『名探偵コナン 水平線上の陰謀』(めいたんていコナン すいへいせんじょうのストラテジー)は、2005年4月9日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの第9作目にあたる劇場版アニメである。上映時間は107分。興行収入は約21億5000万円。キャッチコピーは「忘れはしねぇよ、オマエのことだけは…」「オマエを、絶対に守る」。タイトルの「ストラテジー(Strategy)」は、通常は「戦略」の意である。
名探偵コナン 水平線上の | |
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Detective Conan Strategy Above the Depths | |
監督 | 山本泰一郎 |
脚本 | 古内一成 |
原作 | 青山剛昌 |
出演者 | 高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 山口勝平 林原めぐみ 茶風林 緒方賢一 岩居由希子 高木渉 大谷育江 |
音楽 | 大野克夫 |
主題歌 | ZARD 「夏を待つセイル(帆)のように」 |
撮影 | 野村隆 |
編集 | 岡田輝満 |
制作会社 | トムス・エンタテインメント |
製作会社 | 小学館 よみうりテレビ 日本テレビ 小学館プロダクション 東宝 トムス・エンタテインメント |
配給 | 東宝 |
公開 | 2005年4月9日 2005年7月29日 |
上映時間 | 107分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 21.5億円 $20,768,817 |
前作 | 名探偵コナン 銀翼の奇術師 |
次作 | 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌 |
海を舞台にした作品は第2作『14番目の標的』以来だが、本作では一部のシーンや回想を除き、終始、豪華客船の船上だけでストーリーが展開していく。
通常の劇場版では主人公・江戸川コナンの推理を中心に展開されコナンにより犯人を追い詰めていくのが基本だが、本作ではコナンがミスリードに引っかかり、普段は道化役で推理は的外れになることが多い毛利小五郎が、劇場版で初めてほぼ単独で犯人を追い詰める展開となっている。これは小五郎の声を演じていた神谷明の長年の夢であったという。監督の山本泰一郎は公式パンフレットのインタビューで、小五郎を活躍させるというのは原作者の青山剛昌が考えたアイデアによるものである、と語っている。またアクションも取り入れられており、映画の後半は主に小五郎にフォーカスを当てた作品となっている。
本作ではコナンが推理する際、阿笠博士の口パクで披露しており、劇場版で阿笠博士の探偵役は2022年現在、本作のみである。
また、劇場版恒例である工藤新一と毛利蘭の過去のエピソードは、映画シリーズでは初となる小学生時代のエピソードが披露されている。小学生時代の新一はコナン役の高山みなみが演じるため、山口勝平が演じる工藤新一の出番は極めて少なく、冒頭の解説を除けば台詞は一言だけであった。
貨物船が氷山と衝突するなど、タイタニック号と共通する場面が多く、意図的に挿入されているシーンも見受けられる(灰原哀が日下ひろなりの書くシナリオでタイタニックの名前を挙げている)。エンディングの演出もジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』を元にしている。また、本作は海上保安庁やクルーザー社の協力を得て制作された。
本作では原作・テレビアニメから初登場となるキャラクターは存在しないが、佐藤美和子が第7作『迷宮の十字路』以来2年ぶり、千葉刑事が第6作『ベイカー街の亡霊』以来3年ぶりに登場している。また、トメさんも第5作『天国へのカウントダウン』以来4年ぶりの登場となったが、担当声優の中嶋聡彦が2017年9月8日に死去したため、中嶋の演じるトメさんが劇場版に登場するのは本作が最後となった。終盤では小五郎のイメージのみで台詞は無いが、妃英理が前作『銀翼の奇術師』に引き続き登場している。
冒頭の解説では、コナンと関わりのある黒ずくめの組織のメンバーでは、ジンとウォッカ以外に初めてベルモットの姿が描かれている。コナン以外では少年探偵団の説明が中心になっているため、コナンと共に少年探偵団(灰原除く)が説明役に加わっている。また、「小さくなっても頭脳は同じ、迷宮入りなしの名探偵」の映像は第15作『沈黙の15分』と第17作『絶海の探偵』から第19作『業火の向日葵』 及びテレビスペシャル『江戸川コナン失踪事件 〜史上最悪の2日間〜』まで流用されることになる。
