『氷と炎の歌』(こおりとほのおのうた、A Song of Ice and Fire)は、アメリカ合衆国の作家であり脚本家であるジョージ・R・R・マーティン著のファンタジー小説シリーズ。米HBOにて『ゲーム・オブ・スローンズ』、および『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』としてドラマ化もされている。
氷と炎の歌 A Song of Ice and Fire | ||
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著者 | ジョージ・R・R・マーティン | |
発行日 | 1996年 | |
発行元 | 早川書房(日本語版) | |
ジャンル | ファンタジー、ハイ・ファンタジー | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語(日本語) | |
公式サイト | George R. R. Martin's Official Website | |
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1996年に第1部『七王国の玉座』が発表されて以来、2023年現在も続刊中である。中世イギリスや薔薇戦争をモチーフにした架空戦記であり、多彩な登場人物の視点から進行する群像劇であり、ドラゴンや魔法が登場するファンタジーでもある。2015年時点で、シリーズ合計では世界中で6000万部を売り上げている。
当初は3部作の予定であったが、2019年4月現在で5部が出版されており、最終的には7部の長編により構成される予定である。
『氷と炎の歌』の物語は、ウェスタロスと呼ばれる架空の大陸と、その東にあるエッソスと呼ばれる大陸でおもに展開する。登場するキャラクターのほとんどは人間であるが、シリーズが進むにつれて他の種族も登場する。極北の恐るべき〈異形〉(〈異形人〉)や、東の炎を吐くドラゴンなどであるが、いずれも物語の当初は絶滅したと思われていた。シリーズには3つの主要な筋がある。第一はウェスタロスの覇権を巡って多くの名家が王位を巡って争う内戦であり、第二はウェスタロスの北の境界を形成する巨大な氷の〈壁〉の向こう側に住む〈異形〉からの脅威の高まりであり、そして第三は15年前の内戦で殺された王を父とする流浪の王女デナーリス・ターガリエンの、ウェスタロスに帰還して生得の権利である玉座を奪還しようとする野望である。シリーズが進むにつれ、3つの筋は絡み合うことになる。
シリーズは複数の視点人物の眼を通した三人称で語られる。 その他、長編の一部に基づいた中編が発表されている。
2011年からHBOにより『ゲーム・オブ・スローンズ』としてテレビドラマ化されている。日本においてもスター・チャンネルにおいて2013年1月から放映されている。
さらに、『炎と血』("Fire and Blood")に基づきターガリエン家の歴史を語る『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚のドラマシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の製作が2019年10月29日に発表され、2022年8月21日より放送されている。
シリーズと同じ世界ではあるが、約90年前に時代を移した3篇の中編が発表されている。主人公たちの名前にちなんで、「ダンクとエッグの物語」シリーズと呼ばれている。いずれも『七王国の騎士』(A Knight of the Seven Kingdoms)に収録。
(日本語未訳)(アンソロジー "Dangerous Women"(2013)に収録) 『七王国の玉座』の約200年前を舞台とし、〈双竜の舞踏〉(The Dance of the Dragons)として知られる内戦を描く。後に加筆されて中編集『炎と血』にまとめられている。
