ウォークマン(英: WALKMAN)は、1979年7月1日からソニーが販売しているポータブルオーディオプレイヤーシリーズ。
ソニーのポータブルモノラルテープレコーダー「プレスマン」からスピーカーと録音機能を省き、ステレオ再生専用ヘッドに置き換えステレオの再生に特化した製品として誕生する。当初の再生可能な記録媒体はコンパクトカセット(以下、カセットテープ)だけであったが、その後1984年にコンパクトディスク(以下、CD)、1988年に8ミリビデオ、1990年にDAT、1992年にミニディスク(以下、MD)、1998年にDVD、1999年にメモリースティック、2004年にハードディスクに対応したプレーヤーを発売した。また2000年代後半にはSony Ericssonが発売した、音楽再生機能を持つ携帯電話も「Walkman Phone」または「ウォークマンケータイ」と呼ばれた。
現行品は2000年から展開しているフラッシュメモリを使用したプレーヤーである。累計出荷台数は2010年3月末の時点で約4億台である。
ウォークマンの登場によって「音楽を携帯し気軽に楽しむ」という新しい文化が創造された。また小型化・軽量化・薄型化を限りなく追求したのもウォークマンの歴史であった。
なお開発の経緯に関してはソニーの歴史を記した創立50周年記念誌『源流』(1996年8月発行)や『源流』を要約したウェブページ「Sony History」の第2部第6章「理屈をこねる前にやってみよう <ウォークマン>」、『ソニー自叙伝』で語られているが、ウォークマン開発のキーパーソンである井深大、盛田昭夫、黒木靖夫、大曽根幸三、高篠静雄による著書やインタビュー記事を比較研究した長谷部弘道によると、各人が述懐した内容は『源流』や『ソニー自叙伝』で記述されたウォークマン開発史とは若干異なることが明らかとなっている。
ウォークマン登場前の1970年代当時、ステレオ型のテープレコーダーが家庭や自動車内で親しまれていたが、持ち運べるタイプはまだ内蔵スピーカー型やイヤホンを使用するモノラル型のものに限られていた。1978年にソニーは肩かけ型の録音機であるデンスケシリーズとして小型ステレオ録音機の「TC-D5」を発売、生録愛好者に人気となったが、重量があることから携帯用とは呼び難かった。井深も「TC-D5」を愛用しており、海外出張の際に持参して飛行機内でステレオ音楽を楽しんでいたが、「重くてかなわない」と嘆いていた。
ある日井深は大賀典雄に「プレスマンに再生だけでいいからステレオ回路を入れたものを作れないか。」と持ち掛ける。これを受け、大賀は大曾根に頼んだところ、大曾根は2つ返事で承諾した。大曾根は周りにあった「プレスマン」から録音機能を取り除き、それにあり合わせのヘッドホンを付けたプロトタイプを井深に渡した。その性能に井深は1952年に初めて聴いたバイノーラル録音の記憶が蘇り、出張へ持参、帰国後も井深のお気に入りとなった。そうして盛田のところへ持っていき聴かせると、盛田も気に入り、盛田はこれにビジネスチャンスがあると考えた。
1979年2月、盛田はエンジニア、企画担当者、宣伝・デザイン担当者など若手社員を中心に集め、改造したプレスマンを手にして商品化することを伝えた。再生専用機でヘッドホン付き、発売は夏休み前との盛田の考えに開発者たちは難色を示すが、盛田の考えは変わらないため開発する方向で話はまとまった。価格に関しては盛田は40,000円以下の指示を出し、開発者たちは検討した結果35,000円で決まりかけるが、盛田は「ソニー創立33周年」であることを理由にして33,000円で決定した。開発は大曾根率いる高篠などのエンジニアによって行われ、1週間に2日から3日は徹夜をして開発が進められた。
一方でウォークマンに付属するヘッドホン「H・AIR」はウォークマン開発陣とは別のチームで行われており、互いの動きをまったく知らずに、別々にやっていたが、盛田が2つをセットにして発売することを1979年3月に決定した。結果、ヘッドホンチームとしては2か月も発売が早まったこととなり、「戦場のような忙しさ」に見舞われたと、開発者であった掃部義幸はウォークマン発売10周年のときに語っている。
開発は「プレスマン」のメカを流用したことで技術的な苦労はなかったが、新製品のコンセプトが受け入れられるかが検討課題となった。プレーヤーの名称は宣伝部とデザイン部門を中心にネーミングの募集が行われ、100を超える名前が集まった結果、当時流行していたスーパーマンや「プレスマン」を基にして、歩きながら音楽を楽しむ「ウォークマン」を提案した宣伝部係長の河野透の案を黒木が採用した。黒木からの報告を聞いた盛田は「もうちょっといい名前はないのか」と問うと、黒木から「パッケージもポスターも全部、ウォークマンで進めてますから変えられません。我慢してください」と言われたとウォークマン発売10周年のときに語っている。
こうして試作機が出来上がったが、当時ラジカセなどのカセットデッキは録音機能があることが前提であり、再生機能のみでは需要がないとされ、ソニー販売部門も難色を示した。しかしソニーは売り上げより利益を重視する経営理念を掲げており、井深・盛田ら経営トップは「売れそうもない」と思われ、他社が手を着けないものだからこそ、利益を独占できる可能性があり、やる価値があると考えた。盛田は「クビをかけてでもやる決意だ」と宣言した。
