参政党(さんせいとう、英: Party of Do It Yourself、略称: 参政)は、日本の極右政党。有機農法推進と反ワクチンを政策の柱とし、排外主義的な右傾的世界観を合体した価値観を主体とする。神谷宗幣らが、2020年4月に結党した。
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参政党 Sanseito Party of Do It Yourself | |
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代表 | 神谷宗幣 |
副代表 | 川裕一郎 |
事務局長 | 神谷宗幣(代表兼任) |
成立年月日 | 2020年4月11日 |
本部所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂三丁目4-3 赤坂マカベビル5階北緯35度40分27.07秒 東経139度44分18.04秒 / 北緯35.6741861度 東経139.7383444度 |
衆議院議席数 | 0 / 465 (0%) |
参議院議席数 | 1 / 248 (0%) |
都道府県議数 | 5 / 2,643 (0%) |
市区町村議数 | 131 / 29,608 (0%) |
党員・党友数 | 46,524人(2022年度の政治資金収支報告書に記載されている党費納入者数(一般党員と運営党員を合わせた数)) 39,530人(2022年10月、内閣府男女共同参画局が各党への調査の結果として公表したもの) |
政治的思想・立場 | 右派 - 極右 右派ポピュリズム 保守主義 ナショナリズム 反グローバリズム・移民 反ワクチン・陰謀論・自然派 |
機関紙 | 参政党DIYタイムズ |
政党交付金 | 1億8900万円 円 |
シンボル | 鳳凰 |
公式カラー | 橙色 |
法人番号 | 2010405021308 |
公式サイト | sanseito.jp |
党歌:「おはよう」(ザ・マスミサイル) (作詞、作曲 高木芳基) |
YouTube | ||||||||
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チャンネル | ||||||||
活動期間 | 2019年4月18日 | |||||||
ジャンル | 政治 | |||||||
登録者数 | 23.1万人 | |||||||
総再生回数 | 3115万回 | |||||||
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チャンネル登録者数・総再生回数は 2023年10月15日時点。 |
2022年の参院選では約177万票(3.3%)を獲得し、元吹田市議会議員だった神谷が比例区から初当選した。2023年の統一地方選挙を経て、地方議員にも100を超える議席を有している。
公式の理念は、「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」。2022年の参院選では、ナショナリズムと移民反対、反グローバリズムのような保守的主張だけでなく、マスメディアや既成政党に不信感を持つ層や、反ワクチンや反マスク層、親ロシア層にアピールしており、陰謀論やオーガニック右翼、極右に分類される。マスメディアや既存政党、ワクチンやマスクの批判については、「莫大な利益獲得を目的とする『あの勢力』に操られている」との主張を展開しており、トランプ支持者が信じるQアノン陰謀論、ユダヤ陰謀論から発展したディープステート(DS、闇の政府)などと同様の概念を採用している。
キャッチコピーは「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる。」。参加型民主主義を掲げ、無農薬・食品添加物禁忌など左派が取り組むことが多かったテーマで間口を広げて無党派層の参加を促し、タウンミーティングや選挙ボランティアなどを通じて人間関係を形成し、「知った」「目覚めた」と使命感や優越感を持たせることで、普及意識を高める手法を採用する。個人からの党費や政治資金パーティーなどを通じて豊富な資金を集め、全国各地に公認候補を擁立している。イメージカラーはオレンジ色(橙色、日本の歴史や伝統を「代々」受け継いでいくという思いを現している)。
参政党の党名は、「皆さんに『参加』してもらえる『政治』をつくる『チーム』」という意味である。英語名は「Party of Do It Yourself」。「自身でやる」という意味である。参政党の党名、党のYouTubeチャンネル『政党DIY』は、共にKAZUYAが名付けた。
