『快傑ズバット』(かいけつズバット)は、1977年2月2日から9月28日まで、東京12チャンネルで毎週水曜19:30 - 20:00(JST)に全32話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中に登場する変身ヒーローの名称である。「怪傑ズバット」は誤記。
快傑ズバット | |
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ジャンル | 特撮ドラマ |
原作 | 石森章太郎 |
企画 | 平山亨 |
脚本 | |
監督 | |
出演者 | |
ナレーター | 青森伸 |
音楽 | 京建輔 |
オープニング | 水木一郎「地獄のズバット」 |
エンディング | 水木一郎「男はひとり道をゆく」 |
言語 | 日本語 |
製作 | |
プロデューサー |
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制作 | |
放送 | |
音声形式 | モノラル放送 |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1977年2月2日 - 9月28日 |
放送時間 | 水曜 19:30 - 20:00 |
放送分 | 30分 |
回数 | 32 |
特記事項: 本放映時に3話分の再放送あり |
本作品は、元々は前年より放送されていた『超神ビビューン』(NETテレビ)の後番組として企画されていたが、同時期に東京12チャンネルにて放送されていた『忍者キャプター』が打ち切りとなったため、その後番組へ変更された。『ビビューン』の後番組にはテレビアニメ『氷河戦士ガイスラッガー』(テレビ朝日系列、東映・東映エージエンシー制作)が充てられた。
脚本のほとんどを執筆した長坂秀佳の独特の世界観、そして主人公・早川健を演じる宮内洋の独特の台詞回しと軟硬自在の演技などで、数々の特撮ヒーロー番組の中でも高い人気がある。宮内は本作品の終了直後、『ジャッカー電撃隊』(テレビ朝日系列)のテコ入れ策として行動隊長・ビッグワン役としてレギュラーに加わるが、役作りの上で早川健のテンションを引き継いだ誇張した芝居が大きく影響したせいか、主役の4人が手下同然に見えてしまうような状態だったという。
メインライターの長坂は全32話中30話を執筆しているが、2話分(第7話と第12話)を他の脚本家に任せたのは「1年続くと思っていたので、一人では全部書けないと思ったから」とその理由を明かしている。しかし、作風の違いが目立ったため、残りは自分で書くことになった。結局32話で終了したため「そうなると最初から分かっていれば全部自分で書いた」とも語っている。
本作品の企画や世界観を語る上で、小林旭主演の日活映画「渡り鳥シリーズ」が参考とされ、大きく影響していることが知られている。また本作品の企画を立ち上げた鈴木武幸は松竹大谷図書館に通って「渡り鳥シリーズ」の台本を読むなどしたが、多忙のため、第1・2話のホン直しの時点で降板となった。一方でメインライターを務めた長坂秀佳は日活の「渡り鳥シリーズ」をほとんど観たことがなく、「人に聞いた大体の雰囲気で書いた」と語っている。
最初の企画書のタイトルは放送作品と同一であるが、「視聴者参加・スーパーヒーロー多次元ドラマ」となっており、視聴者のアイディアをもとにドラマを作る試みが考えられていた。また、早川健の名前は「高見沢冬彦」となっており、宇宙から来た地球監視員で大邸宅の御曹司という設定となっていた。番組放送開始直前の『テレビマガジン』1976年12月号では、「大募集! きみがつくる新ヒーロー」のタイトルで、複数のヒーローデザインと乗物および名前を掲載し、読者投票で正式デザインを採用するイベントも行われている。
その後、『探偵ズバット』と書かれた企画書を経て、放送内容と近い企画書が書かれた。ただし、設定の細部および登場人物の名前は異なっている。
