アンチラグシステム (英語: Anti-lag System, ALS) とは、ターボチャージャーによる過給エンジンにおいて、アクセルオフ時後に発生するターボラグを解消するシステムである。
ターボチャージャーは、エンジンから排出される排気のエネルギーにより排気タービンを回転させ、タービンと接続されているコンプレッサーを駆動することで、空気をエンジンへ圧送(過給)する。そのため、アクセルペダルを戻すと排気エネルギーが減少し、タービン回転数が徐々に下がる。その後アクセルペダルを踏み込んだ際、タービン回転数が再び上昇しコンプレッサーが機能するまで遅延時間 (ターボラグ) が生じ、この間は十分な過給が行なえず、期待した機関出力を得られない。
アンチラグシステムは、アクセルオフ時に点火時期を遅角し、タービン直前のエキゾーストマニホールド内で未燃焼ガスを燃焼させ、排気ガスのエネルギー不足を補いタービン回転数の低下を防ぐ。システム作動時には、「ポンポン」「ポコポコ」という音がするが、制御が不十分でエキゾーストマニホールド内で燃焼せずにアフターファイアーを起こしている場合には、爆発音のような「バンバン」「パパパパ」という音が発生する。
アンチラグシステムの方式には大きく2種類が存在する。
アンチラグシステムは1980年代のF1とWRCのグループBで使用され始めた。
WRCでは、グループAでリストラクターが小径化されるにつれて、ターボラグ解消に注力されるようになり、アンチラグシステムの使用が一般化した。WRCにアンチラグシステムが導入された1990年代には、メディアでは「ミスファイアリングシステム」という呼称が用いられた。また、トヨタは「フレッシュエアシステム」、三菱は「二次エア供給システム (PCC)」と独自の名称を使用していた。ALSの制御技術は、ローンチコントロールにも適用された。
2010年代以降では、WTCC、SUPER GT、スーパーフォーミュラ、D1グランプリなどターボエンジンを使用する競技で使用されている。
世界ラリー選手権 (WRC) で使用されていたグループAの技術規則では、バイパス路を後から設置することができなかったため、市販車の中にも装着例がある。ランサーエボリューションIIIを除き(車検通過範囲での作動)市販状態では作動しない。
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