盛田の指示にて初期出荷台数は30,000台と当時一番売れたテープレコーダーの2倍の数を設定し、1979年6月22日、マスコミへの発表日を迎えた。
盛田はウォークマンの構想が持ち上がった時からすでに、その主な顧客層として若者を想定し、若者にターゲットを絞った。そして、若者というターゲットに訴求するためには、当時の若者は雑誌を読んでいたので、従来主流とされていた新聞だけではだめだと判断し、新聞向けとは別に雑誌向けの製品発表会を開催した。新聞社向けの発表はホテルに記者を集めて説明するという従来のスタイルであったのに対し、雑誌向けの発表会についてはまず銀座・ソニービルに集まった記者をバスで代々木公園へ運んだあと、記者全員にウォークマンを配り、記者がそのヘッドホンを装着して再生ボタンを押すと、音楽とともに商品説明がヘッドフォンから流れると同時に記者の目の前にウォークマンを装着した若者が登場し、二人乗り自転車に乗ったり、ジョギングやエアロビクスをするといった、若者がどのようにして音楽を楽しむのかデモンストレーションを行った。
こうして1979年(昭和54年)7月1日にウォークマン1号機「TPS-L2」が発売された。発売当初のマスコミ紙面の反応は芳しくなく、人目に触れなければとの考えから、宣伝部や営業スタッフはウォークマンを身につけ山手線を一日中グルグル回るという作戦に出る。日曜日には若いスタッフにも製品を身につけさせ、街中を歩かせ、さらに影響力のある有名人にも製品を提供するなどして認知を高めていった。
このような広告・宣伝活動の甲斐もあり、雑誌では大きな反応が起きた。多くの雑誌が、ウォークマンをただの新製品として紹介するだけでなく、「ウォークマンは新しい若者のライフスタイルの象徴」として誌面で採用し、さまざまな記事の中で小物として使い始めた。たとえば『月刊明星』は、発売が7月末となる1979年9月号の見開きページで西城秀樹が上半身裸の短パン姿でウォークマンを聴きながらローラースケートをしている写真を掲載した。その後も続々と各雑誌がウォークマンを取り上げ、8月には各店舗でウォークマンの売り切れが続出、発売1ヶ月で3000台ほどの売上から、翌月には初回生産3万台を全て売上げ、供給不足が半年間続くほどの人気となった。
こうした盛田の顧客層分析、広告宣伝、メディア戦略、販売促進などのマーケティングによってウォークマンは反響を呼び、販売成功につながった。
なお日本では最初からウォークマンの商品名で発売されたが、文法に合わない和製英語であるウォークマン(Walkman)を避けて、海外では当初、他の商品名で発売された。アメリカではウォーク・アバウツ=歩き回る、ラン・アバウツ=走り回るからの造語で「Sound about(サウンド・アバウツ)」、イギリスでは密航者を意味する「Stow away(ストウ・アウェイ)」、スウェーデンでは「Free Style(フリー・スタイル)」の商品名で発売された。しかし、来日した音楽家らによって日本からウォークマンが土産として“輸出”され、彼らの口コミにより日本国外でも「ウォークマン」の知名度が高まったことから、1年も経たずにウォークマンに統一された。黒木靖夫によると、この判断には、当時の会長・盛田昭夫の独断的な決定があり、その決定には盛田の妻である良子の意見があったとされる。ソニーの歴史の中で商品名を途中で変更したのは初めてのことであったが、150万台を売り上げるヒット商品となった。
ソニーは新規市場を開拓してブランドを構築するために短いサイクルで新製品を投入することにした。そのため初代ウォークマンを発売した直後から、2代目の企画に着手した。デザインは黒木が理想としたデザイン先行となった。
1981年になると2号機である「WM-2」が発売され、歩きながら音楽を楽しめるカジュアルさを取り入れ、250万台のヒット商品となった。
製品開発に当たっては、1981年入社の木崎弘康および1984年入社の熊谷隆志によると「新しい製品を出すときはなんでも『半分』にする」、つまりモデルチェンジする際には大きさを半分にするか、価格を半分にするのが目安だったと語っている。これによって上層部からは、熊谷が手掛けた海外向けモデルの「WM-41」では価格が従来の半分である50ドルを求められ、木崎が手掛けた「WM-20」では「WM-2」の半分のサイズであるカセットケースサイズが求められた。
こうして1983年(昭和58年)10月に発売された「WM-20」ではカセットケースサイズを実現するために、伸縮ケースと超扁平薄型モーターを採用し、盛田はニューヨークでの記者会見のときにマジシャンとともに登場してプレゼンテーションを行った。また当時社会現象化した松田聖子をCMに起用した。
1985年(昭和60年)9月に発売された「WM-101」では、さらなる薄型化を実現するためにガム型充電式電池を初採用、1987年(昭和62年)7月に発売された「WM-501」では、ガム型充電池を本体内蔵型に変更することで、初めてカセットケースサイズを下回った。
カセットテープ以外にも1984年11月1日には記録媒体にコンパクトディスクを採用した、世界初のポータブルCDプレーヤーである「D-50」を発売し、改良版の「D-50MkII」からディスクマンのブランドでプレーヤーを展開した。しかし、カセットテープとは異なり、CDでは「音飛び防止」が課題となった。