右派、保守色の強い政党であり、ポピュリズム的ともされる。保護主義的な反グローバリズムを標榜し、反移民を掲げる。また、自ら主張するようにナショナリズム色が強い事も特徴の1つとされる。2022年の参議院選挙では、「日本の伝統を大切にする『子供の教育』」「無農薬栽培や化学物質に頼らない医療などを推進する『食と健康』」「外資規制の法制化、外国人労働者の増加抑制、外国人参政権の不認定などの『国まもり』」を重点政策とし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては「マスク着用の自由化」などを掲げた。「陰謀論や『反ワクチン』、『ノーマスク』を掲げる極右政党」として批判されることも多く、反ユダヤ主義的であるともされる。参政党を批判的に捉える立場からは「オーガニック右翼」と揶揄されることがある。
参政党の世界観の多くは、アメリカの右翼陰謀論から輸入されている。参政党は、幸福実現党が持っていたアメリカ極右とのつながりを、保守政治活動会議(CPAC)を通じて受け継いでいる。自らを反グローバリズムと表現し、グローバリズム運動の背後にいると考えるユダヤ人への反感を強調する。その信念は、「反マイノリティ」「グローバリストが小麦を日本の食卓に押し込んで、日本人を弱体化させようとしている」「日本政府がグローバリスト(ユダヤ人)の金融機関に取り込まれている」「ワクチンは利益を求める勢力のために開発された」、という主張まで幅が広い。参政党は、自分たちを「真実を語っているがゆえに弾圧されている」被害者であるとして、「ワクチン懐疑論に関する動画をYouTubeが検閲している」などと訴えている。
2022年の参院選の前に出版された神谷の著書『参政党Q&Aブック 基礎編』には、「日本を弱体化する小麦食」「ユダヤ系の国際金融資本によるメディアや既成政党、医療の支配」「製薬企業による健常者を罹患者として治療費を払わせる策略」など、陰謀論に関する記述がある。しかし、神谷は政策について「私自身が書いた部分ではない」「一切関与していません。(中略)僕の考えとは違うところもありますが、党員がそれでいいなら良いと思います」と語っている。
2023年5月18日、2022年ロシアのウクライナ侵攻に関して「ウクライナに平和を求める会」が主催した「メディアのロシア一方的悪者論はフェイクニュース」、「即時停戦こそ日本の国益」という趣旨のデモ行進に、松田学代表、アドバイザーの我那覇真子や小名木善行らが賛同した。なお、駐日ウクライナ特命全権大使のセルギー・コルスンスキーは、このデモについて「親露の立場で日本の世論を混乱させる挑発行為」と批判した。
綱領の3点は、「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」「日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する」「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」である。
政策は3つの重点政策と、10の目標により構成される。
3つの重点政策は、「子供の教育(学力より学習力の高い日本人を育成し、郷土を愛する精神を作る)」「食と健康、環境保全(化学的な物質に依存しない食と医療の実現とそれを支える循環型の環境の追求)」「国のまもり(日本のかじ取りを外国勢力が関与できない体制づくり)」である。これらの政策は、「砂糖や小麦は発がん物質」「コンビニ弁当には使用禁止とされる添加物が混入している」などの陰謀論や疑似科学的色彩が濃い。また、「外国人労働者の排斥」「憲法改正と自衛隊の増強」「先の戦争の肯定」「首相の靖国神社参拝を支持」「同性婚は国家を壊す」「中国人や韓国人よりも日本人は遺伝的に優秀だ」「従軍慰安婦は韓国の捏造」「南京大虐殺は中国共産党のプロパガンダ」「沖縄の反基地活動家は反日工作員」「アイヌ民族は存在しない」などの古典的な右傾概念が含まれている。
基本政策の「10の柱」。
同性婚やLGBT理解増進法、選択的夫婦別姓、候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」の導入などに反対。2022年、参院選の候補者に行ったアンケートでは、参政党の候補者50名の回答は、多様性に関する質問に対し、選択的夫婦別姓の法制化反対78%、外国人労働者の受け入れ反対94%、永住外国人の地方参政権反対98%という結果だった。神谷副代表(当時)は、「共産党が言っていることをその通りやると日本が駄目になる。もっと二酸化炭素は減らせ、LGBTQ、ジェンダーフリー。それでは共同体は維持できない」と述べ、男女同権やLGBTの理解増進、地球温暖化対策に反対の意を示した。武田邦彦アドバイザー(当時)は、街頭演説で「男が子どもを育児するのは非常に問題」と発言した。神谷副代表は、「男女共同参画予算で学校給食を全部オーガニックにできる」などと語り、少子化問題も「食事を改善すれば子どもも増えるのに、それをやらせないようにしているとしか思えない」と述べている。
LGBT理解増進法の成立に国会で反対し、法案通過後は地方議会でも条例に反対していくとしている。