当時、東京12チャンネルが制作に関わったアニメ・特撮作品の中でも高視聴率をマークしたのが本作品であり、1977年3月9日放送分の第6話では15.5%にまで達した。制作側は1年続けるつもりでいたが、関連玩具が売れ行き不振のため、ズバッカーなどの戦闘シーンを増やすように要求するも「自分はドラマを書きたい」として脚本の長坂が全く聞き入れず、結局スポンサーだったタカトクが降板。これに伴い本作品も3クール弱の全32話で打ち切りになった。脚本の長坂秀佳も、番組終了をいきなり聞かされたために理由を尋ねたところ、「数字が良すぎて終わる」と言われたという。実際、番組の人気は、制作側が設定していた年齢層より上の年代である大学生が中心で、それがキャラクター商品の不振の一因ともなった。当時の東京12チャンネルは系列局がなく(中京、近畿では独立UHF放送局がその代わりをしていた)、リアルタイムで観られなかった地域も存在した(北海道地区など)。
このように早期終了となった本作品であるが、のちに1時間枠での再開を図っていたとされる。
科学者の飛鳥五郎は、妹の勤める幼稚園へ地域掌握のため現れた暴力団・地獄組と対峙、命を狙われることとなる。しかしそこに妙な風来坊が現れた。その男は飛鳥の子供のころからの親友であり、何をやっても日本一の私立探偵・早川健。地獄組の用心棒を追い払い、親友との再会に喜ぶ早川だったが、幼稚園バスに爆弾が仕掛けられているのを発見。園児たちを無事に避難させ、飛鳥は独りバスを安全な所まで運ぶが爆発で重傷を負ってしまう。
さらに姿なき敵の魔手は飛鳥の入院先の病院にまで伸び、再び爆発が起きる。混乱の中、飛鳥は何者かの銃撃により蜂の巣にされてしまい、早川の腕の中で息を引き取った。
早川は飛鳥の残した設計図を頼りに、開発途中の宇宙探検用強化服「ズバットスーツ」、そして飛行能力を備えたスーパーカー「ズバッカー」を自力で完成させ、地獄組組長・地獄竜を倒す。しかし地獄竜は、飛鳥を殺したのは自分ではないと言う。
では一体誰が? 友を殺した真犯人を突き止めるため、早川の復讐の旅が始まった。
通常のヒーローものと違い、早川は旅の先々で出会うならず者の特徴は把握しているものの、彼らがダッカーの手先であることや、そのダッカーの存在を全くつかんでいないという、当時のヒーロー特撮作品のパターンとは異なる設定である。ダッカー配下の組織は、ほぼ毎回同じコスチュームの戦闘員が登場するものの(着流しなどの例外あり)、早川がダッカーの存在を認識するのは最終話間近だった。
早川健がズバットスーツを着用した姿。登場時の口上は「ズバッと参上、ズバッと解決。人呼んでさすらいのヒーロー!快傑ズバット!!」。その口上の後、対峙した相手の罪状を並べたて、「許さん!」と一喝し、戦闘開始する。早川が脱出不能なピンチに陥り、死んだと思われた次の瞬間、飛来するズバッカーの爆音とともにズバットが登場する。ジャンプ力は400メートル、走力はマッハ7。
日本中の暴力団やギャング団全てを陰で支配する悪の大組織。警察もその実体を掴んでおらず、早川も物語終盤になるまでその存在を知らずにいた。ダッカーの構成組織のボスはほぼ全員がDのマークを身につけており、銃刀類や車両などの備品はもちろん、戦闘員が着用する帽子やネクタイ、計器類や弾丸にまでDの文字が刻まれている。配下の戦闘員もほぼ同じ黒ずくめの服装で統一されている。当初は首領Lが組織のリーダーと思われていたが、終盤に真の首領・総統Dが姿を現す。
役名は『快傑ズバット大全』(双葉社・2002年)p35-166に準拠。役者の右の括弧内は登場話数。ダッカー関係のゲストは放送リストを参照。
本作品の楽曲は、主題歌・挿入歌も含めてすべて京建輔が作曲した。なお、実際の作品では山下毅雄による『プレイガール』の曲の流用も行われており、それらの曲は『石ノ森章太郎萬画音楽大全7 快傑ズバット オリジナル・サウンドトラック』にも収録されている。