本作では蘭が空手の関東大会で優勝したことが園子の口から語られており、第14作『天空の難破船』での継承描写を経て、2011年に原作でも公式設定となった。そのため、本作は原作の時系列では2012年2月18日放送の第646話『幽霊ホテルの推理対決(前編)』(原作73巻File.6「截拳道(ジークンドー)」)以後のエピソードとして位置づけられることとなった。ただし、蘭から新一への優勝報告は本作では電話でだが、原作及びテレビアニメではメールで行われ、それを園子が蘭へ問う点、および白鳥警部は原作およびテレビアニメでは蘭の関東大会優勝の前に小林澄子と両想いになるエピソードが描かれたのに対し、本作ではまだ佐藤刑事に想いを寄せている様子が描かれている点は異なっている。また、高木刑事の発言から前作『銀翼の奇術師』よりも後の出来事である事が示唆されている。
今までの作品のエピローグはほのぼのとしたギャグシーンで終わっていたが、本作では穏やかな雰囲気を漂わせた温かなシーンで締められている。阿笠・灰原・少年探偵団が台詞付きでにエピローグに登場するのは本作が初となった。
本作は、パンフレットとは別にオフィシャルガイドブック(解説本)も同時に発売されている(単独での解説本は本作のみ)。
2005年4月2日からは、公開記念特番「水平線上のコナン小五郎」が各局で随時放送された。
近年のシリーズ同様、本作も小説版が小学館ジュニア文庫から2014年8月6日に発売されている。
劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告は、今作でも放映された。エピローグ終了後に、2006年の製作が決定した旨の字幕予告が流れ、コナン役の高山みなみの「10周年記念超大作、劇場版名探偵コナン、乞うご期待!」という声が流れた。のちに次回作は、レギュラーメンバーが勢揃いするオールスター10周年記念作品『探偵たちの鎮魂歌』であることが発表された。
15年前、北大西洋の海上で貨物船「第一八代丸」が氷山に激突して沈没する事故が発生し、沖田船長と三等航海士の2人が死亡した。そして半月前、八代造船の船舶設計士・八代英人が別荘に通じる道を車で運転中心臓発作を起こし、車ごと崖下に転落して死亡した。この時を越えた一見関係なさそうな2つの事件は、豪華客船の乗員乗客全てを巻き込む巨大な陰謀の序章に過ぎなかった。
園子の計らいで八代グループの豪華客船「アフロディーテ号」の処女航海に招待されたコナン達は、大いにクルーズを楽しんでいた。ひょんなことから、船内でかくれんぼをすることになった一行だが、かくれんぼの最中に園子が何者かによって拉致・監禁されてしまう。幸いにも園子はコナンの推理によって無事に助け出されたが、今度は八代商船の社長・八代貴江が何者かに刺殺され、八代グループ会長で貴江の父である八代延太郎も行方不明になってしまう。目暮警部らが到着して捜査が始まるが、容疑者は乗員乗客を合わせて総勢600名に上り、捜査の難航は必至だった。
一方、佐藤刑事らは八代英人の事故死に不審を抱き、再捜査をしていた。彼女は運転席のシートベルトの金具に残っている不審な痕跡に注目する。
捜査を続けるコナンたちは、延太郎がマリーナのハッチから海に突き落とされた可能性が高いことを突き止める。それからほどなくして、海上保安庁によって海に漂う延太郎の遺体が発見された。一方で、小五郎はコナンとも警察とも別に独自の捜査を展開していた。事件の真相をつかんだコナンは、ウェルカムパーティーの席で阿笠博士の声を借りて推理ショーを展開し、アリバイトリックを崩してシナリオライターの日下ひろなりが犯人である証拠を提示する。日下は第一八代丸沈没事故で犠牲となった三等航海士の息子で、第一八代丸沈没事故が八代親子や八代英人、第一八代丸の副船長だったアフロディーテ号船長の海藤が保険金詐取と沖田の排斥を目的に仕組んだ事故であることを知り、復讐するべくアフロディーテ号に取材と称して乗り込んでいたのだった。
だが日下は、機関室に仕掛けておいた爆弾を爆発させ、その混乱に乗じて逃走を図る。しかしコナンと少年探偵団の追跡により、無事に日下の逃亡は阻止された。その後「おーい!!大丈夫かー?おーい!!」と高木刑事の声が聞こえ、目暮たちがやってきて「駄目じゃないか君たち!!相手は殺人事件の容疑者なんだぞ!!もし、物事があったらどうするんだ!!」とコナン達を厳しく叱ってコナン達は謝った。
