名前(なまえ、(希: όνομα、羅: nomen、英: name)とは、人物の身分や門地を示し生き物や物体に与えられる名称のことで、対象を呼んだりする際に使われる。名称、あるいは単に名とも言う。名前をつけることを「名付ける」「命名(めいめい)する」という。名前として使われる言葉を名詞という。
名前は一概にすると氏名を指す全名と個人を指す個人名に対して名前と呼ぶ二通りの意味合いがある。一般的に日本では、姓を「上の名前」と呼び個人名に対しては「下の名前」と呼ばれることもある。
すべての事象には名がある。我々は先ずその対象に名前を付ける。そのためには対象の概念を明確にし、またそれ以外の事象との区別を持たなければならない。この過程で名前を付けた対象が明確になる。名前がないものは、他人にその対象を説明できないため存在を認識させるのが難しく、自らもその対象を明確にできなくなる。ただし必ずしも固有の名前を持つ必要はなく、限られた人びとの間で認識が明確になるのであれば対象を説明する語を使い、「右側の○○」・「白い○○」・「○○にいる人」・「昔の○○」などで足りることはある。しかし、より多くの人々に他とは区別して認識してもらうためにはやはり固有名が必要となってくる。
自然観察の際に、まず生き物の名前を覚えることから始めることが多いが、これは覚える行為に価値があるのではなく、名前を覚えることで、それまでどれも同じに見えていたものの区別がつくようになるからである。たとえばハコベの名を覚えれば、雑草として区別せずに一緒にしていたものの中から、それが見分けられるようになるし、さらにウシハコベやコハコベを知れば、ハコベの中にもさらに違いがあることもわかるようになる。
名前は元々あるものではなく、人間がそれを個別に把握すべき対象として認識した際に与えるものである。したがってどの範囲で名を与えるかは人間とそれとの関わりによって変わる。たとえば文化が違えば個々の物に対する関わりの深さも異なり、これが名前にも影響するため、言語によって名の扱いも異なる。たとえば日本語において、ウシという動物の名は「牛」である。それに含まれる差異については雄牛・雌牛・仔牛と接頭語をつけ、あるいは牛肉と語尾をつけて説明的に扱う。だが英語では牛は総称としては 「cattle」、雄牛は 「bull」、雌牛は 「cow」、仔牛は 「calf」、牛肉は 「beef」 と、すべて全く異なった語を当てる。
個人を特定するために附けられる名前は、その方法として名の中に祖先から受け継ぐ「ミタマ」や血統を表す名を含める。これを「姓」といい、個人を血統という共通の要素でグループ化して区別できるようになる。血統を受け継ぐ一族の中心となる家系を「宗家」という。しかし日本においては古くから上位権力による支配のため、地位で区別する「氏」があり、宗家の継承には血族を継ぐ「嫡流継承」と、能力や資格、官位を継ぐ「氏的継承」の2つの解釈があった。さらに財産としての土地を相続する惣領という考え方や、養子や猶子の制度が加わり、複雑化してもとの血統を意味が失われた経緯がある。後世はこれらが混同して使われ、グループである家系や相続の関係が不明となる場合もあった。
個人の特定には家系(英: family name , last name , surname)を表す「氏」・「姓」に加え、「名」・「字」・「諱」・「諡」が使われる。「名」は「名字」というときは「姓」と同様にグループを指すが、「姓名」というときは「姓」に続けて記すことで個人を特定する名前を指す。以下では「名字」として説明する。
これらを全て並べて用いる習俗を複名という。徳川家康に当てはめると『「源」「朝臣」「徳川」「次郎三郎」「家康」』 となる。 また朝廷からは「正一位」「大相國 一品」が贈位され、これを名に冠する場合もある。
この他、立場、年齢、職業、目的などで自ら別名を名乗ったり、ほかから名付けられたりすることもあり、遂には本来の目的である個人の特定に至らないことがある。
日本においては、戸籍法によって戸籍として使用できる漢字は簡単な人名用漢字から使用するよう決められている。問題になるような命名がなされると、命名権の濫用として出生届を拒否される。外国においては、アイスランド人の名前などのように事前のリストから選ばれたり、問題がある命名に罰金刑が制定されている場合がある。
個人が死亡した後は「諡、おくりな(贈り名)」、あるいは「戒名」や「諡号」が附くことがある。家康の場合、『「東照大権現」・「安国院殿」・「徳蓮社崇譽」・「道和」・「大居士」』となる。
プログラムにおいては、スコープが異なる限り一意性(唯一無二であること)を保証することは要件とされていない場合が多い。一意性を保証するために名前空間を導入することもある。
商品名については、関連があるとイメージが結びつきやすいが、全く関係がない名前を付けることも珍しくはない。多くの商品や役務では仕様違いを区分するために英数字などによる正式名称(型番)が付けられ、販売促進上それらをまとめて「ペットネーム(愛称)」と呼ばれる名称で呼ぶことがある。
西洋美術史において、作家が作品に『題名』を付ける文化となったのは18世紀頃のことである。そのため、それ以前の作品は美術館が変わると同一作品でありながら別の名前を用いられる。また、日本においてベートーヴェンの『運命』と呼ばれる交響曲第5番は、生みの親のベートーヴェン、ドイツでは『運命』という語は使われていない。
イルカやテリルリハインコは、親などから命名され、名前を呼び合う習性がある。
また、猫や犬などのペットは、人間から付けられた名前を自分の名前として認識する能力がある。また、猫は人間に付けられた同居猫の名前も認識している。
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article 名前, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.