ウォークマン10周年を迎えた1989年(平成元年)には、10周年記念限定ウォークマンが抽選でプレゼントされた。
1990年代までにはソニー以外の各社もポータブルプレーヤーを発売し価格競争になったことで、音楽を再生する上での性能向上や省電力化による長時間再生など付加価値による差別化が図られるようになった。
カセットウォークマンでは1990年(平成2年)4月発売の「WM-600」以降、液晶リモコンの採用、頭出し機能(AMS)やホールドシャッターの搭載、スタミナ再生を打ち出していき、また1995年(平成7年)9月10日には本体とリモコン一体型イヤホン間を独自のアナログ無線通信によりワイヤレス化した「WM-WX1」を、1997年(平成9年)10月10日にその後継機種である「WM-WE1」「WM-WE7」を発売した。1998年(平成10年)10月21日にはリモコン接続端子をマイクロプラグからステレオミニプラグに変更し、連続再生100時間という当時最長を誇った「WM-EX9」を発売した。
CDディスクマンでは、1992年(平成4年)5月21日発売の「D-515」において、他社に先駆けて電子音飛び防止技術のESP(「X秒音飛びガード」とも呼ばれ、徒歩などの突発的な振動によってピックアップ部の読み出しが失敗して発生する音飛びを、再生中のCDデータを先読みしてメモリに記憶して、読み出し失敗時にメモリから読み出すことで音飛びを抑える機能)を開発し、ESPを搭載したディスクマンを「ディスクマンESP」として差別化して販売した。以降は改良を重ね、1998年(平成10年)1月発売の「D-700」「D-800」にて「連続音飛びキャンセラー(ESP2)」が登場、音飛び防止技術がESPから連続音飛びキャンセラーへ進化するのにあわせて、ブランドもディスクマンESPからCDウォークマンへと変更され、1998年(平成10年)11月の「D-707」「D-808」の「高音質連続音飛びキャンセラー」、1999年(平成11年)7月の「D-E01」(15周年記念モデル)の「G-PROTECTION」へと、ESPのギミックおよびメモリ容量を改良し進化することとなる。
1992年(平成4年)には記録媒体にミニディスクを採用したMDウォークマンが発売され、以降はカセットおよびCDウォークマンと並行して発売していった。なおMDウォークマンのカタログはウォークマンブランド統合まで、カセットおよびCDとは独立していた。日本では1990年代後半にかけて、その編集のしやすさから一定のシェアを獲得することができたが、MDが非可逆圧縮音源であるATRACを採用しているため、「ATRACは音質が悪い」というイメージを覆すことはできず、海外では普及しなかった。
こうして記録媒体がカセット・CD・MDと変わりながらも初代機から短期間で新規製品を発売することを続けた結果、1994年時点で300種類の製品が発売された。
周年記念製品としては1994年(平成6年)7月1日に、ウォークマン15周年記念モデルとして「WM-EX1」が発売された。ウォークマン20周年・CDウォークマン15周年を迎えた1999年(平成11年)7月1日には、第1弾として当時の最新技術を盛り込んだ「WM-WE01」「D-E01」が発売され、同年10月10日および10月21日には第2弾として「WM-EX20」「D-E990」「D-E880」が発売された。また20周年を祝うキャンペーンも実施された。
カセットウォークマンに関しては、ポータブルCD/MDプレーヤーやデジタルオーディオプレーヤーの台頭と、他社(パナソニックやアイワなど)がカセットプレーヤーをエントリーモデル主体へシフトしたことにより、ELバックライト付き液晶リモコン・高速送り出し・低消費電力などメカ構造が高度で高価格であったモデルの販売を終了した。
2000年5月には、ネットワーク、CD、MD、カセットでブランドを統一し、「w.walkman」というロゴを採用した。
2001年以降は、デジタルオーディオプレーヤーの世界的な普及に伴い、日本国内市場では東芝の「gigabeat」やパナソニックの「D-snap」、日本ビクター(現・JVCケンウッド)の「alneo」などと競合した。ソニーは、デジタルオーディオプレイヤーの開発において先駆者であったが、ATRAC対応でMP3非対応・デジタル著作権管理の煩わしさ・専用アプリケーションの品質問題等、ユーザーの利便性を考慮しない製品の販売が続いたため、後発であるApple ComputerのiPod・iTunesに市場を奪われることになった。
2005年には、フラッシュメモリー/HDD型の名称を従来のネットワークウォークマンからウォークマンへと変更し、新たにシリーズ別に系統化されるようになった。
2006年10月にはNW-S700Fシリーズが発売され、高音質化やマルチコーデックへの対応により、一定のシェアを回復した。2008年10月に発売したNW-S730F/630Fシリーズでは、若年層に向けたマーケティング展開を実施したことも功を奏し、2009年8月の最終週(24〜30日)販売台数シェアでiPodを追い抜き、4年8ヶ月ぶりに首位を記録することとなった。
周年記念製品としては、MDウォークマン10周年を迎えた2002年秋に当時の最新技術を盛り込んだモデルが発売された。