皇位継承を男系(父系)に限定することを主張している。「LGBT理解増進法」を反対する理由の1つにも「男系による皇位存続の危機を招く」を挙げている。神谷副代表は、皇位継承者を増やすために、側室制度を復活させることを提案している。また、日本会議の友好団体である「皇統(父系男系)を守る国民連合の会」の呼びかけ人には、元役員の赤尾由美と元アドバイザーの我那覇真子や葛城奈海らが名を連ねており、特別賛同人には松田学元代表が含まれている。
「子どもの教育」については、「学力より考える力を重視する教育改革」を重点政策に掲げ、「国や地域、伝統を大事に思える『自尊史観(歴史修正主義)』の教育」を推進する方針である。具体的には、「地方自治体が探究型フリースクールを設立できるよう法改正を行うこと」などを掲げている。
また、科学的根拠なく農薬を子どもの学力や健康と関連付け、オーガニック給食を推進している。政策では、オーガニック給食と食育を通じて、「健康な精子と卵子を育てることで少子化対策も実現できる」ことを掲げている。
参政党は「化学物質に依存しない食と医療の実現、化学物質を使わない農業と漁業の推進」を重点政策としている。農薬や食品添加物、遺伝子組換え(GM)、ゲノム編集作物などで食の安全が脅かされているとし、学校給食の有機化を推進している。
先人の知恵を生かした『日本版SDGsの推進』を掲げ、「日本で元々とれない作物はつくらない」「米国産の小麦を食べ続けると病気になる」「乳製品はよくない」「有機無農薬・自然栽培食材を使った給食で子どもの病気が減り、学力が上がる」「日本人の自殺・死亡原因は世界一の農薬と化学肥料のせい」などと主張している。また、子どものCOVID-19ワクチン接種やワクチン全般、昆虫食、遺伝子組み換え食品などに反対している。そしてこれらの政策には、「GHQが行った小麦政策の目的は食糧難の解決ではなく、『あの勢力』の中心である国際金融資本が利益を得ることと日本人を弱体化すること。なので米を食べよう」「肥料と農薬が戦後になって種とセットでアメリカに買わされた」などの陰謀論が加えられている。参政党の農業政策に対しては農家から批判の声がある(後述)。
参政党の共同代表であった吉野敏明や参政党候補者たちは、日本の政府や政治家を「グローバリスト」と呼び、外国資本の影響下にあると主張している。また、主流医療はグローバリストに支配されていると主張しており、オカルトやスピリチュアル、疑似科学的な代替医療や民間療法を支持している。『参政党Q&Aブック 基礎編』には、「ユダヤ系の組織が欧米社会を支配しており、数百年前から日本を標的にしている」いう記述や、「海外の製薬メーカーが治療で利益を得るために健常者を患者にしている」という主張がある。
2022年の選挙戦では、「食品添加物で白血病などのがんが増える」「コンビニ弁当や電子レンジで温めた食品は『毒』」「COVID-19ワクチンをうつと免疫が下がる」などの説を訴えた。また、反農薬運動や反遺伝子組み(GM)換え闘争を牽引する鈴木宣弘・東京大学教授やジャーナリストの堤未果(夫は立憲民主党の川田龍平)が、参政党の動画やイベントに登場した。鈴木教授は、参政党の政策学校「DIYスクール」でも講師を務めている。
2022年、参政党の吉野敏明共同代表(当時)は、小麦について「戦前にはなかった」「GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が戦後にパン食普及のために持ち込んだものであり、日本人には有害なためがんが増えている」と主張した。神谷副代表も同調し、「小麦なんか食べるのを止めよう」「粉もん文化は戦後77年でできたものしかない。アメリカで作られた食文化を守る必要はない」と述べていた。しかし、小麦は弥生時代に伝来しており、日本各地に小麦を使った食文化が存在している。また、日本人のがん増加の主な原因は寿命の伸びによるものである。この主張はネットで大炎上し、他の参政党の農業政策についても、農業関係者などから厳しく批判された。
2023年、小麦を否定している吉野共同代表は、「粉もの文化」のある大阪府知事選に出馬したが、落選した。2023年の地方議会選挙では、参政党から小路晃(元格闘家)など2名のラーメン店経営者が、2022年の参院選ではパン屋の経営者が出馬したが、いずれも落選した。
政策で、昆虫食や培養肉の開発や普及施策を中止すると掲げている。
2023年3月22日、参政党は内閣に対し、「農林水産省、政府系企業による昆虫食推進に関する質問主意書」を提出した。会見では、「SDGsを錦の御旗のように掲げ、無理やり昆虫食を食べさせる、有無を言わせない推進には非常に強い違和感がある」「昆虫食が日本人の身体に与える影響について、政府はちゃんと分析や評価をしているのか」と訴えた。
