黒ずくめの組織

黒ずくめの組織(くろずくめのそしき)は、『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌原作の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス『名探偵コナン』の作品に登場する架空の犯罪組織。黒の組織とも呼称される。本項では、原作とは一線を画しているオリジナルストーリー「特別編」も含めた黒ずくめの組織の関係者も扱う。

概要

工藤新一の身体を幼児化させた毒薬・APTX4869を開発した国際的犯罪組織で本作の敵勢力。「黒ずくめの組織」という名称は仮称であり、原作ではこの仮称はサブタイトル内でしか登場しておらず、正式名称は不明。

所属者は基本的に全身をの装束に包んで任務を行う。組織の主な活動内容は、重要人物の暗殺、裏での金銭やプログラムソフトの取引、謎の薬の開発などである。世界各国に活動拠点が存在する極大規模の犯罪組織であり、世界中に組織の構成員がいる。組織のメンバーの中には、表向きの仕事が政界財界・官界・芸能界・医療科学といった各界の重鎮の者もおり、その場合は、特にその功績が優秀な者が組織の一員としてスカウトされる。そういった暗躍により、APTX4869以外にも十数秒で非通知通話逆探知して電話番号を手元のPCに表示するハッキング用プログラムやコンピュータウイルス「闇の男爵」(詳細は#広田正巳を参照)など、初公開当時には一般的な脅威となり得た違法ソフトウェアすら開発している。

一方、組織の巨大さゆえか数多くのスパイの潜入を許してしまっており、日本公安警察アメリカFBICIAなどからの潜入捜査が行われている。とはいえ、優秀なはずの捜査官たちが潜入して調査しているにもかかわらず、組織の全貌を掴ませておらず、作者も「NOCがわりと多いけど大丈夫?」との読者の質問に対し、「大丈夫です」と回答している。複数の劇場版で脚本を担当した櫻井武晴によると、組織のメンバーは一枚岩ではなく、この事実こそが彼らの現状と行く末を暗示しているという。劇場版第20作『純黒の悪夢』では、組織のNo.2のラムが腹心・キュラソーに命じて警察庁から世界中の諜報機関NOCリストを盗ませて該当者を暗殺させていたうえ、組織が諜報戦争の要を握ろうと画策していた。

組織の暗殺のターゲットとなるのは、裏社会での取引相手・組織から脱走した裏切り者・組織の犯罪活動を目撃した者が主である(組織のことを知らない一般人であっても抹殺対象となりうる)。また、組織の存在を示唆するようなミスを犯した所属者は、幹部であろうと問答無用で粛清される。暗殺に際してはライフル爆弾・毒薬を補助的に用いるが、基本的には拳銃を用い、現場に証拠を一切残さない。

アニメ版では大規模な射撃場を整備しているなど、広大な土地を保有している。また、劇場版第13作『漆黒の追跡者』や第20作『純黒の悪夢』、第26作『黒鉄の魚影』では攻撃ヘリコプターAH-64 アパッチオスプレイ潜水艦など多数の兵器を用いる姿が描かれており、機体や艦体に搭乗したうえで機銃掃射や長魚雷での雷撃などによる破壊行為に出て公衆の面前で施設ごとターゲットを抹殺しようという、派手な手段に出ている。

組織の目的

組織の真の目的については明らかにはなっていないが、半世紀前(50年前)から「極秘プロジェクト」を進めている。また、物語の進行に伴い、このプロジェクトの推進が組織の真の目的である可能性が浮上している。

  • 灰原哀の両親・宮野夫妻と親しく、開発中の薬について聞かされていたピスコは、幼児化していた灰原が元の姿になってから再び幼児の姿に戻った後、「素晴らしい!」「まさか君がここまで進めていたとは…。事故死したご両親もさぞかしお喜びだろう…」と語っていた。
  • "高飛車な口調の女"(ベルモット)が、システムソフトの開発者・板倉卓に「何様のつもりだ」と電話越しになじられた時、「We can be both of God and the Devil. Since we're trying to raise the dead against the stream of time.(我々は神でもあり悪魔でもある。なぜなら時の流れに逆らって、死者を蘇らそうとしているのだから…。)」と述べている。
  • コナンたちが不老不死の人魚伝説が伝わる美國島を訪れた際、不老長寿のお守り「儒艮の矢」抽選参加者名簿の中にジンとウォッカのコードネームに似た名前「黒澤陣」「魚塚三郎」と灰原の本名である「宮野志保」が記載されている。

作者は組織の目的が「不老不死ではない」ことを明言している。なお、劇場版第20作『純黒の悪夢』の脚本を担当した櫻井武晴は、その作業に際して作者から組織の目的や現状をすべて教えられたとの旨を明かしている。

アニメにおける変更点

テレビアニメ版では当初、放送開始直後ということやまだ黒ずくめの組織を登場させられないと判断されたことと、途中で打ち切りになったとしても収拾が付けられるよう、組織が絡む第5話「新幹線大爆破事件」と第13話「奇妙な人捜し殺人事件」では組織を登場させず、別の犯人に置き換えてその者が逮捕される内容に変更された。やがてテレビアニメ版が軌道に乗ると、後者の事件は灰原の登場に当たって必要不可欠な重大要素となったため、原作の本筋だけを残して大幅にアレンジした別エピソードの第128話「黒の組織10億円強奪事件」が制作された。しかし、前者の事件での重要点は「ジンとウォッカのコードネームが発覚する」ことのみだったため、代替エピソードが制作されなかった。このため、テレビアニメ版ではジンとウォッカのコードネームは第52話「霧天狗伝説殺人事件」において、これまでのあらすじを振り返る形で初めて紹介され、その流れでコナンがジンとウォッカのコードネームだけはすでに突き止めていたように描写された。

なお、それ以降で組織が絡む事件は、第13話のように原作との矛盾が生じるとその後の辻褄合わせが困難になるといった理由から、原作通りに作られるようになっている。また、2016年放送のスペシャルアニメ『エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』以降は前述のアニメオリジナル設定ではなく、原作の設定で描かれている。

別作品における黒ずくめの組織

他にも、黒ずくめの組織の存在が示唆されている作品がある(ただし、組織自体は未登場)。

    まじっく快斗
    メディアやエピソードによっては『名探偵コナン』と同一世界(『コナン』と同じ内容を『快斗』側の視点で描く)という設定になっているうえ、主人公・黒羽快斗の宿敵である謎の組織もその非道さや全貌の不明さなどで、黒ずくめの組織との共通点を持っているが、両組織の関連性は不明となっている。
    ルパン三世
    テレビスペシャル『ルパン三世 the Last Job』の前日譚を描く漫画「風魔VSルパン お宝争奪大作戦!」の登場人物・神楽坂飛鳥が実年齢(25歳)より若く見えることについて、黒ずくめの組織やAPTX4869の存在を示唆するやり取りが存在する。詳細は作品記事を参照。
    ルパン三世VS名探偵コナン』、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE
    上記だけでなく『ルパン三世』と『名探偵コナン』のクロスオーバー作品でもルパン三世らルパン一味は黒ずくめの組織やAPTX4869の存在を把握していることが判明している。

構成員

黒幕

    あの方 / ボス / 烏丸 蓮耶(からすま れんや)
    黒ずくめの組織のボスにして黒幕。表向きは半世紀前に99歳で死去したとされている烏丸家の当主で「烏丸グループ」の会長。姓の「烏丸」はアルファベットで「CARASUMA」とも表記される。
    メールアドレスは「♯969♯6261」で、若干音のズレはあるが、携帯電話のプッシュ音が童謡「七つの子」のメロディになっている。灰原はその正体について、「ただでさえ信じ難い人物が浮かび上がって来るかもしれない」との発言をしている。71歳のピスコは「長年仕えた」と語っている。
    ラム、ジン、ピスコ、ウォッカ、キャンティ、アイリッシュなどは、「あの方」と呼び、ベルモットは、「ボス」と呼んでいる。
    赤井秀一を自分たちに対する"Silver Bullet"(シルバー・ブレット:モンスターホラー小説で狼男を倒すことができる唯一の武器)になり得る存在として恐れを抱いている。
      容姿
      現在、シルエットでしか登場していない。首筋まで伸びた髪と高い鼻、やや肥満気味な体型をしている。素性や素顔は不明。右手にはを持ち、左肩には自身の紋章にもなっているカラスらしき鳥を乗せている。
      人物像
      財産は母親から受け継いだものとのことで、作中では烏丸家は衰退したと言われているが、作者は「烏丸蓮耶の財力は鈴木財閥大岡家を上回っている。ダントツ」と回答している。工藤優作いわく「この日本で最も強大な人物」。67年前の烏丸蓮耶の誕生日パーティーでアメリカの資産家のアマンダ・ヒューズなどの表世界の上客達を招いており、67年前以前から日本の政官財と裏社会や世界各国の政財界に強い影響力があった。47年前には国際経済フォーラムで烏丸グループの会長として出席するつもりだったはずが体調不良で欠席し、代わりに側近のラムを登壇させている。町医者時代の宮野厚司に研究のバックアップを申し出た施設のスポンサーも「烏丸グループ」であったが、宮野エレーナの姉であるメアリー・世良は「少し胡散臭い」と評しており、厚司も「悪い噂も聞くよ?」と発言している。
      表舞台に出ることは無いが、各種任務(ミッション)の際には側近のラムと共に陰から指示や命令を出しており、部下の状況をリアルタイムで正確に把握しているピスコマスコミに犯行の瞬間を撮影されて明日の新聞に掲載される失態をしてしまった際は、組織の情報の漏洩ろうえいを恐れて彼の暗殺をジンに命じた。また、組織に帰ってきたキールを疑い、複数の盗聴器と発信器、見張りも常に複数付け、赤井を殺害して身の潔白を証明するように命じ、バーボンが赤井に変装して彼が本当に死んだのかを調査する事を許すと疑り深くて念には念を入れる性分らしい。ベルモットからは「慎重居士、石橋を叩きすぎて壊しちゃうタイプだから」と評されている。ベルモットがお気に入りで「お前を自由にさせ過ぎたようだ。私の元へ帰って来ておくれ」と要請するが、その後も彼女の行動を制限している様子が見受けられない。バーボンこと降谷零(安室透)は、ベルモットの秘密を握っている数少ない人物の1人で、「組織のメンバーが知ったら驚くでしょうね…まさかあなたがボスの…」と発言している 。
      劇場版第26作『黒鉄の魚影』では、側近のラムですら居場所を掴めていないことが発覚。更にベルモットから、老若認証システムは開けてはならない玉手箱との報告を受けて「をつぶせ」と指示した事で「現在の烏丸蓮耶は容姿が変わり、本来とは別の姿をしている」という可能性が高まった。本作では老若認証システムの情報を知り、組織の活動痕跡をシステムから消し去る計画をジン達に実行させる。もしもの時は最終計画としてシステムを破壊する事も予定に入れていた。ラムは前述の計画を主導する一方で老若認証システムを使って最近姿を見せない烏丸の所在を突き止めようと考えていたが、ベルモットの暗躍によって、精度が低いと誤認して破壊を決めた。烏丸の居場所を特定しようと策謀を巡らせるラム、ベルモットと共にラムを謀る烏丸の姿が描かれ、ラムとの複雑な力関係が窺える。ただ、ラムは烏丸の所在を単に知っておきたかっただけか、なにか裏があるのか、その意図は不明となっている。
      作中の動向
      山中の奥野ダムから2km以上離れた長野県松本市の稲香村に、母親から受け継いだ洋館「黄昏の館」(別荘)を所有している。この館は扉、床、手すり、食器チェスの駒からトランプにいたるまで彼の特注品で、すべてに上述のカラスをあしらった家紋のような紋章が刻まれていた。40年前、余命幾ばくもない烏丸は「黄昏の館」に隠された財宝を一目見るために、大勢の考古学者を雇って調査させる。だが、考古学者達はなかなかその手掛かりを見つけられず、死期が迫って業を煮やした烏丸は見せしめとして考古学者を1人ずつ殺害。その後、結局財宝を発見するに至らず、それから20年のうちに烏丸は死去したとされる。館も衰退した烏丸家の手を離れ、至る所に飛び散った血飛沫を残し、この惨劇は人知れず闇に葬られた。財宝の正体については、当初はコナンが考古学者の千間恭介が残した暗号をもとに発見した純金の壁掛け時計を指しているものと思われたが、実際にはその時計を取り外すことで館の外壁が剥がれる仕掛けになっており、館自体が1000億以上の純金でできていることが明らかとなった。
      17年前の羽田浩司の殺害現場に残されていた手鏡の「PUT ON MASCARA」という文字を見て、当初コナンと秀一は「ラム」の正体に繋がる手掛かりとされる「ASACA RUM」が隠されていると推理していた。しかし、後に優作と秀一が「ASACA」と「RUM」の2つの単語に分けるのではなく、「CARASUMA」の8文字で1つの名称になると推理し、烏丸が組織のボスの名であることが明らかとなった。
      2017年12月13日に『サンデーうぇぶり』アプリ版で公開された動画内で、作者・青山剛昌によってボスの正体が初めて公式に明言された。

