『世界の中心で、愛をさけぶ』(せかいのちゅうしんで、あいをさけぶ)は、日本の小説家・片山恭一の青春恋愛小説である。小学館より2001年4月に刊行。通称「セカチュー」。
世界の中心で、愛をさけぶ | ||
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著者 | 片山恭一 | |
発行日 | 2001年4月 | |
発行元 | 小学館 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
ページ数 | 206 | |
コード | ISBN 4093860726 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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2001年初版刊行。初版8,000部と発売当初はさほど話題にならなかったが、小学館の新入社員だった営業マンの目に留まり、彼が売り込んだことから、一部の書店販売員らの手書きのPOP広告と口コミにより、徐々に話題になっていった。2002年に女優の柴咲コウが、雑誌『ダ・ヴィンチ』に投稿した書評のコメント「泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました」が書籍の帯に採用され話題となった。
柴咲コウの書評が火種となり2003年に100万部を突破。2004年東宝にて映画化。映画版が大ヒットし、相乗効果で映画公開後300万部突破、大ベストセラーに。映画版の成功によって「セカチュー」と略され流行語にもなり、「セカチューブーム」として社会現象になった。加えて、映画公開後に日本骨髄バンク新規ドナー登録者数が大幅に増加したという報告が骨髄移植推進財団事務局から発表されている。同年にテレビドラマ化、2005年に舞台化もされた。
小学館では、これまで文芸書のヒット作が少なかったが、本作や同じ恋愛路線の『いま、会いにゆきます』などのベストセラーで、出版社のイメージを変えた。2006年に小学館文庫から、文庫版も発売された。2014年には小学館ジュニア文庫からイラスト付きで発売された。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
オーストラリアに向かう旅の途中、朔太郎は亡くなった恋人のことを思い出していた。不治の病と闘って亡くなった恋人アキのたっての希望を叶えるために朔太郎が手にしていたものは……。
とある地方都市、中学校でたまたま同じクラスになった朔太郎とアキは、高校生になり、互いに恋に落ちていく。だが出会って3年目、アキは白血病にかかり、日ごとに衰弱していった。朔太郎は、ラジオ番組に「友人に白血病の女の子が居る」という作り話を投稿して商品をもらった経緯があり、アキの病気は自分のせいだというひそかな悩みを抱えていた。
朔太郎は、入院中のアキが行けなかった修学旅行のオーストラリアにアキを連れて行くため、危険を冒して病院からアキを連れ出して豪雨の中空港に向かう。だが、待合室で倒れ込んでしまったアキ。「助けてください!!」朔太郎の悲痛な叫びが空港中に響き渡る。
アキは救急車でそのまま病院へ運ばれ、その後アキの両親も駆けつけ、医者を待つ。
タイトルは編集者の助言によるもので、もともと作者は『恋するソクラテス』という題名を考えていた(英訳版では、この題が生かされている:後述)。
ハーラン・エリスンのSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』(The Beast that shouted Love at The Heart of The World 1969年)や、同作のタイトルを参考にした庵野秀明監督のSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の最終話サブタイトル「世界の中心でアイを叫んだけもの」(1996年)から引用された可能性が指摘されている。
原作を女性の解釈で世界観を壊さずに描いている。
世界の中心で、愛をさけぶ | |
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Crying Out Love, in the Center of the World | |
監督 | 行定勲 |
脚本 | 坂元裕二 伊藤ちひろ 行定勲 |
原作 | 片山恭一 |
製作 | 本間英行 |
出演者 | 大沢たかお 柴咲コウ 長澤まさみ 森山未來 山﨑努 |
音楽 | めいなCo. |
主題歌 | 平井堅「瞳をとじて」 |
撮影 | 篠田昇 |
編集 | 今井剛 |
製作会社 | 「世界の中心で、愛をさけぶ」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2004年5月8日 |
上映時間 | 138分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 85億円 |
2004年5月東宝系にて公開。主演は大沢たかおと柴咲コウ。興行収入85億円、観客動員数620万人を記録し、この年の実写映画No.1になった(興行収入85億円も首位)。実写邦画歴代興行収入第9位(2019年、現在)。映画公開後に日本骨髄バンク新規ドナー登録者数が大幅に増加した。また、主題歌の「瞳をとじて」も大ヒットした。