新型コロナ対策では、政府のCOVID-19ワクチン接種推進に反対し、マスク着用の自由化を主張した。街頭演説では、ワクチン(お注射)を「殺人兵器」と呼び、COVID-19のパンデミックは計画的に引き起こされたもの(プランデミック)だと述べていた。神谷副代表(当時)は、「『炎上商法』ではないが、批判を受けるくらいわかりやすい言葉は選挙に有効」と話していた。
COVID-19ワクチンだけでなく、すべてのワクチンを否定し「打ってはいけない」と人々に呼びかけている。参政党は、ワクチンの問題点を議論する際に、「製薬会社など利益を求める勢力のために開発された」など陰謀論のような主張をし、それを国会の議論に上げている。
『参政党Q&Aブック 基礎編』では、「マスクをするとがんになる」などの主張や、「莫大な利益獲得を目的とする勢力が、マスク着用を呼びかけている」といった陰謀論を展開している。
地球温暖化に懐疑的で、カーボンニュートラルの取り組み(炭素税の導入や二酸化炭素の排出量を減らすこと)に反対している。また、原発と化石燃料を活用し、「外国勢による支配の問題が顕在化している『メガソーラー』」などを抑制することを主張している。
参政党は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、「侵略戦争でなかった」と主張している。また、従軍慰安婦や南京大虐殺を否定している。一方で、「憲法改正と自衛隊の増強」を訴えており、2022年の参院選候補者アンケートでは、参政党の候補者50名の72%が、核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」の非核三原則に反対の立場を示した。さらに、96%の候補者が「首相の靖国神社参拝に賛成した。
参政党は、移民に対して排外主義的な主張をしている。「外国人労働者の排斥」や「中国人や韓国人よりも日本人は遺伝的に優秀だ」と訴え、中国人留学生に対して敵視する姿勢を示している。神谷代表は、参議院議員として、「外国人の職員採用や土地取得」「太陽光発電所建設」などに関する質問主意書(内閣に対し文書で質問)を提出している。
参政党は、ユダヤ人による「国際金融資本」に世界が牛耳られており、COVID-19ワクチンもその策略の1部だと主張している。日本の既成政党がグローバルエリートに支配されていると考え、グローバリストに対抗できる参政党が、唯一日本を救うことができると述べている。
2022年の参議院選挙では、神谷宗幣幹事長が公の場や選挙集会でQアノン的なユダヤ陰謀論を発したことから、イスラエルの外交官に抗議を受けたり、国際的なメディアの注目を集めるなどした。「週刊文春」編集部によると、公安警察は、参政党を日本版のQアノン(米国の陰謀論勢力)と見なしているとされている。
神谷代表は著書『参政党Q&Aブック 基礎編』で、世界を支配するグローバル勢力として「ユダヤ系の国際金融資本を中心とする複数の組織」を挙げ、「日本は『あの勢力(国際ユダヤ金融資本)』に数百年前から標的にされ続けてきました。私たちが歴史で学んだ出来事の多くの背後には「あの勢力」が存在していたのです」と述べている。しかし、2022年8月18日のテレビ出演では、これらの見解について問われ、「ユダヤ資本が入ってるのは事実だが、全てユダヤ人がやってるというふうに誤解されるような書き方はちょっとまずかったなというふうに思っていて、今後修正をしていかないといけないなというふうには考えています」と釈明した。参政党は、2024年3月に「国際ユダヤ資本などの陰謀論を選挙キャンペーンに用いた」との指摘に対し、「ロスチャイルド家やウォーバーグ家などの資本家の存在は事実であり、どの点が陰謀論なのか」と回答した。
参政党の特徴の1つとして、疑似科学やオカルト、スピリチュアル、反ワクチン、陰謀論などに関わる人が多いことがある。「ゴレンジャー」と呼ばれていたコアメンバーの中にも、疑似科学やスピリチュアルなどの世界で有名な人が多かった。2020年の結党時に党員だったKAZUYAや渡瀬裕哉などは、「メンバーが現実離れしたディープステート(闇の政府)などの陰謀論を信じている」として離党している。
選挙 | 当選/候補者 | 非改選 | 定数 | 得票数(得票率) | 備考 | |
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選挙区 | 比例代表 | |||||
第26回通常選挙 | 1/50 | 0 | 248 | 2,018,214(3.80%) | 1,768,385(3.33%) |
参議院議員 |
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2028年改選 |
神谷宗幣 (1回、比例) |
2023年11月20日現在。
2022年時点での本部の所在地は、東京都港区麻布台2-2-12 三貴ビル3F。2020年の政治資金収支報告書では大阪府吹田市千里山西1-37-40であり、代表者名は神谷宗幣だった。
