概要
1918年 (大正7年)1月27日 、日本初の純国産の金ペンの製造に成功した並木良輔 が東京商船学校(現東京海洋大学 )同窓の和田正雄とともに株式会社並木製作所 を設立。その後、1938年 (昭和13年)にパイロット萬年筆株式会社 に、1989年 (平成元年)に株式会社パイロット に商号を変更。
2002年 (平成14年)1月には、株式会社パイロット、パイロットインキ株式会社、パイロットプレシジョン株式会社のグループ3社が共同株式移転 を行い、持株会社 の株式会社パイロットグループホールディングス (現在の法人)を設立して、純粋持株会社 制に移行した。2003年 (平成15年)7月に、株式会社パイロットグループホールディングスが株式会社パイロットを吸収合併 したうえで、株式会社パイロットコーポレーション に商号変更し、事業持株会社 に移行。2008年 (平成20年)には、株式会社パイロットコーポレーションがパイロットプレシジョン株式会社を吸収合併している。2021年 (令和3年)7月1日、子会社のパイロットインキから玩具事業を統合。組織名は「パイロットコーポレーション 玩具事業部」。
太軸の筆記具のはしりとなったドクターグリップ 、激細ゲルインキボールペンのハイテックC などのヒット商品があり、消せるボールペンフリクションボール など時代に先駆けて後の定番となるような革新的な商品を開発している。
2021年(令和3年)8月よりオウンドサイト「かく、がスキ」を開設し、書くことの楽しさや筆記具の魅力を自社発信している。その中のインタビューコーナー「かく、を語る」では、各界の著名人の書くことへのこだわりを垣間見ることができる。
みどり会 の会員企業である。
商標の由来
パイロットのボールペン パイロットという商標 は、東京高等商船学校(のちの東京商船大学。2003年より現・東京海洋大学 )出身で同校の教授だった創業者の並木良輔が、若いころに乗り組んでいた商船 での仕事中に使っていた烏口 に不満を抱き、より利便性の高いペン を考案。そして同窓の先輩でもあった資産家の和田正雄の資金提供のもと「並木製作所 」を設立し、商標をパイロットペンとして売り出したのが始まりである。船舶用語で「パイロット」は「水先人 」を意味し、業界を先導するような会社になれるようにという思いが込められている。
主な製品
過去の製品
万年筆 トレンダー 万年筆版「バーディ」の後継商品として1986年 - 1993年にかけて製造・販売。「気軽に使える万年筆」として開発された。1986年度グッドデザイン賞受賞。定価700円。なお「トレンダー」は現在、同社のパスケースなどのステーショナリー製品の名称として使われている。 FG-78シリーズ 80年代から90年代にかけて発売された普及型低価格万年筆で、現在は輸出製品として中国などで販売されているほか、日本国内ではパイロット主催のワークショップなどのイベントにおける組立教材(透明ボディタイプ)として提供しているのみである。 μ(ミュー)シリーズ 「深絞り」工法による軸からペン先まで一体型のステンレス素材の万年筆。名前は国産ロケットミュー計画 にあやかっている。 μ701 - 1971年発売のショートボディタイプ。無地、黒ストライプ、白ストライプの3種類が製造された。定価3,500円。1971年度グッドデザイン賞受賞。 ミューレクス - 1977年発売。ロングボディタイプ。定価5,000円。キャップにデジタル時計が付いたタイプも存在する。1993年廃番。 μ90 - パイロット創立90周年記念製品として2008年に9,000本限定発売。ショートボディタイプ。クリップに「μ90」と刻印があり、天冠に青色のスピネル があしらわれている。定価12,000円。 エリートS(1968年発売) エリートシリーズのショートタイプ。キャップを反転装着することでスタンダードサイズ並みになるため携帯に便利で大ヒットした。定価2,000円。派生バリエーションも多い。1969年度グッドデザイン賞受賞。1974年に二代目へモデルチェンジしたあと、1980年に廃番。なお、現在発売中の「エリート95S」は前述の通り、1974年発売の二代目を基に復刻したモデルである。 大橋巨泉 (当時35歳)のアドリブ台詞「みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ。」で記憶されるテレビCMも有名。なお、巨泉の台詞にはテイク2バージョンとして「すぎしびのほねのすねにて はにりてら すらりぺらぺら はっぱのにのに。のにのにというのは良くないね。僕が言いたいのはね。18キンキラ金ペン パイロットエリートS ふみふみかほめほめというのはだね。書き味が最高と言うこと。やっぱりふみふみだろうね。」もある。