黒羽 快斗(くろば かいと)は、『週刊少年サンデー』で不定期連載されている青山剛昌原作の漫画『まじっく快斗』およびそれを原作とするテレビアニメに登場する架空の人物であり、同作の主人公。同じく『週刊少年サンデー』にて連載中の『名探偵コナン』およびそれを原作とするテレビアニメや映画作品などのメディアミックスの作品にも登場する。
『まじっく快斗』の主人公。普段はマジックが得意なお調子者の高校生として生活しているが、裏では日夜警察を翻弄する神出鬼没の泥棒・怪盗キッドとして活動している。なお、快斗はキッドとしては二代目であり、初代は彼の父親にして世界的天才マジシャンの黒羽盗一。母親の黒羽千影も、「昭和の女二十面相」と謳われた女盗賊・怪盗淑女(ファントム・レディ)として、20年前まで活動していた。
当初、『名探偵コナン』にはゲスト登場だけの予定だったが、その後も主人公・江戸川コナンのライバルとして不定期に登場し続けている。
身長は174cm。体重は58kg。年齢は17歳。星座は双子座。血液型はB型。誕生日は6月21日。天才マジシャンであった父親・盗一による影響から自らもマジックに優れており、その腕前はラスベガスでもすぐにステージへ上がれるほどと評されている。好物はチョコレートアイスクリームと青子。嫌いな物は魚類とアイススケート、またクラスメートで魔女の小泉紅子を苦手としている。江古田高校2年生。8年前に盗一が他界した後は母親の千影と暮らしている。
2022年現在、二代目怪盗キッドの正体が黒羽快斗だという事実を知っているのは以下の6人である(死亡したジャック・コネリーを含むと7人)。☆が付いている人物は正体の秘密を共有している者。基本的にはバレかけても寺井や母親以外にはキッドであるとは認めない。特に白馬や紅子に対しては毎回キッドではないと主張している。
アニメではオリジナルキャラクターのスパイダー(殺し屋・イリュージョニスト)が正体を知っているかのような素振りを見せるが、詳細は不明。
『名探偵コナン』側のキャラクターは、誰も怪盗キッドの正体を知らず(#『名探偵コナン』のキャラクターとの関係を参照)、江戸川コナン (工藤新一)がキッドの正体までは特定していないながらも、「自分と素顔の容姿が似ている」とだけ認識している。
自宅の隠し部屋を見付けたことから父親がキッドであったという秘密を知り、「父の死の真相究明とその敵討ち」を目的に「二代目怪盗キッド」となる。先代である父の仕事により、世間では「キッドは宝石を専門としている」というイメージだが、当初は宝石以外にも絵画や彫刻など様々な美術品を標的にしていた。「パンドラの発見と破壊」が目的に加わってからは、主にビッグジュエルを標的にしている。
当初のキッドとしての犯行は、あくまで父親を殺した者をおびき寄せるための手段だったため、盗んだ品はすぐ見つかるようにして捨てるか郵送などで返却していた。父親を殺したとされる「謎の組織」との接触後もこの方針は変わらず、盗んだ後、または盗む最中に目当ての品でないことを確認し、盗みを諦めるかすぐ持ち主に返すことが多い。また、主に不当な理由で第三者の手に渡ってしまった美術品を、本来の持ち主に返すために盗んだこともある。しかし青子は、キッドのそうした行動に対して「世間を騒がしたり、父や警察を貶める愉快犯の一種だ」と怒りを顕にしており、快斗も内心では、キッドの犯行が新聞記事に載って喜んだことを反省している。
自分が送ったものではなく、他人による偽装の予告状があった場合でも、現場に濡れ衣を晴らしに行く。また売られた喧嘩は買う主義で、他の盗賊や宝石の持ち主から挑戦されると、目当ての品でなくても受けて立つこともしばしば。そのため小さいことでも根に持ち、仕返しをすることがある。なお、予告状は名探偵コナンの方では大抵暗号のような予告状を送っているが、まじっく快斗の方では「〜を〜から(いつ)盗みにいく」とはっきり書かれており、暗号めいた予告状はほとんど送っていない。また愛用のトランプ銃も『コナン』の劇場版ではよく使われるが、原作中ではそれほど使用していない。
一方、人々を驚かす派手なパフォーマンスによって盗みをやることに拘る姿勢からか、殺人はしないながらも、父親の盗一に比べて周囲の被害を顧みない大雑把ともいえる手段や行動に出る傾向が強く、実際快斗の扮するキッドの盗みの犯行において生じている器物損壊等の二次的被害は、決して少なくないものがある。劇場版第3作『世紀末の魔術師』では、変電所を爆破することで都市全体を停電に追い込んだ結果、交通網を混乱に陥れ、人の生死が関わる病院等も停電にしてしまっている。また、『怪盗キッドの瞬間移動魔術』では、トリックを成功しやすくするためにキッドを応援する野次馬達を扇動している。劇場版第19作『業火の向日葵』では、真犯人の正体を早い段階で気付いていながら自ら予防しようと奔走し、周囲に伝えようとしなかった結果、7枚の『向日葵』を展示したレイクロック美術館が大火災になった上に爆発等によって崩壊してしまうという大惨事に繋がってしまった。
2001年のアニメ『コナン』にて、「集められた名探偵! 工藤新一VS怪盗キッド」の前半パートとして『まじっく快斗』の「ブラック・スター」がアニメ化され、そこで怪盗キッドの正体がアニメ本編においては明らかになった。