映画版では、大人になってからの朔太郎の視点から物語が描かれ(原作にはなかった大人のサクと婚約者(律子)の関係を描き、故郷を旅しながら過去と現在を行き来するなど)、その他の場面でも脚色が多く、映画として再構築するに伴い原作と比べストーリーそのものに大きな改変が施されている。
律子は、台風が接近していた引越準備中のある日、ダンボールの中から一本のカセットテープを見つける。家電店でカセットウォークマンを購入し、そのテープを聴くと、聞き覚えのある少女の声が流れて、律子は街の喧騒の中を立ち止まり思わず涙を流す。
一方、サクは律子がいなくなったとリュウに伝えるが、台風のニュース映像に律子の姿が映ったことから彼女が高松にいることを知ったサクは、彼の故郷である高松へと向かう。その中で、高校時代の恋人、アキの思い出が甦る。
(この欄の過去とは朔太郎の高校時代を示す)
この記事に雑多な内容を羅列した節があります。 |
映画がメガヒットしたことや長澤まさみが史上最年少で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得したことが大きく報じられたが、作品そのものについても、この作品が遺作となった名カメラマン篠田昇の撮影、種田陽平の美術、脚本家の大胆な脚色や行定勲監督の演出などなど各スタッフの技量は、批評家筋からも高く評価されている。
世界の中心で、愛をさけぶ | |
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ジャンル | 連続ドラマ |
原作 | 片山恭一 |
脚本 | 森下佳子 |
演出 | 堤幸彦 石井康晴 平川雄一朗 |
出演者 | 山田孝之 綾瀬はるか 緒形直人 桜井幸子 田中幸太朗 柄本佑 本仮屋ユイカ 夏帆 松下由樹 高橋克実 大島さと子 手塚理美 三浦友和 仲代達矢(特別出演) |
製作 | |
制作 | TBSエンタテインメント |
製作 | TBS |
放送 | |
音声形式 | ステレオ放送 |
放送国・地域 | 日本 |
連続ドラマ | |
プロデューサー | 石丸彰彦 |
エンディング | 柴咲コウ「かたち あるもの」 |
放送期間 | 2004年7月2日 - 9月10日 |
放送時間 | 金曜日22:00 - 22:54 |
放送枠 | 金曜ドラマ |
放送分 | 54分 |
回数 | 11 |
特別編 | |
プロデューサー | 石丸彰彦 |
放送期間 | 2004年9月17日 |
回数 | 1 |
特記事項: 最終回は15分拡大(22:00 - 23:09)。 |
2004年7月2日から9月10日まで毎週金曜日22時 - 22時54分に、TBS系の「金曜ドラマ」枠で放送された。主演は山田孝之。2004年9月17日には、その後の物語を描いたオリジナル特別編を放送。
映画版の脚本を務めた坂元裕二、伊藤ちひろ、行定勲らの名前が潤色担当者としてクレジットに表記されており、ドラマ版においては原作、映画版の両作を参考にした作風になっている。
2022年7月10日から9月25日までBS-TBSで再放送された。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 |
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第1話 | 2004年7月 | 2日恩師からの手紙 | 堤幸彦 | 18.5% |
第2話 | 2004年7月 | 9日微妙な距離 | 15.7% | |
第3話 | 2004年7月16日 | 永遠の別れ | 石井康晴 | 15.2% |
第4話 | 2004年7月23日 | 最後の日 | 平川雄一朗 | 13.9% |
第5話 | 2004年7月30日 | 忍び寄る影 | 堤幸彦 | 16.5% |
第6話 | 2004年8月 | 6日生への旅路 | 15.0% | |
第7話 | 2004年8月13日 | 明けない夜 | 平川雄一朗 | 14.5% |
第8話 | 2004年8月20日 | プロポーズ | 石井康晴 | 15.4% |
第9話 | 2004年8月27日 | 最期の選択 | 平川雄一朗 | 15.9% |
第10話 | 2004年9月 | 3日たすけてください… | 堤幸彦 | 15.2% |
最終話 | 2004年9月10日 | かたち あるもの(15分拡大版) | 19.1% | |
平均視聴率 16.0%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 |
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2004年9月17日 | 17年目の卒業 | 石井康晴 | 15.3% |
TBS系 金曜ドラマ | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
ホームドラマ! (2004.4.16 - 2004.6.25) | 世界の中心で、愛をさけぶ(テレビドラマ) (2004.7.2 - 2004.9.10) | 3年B組金八先生(第7シリーズ) (2004.10.15 - 2005.3.25) |
2005年8月5日から9月4日にかけて、世田谷パブリックシアターをはじめとする全国7か所で公演を行った。
TOKYO FMで2004年05月に放送されたラジオドラマをCDに収録し、ブックレットにシナリオ、イメージ写真を収めた構成となっている。
