Z世代: 1990年代中盤から2000年代にかけて生まれた世代

Z世代(ゼットせだい)、ジェネレーションZ(英: Generation Z)とは、概ね1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指すことが多いが、アメリカ心理学会は1998年生まれ以降を指すなど、定義は厳密に決められているわけではない。生まれた時点でブロードバンドが利用可能であった最初の世代である。

一方、Z世代という表現や括りについては否定的な意見も存在する(後節の「#「Z世代」という表現に対する否定的意見」を参照)。

概要

名称はジェネレーションXから続くものであり(「X世代#定義」を参照)、アメリカにおいてその次世代のポストX世代をアルファベットでXに次ぐ世代として「ジェネレーションY」(一般的にミレニアル世代とも呼ばれる)、ジェネレーションYのポスト世代をYの次にあたる「ジェネレーションZ」と称した。

生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味でのデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し、ウェブを日常風景の一部として感じ取り、利用している世代である。

また、パソコンよりもスマートフォンを日常的に使いこなし、生活の一部となっている「スマホ世代 (iGen)」でもある。さらに、「baby boomer」を揶揄する「Boomer」になぞらえ「Zoomersズーマーズ)」とも呼ばれる。成長期にWeb 2.0を当たり前のように享受し、情報発信力に長けているため、当該世代からは数多くのインフルエンサーが登場している。

この他、Z世代と同時期に生まれた若者は、(シーせだい)、ジェネレーションC: Generation C)、あるいはニュー・サイレント・ジェネレーション: the new silent generation)と呼ばれることもある。

Z世代の次の世代をα世代(アルファ世代)と呼び、概ね2010年代以降生まれを指すことがある。

日本では脱ゆとり世代にあたる。若者研究の第一人者として知られる原田曜平によって、スマホ第一世代を「Z世代」と紹介され、徐々にマスメディアマーケティング業界を中心に呼称が浸透し、2021年には、ユーキャン新語・流行語大賞トップ10に選出された。

特徴

ミレニアル世代(Y世代)よりもさらに周囲のIT環境が進展しており、幼少期から“デジタルデバイス(機器)やインターネットSNSを含むソーシャルメディアの存在を前提とした生活”をしているデジタルネイティブネットネイティブ、あるいはソーシャルネイティブ)世代である。生まれた時からインターネットに接続するための基本的な端末であるパソコン携帯電話が既に存在しており、インターネットを利用し始めた頃にはADSLCATVなどブロードバンドによる常時接続環境、SNSを含むWeb 2.0、さらにスマートフォンが普及し、個人の情報発信が身近となっていた。

2020年に始まった新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミックの影響で、義務教育高等教育の両方で、全社会的に実施された遠隔教育(オンライン授業)を受ける最初の世代となった。

2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており 「日本では Z世代の約5割が「子どもがほしくない」と回答しており少子化傾向が続くとみられる」などという見方もあるが、このアンケートはBiglobeが2日間で総人数500人を対象にインターネットで行ったものであり、全体を象徴するものではない。

Z世代の多くは、幼少期からリーマンショックやコロナ禍による不況を経験している。そのため、企業に対する期待感が低い傾向にある。企業への期待感がないため、ひとつの企業に対する執着がない傾向がある。そのため他世代と比べ、短期間で離職する傾向があったり、副業への抵抗感が薄いとされる。

ジェネレーション・レフト

欧米ではミレニアル世代と合わせてジェネレーション・レフト(左派世代)と呼ばれる経済格差や気候変動、ジェンダー問題、ポリティカル・コレクトネスブラック・ライヴズ・マターヴィーガンなど左派的活動を行う者が目立つ。旧ソ連型の体制を知らないミレニアムやZの若い世代は社会主義に負のイメージがなく、資本主義体制に失望するほど左派に傾倒。世論調査会社ユーガブの19年の調査によると「社会主義の候補者に投票するか」との問いにZ世代の64%、ミレニアム世代の70%が「投票の可能性が高い」と答えた。16年の大統領選の民主党候補者選びでは民主社会主義バーニー・サンダース旋風に一役買った。2022年現在の日本では同世代(ミレニアル世代・Z世代)が左派的活動をしていることは少ないが、左派系知識人やマスメディアを中心に「Z世代」という言葉を日本にも広めて欧米のジェネレーションレフトを賞賛し、同じように日本の同世代が「目覚める」ことを期待して日本でのジェネレーションレフトを増やそうとする意図が存在する。

日本におけるZ世代

特徴

日本においても明確な定義は定まっておらず、1998年から2007年に生まれを指す説、2000年代生まれを指す説、2001年から2010年生まれで全員が21世紀生まれとなる説、あるいは欧米におけるZ世代の一般的な定義とほぼ同様の1998年から2012年生まれを指すという説など様々である。

祖父母が1940年代生まれ(戦中生まれ世代及び団塊の世代)、両親が1970年代生まれ(就職氷河期世代)というケースが多い。

Y2Kファッションやルーズソックスなど、親世代の流行をリバイバルさせることもある。

コロナ世代

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって人生の転換期に何らかの影響を受けている子供や若者を『コロナ世代』という場合がある。。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけが第2類であった時期(2020年3月から2023年4月)に初等教育及び中等教育を受けていた2001年4月2日から2015年4月1日生まれが該当するとされ、一部はZ世代にも該当する。

