築地市場(つきじしじょう)は、東京都中央区築地5 - 6丁目に1935年から2018年まで83年間にわたって使用されていた公設の卸売市場である。俗に「つきじいちば」とも読まれる。
2018年10月6日に営業を終了した。10月11日に豊洲市場(江東区豊洲)が開場し、同日解体工事が始まった。東京都内に11か所ある東京都中央卸売市場の一つ。その規模は金額ベースで日本最大であり(面積では大田市場(大田区東海)の方が広いが、取引金額は大田市場より大きかった)、知名度は群を抜いていた。
この項では隣接する築地場外市場についても記述する。
築地六丁目にある駐車場の一部を除き、築地市場の所在地は「東京都中央区築地五丁目2番1号」。 築地市場は、面積約23ヘクタール (ha)。この中で、7の卸売業者と約1,000(うち水産約820)の仲卸業者によってせりが行われる。2005年の取扱数量は、全品目合計で約916,866トン(一日当たり水産物2,167トン、青果1,170トン)、金額にして約5657億円(一日当たり水産物1768百万円、青果320百万円)であった。
築地市場で取り扱っていた品目は水産物(取扱量は日本最大)のほか、青果(野菜・果物、東京では大田市場に次ぐ第二位)、鳥卵(鶏肉および鶏卵)、漬物、各種加工品(豆腐・もやし・冷凍食品等)だった。
競り場や大卸・仲卸があった建物は、大きな弧を描いている。これは国鉄東京市場駅がかつて存在していた名残である。この駅は築地市場と一体的に設置されており、線路は市場の外周部に沿うように敷設され、長大な鮮魚貨物列車の入線が可能だった。貨車から降ろしてすぐに競り売りが行われたため、 競り場や大卸・仲卸がこの場所にあった。しかし高速道路網の整備が進むと鮮魚の運送は貨物列車からトラックに移行し、取扱量は年々減少していき、1987年1月末をもって鉄道輸送は終了した。線路は市場内外でも撤去されているが、市場の青果門付近から朝日新聞東京本社の脇を通って旧汐留駅跡へと伸びる細い道路が線路跡であり、踏切の警報機も残されている。
中央卸売市場である築地市場では、開設者である東京都の管理監督のもと、水産部7社(水産加工品及び塩干魚を含む)、青果部3社(漬物、鳥卵を含む)の民間卸売会社が営業している。これらはいずれも、卸売市場法第三章に基づき所管である農林水産省から認可を受け、出荷者から委託ないし買い付けた物品を、せり売又は相対売によって仲卸業者・売買参加者等に卸売する者である。業界内では卸売会社を特に仲卸業者と区別するために「卸」ないし「大卸」「荷受」などと通称される。また、場内には仲卸業者が水産物部で596業者、青果部で101業者店舗を構えて営業していた。
なお、水産部卸売会社7社および東京北魚(足立市場)で東京都水産物卸売業者協会(卸協会)を組織している。東京都中央卸売市場は11場あるが、このうち水産物を取り扱っているのは築地、大田、足立の3場のみで、大田市場水産物部卸売会社は大都魚類大田支社、足立市場の水産物部卸売会社は大都魚類千住支社と東京北魚(中央魚類関連会社)である。このため、卸協会は築地市場水産物部卸売会社連合組織と、東京都中央卸売市場水産卸売会社の連合組織を兼ねている。
東京都中央卸売市場の部局として築地市場が置かれている。
(括弧)内に略称を示す。
江戸時代から、東京の食品流通を担ってきた日本橋魚河岸を始めとする市場群が、1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災で全壊した。9月17日、日本橋魚市場組合が芝浦で仮営業を開始。そして12月、隅田川や汐留駅といった水運、陸運に恵まれていた旧外国人居留地(築地居留地)の海軍省所有地(海軍大学校、造兵廠、水路部などの施設があった)を借り受けて、臨時の東京市設魚市場を開設したのが、築地市場の始まりとなる。
築地市場の扱う生鮮品の良さや食堂棟のグルメがマスコミに頻繁に取り上げられるようになったこと、築地市場の売り上げの減少により業者以外の入場規制の解除を行い観光客の誘致を働きかけるようになり、一般の見学客や購買客が大勢訪れるようになった。現在は東京の観光ガイド本はもちろん、外国人向け旅行ガイドブックにも築地が取り上げられ、日本の観光地の一つとなっている。
2018年10月11日以降、築地の卸売機能は豊洲市場へ移る。卸売市場に隣接して約460の小売・飲食店が営業する商店街「築地場外市場」(後述)は同年9月27日、一般投票の結果に基づき、卸売機能移転も現在の名称を使い続けると発表した。同年10月1日には、中央区がにぎわい維持のために開設し、約60軒の生鮮小売店が入る施設「築地魚河岸」が開業した。