参照:宇宙船SPECIAL 1998, p. 225・ズバット大全 2002, pp. 190–191
放送日 | 放送回 | サブタイトル | ダッカーの下部組織 | 組織のボス | 用心棒 | 技 | 脚本 | 監督 |
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2月 | 2日1 | さすらいは爆破のあとで | 地獄組 | 地獄竜 (演:佐藤好将、 声:依田英助) | ランカーク (演:上野山功一) | 拳銃 | 長坂秀佳 | 田中秀夫 |
2月 | 9日2 | 炎の中の渡り鳥 | ブラックハート団 | ブラックスター (演:湯浅洋行、 声:北山年夫) | 風 流之介 (演:天本英世) | 居合 | ||
2月16日 | 3 | 悲しき純金の天使 | 金バッジ連合 | 金仮面 (演:橋本春彦、 声:島田彰) | 殺し屋ジョー (演:森裕介) | 投げナイフ | 奥中惇夫 | |
2月23日 | 4 | 涙の敵中突破 | 鬼勘一家 | 鬼の勘三 (演:高杉玄) | ワルツ・リー (演:大杉雄太郎) | 拳法 | ||
3月 | 2日5 | 花売り少女と白い粉 | 紅バラ連盟 | 紅蜘蛛 (演:中庸介) | 必殺ハスラー (演:日高晤郎) | ビリヤード | 田中秀夫 | |
3月 | 9日6 | 海にほえるマシンガン | 海賊党 | 海賊キッド (演:岩城力也) | レッドボワ (演:滝波錦司) | トマホーク | ||
3月16日 | 7 | 悪い風だぜ港町 | マイナス団 | 不死身の道斎 (演:関山耕司) | グレートコング (演:ミスター珍) | レスリング | 滝沢真里 | |
3月23日 | 8 | 哀しみのプロパン爆破 | まむし平和会 | ミッキー蛇山 (演:堺左千夫) | 地獄市(演:三夏伸) | 仕込み杖 | 長坂秀佳 | 奥中惇夫 |
3月30日 | 9 | 涙の河を振り返れ | TTT団 | 鉄の爪 (演:原田君事) | 釣師十兵衛 (演:三島新太郎) | 爆弾釣り | 田中秀夫 | |
4月 | 6日10 | 野球の敵を場外へ飛ばせ | 黒やもり組 | 黒やもり (演:小沢章治) | ペット吹きのトミー (演:藤井智憲) | トランペット吹き矢 | 奥中惇夫 | |
4月13日 | 11 | 死ぬな友よ! 危機一秒前 | タイガー団 | ゴッドタイガー (演:夏木章) | 黒のゴルファー佐丹 (演:守屋俊志) | ゴルフ | 田中秀夫 | |
4月20日 | 12 | 死刑執行10秒前 | 暗闇組 | 暗闇組組長 / 署長 (演:中田博久) | ブーメランジャック (演:石川敏) | ブーメラン | 田口成光 | |
4月27日 | 13 | 少年殺し屋のバラード | さそり組 | 毒さそり (演:松本敏男) | 虚無僧三郎太 (演:中井啓輔) | 尺八ボウガン | 長坂秀佳 | 小西通雄 |
5月 | 4日14 | 白羽の矢 涙の別れ | 赤耳一家 | 赤耳 (演:藤山浩二) | カーペンター甚十郎 (演:加地健太郎) | 大工 | ||
5月11日 | 15 | 哀しき母の子守唄 | 狼党 | ウルフガイ (演:金井進二) | 駒太夫 (演:佐藤久美子) | 独楽 | ||
5月18日 | 16 | 殺しのぬれぎぬ 哀しみの健 | ナチス連合会 | ナチスジャガー / 大月春彦 (演:倉石功) | バーテン左京次 (演:菊地太) | ダイス振り | 田中秀夫 | |
5月25日 | 17 | 嘆きの妹 ふたりの健 | フォーク投げ | |||||
6月 | 1日18 | 危うし! シャボン玉の恋 | 黒ひげ党 | 黒ひげ / 栗須伸 (演:松川勉) | 死神サミー (演:辰馬伸) | アメフト | ||