ちなみに前者バージョンはモノクロ(15秒)、後者バージョンはカラー(30秒)でそれぞれ製作された。 オンディーヌ 1979年に発売し、1987年に廃番。14Kペン先で、キャップに「u」と刻印されている。首軸は黒、青、赤の三色。胴軸が樹脂製のスリムオンディーヌというモデルも存在する。 グランセシリーズ グランセ(FG-3MS) 1996年発売。18Kペン先。雨垂れクリップで、スターリングシルバー 製。ストライプ模様とバーリィコーン模様が存在した。定価30,000円。2010年に生産終了後グランセNC スターリングシルバー(FGNC-35SS)にマイナーチェンジした。 グランセNC スターリングシルバー(FGNC-35SS) グランセNC(FGNC-1MR) 14Kペン先。2009年発売、2018年に廃番。定価10,000円。 グランセ(FG-1MR) 1994年発売。14Kペン先で、クリップとペン先が金色。クリップに玉が付いている(雨垂れクリップ)。マーブル塗装。定価10,000円で、2019年に廃番。 グランセ(FGN-1MR) 14Kペン先。上記のモデルと同様な形状だが、このモデルはクリップとペン先が銀色である。定価10,000円で、2009年に廃番。 グランセ(FGN-2MR) 2005年発売。14Kペン先で、キャップにマーブル塗装、胴軸はロジウム仕上げされている。雨垂れクリップ。定価20,000円で、2020年に廃番。 グランセ(FGRC-8SR) 2018年3月発売。特殊合金のペン先。定価8,000円。2024年に廃番。 セレモ(万年筆、油性ボールペン、シャープペンシル) 1981年ごろから長年生産されていたが、2017年に廃番。万年筆は5,000円という低価格ながら14Kのペン先を採用していた。 ヤングレックス(万年筆、油性ボールペン、シャープペンシル) セレモと共に低価格帯の万年筆として長く生産されていた。 デラックス漆 1975年発売。キャップと胴軸に漆塗りを施した万年筆。2000年代にマイナーチェンジを経て2023年に廃番。 製図用シャープペンシル 当時は0.3mm/紫(赤)、0.4mm/黄、0.5mm/青、0.7mm/緑、0.9mm/橙がノック部の芯径表示や本体印刷、リングに使われていた。軸への印刷はほとんどが「PILOT H-xxxx 0.x JAPAN」に統一されている。現在はSシリーズの生産や需要の低下にともない、廃番となっている。
H-210シリーズ H-220シリーズ プラ軸。軸中央部は多角形である。芯径0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。定価300円。 H-230シリーズ プラ軸でグリップ部に凹凸加工がある。芯径0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。定価200円。 H-310シリーズ H-560シリーズ 軸のほとんどがプラで、軸先端部のみ金属ローレット加工を施してある(この部分と口金が一体となっている)。軸色は青の他に、黒、灰がある。H-1090シリーズの廉価版とされる。定価500円。芯径0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。 H-580シリーズ グリップ、軸ともにプラ製。グリップは長方形が敷き詰められたような加工。軸中央部に硬度表示窓がある。H-1080、H-1580、H-2080の廉価版とされる。定価500円。芯径0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。 H-1000シリーズ(パイロットホルダー) パイロットホルダーで一番安価な製品。ダブルノック式。プラ軸で、グリップに加工はない。初期のもののみ軸にヘアライン加工がなされ、口金、硬度表示窓の大きさなど、細部に違いがある。ダブルノック式であるがゆえにプラ軸部分に力がかかり、軸割れが起きやすい。定価1,000円。芯径0.3mm、0.5mm。 H-1080シリーズ 金属軸で、プラのグリップ(H-580と同一)。軸中央部に硬度表示窓があり、表示リングと軸に溝があるため、硬度表示を固定できる。製造時期により、ノック部の芯径表示の有無、ヘアライン加工の有無がみられる。クリップ取り付け部のみプラ製。定価1,000円。芯径0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。 H-1090シリーズ 軸は全て金属製、ローレット グリップがシャーペン全体のほとんどを占める。ローレット部も含め青色の軸である。定価1,000円。芯径0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm。 