幹部

「あの方」によってカクテルの名前に由来するコードネームが付けられており、通常はそれで呼び合う。基本的にコードネームを持っている幹部メンバーの地位は、ウォッカがジンやベルモットに敬語を使うなど実力や年功序列などによる多少の上下関係はあってもほぼ同格とされ、ジンが部隊における幹部同士のリーダー的立ち位置にいるのはたまたまである。ただし、組織での地位がNo.2とされるラムは別格であり、ジンやベルモットなどのメンバーに指示・命令を下す地位にある。

個別記事および名探偵コナンの登場人物の項に詳細のあるキャラクターの詳細については各リンク先を参照。

    ラム (Rum) / 脇田 兼則(わきた かねのり)
    声 - 千葉繁
    「あの方」・烏丸蓮耶の側近。組織のナンバー2であり、コードネームを持つ幹部の中でも別格の存在である最高幹部。コードネームはあの方に長年仕えた自身の父親から受け継いだもの。67年前に烏丸蓮耶の誕生日パーティーでアマンダ・ヒューズはまだ子供だったラムと対面しているが、その頃には父親のコードネームと同じ「ラム」のあだ名で呼ばれていた。
    ラムの正体に関してはボスの正体に並ぶ組織の最高機密(トップシークレット)の1つとされており、直接ラムに会えるのは限られた人物のみである。赤井秀一がライ(諸星大)として組織に潜入していた頃も、何度かラムのコードネームを耳にしたことがある程度であった。灰原哀=宮野志保もシェリーとして在籍していた頃はラムと会ったことがなく、他のコードネームを持つ幹部でさえ大半の者がラムと直接会ったことが無いが、ジンはラムとの直接的な面識がある。
    組織内での影響力は強大であるらしく、赤井もその存在を「ジン以上の大物」と警戒している。「あの方」にとっても無くてはならない存在の一人となっている模様で、本編の17年前に羽田浩司殺害事件において重大な失態を犯しながら粛清されなかったことについて作者は「No.2だから」と答えている。作戦実行部隊の実質的なリーダーとなることが多いジンもラムの命令には一切逆らえず、ベルモットでさえ、意見に反論すらしていない。
    若い頃には両眼にフォトグラフィックメモリーの類の特殊能力を有していたが、17年前の時点で右眼は能力を失っており、義眼になる前の左目の瞳は蛇眼になっている。このフォトグラフィックメモリー類の特殊能力で集めた情報で脅して政財界の大物達を操り、組織を大きくしていた。
    「Time is money(時は金なり)」を口癖としており、「脇田兼則(わきた かねのり)」と名乗っている。脇田としての表向きは、毛利探偵事務所の隣にある寿司屋・「米花いろは寿司」で板前をしている流れ板で、寿司職人として流れ板をやっている理由を「一っ所に腰を据えるのが性に合わない」「流れ流れてここに来た」等と語っている。目の前で「眠りの小五郎」の推理を見て「寿司代を安くする」という条件で小五郎に弟子入りを快諾させ、「米花いろは寿司」に腰を据えている。
    劇場版第20作『純黒の悪夢』では、優れた記憶力と身体能力を高く評価してキュラソー右腕として招き入れている。
      容姿
      脇田兼則としての顔は、鼻の下のちょび髭と出っ歯が特徴。しかし、その容姿はカツラ・付け髭・付け歯を用いた変装であり、本来はスキンヘッド。過去に何らかの事故で負傷し、左の眼球義眼になっている。脇田兼則に変装時は、その義眼の左目を眼帯で隠し、「ひどいでき物ができた」「治りかけていたが、かゆくてかいたら前より酷くなった」と店や周囲の人々に説明している。
      他の幹部達からは、「片方の目が義眼」「屈強な大男」「女のような男」「年老いた老人」「噂される人物像の全てが影武者」等と十人十色な噂を聞いていたが、ジンがウォッカに話したところによれば、それらの噂で間違いない真実は「左目が義眼」である事ぐらいで、他については殆どが護身の為にラム自らが巧みに流した偽情報(ブラフ)との事。
      人物像
      脇田としての一人称は「アッシ」で、江戸弁で話す。ミステリー好きと公言してある程度の推理力を見せ、小五郎からは「まあまあ」と評されるが、これは小五郎や周囲の人間達を欺く為の完全な演技である。本来の一人称は「私」で、本来の推理力や洞察力や観察力に関しても、コナンや赤井、バーボン、ジン以上に匹敵するレベルの物を備えており、工藤優作と同等の実力者。組織のメンバーに対しては丁寧であるが威圧的という慇懃無礼な口調で会話する。葉巻を愛飲している。
      あの方やジンと同様に、少しでも疑わしい点に関する事は見逃そうとしない注意深さの持ち主。2年前に赤井がライのコードネームで組織に潜入していた時も、早い段階で彼が奸賊である事を見抜いていた様で、赤井の本来の所属であるFBIがあの方に近しい組織の幹部・ジンを捕まえる為に待ち合わせ現場の倉庫に張り込んでいた際には、コルンに周囲の監視を行わせた上で自ら無関係を装った老人に変装する形で囮となり、それを見兼ねた捜査官の一人であるアンドレ・キャメルが自身に立ち去るよう警告した結果、赤井の正体を暴いている。また、この後コルンには、赤井とキャメル双方の写真を見せた上で抹殺を命令していた。組織の手によって死亡したとされている工藤新一の目撃情報が流出した際にも、脇田として出前の傍ら工藤宅の前を通って隣の阿笠宅を訪ねて事情を聞こうとするのと同時に、彼についての情報を直ちに提供するようバーボンに命じている。その後もメールによって再三に渡る形で情報提供を催促し「急げよバーボン」と釘を刺すメッセージも添えており、当のバーボン本人からは「とてもせっかち」と評されている。『純黒の悪夢』でキールとバーボンが組織に入り込んでいるスパイではないかと疑っていた際は、コナンによってキュラソーの携帯から送られて来たメールを見てキールとバーボンの処刑を中止させる一方、その内容の全てを鵜呑みにはせず、ジン達にメールの真偽を確かめるよう命じる形で警戒を促している。組織の脅威となり得る実力者で世界的推理小説家・工藤優作が日本に留まる理由をべルモットに探るように命じた。
      各種ミッションの際にはジン達に対し影から指示を送っており、FBIの捜査官を狙った作戦の際は、その卓越した推理によって標的のキャメルの動向の二手三手の先を見抜いた上で的確な指示を送っていた。その他にも作中での暗躍が語られるが、それらの目的の詳細は不明。
      ラムとしての愛車は黒のロールス・ロイス・ファントム。ただし自らは直接運転せず、直属の部下と思われる中年の男達が運転を行っている。
    ジン (Gin)
    声 - 堀之紀 、演 - 佐々木蔵之介
    新一=コナンにAPTX4869を飲ませた張本人。組織の実行部隊のリーダーである幹部で、「あの方」・烏丸蓮耶からの信頼も厚く、直接連絡を取り合える。FBIに「ジンを押さえればボスまで辿り着ける」と踏まれており、赤井からは後述の理由で「恋人」「宿敵」「本命」などと呼ばれている。
      容姿
      素性を知らなかった頃の新一から「平気で殺人を繰り返してきたよう」と評される程の冷酷な目つきと、銀色で腰まで届くストレートの長髪が特徴。目の色は深緑色。左の目尻は、赤井の狙撃によって傷を負わされた。防弾ジャケットを仕込んだ黒いロングトレンチコート、ノーネクタイのハイネック、黒帽子の服装がトレードマーク。
      人物像
      年齢国籍共に不詳で、日本での活動時は主に日本語を使用しているが、ベルモットとは英語でメールをやり取りしており、劇場版第20作『純黒の悪夢』のノベライズ版では、リースリングとドイツ語で会話をしている。詩人のような台詞回しも特徴。左利き。作者はジンの名前について「裏設定では『黒澤 陣(くろさわ じん)』っていう名前」とも答えており、単行本第28巻収録の「悪魔の矢」に出てくる名簿に、ほとんど見えないが「魚塚三郎」の隣に「黒澤陣」と書かれている。
      愛車は黒のポルシェ356A(正確にはC)で、「ドイツ雨ガエル」と呼んで気に入っている。愛煙家であり、喫煙する際にはマッチでタバコに火を付ける。愛用の拳銃としてベレッタM1934(アニメ版ではベレッタM92)、ライフルにはM16を使用する。
      とてつもない切れ者であり、キャンティとの通話に「ノイズだらけで聞き取りずらい」と言われて自分の車内にあるキールの靴底に仕掛けられた盗聴器に気付いたり、ウォッカを追跡する作戦を瞬時に看破して逆にコナンを窮地に追い詰めたりするなど、鋭い洞察力と観察力を持つ。公安警察の動きを正確に予想してあらかじめ観覧車に爆薬を仕掛ける命令を出すなど、先を予測する能力も高い。用意周到で用心深く、暗殺などの任務の際は絶対に準備や状況の確認を怠らず、無駄な行動も極力避けるように心掛けている。
      様々な分野に関して専門家に匹敵する知識を持ち、狙撃も一流の腕を持つ。気配を消して近づく技術を持ち、背後から近づかれた相手は銃を突きつけられるまでまったく気付かない。コナンに腕時計型麻酔銃の麻酔針を自分の右腕に撃ち込まれた際も、意識が薄れゆく中でも瞬時に右腕を拳銃で撃ち抜いて、その激痛で覚醒して任務を続行するなど、組織への忠誠心は高い。
      裏切り者や警察に手が回りそうな者の他にも目撃者であれば問答無用で抹殺し、目撃者が一般人の子供であろうと例外ではない。冷酷無情で、仲間や無関係な一般人や子供でも笑みを浮かべながら銃弾を放つなど、総じて殺人を楽しむ残忍な性格で構成員達にも怖れられている。「疑わしきは罰する」がモットーで、裏切り者もしくは(組織に潜入している人物以外に)組織について探りを入れている「ネズミ」である可能性が少しでも浮上した人物に対しては、例え確実な証拠がない段階でも射殺しようとする など、冷酷な思考を持つ。赤井、イーサン・本堂、スコッチの正体の発覚以降は組織内にネズミ(潜入捜査官)が入り込んでいることを問題視している。
      「殺した人間の顔と名前は忘れるようにしている」などの発言からも、数多くの殺人を犯していることが示されている。また、自分がどうでもいいと判断した過去のことも基本的に忘れるようにしており、羽田浩司の事件も「17年前にラムが抜かった仕事(ころし)なんざ、知った事か」と興味を示さなかった。なお、殺した人物の情報が必要な場合はウォッカからサポートを受けている。
      組織の人物との関係
      ボスの烏丸に対しては、組織に対してと同様の純粋な忠誠心を抱き、命令を忠実に守ろうと行動する。基本的にウォッカと二人で行動している。自身に忠実なことからも幹部達の中で一番信頼していると思われる。だが、拳銃を突き付けて尋問して次はないと思って気を付けろと警告している事からも、致命的なミスをしたり、裏切った場合は葛藤もせずに抹殺するだろう。ベルモットに対しては、ピスコ殺害後に「お前ほどの女をわざわざ呼んだってのにとんだヘマに付き合わせた」と謝るなど評価しているが、秘密主義にはうんざりしている。ちなみに肉体関係があることが原作で示唆されているがアニメ版ではカットされた。バーボンに対しては、彼が独断専行したと知ると「相変わらず気に食わねぇ野郎」と発言している。ベルモットとバーボンは秘密主義者であるため、どこで何をやっているのか分からない。そのため、鈴木財閥のミステリートレインにシェリーが乗っている可能性をベルモットからリークされた際は、シェリーを爆殺するためにミステリートレインの終点である名古屋の駅に爆弾を仕掛けた事をベルモットとバーボンに知らせず、ミステリートレインの乗客や名古屋駅にいる人々ごと始末しようと企んでいたが、行動を読んでいたベルモットに対策をとられていた。ラムに対しては「ラムからの命令だ。確実に任務を遂行しねぇとな」と従順に従う一方、前記のようにラムが17年前の任務に失敗した事には反感を抱いている。ピスコに対しては、「組織の力を借りてここまでのし上がったんだ。もう十分いい夢を見たただろ?」と笑いながら射殺した。
      コナンたちとの関係
      シェリー(宮野志保)とは彼女が組織を抜ける以前に何らかの関係があったことを暗示させる描写がある。シェリーの脱走後は車に残された赤みがかった茶髪と、さらに仕掛けられた盗聴器と発信器を見つけたためにそれが彼女だと断定し、彼女を抹殺するためにその追跡に執着していたが、ミステリートレインで「シェリーを抹殺できた」と認識して以降は「シェリー」の名を出さなくなり、シェリーが生きていることを知らない。
      新一=コナンの生存と幼児化を知らず、2023年現在まで再会および対峙したことはないが、FBIなどの組織とは別に単独で「組織に対抗する何者かがいる」ことは察知している様子であり、「探偵のようなキツネ」と表現した。
