『道草』(みちくさ)は、夏目漱石の長編小説。『朝日新聞』に1915年6月3日から9月14日まで掲載され、同年10月10日、岩波書店より刊行された(436頁、1円50銭)。
『吾輩は猫である』執筆時の生活をもとにした漱石自身の自伝的作品であるとされる。主人公の健三は漱石、金をせびりに来る島田は漱石の養父である塩原昌之助であるという。
私小説風のため、小宮豊隆らからはあまり勧められないなどと書かれ、不評であった。しかし、これまで漱石のことを余裕派と呼び、その作風・作品に批判的であった、いわゆる自然主義と呼ばれる作家達からは高く評価された。
草稿が現存している最も初期の漱石作品である。
外国から帰った健三は大学教師になり、忙しい毎日を送っている。だがその妻お住は、夫を世間渡りの下手な偏屈者と見ている。そんな折、かつて健三夫婦と縁を切ったはずの養父島田が現れ金を無心する。さらに腹違いの姉や妻の父までが現れ、金銭等を要求する。健三はなんとか工面して区切りをつけるが、最後に「世の中に片付くなんてものは殆どない」と吐き出す。
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