ウォークマン25周年・ネットワークウォークマン発売5周年を迎えた2004年にはMD関連規格であるHi-MD対応ウォークマンや初のHDDタイプのウォークマンが発売された。このうちHDDタイプの「NW-HD1」はそれまでのウォークマンで培ってきた「小型/軽量」「堅牢性」「高音質」「スタミナ」「簡単操作」のコンセプトのもとで開発された。また25周年記念のウェブサイトが公開された。
ウォークマン30周年・デジタルオーディオプレーヤー発売10周年を迎えた2009年にはフラッグシップモデルの「NW-X1050/1060」が発売されたが、30周年記念モデルとは宣伝されなかった。
2010年8月には、2002年7月から96ヶ月連続首位だったアップルを抜き、月間販売シェアで1位、週間販売シェアでは8月第1週〜最終週(8月2日〜9月5日)に1位--を記録した。この事については、例年9月にあるiPodのモデルチェンジ前の「買い控え」によるとする見方などがあったが、2010年11月第2週と同年12月の月間で1位に返り咲いた。その後、2011年の年間販売台数シェアはソニーが54.1%、アップルが38.6%、2012年上半期もソニーが54.0%のシェアでトップを獲得した。 トータルの販売金額でも、2011年9月にソニーが初めてアップルを上回ってトップに立って以来、2011年11月、2012年11月を除いて1位を獲得している。価格帯別では税別平均単価1万円以下でソニーが4~6割と優勢であり(2010年1月〜8月)、税別平均単価1万円以上ではアップルが優勢である。
ソニーが国内ランキング1位に返り咲いた理由として、アップルユーザーがiPod classicと同じ形で音楽も聞けるiPhone・iPadに流れたからとする見方がある。
日本国内では「ウォークマン △シリーズ」の本格展開以前からDAP製品を前面に展開した東芝の「gigabeat」やパナソニックの「D-snap」、日本ビクターの「alneo」が2008年末〜2010年春までに相次いで生産終了・事実上の撤退となり、2012年には日本の大手電機メーカーで(音楽再生に特化した)DAPを新規開発・発売を行うメーカーはソニーとJVCケンウッド(KENWOODブランド)の2社のみ、2015年には2社に加えてティアックやオンキヨー&パイオニア(オンキヨーとパイオニアの両ブランド。現・オンキヨーホームエンターテイメント)がハイレゾリューションオーディオ対応のプレーヤーを発売する状況となった。また、アイリバー(Astell&Kernシリーズ、韓国)など海外メーカー製のハイレゾ対応高価格帯プレーヤーも日本国内向けに販売されている。
北米・欧州市場ではiPodに後塵を拝している状態であり、ソニーがウォークマン用アクセサリーなどの他に、iPodのアクセサリーも販売しており、国内でも2010年にウォークマン用の他にiPod用のドックスピーカーの販売を始めた。ただ欧州などではウォークマンとは別にソニーモバイル(旧ソニー・エリクソン)が出している「Walkman Phone」も販売しており、2007年第1四半期に世界で1890万台販売し、「音楽携帯をリードしている」(同社CEOマイルス・フリント)という状態があった。因みに、iPodのシェアが高いのは欧米だけで、中国や韓国などのアジアでは、iPod、ウォークマン共にシェアは低い[要出典]。またウォークマンは世界中の市場で販売されている。
こうした新世代メディアの台頭により旧世代メディアのウォークマンの販売が終了していった。2010年10月22日、カセットテープ型ウォークマンの日本国内での販売終了を発表し、1979年に初代のカセットテープ型の製品が発売されてから、31年間の歴史に幕を閉じた。理由として、音源および機器のデジタル化(音楽配信やフラッシュメモリー型製品など)に伴う新世代メディアへの移行がほぼ済んでおり、カセットテープの需要が少なくなったことが挙げられる。2010年3月時点のカセットテープ型の世界累計販売台数は約2億2000万台。ただし、中国のEMSで委託生産している日本国外向けは販売を続ける方針。
同様にCD・MD型ウォークマンも需要が落ち込み、2011年7月7日にはMD最終機種のMZ-RH1と「Hi-MD」ディスクの全世界での生産・販売終了を発表した。更に2014年にはCD2機種(D-NE241、D-EJ002)の生産も終了した。
2019年には、40周年記念モデルが期間限定の受注生産で販売された。
1980年に作家の椎名誠は文芸春秋5月号に「35歳ウォークマン戦記」と題した文章を寄稿し、ウォークマンを聴きながら電車に乗ることは「勇気がいる」としたうえで、「ウォークマンをつけて動く景色をみる、ということはまさしく"映画的"そのもの」と評した。
1981年4月に集英社から刊行された『青春音楽グラフィティ タイガースからYMOまで』では、ウォークマンによって行動しながら音楽を聴けることを「革命的」と評しつつ、人とのコミュニケーションに難が生じる可能性や、肉声の重要性を説いている。
