『家族狩り』(かぞくがり)は、天童荒太の同名小説を原作としたTBS制作の日本のテレビドラマ。2014年7月4日から9月5日まで、毎週金曜日22:00 - 22:54に「金曜ドラマ」枠で放送された。全10回。主演は松雪泰子で、ドラマ版は文庫改訂版を基に大石静らによって脚本化され、2014年版のリライトという形でいくつか設定を変えてテレビドラマ化された。
家族狩り Family Hunter | |
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ジャンル | テレビドラマ |
原作 | 天童荒太 『家族狩り 第一部〜第五部』 |
脚本 | 大石静 泉澤陽子 |
演出 | 坪井敏雄 山本剛義 伊藤雄介 |
出演者 | 松雪泰子 伊藤淳史 北山宏光 水野美紀 篠田麻里子 山口紗弥加 平岡祐太 秋山菜津子 浅田美代子 財前直見(友情出演) 遠藤憲一 |
音楽 | 林ゆうき 橘麻美 |
オープニング | 林ゆうき 「家族狩り」 「家族狩り (HA Mix)」 |
エンディング | androp「Shout」 |
製作 | |
プロデューサー | 植田博樹 長谷川晴彦(ROBOT) |
制作 | ロボット(協力) |
製作 | TBSテレビ |
放送 | |
音声形式 | ステレオ放送 |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 2014年7月4日 - 9月5日 |
放送時間 | 金曜22:00 - 22:54 |
放送枠 | 金曜ドラマ |
放送分 | 54分 |
回数 | 10 |
公式サイト |
東京都内で連続して起きる凄惨な一家心中事件とそれに関わる児童心理司、事件を殺人とみなし彼女を容疑者として追う刑事と、彼女とともに事件に巻き込まれてゆく教師を中心に、それぞれの家族との葛藤や、児童虐待やDVなどの家族問題を描くサスペンスドラマ。
テレビドラマ化の企画は、プロデューサーの植田博樹が天童原作の『包帯クラブ』映画化(2007年)を担当した際に原作を読み、映像化を希望したところから始まったが、なかなか企画が通らず、構想に7年がかかっている。植田はドラマ化にあたって、「原作の魂」に忠実にドラマ化すること、原作者の天童が2014年にテレビドラマの脚本としてリライトすればどのような作品になるか、という想定を踏まえて製作にあたったと述べている。台本作りには天童自身も参加し、多くのアイデアを提供した。また脚本の大石静は、人間の闇を愛おしく描くことができるとの評価から起用された。
チーフディレクターの坪井敏雄によれば、凄惨な場面の表現を工夫するにあたっては、「キレイな映像を重ねてゆく」ことにこだわり、撮影機材としてTBSで前年より導入されている映画撮影用デジタルビデオカメラのSONY CineAlta PMW-F55を使用し、家族をテーマとする内容のために現実味のあるセット作りを希望した。また、作中に登場する「臭い」を、映像エフェクトとSEで表現している。
映像化に際しては、小説発表後からの時間の経過を踏まえながら、2014年の現代の物語として描くため、いくつかの設定変更がある。
氷崎游子の家族のうち、父の病気は脳梗塞からアルツハイマー型認知症に変更され、原作で設定のなかった名前は祖父・清太郎の名が当てられている。また、原作では対立関係にあった山賀葉子は游子の相談相手となっている。
体育教師・岡村仁など原作にない人物が登場するほか、鈴木渓徳は物語の開始当初から登場して浚介を訪ねて学校内にも出入りし、ドラマ内で息抜きになるポジションのキャラクターとなるが、我が子が自分の血を引いているのかが分からず、DNA鑑定を受けるかどうかで悩むという設定が加えられた。馬見原光毅の周辺では、上司の捜査一課課長の笹木に相当する人物に検事の藤崎の名が当てられるなど、人間関係が整理された。
馬見原が追う「家族狩り」(ドラマ内で一連の一家惨殺事件をこう呼ぶ設定)についても、原作でも物語開始以前に同様の事件が起きていたが、ドラマではすべて警視庁管轄内で起き、馬見原はそれぞれの現場に入り共通する臭いを感じることが事件のキーワードとなる。また、初めの主要な事件である麻生家の前に光島家の事件が描かれる。麻生家の凶器は鋸から斧に変更され、犯行の数日後に遺体が発見されていたものが、翌日には警察が捜査に入り第一発見者も浚介ではない。そして事件の犯人として馬見原が疑うのが游子であるという大きな変更点がある。
