に備えた。職員が上手く対処できなかった、などと釈明したが、刑事達は身分を隠して尾行しており、尾行を怪しむ遺族から尋ねられたときも、警察ではないなどと嘘をついた。 5月20日、セウォル号の沈没事故で行方不明となっている教師らの給与の支払いをめぐり、教師の家族が、事故後の5月分の給与が支払われていないとして、京畿道教育庁および学校側に抗議した。京畿道教育庁側は、修学旅行中の事故での行方不明のため、有給状態にあるとして、支払いを認めたが、行方不明教師らが遺体で発見された場合、給与を回収するかの問題が発生した。 5月23日、社会福祉共同募金会によると、サムスングループが150億ウォン(約15億円)を寄付したのを始め、現代自動車グループが100億ウォン、SKグループが80億ウォン、LGグループが70億ウォン、韓進グループが30億ウォンを寄付した。韓国での寄付は金持ちの義務とされ、過去の災害でも有名人らに巨額寄付を出す流れができると、寄付しない者は批判にさらされる。今回の財閥の寄付についても、企業イメージを守るためには必須の支出であった。 5月27日、セウォル号で被災した娘の保険金5,000万ウォン(約500万円)の半額に当たる2,500万ウォンを、12年前に離婚していた元夫が、元妻の知らぬ間に受け取っていたことが報道される。元夫は離婚してからの35か月間の生活費30万ウォンを支払っただけで、その後は養育に一切寄与しておらず、再婚もしていた。安山檀園高学生と教師たちが団体加入していた東部火災団体旅行者保険の死亡保険金1億ウォン中5000万ウォンも、元夫に支給されるところであるとされ、元妻は保険会社側に連絡して元夫に保険金を支給するなと頼んだが、現行法では元夫の受領を防ぐ手立てはない。ある遺族は、離れていた実の母親・父親による保険金問い合わせが増加しており、今後紛争が増えるだろう、などと話した。 6月11日、セウォル号沈没事故で高校生の息子を失った母親が、法律事務所の支援を受け、国とセウォル号の船会社である清海鎮海運を相手取り、3000万ウォン(約300万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。法曹界側の説明によると、母親は、セウォル号は無理な増築による欠陥に加えて、乗務員の過失があり、さらに貨物の過積載とバラスト水の不足とが重なって、急激に復原力を失って沈没したなどとし、さらに船会社である清海鎮海運はセウォル号の乗組員に安全教育などを行っておらず、国も運航の管理と許可とが杜撰であったと指摘、その上で、修学旅行に出た息子が理不尽な事故で亡くなった精神的な苦痛は言葉にできない、などと訴えている。この起訴に対し、男子生徒を養育してきた父親側は、「母親は離婚してから8年もの間、一度の連絡さえよこさなかったのに、今になって分け前を狙うかのような行動を取っている」などと怒りを露わにしている。 関連事件 修学旅行を引率し、自らは救助されていた安山 檀園高等学校 の教頭が、4月18日夕、珍島の山林で遺体で発見された。珍島警察署によると、首を吊った跡があったことから、自責の念に駆られて自殺を図ったとみられる。所持していた財布からは遺書が見つかっており、「200人の生死が分からないのに、1人だけ生きるのは辛い。自分にすべての責任を負わせてほしい。自分が修学旅行を推進した」など自責の念が記されていた。朝鮮日報によると、教頭は17日、ある保護者が校長に対して「何で教頭は生きて帰ってきたのか」と抗議する場面を目撃し、その後行方が分からなくなっていた。 4月19日、救援現場の動画が見られるという触れ込みの詐欺メールが出回っていることが報道される。メールのリンクを開くと、ウイルスにより個人情報が盗まれる。韓国政府は詐欺メールに騙されぬよう警告した。 4月19日、行方不明者家族に、「金を出せば救出してあげる」などと持ち掛ける詐欺が横行している。