      赤井に対しては組織に潜入していた頃から嫌っており(ただし、ジンよりバーボンのほうが赤井を嫌っていたことがウォッカの口から語られている)、FBI捜査官であることが発覚してからはその動向を警戒し、キール奪還作戦に彼の殺害計画を組み込むなど強敵として認識し、抹殺対象としている。
      小五郎に対しては、キールの靴からコナンの仕掛けた盗聴器を発見したことで組織の認識やシェリーとの関わりを疑うようになる。この一件の直後は、赤井の機転とベルモットの擁護によって標的からは一応外すものの、完全には疑惑を捨てずに情報を共有した だけでなく、「暗がりに鬼を繋ぐが如く、(小五郎が)鬼だったとしたら、眠っている間に始末しねぇとな」とも語っている。
      その他
      2020年5月7日発売の雑誌『ダ・ヴィンチ』2020年6月号で実施された「読者にしあわせを与えてくれたキャラ」ランキングでは15位を獲得した。
      物語の都合上、(コナンに対しての)詰めの甘さが目立つことから、ファンには愛される一方で(組織を代表する)ポンコツキャラクターとしても捉えられている。
    ウォッカ (Vodka)
    声 - 立木文彦、演 - 岡田太郎
    ジンと行動を共にしている幹部構成員で、ジンとともにコナン=新一からマークされている、組織の最重要人物の1人でもある。右利きである。「魚塚 三郎(うおづか さぶろう)」という記述が、単行本第28巻収録の「悪魔の矢」に出てくる名簿にて、上述のジンの名前と示唆されている「黒澤陣」の隣に書かれていることで、それがウォッカの名前である可能性も暗示されている描写がある。
    がっしりとした体格の男性で、受け口とエラが張ったあごを持つ。常に漆黒のサングラスをかけているために素顔は不明。ジンへの忠誠心は高く、ジンのことは「兄貴」と呼ぶ。ジン以外のメンバーのことはあまり信用していない。ジンやベルモットに対しては語尾が「〜ですぜ」「〜ですかい」という独特の丁寧語を使うほか、彼らと同様に皮肉めいた言い回しも用いる。組織内ではテキーラとほぼ同格の地位 にあり、彼の死後はその任務を引き継いでいる。
    拳銃等の武器の取り扱い、自動車・バイク・戦闘ヘリ などの操縦、IT、さらに潜入捜査の際には特殊メイクによる変装など多彩な能力を持ち、ジンの右腕として活躍を見せている。しかし、ジンとは対照的に機転と注意力に欠けた失敗が多く、彼にはたびたび指摘されている。ジンが忘れるようにしている「殺した人物」の情報が必要になった場合は、それを教えるなどのサポートをしている。APTX4869を使って始末した(と思い込んでいる)工藤新一のことも覚えており、ジンの命令でベルモットが関与している「季節外れのハロウィンパーティー」に変装で潜入した際には、当人(正確には服部平次の変装)が現れたことに驚愕したのち、ジンに報告している。
    極悪非道な性格で、取引相手や標的に対して粗暴な態度を取り、ジンの「疑わしきは罰せよ」という方針にも「疑わしきは罰せよってヤツですね兄貴!」と賛同している。ただし、劇場版第20作『純黒の悪夢』で疑惑の段階で確証までは得ていない状況下でも即座にジンがキールとバーボンを殺そうとした際は、動揺して躊躇いも見せ、ジンのように冷酷・冷徹さを仲間にまでは貫けない悪党としての半端ぶりや、作戦遂行中に指示してきたラムの読みが的中する度に感心するのをジンに「いちいち誉めるな」とツッコミを入れられるなどの人間味のある側面も目立つ。
    愛用の拳銃については不明だが、ジンがAPTX4869を用いて新一の殺害をもくろんだ際には、リボルバーを懐から出してジンに止められている。また、シェリーがピスコに拉致・監禁された際には、サイレンサーを装着したFN ブローニング・ハイパワーを使用している。
    ベルモット (Vermouth) / クリス・ヴィンヤード (Chris Vineyard)
    声 - 小山茉美
    情報収集や暗殺、取引などのサポートを行う組織の女性幹部。『あの方』・烏丸蓮耶のお気に入り。
    "A secret makes a woman woman."(訳:女は秘密を着飾って美しくなる)が座右の銘
    使用している拳銃は、原作では「SIG SAUER P230」など、アニメ版では「ワルサーPPK」「S&W M36」「コルト・ベスト・ポケット」など。組織の任務の際は、ハーレーダビッドソン・VRSCに乗る場合が多い。
    モデルは『ルパン三世』シリーズの登場人物である峰不二子
      人物像
      ハリウッドで活躍する人気二世女優。29歳。秘密主義で謎の多い女。
      プラチナブロンドのロングヘアーと碧色の目をしている美女。「千の顔を持つ魔女」の異名を持ち、その異名通り、老若男女問わずに変装可能で変声機を使わずに他人の声を模倣することもでき、この能力を活かして情報収集や攪乱工作を行う。変装術は過去に役作りのため、日本の有名マジシャンである黒羽盗一(初代怪盗キッド)に弟子入りして教わったもの。拳銃の扱いにも長け、車のサイドミラーを見ながら正確に後方の細部を撃ち抜く技量がある。身体能力も優れているらしく柵が外れて落下しそうになった時、新一と蘭の腕を掴まず、柵を掴んで軽々と飛び上がって見事な着地をした。
      「神様」「エンジェル」「天国」といった言葉を使用することがある。作中では英語と日本語しか使用していないが、作者曰く「ありとあらゆる言葉を話せる」とのこと。
      組織と無関係の一般人を脅迫して殺人を強要 、笑いながら標的を殺そうとする、FBIとその関係者に情けはかけないといった冷酷非情な行動をとる反面、無関係な人間は巻き込まないように配慮する描写も多い。
      カルバドスの一件から、キャンティとコルンに嫌悪されているが意に介していない、毛利小五郎の抹殺に異を唱えたことで訝しんだジンに銃を突きつけられても臆さず、口角を上げて質問に質問で返すなど胆力がある。あの方とラムに対しては敬語を使う。
      組織に対して彼女は含むところがあり、壊滅に追い込める存在と見込んでいる工藤新一(コナン)を組織から守っているバーボンになんらかの秘密を掴まれており、彼が消息不明になると組織内にリークされる手筈になっているとのこと。
      組織内ではコナンと灰原の正体やその所在を知る唯一の人物であると共に、灰原の両親である宮野夫妻が開発に携わったAPTX4869の研究の全容についても知っていることを示唆する言動があり、APTX4869に幼児化させる作用があることを組織に隠している節がある。
      本名と正体
      本名はシャロン・ヴィンヤード 。ハリウッドでアカデミー賞を受賞したこともある世界的な大女優。年齢は不詳、少なくとも40代を過ぎているはずだが、20年前とまったく同じ容姿をしている。演技と老けメイクで不老を隠しながら時期を見計らって娘のクリスとして素顔でデビューし、一人二役で活動。本編の1年前にシャロンの死を偽装して葬儀を行い、以後はクリスとしてのみ活動。ニューヨークで工藤有希子に話していた夫や娘の話は作り話である。
      シャロンが脚光を浴びた舞台が『ゴールデン・アップル』(『黄金の林檎』はギリシャ神話、北欧神話などでは『不老不死』の象徴。旧約聖書において『林檎』は『禁断の果実』)であるらしく、ジョディは標的名を聞かれて「『ラットゥンアップル(腐った林檎)』にでもしておきましょうか」と答えた。意味は赤井によると、「あの時のままアンタは綺麗だが、中身はシワシワの腐った林檎ってな!!」とのこと。(『ベルモット』呼びの方が言いやすい、分かりやすいからかこの2回しか出ていない)。
      コナンたちとの関係
      新一と蘭については、物語開始の1年前にニューヨークにて赤井を抹殺しようと通り魔の男に成り済ましていた時、シャロンにもらったハンカチが風に飛ばされ、それを探すために裏道を訪れていた新一と蘭に遭遇してしまう。始末しようとした際、廃屋の手すりが壊れて転落しかけたところを救われたという過去を持つ。この時の蘭の行動と新一の「人が人を助ける理由に論理的な思考は存在しない」という言葉がきっかけで、2人に肩入れするようになった。このような経緯から、新一(コナン)を"Cool Guy"(クールガイ)、蘭を"Angel"(エンジェル)と名付けた。新一(コナン)のことは『ベルモット編』ラストからは"シルバーブレット"で、「長い間待ち望んだシルバー・ブレット」「組織(われわれ)の心臓を射抜けるシルバー・ブレット」などと評している。バーボンとの協力において「何があっても2人に危害を加えないこと」を条件にしているが、「この世でたった2つの宝物」の1つが新一(コナン)だとは明言されていない。
      一方、シェリー(灰原)については「彼女だけはこの世にいてはならないのよ…」と2度ほど抹消に動いている。「ベルツリー急行殺人事件」後の「赤井秀一の消息」の際は、灰原はベルモットが近くにいたのに何の反応も示さなかった。劇場版第26作『黒鉄の魚影』でも同様。本作では灰原を助ける行動を取っているが、これは作者発案で「ブローチを譲ってくれた灰原を助けたというエピソードは、先生が初期の頃に足してくれたアイデア」と監督が言及している。有希子とは、共に盗一に弟子入りしていた時期に仲良くなった。有希子が女優になりたての頃からの親友であるが、ベルツリー急行で対峙してからは決別した状態にある。
    キャンティ (Chianti)
    声 - 井上喜久子
    腕利きの女性スナイパー。茶髪のショートヘアで、紫色の口紅を塗り、左目周りにアゲハチョウをあしらったタトゥーを入れている。国籍、年齢不詳。愛車は青の初代ダッジ・バイパー
    一人称は「アタイ」で、下品かつ過激な言葉使いが特徴。ラムが相手でもタメ口で話す。前述の容姿や愛車など、派手なものを好んでいる。主にコルンとコンビを組んで行動することが多い。
    射撃の腕は高速道路を走行中の車のタイヤを正確に狙撃するほど優秀で、劇場版では浮遊する戦闘ヘリコプターから指先ほどの大きさのメモリーカードもろともアイリッシュを狙撃して「ビンゴ!」と歓喜。使用ライフルのH&K PSG-1(8.1キログラム)を片手で持てる ほどの腕力の持ち主であるが、待ち伏せ時間の長さに癇癪かんしゃくを起こしてジンに「退屈しのぎに余計な羊を狩るな」と警告されるといった短気さに加え、人目につく形で狙撃体勢を取って一般市民に発見されて危うく狙撃が露見しかけるなど、腕前は別として影で暗躍するスナイパーとしては欠点も多い。
    スナイパー仲間のカルバドスを利用して見殺しにしたベルモットのことを、「『あの方(ボスの烏丸蓮耶)』のお気に入りでなければとうの昔にってる」と吐き捨て、面と向かって「いざとなったら構わずアンタに弾丸をぶち込んでやるからさー」と挑発したこともあるが、歯牙にも掛けられていない。作者曰く、コルンよりベルモットを嫌う気持ちが強いのは「キャンティは女だから余計に」とのこと。この一件から、短気な性格のうえに行動も過激だが、仲間に対しては気遣う面もある様子が窺える。
    コルン (Korn)
    声 - 木下浩之
    腕利きの男性スナイパー。常に黒い野球帽をかぶり、サングラスをかけているため、素顔は見えない。年齢・国籍共に不詳だが、出自は外国人であることを示唆する発言がある。使用ライフルはレミントンM24
    キャンティとコンビを組んで行動することが多い。一人称は「俺」で、饒舌なキャンティとは対照的に寡黙であり、助詞を省いた片言に近い言葉で淡々と話す。
    性格は冷酷で、人物を狙撃する際には頭を撃ち抜きたい旨を発言している。高速道路を走行中の車のタイヤを正確に狙撃でき、命中した銃弾の位置から瞬時に狙撃方角を特定できるほか、暗殺が寸前で中止になってもいら立ちを見せたりはしないなど冷静で活動時に感情的な迂闊さも見せず、スナイパーとしてキャンティよりも優秀である。その寡黙な性格を買われ、監視役としてラムからの命令を受けたこともある。
    感情の起伏はほとんど見られないが、単に無表情なだけではなく、劇場版ではキャンティがアイリッシュを狙撃した際に「俺、撃ちたかった」と不満を露わにしたこともある。また、親しかったのかスタウトの正体を知って射殺した際に「俺、信じてた。残念。」とつぶやいたり、スナイパー仲間のカルバドスがベルモットに惚れてた事を知っており、彼を利用した件でベルモットのことを嫌っている。また、遊園地の観覧車に乗りたがったり、それを知られると恥ずかしがったりするなど、人間味ある面もある。