(原文ママ)80年代に入り、ますます音楽は街中に氾濫しています。10年前には想像もつかなかった"ウォークマン"なんて新兵器のおかげで、今や街を大きなリスニング・ルームにすることも可能になりました。これは革命的と呼んでも差し支えないのです。SFどころじゃなくて音楽を聴く環境も日毎に変化していくのです。"ウォークマン"を聴きながら街を歩けばまるで自分が映画の主人公にでもなったような気分になりますよ。自分の行動がBGM入りだなんて、ちょっとクリスタル・フィーリングでしょう。これを押し進めると自閉症的になり、人と人ともコミュニケーションができなくなるなんていう危険性にあえて目をつぶれば、音楽を持ち歩ける時代が到来したといえるのです。まるでハンドバッグを持つように、手軽に音楽を携えられる。しかもステレオで。テクノロジーはとどまることを知らない、と言いたいのです。きっともっとすごいものが登場するでしょう。でも歌はやはり肉声であってほしい。"心の叫び"であってほしい。テクノロジーがつくるのはあくまでも、歌を伝えるモノという時点でとどまっていてほしいものです
1986年には「ウォークマン」がイギリスの英語辞典であるオックスフォード英語辞典に、1991年には日本語国語辞典である広辞苑に掲載された。
2010年にはデジタルメディア評論家で津田塾大学講師の麻倉怜士が産経デジタルのニュースサイト「iza」において、「カセットテープというメディアが、ウォークマン普及に果たした役割は大きい」「アルバム制作者の意図とは違う自分だけのベストを作って、自分の思うがままに聴けることは画期的だった」と評した。
2012年にはウォークマン初代機「TPS-L2」が国立科学博物館による未来に残すべき製品として、重要科学技術史資料に選ばれた。
2015年にはダイヤモンド社の副編集長であった森健二が同社のウェブサイト「ダイヤモンドオンライン」での連載において、2013年当時マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長であった伊藤穣一が述べた、イノベーションに必要な3つの条件(誰もやっていない「ユニークさ」、強烈な「インパクト」、人心をつなぐ「マジック的雰囲気」)の3つを初期の3製品で成し遂げたと評した。
ウォークマンに使用されているロゴは、初代は広告宣伝用と製品貼り付け用の2種類があり、前者は「A」の文字から足が生えていた。1980年代のテレビCMでは、「A」の文字から生えた足が歩き出すというグラフィックで「WALKMAN」ロゴを表示していた。1990年代に入ると広告宣伝用ロゴは使われなくなったが、製品貼り付け用のロゴは2000年4月まで使用された。
2代目のロゴは2000年5月より使用され、「W.WALKMAN」と呼ばれている。なお、ビデオウォークマンにはこれらのロゴは使用されなかった。
ウォークマンの型番の原則的な規則は以下の通り。「ウォークマンの製品一覧」も参照のこと。
ハイフンより前
ウォークマンではない一部のソニー製ポータブルプレーヤー・レコーダーも、ハイフンより前の型番は上記と共通である。
ハイフンより後(主に1995年以降)
容量(メモリータイプウォークマン) 2005年以降に発売されたメモリータイプウォークマンでは、容量は型番末端の数字で表される。但し数字と容量の関係は発売時期により異なる。
付加機能・付属品(メモリータイプウォークマン) メモリータイプウォークマンのみ、付加機能や付属品の内容によっては末尾に1~2文字のアルファベットが付加される。
ウォークマンにおいては、店頭では発売されない限定モデルが存在する。近年は当社のネット直販サイト「ソニースタイル(現:ソニーストア)」限定で発売されるモデルを指すことが多いが、何らかの記念として限定発売されたモデルも存在した。
一般店頭販売モデルとの違いは主にカラーリングであるが、以前は店頭発売モデルよりも高機能のモデルも存在した(NW-HD5H、NW-A1200等)。
ウォークマンからは、いくつかの規格が生まれた。ステレオヘッドホンの接続端子の規格としてステレオミニプラグとマイクロプラグ、そして充電池の規格としてはガム型電池である。
以下は初代から現在のウォークマンで使用されている、ヘッドホンおよびリモコンの端子の一覧である。
初代 | アラカルトヘッドホンでない リモコン付属モデル | アラカルトヘッドホン | 1997年秋以降 | 現行のウォークマン | バランス端子搭載モデル (2016年秋以降) | |
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本体のヘッドホン端子 | ステレオミニ | ステレオミニへの 変換プラグが付属 | 変換プラグ付属 →ステレオミニ | ステレオミニ・5極プラグ (ステレオミニ併用) | ステレオミニプラグ Φ4.4mm・5極プラグ (バランス接続・JEITA統一規格) | |
本体のリモコン端子 | なし | 9極プラグ | 9極プラグ →ステレオミニ併用型 | ステレオミニ併用型 | ||
リモコンのヘッドホン端子 | リモコンなし | リモコンとヘッドホンが 一体で分離不能 | マイクロ | ステレオミニ | リモコンが付属しない製品が多い |
既存の部品の組み合わせで開発された1979年発売の初代ウォークマン「TPS-L2」にあって、ステレオミニプラグはただ一つ新規開発された部品であった。当時ステレオのヘッドホンは標準プラグによるのが普通で、ミニプラグにはモノラルのものしかなかった。そのためウォークマンの試作機ではモノラルのイヤホン端子を2組使ってステレオヘッドホンを接続していたが、市販化までにステレオのミニプラグとそれを受けるジャックが新規に開発された。このステレオミニプラグはソニー以外の製品にも広く採用され、デファクトスタンダードとなった。