中心人物で代表の神谷宗幣は、元吹田市議員で、自民党の公認で衆院選に出馬して落選したことがある。元代表の松田学は、日本維新の会の元衆議院議員で、元財務官僚である。
党員から特に人気の高かった神谷宗幣、松田学、赤尾由美(大日本愛国党創設者の赤尾敏の姪)、武田邦彦、吉野敏明(代替医療の推進で有名な歯科医師)の5人は、支持者から「ゴレンジャー」と呼ばれていた。
年1回招集される党の最高議決機関であり、党大会の構成員については、党大会議事規則で定める(党規約第3章)。以前は、「一般党員」と「運営党員」に、党大会の参加資格が与えられていた。
党の執行機関であり、党に関する重要事項を審議する(党規約第12条)。ボードメンバーの選任はボードが決定し、党員はボードメンバーの選任権を持たない。任期は次の党大会まで、再任は可能。
代表、事務局長の選任は、ボードメンバーの中からボードの過半数の承認により選任される(党規約第14、15条)。任期は次の党大会まで、再任は可能。
代 | 代表 | 代表選 | 在任期間 | 備考 | 期 |
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0 | (空席) | ─ | 2020年4月11日 - 2021年12月22日 | 届出上の代表者は事務局長の神谷宗幣 | |
1 | 松田学 赤尾由美 吉野敏明 | 無 | 2021年12月23日 - 2022年7月14日 | 肩書は共同代表 | 1 |
2 | 松田学 | 無 | 2022年7月15日 - 2023年8月29日 | 1 | |
3 | 神谷宗幣 | 無 | 2023年8月30日 - (現職) | 1 |
2023年12月現在のボードメンバー(党役員)は以下の通り。
役職 | 氏名 | 所属・主な肩書 |
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代表・事務局長 | 神谷宗幣 | 参議院議員 |
副代表・副事務局長 | 川裕一郎 | 石川県議会議員 |
ボードメンバー | 藤本一希 | 福井県議会議員 |
新開裕司 | 福岡市議会議員 | |
高井千歳 | 熊本県議会議員 |
事務局長 | 副事務局長 | 政策担当 | 広報担当 | 就任年月 | |
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神谷宗幣 | 篠原常一郎 | 松田学 | 渡瀬裕哉 | KAZUYA | 2020年4月11日 |
2021年1月 |
代表 | 副代表 | 事務局長 | 副事務局長 | ボードメンバー | 就任年月 | ||
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松田学 赤尾由美 吉野敏明 | 神谷宗幣 | 篠原常一郎 | 2021年12月23日 | ||||
川裕一郎 | 2022年3月27日 | ||||||
松田学 | 神谷宗幣 | 赤尾由美 | 吉野敏明 | 2022年7月15日 | |||
田中義人 | |||||||
藤本一希 | 高井千歳 | 2023年4月26日 | |||||
神谷宗幣 | 川裕一郎 | 新開裕司 | 2023年8月30日 |
2023年12月現在、参政党公式ホームページから、「アドバイザー」の欄が削除された。
2023年11月10日時点でホームページに記載されていたアドバイザーは以下の通り。
役職 | 氏名 | 所属・主な肩書 |
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アドバイザー | 小名木善行 | 作家 |
外部アドバイザー | 井上正康 | 大阪市立大学医学部名誉教授 |
武田邦彦 | 元共同代表、元中部大学総合工学研究所特特任教授 | |
我那覇真子 | フリージャーナリスト | |
CEOセオ | 起業家 | |
和泉修 | 芸人、大阪国際大学経営ビジネス学部客員教授 |
参政党は、新興政党とは思えないほど潤沢な資金を持っている。その資金力の特徴は、個人からの党費や寄付金に大きく頼っていることにある。具体的な集金方法として、「全国各地での有料タウンミーティング」「大規模な政治資金パーティー」「高額な党費設定」「個人からの100万円以上の寄付」「議員候補者向けの『参政党DIYスクール』」「議員歳費の一部を党に納める規則(毎月10%、町議・村議の場合は5%)」などがある。これらの手法は、ネットワークビジネス的な側面があると指摘されている。一方で、参政党自身の発信する情報によると、参政党は企業や団体からの献金を受け取らないことで、特定の利益団体に縛られない政策が可能であると述べている。
2020年度の政治資金収支報告書によると、約8600万円の収入があり、その内訳は会員による会費収入約2400万円、参政党DIYスクール受講料約4700万円などだった。主な支出は神谷宗幣や松田学、小名木善行など幹部の講師料や神谷宗幣が経営するイシキカイカク株式会社への支払いだった。
