堤 真一(つつみ しんいち、1964年〈昭和39年〉7月7日 - )は、日本の俳優・ナレーター・声優。本名は同じ。兵庫県西宮市出身(本籍地は熊本県)。シス・カンパニー所属。
兵庫県西宮市で生まれる(父親は熊本県宇土市出身、母親は奈良出身)。
祖父は熊本の警察官。父親は旧制宇土中学卒業後に岐阜陸軍航空整備学校に入校後、神戸製鋼所勤務。母親は奈良の江戸時代から続く旧家出身。読書家で寡黙な父と、明るくよく話す母と姉の4人家族で育つ。
少年時代は足が速く、西宮市の小学校連合体育大会では学校別リレーで常にアンカーだった。
小学校から中学校まで野球に打ち込み、高校1年生まで野球部に所属。
1983年に西宮市立西宮東高等学校卒業。
1983年、高校を卒業してから友人に誘われ、千葉真一が主宰するジャパンアクションクラブ(JAC)の養成所オーディションを受ける。運動神経も良かったことからオーディションに合格。18歳でJAC養成所第1期研修生として京都養成所に入所する。
1984年5月、選抜クラスに選ばれ上京。JAC(ジャパンアクションクラブ)14期生として正式に入団する。同期には浅利俊博・岡元次郎らがいる。
1985年12月、坂東玉三郎 (5代目)主演の『天守物語』で黒衣として参加したことをきっかけに、坂東から「あなたは芝居心があるからお芝居をしなさい」という言葉を何度もかけられ、本格的に役者を志す。JACには4年ほど在籍した後、1987年に退団。
退団後は、TPT(シアタープロジェクト・東京)の演劇を中心に活動。
デヴィッド・ルヴォー、ジャイルス・ブロック、ロバート・アラン・アッカーマン、蜷川幸雄、野田秀樹、ケラリーノ・サンドロヴィッチら演出の舞台に多数出演する。
1987年、NHKドラマスペシャル『橋の上においでよ』にて、23歳でテレビドラマ初主演を果たす。またこの年、『独眼竜政宗』で大河ドラマデビュー。翌1988年には『武田信玄』で武田信玄(中井貴一)の嫡男、武田義信を演じる。
1989年、映画『バカヤロー!2 幸せになりたい。』で映画デビュー(オムニバス・第2話主演)。
1992年、五社英雄が監督の映画『女殺油地獄』で長編映画デビュー。ヒロインの相手役・河内屋与兵衛を演じる。本作は五社の遺作となった。
1994年には、野田秀樹が立ち上げた『野田地図(NODA・MAP)』の旗揚げ公演『キル』(初演)の主演を務める。
1996年1月、テレビドラマ『ピュア』でヒロインの相手役として民放の連続ドラマに初めて出演したことで脚光を浴び人気を博す。それまで舞台を中心に活動していたためテレビドラマの出演は珍しかった。
同年、映画『弾丸ランナー』で長編映画初主演(以降、SABU監督の長編映画作品で5作連続主演を務める)。
1997年、舞台『キル』、『ピアノ』での演技が評価され、第32回紀伊國屋演劇賞 個人賞を受賞。
2000年、平均視聴率26.4%、最高視聴率34.2%を記録した月9『やまとなでしこ』でヒロイン(松嶋菜々子)の相手役、数学者の道を諦めた魚屋・中原欧介を演じたことにより、瞬く間に人気と認知度をさらに上げ、ブレイクを果たす。
その後も、『恋ノチカラ』、『ランチの女王』、『GOOD LUCK!!』など人気ドラマに続々出演する。
2005年、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で自分の仕事に人一倍の誇りと情熱を持つ「鈴木オート」社長・鈴木則文を好演。映画もロングランの大ヒットに(以降、本作は計3部作のシリーズとなり累計興行収入110億円以上というメガヒットシリーズとなった)。
2006年、第29回日本アカデミー賞 最優秀助演男優賞を受賞。国内の主な映画賞の助演男優賞部門を総なめにする。
2008年、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、『舞妓Haaaan!!!』で、第31回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞などを受賞。
同年、『容疑者Xの献身』で物語の主人公的立ち位置、悲壮感漂う天才数学者で高校教師・石神哲哉を演じ、高い評価を得る。映画も興行収入約50億円の大ヒットとなり、報知映画賞ではこの作品で最優秀主演男優賞を受賞。
2009年、第32回日本アカデミー賞において、『クライマーズ・ハイ』で優秀主演男優賞を、『容疑者Xの献身』で優秀助演男優賞をそれぞれ受賞する。
2011年、『孤高のメス』にて、国内外で手術の腕を磨き高度な技術と患者第一の治療を貫く真摯な姿勢で周囲を変えていく外科医・当麻鉄彦を演じ、第34回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞などを受賞。
2013年、NHKドラマ『とんび』にて主人公・市川安男を演じ、アメリカの国際テレビ芸術科学アカデミーが主催する第41回国際エミー賞 最優秀俳優賞のファイナリストに選ばれる。俳優部門のノミネートは日本人で史上初であり、同賞俳優部門が始まった2005年から2023年現在までファイナリストに選出された日本人は堤のみである。
2014年、NHK連続テレビ小説『マッサン』にて「やってみなはれ!」が口癖で、気風が良く明朗快活かつ豪快で懐が深い社長・鴨居欣次郎、通称:鴨居の大将(サントリー創業者である鳥井信治郎がモデル)を演じ、圧倒的な存在感と好演に話題を呼ぶ。