2006年秋からはノイズキャンセリング機能を本体に内蔵したウォークマン(デジタルオーディオプレーヤー型)Sシリーズの登場により、ステレオミニプラグにマイク用の接点を増やした5極プラグが登場した。5極プラグ採用のヘッドホンは2008年以前のノイズキャンセリング機能搭載モデルのウォークマン以外では使用できないが、ステレオミニプラグのヘッドホンは変換アダプターなしで使用できる。
2009年モデルからはステレオミニプラグと同一形状の新5極プラグが採用された。新5極プラグは一般のヘッドホンジャックに差し込み、通常のヘッドホンとしても使用できる(ノイズキャンセリング機能は使用不可)。
1987年頃からのウォークマンでは、従来一体であったリモコンとヘッドホンを差し替えできるようにした「アラカルトヘッドホン」を採用したが、リモコンとヘッドホンとの接続にステレオミニプラグよりさらに小さい「マイクロプラグ」という新規の規格を採用していた。デファクトスタンダードとなったミニプラグと違って、こちらはデファクトスタンダードとはならなかった。当初の本体とリモコンは「9極プラグ」と呼ばれる独自の平形端子で接続され、ステレオミニプラグ用の変換プラグが付属した。1993年頃以降の機種では9極プラグを廃してステレオミニジャックとリモコン端子を併用して接続する形式に変更され、リモコンを使わなければ直接本体とステレオミニプラグ端子のヘッドホン類との接続が可能にはなった。
1994年頃にステレオミニプラグ-マイクロジャックの変換コードがソニーの接続コードアクセサリーで用意され、リモコンが使える状態で他社製のヘッドホンや外部機器にも接続できるようになった。一方、1990年代から1997年後半までに発売されたソニーの単品(汎用型)オープンエア型ヘッドホンは本体と直結したケーブル長0.3m程度の部分はマイクロプラグ端子で、ウォークマンのマイクロジャック端子のリモコンと接続することを前提とした設計がされていた。同梱のステレオミニジャック変換を兼ねた延長用ケーブルを接続することでステレオミニジャック機器と接続できるようになっている。このマイクロプラグ-ステレオミニジャックのケーブルも接続ケーブルのアクセサリーで付属品と同等品が発売されていたが、やや長い(0.8m程度)ため、この変換ケーブルを通じてステレオミニジャック転換後のウォークマンリモコンとの接続には取り回し面で不便が生じた。
単品ヘッドホンはマイクロプラグ部分をステレオミニプラグへの変更を経て、現在もヘッドホン本体は短いケーブル+延長ケーブル同梱という事実上のセパレートケーブル構成が踏襲されている。
ディスクマンやMDウォークマンにおいても採用されてきたが、ステレオミニプラグと違って他社の採用はなく、1997年9月の新機種よりリモコン・ヘッドホン間の接続にも本体・リモコン間と同じステレオミニプラグを使う方針転換を行った。転換と同時に単品販売されたMDウォークマン用のスティック・コントローラーでは、ステレオミニジャック転換前のMDウォークマンでの使用を想定し、ステレオミニプラグのヘッドホンを同梱していた。
2015年現在、マイクロプラグ仕様のヘッドフォン、イヤフォンおよび変換プラグの生産は終了している。2015年現在は流通在庫のみの販売となっている。ヘッドフォンに至ってはかつてノイズキャンセリング機能の付いた最新鋭のものも発売されていたことがある。これらは品番にMPが付けられている。しかし、ごく一部の大規模家電量販店を除きほぼ店頭で見かけることは無く、取り寄せや通信販売などの限られた方法でしか入手ができない。これに対して、ステレオミニプラグの製品はソニー以外からも豊富に発売されており、容易に入手が可能である。
リモコン付きヘッドホンの採用もウォークマンの特徴であった。本体をバッグなどに入れたまま、手元で再生や停止などの操作を行えるようにと開発されたものであった。マイクロプラグ採用時代はカセット・CD・MDのいずれにおいても、リモコンの形状はある程度統一されていたが、ステレオミニプラグが採用されると、リモコンの形状もユニークなものになった。
カセットやCDでは、ジョグレバーで操作する液晶リモコンが登場した。カセットでは、液晶画面の周囲にドットが配置され、テープの走行状態に合わせてドットが回転するリモコンが採用された。
CDウォークマンでは「eyeコマンダー」と呼ばれるリモコンが採用された。「(一部の機能を除いて)全ての操作が出来る」と謳ったこのリモコンは、それまで本体操作に限定されていた音質調整やプレイモードの操作を可能にした。加えて「くるくるクリップ」と称する回転式クリップや、バックライト搭載タイプには「ライトボタン」も採用されている。
MDウォークマンでは、ヘッド部を動かして再生・頭出しなどの基本操作を行う「スティック・コントローラー」が採用された。字のごとく、細長い形状のリモコンであった。「スティック・コントローラー」は、1996年~1997年夏のモデルでも使用できるよう、アクセサリーとして別売りもされていた。機種により、バックライトや液晶表示に関する制限がある。1999年には、改良型の「スマート・スティック・コントローラー」も登場した。