民間潜水業者の関係者と名乗る人物が、「1億ウォン(約990万円)出せば子供達を船から救い出す」などと持ちかける事例がある。 4月21日、行方不明者家族に支給される救援物資を狙った窃盗が報じられる。17日、進歩体育館に現れた40代らしき男性3人を、ボランティアが追いかけて発覚した。警察に引き渡そうとすると、男は跪いて祈りだした。ボランティアによると、一般の人が空の袋を持ってきては、袋いっぱいにして持ち帰っている。このため物資は足りない。 4月23日、寄付金の名目で3人からおよそ400万ウォン(約40万円)をだまし取ったとして、光州地方裁判所から、パクに拘束礼状を出した。パクは、事故現場に食品納品する場合は、寄付金が必要などと嘘をついた。 4月25日、セウォル号の死者数について賭けている違法賭博サイトが登場し、警察がモニタリングを強化した。違法サイトでは特定の日と日時を決め、その時刻までに発見された死亡者数合計が「多い(High)、少ない(low)」かを賭ける仕組み。警察庁サイバーテロ対応センターは、ギャンブル産業の統合監督委員会などの関係機関に、監視を強化するよう要請した。 4月25日、檀園高校の負傷者の治療にあたっている高麗大学安山病院に、爆破を予告する内容のメモが届いた。メモには、学生の弔問を拒むなら、病院は爆弾で襲撃されるだろうなどと書かれており、心理的影響を考慮し、負傷者が犠牲者の追悼行事に参加することを禁じていることが原因。病院近くの地下鉄周辺でも同じ内容の紙が10枚以上見つかった。 4月27日、全羅南道珍島警察署は、虚偽の行動で救援物資を奪った疑い(詐欺)で李某に対し、拘束令状を申請した。李は自家用車に乗って珍島に訪れ、行方不明者の家族として、布団2枚、毛布2枚、寝袋1個、コート、スポーツウェア、下着、洗面用具、カップラーメン、歯磨き粉など、様々な品物を受け取っていた。 5月5日、70歳の男性が遺族から暴行を受けたと報じられる。焼香所の入り口付近で、マスクをした遺族らが抗議のプラカードを持って活動していると、これを見た男性が、政府が何か間違ったことをしたのかと抗議をして言い合いになり、男性が再び叫びながら焼香所に進入したため、怒った遺族らから暴行を受けた。警察は年寄りの行方を追っている。 5月8日、韓米海軍の合同軍事訓練のために航路を変更したことが、セウォル号沈没の原因だなどと書き込んだネットユーザーが逮捕された。韓米海軍は合同軍事訓練中なるスレッドを立て、国立海洋調査院のホームページで公開されていた、事故当日の海上射撃訓練区域を含む航行警報地図を添付していた。警察は、セウォル号が沈没した4月16日には射撃訓練が行われてないとし、ユーザーの指摘内容を否定。海軍は26日、虚偽の文章によって名誉が毀損されたとして、告訴状を出していた。 5月18日、韓国の東大門警察署は、犠牲者追悼集会に参加して連行された6人の女性に対し、自殺を防ぐためなどとして、ブラジャーを脱がせ、その後の2日間、下着を着けない状態で取り調べを行った。東大門警察署によると、身体検査を担当した女性警察官は派出所から捜査課に配属されて日が浅かったなどと説明、その上で、関係者を厳重に処罰すると説明した。 5月19日、先月21日、フェイスブックに、『似た事件が起きても理性的に対応する他の国家事例とは別に、我が国の国民は、大統領が出向いて最大限の努力を尽くすと話しても大声で罵り、国務総理には水を浴びせる。大統領が神のようになり全てのニーズに答えるのを期待するのは到底不可能だ。国民が集まって国ができる、国民が未開だから国家も未開なのではないか』、などと書き込みをして激しい批判を受けた、与党セヌリ党の鄭夢準の次男が、名誉毀損の疑いで告訴された。告訴した遺族はその理由について、文章の流れから遺族が未開だと言ったことに等しいなどと主張、議員の鄭が謝罪して有耶無耶になっていたが、過ちを犯した責任をとらなければならない、などと説明した。 