ターガリエン王朝のヴィセーリス一世が崩御し、前王妃との間に生まれたレイニラ王女と現王妃アリセントとの間に生まれたエイゴン王子が王位を争う。ドラゴンストーンを本拠地とするレイニラ側と、キングズランディングを本拠地とするエイゴン側は、それぞれドラゴンを駆り、諸名家を味方につけて七王国全体が内戦に突入する。レイニラ側は夫で叔父のデイモン王子を含む多くを失い、二人の息子だけが助命される。レイニラ自身は息子たちの目前で、エイゴン王子のドラゴンに食い殺される。エイゴン王子はエイゴン二世として王位に就くが、戦いで負った傷のためにやがて崩御し、皮肉にもレイニラの二人の息子たちが順に後を継ぐことになる。この戦いでドラゴンのほとんどが死に絶える。
(日本語未訳) (アンソロジー "Rogues"(2014)に収録)
『七王国の玉座』の約200年前を舞台とし、""The Princess and the Queen"の前日譚にあたる。"悪漢"デイモン王子を主人公とする。後に加筆されて中編集『炎と血』にまとめられている。
ヴィセーリス王は男子優先の相続法に従えば弟のデイモン王子が後継者であるはずのところを、娘のレイニラ王女を後継者とする。やがて王妃は亡くなり、王はハイタワー家のアリセントを後室に迎え、エイゴン王子を始めとして多くの子供たちをもうける。だが王はレイニラ王女を後継者からはずさない。レイニラ王女はドラゴンストーンを与えられ、ヴェラリオン家のレーナーと結婚する。レーナ―の死後、レイニラは叔父のデイモン王子と結婚し、子をもうける。アリセント王妃とレイニラ王女の対立は深まる。
(日本語未訳)(アンソロジー"The Book of Swords" (2017年10月)に収録)
ターガリエン王朝初代エイゴン征服王の息子たちである、妹レイニスとの子である第二代エイニス一世と、姉ヴィセーニアとの子である第三代メイゴル残酷王の時代を描く。後に加筆されて中編集『炎と血』にまとめられている。
ターガリエン家の慣習である一夫多妻制と近親婚の習慣を七神正教は受け入れず、征服された痛みを未だ忘れていない七王国では反乱が多発する。文弱なエイニス一世はこれを抑えられずに崩御し、七王国最強の騎士である弟メイゴルが兄の長子エイゴンと王位を争う。メイゴルは王位争奪戦を勝ち抜き、反乱勢力を壊滅させ、聖兵組織を禁じて正教を屈服させ、投降者を厳しく罰して残酷王の異名を得る。エイゴンの姉かつ妻で未亡人となったレイナを含む複数の妻を迎えるが、子には恵まれない。再び反乱がおきる中、鉄の玉座の上で不可解な死を遂げ、エイニスの三男のジェヘアリーズが王位に座ることになる。
2018年11月にリリースされた、ターガリエン家の歴史を語る中編集。日本では2020年12月から2分冊で刊行された。本作に基づいて、テレビドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』が放送されている。このドラマシリーズは、『竜王の裔たち - 揺れる王位継承権 (Heirs of the Dragon-A Question of Succession)』以降の〈双竜の舞踏〉(Dance of the Dragons) と呼ばれる内戦を描く。
以降の"The Dying of the Dragons-" 6中編は中編"The Princess and the Queen"で語られた〈双竜の舞踏〉(The Dance of the Dragons)と呼ばれる内戦を物語る。
ビデオゲーム、ボードゲーム、カードゲーム、ガイドブック、料理本など多数の派生作品が製作されている。
本シリーズの第1部から第3部には岡部宏之による旧訳と、酒井昭伸による新訳が存在し、旧訳と新訳の間では多くの名称の日本語訳が変更されているため、以下においては新訳語を用い、最初に使用された箇所では括弧内に旧訳語を示す。