しかし、彼らの目の前のアフロディーテ号では日下が仕掛けた爆弾が次々と爆発したため、船腹に穴が開いて浸水し始める。アフロディーテ号の沈没は最早避けられないものとなり、乗員・乗客が避難していく中、忘れ物に気付いた蘭は取りに戻るが、忘れ物を見つけた場所に取り残されてしまった。さらに、事件は解決しているかと思われたが、その裏には真犯人による更なる陰謀が隠されていた。アフロディーテ号に残った小五郎は真犯人と対峙し、自ら暴いたアリバイトリックに納得がいかず、アフロディーテ号に仕掛けられた爆弾が多すぎることに疑問を抱いていたコナンも真犯人に気付き船に向かうことにする。
真犯人はアフロディーテ号設計グループ副リーダーで八代英人の部下であった秋吉美波子だった。美波子は実は沖田の娘であり、日下から取材を受けた際に執拗に八代親子のことを聞かれたことで疑問を抱き、日下が取材の途中で席を外した隙に彼のパソコンを覗いて真の目的を知り、後日酒に酔った英人から事件の真相を聞き出したことで、父親の復讐を決意。杜撰だった日下の復讐計画を利用し、英人の車にスタングレネードを仕掛けて自動車事故を誘発させることで日下よりも先に英人を殺害し、日下が計画を修正するよう仕向けると、それを逆に利用することで日下を犯人に仕立て上げつつ自らの手で復讐を実行していった。日下は事件において誰も殺害していなかったが、パソコンの中で沖田のことを「船と運命を共にした時代錯誤の男」と非難していたこともあって犯人に仕立て上げられたのである。アフロディーテ号に日下と別に追加で爆弾を仕掛けたのも美波子であり、最後に残った海藤を水中銃で殺害しようとするが、真相に辿り着いていた小五郎によって使えなくされていた。
小五郎は本性を現した美波子に肉弾戦を挑まれるが、女とは戦わない主義であるとして反撃せず、ボコボコにされながらもコナンのアシストもあり、最後は一本背負い投げで美波子を制圧した。美波子を救命ボートまで連れて行ったコナンと小五郎だが、そこで蘭の姿が見えないことを園子に聞き、蘭を見つけ出すべく再び船に戻る。そして1人残されていた蘭を無事見つけ出したコナンと小五郎の元に、海上保安庁のヘリコプターがやってくる。これにて一件落着かと思いきや、一同が引き上げられ始めた直後に突風でヘリコプターがあおられ、今度はコナンが船に取り残されてしまった。しかし蘭と少年探偵団のおかげでコナンは脱出に成功する。
こうして乗員・乗客は全員無事に救出され、アフロディーテ号は大きな渦に巻き込まれながら海に沈んでいった。
回数 | 番組名(放送枠名) | 放送形態 | 放送日 | 放送時間(JST) | 放送分数 | 平均世帯視聴率 | 備考 |
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1 | 通常拡大枠 | 2006年4月3日 | 19:00-21:15 | 135分 | 『探偵たちの鎮魂歌』の公開を記念して放送。 | ||
2 | 本編ノーカット | 2013年3月30日 | 12:54-15:05 | 131分 | 『絶海の探偵』の宣伝を兼ね、ytvの全日帯ローカル枠で放送。 |
『名探偵コナン 水平線上の陰謀』 | ||||
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大野克夫 の サウンドトラック | ||||
リリース | ||||
ジャンル | J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | ユニバーサルミュージック | |||
プロデュース | 大野克夫バンド | |||
大野克夫 アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
EAN 4988005386304 |
通番 | 題名 | 公開日 | 脚本 | 主題歌 | 歌手 | 興行収入 | 観客動員数 |
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第1作 | 緋色の不在証明 | 2021年2月11日 | 宮下隼一 | 12.4億円 | |||
第2作 | 灰原哀物語 〜黒鉄のミステリートレイン〜 | 2023年1月6日 | |||||
第3作 | 名探偵コナン vs. 怪盗キッド | 2024年1月5日 | 大胆 | WANDS |
通番 | 題名 | 公開日 | 監督 | 脚本 | 主題歌 | 歌手 | 興行収入 | 観客動員数 |
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第1作 | ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE | 2013年12月7日 | 亀垣一 | 前川淳 | 42.6億円 | 308万人 |
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