また原作ではほとんど関わりのない浚介と実森勇治のやり取りを、中盤の重要な要素として大幅にオリジナルエピソードを加えて描き、台詞に黒子のバスケ脅迫事件の被告人による裁判の冒頭陳述の言葉を引用したり、原作では浚介や亜衣が取材に対応する場面で心中した家族や学校の対応への批判を述べるところを、ドラマでは内容をマスコミへの罵倒に変え、記者会見席上での記者によるリンチ的追及などへの批判を込めて取材スタッフが対象者を煽る場面を加えるなどしている。
初回は20分拡大(22:00 - 23:14)、そして直前番組『中居正広の金曜日のスマたちへ』の接続はステブレレスになった(21:54のミニ番組〈関東地区は『関東地方あしたのお天気』〉は休止)。
都内で連続して発生する、子供が家族を殺す一家心中事件を調べる警視庁捜査一課の刑事・馬見原光毅は、いずれの現場にも2種類の臭いが漂うことに気付く。馬見原はそのひとつの香水のような香りを児童心理司・氷崎游子から感じ取り、事件を心中ではなく游子による連続殺人と怪しみ、部下の椎村栄作とともに事件を追う。游子は高校生の芳沢亜衣との関わりを通じて美術教師の巣藤浚介と出会う。氷崎家は認知症の父・清太郎の介護とそれに悩む母・民子の疲れでバラバラになりかけていたが、父と親しくなった浚介や彼の元教え子・鈴木渓徳らとの交流を通じて前向きに変化する。游子と浚介はこれらの交流や浚介が傷害事件に巻き込まれたことなどを通じ親しくなってゆくが、浚介が同僚の清岡美歩に結婚を迫られていることが影を落とす。一方、馬見原は私生活では家庭崩壊し、心を病む妻・佐和子を抱えつつ、DV被害者の冬島綾女・研司の親子との間に亡き息子と結べなかった関係を見出していたが、綾女の元夫のヤクザ・油井善博に逆恨みされ、執拗に復縁を迫られる綾女たちを守るために奔走する。油井は佐和子に冬島親子の存在をほのめかす嫌がらせをし、綾女と対決した佐和子は苦悩の末自殺未遂に追い込まれる。
事件の影響で浚介の学校が不登校生徒の切り捨てを図る中、游子と浚介は引きこもりの生徒・実森勇治に対応し、過去に似た経験を持つ浚介は勇治の心を開く。しかし、彼の誘いに応えて学校に来た勇治は担任の美歩や他の生徒に傷つけられ再び引きこもる。度重なる家族関係の苦悩や担当する駒田幸一・玲子親子とのトラブルに自信を失くす游子は、親しい電話相談ボランティアの山賀葉子の力を借りるが、実森家の家族は改善せず、ついには一家心中に至る。その現場で浚介は馬見原に任意同行され、事件現場の甘い香りの正体が游子の使うシャンプーと同じであること、7年前に担当家族が一家心中した過去を持つ游子への容疑を聞き衝撃を受ける。しかし渓徳に叱咤され游子と向き合った浚介は、家族を救えず罪の意識に苦しむ游子を殺人犯ではないと信じる。
游子を逆恨みする駒田は氷崎家の家族を殺そうと不法侵入するが失敗し、自殺して発見されるが游子はその遺書の内容に不審を抱き、やがて山賀とシロアリ駆除業者・大野甲太郎のつながりを知ってしまい彼らに監禁される。彼らは末期的状態の家族を救う「儀式」と称し、これまでの物語で一家心中とされた家族、および駒田を殺していた。山賀たちは游子を連れて家庭崩壊する芳沢家を監禁、游子を助けようとする浚介をも拘束し、彼らの前で亜衣の両親に子供への愛を見せると称して拷問を加え始める。家族とともに死を覚悟する亜衣を、浚介と游子は必死に説得し、元夫婦の山賀と大野がかつて我が子を手にかけたと知る。間一髪で現場に踏み込んだ馬見原と椎村は犯人たちに銃を向け、彼らは被弾しながらも逃走し行方知れずとなる。
馬見原や浚介とともに一連の事件を振り返る游子は、心の欠損を抱えた人々に手を差し伸べ家族を「開く」べきだと語る。亜衣は両親とともにやり直す決意をする。油井を刺殺するが正当防衛が認められた綾女は馬見原に別れを告げ、親子は東京を後にする。馬見原は妻と向き合い、娘婿を通じ娘の真弓にもその愛情が伝わる。美歩と別れ、自分の家族とも再会した浚介は、游子を食事に誘い、二人は約束を重ねる新たな関係を築こうとする。しかし同じ頃、都内では新たな一家心中事件が起き、救いを求める家族が山賀を思わせる電話相談を頼るところで物語は終わる。
詳細な人物説明は原作項目を参照。本項では簡単な続柄、ドラマ独自の設定を記載。
キャスト名横の表記は出演回。