物語は、南アメリカ大陸と同じ程度の大きさであり同じ季節が何年も続くウェスタロス大陸が主な舞台となる。その歴史は1万2千年前にさかのぼる。この土地の最初の居住者は、自然と調和して生き、強力な魔法を使う小柄な〈森の子ら〉(〈森の子供たち〉)と呼ばれる種族であった。彼らが信仰した〈古の神々〉はいまだに北部であがめられている。そこに青銅の武器を持ち馬に乗った野蛮な戦士文明の〈最初の人々〉が東方の大陸エッソスから地峡を渡ってやってきて、〈森の子ら〉と数多くの戦争を繰り広げた。戦いの結果、地峡は魔法によって破壊された。その結果、〈顔のある島の条約〉(〈顔の島の条約〉)が結ばれ、〈森の子ら〉は森に住み、〈最初の人々〉は開けた土地を支配することとなった。
4千年後、遥か北方から、謎に満ちた種族である〈異形〉が現れ、ウェスタロスを席巻して多くの死と破壊を引き起こし、何世代も続く闇と何十年も続く冬をもたらして、条約は力を失った。その後〈夜明けを呼ぶ戦争〉において、〈異形〉は〈最初の人々〉と〈森の子ら〉によって退けられ、ウェスタロス最北部の地峡を横断する巨大な氷の〈壁〉によって、再び南に侵入することを阻止された。続く数世紀の間に、〈森の子ら〉は次第に姿を消し、ウェスタロスを離れたか、滅亡したかと考えられた。
〈夜明けを呼ぶ戦争〉から約2千年後、アンダル人が東の大陸エッソスから〈狭い海〉を渡って上陸した。アンダル人は鉄の武器を持ち、馬を乗りこなして戦い、〈七神正教〉(〈七柱の神々〉の宗教)をもたらした。アンダル人はアリンの谷間に上陸し、南部の王国を征服した。しかし、厳しい自然環境に守られた北部の王国は征服できず、北部は〈最初の人々〉の習慣を色濃く残す土地となった。やがて、ウェスタロスには6つの巨大で強力な王国が創建された。北の王国、鉄諸島の王国、谷と空の王国、岩の王国、嵐の王の王国、そして河間平野(リーチ)の王国である。リヴァーランドは繰り返し周辺国に征服されて最後には壊滅し、王国とはならなかった。ウェスタロスの遥か南の砂漠の王国は、絶え間ない戦争によって分裂していた。物語の約千年前には、東の大陸のロイン(ローイン)川の流域から多くの難民が、ヴァリリアの拡大する勢力に押し出されて、戦士女王ナイメリアの下で〈狭い海〉を渡り、ウェスタロスの南端に上陸した。このロイン人たちは当地のモース・マーテルと同盟し、南のドーン半島を征服してその名を持つ第7の王国を建設した。
5世紀ののち、エッソスで拡張し続ける古代ヴァリリア永世領(古代ヴァリリア自由保有地)は〈狭い海〉の東岸に達し、ウェスタロスと関係を持ち始め、ドラゴンストーン島を領地とした。しかしながら、1世紀後に古代ヴァリリア永世領は〈破滅〉として知られる巨大な災厄によって破壊された。ドラゴンストーンを支配していたヴァリリア人のターガリエン家は1世紀ののち、エイゴン(エーゴン)征服王とその二人の姉妹妻のもとでウェスタロス侵略を果たした。軍勢は小規模であったものの、3頭のドラゴンを用いて大陸全体を服属させた。最初の戦争によって七王国のうち六王国が征服されるが、ドーンは激しく抵抗したためにエイゴンの治世では独立を保った。ターガリエン家は当地の〈七神正教〉とウェスタロス人の習慣を受け入れ、続く数十年間のうちに、統治に刃向うあらゆる抵抗を抑えこんだ。しかし〈七神正教〉の教えに背き、古代のヴァリリアの伝統に従って兄弟姉妹婚と複数婚を行った。ドーンも最終的には結婚政策によって併合された。エイゴン王は、征服した相手の剣を溶かし、〈鉄の玉座〉を作らせた。ドラゴンはターガリエン家の者だけが使いこなせ、ターガリエン家はドラゴンを殖やして支配を固めた。この時代を描いた種々の中編が中編集『炎と血』におさめられている。
ターガリエン家の統治が始まって1世紀がたったころ、本シリーズの約200年前に〈双竜の舞踏〉と呼ばれる王位をめぐる内乱が起き、ドラゴンはほぼ死滅した。すでにターガリエン家は支配力を固めており、その統治はゆるがなかった。この内乱の時代を描いた種々の中編が中編集『炎と血』におさめられている。
