空港線(くうこうせん)は、福岡県福岡市西区の姪浜駅から同市博多区の福岡空港駅までを結ぶ福岡市交通局が運営する鉄道路線(地下鉄)である。「福岡市交通事業の設置等に関する条例」による路線名は1号線、『鉄道要覧』記載の路線名は1号線(空港線)。ラインカラーは オレンジ。路線記号は○K。
空港線 | |||
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福岡市交通局2000N系電車(姪浜駅にて) | |||
基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 福岡県福岡市 | ||
種類 | 地下鉄 | ||
起点 | 姪浜駅 | ||
終点 | 福岡空港駅 | ||
駅数 | 13駅 | ||
路線記号 | ○K | ||
路線番号 | 1号線 | ||
開業 | 1981年7月26日 | ||
最終延伸 | 1993年3月3日 | ||
所有者 | 福岡市交通局 | ||
車両基地 | 姪浜車両基地 | ||
使用車両 | 車両の節を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 13.1 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 | ||
最高速度 | 75 km/h | ||
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停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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福岡市西部の西区姪浜から明治通り(市道千代今宿線、旧・国道202号)の地下を通って福岡市中心部に向かい、博多区上川端町から大きくカーブして大博通りの地下、博多駅の直下、国道3号の地下を経由して福岡空港の滑走路を横切り、同空港の国内線ターミナルビル地下に至る。姪浜・西新・天神・中洲・博多・福岡空港など福岡市の都心・副都心・交通拠点を1本に結んでおり、福岡市の東西を結ぶ大動脈となっている。また、箱崎線と合わせて福岡市地下鉄全体の8割以上の運賃収入をもたらすドル箱路線でもある。なお、姪浜駅 - 博多駅間はかつて路面電車の西日本鉄道(西鉄)福岡市内線が通っていた道路と同じ経路をほぼ踏襲している。
日本で唯一、空港まで直接乗り入れている地下鉄路線である。福岡空港は元々福岡市中心部である博多および天神地区から近距離にある空港だが、当路線の開業前はバスやタクシー等車両以外に移動手段がなく、「近い空港だが移動時間には余裕を大きく取る必要のある空港」として認識されていた。昭和40年代以降は道路交通量が増加したことにより交通渋滞が頻発し、博多駅から福岡空港までタクシーで40分から50分かかることも珍しくなく、所要時間が不安定であった。このため、都市交通審議会が1971年(昭和46年)3月に「福岡市および北九州市を中心とする北部九州都市圏における旅客輸送力の整備増強に関する基本的計画について」(答申第12号)を運輸大臣に答申し、空港線を含めた福岡都市高速鉄道路線建設に向けた具体的な提言がなされた。様々な議論はそれ以前にもあったが公式記録としてはこれが空港線建設への出発点となる。当路線の開業後、福岡空港は福岡市中心部との移動が便利な空港として広く知られるようになった。
九州旅客鉄道(JR九州)筑肥線と相互直通運転を行っている。当路線の開業に伴い廃止された筑肥線の博多駅 - 姪浜駅間の代替路線の役割を果たしていることもあり、空港線の姪浜駅 - 博多駅間を通過してJR線に乗車する場合の通過連絡運輸が設定されている(「福岡市交通局#連絡運輸」参照)。本州以外の地下鉄で他の事業者の路線と直通運転を行うのは当路線が唯一であり、JR線と直通運転を行うのは公営地下鉄、関東以外の地下鉄で当路線が唯一である。
開業4年目となる1984年(昭和59年)より地下鉄としては日本初のワンマン運転が行われ、すべての列車でATOによる自動運転を実施している)。
2003年(平成15年)から翌2004年(平成16年)にかけてホームドア(三菱電機製)が全駅に設置された。福岡市交通局の箱崎線や七隈線の駅に設置されているホームドアの開口幅が2,100mmであるのに対し、空港線の駅に設置されているものは開口幅が2,600mmと広く取られている。これは、手動運転の103系が乗り入れていたことの名残である。
室見駅と藤崎駅は室見川などの川を地下でくぐる途中にあり、七隈線の2023年開業区間ほどではないが地表から20 m以上の当線最深級の場所にホームが造られている。
福岡空港駅 - 姪浜駅間の線内のみ運行の列車のほか、姪浜駅からJR筑肥線に直通する列車、中洲川端駅から箱崎線に直通する列車がある。日中福岡空港駅-姪浜駅間では平均7 - 8分間隔、中洲川端駅 - 西新駅平均4 - 5分間隔で運行される。2015年以降は全列車がワンマン運転を行う。
以下、2023年3月時点の運行形態について示す。
空港線を走る列車は全て6両固定編成である。自局車両は24編成144両で、箱崎線と共通で使用される。
いずれも地下鉄線内のみの運用のほか、JR筑肥線(姪浜 - 筑前前原間)との直通運転にも使用される。
JR九州車に限り車内トイレが設置されている。JRの車両はJR筑肥線直通列車にのみ使用され、通常は地下鉄線内のみの運用はない。
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | シンボルマーク | 所在地 | |