2017年、テレビドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』で主演を務める。福田雄一の脚本演出で普通のサラリーマンがひょんなことからスーパーマンになり世界の平和を守る役を演じ、番組エンディングでは出演者と共に主題歌の三代目J Soul Brothers「HAPPY」に合わせたダンスを披露。
2021年、大河ドラマ『青天を衝け』で一橋家家臣・平岡円四郎を好演し、平岡が非業の死を遂げた後も「円四郎ロス」など視聴者から惜しむ声があがる。脚本家の大森美香も「想像を超えた」劇中シーンとして、数あるシーンの中から平岡の暗殺シーンをあげている。
2022年、映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で表向きは子供を守るNPO代表だが、緻密な計画で殺人や脅迫を行う裏の顔を持つファブルの因縁の男・宇津帆を演じ、第45回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞する。
報知映画賞は2005年(第30回)に『ALWAYS 三丁目の夕日』、『フライ,ダディ,フライ』で助演男優賞、2008年(第33回)に『クライマーズ・ハイ』、『容疑者Xの献身』で主演男優賞を受賞し、主演と助演の2部門を制したのは三國連太郎・柄本明・三浦友和に次いで史上4人目である。
劇団☆新感線の舞台の主演、大河ドラマの常連俳優の一人でもある。ナレーションの担当や近年では、映画「鹿の王」やゲーム「龍が如く7」で声優に挑戦している。
2007年公開の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の初日舞台挨拶で、堀北真希ファンの男性客が突然スタッフの制止を振り切ってステージに乱入しようとするハプニングが起こった。堤は吉岡秀隆とともに、壇上から取り押さえスタッフに男を引き渡した。堤は制止する際に足を滑らせてステージから落ちたが、怪我はなかった。場内は一時騒然となったが、その後監督と男性キャスト陣で再開した舞台挨拶では、丁度この日からスタートしたフジテレビ系ドラマ『SP』でSP(セキュリティポリス)役を演じていることに触れ、「今日から『SP』が始まります」と笑いを取って場を和ませた。
JAC時代は真田広之の付き人として真田の身の回りの世話をしていた。クーラーボックスに真田の好きなジュースを詰めて持ち歩き、いつでも手渡せる状態にしていたが、くわえタバコをしたまま渡そうとして怒られた経験がある。「今は真田と共演の可能性もあるのでは?」と尋ねられると「広之さんとなんか、絶対無理!」と今でも真田の前では極度に緊張してしまい「付き人根性が出てしまう」との一面を見せている。
2017年12月17日放送、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』「放送700回記念!人生の後悔スペシャル!」で「怖い先輩」に関するエピソードを紹介した。真田広之の付き人をしていた頃、『犬死にせしもの』で共演していた佐藤浩市らとゴルフ場へ行った際に、真田が「ジュースを買って来い」と堤に命じたところ、「真ちゃん、オレにも買ってきてくれ」と佐藤からも頼まれたという。それからというもの、真田の付き人か佐藤の付き人か分からないぐらい佐藤にこき使われていたと語り、同番組内でビデオ出演した佐藤も、「そんな事で恨まれていたとは知らなかった」と証言。それらのエピソードが本当であることが判明した。堤は佐藤の前では「カチコチになり、飲みの席に(佐藤が)現れても直立不動で、まともには口もきけず演技もできない」との証言をし、共演NG俳優は佐藤と真田であると分かった。また2019年6月12日放送、フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』では「途中でどっちの付き人をしているか分からないぐらい浩市さんには可愛がってもらっていたので、絶対に共演したくないです」と話し、共演しないのは駆け出し時代にお世話になったことや俳優としての憧れも強すぎる上、付き人時代の自分に戻るため演技なんてできないからと明かした。かつて椎名桔平と飲んだ後に佐藤が合流した際、堤は「そこまで結構酔っぱらってたのにピシーッ!」と、緊張のあまり直立不動になってしまったと番組で笑わせた。
映画『容疑者Xの献身』では役作りをするにあたって頭髪の前部を白髪に染め、さらに一部をそり落とし髪の毛も抜いて役に挑んだ。
その作品に限らず、姿勢、体重の増減など徹底した役作りには定評がある。
ヒューマンドラマからアクションまでジャンル問わず出演し、シリアスやダーク、エキセントリック、コミカルまで幅広い役柄を演じている。
役との向き合い方について、「自我の放棄をどういかにできるか。自分自身を殺していっているような作業で苦しいがそれで役が自分に一番染み渡る」と考えている。
舞台中心に活動をしていた頃、イギリス人の演出家デヴィッド・ルヴォーから『お客さんはお前なんか見に来てないんだ』『お客さんは役と役の関係性を見に来ている、物語を見に来ているんであって、お前を見に来ているわけではない。だから会話をちゃんと成立させることに集中しろ』『相手とどういう関係で、どういう思いでそれを伝えようとしているのかに集中しろ』と言われ、役者の仕事は「自己主張ではない」ということを教わる。
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