6月3日、救助責任者が発見された遺体の収容を止めているなどと、虚偽の情報を流し、海洋警察などの名誉を傷つけた30代の会社員に、懲役1年の実刑判決が出た。被告のキムは、自分名義のスマートフォンを2つを利用し、海兵隊の友人を自演してカカオトーク での対話を装い、自分自身に「海洋警察などの救助担当者が遺体の収容を妨げている」などと書き込み、この内容を海兵隊の友人との会話として、インターネット上にも掲載した。警察に出頭した容疑者は、知人と共謀したなどと嘘をついていたが、追及されると単独犯であったことを認めた。 6月24日、5月31日のセウォル号沈没事故犠牲者追悼集会後、ソウルの世宗大通りを占拠してデモを行い、これを制止しようとした鍾路警察署の義務警察官を、自らのハイヒールで殴打、12針縫う大怪我を負わせたとして、47歳の女性を逮捕した。当時女は、自分も警察に怪我を負わされたと主張し、病院で治療を受けさせるよう要求したため、連行されていなかった。警察は目撃証言から女を立件した。 6月26日、事故の裁判を受けている操機長の娘が、自殺しているのが発見された。警察の発表では、遺書にはセウォル号や父親に対する言及は無く、公務員試験に落ちたのを悲観する内容だった。 裁判 6月10日、セウォル号沈没事件での初公判が光州地裁201号大法廷で始まり、船長のイを始め、1等航海士、2等航海士、機関長、3等航海士、操舵手等、乗客を捨てて脱出した乗組員15名が出廷した。イは遺族の視線に及び腰になり、国選弁護人の背に隠れるような仕草をし、3等航海士と3等機関士は、泣き出しそうな表情で肩を振るわせ、その他の乗組員達は無表情であった。船長のイの国選弁護人は「怪我をした状況でも可能な救助措置を行い、海洋警察によって最後に救助された」などと主張したとされ、過失以上の責任を問うのは不当であると主張。2等航海士の弁護人は「事故当時、海洋警察すら船内へ進入できなかった状況で、乗客の救助が可能であったか疑問である」「海洋警察の指示に従って退船した」などと主張した。イ被告ら主要人物の4人は、殺人罪 (乗客に船内で待機するよう指示、避難誘導などの措置を取らず、乗客よりも先に脱出したとして起訴されている)。残りの11人は刑事上の過失(遺棄致死)などの罪に問われている。裁判の争点は『未必の故意による殺人(不作為の殺人罪)』であり、仮に殺人罪が成立すれば、船長のイ・ジュンソクら4人の量刑は、最高で死刑になると予想されており、もし仮に殺人罪を裁判所が認めない場合は、イは最高刑で無期、残りの船員3人は最高刑で懲役45年になると予想されている。 韓国の裁判は、国民参与裁判(陪審員裁判)と裁判官による一般裁判の2通りがあり、被告側が選択できる。韓国国民の処罰感情が強いため、被告らは裁判官を選んだと考えられている。初回公判はセウォル号の操船乗組員であった被告15人に対し、検事4人、弁護士7人、これに被害者の家族、被告の家族、一般傍聴者、被告の家族、取材陣などで約170人(被害者家族はうち105人)が出廷していた。(被告らを全員に廷内に収納するため、被告・弁護側の座席を8席から24席に、検察側の席も4席から6席に増やした。また公判が開かれる主法廷の105席に加え、204号補助法廷にも74席が用意され、設置された大型スクリーンで生中継されたという)地裁では原則で週1回ずつ、この裁判を継続していく。 開廷前、韓国国内外からの多くの取材陣が集まる中、遺族や行方不明家族達は「お前は人ではない。ケダモノだ」などと書かれた横断幕を用意して憎しみの感情をしめしたとされ、死刑を求めるプラカードを持った遺族達の姿もあった。また「おまえら人間か。獣以下の○○」などと書かれたプラカードを法廷内に持ち込もうとして、地裁職員と揉み合いになったとされ、周囲にいた家族達もプラカードを持ち込めないことに憤りをあらわにした。