『REDLINE』(レッドライン)は、マッドハウス制作による日本の長編アニメーション映画。2010年10月9日に公開された。
REDLINE | |
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監督 | 小池健 |
脚本 | 石井克人 榎戸洋司 櫻井圭記 |
原作 | 石井克人 |
製作 | 二宮清隆 吉田健太郎 小池由紀子 |
製作総指揮 | 福島正浩 |
出演者 | 木村拓哉 蒼井優 浅野忠信 |
音楽 | ジェイムス下地 |
撮影 | 滝澤竜 |
編集 | 寺内聡 河西直樹 |
制作会社 | マッドハウス |
製作会社 | REDLINE委員会 |
配給 | 東北新社 |
公開 | 2010年10月9日 |
上映時間 | 102分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 1億円 |
キャッチコピーは「限界を超えろ」。
本作は、『パプリカ』『時をかける少女』『サマーウォーズ』などで知られるマッドハウス制作のSFカーアクション劇場アニメ。エアカーが走る遠い未来を舞台に、宇宙最速の座をかけて繰り広げられる、カーレーサーたちのルール無用のバトルを描いた2Dアニメーション作品。トップクリエイターたちが集結し、製作期間7年、手描き作画10万枚を費やしてスタイリッシュで個性的なアニメーションに仕上げた。
監督はアニメーターの小池健、原作・脚本は実写作品も数多く手がける石井克人が担当した。小池にとってはこれが初の長編アニメーション作品となる。『鮫肌男と桃尻女』『茶の味』などの独特の世界観が評価され、その才能に惚れ込んだクエンティン・タランティーノの『キル・ビルVol.1』ではアニメパートの演出を担当した石井による原作を、『アニマトリックス ワールド・レコード』などで知られ、その日本人離れしたビジュアルセンスから海外での評価も高い小池が手描き作画にこだわって映画化した。脚本は、石井が『新世紀エヴァンゲリオン』の榎戸洋司、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の櫻井圭記と共同執筆している。石井はそのほか、音響監督も務めている。小池は作画監督や絵コンテ・演出、デザインなども手掛けた。
声優には主演に木村拓哉を迎え、蒼井優、浅野忠信、我修院達也、津田寛治など実写の俳優陣が参加している。キャスティングは、主に実写映画を活動の場とする俳優を中心に脇をアニメーション声優で固めるという実写もアニメも手掛ける石井ならではのバランスの取れた配役となっている。
国内外合わせて40以上の映画祭で上映され、高い評価を得た。2009年開催の第62回ロカルノ国際映画祭においてワールドプレミアが行われ、ヨーロッパ最大の巨大スクリーン「ピアッツァグランデ」で1万人の観客に向けて公開された。フランス・ナントのSFフェスティバル、ユートピアルでは観客賞を受賞した。2010年6月開催のアヌシー国際アニメーション映画祭では、マッドハウスが公式コンペティション作品『サマーウォーズ』とともにアウト・オブ・コンペティションとして出品した『マイマイ新子と千年の魔法』、『よなよなペンギン』とともに上映された。
2021年には公開から10周年を記念して、2月26日から全国でリバイバル上映が行われた。
作品の企画は公開の7年前にスタートした。きっかけは、石井がアメリカの片田舎に行った時に人々が映画を見るよりも車いじりに夢中であるのを見たことだった。そこで彼らにも見てもらえるようカーレースをテーマに選んだ。その頃、小池は別のプロジェクトに参加していたが、映画『PARTY7』オープニングやOVA『TRAVA FIST PLANET』など数々の作品で仕事をしてきた石井が木村大助プロデューサーと共に小池のところにアニメを作る話を持ってきた。持ち込まれた企画書には、宇宙のカーレースというコンセプトと、キャラクターが8組いてレースをするという程度のざっくりとしたストーリーしかなく、小池は設定を自由に決められる点に魅力を感じて参加を決めた。
小池にとって本作が初の長編アニメということもあり、石井は小池は普通のアニメーターではないのだから実写では描くことのできない大きな世界を観客に見せたいと考えた。そして脚本だけでなく、作中に登場するキャラクターや画面の質感、作品の空気感など細部にわたってアニメスタッフでは出てこない視点からアイデアを出し、小池の創作をサポートした。仕事の進め方は、まず小池が勝手に自分のやりたいものをどんどん描いて行き、それを石井が見て消化できればそのまま使い、できなければ変えるというやり方だった。石井はさらに音響監督も担当し、アニメでしかできない表現の映像に対して実写映画と同じ基準で音響制作に取り組んだ。主人公について、石井はまだ起用も決まっていない内から木村拓哉を想定したキャラクター像で脚本を当て書きした。
メインテーマは恋愛と友情とした。レースが舞台だが作品の軸はその2つで、主人公JPとヒロインのソノシー、JPと友情を持つフリスビー、この3人を丁寧に描こうとしたという。石井の原作は映画本編よりも長い物語だったが、主人公のJPの恋愛はしっかりと描きつつ他のキャラクターのエピソードを削った。その分、物語の軸がわかりやすくなっている。
演出と作画監督も兼任した小池は、本作でキャラクターも背景もアニメーターが描くというスタイルを取っている。影を両方ともブラックで統一したことで、小池が好きなアメリカン・コミックスのようなビジュアルになり、全ての画面がアメコミから切り取ってきたような絵で、かつそれが動いて見えるという印象を与えている。
2010年当時のアニメ映画制作の主流は、背景は専門のスタッフに任せて絵の密度を高めるというものだったが、小池は敢えて背景もすべてセルタッチで描くという時代と逆行するやり方をしている。背景だけでなく基本的に筆で描かれている部分は一切無く、鉛筆画で描いたものにセルと同じようなタッチで着色し、物によってはテクスチャを貼り込んだり撮影処理したりしている。
3DCG全盛の時代に背景までも手描きにこだわった2Dアニメーションによってコンピューターでは計算のできない「誤差」と「歪み」が生み出す刺激的な世界観を作り出そうとした。CGを全く使ってない時代のアナログな世界観を打ち出すために『キャノンボール』『スター・ウォーズ』『マッドマックス』『チキチキマシン猛レース』など70年代、80年代的なガジェットを数多く盛り込んでいる。
カーレースの映画ということでスピード感を出さなければならず、絵でそれを表現するために石井は様々な手法を用いている。
2010年10月9日より全国公開。公開当時、約60館の劇場で公開され、興行収入1億円という成績を残した。
米サンフランシスコのBIZシアターで日本と同じ2010年10月9日(現地時間10月8日)にプレミア上映された後、2011年の年明けから全米公開された。
2021年に公開十周年を記念してリバイバル上映された。2月26日からアップリンク渋谷、吉祥寺、京都などで全国公開されたほか、台湾でも同時期に約15館での劇場公開が行われた。
2011年8月10日にDVD/Blu-rayが発売された。また映画公開に先駆けて、本編冒頭クライマックスシーンを約9分間を収録した『ナビゲートDVD』が2010年9月22日より無料レンタルされた。
REDLINE | |
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ジャンル | SF、カーレース、恋愛 |
小説 | |
原作・原案など | 石井克人 |
著者 | 牧野修 |
出版社 | 早川書房 |
レーベル | ハヤカワ文庫JA |
発行日 | 2010年8月25日 |
テンプレート - ノート | |
ポータル | 文学 |
牧野修によるノベライズ版が2010年8月25日にハヤカワ文庫JAより出版された。
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