キャスト名横の表記は出演回。
視聴率は低調ながら、後半は下がっていた数字が復調し、最終話では2桁台に戻した。Nikkansports.comの芸能コラム担当記者・梅田恵子は、低調の原因を初回から裏番組の日本テレビ『金曜ロードSHOW!』の編成で、「ジブリ祭り」などの強力なコンテンツが続けて放送されたことが原因と分析した。また、Yahoo! JAPANの視聴者の評価では今期トップクラスであり、他局の宣伝担当などからも高評価を受けているとされ、梅田自身も陰惨で救いのない展開と役者の力による生き生きとした人間描写、二転三転するサスペンスなどを高く評価している。
コラムニストの木村隆志は2014年の夏ドラマ総括の中で本作を挙げ、彼もまたこの期に低視聴率でありながらネット上で視聴者の熱烈な好評価があった作品として、『あすなろ三三七拍子』『若者たち2014』などとともに例示した。本作については、家族関係の分かりにくさや中盤における脚本の散らかり気味を指摘しつつも、映像美や制作陣の熱気とチャレンジ精神が伝わる出来や、俳優陣の鬼気迫る熱演を高く評価した。また個人的ランキングとして、最優秀主演女優に松雪泰子、最優秀助演男優に伊藤淳史、優秀新人に中村ゆりかを選んだ。
第82回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では松雪泰子が主演女優賞総合3位に入賞した。またTVnaviドラマ・オブ・ザ・イヤー2014・7-10月期の読者投票では主演女優部門で松雪泰子、助演男優部門で北山宏光がそれぞれ1位を獲得した。
雑誌『エンタミクス』が2015年1月号で発表した「掘り出しエンタRANKING2014」では、テレビドラマ部門の2位となった。
話数 | サブタイトル(ラテ欄) | 初回放送日 | 脚本 | 演出 | 視聴率 |
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第1話 | 天童荒太原作の不朽の名作を大石静脚本、骨太なキャストで完全映像化 | 7月4日 | 大石静 | 坪井敏雄 | 10.5% |
都内で連続する一家心中事件の現場で、馬見原はそこに共通して漂う甘い香りと、別の薬品のような臭いを感じ取る。馬見原は駒田玲子保護の際の揉めごとで警察に抗議している游子を見かけ、山賀になだめられて立ち去る彼女から現場と同じ臭いを感じる。浚介は亜衣に嘘の証言をされて游子と出会い、亜衣とのトラブルの際に居合わせた渓徳の証言で事実が分かり放免される。後日、浚介は徘徊していた清太郎に声をかけられ、彼が游子の誕生日を祝うための準備を手伝い、祝いの場に同席することになる。しかし游子は浚介の安易な慰めの言葉に反発して外へ出てゆく。掛ける言葉もなく帰宅した浚介は、美歩とともに向かいの麻生家から悲鳴を聞くが二人は放置する。翌日、麻生家では一家が惨殺されており、捜査に入った馬見原は家の息子・達也の遺体を発見するが、その光景をなぜか「美しい」と感じ、また他の一家心中現場と同じ臭いを感じて、一連の事件が外部の犯行であると確信する。 | |||||
第2話 | 殺しの香り、殺しの祈り | 7月11日 | 大石静 | 坪井敏雄 | 6.9% |
大田区大森、北区赤羽の光島家、世田谷区代沢西の麻生家と、連続した事件を馬見原は他殺と主張し、捜査陣に黙殺される中、游子を疑い、椎村とともに裏付けを探す。この捜査上で浚介は馬見原の聞き込みを受ける。游子は駒田と面会しケアを進める中、彼が玲子を虐待する動画を何者かがネットにアップロードしたため、勤務先に抗議が殺到し解雇されたことを知り自分の行動が不適切だったと苦悩する。氷崎家では母の民子が清太郎の施設入りを提案し、一時正気に戻った清太郎は妻と娘に自由に生きてくれることを望むと告げる。馬見原は佐和子の退院を前に、冬島親子との最後の思い出と決意して旅行に出かける。退院の日、馬見原は綾女の元夫・油井の出所を知る。以前と性格の一変した佐和子は、新しい家族の関係を模索する自分の気持ちを馬見原にぶつける。椎村は捜査により、被害家族それぞれの携帯電話のアドレス帳に游子名義の電話番号があることを知る。 | |||||
第3話 | 親を棄てられますか? | 7月18日 | 大石静 | 山本剛義 | 5.6% |