ある家族は「殺人鬼のイXXどもを殺さなければならない。殺してやりたい」などと叫んだが、他の家族から裁判に遅れると説得されて騒ぎは収まった。イ船長ら被告の入廷時、遺族や行方不明者家族らが「殺人者」「顔をよく見せろ」「自分の子どもにも同じことができたのか」などとの叫びや野次が飛んだため、裁判官から制止と自制を促された。公判中、イ船長の弁護人が「臨時の船長である被告に事故原因である過積載に関与する余地はない。自分だけ助かろうと救護措置をせずに船から脱出したというのは検察の主張であり、事故後も船の水平を保とうとした努力をしている。被告は尾骨やわき腹を負傷していた状態だった。殺人容疑をもっと検討すべき」などといった意見を述べると、傍聴席から「テレビ報道を見ていないのか」「人殺しめ、平気で飯を食っているか」などと罵声や嗚咽する声があがった。裁判長は家族の心情は理解できるとしながらも、「そのように大声で罵っていては裁判を進行できない。裁判は被告への処罰の判断と真相の究明が目的であるので、怒りをぶちまけるのは謹んでもらいたい」などと再び自制を求めた。しかし、傍聴席側からはできないとする発言が次々とあがったため、裁判長は家族代表に発言の機会を与えた。犠牲者・行方不明者・生存者家族対策委員会の委員長をつとめる代表のキムは「被告たちが脱出を決めたとき、船内放送で避難を呼びかけていれば、多くの子供たちが助かったはずだ。被告は乗客だけではなく遺族の魂まで殺した。我々の時間は今でも止まっている。制服を着た生徒を見ると、我が子もお父さんお母さんと呼びながら家に帰って来る気がする」などと述べ、徹底した真実究明と厳正な処罰を訴えると、法廷会場は悲しみとすすり泣く声で包まれたとされ、検事たちも目を赤くした。初公判は17時52分頃、被告15人中11人に対する弁護人陳述が終わった時点で終了した。 11月11日、光州地裁は、殺人罪で起訴された4人のうち船長ら3人について殺人罪を認めず、遺棄致死罪などで船長に懲役36年、1人に懲役20年、1人に懲役15年の判決を下した。残り1人の機関長のみは殺人罪を認定し懲役30年の判決を下した。残り11人については求刑通り遺棄致死罪などで懲役5年から10年の実刑判決を下した。 2015年4月28日、光州高裁は1審を覆し、船長による未必の故意による殺人罪を認め無期懲役、機関長の殺人罪を認めず懲役10年、残り13人に懲役1年6ヶ月から12年の判決を下した。 賠償問題 犠牲者遺族に対する賠償金及び、船体を引き揚げる費用や被害者の捜索にかかった費用等を合算すると、おおよそ600億円に上るとみられているが、セウォル号は過積載や船体の不正改造などの指摘もあり、さらに船員も避難誘導をせずに逃げだしていることから、保険の対象外となる可能性がある。このため韓国当局は、数百億円の資産を持ち、実質オーナー兪炳彦の責任として賠償金を支払わせる方針だ。しかし韓国メディアによると、兪自身の名義の財産は無く、兪に賠償責任を負わせる場合、家族名義の資産も対象にしなければならない(一族名義の財産はおよそ200億円分)。大統領の朴は談話の中で、国民の命に被害与えた企業の利益を没収し、補償に充てるなどとしており、韓国当局は、この大統領の宣言に基づいて、事故当事者の家族や第三者名義の隠し財産も没収できる法律をつくると考えられているが、これはいわゆる事後法 となり、容疑事実の立証は難航が予想されている。法治国家、例えば日本の場合、日本国憲法第39条 において、何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない法の不遡及 が定められている。韓国でもこれは法の原則だが、その一方で、法の不遡及を曲げた事例が見られる。