本編途中で死亡した幹部

    ピスコ (Pisco) / 枡山 憲三(ますやま けんぞう)
    声 - 村松康雄
    「あの方」・烏丸蓮耶に長年仕えていた組織の古参幹部。71歳。表の顔は自動車メーカーの会長で、コナンからは「経済界の大物」と評されている。白髪と細目が特徴の老紳士で、表向きは落ち着いた言動を見せる。組織の一員だと発覚した後は年寄り臭い口調は影を潜め、細めていた目も見開いている。
    灰原の両親である宮野夫妻とは親しい仲で、開発中であったAPTX4869について聞かされており、身体が幼児化していったシェリー(宮野志保)を見て「君がここまで進めていたとは」と語っていたことから、その本来の用途に関しても知っていたようである。アイリッシュからは父のように慕われていた。
    老齢ながら練達した狙撃手でもあり、暗闇の中で布をかぶせた拳銃を用いてシャンデリアの鎖を撃ち抜く技術を持つ。しかし後述のように不注意による大失態を犯したことから、「耄碌もうろくしたな」「あの老いぼれ」と酷評され、サポートするためにアメリカから呼ばれたベルモットにも「死んで正解だったわね」と毒づかれている。使用拳銃はワルサーPPK
    「映画監督・酒巻昭氏をしのぶ会」の会場で、収賄の発覚によって逮捕寸前だった呑口を暗殺した後、会場を訪れていた灰原がシェリー(宮野志保)と同一人物であることに気づいたため、彼女をホテル旧館の酒蔵に監禁し、始末を画策する。まもなく、コナンに犯行を見破られたために灰原もろとも始末しようと動くが、その直前の銃撃でスピリタスが漏れ出して気化していたことに気付かず、自身のタバコから引火して酒蔵が炎上するという想定外の出来事に動揺した結果、コナンと灰原の脱出を許してしまう。その直後、ジンから呑口を暗殺する際に銃口を天井のシャンデリアに向けた瞬間をカメラマンに撮影されていた、その写真が翌日の朝刊の1面に掲載されるという事実を知らされて、「あの方に長年仕えた私を殺せばお前(ジン)の立場も危うくなる」と命乞いを試みたが、「あの方」直々の命令だと告げられて愕然。夢の続きは向こうで見るんだなと射殺された。なお、死後には自宅が全焼したことが目暮警部の口から明かされている。
    テキーラ (Tequila)
    声 - 廣田行生
    コンピュータのプログラム関係の取引を行っていた構成員。地位はウォッカと同格。
    口ひげをはやした身長2メートルを超す大男で、関西弁で話す。
    コナンに発信機を靴底へ取り付けられてもそのことに気づかないまま彼を蹴り飛ばす、後述の爆弾の入ったカバンにすりかわったことに気づかないなど、粗暴な性格で抜けた一面を持つ。その容姿と服装からかなり目立っていたようで、取引現場付近にいた複数の第三者に覚えられていた。
    物語開始の2年前には、プログラマの板倉卓にあるプログラムを作れと強要していた。その後、ゲーム制作会社・満天堂で中島秀明と取引しようとしていたが、竹下 裕信(たけした ひろのぶ)が中島を殺害する目的で用意していた爆弾入りのカバンを間違って受け取ってしまい、トイレでカバンを開けた途端に爆弾が起動したために爆死した。爆撃をまともに受けたことから、遺体は損壊が激しく、身分を証明するものも発見されなかったため、身元の判別が不可能とされた。なお、死後はウォッカが板倉への任務を引き継いでいる。
    カルバドス (Calvados)
    声 - なし
    腕利きの男性スナイパー。愛用銃はレミントン。使用ライフルH&K MSG90(アニメ版のみ。原作では不明)。
    ベルモットにシェリー殺害のサポートを頼まれて協力する 。ベルモットに拳銃を向けているジョディの腹部をライフルで狙撃して重傷を負わせた。車のトランクから飛び出した蘭についても狙撃しようと銃口を向けるが、それはベルモットに制止された。その後、赤井によって両足を折られ、持っていたライフル、ショットガン、拳銃3丁を回収されたが、その獲物の多さから「どこかの武器商人かと思ったぞ」と評された。さらにベルモットが逃走後、隠し持っていたもう1丁の拳銃で自殺。この一件から、ベルモットはキャンティとコルンに嫌悪されている。コルン曰く、ベルモットに惚れてたらしい。
    登場は終始シルエットだったうえ、台詞は原作のみ自殺の際にうめいた断末魔が唯一だったため、声質、本名、国籍、容姿などについては不明。アニメ版では後にコルンの回想シーンで銃を構えキャップを被ったサングラス姿の上半身が描かれている。

