ハヤカワ文庫: 早川書房の文庫レーベル

ハヤカワ文庫(ハヤカワぶんこ)とは、株式会社早川書房が発行している文庫レーベル。1970年(昭和45年)以来、SFや推理小説を中心に収録してきており、日本国外の翻訳作品が多い。ハヤカワ文庫SF、ハヤカワ・ミステリ文庫など、いくつかのサブレーベルに分かれている。

沿革

      • 4月 - この月以降の新刊より、文庫のサイズが縦に大きくなり、活字の大きい「トールサイズ」になる。既刊も重版時等にサイズ変更される。
      • 10月 - イソラ文庫の創刊。

主要サブレーベル

ハヤカワ文庫SF

1970年(昭和45年)8月にハヤカワSF文庫として創刊。創刊者は森優。海外SFのレーベル。ただし日本SFもごく初期に数点ある。No.1はエドモンド・ハミルトンさすらいのスターウルフ』。

背表紙が白でカラー口絵・モノクロ挿絵のある通称「白背」(娯楽系SF)と、背表紙が青で口絵・挿絵のない通称「青背」(本格SF)があるが、近年は『ペリー・ローダン』シリーズを除きほぼ全て青背である。

2015年(平成27年)、SF文庫2000点を記念して『SFマガジン』4月号、6月号、8月号で「ハヤカワSF文庫総解説」が特集される。同年11月、上記特集の単行本化『ハヤカワ文庫SF総解説2000』が刊行された。

ハヤカワ文庫NV

1972年(昭和47年)1月創刊。海外一般小説 (NoVel) のレーベル。NV は "novel" に由来する。No.1はジョン・スタインベックエデンの東1』。

四六判で刊行されていた「ハヤカワ・ノヴェルズ」の文庫版として企画された。海外の主流文学系の作品が収録されていたが、epi文庫創刊後はそちらに移行。エンターテインメント性の強い小説が多く、SF・ミステリ性のある作品も含んでいる。SF作家とされるレイ・ブラッドベリの作品の多くがNVで刊行されていたが、のちにSFに移った。

サブシリーズとして「モダンホラー・セレクション」が1987年(昭和62年)から1990年(平成2年)まで刊行された。

ハヤカワ文庫JA

1973年(昭和48年)3月にハヤカワJA文庫として創刊。日本人作家 (Japanese author) のレーベル。No.1は小松左京果しなき流れの果に』。

初期は日本のSF小説もハヤカワ文庫SFから刊行されていたが、JA文庫(文庫JA)の創刊後はこちらで刊行されるようになった。創刊の経緯からSF専門レーベルであったが、1995年(平成7年)からは日本人作家ならジャンルは問わなくなった。小説以外も対象としており、エッセイ漫画(サブレーベルハヤカワコミック文庫、1996年 - 現在)も収録している。文庫SF同様、口絵・挿絵の有無で区別されるが、背表紙は同じである(伊藤計劃円城塔らの作品など、背表紙が特殊デザインになっているものも一部存在する)。2010年(平成22年)頃には表紙デザインを統一し、ライトノベル系の作家・イラストレーターを起用した書き下ろし作品シリーズが刊行されていたが、次第に差異がなくなり、実質的に統合されている。

2021年10月刊行の樋口恭介編『異常論文』による文庫JAの刊行1500巻を記念して、〈SFマガジン〉〈ミステリマガジン〉両誌で「総解説」の特集企画を実施。2022年2月に『ハヤカワ文庫JA総解説1500』として単行本として刊行された。

ハヤカワ・ミステリ文庫

別名、ハヤカワ文庫HMHayakawa Mystery bunko, etc.)。1976年(昭和51年)4月にハヤカワ・ミステリ文庫の名で創刊。海外ミステリのレーベルで、No.1はアガサ・クリスティそして誰もいなくなった』。HM は "Hayakawa" と "mystery" に由来する。

2015年(平成27年)10月からはサブレーベル〈my perfume〉(海外の「women's fiction」を訳す)を刊行している。

ハヤカワ文庫NF

1977年(昭和52年)5月創刊。ノンフィクション (nonfiction) のレーベルで、No.1はジョージ・B・シャラー英語版『ゴリラの季節』。サブシリーズに「<数理を楽しむ>シリーズ」(2003年〈平成15年〉創刊)と「<ライフ・イズ・ワンダフル>シリーズ」(2005年〈平成17年〉創刊)がある。

トールサイズ化以前の分類は、青色は自然・科学、赤色は社会・文化、緑色は戦記、紫色は政治・経済、橙色は人・体験であり、背表紙のタイトルと著者名の間の丸印の色で区別した。トールサイズ化以降の背表紙は、「<数理を楽しむ>シリーズ」を除き、タイトルと整理番号部分が橙色地の装丁に統一されている。

ハヤカワ文庫FT

1979年(昭和54年)2月創刊。海外ファンタジー (fantasy) のレーベル。創刊者は風間賢二。No.1はパトリシア・A・マキリップ『妖女サイベルの呼び声』。

ハヤカワepi文庫

2001年(平成13年)5月創刊。海外小説のレーベルで、No.1はグレアム・グリーン第三の男』。epi は "epic(叙事詩)" および "epicentre(発信源)" に由来する。「良質な海外文学作品を若い感性を持つ読者に向けて発信」と謳われている。一部は文庫NVからの移行・改訳。

ハヤカワ演劇文庫

ハヤカワ演劇文庫(英:Hayakawa engeki bunko)は、2006年(平成18年)9月創刊の戯曲のレーベル。No.1は『アーサー・ミラー I』。

ハヤカワ時代ミステリ文庫

ハヤカワ時代ミステリ文庫(英:Hayakawa Jidai mystery bunko, Hayakawa jidai misuteri bunko, etc.)は、2019年(令和元年)9月10日に創刊した、時代小説のレーベル。2020年(令和2年)より年4回刊行予定。

その他のサブレーベル

作家別

    トリイ・ヘイデン文庫
    2004年(平成16年)6月創刊。トリイ・ヘイデンの専用レーベルで、No.1は『シーラという子』。

廃止・休止

    ハヤカワ文庫HB
    1991年(平成3年)11月から1992年(平成4年)まで刊行。ヤングアダルト小説のレーベルで、HB は "Hi! Books" の頭字語。No.1は豊田淳子『2X殺人事件』。S-Fマガジン増刊の季刊誌「小説ハヤカワHi!」(廃刊)掲載の作品を中心としたレーベル。
    ミステリアス・プレス文庫
    1989年(昭和64年/平成元年)1月から2001年(平成13年)まで刊行。アメリカのミステリ専門出版「Mysterious press」と提携したシリーズであり、No.1はアーロン・エルキンズ『古い骨』。全156巻でレーベルは休止し、その後、一部作品はハヤカワ文庫HMに編入された。
    イソラ文庫
    イソラ文庫(英:Isola bunko)は、2009年(平成21年)10月から2011年(平成23年)まで刊行。海外の女性向けエンターテイメント小説やロマンス小説、コージー・ミステリなどを刊行する文庫で、No.1はアディーナ・ハルパーン『人生最高の10のできごと』。背表紙の上部には同文庫のシンボル・マークが付されているが、エンターテイメントは水色、ロマンスは紫色、コージー・ミステリは黄緑色を使って描かれていた。

脚注

注釈

    字引

出典

関連項目

外部リンク

  • 出版史”. 公式ウェブサイト. ハヤカワ・オンライン. 早川書房. 2020年6月20日閲覧。
  • お知らせ一覧”. 公式ウェブサイト. ハヤカワ・オンライン. 早川書房. 2020年6月20日閲覧。

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