例えば、1979年の粛軍クーデター 及び1980年の光州事件 関係者を処罰した光州事件特別法(朝鮮語版記事 )が1995年に韓国国会で成立したことや、過去の親日行為者とその子孫の財産没収及び財産没収を正当化するため、2005年に与野党169人の議員が国会に提出、12月8日に可決、同月29日に公布された、親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法 (通称:親日法)など。韓国メディアは、それでも相当分を税金でまかなう事になろうだろうと指摘している。 5月28日、仁川地検特別捜査チームは、兪一族の2400億ウォン(約239億円)相当の財産に対して、起訴前の追徴保全命令を裁判所に請求した。追徴保全額は容疑者の兪1291億ウォン、長女492億ウォン、長男56億ウォン、次男559億ウォン。また、借名財産を探して差し押さえるために関連の営農組合法人などに対する捜査にも着手した。 6月10日、大統領の朴は、国務会議を主催したとされ、会長の兪の検挙のために検警が多くの努力をしているが、捕まえられなければ話にならないと考える、などとのべ、検察と警察を叱責した。この中で朴は、不道徳な企業運営で国民の身体と財産に大きな被害をもたらした場合、企業主本人の財産だけでなく、第3者名義で隠されている財産まで徹底的に追跡し、没収する必要がある、などと述べた。 6月20日、韓国政府はセウォル号の船会社である清海鎮海運の実質オーナー兪炳彦らに対し、およそ4031億5000万ウォン(約404億円)相当の財産差し押さえをソウル中央地裁に申し立てた。差し押さえた財産は犠牲者及び遺族への補償とされているが、韓国政府も事故の被害者として救助や捜索作業や船の引き揚げ作業といった費用も請求するとされている。 2015年4月5日、海洋水産部 はセウォル号の被害者や遺族に向けての被害補償申請の説明会を開いた。その中で、賠償金を受けた場合、以後は政府に異議提議しないという誓約を結ばなければならないことに、一部被害者や遺族が反発。一部の被害者は、この賠償金の申請を行ったが、「4・16家族協議会」は、2015年6月29日、政府の賠償・補償金の支払いを拒否し、国を相手取って民事訴訟を起こすと発表した。 2015年6月12日、海洋水産部 は、セウォル号犠牲者に国費慰労支援金として1人あたり5000万ウォン(約550万円)を支給すると発表した。これは損害賠償金とは別扱いとなる。 日本の反応 4月16日、日本 政府は韓国側に支援を申し出。17日、内閣総理大臣 の安倍晋三 は「被害に遭われた方、家族にお見舞い申し上げたい」と述べ、官房長官の菅義偉 は同日午前の記者会見で「できる限りの協力を行う用意がある」と韓国側に伝えたと発表した。18日には内閣総理大臣が閣僚懇談会 で「韓国から支援要請があれば、対応できるようにしてほしい」と全閣僚に指示、国土交通大臣 の太田昭宏 は「海上保安庁 には特殊救難隊 や機動救難士 という優れた技術を持った部隊がある。韓国側から要請があれば直ちに動ける態勢をとっており、何でも協力したい」とし、事故を起こした旅客船については「日本で1994年に建造され、鹿児島や奄美大島、沖縄で運航し、2012年の10月に韓国に売却されたが、日本では問題は全く生じていない」とした。防衛大臣 の小野寺五典 も「自衛隊 としても、特に掃海艇 やダイバーの派遣など、できる限りの支援を考えております。現在、一番近い場所として、佐世保 の掃海艇が2隻、下関基地 の掃海艇が 1隻及び呉 の掃海母艦 1隻に加え、ダイバー多数を派遣可能な状況にしておりますので、要請があった場合には、私どもとして速やかに対応していきたいと思っております。」と韓国側から要請があれば迅速に対応する構えだったが、韓国の海洋警察庁 は「申し出はありがたいが、現在、特段支援を要請する事項はない」と支援を辞退している。 なお、4月18日、行方不明者の家族が、日本政府の捜索支援の申し出を韓国側が拒絶したとの噂を韓国海洋警察幹部に質問し、騒然となった。