2022年11月時点で、月の党費収入は4000万円を超えており、2022年の参院選に要した約5億円の選挙費用は主に党員からの寄付で賄われていた。政治資金パーティーでは、最低2万円から最高10万円の5000席以上が完売し、グッズの売り上げや広告収入などもあった。
2023年11月に公開された政治資金収支報告書によると、2022年の収入は16億円で、その約9割(14億円)は個人からのものだった。全国各地で有料の「タウンミーティング」を頻繁に開き、2022年は計2.6億円を集めた。大規模な政治資金パーティーでは、約1万3千人から計3.2億円(1人当たり平均2万円超)を集め、これらの「事業収入」は合計6.6億円で、収入の約4割を占めた。個人からの100万円以上の寄付と党費も多く、2022年の寄付は延べ3千人以上から計4.3億円を集め、党費は4万6524人が3.4億円を納めた。
政党交付金は、2022年は7702万円、2023年は1億8400万円が交付され、2024年は1億8900万円が交付される予定である。
参政党は、「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」という理念のもと、活動や政策、人材を自分たちでDIY(Do It Yourself、手作り)していく「参加型民主主義」を掲げている。特徴の一つは、党員の意見を党運営に反映させる仕組みの導入で、月額1000円から党員になれ、月額4000円の党費を払えば党内で起案された政策や公認候補者への投票権が得られるとする。支持者に「自分たちがつくる政党」「自分たちがこの選挙をつくっている」と実感や達成感を感じさせることで、投票に行かない層の「最初に出会った政治の入り口」として支持を広げてきた。
参政党の会員制度は以下の4つのコースから構成されており、党員としてのレベルアップシステムが示されている。
参政党の候補者になる条件は、「運営党員」かつ70歳未満の日本人(多重国籍や帰化した者は不可)である。また、「参政党DIYスクール」が「受講必須」と勧められており、受講料は通学が18 - 20万円、通信が6 - 7万円と高額である。これまでの講師陣には、田母神俊雄や竹田恒泰、ケント・ギルバート、山口敬之などの右派論客や、COVID-19ワクチンに懐疑的な井上正康や宮沢孝幸、小林よしのり、南出賢一泉大津市長などが含まれている。
党員数は、2022年末時点で約10万4000人と公表しているが、これにはサポーターとメルマガ会員も含まれている。2022年度の政治資金収支報告書によると、党費を納入している一般党員と運営党員を合わせた数は約4万6500人だった(党費収入額は約3.4億円)。2022年10月、内閣府男女共同参画局の各党への調査では、党員数は3万9530人だった。
参政党は、「コミュニティ・オーガナイジング(CO)」理論に基づいて支持者を増やしているが、ネットワークビジネスの手法も取り入れていると言われている。SNSやウェブサイトを通じて初見の人物に働きかけ、タウンミーティングや講演会、ぬか床作りなどのイベントで居場所を作り、イベントや選挙戦のボランティア参加を促すことで希望や仲間意識を醸成させている。また、料金が段階的に分かれた党員システムや選挙スクールの受講など、党員としてのレベルアップ方法を分かりやすく示している。以前は、勧誘人数によってランクが変わるマルチ商法同様の党員ランク制度(10人勧誘でブロンズ会員、30人勧誘でシルバー会員、100人勧誘でゴールド会員、1,000人勧誘でダイヤモンド会員になれて特典が付く)が存在していた。参政党のCO理論の背景には、「ユダヤ系を中心とした国際金融資本・グローバリストに日本が脅かされ、マスコミや製薬会社が支配されている」「真実に目覚めた『私たち』が団結し、既存体制を倒す」という陰謀論に基づく「ストーリー(物語)」が共有されている。参政党は、この「緊急性」「怒り」「希望」や、代替医療や自然派でつながるコミュニティで生まれた「一体感」、イベントに参加しやすいシステムで生まれた「自己効力感」といった感情を煽ることで、支持者の行動を促進している。
神谷宗幣の配信チャンネルの立ち上げを支援した政治評論家の倉山満は、「ネットワークビジネスに対する神谷の態度が甘すぎるため、参政党への参加を拒否した」「世の中には怪しげなビジネスで保守に目覚めた人々を釣ろうとする輩が後を絶たないが、そのような団体を許容する人間と仕事をする気はない」と述べている。また、倉山は、神谷副代表から「陰謀論、スピリチュアル、ネットワークビジネス、そういうものを許容しないと広がりが無い」と言われことを明かし、「民主主義は数が力だが、頭がいいものは少数派であり、心の弱い多数の人は、正解や解決を求めている。そこに正解や解決を与えるのは、まさに陰謀論やスピリチュアルの手法」「そちらの方向に振り切ってから、参政党の勢いは加速度がついて広がった」と述べている。2022年7月19日、神谷副代表はNHK党(現政治家女子48党)の立花孝志との対談で、「陰謀論、スピリチュアル、ネットワークビジネスを許容しないと広がりがない」発言の真意を聞かれ、「陰謀論やスピリチュアル、情報配信ビジネスがダメだとかじゃなく、レンジを広げていきながら精査していけばいいという考え方を持っている」と答えている。
