『ポセイドン・アドベンチャー』(原題:The Poseidon Adventure)は、1972年のアメリカ合衆国のパニック映画。1969年に出版されたポール・ギャリコの同名小説をもとに、ロナルド・ニームが監督、アーウィン・アレンが製作した本作には、5人のオスカー受賞者(ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、ジャック・アルバートソン、シェリー・ウィンタース、レッド・バトンズ)を含むアンサンブルキャストが出演している。架空の豪華客船「ポセイドン号」(英語版)は、スクラップになる前にニューヨークからアテネに向けて最後の航海に出発する。大晦日の夜、ポセイドン号は津波によって転覆し、乗客や乗組員が船内に閉じ込められてしまう。様々な困難を迎える中、牧師が生存者のグループを安全に導こうとする姿が描かれる。
ポセイドン・アドベンチャー | |
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The Poseidon Adventure | |
監督 | ロナルド・ニーム |
脚本 | スターリング・シリファント ウェンデル・メイズ |
原作 | ポール・ギャリコ 『ポセイドン・アドベンチャー』 |
製作 | アーウィン・アレン |
出演者 | ジーン・ハックマン アーネスト・ボーグナイン レッド・バトンズ キャロル・リンレイ シェリー・ウィンタース ロディ・マクドウォール ステラ・スティーヴンス ジャック・アルバートソン パメラ・スー・マーティン アーサー・オコンネル エリック・シーア レスリー・ニールセン |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ アル・カシャ ジョエル・ハーシュホーン |
主題歌 | レネー・アーマンド(Renée Armand)『The Morning After』 |
撮影 | ハロルド・E・スタイン |
編集 | ハロルド・F・クレス |
製作会社 | ケント・プロダクションズ |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 | 1972年12月12日 1973年3月17日 |
上映時間 | 117分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $12,000,000 |
興行収入 | $84,563,118 |
配給収入 | 11億円 |
次作 | 『ポセイドン・アドベンチャー2』 |
この作品は、『大空港』(1970年)、『大地震』(1974年)、『タワーリング・インフェルノ』(1974年)など、1970年代前半から中盤にかけてのオールスター共演パニック映画の流れを汲むものである。本作は1972年12月に公開され、全世界で1億2,500万ドル以上を稼ぎ出し、1973年の最高興行収入を記録した。また、アカデミー賞2部門、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、全米音響効果監督組合のゴールデン・リール賞を受賞した。後年、同じくギャリコの小説を原作とした続編『ポセイドン・アドベンチャー2』が1979年に公開された。
81,000トンの豪華客船「ポセイドン号」は1,400名の乗客を乗せ12月にニューヨークを出港し、ギリシャのアテネを目指して航海に出た。だがこの豪華客船のハリソン船長(レスリー・ニールセン)は、この船の重心が高くバラスト(底荷)を十分に注入していないので、大波による転覆を恐れていた。そのためスピードを上げずに船を進め、微速前進状態でバラスト注入を開始する。しかし船主代理のライナーコスはそれを認めず、予定を3日も遅れていると船長を叱責し、スピードを上げることを要求した。ポセイドン号は現地で解体が予定されている老朽船であり、作業員も確保しているため、到着日の遅れは会社にとって経済的負担が大きいからであった。船長はやむなく全速でポセイドン号を進ませることとなる。
ところがクレタ島の南西130マイルの沖合で海底地震が起こったとの情報がはいる。奇しくもその日は大晦日であり、その夜に大食堂ホールでパーティーが開かれていた。
新年を迎えたその直後、地震の影響で起きた大津波がポセイドン号に左舷から迫る。見張りからの一報を受けた船長はモールス係のスパークスにメーデーの送信を命ずる。間もなく、津波は32mの高さでポセイドン号を襲い、船はあっと言う間に転覆した。それまでの上部が足元に、足下が頭の上部へとひっくり返ることになる。ホールで新年を祝う「オールド・ラング・サイン」を斉唱していた船客らは、サイレン音を聞き危機を知るが、なすすべもなく投げ出される者、落下し壁に叩きつけられる者、落ちてきたテーブルや物品の下敷きになる者などが続出し、まさに阿鼻叫喚の場となった。