幹部は「初めて聞いた。確認してお答えする」と回答した。 4月17日、この事故を受けて国土交通省 は、日本国内の旅客船会社約450社に対して、非常時の脱出手順の確認を求める通達を出した。 4月18日、安倍晋三はこの日の夜、大阪市内での会食の席で、韓国が旅客船沈没事故で日本の救援を受け入れていないことに関して、子どもたちを早く助ける意味でも支援を受けてくれたらうれしいのに、などと語った。 4月18日、博多港 から釜山港 への高速船「ビートル 」を運航するJR九州高速船 は高速船の予約をしていた日本国内3団体90人の渡航キャンセルがあったことを明らかにしている。5月3日に釜山広域市 で行われる予定だった朝鮮通信使 を再現するイベントがこの事故のために中止になり、団体が参加できなくなったためである。 4月18日、京畿道教育庁によって、行方不明となった修学旅行生の中に、日本人 の母を持つ韓国国籍の女生徒がいることが明らかにされ、日本でも報じられた。母親は長野県生まれとされ、1992年、統一教会の合同結婚式で韓国に渡り、ソウルで式を挙げた1組である。 4月20日にソウル特別市 広津区 にあるUNIQLO-AX でPerfume やマキシマムザホルモン が公演予定だった「Perfume FES!! 2014」韓国公演は、この事故に伴い自粛となった。 4月22日、日本体育協会 は、大韓民国江原道 で開催される予定だった生涯スポーツ大会の「全国生活体育大祝典」に、日韓スポーツ交流事業の一環として派遣することになっていた日本代表選手団の訪韓を中止した。今回のフェリー事故で大会そのものの開催が延期となったことを受けた措置。 日本のテレビでは、WOWOW で4月25日放送予定だった映画「タイタニック 」、テレビ東京 『ポケットモンスター XY 』で4月24日放送予定だった1エピソード「海底の城!クズモーとドラミドロ!!」の放送がいずれも中止となった(前者は「キング・コング 」に差し替えられ、後者は次の話とされていた「ショウヨウジム戦!ピカチュウ対チゴラス!!」が繰り上げて放送されることとなった)。 4月30日 までに、外交ルートで、セウォル号が日本のマルエーフェリーにて『フェリーなみのうえ』として運行していた時の設計図が韓国に提供された。韓国へ売却された後に実施された船舶改造作業が適切だったかを調べるためである。 沈没事故の追悼行事などでは、「千の風になって 」の朝鮮語版がよく流されている。 5月23日、今年の秋に韓国への修学旅行を予定していた高校がセウォル号沈没事故を受けて韓国行きを中止した問題について、秋田県教育長の米田進は「安全対策や情報収集で不安を払拭し、県の(旅行費)補助事業についてもPRしたい」などと答え、他の県立高については実施する意向を示した。秋田県は大韓航空の『秋田-ソウル間』の便を維持するため韓国への修学旅行を推進しているが、韓国交通機関への不安のほか、反日国への修学旅行は適切ではないなどの批判が出ている。 5月31日、防衛相の小野寺五典は、シンガポールで開かれた日米韓防衛相会談の直前、韓国国防相の金寛鎮と立ち話をして、「日本国民はお悔やみしている。私も我が身のことと思い、つらい思いで見ていた」などと、セウォル号沈没事故への弔意と見舞いを述べた。また集団的自衛権行使の検討や北朝鮮による拉致被害者の再調査実施について告げた。 6月7日、セウォル号の沈没事故を受け、韓国への修学旅行を取りやめる動きが広がっていると報道がされる。韓国が不法に占領を続ける竹島問題や強制であったと主張する慰安婦問題を執拗にもちだしてくる反日的な姿勢に、セウォル号沈没事故や地下鉄事故に見られた韓国交通機関の杜撰な管理や安全問題が加わり、保護者に不安が広がった結果。