H-1580シリーズ 唯一2020機構を搭載している。その他の部分はH-1080シリーズと類似。内部メカは2020シリーズとの共通点が見られる。クリップ取り付け部は金属製。定価1,500円。芯径0.5mm。 H-2000シリーズ(パイロットホルダー) グリップは金属製で蝕刻加工、軸はプラ製。芯径によって、グリップのパターンが異なる。定価2,000円。芯径0.3mm、0.5mm。H-2080シリーズ。 グリップ部が木軸。その他の部分はH-1080シリーズと類似。定価2,000円。芯径0.3mm、0.5mm。 H-2100シリーズ(パイロットホルダー) グリップの金属ローレット加工部分も含め、ほとんどが黒く塗装されている。軸はプラ製で、パイロットホルダーで唯一軸に型番、芯径、社名、生産国が印刷されている。定価2,000円。芯径0.3mm、0.5mm。 H-3000シリーズ(パイロットホルダー) パイロットホルダー最上位モデル。グリップは芯径によってパターンが異なる金属製蝕刻加工、プラ軸。定価3,000円。芯径0.3mm、0.5mm。 H-5005 ダブルノック機構とオートマチック機構を搭載した最高級製図用シャープペンシル。グリップは蝕刻加工、軸も金属製である。定価5,000円。芯径0.5mm。 その他 1979年3月発売。ノート筆記用で白軸を採用した0.3mmの極細油性ペン。発売当時に放送されたテレビCMは発売される2年前に放送終了した刑事ドラマ「特別機動捜査隊 」のパロディで本作でナレーターを務めた島宇志夫 を再びナレーターとして起用している。 1979年ごろに発売された万年筆・油性ボールペン。1982年には7種類のカラーボディの「カラーバーディ」が追加された。1985年頃に万年筆タイプが廃番(後継品は「トレンダー」)。ボールペンのみとなるが、途中でシャープペンシルが追加され現在も生産が続けられている。 水性ボールペン。全盛期は幅広いバリエーションと価格が存在したが、2006年ごろにローリートルアーノの製造中止で本体から撤退。その後は替芯のみ製造が続けられていたが、2015年に製造中止し30年以上にわたる歴史に幕を下ろした。1984年度グッドデザイン賞受賞。 1984年に発売された筆記具で、油性ボールペン・水性ボールペン・シャープペンシル・万年筆があった。細身の四角いボディーという大胆なデザインが話題を呼び、1984年にグッドデザイン賞を受賞した。 2007年に発売された万年筆・クァトロ89は上記とはまったくの別物で、太めの軸に木材や金属を組み合わせたものとなっている(こちらは2014年まで生産された)。 1985年発売のシャープペンシル・ボールペン(水性・油性)。潜水艦をモチーフとしたデザインが人気を博し、1986年度グッドデザイン賞を受賞。 2001年に発売された万年筆・ボールペン。ボールペンはゲルインキを使用。万年筆・ボールペンともにショートボディ。2014年廃番。定価は1,000円(ボールペン)、1,500円(万年筆)。2003年度グッドデザイン賞 受賞。 2001年に発売したゲルインクボールペンで、消しゴムで消せる点が中高生を中心に爆発的な人気を集めた。その後e-GELに改称し、フリクションシリーズへとつながっていく。 軸にファインセラミックスを搭載し、傷に強く、そして1つのペンとしてはかなりの重量があった。2017年廃番。 1973年発売。ラインナップは黒・赤・青の3種類。2013年度グッドデザイン・ロングライフ賞受賞 ジャストミート(油性ボールペン、シャープペンシル、多機能筆記具) 軸にバット 製造時に使われる「アオダモ 」を再利用したモデル。2017年に全モデルが廃番となった。シャープペンシルにはドクターグリップをベースにしたモデルがあり、バットをイメージしたフォルムが特徴だった。ボールペンは最後までアクロインキ非対応だった。 2007年発売。左右対称を目指した製品で、前軸はすべてシリコーンラバーで覆われている。軸の中心部には好きなイニシャルが表示できる機能(クリップがないため、転がり防止も兼ねていた)も備わっていたが、2014年に廃番となった。 300円の学童用文具。色は赤、黄、青、芯径は0.9mm、0.7mm、0.5mmがある。フレフレノック、通常ノックの両方を使える。軸はドクターグリップを細くしたような形状。名前を書く欄が設けられている。0.9mmはガイドパイプは無い。名前を書く欄は『なまえ』表記。グリップは薄灰色。0.7mmはパイプスライド方式で、名前を書く欄は『名前』表記。グリップは濃灰色。0.5mmはパイプスライド方式で、名前を書く欄は『name』表記。グリップは黒色。 残芯1mmまで使えるトップチャック式。当初は高価格帯のみ存在していたが、1990年代後半には1,000円以下の廉価版も発売された。