その他の構成員

組織でコードネームを与えられていない下位層の構成員。

本編途中で死亡した構成員(コードネームなし)

    宮野 明美(みやの あけみ) / 広田 雅美(ひろた まさみ)
    声 - 玉川砂記子
    灰原哀こと宮野志保の姉。国籍は日本だが、日本人の宮野厚司と日系イギリス人の宮野エレーナとの間に生まれたイギリス人クォーター。母方の親族に、伯母であるメアリー・世良、義伯父である赤井務武、その実子であり従兄妹にあたる赤井秀一羽田秀吉世良真純を持つ。
    南洋大学を数年前に卒業。帝丹小学校にも在学しており、19期生に当たる。20年前に両親と共に父親の友人のデザイン事務所を訪れていた頃、4 - 5歳だったと事務所の社員に証言されているほか、帝丹小学校時代の同級生たちが25歳であるため、死亡時の年齢も彼らと同様と推定される。偽名は恩師である広田正巳から取って付けた「広田雅美」。
    組織の重要人物であった妹とは違い、コードネームは付けられておらず、監視付きではありながらも大学へ通い友人と交遊するなど比較的自由な生活を送っていた。ただし、小学生時代は組織の命令でよく転校させられていたとのこと。
    明るく優しい性格であり、志保にも慕われていた。自分の命が危うい状況でも気丈に振る舞い、心配する妹を気遣っていた。赤井には「平静を装って陰で泣いていたバカな女」と評されている。
    生前、コナンとはほとんど接点がなかったものの、彼に対して「子供のくせに落ち着いていて大人っぽい」という認識を持っていた。また、死亡する直前にはコナンが工藤新一であることを本人に明かされているが、アニメでは「あなたが? そう…噂は聞いているわよ」と納得している。
    5年前、諸星大に車へ当たり屋をされたことをきっかけに、3年間恋人として付き合っていた。しかし、アンドレ・キャメルのミスにより諸星がFBI捜査官・赤井秀一であることが組織に発覚したため、付き合い続けることができなくなった。この事件により、明美は組織に「FBIの潜入捜査を手引きし、今後も組織の情報を外に漏らす原因を作る可能性が高い危険人物」と認識されることになる。それから2年後、自分と志保を組織から抜けさせることを条件に、銀行強盗(アニメでは現金輸送車強盗)を実行する。犯行は成功するが金の隠し場所を教えなかったため、約束を反故ほごにされてジンに腹部を撃たれて致命傷を負ってしまう。その後、ジンとウォッカが立ち去って間もなく駆けつけたコナンに、自分が黒を象徴とする巨大な犯罪組織に所属する末端の人間であることと、強奪した10億円の隠し場所を告げて息を引き取った。
    コナンが自分から「工藤新一」だと告げた数少ない人物で、告げた理由について作者は「この人はもう助からないと思って本当のことを喋ったんだよ」と明かしている。明美の死によって志保(シェリー)は組織から逃亡し、灰原として登場することとなる。
    原作では第2巻という早い段階で登場し、アニメでは第13話「奇妙な人捜し殺人事件」がこれに相当するエピソードだが、ジンとウォッカが沖田(おきた)という組織に関係のない銀行強盗常習犯に置き換えられる改変が行われたため、アニメでは第128話「黒の組織10億円強奪事件」(明美と組織が絡む本筋を残したアニメオリジナルエピソード)の中で初登場した。なお、2016年に放送されたテレビスペシャル『名探偵コナン エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』では、原作に準拠した設定で描かれた。
    劇場版第5作『天国へのカウントダウン』では、劇場版オリジナルの設定として生前に組織の監視を逃れ、マンションの一室に構えていた隠れ家が登場する。ジンと共にたどり着いたウォッカが大家から聞き出したところによれば、明美が1年分の家賃を前払いしていたことから電気や電話は使えるままとなっており、寂しさに駆られた灰原は留守番電話に残る姉の声をひそかに聴いては妹としての思いを告げていたが、それがもとでジンたちに逆探知されかけたうえ、命を狙われることとなる。
    楠田 陸道(くすだ りくみち)
    声 - 岩田光央
    キールが杯戸中央病院に潜伏している可能性があると考えた組織から、頸椎捻挫けいついねんざの患者として同病院へ送り込まれたスパイ。組織の重要人物ではなく、コードネームは与えられていない。
    最初は順調な働きを見せるが、コナンにスパイの存在や正体を見抜かれたうえ、彼の推理を聞いたFBIの陽動作戦で捕まりかける。機転を利かせて車で逃走を図るも、捜査関係者の1人に赤井が含まれていることを知り、その恐怖から隠し持っていた拳銃で頭部を撃って自殺する。その遺体は赤井の死を偽装するためのトリックに利用され、彼の車ごと焼き払われた。
    使用拳銃はグロック17で、後に入手ルートを調査するために赤井秀一を通じて降谷零(バーボン)の手に渡った。
    呑口 重彦(のみぐち しげひこ)
    声 - なし
    組織に属していた政治家。56歳。収賄の発覚によって逮捕寸前の状態になり、情報の漏洩ろうえいを懸念した組織に切り捨てられ、杯戸シティホテル内で開催されていた「映画監督・酒巻昭氏をしのぶ会」の最中、ピスコの拳銃で撃ち落とされたシャンデリアの下敷きとなって死亡した。さらに、死後その家族も蒸発したことが目暮警部の口から明かされている。

故人(コードネームなし)

    宮野 エレーナ(みやの エレーナ)
    声 - 鈴木弘子(第341話 - 第771話)→ 林原めぐみ(第953話 - )
    宮野明美、宮野志保の母。夫の厚司と共に組織の科学者を務めていたが、数年前に研究所の火災に巻き込まれ、彼と共に焼死したとされている。日本人イギリス人とのハーフである日系イギリス人。厚司とは留学のためにイギリスから来日した際に知り合う。第二子妊娠年齢は29歳。メアリー・世良の実妹で、赤井秀一、羽田秀吉、世良真純の叔母に当たる。旧姓は「世良」。
    担当患者とも最低限しか会話しない人見知りな性格で、対面したことのある阿笠からも「無口で何を考えているのかわからなかった」と評されている。組織では「ヘル・エンジェル」(地獄に堕ちた天使)と評されていた。しかし、実際は娘との「別れ」を悟り、志保への誕生祝いを録音したカセットテープを用意するなど、娘思いであった。
    志保へ遺したカセットテープのうち18歳用のテープで、開発中の薬について「今、とても恐ろしい薬を作ってるの。ラボの仲間は夢のような薬って浮かれてるけど」と言及し、夫と共に願いを込めて「シルバー・ブレット」と呼んで作っていたこと、そしてその薬の完成には娘との「別れ」が必要であるという情報を遺している。
    組織と関わりを持つ以前は、厚司と共に町医者として個人医院「宮野医院」を開業していた。そこで面識を持った降谷零(バーボン)のことを、同じハーフであることから特別視していた。双方の関係は良好的で、喧嘩けんかなどでわざと傷を作って通院していたことや、「遠くへ行かなければならない」として零に別れを告げていたことが判明している。零の初恋の相手。
    宮野 厚司(みやの あつし)
    声 - 中村悠一
    宮野明美、宮野志保の父。組織の一員だったが、数年前に研究所の火災に巻き込まれ、妻のエレーナとともに焼死したとされている。エレーナが二番目の子供を妊娠していた当時の年齢は35歳であった。
    30年前には医師兼科学者として白鳩製薬で薬の開発チームの一員として勤務していた。何らかの夢を追ってある研究もしていたが、不本意にもマッドサイエンティストと叩かれて学会を追放されたうえ、白鳩製薬の倒産も重なり、個人医院「宮野医院」を妻と共に経営する生活に落ち着いていた。阿笠博士とも過去に発明品の発表会で何度か顔を合わせており、面識があった。
    眼鏡をかけて顎髭を生やした穏やかな風貌の男性であり、阿笠からも「気さくで感じのいい男」「ワシの発明品も気に入ってくれとった」と評されている。
    30年ほど前、幼なじみの出島 壮平(でじま そうへい)に「自分の理論を認めてくれたスポンサーの大きな研究施設に行く」と話しており、デザイン事務所として使用する物件を探していた彼に自分の家を明け渡して去った。その後、20年前に「出島に大事な話がある」とエレーナと明美を連れて出島の事務所を訪れたが、ちょうど彼は不在だったため、会わずに帰った。
    少年時代に医院に通っていた降谷零(バーボン)の回想では、烏丸グループ出資の施設にて研究のバックアップを打診されていたが、エレーナの姉であるメアリー・世良から「少し胡散臭い」と言われたうえに、自身も悪い噂も聞くからと断ろうと思っていたが、烏丸グループに不信感を持っていないエレーナの後押しと妊娠もあって前向きに検討し始めた旨が描かれている。

本編途中で脱退した者

    シェリー (Sherry) / 宮野 志保(みやの しほ)
    声 - 林原めぐみ
    組織の科学者で、「APTX4869」の開発に携わった宮野厚司と宮野エレーナの次女。隠し持っていた「APTX4869」を飲んで身体が幼児化し、現在は灰原 哀はいばら あいと名乗り、阿笠博士宅に居候しながら帝丹小学校1年B組に通う一方、「APTX4869」の解毒薬を研究している。裏切り者として組織からミステリートレインで爆殺されたと認識され、ベルモットを除いて組織に生存を知られていない。
    沼淵 己一郎(ぬまぶち きいちろう)
    声 - 龍田直樹
    頬がこけて頭蓋骨にそのまま皮膚を貼り付けたような顔をした、関西出身のやせ男。
    組織の仲間と言っても末端の末端で、かつては身軽さを買われ、有能な殺し屋になるための教育を受けていたが、まるで使い物にならなかったことから、シェリーが開発した薬の実験に使われる予定であったが、人体実験の前に逃亡した。研究所に彼の資料が送られていたため、シェリーは顔を知っていたが、彼の逃走中にシェリーも組織から抜けたから会った事はない。
    灰原は、組織の影に怯えながら逃げて追手と勘違いして一般人の3人を殺害した彼を「哀れな男」と言いつつも、遊び半分で殺人を犯しているため、「同情の余地はないけど」と語った。人間的には厚い面もあり、自身も深い関わりを持つ群馬県の森林でホタルを捕まえ、迷った光彦を保護同然に案内することもあった。
    その後、死刑囚として収監されているが、組織の情報を白状しても誰にも信用されないと組織に判断され、抹殺の対象から外されている。