転覆し上下が180度回転した大食堂ホールには、転覆直後にはまだ相当数の生存者がいた。客船のパーサーは「救援隊が来るまでここで待機する」と訴える。しかし独身で雑貨商を営むジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)が「船底へ行けば救助隊に近づける」と提案。破天荒な説教でも知られたフランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)がそれを聞き同意。生存者たちに上へ行くことを訴えた。彼は留まっていれば海面下にあるこのホールはやがて浸水して皆死ぬので、上に上がり「船底」(この場合は船の最下部でなく、船の最上部となる)の竜骨付近に行き、そこで救援隊を待とうという意見を主張した。ホールの上には洗濯室があり、そこにボーイのエイカーズ(ロディ・マクドウォール)がいた。
上る手段としてホールに備え付けられていた大きなクリスマスツリーをはしご代わりにたてかけた。最初にロビン・シェルビー少年(エリック・シーア)が上り、続いて姉のスーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)、リンダ・ロゴ(ステラ・スティーヴンス)、リンダの夫でニューヨーク市警察の刑事マイク(アーネスト・ボーグナイン)、イスラエルに住む初孫の顔を見るのが楽しみだと語っていたマニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)、妻のベル・ローゼン(シェリー・ウィンタース)、ジェームズ・マーティンとマーティンに声をかけられた兄や仲間のバンドメンバーを全て失った歌手ノニー・パリー(キャロル・リンレイ)の順でそれぞれ上っていった。
さらにスコット牧師は広間に海水がなだれ込む前に上に行かねばならないと訴える。しかしパーサーは頑として聞かず、「牧師は船のことは何も知らない。ついて行くな」と乗客に命令する。スコット牧師はジョン牧師(アーサー・オコンネル)にも一緒に行くよう説得するが、ジョン牧師は「この人たちを置いてはいけない」とその場にとどまる。
最後にスコット牧師自身が上に上り、残りの生存者へ「海水はいつかはなだれ込んでくる。ここにいれば確実に死ぬんだぞ」と説得をしたが、「我々はパーサーを信じる」と人々は耳を貸さなかった。あきらめて一行が前へ進みかけたとき、船の中で爆発がおき、壁の窓ガラスやステンドグラスが割れホールに水がなだれこんできた。人々はパニックに陥りツリーに殺到、あまりにも多数の人間が一度にしがみついたためにツリーは倒れてしまう。泣き叫ぶ人々の声を聞きながらもスコット牧師にはどうすることもできなかった。
スコットに付いてきた8人と、もともと上にいたボーイのエイカーズ、スコット牧師の合わせて10人で船尾の機関室を目指すことになる。上下さかさまとなった船を上へと登る、生きるための行動が開始された。
製作費1200万ドルは船のセット、転覆場面の撮影、1135万リットルの水に大半が消費されたという。まだコンピューターグラフィックの無い時代で全て実写であった。撮影には実在する豪華客船のクイーン・メリー号が使用された。
同年公開の『ゴッドファーザー』とほとんど同じ興行収入を記録する大ヒット作品となった。その結果、経営難にあった20世紀フォックスを立て直す存在となった。
またこの作品で当時パニック映画(ディザスター・フィルム)と呼ばれるジャンルが確立して、アーウィン・アレンを中心とするスタッフが、この時の特撮技術を活かし、2年後に『タワーリング・インフェルノ』を製作した。
受賞 | 人物 | |
歌曲賞(主題歌賞) | アル・カシャ ジョエル・ハーシュホーン | |
視覚効果賞 | L・B・アボット A・D・フラワーズ | |
ノミネート | ||
助演女優賞 | シェリー・ウィンタース | |
撮影賞 | ハロルド・E・スタイン | |
編集賞 | ハロルド・F・クレス | |
美術賞 | ウィリアム・クレバー ラファエル・ブレトン | |
衣裳デザイン賞 | ポール・ザストゥプネヴィッチ | |
作曲賞 | ジョン・ウィリアムズ | |
録音賞 | セオドア・ソダーバーグ ハーマン・ルイス |
同じくギャリコの小説を原作とした1979年の続編『ポセイドン・アドベンチャー2』も、本作と同様に豪華なキャスト陣で製作され、公開された。
『ポセイドン・アドベンチャー』は、2度リメイクされている。2005年に同名のテレビスペシャルとして、また2006年には『ポセイドン』というタイトルで劇場公開された。
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