大阪の高校では保護者にアンケート調査を実施、その結果に校長は、生徒たちの安全と保護者の安心が確保できなければ決行できない、などと話した。大阪府教委によると、昨年韓国へ行った府立高校6校のうち4校が今年は別の行き先を選んだ。平成元年からほぼ毎年、韓国へ行っていた滋賀県の高校も、選択肢を広げるとして、今年はマレーシアに変更。和歌山の高校も韓国行きを希望する生徒が激減したために、中止した。旅行大手の担当者は「お手軽ということで人気だった韓国も、対日感情の悪化で子供を行かせることに不安を覚える保護者が多いのでは」などと述べたとされ、今年は修学旅行先を韓国から国内にした大阪府内の高校校長も「旅費はかさむが、将来的には親日的な台湾や東南アジアに行きたい」などと述べた。読売新聞社と韓国日報社は、共同世論調査を実施(5月23-25日)、現在の日韓関係について、悪いと答えた日本人は過去最高の87%に達し、韓国大統領の朴槿恵が、歴史認識を巡る問題で、国際社会に向けて日本批判を繰り返したことについて、適切でなかったと答えた日本人が89%を占めたとされ、これらの結果も影響したと考えられる。 韓国・日本以外の国々の反応 脚注 関連文献 図書 記事 小田原松玄「「悪党」の世直し論(其の123)セウォル号の惨事に思う」『時評』第56巻第6号、時評社 、2014年6月、170-174頁。 崔三然「韓国セウォル号海難事故の教訓 人災を国難にまで拡大させている愚かさ」『ビジネス界』第34巻第3号、ビジネス界、2014年6月、46-49頁。 「韓国 セウォル号沈没事件に民主労総が反撃 「命より金」の新自由主義への怒り爆発」『国際労働運動』第42巻第6号、前進社 、2014年6月、2-5頁。 佐藤守 「韓国沈没! セウォル号事故に見る韓国の民度」『ジャパニズム 』、青林堂 、2014年6月、32-37頁。 「知られざる韓国動向(23)セウォル号 海難事故と社会の不正」『食品と暮らしの安全 = Safety of our foods and life』第302号、食品と暮らしの安全基金、2014年6月、ISSN 1343-5876 。 「セウォル号惨事、強まる政府批判/他」『統一評論』第583号、統一評論新社、2014年6月、29-33頁。 若杉大「セウォル号事件に見る"三流国家"韓国 精神沈没8つの諸症状」『ジャパニズム』、青林堂、2014年6月、58-63頁。 黒田勝弘 「セウォル号事故から見る韓国という国」『新潮45 』第33巻第6号、新潮社 、2014年6月、66-71頁。 「セウォール号の事故原因は安全を疎かにした儲け主義」『内航海運』第49巻第957号、内航ジャーナル、2014年6月、4-6頁、ISSN 0388-4686 。 室谷克実「韓国の「愚韓」「呆韓」「哀韓」全記録」『WiLL 』第115号、ワック 、2014年7月、32-53頁。 「韓国 朴槿恵政権への怒りのローソク集会 「セウォル号惨事は虐殺だ!」と責任追及」『国際労働運動』第42巻第7号、前進社、2014年7月、2-5頁。 豊田有恒 「事故の遠因は「ケンチャナ」精神」『WiLL』第115号、ワック、2014年7月、54-63頁。 丸山茂樹 「時事 韓国最新情報 for JA Watch Korea(第16回)セウォル号の沈没と韓国の論調 パリ・パリ文化とケンチャナヨ精神」『農業協同組合経営実務』第69巻第7号、全国共同出版、2014年7月、100-103頁、ISSN 0913-2120 。 「セウォル号惨事 事故の真相を必ず究明すべき」『統一評論』第584号、統一評論新社、2014年7月、41-44頁。 加藤達也 「セウォル号と「無責任大国」韓国の最後」『文藝春秋 』第92巻第9号、文藝春秋 、2014年7月、186-193頁。 「ドキュメント 激動の南北朝鮮(第203回)一四・四五 セウォル号沈没事故 悲しみと憤りに包まれる韓国」『世界 』第858号、岩波書店 、2014年7月、263-270頁、ISSN 0582-4532 。 