出所した油井は真弓の花屋に現れ、手伝いをする佐和子に対し綾女あての花束を届けるよう依頼する。何も知らない佐和子は綾女の家に配達に出かけ、対面した綾女は油井が差し向けたことを知り怯える。事件の捜査は進み、被害家族が同じ家族相談イベントに参加して游子と接点を持ったことが分かる。民子は業者に言われるまま家を売って手に入れた施設入りの金を振り込むが、清太郎の迎えが来ず、1千万円もの詐欺被害を受けたと知る。茫然とする母娘は互いを責めて言い争い、游子は家を出てゆく。浚介は家庭を持つことへの嫌悪から美歩との話し合いが進まず、業を煮やした美歩は実家から両親を呼び寄せ強引に挨拶させようとする。我慢の限界に達した浚介は両親の前で美歩と結婚する気はないと宣言し、部屋から出てゆく。街をさまよう游子と浚介は偶然会い、それぞれのことを話すうちに、浚介は游子を激励し前向きな気持ちを取り戻させる。游子は自宅を借家として引き続き住めるように交渉し、浚介は改めて美歩と話し合う決意をする。しかし帰り道で、浚介はホームレスに火を付けて襲う少年グループに遭遇し、被害者を助けようとして自分も襲われてしまう。一方馬見原は、油井が冬島親子および佐和子に接触したことを知る。 | |||||
第4話 | 踏み出す勇気 | 7月25日 | 大石静 | 山本剛義 | 6.4% |
浚介は美歩に発見され命は助かったが、一時的に記憶を失くす。なぜか真っ先に思い出した游子や、渓徳との会話で記憶を次第に取り戻すが美歩のことは完全に忘れており、美歩は游子に対し敵意を露わにする。冬島親子は馬見原の家族への引け目と油井への恐怖からアパートを引き払って逃げるが、油井は彼女らの行き先を探し当てる。一方佐和子は夫の様子や油井が嫌がらせに研司を騙して馬見原家に掛けさせた電話などから、綾女たちの存在を知り心を乱す。児童ケアセンターでは、駒田が彼女に抗議して訴えると言い出し、それに対して謝罪を拒否した游子は職場での地位を危うくする。退院後、記憶の戻った浚介は改めて美歩と話し合い、美歩からの妊娠が狂言だったことの告白を受けた上で、彼女との結婚を受諾する。だがその後、襲撃の被疑者の顔確認を求められた浚介は、記憶のはっきりしない彼を誘導して証言させ逮捕に持ち込もうとする警察の姿勢を拒絶し、家庭内暴力を振るう不登校生徒・実森勇治の母が求めてきた助けを無視できず、担任の美歩の代わりに連絡を取る。勇治が暴れ手を付けられない状態と知った浚介は、游子に助けを求め、二人は実森家へ向かう。同じ頃芳沢家では、亜衣もまた家庭内暴力に走り始める。 | |||||
第5話 | 闇を破る | 8月1日 | 大石静 | 伊藤雄介 | 6.4% |
実森家に着いた游子はパニックを起こす母親・智代をなだめ、浚介は携帯のメールで勇治とやり取りをし、かつて自分も引きこもり親を恨んでいた経験を伝える。しばらくして勇治から返信が届き、一同は希望を見出す。浚介は游子と自分はいいコンビかもしれないと彼女に語るが、游子は美歩から浚介に近づくなと言われたことが心に引っかかっていた。游子の職場に訪れた山賀は、更新停止を伝えられていた游子の契約を継続させるよう計らい、駒田に就職先の世話を持ちかけトラブルを収拾する。游子は山賀と家族相談イベントで芳沢夫妻に対応するが、夫の孝郎は亜衣を施設などへ厄介払いすることしか考えておらず、相談は山賀が名刺を渡すのみに終わる。游子は山賀の優れた対応や勇治の心を開いた浚介のことを思い出し、自信を失い疎外感を覚え、浚介に対しても距離を置こうとする。その游子を馬見原の下で追う椎村に、上司の藤崎は捜査を止めるよう言い、馬見原の息子が自殺した過去を教えて彼の一家心中事件への執着は自身の家庭崩壊からきた妄想であり、ベテランの彼ならば一連の事件を自作自演することすら可能だとまで語る。馬見原はようやく綾女の行き先を探し当てるが、綾女は油井を自分の手で殺そうとまで思いつめていた。油井は佐和子に再び綾女あての花を届けさせる。夫と冬島親子の写真を見つけた佐和子、油井が来たと誤解する綾女はドアを挟んで互いに刃物を手にする。浚介は勇治に裏DVDを見せてやると早朝の美術室に誘い、二人で和やかな時を過ごすが、そこへ来た美歩と生徒たちは勇治に心ない言葉をかける。傷ついた勇治は暴れ出し、浚介の制止を振り切って美歩に襲いかかる。 | |||||
第6話 | 最期の声 | 8月8日 | 泉澤陽子 | 坪井敏雄 | 8.5% |