潜入捜査官

かつての潜入捜査官

    ライ (Rye) / 赤井 秀一(あかい しゅういち)
    諸星 大(もろぼし だい)という偽名を使い、組織に潜入していたFBIの捜査官。正体が露見したため、逃走してFBIに戻り、コナンの策で死亡を偽装して沖矢 昴(おきや すばる)という大学院生に扮し、工藤邸に居候しながら行動している。
    詳細は「FBI (名探偵コナン)#赤井秀一」を参照。

故人(潜入者)

    スコッチ (Scotch) / 諸伏 景光(もろふし ひろみつ)
    かつて降谷零と共に潜入していた公安警察官で、警視庁公安部に所属していた。組織内では赤井や零と3人で行動を共にしていた。3年前に正体が露見し、組織が名前を聞き出す前に赤井の目の前で拳銃自殺した。
    詳細は「名探偵コナンの登場人物#諸伏景光」を参照。
    イーサン・本堂(イーサン・ほんどう)
    本堂瑛海の実父で、組織に潜入していたCIAの諜報員だった。不注意から危険な状況に陥った娘の身を守るため、瑛海の犯行に見せかけて自殺した。
    詳細は「名探偵コナンの登場人物#イーサン・本堂」を参照。
    バーニィ (Banyi)
    声 - 木村雅史
    かつてイーサン・本堂や瑛海と共に、黒ずくめの組織への潜入諜報を行っていたCIA諜報員。
    イーサンの新しいつなぎ役となる予定だったが、瑛海のミスが原因でイーサンが死亡してしまう。その直後に現場へ駆け付けたが、そこでジンとウォッカの存在に気付いて自殺した。潜入中の地位については不明。

オリジナルキャラクター

原作以外の作品に登場するキャラクター。2023年時点で、劇場版からは第5作『天国へのカウントダウン』、第13作『漆黒の追跡者』、第20作『純黒の悪夢』、第26作『黒鉄の魚影』にてオリジナルキャラクターが登場している。スパイ3人を含む6人のコードネームを持つメンバーと、コードネームの無いメンバー2人の計8人で、全員本編内で非業の死を遂げている。その他、スペシャルアニメ・テレビドラマ・ゲームおよび特別編にも、合わせて7人のオリジナルキャラクターが登場している。

劇場版

天国へのカウントダウン
    原 佳明(はら よしあき)
    声 - 橋本晃一
    コンピュータ会社「TOKIWA」の専務であり、主に最新ゲームのプログラムを担当するプログラマ。32歳。
    穏やかな風貌に子供っぽい性格から、少年探偵団にも懐かれていた。好物はチョコレートで、人前でも平然とつまんだり、殺害される直前もチョコレートケーキを食べようとしていた。
    黒ずくめの組織に関与していた時期があり、裏切って重要なデータを持ち去ろうとしていたが、同時期に発生した殺人事件のターゲットとなっており、その混乱に乗じて自宅へ踏み込んできたジンによって射殺された。なお、データはそれに際して自宅内のPCから消去されたうえ、その後にツインタワー内のTOKIWAのメインコンピュータもデータの流出を防ぐため、ウォッカによって爆破された。
    殺害される寸前には、犯人を指し示すダイイング・メッセージ(銀をローマ字表記にしたGINを英語読みにするとジン)としてそばにあった銀色のナイフを手に握り締めていたが、ジンはこれを「ナイフで銃に抵抗する気」と解釈したため、その真意に気づけなかった。一方、コナンはその真意に気づいたが、組織とは無関係に原を殺害する予定だった如月 峰水(きさらぎ ほうすい)によって現場を偽装されていたことと、「ジン」というコードネームが本名でもなく酒の名前でしかないことから、警察の捜査にこれ以上の進展は望めないといった理由を挙げ、この件での追跡を断念した。
    名前の由来はめぐみ山崎和神谷から。
漆黒の追跡者
    アイリッシュ (Irish)
    声 - 幹本雄之
    金髪で筋骨隆々な大男であり、本名・国籍は不明。上に向かって大きく歪曲し、端部が内側に折れ曲がったL字状の眉を持つ。ピスコを父親のように慕っていたことから、射殺したジンを恨んでいる。
    組織のNOCリストが入ったメモリーカードを回収するために派遣されるが、それを成功させるには連続殺人事件を解決する必要があると考え、ベルモットの協力で松本清長管理官に変装する。彼を監禁したうえで警察に潜入して捜査を進める過程で、コナンの正体が工藤新一だと気づき、「あの方」・烏丸蓮耶の前に連れて行き、ジンを失脚させようともくろむ。
    機転の利くコナンを見て疑いをかけ、手掛かりを集めて新一であることを突き止めたり、連続殺人事件を着々と捜査を進めて解決へ進めたりするなど、優秀な頭脳を持つ。
    戦闘能力も非常に優れており、暗がりの不意打ちとはいえ警察官7名を一挙に気絶させた(しかも、そのうち1名は身体能力も高い大和敢助だった)うえ、連続殺人犯や東都タワーの警備員も倒している。空手の関東大会優勝者である蘭と対峙し、技の精度や速度ではやや劣るが、体格や体力では上回り、顔の変装が破けてそれを見た蘭が怯んだ隙をついて圧倒したうえ、コナンのキック力増強シューズによるシュートにもダメージは受けつつ耐えきっている。拳銃の扱いにも長けており、連続殺人犯の振り下ろしたナイフを銃撃で弾き飛ばしたり、コナンのベルトとシューズを正確な射撃で破壊したりしている。使用拳銃はSIG SAUER P226
    メモリーカードの回収には成功したものの、警察が包囲していて逃げられないとジンに見限られ、ジンの命令に応じたキャンティにより、メモリーカードと共に狙撃された。重傷を負った敵である自分を救おうとするコナンを戦闘用ヘリコプター内の銃撃から守るべく自らを盾にして「工藤新一…いつまでも追い続けるがいい」と言い遺し、息を引き取る。
    岡倉 政明(おかくら まさあき)
    声 - なし
    広域連続殺人事件の第3の被害者。代議士秘書を装った黒ずくめの組織の工作員。32歳。
    自分が組織に消されないよう、保険としてお守り袋に組織の重要情報(NOCリスト)が収められたメモリーカードを入れていたが、その事実を把握した組織に近々殺害される予定であった。しかし、組織とは無関係の本上 和樹(ほんじょう かずき)から個人的に恨まれており、組織の手がおよぶ前に殺害された。
    組織の関係者ではあったが、自らの命を犠牲にして救ってくれた女性の命日には必ず花を贈るなど、義理人情に厚い一面も持っていた。
純黒の悪夢
    キュラソー (Curaçao)
    声 - 天海祐希
    ラムの1人目の腹心。組織内では情報収集のスペシャリストとして広く知られており、諜報活動や破壊工作の実績を認められている。
      容姿
      銀色のロングヘアーと右目が白色、左目が青色のオッドアイが特徴の女性で美人。後述の記憶喪失中にはスタイルの良さから光彦スーパーモデルのようと評されている。
      人物像
      ボクシングが得意な降谷零と互角に近い戦いを繰り広げる、警察庁が入居している中央合同庁舎第2号館から窓ガラスを突き破って飛び降りる、零や赤井らと過激なカーチェイスを繰り広げる、ダーツの矢をすべて的の中心に命中させる、高所から落下した元太を間一髪で助けるといった、高い身体能力や戦闘能力を持つ。また、カーチェイス中に片手でスマホを操作して日本語表記で入力する、記憶喪失中でもコナンら少年探偵団と普通に会話するなど、ベルモットと同じく日本語に堪能な一面も持つ。
      脳弓英語版に珍しい損傷があり、酒のキュラソーにちなんだ5色の半透明シートやライトを目にすると、優れた記憶能力を発揮する。かつて、その記憶能力で組織の重要機密を知ったため、ベルモットによって始末されそうになったが、ラムに「その能力を私のためだけに使え」と持ちかけられて命拾いし、彼の腹心となった。
      劇中での動向
      警察庁へ侵入してNOCリストを盗み出す際、風見裕也ら公安警察官たちに発見されて逃走し、零や赤井との逃走劇を繰り広げた。その後、逃走劇の末に記憶喪失となったところ、東都水族館の入口で少年探偵団と出会い、親しくなった。なお、零と赤井から逃走する際に彼らの足止めとして無関係の一般市民の車を事故に遭わせたり、赤井に「面白い、轢き殺してやるよ!」と過激な言葉を吐いたりしていることから、本来は粗暴かつ好戦的な性格だったことがうかがえる。
      終盤で記憶を取り戻すと一度は組織に戻ろうとするが、組織を裏切る道を選び、観覧車のゴンドラから逃走したことでジンたちに裏切りを悟られ、始末されることになった。観覧車から脱走する途中で灰原と遭遇して助ける。灰原の「私を彼らの元に連れ戻すつもり!?」発言で灰原の正体がシェリーであることに気付く。灰原に自分を助けた理由を聞かれ、少年探偵団の3人と過ごした時間を回想しながら「前の自分より今の自分の方が気分がいい。ただそれだけよ」と告げた。この場から共に逃げることを促すが、灰原から観覧車内に少年探偵団の3人がいることを知らされて「奴らの狙いは私。あの子たちを頼んだわよ!」と灰原に3人を託し、ジンたちのオスプレイの攻撃を自身に集中させる。最後は、攻撃による脱輪で転がり出した観覧車を止めるべく、付近の工事現場から重機を操縦して特攻する。その結果、観覧車を止めることには成功したものの、自身は操縦席ごと観覧車に潰されたうえに爆発に巻き込まれて死亡し、身元の判別が不可能な遺体となって発見される。記憶を取り戻した以降も少年探偵団3人との唯一のつながりである白い「イルカのストラップ」を持ち続けていたが、少年探偵団を守った後は黒焦げとなっている。
    スタウト (Stout)
    声 - マイケル・リース
    MI6から組織に潜入していた男性捜査官。
    NOCリストを盗み見たキュラソーの報告で正体が露見し、ロンドンダブルデッカーに乗っていた際にコルンによって射殺される。コルンとは親しくしていたらしい。
    アクアビット (Aquavit)
    声 - カート・コモン
    CSISから組織に潜入していた男性捜査官。
    NOCリストを盗み見たキュラソーの報告で正体が露見し、トロントCNタワーで観光ガイドをしていた際にキャンティによって射殺される。
    リースリング (Riesling) / レオナ・ブッフホルツ
    声 - 沢海陽子
    BNDから組織に潜入していた女性捜査官。
    NOCリストを盗み見たキュラソーの報告で正体が露見し、ベルリンジンによって射殺される。映画本編では日本語を話しているが、ノベライズ版ではジンとドイツ語で会話している。
黒鉄の魚影
    ピンガ (Pinga) / グレース
    声 - 村瀬歩
    ラムの2人目の腹心。金髪のコーンロウの髪型が特徴的な男性で、『純黒の悪夢』で死亡したキュラソーの後任としてラムの腹心に着任した。
      人物像
      ジンにライバル心を抱いており、彼を出し抜いて組織内で上位にのし上がることに固執する野心家の一面を持つ。そのためなら平然と他者を蹴落としたり、独断専行を働いたりすることから、ウォッカには快く思われていない。また、自らが殺害した人間に成り済ますため、その人間の死に様をじっくり観察するという残忍な一面も持つ。
      体格は細身であるが、蘭と渡り合えるほどの格闘技術を持つほか、高度なAI技術を使いこなすエンジニアとしての能力にも長けている。コナンに不信感を抱き、老若認証システムでコナンの正体が新一であることを突き止めるなど観察眼も優れている。一方、コナンの挑発に逆上して執拗に暴行を加えるなど、ジンが関わると感情的な面も見られる。
      劇中での動向
      フランス出身の女性エンジニア・グレースとしてパシフィック・ブイに潜入。そんな中、システム開発者の直美・アルジェントのUSBメモリから灰原の正体と生存を知り、ウォッカと共に灰原の拉致を試みるが、事態を察した蘭の回し蹴りで首筋に痣をつけられる。コナンや阿笠とのカーチェイスの末に逃走し、その様子を捉えた監視カメラの改竄を図ったことを同じエンジニアであったレオンハルトに知られたため、ディープフェイクを使ったトリックで彼を自殺に見せかけて殺害する。しかし、フランス特有の指を使った数の数え方を理解できなかったことに加え、自身の女装時の癖や首筋の痣から、コナンに犯行と正体を暴かれて現場から逃走する。最後は、ラムへのコナンの引き渡しを画策するものの失敗して組織の潜水艦へ合流に向かうが、すでに組織は潜航不能となった潜水艦の放棄および証拠隠滅を目的とした自爆を決定しており、自身は自爆の情報をジンに共有されていなかったことから、もぬけの殻となっていた潜水艦の自爆に巻き込まれて死亡した。
      その他
      灰原が組織に迫られる内容や「ラムを出してほしい」との要望に脚本家の櫻井武晴が応え、かつてキュラソーがいた立ち位置(腹心)の人物を出そうとして創作された。そういった理由もあり、コードネームにはラムと同じ原料を使った蒸留酒のピンガが用いられている。容姿については、原作者の青山剛昌や監督の立川譲によって作られたところが大きいという。