約100年前、王の私生児たちによる王位争いである〈ブラックファイアの反乱〉が起き、敗北者たちはエッソスに亡命して傭兵軍団を結成した。本シリーズの約90年前を舞台とした、エイリス・ターガリエン二世の祖父に当たるエイゴン・ターガリエン五世と、その友人で後に〈王の盾〉の総帥となるダンカン・ザ・トールを主人公とした、『ダンクとエッグの物語』と呼ばれる中編シリーズが3編(草臥しの騎士、誓約の剣、謎の騎士)発表されている。
物語の始まる16年前、エイリス(エリス)二世王は狂王と呼ばれ、その狂気と残虐性のために内戦がおこり、ターガリエン家は権力の座から追われた。名家のうち、スターク家、バラシオン家、アリン家、タリー家が反乱側に着き、のちにラニスター家が加わった。タイレル家とマーテル家は王家の側に着き、グレイジョイ家は中立を守った。
発端は、北部のリカード・スターク公の娘でストームランドの世継ぎのロバート・バラシオンの婚約者であったリアナ・スタークがエイリスの息子レイガー(レーガー)とともに姿を消したことである。それ以前のハレンの巨城における馬上試合の勝者となったレイガーは、妻エリアを差し置いてリアナを美と愛の女王に選んでいた。失踪の理由は明らかではないが、スターク家とバラシオン家はレイガーによる誘拐とみなした。リカード公の長男ブランドンはレイガーとの決闘を要求し、若き騎士たちを率いて王都キングズランディングに赴いた。エイリス王は騎士達を逮捕して、彼らの父たちにキングズランディングに来て審問に応じるように命令した。エイリス王は、到着するやいなやリカード公を生きながら火あぶりにし、ブランドンを絞首刑に処した。ロバート・バラシオン、ジョン・アリンそしてエダード・スタークの指揮のもとで3家の連合が成り、ターガリエン家の軍勢をトライデント河(三又鉾河)で打ち破った。タイウィン・ラニスターはトライデント河の戦いまでは中立を守ったが、この戦いの結果をうけてキングズランディングを略奪し、エイリス王の世継ぎとその血筋をことごとく殺したが、エイリスの身重の妻レイラと8歳の息子ヴィセーリス(ヴァイサリス)だけはドラゴンストーンに逃亡した。エイリス王自身は自らの護衛騎士団〈王の盾〉の一員であるジェイミー(ジェイム)・ラニスターによって殺された。この後ジェイミーは〈王殺し〉とあだ名されることになった。レイラはデナーリス・ターガリエンを産んだ産褥の床で死に、デナーリスとヴィセーリスは、忠実な家臣によって〈狭い海〉を超えて自由都市に連れて行かれた。リアナとレイガーも戦いの間に死んだ。レイガーの妻のエリア、およびその子供たちのレイニスとエイゴンもラニスター家の家臣に殺された。
一方、ロバート・バラシオンは〈鉄の玉座〉を奪い、ラニスター家との同盟を確保するために、タイウィンの娘サーセイと結婚した。また、エダードは亡くなった兄の婚約者であったタリー家のキャトリンと結婚した。だがエダードは戦争から、落とし子のジョンを連れ帰った。
鉄諸島のベイロン・グレイジョイはロバート王に対して反乱をおこしたが、鎮圧され、幼いシオンを除く息子たちも殺された。シオンは人質および里子としてエダード・スタークのウィンターフェル城に送られて育てられることになった。
物語の背景は実際のイギリスの歴史の出来事および諸民族と類似性がある。
ラニスター家はランカスター家、スターク家はヨーク家にあたり、以下の登場人物はそれぞれ薔薇戦争時代の歴史上の人物と類似性がある。
一方、エッソスからロイン人の移住があり独特の文化を発展させたドーンは、イスラム支配のもとでその影響を受けたスペインと類似性がある。
氷と炎の歌は、ウェスタロスとエッソスの架空の地域を舞台とし、地理と登場人物によって分けられた、3つの主要なストーリーをたどる。登場人物たちはかつての統治者であったターガリエン家の崩壊とロバート王の死の後、〈鉄の玉座〉を巡る主張とウェスタロスの全七王国の覇権を巡って争う。