2000年に入ると、MDLPの採用に合わせて「スティック・コントローラー」がモデルチェンジを行い、同時にCDウォークマンにも採用されるようになった。さらに、2001年には漢字かな表示対応スティック・コントローラーも登場した。
2002年にはさらにモデルチェンジを行い、従来ヘッド部分を動かして行っていた再生・頭出しを、ジョグレバーによって行う方式に変更した。また、従来カナ表示対応型と漢字表示対応型とで異なっていたデザインも統一された。さらに、HDD対応のネットワークウォークマンおよびウォークマンAシリーズのHDDタイプ(NW-A3000/A1200/A1000)でも使用可能である。この世代のリモコンは現在でもMD/Hi-MDウォークマンにも採用されているが、機能の増加に合わせマイナーチェンジを行っている。
2004年に入ると三行漢字表示対応のリモコンが用意された。これは同年1月に発表された新規格「Hi-MD」対応のMDウォークマンに採用されたものであり、曲検索およびメニュー操作にジョグダイヤルが新設され、操作性の向上がはかられた。基本操作にはジョグレバーが採用されている。これは一部のHi-MDウォークマンおよび、Aシリーズを除くHDD対応ネットワークウォークマンに対応している。またCDウォークマン向けには10月の新製品発表に合わせ、スティック・コントローラーが一新された。
リモコン付きヘッドホンでは、手元で再生や停止などの操作を行えるが、本体をバッグなどに入れてコードを出す方法が採られたため、本体からコントローラまでをコードレスにする方法が望まれた。
1988年発売の「WM-505」より搭載されていたが、電波干渉による誤動作や使用時に支障をきたす場所(航空機内など)では使用できない、価格が通常のウォークマンよりも高い、通信にHi-BANDのワイヤレス電波を用いるために音質面が劣る、といったデメリットが目立ち、リモコン付きヘッドホンほどの人気には至らず、また電波法の改正により「MZ-E606W」を最後にワイヤレスモデルは一旦展開を終了した。カセット・CD・MDのいずれにおいても採用されたが、カセットの方で多く採用された。1990年代後半にはリモコンの形状もユニークなものになった。
1997年秋モデルのMDウォークマンで初めて採用され、2000年秋モデルからはCDウォークマンでも採用された。尚、スティック・コントローラーには型番があり、ELのコントローラーはバックライト機能、ELKのコントローラーはバックライト機能と漢字かな表示に対応している。
1985年に本体の電源として開発された。こちらも他社の製品にも広く採用され、デファクトスタンダードとなった。これ以降本体の電池投入口はガム型充電池用のみ搭載し、乾電池は外付けのケースに入れる形式が他社製ポータブルオーディオを含めて浸透した。
CDプレーヤーについては単3型電池(アルカリ乾電池または充電式電池)を使用する形態が続き、「ディスクマン」が「CDウォークマン」に一新されて1年経過した1999年秋モデルより本格採用が始まった。
MDウォークマンは1996年モデルから再生専用機で、1998年からは録音再生機でも採用された。1997年の「MZ-EP10/EP11/EPS11」では乾電池型電池かガム型電池のどちらかを本体内に収納できるようにして、乾電池型電池を電池ケースなしで使用できるようになっていたが、本体サイズが通常の機種に比べて大型化してしまうことや、乾電池とガム電池の併用などによる長時間再生ができないという欠点があったためか、再生専用機では前述の3機種・同年秋のMZ-E25・翌年のMZ-E33の5機種のみとなった。
ウォークマンは再生・録音をする際に便利の機能を有する機種もある。
後期のカセットウォークマンにはカセットテープの中で音声が収録されていない数秒の無音部分を曲の変わり目と見なしてボタンを押した回数だけ次または前の曲の冒頭まで早送りや巻き戻しを行うことで聞きたい曲を選択できる機能が搭載された。使用には、カセットテープにどの順番で曲が録音されているか、そして今現在カセットテープのどこを再生しているかを把握している必要がある。
1998年夏モデルのミニコンポ「MD pixy DMC-MD777」への搭載により登場。当時は、MDデッキのダブルデッキ化が一般的ではなく、ダブルMDデッキ搭載モデルの価格が高かったこと、低価格コンポが登場していたことから、低コストでMDダビングができるシステムが早急に望まれた。その答えの1つが、MDウォークマンをもう1台のMDデッキとして使うことであった。MD pixy2機種と高級志向のマイクロコンポJMD-7にMDウォークマンリンク端子が搭載されたが、それ以上の展開はされなかった。
MDウォークマンリンクは、MDウォークマンとMD pixyとを専用ケーブルを用いて繋ぐことで、MDダビングやテキストコピー、シンクロ録音、MDウォークマンの再生が可能であった。リモコン端子搭載モデルのMDウォークマンであれば使用が可能。デジタル信号によるMDダビングでは、SCMSにより2世代以降のデジタルコピーが禁止されているが、MDウォークマンリンクは、ダブルMDデッキでのMDダビングと同様にアナログ接続であるため、SCMSの制約は受けない。また、MDウォークマンのリモコン端子に接続しているので、MD pixyへコマンド信号が送信されて、テキストコピー、シンクロ録音はもちろんのこと、コピー元のMDと同じトラックで分割される(ギャップレスのMDも同様に分割される)ため、手動でのトラック分割は不要である。
