テレビ受像機(テレビじゅぞうき、英: television setあるいはTV set)とは、テレビジョンの受信用の機器。テレビジョンの映像(動画)を画面に表示しスピーカー類から音を出す。テレビ受信機、テレビジョン受信機(television receiver)ともいい、略称で単にテレビやTVともいう。
送信されたテレビジョンの映像と音声の信号を受信し、それを再び映像と音声に変換し、画面に表示しスピーカーやヘッドフォン類から音を出す装置。
日本で地上デジタル・BS・CS放送を視聴するためにはB-CASカードを差し込む。
なお受信機(チューナー)が内蔵されているものがテレビ受像機であり、受信機が内蔵されていないものは通常モニターやディスプレイと分類し、テレビ受信機とは別分類とすることが一般的である。
現在の日本ではデジタル方式であり、解像度による分類としては「4Kチューナー内蔵」「4K対応」「HD」などの種別がある。ハイビジョン放送が始まる以前はアナログ信号方式のテレビであった。
表示画面に焦点を当てた場合液晶、有機ELなどの分類がある。2000年から2005年ころはプラズマディスプレイもあり、さらに以前、2000年ころまではブラウン管方式もあった。(表示画面の節で解説)
録画機能を搭載したテレビ受信機もある。録画機能を搭載したものは現在ではハードディスク(HDD)に録画するものが主流であり、HDD内蔵タイプと外付けHDD接続可能なタイプなどがある。かつてはビデオテープレコーダーに録画するテレビデオというものもあった。
1980年代ころまではカラーテレビ / モノクロテレビ(白黒テレビ)という分類が行われたが、現在では原則カラーであり、この分類はテレビの歴史を説明する時に用いられる。
ワイヤレステレビチューナーというチューナー部だけのものも販売されており、これはPCやタブレットやスマホがテレビ画面となる。
据え置き型ゲーム機内蔵テレビというものも存在する。シャープ製のブラウン管テレビ「ファミコンテレビC1」は任天堂のファミリーコンピュータを、「SF1」は後継機のスーパーファミコンを内蔵したテレビであった。2000年にフジテレビが88,888円の価格で、5,000台をWeb限定で販売した「CX-1」は、CPUに「CX-1エンジン」を搭載したセガのライセンスを受けたドリームキャスト互換機として扱われたブラウン管テレビであった。2010年にソニーが製造し、イギリスのみで販売したBRAVIA KDL22PX300は、PlayStation 2を内蔵した液晶テレビであった。現在ではスマートテレビでAndroidアプリのスマートテレビ対応ゲームをインストールしてプレイするという方法も可能である。
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1926年(昭和元年)12月、高柳健次郎がブラウン管を応用した世界初の電子式テレビ受像器を開発、片仮名の「イ」の文字を表示させることに成功した。そのブラウン管の走査線数は40本だった。この時のカメラは機械式のニポー円盤。
その後、1940年(昭和15年)に開催が予定されていた東京オリンピックのテレビ中継のために研究・実験が進められていたが、日中戦争によりオリンピック開催が返上され、その後も太平洋戦争が激化することに伴い、研究が一旦中断される。
終戦後、GHQにより、テレビ研究の禁止令が出されていたが、1946年(昭和21年)から再開され、1953年(昭和28年)1月にシャープから国産第1号の白黒テレビが発売される(サイズは14インチ、価格は175,000円)。 同年2月に日本放送協会(NHK)がテレビ本放送を開始。その当時は高価だったことから、一般家庭における購入者は富裕層がほとんどであったため、同年8月に開局した日本初の民放テレビ局である日本テレビ放送網(日本テレビ)が広告料収入と受像機の普及促進を兼ねる形で街頭テレビを設置し、当時の看板番組で、力道山戦などのプロレス中継、巨人戦が主のプロ野球中継、大相撲中継などのスポーツ中継の時間には街頭テレビに人が集まるほどの人気と広告収入が一番大きかったため、後に開局した大阪テレビ放送(OTV・現:朝日放送テレビ)と中部日本放送のテレビ部門(現:CBCテレビ)にも波及した。そのため、客寄せの一環で喫茶店や銭湯などにも家庭用テレビが業務用途に設置する動きも診られるようになった。家電屋の店頭に設置したテレビも事実上の街頭テレビと看做されている。後に一般家庭にも1959年(昭和34年)の皇太子明仁親王の成婚パレードを境に普及が進んだ。1950年代後半から1960年代初頭までには、白黒テレビは電気洗濯機や電気冷蔵庫などとともに「三種の神器」の一つに数えられるようになった。
「まず百人のうち九十人までは夕食後のひとときを自宅の茶の間でテレビをたのしむような生活がしたいと望んでいるのだよ。ところがテレビは二十万円もして手が出ないから、ビールかコーヒーをのんで喫茶店のテレビでまにあわせたいが、その金も不足がちだ。そこでテレビの時間になると子供遊園地が大人で押すな押すなだよ。無料のテレビがあるからさ」