6月 | 8日19 | 悲恋 破られたラブレター | デビル団 | セントデビル (演:阿藤海、 声:渡部猛) | レッドフォード (演:横山繁) | 鎖鎌 | 広田茂穂 | |
6月15日 | 20 | 女ドラゴン 涙の誓い | 青十字軍 | 十文字青兵衛 (演:三谷昇) | レッドドラゴン (演:川村真樹) | 中国拳法・八卦掌 | ||
6月22日 | 21 | さらば瞼の母 | 夜桜組 | 夜叉丸 (演:平野稔) | コック伊魔平 (演:丸岡奨詞) | 皿投げ | ||
6月29日 | 22 | 少年ボクサー 涙の父 | Z団 | ミスターZ (演:若尾義昭) | カネアスドレイ (演:戸塚孝) | ボクシング | 田中秀夫 | |
7月 | 6日23 | 大神家一族の三姉妹と天一坊 | 紅狐党 | 紅フォックス (演:小林勝彦) | ダンディハリー / 大神天一 (演:南城竜也) | 手品 | ||
7月13日 | 24 | 涙の健 見知らぬ街の恋人 | 天山会 | ドン天山 (演:富田仲次郎) | ウリ・ケラー (演:宇田郁馬) | 筮竹投げ | ||
7月20日 | 25 | 荒神山 涙の別れ | 血起党 | 鬼大尉 (演:北町嘉朗) | ダルタニアン (演:小沢章治) | 二刀流フェンシング | 広田茂穂 | |
8月 | 3日26 | 許せ我が子よ! | ブラック連合 | ムッシュ神 (演:小笠原弘) | ドクウッディ (演:鮎川浩) | 注射、メス | ||
8月10日 | 27 | 意外! 飛鳥殺しの犯人?! | おろち党 | ボス蛇丸 (演:高杉玄) | 風の右近 (演:山本昌平) 雷の左近 / 綾子 (演:種村まり子) | 弓矢 カメラ | ||
8月24日 | 28 | そして、誰も居なくなる | 邪悪党 | 悪天坊 (演:滝波錦司) | ブラックローズ (演:桐嶋好夫) | 手裏剣 | 田中秀夫 | |
8月31日 | 29 | 父母なき子 涙の復讐 | 赤永会 | 闇の黒兵衛 (演:堀田真三) | テニスの陣太郎 (演:畠山麦) | テニス | ||
9月14日 | 30 | 悲しき生と死の間に | グレン団 | キングボー (演:大泉滉) | ガラバー (演:田所千津子) | 槍 | ||
9月21日 | 31 | 対決! 真犯人首領L? | ― | 首領L | 竜天丸(演:仙波和之) 竜海丸(演:佐藤好将) 竜山丸(演:守屋俊志) | 仕込みマシンガン | 広田茂穂 | |
9月28日 | 32 | さらば斗いの日々、そして | 総統D |
※すべて東映ビデオより発売。
2012年11月5日から2013年2月24日まで、YouTubeの「東映特撮 YouTube Official」にて全32話が配信されたほか、2014年8月4日から11月23日まで再配信が行われた。
『テレビランド』では細井雄二がコミカライズを担当。初回はシリアスだったが、2回目より2頭身ギャグに路線変更された。
聖悠紀の作画で『テレビマガジン』1977年4月増刊号に掲載。テレビシリーズ第2話を基にしているが、随所にギャグが挿入される、用心棒がズバットの正体に気付くなどのアレンジが施されている。1981年に徳間書店より刊行された『アニメージュコミックス』の『忍者キャプター』第2巻に収録された。
ズバットとしての客演については、#他媒体展開を参照。
東京12チャンネル 水曜日19:30 - 20:00 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
忍者キャプター (1976年4月7日 - 1977年1月26日) | 快傑ズバット (1977年2月2日 - 9月28日) | とびだせ!マシーン飛竜 (1977年10月5日 - 3月29日) |
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