スペシャルアニメ

    バーに現れた男
    声 - 安井邦彦
    アニメスペシャル『エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』に登場したスパイの男性。組織内での地位・本名・国籍・本来所属していた機関あるいは組織についてはすべて不明。
    組織である企業の拳銃密輸の件を調査しており、それを終えた直後、自身の正体を見抜いていたジンに自動車ごと爆破され死亡する。

テレビドラマ

    謎の男
    演 - クレジット未表記
    名前不明。テレビドラマ『工藤新一の復活! 黒の組織との対決』に登場。
    ケーキを食べて元の身体に戻った灰原をナイフで狙うが、蘭にナイフをたたき落とされて失敗し、逃走する。逃げ帰った直後にジンによって射殺されたうえ、ウォッカには「てめぇがナイフを落とした時点で、てめぇは命も落としてるんだよ」と罵られた。

ゲーム

    ケイト=ローレン
    声 - 柚木涼香
    PlayStation用ゲーム『3人の名推理』の「追憶の宝物事件」に登場。30歳。
    セシリア共和国の通商大臣・エリック=ガムラン)の秘書を務めており、序盤で人捜しの依頼のために毛利探偵事務所を訪れる。京都から戻ってきたコナン、蘭、小五郎と米花駅で再び合流し、ホテルまで同行する。中盤で黒ずくめの組織の連絡員であることが判明し、ジンとウォッカから生き延びるチャンスとして、オークション会場をぶち壊したエリックとその関係者を暗殺する任務を与えられる。エリックを追跡するが、コナンの策によって遊園地内のメリーゴーランドなどに誘導され、路地で彼に麻酔銃で眠らされる。終盤では城からの狙撃でエリックの殺害が失敗した直後、ジンとウォッカに撃たれて地面へ落下する。最後はコナンの掛け声に応じたが、そのまま死亡する。

特別編・派生作品

原作・アニメ版には未登場。

    ジュネリック
    特別編第26巻「黒の組織…現る」に登場。通称・ジュネ。年齢はシェリーの実年齢より1歳年下(17歳)。
    幼少時に両親に捨てられて施設で暮らしていたが、知能の高さを組織に注目され、13歳当時に引き取られる。組織内では気弱な性格ゆえにいじめられており、自分を助けてくれたシェリーを姉のように慕っていた。一時はシェリーと共にAPTX4869の開発も手がけており、後に人間の記憶を自在に操る薬の開発に成功する。しかし、組織から逃走したシェリーを追って自らもAPTX4869で幼児化して脱走すると、子供を事故で亡くした夫婦の実子に成りすまし、シェリーの記憶を操作することで彼女と姉弟として生きようとたくらむが失敗した結果、自身は全ての記憶を失い、先述の夫婦の子供として暮らす事となった。その後は義父の都合により遠くへ引っ越す事が示唆されている。
    アラック / アミリーン
    特別編第26巻に登場。表の顔は歌手であるが、裏の顔は組織の殺し屋である。
    標的の暗殺に失敗し、コナンに犯行を暴かれたことで警察に逮捕され、護送中の車内で歯に仕込んでいた毒薬を用いて自殺する。
    黒髭(くろひげ)
    特別編第35巻「豪華客船をウイルスから守れ」に登場。その名の通り黒いヒゲを生やした男性で、組織に所属するウイルスの研究者。
    ジンたちの命令で、日本全国を感染させるために開発した強毒なウイルスの実験を豪華客船「エカテリーナ二世号」で行うことになり、「失敗すれば、命で償ってもらう」と脅される。
    映画女優の子役であるエバ・ポートのマネージャーとして豪華客船に潜入し、彼女もろとも船内の乗客を感染させようと企てるが、灰原がエバになり替わっていたため、コナンたちに犯行を見破られて失敗に終わる。その後、身元不明の水死体として発見されるが、組織に殺害されたのか、もしくは船から飛び降りて自殺したのかは不明。
    アントニオ・ゴメス
    「日本史の謎3」 第2話の、「信長を殺したのは誰?」に登場。組織に所属していた歴史犯罪者。各国の政府が隠している歴史的文書を見つけ出して、政府を脅迫し、金をとっていた。コードネームは不明。
    組織にいた頃の灰原に、二度ほど顔を見られた。過去には、ケネディ大統領が暗殺された事件で重大な証拠を用いてアメリカ政府を脅して大金を巻き上げ、組織に貢献したこともある。織田信長に関する偽文書を用いて極東キリスト教教会をゆする作戦を独断で実行、ポルトガルの日本史の教授として毛利小五郎にガードマンを依頼する中、コナンにその犯行を見破られてしまい、皆殺しにして逃亡しようとしたが失敗する。
    2人組の男
    「世界遺産の謎」に登場。組織に所属する2人組の男。聖遺物を対象に狙うハンターだが、大した成果を挙げていなかった。
    スイスで名門・ハプスブルク家を狙って行動していた。ロンギヌスの槍を手に入れるとハプスブルクの一族を殺そうとするが、小五郎に敗れて失敗。その後、収容先の刑務所で組織に抹殺された。

組織に関わった人物

組織に関わった存命中の人物

    ウォッカの取引相手の社長
    声 - 辻親八(1話)、浦山迅(エピソード“ONE” 小さくなった名探偵)
    ジェットコースター殺人事件の後、ウォッカが取引を行なった人物。本名は不明。
    会社で行っていた拳銃密輸の証拠フィルムをネタに、組織に1億円を強請ゆすられた後、ジンが新一を殴り倒した直後におびえ、逃亡した。その後の消息は不明だが、命だけは助かったとされている。
    『エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』で判明したバーボン(安室透)の調査によれば、暴力団泥惨会でいさんかいと絡んでいた。
    ジンたちの取引相手の女性
    声 - 紗ゆり
    走行中の新幹線内でジンたちが取引を行った、キャリアウーマン風の女性。本名は不明。
    きんに関する情報」が入ったケースをジンたちから4億円で買い取ったが、まもなく名古屋にて降車した彼らには用済みと見なされており、ケースに爆弾を仕掛けられていたため、走行中の新幹線もろとも爆殺されそうになったところ、コナンの活躍によって間一髪で命拾いする。その後は京都府警察に逮捕されて洗いざらい話したが、組織に深く関わった人物ではなかった。
    なお、アニメでの取引相手はジンたちではなく、彼らと容姿がよく似た上田(うえだ〈ジンに相当〉)と下田(しもだ〈ウォッカに相当〉)という2人組であり、最後にはこの2人も逮捕された。
    中島 秀明(なかじま ひであき)
    声 - 谷川俊
    ゲーム会社「満天堂」の開発部社員。27歳。
    大学時代はボクシング部に所属していた。社長である石川(いしかわ)の怒りには弱い。
    同僚の一言にヒントを得て作ったゲームが成功するなど、有能で要領はいいが、多額の借金を抱えているらしく、満天堂の新作ゲーム発表会の会場でテキーラと取引し、全世界の有能なコンピュータプログラマーのリストを大金で売ろうとしていた。しかし、自分への殺意を持っていた同僚の竹下裕信が仕掛けた爆弾でテキーラが死亡したため、取引は続行不可能となった。「取引を台無しにした貴方はどのみち組織に狙われる」「警察に保護してもらったほうが賢明」と小五郎(の声を使ったコナン)に忠告される。
    なお、組織との接触に利用していた米花町の大黒ビル最上階に所在するバー「カクテル」は、事件後に爆破された。
    狼男の仮装でハロウィンパーティーに参加した男性
    声 - 広瀬正志
    「季節外れのハロウィンパーティー」に狼男仮装で参加した男性。本名は不明。
    パーティーを主催した映画プロデューサー・福浦 千造(ふくうら せんぞう)を個人的な事情で憎んでおり、そのことをある殺人サイトの掲示板に「殺してやりたい」と書き込んだところ、ベルモットから「殺人計画を授けるから実行しないか」と勧誘された。一旦はそれを断るが、自分と家族の盗撮写真など彼らの1日の行動が資料としてダンボール箱1つ分も送られてきたため、脅迫されているという恐怖からやむなく殺人を実行する。その後、コナンと新一に変装した平次によって犯行を暴かれ、逮捕された。
    土門 康輝(どもん やすてる)
    声 - 福田信昭
    衆議院議員総選挙に初出馬する予定だった男性。
    自衛隊幹部で、父親も元防衛庁官僚ゆえに政界には顔が利く。人一倍正義感が強く、メディアで暴力や犯罪に関する過激な発言を繰り返しているため、過去にその筋から殺し屋を差し向けられたことがある。
    未来の首相候補といううわさまで流れるほどカリスマ性が高く、それゆえに組織は自分たちに反抗する芽を早いうちに摘もうと考えて暗殺を画策したが、コナンとFBIによって阻止される。その後、官僚だった父親の20年前の不倫疑惑が発覚したことで出馬を見合わせたため、暗殺対象から外された。
    組織内での呼び名はDJで、ダイヤのジャックを意味する。
    船本 透司(ふねもと とうじ)
    声 - かないみか
    キールが組織の暗殺計画実行中に起こしたバイク事故の原因になった少年。8歳。
    バイク事故の唯一の目撃者で、その情報を得ようとするベルモットに接触された。
    母・兼世(かねよ)が殺害された事件の捜査中、透司は外国の女の人(ベルモット)に事故に関する事をいっぱい聞かれて、「ママにはちょっと話しちゃった」と言ったら笑ったからその人が犯人だと言い、小五郎は第一容疑者はその外国の女ではないかと目暮警部に話すが、目暮は否定。すでに透司から事故の話を聞いて現場に行っており、調べても事故の目撃者も痕跡もなかったため、「母親を亡くしたショックで本当の記憶と映画やドラマで見たシーンがごっちゃになってる」と見なされた。さらに、「事故を目撃した事による口封じなら、直接事故を見たこの少年も殺害している」と外国人の女は容疑者から外れた。
    犯人は透司の父・達仁(たつひと)だが、彼は組織とは無関係で、この殺人事件に組織は関与していない。
    事件解決後、コナンは組織にキールが病院に運ばれた事を知られた事をジョディに知らせ、透司はFBIに保護された。もっともコナンは「口を封じるなら、接触した時に殺ってるだろう」と心配していない。ジンとしては子供とはいえ接触した人物がFBIに匿われていることが不服らしく、ベルモットに指摘しているが「子供だから今のところ問題ないんじゃない」かと返された。目撃者も抹殺する組織の徹底した暗殺主義から例外的に生き残った者の1人となった。
    初登場時はアシスタントによって描かれるモブキャラクターだったが、再登場後は作者によって描かれるようになった。