ロックダウン世代

教育や就職の機会を失ったことで、その後の労働市場において不利益を受ける可能性がある世代を『ロックダウン世代』と呼称する場合がある。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけが第2類であった時期に新卒で就職活動を行った世代は「コロナ就活世代」とも呼ばれ、大学卒では1998年度から2000年度生まれ、短大・専門学校卒では2000年度から2002年度生まれ、高校卒では2002年度から2004年度生まれが該当する。

2020年3月 - 5月に実施された学校の一斉休校により教育格差が深刻な問題になったとされており、オンライン授業や休校の解除時期の全国不統一により学習進度に差が出ていることも指摘されている。過去に高校1年(15歳)が受けたテスト『OECD生徒の学習到達度調査』(PISA2018)で学力が過去最低だったこともあり、長期に渡る休校により学業への影響のほか、運動不足や食育への影響なども指摘されている。さらに学習機会の喪失により、生涯賃金に影響が出るとの指摘がある。

リクルート進学総研が全国の高校生を対象に意識調査を行い、自分たちの世代の名前を自由に記述してもらったところ、「コロナ世代」とまとめられる回答が10・7%で最も多かった。

「Z世代」という表現に対する否定的意見

  • 『デジタルネイティブでジェネレーションレフトである』などといったような、マスメディアにより伝言ゲーム式に伝聞されるステレオタイプのZ世代像が、次第に当事者のリアルから乖離した虚像を創造し、実際のZ世代を戸惑わせることや、矛盾した調査結果をもたらす事がある。これまでに世間のイメージを反証した事例には、以下のようなものがある。
    Z世代はタイパ主義である』…原田曜平による2022年の調査では、Z世代当事者達が新型コロナウイルスにより疎遠となった友人との親睦をじっくりと再構築しようとする例が見られている。
    Z世代はSDGsなど、環境意識が高い』…ニッセイ基礎研究所による20~74歳の約2500人への調査では、「サステナビリティーを意識して生活している消費者」に該当する27.7%の全世代のうち、最も環境意識が高かったのは50歳代であり、20歳代では2割弱であった。
    Z世代は読書離れしている』…ライターの飯田一史による調査では、小中学生の「1ヶ月の平均読書数」は1990年代後半に過去最低に落ち込み、不読率は過去最高を記録したが、2000年代にはいずれもV次回復へと覆り、2022年の小中学生の平均読書冊数は過去最多を記録している。また、高校生も1960年代よりほぼ横ばいであり、少なくとも『読書離れ』とは言い難い結果であった。
  • お笑いタレントカズレーザーは「Z世代」という言葉は年配者が作った言葉であり、Z世代という表現そのものが今時の価値観ではないと提唱している。自分自身をZ世代と称する2000年代生まれの人物より相談があり「老害が多すぎて嫌になる」という相談に対し、「Z世代とかY世代って上の(世代の)人(たち)が勝手に作った枠組みなんですよ……今の価値観にアップデートしたいんだったらこういう言葉は使わないほうがいいですよ、古臭く見られます……絶対“Z世代”なんてダサい言葉使わないでください。昭和だと思われます」と発言し、多くの称賛の声が挙がった。
  • ライター竹田ダニエルは著書『世界と私のA to Z』において、大人の求めるZ世代像への違和感を次のように述べている。
多様な価値観が存在することこそが「Z世代らしさ」であるにもかかわらず、「Z世代を代表する意見」というものを欲しがるのは、あまりにも矛盾しすぎている。私はそもそも「Z世代」というのは生まれた年月で区切られるものではなく、「社会に対して目を向け、常に自分と向き合い、誰もがより良い社会を目指すべきだという“価値観”」で形成される「選択可能」なものなのではないかと考えている。

脚注

注釈

出典

関連項目

  • デジタルネイティブ(96世代)
  • 脱ゆとり世代(Z世代と同世代とされることがある。ただし、脱ゆとり教育をすべての学年で受けた年代は移行措置を含めても2002年度生まれ以降となる)
  • ON THE PLANET - ニューヨーク 在住の女性ジャーナリストのシェリーめぐみが「NY Future Lab ミレニアル・Z世代研究所」というコーナーで「これからの時代の主役となる『Z世代』と『ミレニアル世代』にフォーカスする」と「Z世代評論家 シェリーめぐみ」としてインタビュー形式でニューヨーク在住の都市部の若年富裕リベラル層(ジェネレーションレフト)の主張や状況を伝えていた。なお同コーナーはInterFM897で放送中のラジオ番組「Sensor -NightOut in TOKYO」の番組コーナーとして存続している。
  • AKIRA -1980年代の作品だが、舞台は2019年である。主人公をはじめとする不良少年たちの生い立ちや行動様式は現実のZ世代(特にトー横キッズ)と共通する点が多く存在する。
先代
ミレニアルズ
(Y世代)

世代の名称
Z世代
次代
α世代

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