参政党は、天皇中心主義、外国人参政権反対、憲法9条改正など右派的な国家主義・排外主義を主張している一方で、かつては左派が重視した食品添加物の危険性や自然栽培の意義、有機給食推進などを訴えており、これらの主張は、有機農業や有機食品、添加物問題などに関心がある層を引き付けている。参政党は当初、「自尊史観(歴史修正主義)の教育」「外国人労働者を抑制」「天皇を中心に一つにまとまる」等の政策でネット右翼的な層から支持を得ていたが、2021年頃から、「農薬や化学薬品を使わない農業や反ワクチン」を強く訴えるようになり、これらの主張に共鳴するオーガニック信仰者や反ワクチン派が支持に加わった。
2022年の参議院選挙の比例区では、40代から50代の中高年層が最も多く支持した。若い世代ほど参政党に投票した割合が高く、YouTubeやTiktokで若い世代に支持を得たという見方もされたが、10代から20代の投票率は低かったため、若者から新しい潮流が始まったとは言えない。2023年12月のNHK世論調査では、40代からはじまり50代60代の中高年層の支持率が高く、他の年代の支持率はほぼゼロだった。文筆家の古谷経衡は、参政党支持者の主力年齢層は40代から70代前後のミドル・シニア層だと指摘している。政治的には、これまで政治や選挙に関心がなかった「政治的に無色」な人が多く、「一般的にいうところの右なのか左なのか」という鑑別基準すら持っていない人も多いという。参政党が提唱するオーガニックにこだわる食生活は、一定の所得がないと実践しにくいため、中産階級や富裕層の中高年が主要な支持層と見られている。
2022年の参議院選挙の出口調査では、参政党支持者の約6割が「岸田内閣を支持しない」と回答しており、全政党の中で最も高い割合だった。朝日新聞の調査では、内閣不支持層の比例区投票先は、社民・NHK党を上回り、国民・れいわとほぼ互角だった。立憲には遠く及ばないものの、内閣不支持層の一定の票が参政党に流れたことが分かった。明るい選挙推進協会による意識調査では、2022年の参院選で参政党に投票した人は、2021年の衆院選では自民27%、維新19%に投票しており、右派政党から多くの票を取り込んでいた。また、意識調査の「自分を保守と革新のどちらと考える」という質問では、参政党支持者は自民党支持者よりも中道寄りの傾向にあることが示された。TBSとJX通信の共同調査では、右派政党から多くの票を取り込んだものの、れいわ新選組からも一定の票が流れていた。2022年9月の沖縄県知事選では、参政党支持者の約40%が、自公推薦候補ではなく、オール沖縄が推薦する玉城デニーに投票した。
反ワクチン集団の神真都Qのグループチャットでは、参政党を熱心に宣伝する投稿が行われており、一部のメンバーが参政党の支持に回ったとされる。神真都Qと参政党は、コロナワクチン不要論、スピリチュアルな独自の医療観、ディープステート等のQアノンに似た陰謀論、ナショナリズムを強調する保守志向、「子供たちのため」などのスローガンなど、多くの共通点がある。2022年5月13日、松田学代表は街頭演説で、神真都Qについて「グローバリストが、我々のように科学的知見に基づいて発言する人々を潰そうとしている」と述べ、「反社会団体に向かって我々は立ち上がらなければいけない」と訴えた。
百田尚樹の日本保守党とは、右派かつ保守色の強い政党という点で一致し、支持層が重複すると指摘されている。個々の政策においても、LGBT関連法に反対、移民政策に反対、消費税の引き下げに賛成など重なるものが多い。支持層のボリュームゾーンがインターネットを活用している50代であるところも共通し、参政党支持者の37.9%が日本保守党に好感を持っているという調査結果もある。一方で、神谷代表は、参政党のターゲットが保守層ではなく、子育て世代の政治に興味のなかった層であると説明しつつ、「連携できるところは連携したい」と述べている。
2024年2月、東京大学、早稲田大学、筑波大学の研究チームは、Twitter(現X)の1億件のツイートを分析し、ワクチン反対派に関連する因子を調べた。その結果、コロナ禍で新たに反ワクチンになった人は、陰謀論やスピリチュアリティ、自然派食品や代替医療への関心が入口(rabbit hole)となっており、反ワクチンを掲げた参政党への支持が高いことが示された。参政党は、選挙キャンペーン中に「国際ユダヤ資本などの陰謀論」「『風の時代』などのスピリチュアリティ関連語」を使ってこれらに関心を持つ人々を惹きつけており、陰謀論やスピリチュアリティをきっかけに2022年参院選における参政党の議席獲得につながった可能性が示された。