第一のストーリーは、七王国自体を舞台とし、ロバート王の死後に始まる〈鉄の玉座〉を巡っての多面的な戦いを記録するものである。玉座は母の出身家である強大なラニスター家に支持された、王の息子ジョフリーに継承される。しかしながら、ロバート王の〈王の手〉であるエダード・スターク公はロバート王の子らが血統の正当性を欠くため、バラシオン3兄弟の次男であるスタニス(スタンニス)に玉座が渡るべきであることに気づく。カリスマ性をもち人気のある末弟のレンリーは長幼の順を無視して、強大なタイレル家(ティレル家)の支持の下で玉座を要求する。玉座の要求者たちが戦う間に、北部人とリヴァーランドの同盟は自治を取り戻すことを求め、エダード・スタークの世継ぎであるロブ・スタークが〈北の王〉であることを宣言する。同様に、ベイロン(バロン)・グレイジョイもまた独立を図り、自領である鉄諸島の古の玉座を主張する。いわゆる〈五王の戦い〉が最初の三部の主要な物語の筋である。
第二のストーリーはウェスタロスの極北部を舞台とする。何千年も前に、遥か北に住む謎に満ちた生き物である〈異形〉の脅威からウェスタロスを守るため、氷と砂利によって巨大な〈壁〉が魔法と労働によって築かれた。〈壁〉は480キロ(300マイル)の長さと210メートル(700フィート)の高さを持ち、王国を〈異形〉から守ることを義務とする〈冥夜の守人〉(〈夜警団〉)の〈誓約の兄弟〉(ブラザー)達によって防御かつ維持されている。物語の時点において、〈異形〉は8千年以上目撃されておらず、〈冥夜の守人〉は基本的には流刑地に変貌している。著しく弱体化し、ほとんどが犯罪者や避難民で占められ、志願したごく少数の騎士や名誉を重んじる男たちが規律を保とうとはするものの、そのほとんどの時間は壁の向こうに住む”人間の”〈野人〉(〈野性人〉)すなわち自由民をあしらうことで過ぎている。この物語の筋は主にエダード・スタークの私生児であるジョン・スノウの目を通して語られる。ジョンは〈冥夜の守人〉の階級を登り、北からの脅威の本質を学び、ウェスタロスの人々が加勢を送る余裕がないにもかかわらず、王国を防御するために備える。第三部の終章までに、この物語の筋は南の内戦と絡み合うことになる。
第三のストーリーは、〈狭い海〉を渡った東の巨大な大陸エッソスを舞台とし、追放状態にあるターガリエン家の最後の子孫であり、〈鉄の玉座〉の要求者であるデナーリス・ターガリエンの冒険を追う。デナーリスは、野蛮人の族長との政略結婚に売られる貧乏人から、生得の権利の下で強力かつ抜け目のない統治者へと登りつめ、その成長能力を披露する。結婚式の贈物として受け取った石化した卵から、長らく絶滅したと思われていたドラゴンが3頭孵化し、彼女の立身を助ける。ターガリエン家の紋章がドラゴンであるため、実際に戦術的に使える大きさに育つ以前であっても、ドラゴンには象徴的な価値がある。ウェスタロスから何千マイルも離れた土地で物語は展開するが、彼女が公言する目標は〈鉄の玉座〉の奪回である。
各章は、視点人物と呼ばれる特定の登場人物の目を通し、その主観を交えて三人称で語られる。各章のタイトルは視点人物の名前あるいは視点人物を指す表現となっている。
『氷と炎の歌』シリーズの90年ほど前の前史を描いた中編シリーズである。以下の三篇は『七王国の騎士』(A Knight of the Seven Kingdoms)に収録されている。
『氷と炎の歌』シリーズの日本語訳は早川書房から刊行され、第1部『七王国の玉座』から第3部『剣嵐の大地』までを岡部宏之が翻訳。岡部が高齢を理由に引退し、第4部『乱鴉の饗宴』以降は酒井昭伸が担当している。
2008年に酒井訳による第4部が発売され、登場人物名・用語が岡部訳から大幅に変更された。 例えば
他多数。発売時点では訳語対照表等が無く、混乱した読者から早川書房へ問い合わせが殺到した。早川書房の『氷と炎の歌』日本語版公式HPに、7月30日に第4部の酒井による「訳者あとがき」と、早川書房の「訳語の変更は不可欠」とする説明文、8月8日に訳語対照表が掲載された。
2012年に発行された第1部、第2部、第3部の改訂新版では、訳者名は岡部のままだが、登場人物名・用語が全面的に酒井訳に改められ統一されている。
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