ちまたの消息通だけあって、うまいことをいう。これは桐生に限らないだろう。日本人の多くの人々がせめて自宅の茶の間でテレビをたのしむ生活がしたいと考えているに相違ない。しかし思えば文明も進んだ。自宅に好むがままの芸人や競技士をよんで楽しむことができたのは王侯だけであったが、いまやスイッチをひねるだけで王侯の楽しみができる。天下の王侯も今ではたった二十万円かといいたいが、あいにく拙者もまだ王侯の域に達していないのである。
「数年のうちにすべての家庭にテレビを」
と約束してくれるような大政治家が現われてくれないものかと思う。民衆の生活水準を高めることを政治家の最上の責務と感じる人の出現ほど日本に縁のなかったものはない。 — 坂口安吾『桐生通信』
1960年(昭和35年)7月、東芝から国産初のカラーテレビが発売される(サイズは21インチ、価格は52万円)。カラーテレビは1964年(昭和39年)の東京オリンピックを契機に、各メーカーが宣伝に力を入れはじめ、1960年代後半には、カラー放送が大幅に増えたことによって普及が進んだ。カラーテレビはクーラーや自動車などとともに「新・三種の神器」(3C)の一つに数えられるようになった。1973年(昭和48年)には、カラーテレビの普及率が白黒テレビを上回っている。
放送時術の進化に合わせて、1978年(昭和53年)頃からは音声多重放送対応テレビ、1990年代になるとハイビジョン放送対応テレビが登場した。
輸出も盛んに行われ、世界各地に日本メーカーのテレビが鎮座していたが、1985年(昭和60年)のプラザ合意以降は輸出が減っていった。
2000年代になると、約半世紀に渡って大多数を占めたブラウン管テレビに代わって、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイを使用した薄型テレビが台頭した。電子機器メーカーの業界団体、電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2003年に液晶・プラズマといった薄型の出荷額がブラウン管を初めて上回った。これは既に国内メーカーはブラウン管テレビの国内生産を打ち切っており、将来的にその生産自体を取り止める方針である事(後述)や、小型軽量かつ省エネ・省スペースである点が消費者に受け入れられている事などが挙げられる。
ブラウン管式のテレビ受像機は、2001年以降、冷蔵庫や洗濯機、エアコンとともに家電リサイクル法の対象商品とされ、廃棄する際に粗大ゴミとして出せなくなり、メーカーごとの窓口への有料(6000〜10000円程度かかる)引き取り手続きなどが義務付けられている。なお、2009年4月より、液晶やプラズマなどの薄型テレビ受像機も、家電リサイクル法の対象に追加された。ただし、廃棄にかかる時間や手間、費用がかかるためなのか、日本各地の森林や山奥に不法投棄されるなどし、大きな問題となった。業界団体によれば、アナログ放送停波に伴い、6400万台のアナログ式受像機が廃棄されると予測されていた。
2015年、ブラウン管式のテレビ受像機の製造を日本国内のメーカーとして最後まで続けてきたシャープが、フィリピンで行なってきた製造から撤退。なお、2014年12月時点でブラウン管式のテレビ受像機の製造を行なっていたインドのビデオコンやOnidaも、2015年中をめどに撤退することが報じられた。
1990年代後半に地上デジタル放送(地デジ)への移行が決定され、新製品は地デジに対応したチューナーを搭載するようになっていった。2000年代後半にはアナログチューナーのみのモデルはほとんどの会社で生産中止となりオリオンが2009年を最後にアナログチューナーのみのモデル及びブラウン管式テレビの生産を中止し2010年以降は全て地上デジタルチューナーを搭載した薄型テレビのみとなった。
ただしデジタル放送化決定後もホームセンターやディスカウントストア、大型スーパーでは、低価格を売りにしたアナログ放送しか受信できない受像機(ブラウン管式や海外メーカーの低価格液晶テレビも含む)が依然として販売されていた。地上デジタル放送には対応するが、BSデジタル放送や110度CSデジタル放送に対応しないものもあった。アナログ放送終了後はデジタルチューナー(同機能搭載ビデオ機器類含む)と接続しないとテレビ受信ができなくなるため、展示している商品にデジタル放送への対応・非対応を表示するシールを貼る事が義務付けられた(2006年6月以降は、工場出荷の時点でアナログ放送終了告知シール貼付を義務化)。2000年代前半から2000年代半ばにかけては地上デジタルチューナー、BSデジタルチューナー内蔵型のブラウン管式テレビが一時的に発売されていた。また反対にSHARPのAQUOSを中心に地上アナログチューナーのみ搭載の液晶テレビなども生産されていた。
かねてから低価格帯のテレビ受信機を大規模生産販売していた韓国や台湾などの海外メーカーは、海外メーカーのサポート等での不安感や、日本国内のデジタル放送に対応できる機種の開発能力が弱かったことなどから、日本の市場はパナソニック・シャープ・ソニー・東芝など、ほぼ日本のメーカーによって占められ、各社は地デジ化に向けて大規模投資を繰り替えした。しかし2010年代には海外メーカーとの競争で、日本メーカーが世界市場で不利な状況となり、不採算事業の清算としてテレビ事業から撤退、または他社へ売却などをするケースが激増。大規模投資が祟った結果となった。