2019年までに全モデルが廃番。以後はグランセなど高級モデルに搭載される機構のみが残る。 水性ボールペン。1981年発売。ボールを三点で支える機能により、極細でも安定した書き味が得られた。「ハイテックC」のルーツとも言える。2003年の「Hi-tecpoint V-Grip」を最後にモデルチェンジしないまま細々と生産されてきたが、2019年に廃番となる。 1999年に発売した多色ボールペン。翌年にはフィード1+1/2+1、2008年にはフィードAGとさまざまな種類が追加されていったが、後継品の登場により2019年に製造終了。 オートマチック機能を搭載したシャープペンシル。「Automac E」と称されたモデルと、2011年から2020年まで販売されていた2代目があった。 1998年発売。ノック式。ボール径0.5mm、0.7mm、1.0mm。一時多彩なラインナップを誇ったG-シリーズの中で最後まで残っていた。 牛革製のペンケース。サイドチャック式。側面に「G」と書かれた金色のバッジが埋め込まれている。色は、ブラック(B)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(L)の4種類。定価3,500円で、2019年に廃番。 牛革製のペンシース。被せ蓋さし込み式で、筆記具が2本挿せる。色は上記と同じ4種類。中央部に「G」と書かれた金色のバッジが埋め込まれている。定価3,000円で、2019年に廃番。 ミニ6穴バインダー手帳 グランセ (GS-PB6-色) 牛革製のバインダー手帳。色は、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(L)の3種類。留め具部に「G」と書かれた金色のバッジが埋め込まれている。定価8,000円で、2007年に廃番。 シャープ替え芯 1978年にNEOXブランドの替芯を発売。以後、用途別にさまざまな製品を展開する。
NEOXシリーズ NEOX NEOX-U NEOX-S NEOX-E NEOX-BEAM NEOX-Eno 現行のneox-GRAPHITEの前身。0.7mmのカラー芯のみ現在も製造中。 ネオックス・ドクター・イーノ ドクターグリップ プチモと同じ形をしたシャープ替え芯。0.5mmのみ。硬度によって様々な色が存在する。2004年発売、2009年に廃番。 NEOSHIN SUPER FINE キャッチコピー
人と創造力をつなぐ。 書く、を支える。 「書けば、なるほど! パイロット」(CMで使用) 「フレフレ少女」 新垣結衣 主演映画にてコラボ商品発売。「フレフレ少女ドクターグリップ」→パイロット独自のシャープペンシル機構「フレフレ機能:振って芯が出る」を掛け合わせてのキャッチコピー 素敵生活主義です(1990年代前半) 知的優遊(1983年) 喜びを言葉にそえて(1981年) 個性で選ぶPILOT(1978年 - 79年ごろ) 提供番組
関連会社 CM CMに起用された有名人 ジャニーズWEST (2022年2月 - )(#Juice持ってMixedJuice 踊ってみた) 吉永小百合 (2019年)(手紙を書きたくなる歌篇) 団しん也 (2016年)(誰かを想う時間篇) 澤田汐音 (2014年)(HI-TEC-C COLETO「この色、誰のペン?篇」) 眞島秀和 (2008年)(窓ふき篇) 須永慶 (2007年)(言えない言葉篇 父から娘へ 、娘から父へ ) 相武紗季 (2005年)(フリクション・NEOX-ENO・研究室篇、技術者篇など) 鈴木蘭々 (1998年)(クラッチポイント・ハイテックCノック) 明石家さんま (1984年)(クァトロ) 奥田圭子 (1984年)(ハイテックポイント他) 原田知世 (1983年)(ハイテックポイント・ローリート) 大滝秀治 (1982年)(ローリート)※声のみ 加藤和彦 (1970年代)(キャンペーンなど) 林寛子 (1970年代)(キャンペーンなど) 坂上二郎 (1975年)(ご卒業キャンペーンなど) 五輪真弓 (1970年代中頃)(パイロットレディ) りりィ (1970年代中頃)(ボールペン) 市川崑 (1970年代中頃)(カスタム) 長谷直美 (1974年)(ミュー) 栗田ひろみ (1973年)(ミュー) 植草甚一 (1971年)(カスタム) ガロ (1970年)(万年筆「地球はメリーゴーランド」) 大橋巨泉 (1969年)(エリートS) 和泉雅子 ・山内賢 (1960年代)(キャンペーンなど) ジュディ・オング (1960年代)(パイロットショート、キャップレス) 脚注 関連項目 外部リンク
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