僕の、世界の中心は、君だ。 | |
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파랑주의보 | |
監督 | チョン・ユンス |
脚本 | ファン・ソング チョン・ユンス チャン・ムニル |
製作 | テディ・チョン |
製作総指揮 | テディ・チョン |
出演者 | チャ・テヒョン ソン・ヘギョ |
音楽 | イ・ドンジュン |
撮影 | パク・ヒジュ |
編集 | パク・コクチ |
製作会社 | アイ・フィルム |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 | 2005年12月22日 2006年8月26日 |
上映時間 | 97分 |
製作国 | 韓国 |
言語 | 韓国語 |
僕の、世界の中心は、君だ。 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 파랑주의보 |
発音: | パランジュイボ |
英題: | My Girl and I (Pah-rang-ju-eui-bo) |
2005年製作の韓国映画。日本では2006年8月に松竹・東急系にて公開(配給はワーナー・ブラザース)。
映画版の『世界の中心で、愛をさけぶ』の、韓国版リメイクという形を取っているため、出てくるエピソード等も映画版をなぞっている。ただし、ストーリー展開自体は原作の形を踏襲しているため、映画版での藤村律子に相当する役はほとんど活躍しない。また、いくつかの設定が韓国風に置き換えられている(例:スホの祖父の職業)。
なお、このタイトルは邦題であり、原題は「파랑주의보」(波浪注意報)、英語題は「MY GIRL AND I / PARANG LOVE」である。
ちなみに、エンドロールの際に流れる『瞳をとじて』の韓国語バージョンは、日本公開版にのみ採用されたものである。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え |
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キム・スホ(松本朔太郎に相当) | チャ・テヒョン | 関智一 |
ペ・スウン(廣瀬亜紀に相当) | ソン・ヘギョ | 赤間麻里子 |
キム・マングム | イ・スンジェ | 平野稔 |
ソンジン | パク・ヒョジュン | 木村雅史 |
ヒソン | キム・ヨンジュン | 佐藤淳 |
ジョング | ソン・チャンウィ | 羽多野渉 |
スホの母親 | キム・ヘスク | |
キム・ジホ | キム・シニョン | |
スウンの父親 | ハン・ミョング | |
スウンの母親 | オ・ジョンウォン | |
民宿のおばあさん | キム・ジヨン |
在世界中心呼唤爱 | |
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在世界中心呼唤爱 Crying Out in Love | |
監督 | クァク・ジェヨン |
脚本 | クァク・ジェヨン 周展 |
原作 | 片山恭一 |
製作 | 本間英行 |
出演者 | 欧豪 張慧雯 楊紫 王智 |
公開 | 2016年8月26日 |
製作国 | 中国 |
言語 | 中国語 |
在世界中心呼唤爱 (原題) | |
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各種表記 | |
繁体字: | 在世界中心呼喚愛 |
簡体字: | 在世界中心呼唤爱 |
拼音: | Zài shì jiè zhōng xīn hū huàn ài |
注音符号: | ㄗㄞˋ ㄕˋ ㄐㄧㄝˋ ㄓㄨㄥ ㄒㄧㄣ ㄏㄨ ㄏㄢˇ ㄞˋ |
発音: | ザイシジェゾンシンフフアンアイ |
日本語読み: | ざいせかいちゅうしんこかんあい |
2016年8月中国にて公開。主演は欧豪と張慧雯。日本未公開。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え |
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柯達(松本朔太郎に相当) | 欧豪 | |
夏葉(廣瀬亜紀に相当) | 張慧雯 |
主要登場人物の3名以外の登場人物や物語の提示方法については、各派生作品ごとに比較的自由に改変されている。特に映画版では高校生のサクとアキがWALKMANで交換日記をおこなう設定が効果的に利用されたが、原作ではWALKMANそのものが登場せず(すでにCDプレイヤーの時代設定)、中学時代にノートで交換日記を行っている。サクの祖父は原作では元政治家でマンション住まい。祖父との対話は原作において重要な構成であり、ここでのサクは多弁である。
商業的に大成功した小説に関わらず、公式な批評が充分なされていない作品の一つである。白血病の少女をめぐる「喪失(と再生)の物語」である点、アボリジニの死生観や散骨、タイトルの「セカチュー」と「ジコチュー(流行語)」との類似から世相を批評するなど、散骨やアボリジニの死生観は20世紀末から21世紀初頭の流行を想起させている。また「日本人全体がガキとしてふるまうことをよしとしている」時代の風潮を批評した作品という評もある。
この記事に雑多な内容を羅列した節があります。 |
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