堀潤 「公共放送はだれのもの? セウォル号報道圧力事件の顛末 ストも辞さず、社長を退任させたKBS」『金曜日 』第22巻第27号、金曜日 、2014年7月11日、38-39頁。 「現地徹底取材 セウォル号オーナー 兪炳彦 怪死「7つの謎」 32人が集団自殺したカルト教団との接点」『週刊文春 』第56巻第31号、文藝春秋、2014年8月7日、140-143頁。 菅野朋子 「ドキュメント 分単位で再構成する未曽有の悲劇 セウォル号沈没」『週刊文春』第56巻第33号、文藝春秋、2014年8月28日、38-43頁。 田村兼吉「科学 韓国旅客船「セウォル号」の事故原因」『青淵』第786号、渋沢栄一記念財団 、2014年9月、18-20頁、ISSN 0912-3210 。 「知られざる韓国動向(26)セウォル号事故で観光地・済州(チェジュ)島の苦難」『食品と暮らしの安全 = Safety of our foods and life』第305号、食品と暮らしの安全基金、2014年9月、ISSN 1343-5876 。 梅田皓士「セウォル号政局とその後の韓国政治」『海外事情』第62巻第9号、拓殖大学海外事情研究所、2014年9月、29-42頁、ISSN 0453-0950 。 淵弘「文鮮明から「セウォル号」オーナーまで 韓国はキリスト教カルト天国」『新潮45』第33巻第9号、新潮社、2014年9月、109-115頁。 関連項目 海難事故の一覧 大邱地下鉄放火事件 - 2003年2月18日、大韓民国大邱広域市で発生した地下鉄列車への放火事件。本事件と同様に、責任者たる車掌を兼ねる運転手が逃げ出してしまったために、乗客192人が死亡、148人が負傷した。 日本航空350便墜落事故 - 1982年 に日本で発生した旅客機墜落事故。本事件と同様に、機長が乗客の避難誘導の義務を放棄して脱出した。死者24人、負傷者149人。 韓国地検による産経新聞支局長名誉毀損起訴事件 - この事故から派生した事件。 グレンフェル・タワー火災 - 2017年にイギリスロンドンで発生した火災。死者79人、負傷者78人以上、火災発生時住民が部屋で待機することにより被害が拡大した。 千日デパート火災 - 1972年に日本で発生した火災。死者118名、負傷者81名、避難誘導が適切に行われず、また脱出設備を使用できなかったことにより被害が拡大した。 不在の記憶 - 事故を題材とした2018年の短編ドキュメンタリー映画。 君の誕生日 (映画) - 事故を初めて正面から題材に取り上げた2019年の韓国映画。 内郷丸遭難事件 - 1954年 に神奈川県 の相模湖 で起きた沈没事故。死者22名。違法改造と定員オーバーが招いた本事故と類似の事故。 ソウル梨泰院雑踏事故 - 2022年に韓国で発生した群衆事故 。死者159人(関連死1人含む)。同事故の死者の大半がセウォル号事故で犠牲になった高校生と同世代であったことから、2つの事故を関連付ける動きが目立った。 外部リンク
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article セウォル号沈没事故 , which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0") ; additional terms may apply (view authors ). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0 のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses. ®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.