選挙では、前回の最下位当選者の票数に対して2022年参院選の参政党の得票数(比例)が上回る、「当選しやすい選挙区」に候補者を立てる戦術を取っている。また、資金や選挙ノウハウ、起業のサポート、スタッフ採用などの支援制度を設け、フランチャイズオーナー募集のようなシステムを採用している。
街頭演説や講演会では、「ユダヤ勢力にマスコミも銀行も支配されている」といった陰謀論、疑似科学や反ワクチン、ナチスの擁護などの過激な主張を展開し、支持者と資金を集めている。一方で、ウェブサイトや選挙公報ではこれらの主張を控え、普通の政党のように見せるステルス戦術を行っている。
参政党の演説は「政治家は利権により動かない」「マスコミは真実を報道しない」といった端的で分かりやすい言葉が繰り返され、支持者が盛り上がれるポイントがタイミングよく詰め込まれている。そのため、切り抜き動画と相性が良く、それらがYouTubeやTikTokに流れたことから若者にも支持が広がった。稲増一憲・関西学院大学教授は、政治家が有権者を引きつけるために単純な短い言葉を使う「ワンフレーズ・ポリティクス」について、「平成のテレビの時代からあったが、ネット上ではそれが加速している」とした上で、「参政党が掲げた『反ワクチン』や『脱マスク』は端的で分かりやすく、SNSと親和性が高かった。拡散さえできれば、政権は取れなくても参院選で1議席は取れる、ということが今回証明されたのではないか」と指摘している。
SNSアナリストの中村佳美によれば、政党公式アカウントの影響力が5位。特に強いのがYouTubeで、自民党も圧倒しているが、それほど再生回数があるわけではない。2022年4月以降、切り抜き動画を投稿するアカウントが増え、YouTubeのショート動画が拡散されていくようになった。また、TikTokの影響も大きかったとしている。
2022年7月時点の公式YouTubeチャンネルの登録者数は19万人で、NHK党党首の立花孝志(49万人)、れいわ(24万人)に及ばないものの、自民(13万人)、立民(2万人)、維新(3万人)などを大きく上回る。
2022年9月5日時点の登録人数は、Twitterが6位。YouTubeが3位。Instagramが3位だった。
党派 | 登録人数 | |||
---|---|---|---|---|
YouTube | ||||
自由民主党 | 250,000 | 128,000 | 41,821 | |
立憲民主党 | 193,000 | 23,000 | 5,448 | |
公明党 | 107,000 | 143,000 | 41,788 | |
日本維新の会 | 70,000 | 32,600 | 1,159 | |
国民民主党 | 51,900 | 16,000 | 4,053 | |
日本共産党 | 134,000 | 101,000 | 4,204 | |
れいわ新選組 | 125,000 | 228,000 | 19,584 | |
みんなでつくる党 | 25,700 | 476,000 | 2,890 | |
参政党 | 100,000 | 215,000 | 30,800 | |
社会民主党 | 46,500 | 4,850 | 2,062 |
年 | キャッチコピー |
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2022 | 投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる。 |
2023 | 共に旅に出よう 未来の日本を変える日々へ |
党の理念や政策には、生長の家の創始者・谷口雅春が提唱した「大調和」という言葉が使われている。参政党の「大調和」は、日本が主導して世界の国々が共存共栄する新しい世界秩序を築くことを意味している。これは、「八紘為宇」という言葉と同様の概念を表している。
街頭演説などでは、「大和魂」という言葉が頻出する。街頭演説では、「いち、に、さんせいとー!」と声をあげ、指を「1、2、3」と突き上げる。
公式テーマソングはザ・マスミサイルの「おはよう」。神谷宗幣が友人である高木芳基に依頼した。
2023年1月30日、参政党とボードメンバー(役員)5人は、参政党の元党員ら18人から詐欺にもとづく損害賠償請求で訴えられた。訴状によると、参政党はDIY政党として、一般の党員にも政策や党運営に関する決定権があると誤認させて党費や寄付金を集めているが、実際には一切の政策や公認決定権が与えられていないという。原告側は、「党員はお金を出しているだけで、実態はボードメンバーの独裁状態になっている」と話し、「党費だけでなく『DIYスクール』など高額な勉強会などについても、返還の対象になると考えている」と述べた。
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