初期の『コナン』ではシルクハットと前髪により顔が隠れているシーンが多く、未知の存在であるよう描かれていたが、アニメ版で、正体が明らかになってからは顔がはっきり見えるようになっている。44巻以降は変装を解いた素顔に近い姿でも堂々と登場するようになり、コナンの背後・隣のトイレにまで現れるようになる。
『コナン』原作内では、同じ人物に二度以上変装したことは無く、劇場版やOVAで工藤新一に変装しているのが唯一である。なお劇場版では第10作『探偵たちの鎮魂歌』と第27作『100万ドルの五稜星』と『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』以外毎回新一に変装しており、回想シーンと変声機でコナンが声を出す時以外の工藤新一は、コナン本人が新一の身体に戻った第7作『迷宮の十字路』を除けばすべて彼の変装である。『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』のルパン三世、『コナン』でのベルモットのように、キッドが変装の対象にされることもある。
『コナン』では仲間がいることが44巻で明らかになり、老人(寺井)や若い女(紅子)などが報告されている。
本人及び作者によれば、キッド(快斗)にとってのコナン(新一)は「最も出会いたくない恋人」で、「決して混じり合うことのない二人」。最初の顔合わせで「怪盗は鮮やかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが、探偵はその跡を見てなんくせつけるただの批評家に過ぎねーんだぜ?」(元の出典は『ブラウン神父の童心』)とコナンを挑発したが、その後コナンに「優れた芸術家の多くは死んでから名を馳せる。お前を監獄と言う墓場に入れて巨匠にしてやる」と追い詰められ、以後手強い好敵手として一目置くようになった。コナンも始めは「泥棒には興味はない」と言っていたが、キッドは例外的にライバルと認めているらしく、キッド相手には常に一対一で勝負しようとするこだわりを見せている。
2人の勝負は大抵、宝石はコナンに取り返されるがキッド自身は捕まらずに逃げ遂せるので、ほぼ引き分けで終わっている。ただし対抗意識から必要以上にコナンを挑発することも多く、その結果しばしば酷い目に遭わされている。
一方で、自分の鳩が怪我をした時コナンに助けられたことから、事件解決まで陰ながら手助けした。これ以外にも、双方が関わった事件でキッドがコナンに手を貸し助けたり事件解決に協力したりする場合があり、そうした場合にはコナンも協力してくれたお礼としてキッドをわざと見逃すことが多い。
キッド初登場の話ではコナンはキッドと初対面だが、『まじっく快斗』の『ブラック・スター』では互いに顔も名前も知らないまま新一がキッドを追い詰めた過去が語られている。キッドが江戸川コナンの正体が工藤新一だと知ったのは、劇場版第3作『世紀末の魔術師』で、コナンと阿笠博士の電話(船内の電話全て)を盗聴したため。その際、最後に蘭に正体が気づかれたコナンの為に新一に変装して救ってくれた。この時コナンに「世の中には謎のままにしておいた方がいいこともある」と助言した。劇場版27作名探偵コナン『 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』にて、黒羽盗一と工藤優作が兄弟(つまり新一と怪斗はいとこの間柄)だということが分かった。キッドの正確な正体を知るまでに至っていないコナン(新一)も、容姿が似ていることについては認めており、怪斗が変装するとき、新一とは同じ身長で、顔・声がそっくり(声優も同じ)なので、新一に変装する際には髪型を変えるだけで良い。レイクロック美術館にキッドが進入している可能性を考えていたとき、「(残された手は)どういうわけか顔立ちの似ているこの俺に成りすます他ないはず」と言わしめた。劇場版で中森警部の前に素顔で新一に変装したキッドが現れており、コナンの前でも素顔に近い状態を見せているが、中森は新一と快斗が酷似している事に対しては指摘していない。
キッドがコナンの正体を知っているという設定が、作中で明確に描かれているのは、現在までのところ劇場版のみである。ただし原作でも、コナンがキッドの前で自分の母が坂本龍馬の姉・坂本乙女役を演じていることを教えているなど、コナンの正体を知っているかのような発言をしていた。
作者によると、『名探偵コナン』での彼の役割は真の『ルパン対ホームズ』を描くためのアルセーヌ・ルパンであるらしく、両方に勝たせたくないとのこと。なお、劇場版ではルパン三世がキッドに変装し、コナンの追跡を振り切って盗みを成功させた。
工藤新一とは何かと対になるように描かれている。
対比箇所 | 工藤新一 | 黒羽快斗 |
---|---|---|
立場 | 探偵 | 怪盗 |
制服 | ブレザー | 学ラン |
父親 | 推理作家・工藤優作 | 初代怪盗キッド・黒羽盗一 |
母親 | 女優・工藤有希子 | 怪盗淑女・黒羽千影 |
家族 | 両親健在 | 母子家庭 |
16巻でコナン本編に登場して以来、シリーズが進むにつれ、様々なコナンキャラクターと接触している。
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