副業(ふくぎょう、英: side business)とは、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業、サイドビジネス、ダブルワーク(Double work)ともよばれる。副業は就労形態によって、アルバイト(常用)、日雇い派遣、個人事業主、在宅ビジネス、内職などに分類される。所得は給与所得や雑所得などに分類される。
日本では労働者が勤務時間外に行う副業は禁じられていない。
従来から日本の民間企業では就業規則で従業員の副業について規定しており、自由にしている事例や、許可制や届出制にしている事例もあるが、厳禁にしている事例も多い副業に厳しい姿勢を見せている会社でも、経営状態が悪化して賃金を引き下げざるをえないような時に、社員の収入低下の対応策として副業規制が緩和されることもある。
裁判所は1982年(昭和57年)の判決で、労働者の副業に関して「本業の遂行に支障が生じるような副業」について会社は制限してよく、会社の秩序を侵害したり対外的信用・体面を傷つける副業事故につながる副業も雇用主は制限してよいとしている。
労働法学者の大内伸哉は通常の労働時間外に「自宅で本を執筆する」「家業があって時々手伝う」「実家が兼業農家で繁盛期には手伝う」といった副業は、副業禁止として規制されるべきものではないとしている。
副業は「一つの会社でずっと働いているよりも視野をひろげることができる」「社員の能力開発につながり、会社の利益につながる」「ある程度の収入を得ることができる安定した副業を持っていることは失業に備えた保険になる」というメリットもある。
従前、厚生労働省が公表していた「モデル就業規則」では副業禁止規定の定めをおいていたが、世論の流れとともに政府は「副業を禁止する必要はない」という認識を持つようになり、2018年1月には厚生労働省の「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除された。
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労働基準法では時間外労働(残業)における割増賃金(通常の賃金の25%増し)を支払うにあたって、原則として時間的に後で労働者を雇った会社が割増賃金の支払い義務があるとされている。一方で健康保険や被用者年金などでは、労働時間を通算する規定はない。
保険料の計算に用いる標準報酬は、複数の事業所において合算して計算される。
複数の社会保険適用事業所に雇用されるようになった場合は、被保険者が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要がある(健康保険法施行規則第1条)。
会社から副業先に向かう途中で事故に遭った場合の通勤災害として労災保険の適用について、2006年3月以前は「自宅と会社の往復にはあたらない」と扱われて適用されなかったが、2006年4月以降は「就業の場所から他の就業の場所への移動」も「通勤」に含まれるとして適用されるようになった。
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公務員については原則として副業が禁止されている。
また以下の特別職公務員についても原則として副業が禁止されている。
上記の公務員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は国家公務員の場合は人事院又は任命権者、地方公務員の場合は人事委員会又は任命権者、裁判官の場合は最高裁判所、国会議員公設秘書の場合は国会議員である。また、公務員の副業は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限されることになる。
検査官、収用委員会委員、内閣法制局長官、宮内庁長官、内閣総理大臣秘書官、国務大臣秘書官、人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官、侍従長、東宮大夫、式部官長、侍従次長、宮務主管、皇室医務主管、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長、東宮侍医、宮務官、侍女長については法律で副業を直接禁止する規定はない。ただし、職務専念義務に違反する場合には免職を含めた処分が下される可能性がある。
また、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官、内閣官房副長官については法律で副業を直接禁止する規定はないが、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範で原則として副業が禁止されている。
公務員以外でも一部の役職や職員については原則として副業が禁止されている。
上記の役職員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は所管の国務大臣である。また、上記の役職員の副業内容は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限される場合もある。
国家公務員法第104条により、事前に申告し許可された場合に兼業が認められるが、無報酬であっても物品の貸与や接待などが報酬として問題視された例もある。
スポーツ選手を兼業する公務員が大会の優勝賞金を得ることもある。
川内優輝は実業団に所属せず埼玉県庁の職員として勤務しながら大会に参加していたことから「公務員ランナー」と呼ばれた。県ではPRを兼ねて県庁のマラソン愛好会を陸連登録したり県民向けのイベントを担当させるなど便宜を図っていた。
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