故人(組織に関わった人物)

    羽田 浩司(はねだ こうじ)
    声 - 安元洋貴
    「七冠に最も近い」とされた日本の棋士で、同じく棋士である羽田秀吉の義兄。実家は資産家で、浩司の父親は赤井務武と親友同士であり、大岡紅葉の実家である大岡家とも資産家同士で深い縁がある。
    「初志貫徹」を座右の銘としており、その信念は秀吉にも受け継がれている。
    17年前、当時四冠王だった浩司は、趣味のチェス大会に出場するために渡米したが、現地のホテルで何者かに襲われて死亡する。直接的な死因は不明とされているが、APTX4869の被害者一覧では工藤新一の2つ下に「羽田浩司 死亡」と記載されている。
    事件直後の浩司の部屋は荒らされており、部屋中に散乱した食器類には「P T ON」と書かれた鏡が混ざっていた。
    17年前、アマンダとホテルで会っていた。羽田はアマンダのボディーガードである浅香を自分の部屋に隠し、お守りとして将棋の駒を渡す。その後、ラムをはじめとする黒ずくめの男たちが部屋にやってきて羽田はラムに毒薬を飲まされ、殺害される。
    羽田浩司の名前は1998年2月15日発売の単行本18巻が初出だが、作中の人物によって初めて言及されて容姿が描かれたのは、71巻分も後となる2016年4月20日発売の単行本89巻となった。
    アマンダ・ヒューズ
    アメリカ合衆国の資産家。17年前、羽田浩司が死亡していたホテルの別の部屋で死亡していた。死因は不明。アマンダが「浅香」と呼ぶボディーガードをつけていたが、浅香は消息不明となっている。
    生前は羽田浩司の大ファンで、アメリカの政府機関や捜査機関のFBI・CIAや日本の政府や警察庁に顔のきく資産家でアメリカ合衆国次期大統領候補であった。死の直前にチェスの駒にダイイングメッセージを残していた。
    17年前、チェスの大会に来ていた羽田浩司とホテルで会っていた。ホテルに宿泊している際、アマンダの部屋へラムをはじめとする黒ずくめの男たちがやってきて、ラムが「組織が開発した毒薬」とする薬を取り出すと、アマンダは自ら服用して死亡するが、死の直前にはチェスの駒にダイイングメッセージを残す。
    千間 恭介(せんま きょうすけ)
    声 - なし
    烏丸に殺害された考古学者の一人。
    黄昏の館の事件及び宝のありかに関する暗号を娘で後に探偵となる千間 降代(せんま ふるよ)に残していた。

組織に関わり本編途中で死亡した人物

    広田 健三(ひろた けんぞう)
    声 - なし
    10億円強奪犯の1人。本名は不明。年齢は48歳、身長170センチメートル、東京都出身。
    タクシー運転手で、運転技術を買われて広田雅美に雇われた。盗んだ金を独り占めにして姿を消したが、「健三の唯一の肉親である娘」を名乗った広田雅美の依頼を受けた小五郎たちに居場所を知られ、雅美から連絡を受けて先に合流した広田明に絞殺される。
    趣味は競馬で、競走馬の名であるゴーカイテイオーに由来する「ゴウ」「カイ」「テイ」「オウ」という名前を4匹の飼い猫につけていた。
    広田 明(ひろた あきら)
    声 - 手塚秀彰
    10億円強奪犯の1人。本名は不明。年齢は自称28歳。身長190センチメートルを超える大男。荒っぽい性格だが、腕っぷしを買われて広田雅美に雇われた。
    広田健三が盗んだ金を持って姿を消した後、「健三の唯一の肉親である弟」で九州出身の広田明と偽り、サングラスをかけた大男の探偵に捜索を依頼する。雅美から連絡を受けて健三と再会するが、彼に裏切られた怒りから彼を絞殺。その後、ジンとウォッカから睡眠薬と偽って渡された青酸カリを雅美から飲まされて死亡する。
    岸井(きしい)
    声 - 千葉一伸
    アニメ第128話「黒の組織 10億円強奪事件」に登場した10億円強奪犯の1人。
    広田雅美(宮野明美)に雇われた。ギャンブル好きで、かなりの借金を抱えている。ガードマンとして四菱銀行に潜入し、現金輸送車の扉を中から開ける役目を担っていた。事件後、銭湯から自宅に帰る途中でウォッカに射殺される。
    貝塚 士郎(かいづか しろう)
    声 - なし
    アニメ第128話「黒の組織 10億円強奪事件」に登場した10億円強奪犯の1人。
    元レーサーとしての運転技術を買われ、広田雅美(宮野明美)に雇われた。銀行から車で逃走する際にレーサー並みの猛スピードで運転し、コナンのスケボーによる追跡を振り切る。事件後、マンションの自室でジンに射殺される。
    広田 正巳(ひろた まさみ)
    声 - 中博史
    南洋大学の教授で、宮野明美の恩師。61歳。妻・登志子(としこ)と共に静岡県で暮らしていた。名前は、明美の偽名「広田雅美」の由来にもなっている。
    研究所にいた頃の宮野志保(灰原哀)が誤って明美に送ってしまった、組織の重要データ入りフロッピーディスク (FD) を持っていたため、組織はFDの中身を見た可能性のある広田を抹殺しようと考えたが、教え子の1人でモデルの白倉 陽(しらくら あきら)から組織とは無関係に理不尽な恨みを買い、組織が始末する前に白倉の手で殺害される。
    なお、FDは最終的にコナンたちが入手したが、組織のコンピュータ以外のコンピュータで立ち上げるとコンピュータウイルス闇の男爵(ナイトバロン)」が発生し、データを完全破壊するようになっていたため、コナンたちは情報の入手に失敗している。
    酒癖が非常に悪く、客が来るのがわかっていながらも泥酔するほどに飲んでいた。また、この状態で発した言葉が白倉に殺される要因ともなってしまった。ただし、知り合いの阿笠が広田の先述の発言を「実際には自分に自信を持て」という意味があったはずと語っていることから本来は善良な人物であった模様。
    板倉 卓(いたくら すぐる)
    声 - 大友龍三郎
    組織と契約したゲームのシステムエンジニア。45歳。
    以前は映画の特殊視覚効果に関わる有名なCGデザイナーであったが、点字を必要とするほど視力が低下したことでエンジニアに転向した。職業上、有希子をはじめとした各国の女優と面識があり、シャロン(ベルモット)とは犬猿の仲だったことが知られている。有能なシステムエンジニアとして組織に目をつけられ、ベルモットの発注によりあるソフトウェアを作らされる。日記には、以前そのソフトを作ろうとした際に「我々人間のために断念した」と書いているが、その具体的な内容は不明。
    視力だけでなく心臓手術が必要なほどに病んでおり、ソフトを未完成のままにして海外へ高飛びしようとしていたが、友人の相馬 竜介(そうま りゅうすけ)から組織とは無関係に個人的な恨みを買っていたため、組織が始末する前に相馬の手で心疾患を利用され、殺害される。

組織に関わったオリジナルキャラクター

    直美・アルジェント(なおみ・アルジェント)
    声 - 種﨑敦美
    劇場版『黒鉄の魚影』に登場。八丈島沖に建造されたインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」で働くシステムエンジニア。19歳。EU議会議員でイタリア人の父のマリオ・アルジェントと日本人の母の間に生まれたハーフで、ボストン育ち。国籍はアメリカ合衆国
    ボストンの小学校に通っていた頃、東洋系の顔立ちが原因でいじめられていたところを同級生だった宮野志保に救われたが、自分に代わっていじめの矛先を向けられてしまった彼女のことを何も助けてやれなかったことから、「人種や年齢による差別を無くす」という将来の夢を抱く。成長後は、顔認証システムを下地として幼少期の写真から成長後の顔の形状をAIで予測・構築し、防犯カメラの映像から該当者を見つけ出す「老若認証システム」を開発したその実力により、インターポールからスカウトされる。老若認証システムのテストで志保について検索した際には、幼児化した姿(灰原)も検出されて驚愕し、そのデータをUSBメモリに残していた。
    黒ずくめの組織に老若認証システムの譲渡と技術協力を要求されて断ったことから組織に拉致され、その際に前述のUSBメモリを見られたことによって灰原が囚われ、コナンたちを巻き込む結果を招く。組織に協力しない姿勢を貫き、マリオを狙撃されるところを見せつけられて慟哭するが、灰原の激励で再起し、キールの手引きもあって脱出に成功した。
    パシフィック・ブイ崩壊後は情報非公開の配属先に転属となり、灰原たちと別れる。灰原が志保本人であることを確信したものの深く追求することはせず、灰原も正体を告げることはなかった。

脚注

注釈

出典

参考文献

書籍

雑誌

外部リンク

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