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駅間 | 累計 | |||||
K01 | 姪浜駅 | - | 0.0 | 九州旅客鉄道:JK 筑肥線(JK01)(唐津線西唐津駅まで直通運転。福岡市交通局の車両は筑前前原駅まで) | ヨット | 西区 |
K02 | 室見駅 | 1.5 | 1.5 | 室見川の流れ | 早良区 | |
K03 | 藤崎駅 | 0.8 | 2.3 | フジの花 | ||
K04 | 西新駅 | 1.1 | 3.4 | 「N」を図案化した鉛筆・ペン | ||
K05 | 唐人町駅 | 1.2 | 4.6 | 唐草模様の壺 | 中央区 | |
K06 | 大濠公園駅 (福岡市美術館口) | 0.8 | 5.4 | 桜の花 | ||
K07 | 赤坂駅 | 1.1 | 6.5 | 「ア」を図案化したランナー | ||
K08 | 天神駅 | 0.8 | 7.3 | 西日本鉄道:T 天神大牟田線(西鉄福岡(天神)駅:T01) | 梅の花(天神を表す) | |
K09 | 中洲川端駅 | 0.8 | 8.1 | 福岡市地下鉄: 箱崎線(H01)(姪浜方面から貝塚駅まで一部直通運転) | 「中」と「川」の図案化 | 博多区 |
K10 | 祇園駅 (博多旧市街口) | 1.0 | 9.1 | 博多祇園山笠の若者 | ||
K11 | 博多駅 | 0.7 | 9.8 | 福岡市地下鉄: 七隈線(N18) 九州旅客鉄道: 九州新幹線・JA JB 鹿児島本線・JC 篠栗線(福北ゆたか線)(00) 西日本旅客鉄道: 山陽新幹線・■博多南線 | 博多献上模様 | |
K12 | 東比恵駅 | 1.2 | 11.0 | 「ひ」を図案化した壺 | ||
K13 | 福岡空港駅 | 2.1 | 13.1 | 飛行機と空 |
空港線については、福岡空港駅から東方に延伸し、空港の北東側にあるJR九州篠栗線(福北ゆたか線)の原町駅ないし長者原駅から同線への直通運転を実施する構想がある。これが実現すると同区間の所要時間が15 - 23分短縮され、原町駅や長者原駅のある粕屋町、および筑豊本線(福北ゆたか線)の直方駅まで空港への直行列車が運転される飯塚市や直方市など筑豊地域からは福岡空港や天神地区、さらには筑肥線沿線への利便性が向上する。ただし、福北ゆたか線は交流電化のため現状の設備のままでは直流電化の福岡市地下鉄や筑肥線とは直通できず、単線であるため線路容量も十分とは言えない。
同構想については2021年(令和3年)に福岡県が基礎調査を実施し、2022年(令和4年)に結果が公表された。途中駅の有無も含めた両駅接続の4ルート案について、以下の前提条件の下で建設費や需要予測、開業後の採算をそれぞれ予測した。
福北ゆたか線接続駅 | 長者原駅 | 原町駅 | ||
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ルート案 | Aルート | Bルート | Cルート | Dルート |
概要 | 長者原駅最短距離 | 長者原駅中間駅設置 | 原町駅最短距離 | 原町駅中間駅設置 |
距離 | 3.7 km | 6.3 km | 3.2 km | 6.4 km |
接続駅 | 長者原駅 | 長者原駅 | 原町駅 | 原町駅 |
途中駅数 | 0駅 | 2駅 | 0駅 | 2駅 |
所要時間 (長者原駅 - 空港駅) | 4分 (23分短縮) | 11分 (16分短縮) | 7分 (20分短縮) | 12分 (15分短縮) |
概算事業費(億円) | 870 | 1,480 | 720 | 1,420 |
国/地方/事業主体 費用負担額(億円) | 290/200/380 | 490/390/600 | 240/150/330 | 470/370/580 |
ケース1需要予測 (人/日・往復) | 15.200 - 16,500 | 15.700 - 17,000 | 14,400 - 15,700 | 15,300 - 16,700 |
同収支採算性(億円) | ▲560 - ▲200 | ▲1,080 - ▲680 | ▲470 - ▲150 | ▲1,060 - ▲660 |
ケース2需要予測 (人/日・往復) | 12.900 - 14,000 | 13.500 - 14,700 | 12.100 - 13,300 | 13.200 - 14,500 |
同収支採算性(億円) | ▲640 - ▲320 | ▲1,160 - ▲830 | ▲550 - ▲260 | ▲1,140 - ▲810 |
建設投資の波及効果 (億円) | 1,810 (9,800人) | 3,020 (17,300人) | 1,520 (7,800人) | 2,900 (16,600人) |
住宅等建設投資の波及効果 (億円) | - | 510 (3,300人) | - | 510 (3,300人) |
新駅整備に伴う波及効果 (億円) | - | 19 | - | 19 |
以上の通り、4案ともケース1と2の双方で建設投資の波及効果は建設費用を上回ったものの、開業後40年間の収支採算性では最良でも150億円の赤字として、どの場合でも採算が取れなかったと公表した。この結果を受け、福岡県では「ルートや事業主体、運転本数や需要喚起策などの精査・検討が必要」とする結論をまとめ、引き続き調査することとなった。
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