1997年に発売されたCDラジカセ「ZS-D7」への搭載により登場。当時はMDデッキが一般的ではなく、MDを搭載しないラジカセも多数販売されていたことから、録音再生MDウォークマンをMDデッキ代わりにして、MDラジカセ感覚で使うスタイルが提案された。MDウォークマンとラジカセ付属の専用ケーブルを用いて繋ぐことで、MDウォークマンの再生、シンクロ録音、充電が可能であった(CDのデジタル録音には別途光デジタルケーブルが必要)。
1999年には2代目の「ZS-D70」が発売された。機能はZS-D7とほぼ同じであるが、前年のMZ-R55から動作電圧が3Vに変更されたため(従来は6V)、DC-DCコンバーターユニットを介して動作電圧を3Vに変更する機能が追加された。
デジタルオーディオプレーヤー型ウォークマンにおいて様々な周辺機器に接続できるようにするため、2006年秋発売のNW-S700F/NW-S600シリーズから採用された。NW-A3000/NW-A1000に搭載された42ピンプラグを、使いやすいように22ピンヘコンパクト化してキャッチーな名前にしたものであるが、42ピンプラグとWM-PORTに互換性はない。iPodの「Dockコネクタ」の仕様に似ているが、こちらの方がよりコンパクトである。サポートされている周辺機器は、WM-PORT搭載の機種ではWM-PORT対応の周辺機器であれば接続でき、NETJUKEの接続にも対応している。尚、PCとの接続など接続時に操作ができない組み合わせもある。
WM-PORTでは従来からの楽曲転送やバッテリー充電の他に、「ダイレクト録音」、「マイク録音」、「Bluetoothトランスミッター接続」、「NETJUKEとの接続」、「録画機能(一部機種のみ)」、「文字入力パッドでのタグ情報編集(一部機種・ダイレクト録音で録音した楽曲ファイルのみ)」、「ハイレゾ音源出力(一部機種のみ)」に対応している。またDMPORT端子搭載のAVアンプとの接続に関しては、専用ケーブルを接続することで、ウォークマンに転送された楽曲を再生することができる。
WM-PORT対応の周辺機器は、ソニーから発売されていたが、2008年の9月のプレスリリースによると、ソニーはライセンスプログラム「Designed for Walkman®」を開始し、ライセンシーに対して「WM-PORT」の仕様を公開するとしている。これにより、様々なメーカーにて、ウォークマンと接続して楽しめる専用アクセサリーの製造・販売が可能となり、ライセンシーはソニーによって認定された「WM-PORT」搭載商品のパッケージ等に「Designed for Walkman(R)」ロゴを使用できる。
なお、ロジテックは「Designed for Walkman(R)」に準拠した「WM-PORT」搭載アクセサリー4機種、FMトランスミッター2機種、サウンドレコーダー、アクティブスピーカーを販売している。
WM-PORT対応ウォークマンにはアクセサリーアタッチメントが付属し、一部の周辺機器とはこのアタッチメントをはめ込んで使用する。当初はアタッチメントの形状は円形であったが、2009年秋からは円形に加え楕円(オーバル)形も付属するようになった。2010年モデルからは円形はオプション扱いとなっている。
2010年以降はmicroUSBやUSB Type-Cの登場で、コンパクトで使いやすいWM-PORTの優位性が薄れることになる。2016年モデル以降はデジタル専用となったが、それでも旧態依然の規格であったことから、2019年モデル(NW-A100シリーズ/NW-ZX500シリーズ)では、USB Type-C端子の採用に伴ってWM-PORTが廃止された。
ワイヤレス対応モデルはカセット・CD・MDにおいては#ワイヤレス・レシーバーを用いてきたが、ネットワークウォークマンでは2006年よりBluetooth方式を採用している。従来からのHi-BANDからデジタル通信のBluetooth方式となったことで、伝送時における音質劣化を抑えることに貢献したものの、Bluetoothで採用されている非可逆圧縮方式では音質劣化が顕著であったこと、ハイレゾに非対応だったことから、現在の製品ではBluetoothのビットレート帯域をフルに使用するためにLDACを開発、多くの機種に採用している。
2006年10月12日にNW-S700F/S600シリーズを発表した際には、同モデルから搭載されたWM-PORTに接続できるBluetoothトランスミッター「WLA-NWB1」を同年11月より発売した(2011年頃生産終了)。Bluetooth非搭載のWM-Port搭載ウォークマンで使用可能である。
2016年にWM1シリーズとA30シリーズを発表した際、Bluetooth Low Energy方式のリモートコマンダー「RMT-NWS20」が発表された。ウォークマンを有線接続やクレードル接続時などにおいて、再生・曲送り・音量調節などの操作が行える。Bluetooth v4.2以降に対応しているウォークマンで使用可能。
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