勇治は寸前で我に帰ったものの、自宅で再び引きこもり暴れ出す。駆けつけた游子と浚介は、智代に強く拒絶され、游子は自信を失くし別の相談相手として山賀の名刺を渡す。游子は母・民子の健康診断で異常が見つかり、ショックを受けて落ち込む中、態度の軟化した実森夫妻と山賀を交えて話し合うが、父の貞男は家族を愛する気持ちを失っていると語り、智代は自殺を図ろうとする。一方学校では不登校だった亜衣が浚介の行動をネット掲示板で知って心打たれたといい登校を再開するが、直接挨拶を交わした亜衣は浚介に挑発的な態度を取る。 佐和子は綾女を殺そうとするが、彼女から馬見原との関係は佐和子の想像するようなものでなく、彼は息子の研司に死んだ勲男の影を見ているのだと聞かされる。その場で自分自身を傷つけようとする佐和子を綾女は自分が怪我をするのも構わずに止め、立ち去った佐和子は自己嫌悪に苛まれ川に飛び込み自殺未遂を図る。病院に駆けつけた馬見原は冬島親子のことを知った真弓に罵倒される。 | |||||
第7話 | 真犯人! | 8月15日 | 泉澤陽子 | 山本剛義 | 7.6% |
浚介は警察に事件が心中ではなく殺人だと訴えていたところを突然馬見原に取り押さえられ、任意同行を求められる。馬見原は浚介の頭に残る游子のシャンプーの香りが今までの現場に漂っていたものと同じであり、游子を一連の一家殺人の犯人として疑っていることを浚介に明かす。事件を受け、浚介の学校は職員・生徒全員に取材拒否と、実森家の葬儀への出席禁止を通達するが、浚介は責任逃れの姿勢に反感を覚える。実森家に献花に訪れた浚介は、亜衣が禁止を破って献花に訪れ、興味本位の取材をするマスコミを痛罵するのを見て、同じようにカメラの前でマスコミに怒りをぶつけ、学校から謹慎処分を受ける。一方、氷崎家では大野が駆除の見積りを伝えに来る。家族への諦めの気持ちに苛まれる游子は、大野の仕事への誇りにあふれる言葉と、民子の家族に尽くそうとする前向きな姿勢に励まされて駆除を依頼することにし、民子に言えずにいた病の疑いの件をようやく伝える。浚介の謹慎を知って部屋に訪れた渓徳は、游子への疑念を語る彼に、妻子との関係の悩みなどを彼なりに語り、正面からぶつかるべきだと励ます。浚介は游子と会い、一連の家族たちを殺したのかと問い詰めるが、游子はそれを認める。しかしその内容は、游子が担当家庭を救えず一家心中に至ってしまったことを「殺したのと同じ」と考えているというもので、殺人を意味するものではないと悟った浚介は、游子は犯人でないと確信し、彼女を信じると伝える。二人は游子が実森家で智代を発見したときまだ生きており、苦しみから解放されたと言って息を引き取ったこと、勇治にもっとおいしいものを食べさせて生きることの素晴らしさを教えてやりたかったことなどを語り合う。游子はたとえ苦しくても生きることを諦めてはならないと心に誓う。 | |||||
第8話 | 犯人の罠 | 8月22日 | 泉澤陽子 | 山本剛義 | 8.5% |
氷崎家に駒田が不法侵入し、游子の家族を殺そうとナイフを向けるが清太郎に撃退され逃走する。警察の調べでは游子が帰るまで密室状態でどこから侵入したのか不明であった。游子は玲子のためにも事を大きくしたくなかったが、殺人未遂事件とあってニュースになる。心配して游子の元に来た浚介は、駒田が逮捕される前に見つけ出し自首を勧めたい彼女のため、渓徳に頼み目撃情報を探す。しかし駒田の職場だった大野のもとへ相談に行った時、二人のもとに駒田が自殺して発見されたと連絡が入る。游子はその遺書を読み、駒田が何者かに殺されたことを示す内容と気付く。また浚介は、亜衣からメールを受け芳沢家に行くものの、山賀を呼んでいた希久子に門前払いされる。芳沢家は家族のいがみ合いが頂点に達し、山賀は白蟻被害の消毒とともに家族を「生まれ変わらせる」と告げる。馬見原は研司が油井にさらわれた上、階段から転落させられ重傷を負ったと綾女から連絡を受け、彼女のもとに走る。油井から電話を受け一対一の対決に臨む馬見原は、彼の罠にかかり暴力団員の長峰を殺した容疑で逮捕され、警視庁内部からも陥れられたことを知る。油井に呼び出された綾女は彼を殺そうとするが反撃される。そこへ椎村が来て綾女を助けるが、油井は銃で反撃し彼を殺そうとする。しかし綾女は隙を衝いて油井をナイフで刺す。その夜、氷崎家で浚介と話し合っていた游子は、白蟻検査から大野に疑問を持ち、一人で事務所を再訪する。大野は不在で、游子は諦めその場で山賀と共同で輸入しているシャンプーを頼むため彼女に携帯電話をかけるが、その電話の着信音が大野の家の奥から響くことに気付く。游子は大野の事務所に隣接する家が山賀の相談室であることを知る。 | |||||