上記のように、築地市場の別称である場内市場と、築地市場に隣接した商店街である場外市場とがある。市場敷地内は東京都管轄の卸・仲卸・関連事業者と呼ばれる業者販売を前提とした店であるが、場外市場は通常の商店街と同じである。飲食店や小売店の小規模な仕入れに対応するだけでなく、一般客や観光客を相手にした店が多い。
観光客・一般客の急増に伴い、本来は立ち入り禁止区域の入所も黙認していたが、市場のルールやマナーに反する観光客・一般客が増え、市場本来の業務に支障を来すなどの問題も起きた。対策として2008年(平成20年)4月から、卸売場への立ち入りを原則禁止、冷凍マグロの競り場にロープで区切った見学エリア設置・時間限定(午前5時 - 午前6時15分)で容認、注意事項パンフレット(5ヶ国語)の用意、等が講じられた。しかし、改善の兆しがあまり見受けられないことから規制を強化、観光客・一般客は2008年(平成20年)12月15日から2009年(平成21年)1月17日までの予定でマグロなどの水産物や青果の競りを行う区域を立入禁止とした。マグロは国際取引禁止提案否決での関心もあり、2010年(平成22年)3月頃から見学者が500人を超えることがあった。同年4月8日 - 5月8日には年始年末以外で初めてマグロ競り見学禁止となったが、各国在日大使館等への事前連絡による周知が不足していたこともあり、知らずに訪れた外国人観光者と揉める場面も見られた。最悪の場合、全域立ち入り禁止にもなりかねない状況であったが、その後はマグロ競りの見学に時間制限や定員を設けたり、見学時間を原則午前9時以降にしたりするなどの制限にとどまった。
同様に2011年3月14日には、3月11日に発生した東日本大震災後は、地震の影響を踏まえて7月25日までマグロの競り会場の見学が禁止された。この時もマグロのセリ会場以外は通常通り見学することはできたが、余震や津波の影響が残ることから、市場内の見学を控えるように要請した。
この後、同7月26日からマグロセリ会場の見学が再び解禁(年末年始は従来通り見学不可のまま)となったが、
という改正を行っている
築地は中央卸売市場として集荷分配・価格決定をする公共市場としての性格が強く、もともと業者(小規模店・飲食店・料亭など)向けの卸売価格で販売されていることが多い。場外市場も台東区上野・御徒町のアメヤ横丁などと異なり、過度の値引き交渉を前提とした価格設定は基本的にされていない。観光客や一般客を前提とした店舗もあり、商品の購入自体は小口買いの業者も多いことから一般消費者だからといって断られることはないが、アメ横などと同一視して値引きなどを要求すると断られる場合も多い。
構造の古さもあり、1970年代以降散発的に市場の移転が検討されてきた。2000年代後半から2010年代前半にかけて移転に向けた事業が本格的に進められ、江東区豊洲(東京ガス跡地)への移転が決定した。決定当初は2016年11月と予定され、市場設備も完成した状態にあったが、豊洲市場の土壌汚染対策に不備があるとして延期された。最終的に移転は2018年10月11日に決定したが、場内に入居する仲卸業者などに対する補償など、延期のためにかかる費用も問題になった。
東京都は、築地解体工事に際して、老朽施設に含まれる有害な石綿 (アスベスト) の飛散防止、餌が豊富な市場に棲み着いているネズミの駆除を行う計画である。
また地元の中央区が、行き場を失う猫を保護する方針を表明している。
築地市場閉鎖後は工事関係者以外立ち入り禁止となったが、移転に反対する団体が制止を振り切り無断で敷地内に入る騒動が起きている。市場内に所有物を残している水産物仲卸業者に対して、東京都の申し立てを受けた東京地方裁判所が11月22日付で、土地と建物の明け渡しを命じる仮処分を決定した。
周辺の公共交通機関拠点や道路・交差点は、築地市場至近であることにちなんで命名されたものが多い。名称が定着していることから、下記にある築地市場駅の駅名や、正門付近の交差点「中央市場前」「市場橋」、区道「市場通り」に改称の予定はない。「築地市場正門前」から「国立がん研究センター前」へ改称された都営バス停留所には「(築地市場駅前)」と付記されている。
築地場外市場は東京都中央区にある商店街である。通称:場外、場外市場、築地場外。築地市場に隣接し、市場と築地四丁目交差点(新大橋通りと晴海通りとの交差点)との間の築地四丁目、築地六丁目にある。築地市場の豊洲市場への移転後も営業を継続しており、はとバスのコースも設定されている。すしざんまい本店(寿司)、小田保(豚カツ、フライ)、近江屋牛肉店(食肉)など、海産物を中心に小売店、飲食店などがある。
東経139度46分11秒 / 北緯35.66139度 東経139.76972度
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article 築地市場, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.