2010年代に入り、主要メーカーから、3次元ディスプレイ技術を応用した3Dテレビが発売された。しかしコンテンツ不足、3D映像を視聴するためには、専用眼鏡が必要などの理由であまり普及しなかった。若干画面が湾曲したテレビも一時流行したが同様にあまり普及しなかった。
2014年頃からは、4K 8Kテレビ放送などの技術の進歩により、テレビの更なる高画質、高音質化が進んだ。また、メーカーはこの頃から初期の薄型テレビの置き換えに伴う需要を見込んでいるとされ、インターネットに接続可能であるのはもちろん、テレビでYouTubeなどのデジタルメディアを閲覧したりすることができるなど、インターネットとつながることができるテレビが普及している。
2018年はHDR元年と言われ、より映像美を追求したハイエンドテレビが台頭した。
日本国内の全世帯のうちカラーテレビを保有する世帯の率(世帯普及率)は1982年の調査以来、98%を下回ったことがなく、2006年3月末現在の世帯普及率は99.4%となっていた。しかし、テレビ離れとブラウン管テレビが統計から排除されたことにより2014年以降落ち込みをみせた。
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通常、ブラウン管の場合は管の対角寸法を、薄型テレビの場合は有効可視領域の対角寸法によって表される。単位は実質上インチ(1インチ=2.54cm)である。計量法上日本ではインチの使用が公的には認められないので、メーカーはインチの文字を避けて20「型」などと表示するが、20型とはこの場合20インチという意味である。同じ数字ならばブラウン管より薄型テレビの方が可視領域は広くなる。また、薄型テレビの場合は数字の後ろに「V(ビジュアルサイズ)」が付き(「26V」「32V」「37V」など)、ブラウン管テレビでは+2インチに相当する大きさとなる。
なお、対角寸法(インチ)から縦横寸法(cm)を導く方法は以下の通りである。
例:30インチワイドテレビのタテ寸法は、30×0.49×2.54=約37.3cmである。
現在、ほとんどのテレビは背面や表面に端子類を備え、様々な機器(HDDレコーダー、BDレコーダー、ゲーム機など)を接続可能である。
地デジ化以降一般的な入出力端子は以下である。
旧来の端子には以下のようなものがあった。レガシーデバイス用に残っていることもある。
地上波用のアンテナ端子は、1990年代まではVHF・UHF分離型(端子が別々)の物が多かった。さらに1980年代までのテレビはVHF端子が同軸75ΩF型でUHFはフィーダー直付け(300Ω)であり、1970年代以前のテレビではVHF端子も同軸・フィーダー直付けタイプであった。また地デジへの移行期にはTV&BDレコーダーのアンテナ入力端子はメーカーによりアナデジ(※110°CS/BS端子を含むと3端子があった)別々端子と、アナデジ(※110°CS/BS端子を含むと2端子になった)混合端子の二通りあった。
ビデオ機器の外部記録媒体の主流がDVDであった時代には、パーソナルコンピュータ向けのビデオカード(グラフィックスカード)と接続するためのDVI端子を搭載していた。デジタル周辺機器の接続を考慮したi.LINK端子を持つ機種もあった。Blu-ray Discの時代になると、外部映像入力インターフェイスは映像と音声を1本の接続ケーブルで伝送できるHDMI端子が主流となっている。
かつてイヤホン端子は、モノラルのミニ端子であった時代があった。
1980年代後半頃には、まるでミニコンポのように本体部分とスピーカー部分を分離した機種が一部で販売され、それには外部スピーカー用の端子があった。
リモートコントロールのための装置やしくみである。リモコンの仕様は多様でメーカーごとに異なっている。ひとつのメーカーでも年代により仕様が異なっていることがある。
単体で家電量販店やネット通販などで販売されているサードパーティ製のリモコンは、メーカー設定を切り替えることにより多数のメーカーのテレビが操作可能であり、HDDレコーダーやDVD・BDプレーヤー類の基本的な機能まで操作可能なものも多い。録画機器のリモコンは、設定切替により同一または他社製メーカーのテレビの操作もできるものがある。
なおリモコンを紛失したりリモコンのバッテリーが切れたりしたときでも最低限の操作はできるように、電源・チャンネル・音量といった基本的なボタン類はテレビ本体側にもあることが多い。
デジタル放送主体の現代では初期設定の段階で居住地域の郵便番号を入力することにより、チャンネルを含めた全ての地域情報がまとめて設定できるようになっている。
設置方法としては、テレビ台などの上に置く方法、背面のVESA金具を利用して壁面に設置したりモニタアームで可動的に支持する方法、壁面の高い位置(天井に近い位置)に"テレビ棚"を作り設置する方法(飲食店などで採用される方法)などがある。
日本では「テレビジョン受信機」として家庭用品品質表示法の適用対象となっており電気機械器具品質表示規程に定めがある
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