第9話 | 葬送の儀 | 8月29日 | 泉澤陽子 | 坪井敏雄 | 8.4% | 6.3%
大野と山賀の家が内部で繋がっていることを知った游子は彼らに監禁される。游子は山賀の話を聞き、彼らが「同志」であることと、これまでに末期状態に陥った家族たち、および駒田を、救うために「送ってさしあげて」いる、つまり殺していることを知る。綾女に刺された油井は、椎村に藤崎が暴力団とつながりを持ちその罪を馬見原になすりつけたことを示す資料を渡し、綾女を罪に問わないよう頼む。そして馬見原に父親の愛情を注がれる研司を羨ましく思っていたことを告白して息絶える。浚介は帰って来ない游子を心配する一方、亜衣からメールを受け取るがやり取りは途絶える。亜衣の行動で仕事上の破滅に追いやられた父・孝郎が娘を殺そうと襲いかかったとき、芳沢家に第三者が侵入する。浚介は渓徳に游子のシャンプーを輸入した人物を探させ、捜査に復帰した馬見原に捜索を頼む。游子を犯人とする見立てにこだわっていた馬見原だが、浚介の必死の頼みに心を動かされ、椎村とともに彼女の行方を追う。シャンプーの輸入者が山賀であると判明し、渓徳とともにその家を訪ねた浚介は、中にある祭壇に、これまで殺された家族の名を書いた大量の折鶴と芳沢一家の名を書いた犯行計画の手紙が供えられているのを見つける。亜衣たちが危ないと気付いた浚介は芳沢家に走るが、大野に捕らえられ、同家の家族たちや游子とともにリビングに拘束される。そして大野たちは、亜衣の見つめる前で両親を刃物でいたぶり始める。 | |||||
最終話 | 約束を | 9月5日 | 泉澤陽子 | 坪井敏雄 | 10.0% |
異様な状況の中、亜衣は両親が傷つけられるのを見るのが忍びなく、生きることを諦め山賀たちにすべてを委ねようとするが、浚介、そして游子は必死に亜衣を説得する。大野は苛立ち、親が子を手にかけることの地獄のような苦悩を語る。游子は彼らが我が子を殺したことを悟り、その間違いを指摘するが、山賀は家族を思えばこの方法が正しいと分かるはずだといい、芳沢夫妻に再び刃を向ける。その時連絡を受けていた馬見原と椎村が現場に踏み込む。犯人たちは部屋に火を放ち、馬見原の銃弾を受け重傷を負いながらも逃走する。樹海の入り口で車が発見され、彼らは死を選ぶためにその奥へと消えたと推察されるものの、遺体は見つからない。家宅捜索では山賀たちの家から2つの臭いの正体であるシャンプーと白蟻駆除の薬剤、そして多くの家族を殺害した犯罪の記録と彼らが游子に罪を着せようとしていた証拠が見つかる。 1週間後、馬見原とともに山賀たちの家を訪れた游子と浚介は、彼らが元夫妻であり、家庭内暴力に走る息子を自ら手にかけた過去の詳細を知る。馬見原は犯人への共感を語る游子に「自分の家族は自分で背負うしかない」というが、游子は家族を閉ざしてしまうことで、大切な人を失うなどの心の欠損を抱えた人々が孤独に陥る危惧を語り、そうならないよう手を差し伸べあい、家族を「開く」べきだという。浚介は游子に対し、生きる希望のために約束を重ねてゆきたいと言い、その一歩として彼女を食事に誘う。游子は、浚介が自分の家族と向き合うことが出来たら、とその申し出を受ける。浚介は美歩にも別れを申し出るが、彼女はすでに同僚の岡村と婚約している。そこへ亜衣が挨拶に現れ、両親とともに釧路の母方の実家へ移住すると報告し、彼女自身も働いて現実に向き合う決意を語り去ってゆく。馬見原は冬島親子と最後の別れを交わし、退院する佐和子に、共にやりなおすために警察を辞めることを考えていると話す。真弓は、馬見原が夫の鉄哉に佐和子への思いと娘である自分への愛情を語り、頭を下げる姿を覗き見て涙を流す。 |
金曜ドラマ『家族狩り』オリジナル・サウンドトラック(2014年9月10日発売、発売元:Anchor Records、UZCL-2060)
主題歌、劇中使用曲「I LOVE YOU」およびそのアレンジ曲は含まれない。
# | タイトル | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「家族狩り」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
2. | 「Subtheme-氷崎游子-」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
3. | 「家族狩り (HA Mix)」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
4. | 「In;saneti」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
5. | 「重なる波紋」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
6. | 「-montage-」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
7. | 「家族狩り (PF Mix)」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
8. | 「穏やかな日常」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
9. | 「予兆」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
10. | 「混み/狩る」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
11. | 「隠れた思い」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
12. | 「Caxixitamb」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
13. | 「家族狩り (GT Mix)」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
14. | 「深まる謎」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
15. | 「狂気」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
16. | 「衝撃」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
17. | 「真実と確証」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
18. | 「壊れた家族」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
19. | 「やるせなさ」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
20. | 「安息の時間」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
21. | 「想い」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
22. | 「希望の光」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
23. | 「支え」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
24. | 「Subtheme (piano solo ver.)」 | 橘麻美 | 橘麻美 | |
25. | 「家族狩り (Emo Mix)」 | 林ゆうき | 林ゆうき | |
26. | 「Bolero for "Kazoku-gari" -BONUS TRACK-」 | Maurice Ravel | 橘麻美 | |
合計時間: |
TBS 金曜ドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
アリスの棘 (2014.4.11 - 6.13) | 家族狩り (2014.7.4 - 9.5) | Nのために (2014.10.17 - 12.19) |
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