良品計画: 日本の小売企業

株式会社良品計画(りょうひん けいかく 英: RYOHIN KEIKAKU CO.,LTD.)は、無印良品(むじるし りょうひん)やMUJIブランドの小売店舗・商品開発と製造・販売を展開する専門小売企業である。

株式会社良品計画
RYOHIN KEIKAKU CO.,LTD.
無印良品ロゴ
種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社
市場情報
東証プライム 7453
1998年12月14日上場
略称 無印
本社所在地 日本の旗 日本
112-0004
東京都文京区後楽2-5-1
住友不動産飯田橋ファーストビル5階
設立 1979年昭和54年)5月18日
(株式会社魚力)
業種 小売業
法人番号 5013301012443 ウィキデータを編集
事業内容 ・「無印良品」を中心とした専門店事業の運営/商品企画/開発/製造/卸しおよび販売
・カフェ・ミール事業
・キャンプ事業
・住空間事業
・IDÉE事業
代表者 金井政明(代表取締役会長兼執行役員)
堂前宣夫 (代表取締役社長兼執行役員)
資本金 67億6600万円
(2023年8月31日現在)
発行済株式総数 2億8078万0000株
(2023年8月31日現在)
売上高 連結: 5814億1200万円
単独: 4220億3900万円
(2023年8月期)
営業利益 連結: 331億3700万円
単独: 135億4300万円
(2023年8月期)
経常利益 連結: 361億5600万円
単独: 293億6200万円
(2023年8月期)
純利益 連結: 220億5200万円
単独: 223億7900万円
(2023年8月期)
純資産 連結: 2674億4600万円
単独: 2238億5700万円
(2023年8月31日現在)
総資産 連結: 4537億1500万円
単独: 3220億3900万円
(2023年8月31日現在)
従業員数 連結: 10,074人
単独: 2,874人
(2023年8月31日現在)
決算期 8月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.99%
日本カストディ銀行(信託口) 9.09%
日本カストディ銀行(信託E口) 4.06%
三菱商事 3.90%
日本証券金融 2.81%
MSIP CLIENT SECURITIES 2.34%
SMBC日興証券 2.13%
BNP PARIBAS ARBITRAGE SNC 2.09%
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 1.97%
JPモルガン証券 1.67%
(2023年8月31日現在)
主要子会社 関連子会社の項目を参照
関係する人物 堤清二(元セゾングループ代表)
沖正一郎(元会長)
木内政雄(元社長)
有賀馨(元社長)
松井忠三(元社長)
外部リンク ryohin-keikaku.jp ウィキデータを編集
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衣料品、雑貨、食品、家具などを販売する「無印良品」および無印良品のオンラインストア運営のほか、家具・インテリア雑貨を専門に取り扱うIDÉEの展開、新潟県岐阜県群馬県でのキャンプ場の運営、株式会社 MUJI HOUSEを通じた住宅の施工および販売、二次流通市場における事業、まちづくりに関する事業、金融・投資に関する事業、教育に関する事業などを手掛けている。 かつては旧セゾングループ(西武流通グループ)の一員であった。

概要

1970年代スーパーマーケットをはじめとする量販店各社はプライベートブランド (PB) の開発を推めた。1977年10月に西友は、従来のPB商品を充実させるべく田中一光小池一子の提案による「SEIYU LINE」をPBの総合ブランドして取り扱うことを決定した。

1980年に、SEIYU LINEのPB商品群をプロトタイプとして新たにラインナップを増強して、田中の発案による英語のノーブランドグッズ (no brand goods) を和訳した「無印良品」をブランド名とした。1980年当初のブランド数は食品が31品目、生活雑貨が9品目の40品目だった。無印は、西友、西武百貨店ファミリーマート阪神百貨店のインショップなどで発売した。1983年に青山で開店した路面店は、内装を杉本貴志が手掛けた。当初の広告ではいわゆる「わけあり商品」を安く売るというコンセプトを全面的に打ち出していた。発売当初のキャッチコピー「わけあって、安い。」は小池が考案した。

当時セゾングループ代表だった堤清二は、「哲学者のジャン・ボードリヤールの『消費社会の神話と構造』などに触発され、商品にブランド名が付くだけで価格が上昇する現象に疑問を持ち、ブランドを与えないことで価格を抑える方が消費者に喜ばれると考えて、無印の企画を立ち上げ、発足当時は「無印良品」を「反体制(アンチブランド)商品」と呼んでいた」と語る。無印良品は「ノーブランドというブランド」として出発した。

1989年6月に、西友の100%子会社として株式会社良品計画を設立する。1992年9月に、西友の子会社で休眠状態であった魚力が良品計画を合併し、魚力が良品計画に社名を変更した。

バブル崩壊後も良品計画は成長を続け、1990年代後半からセゾングループ以外のジャスコなどにも商品を供給した。

シンプル重視へ

2001年度にディスカウントストアの台頭などが影響して衣料品などが不振となり業績が2003年まで悪化した事によって、良品計画社長に就任した松井忠三は不採算店舗の閉鎖・縮小・不良在庫処理・全在庫焼却・直営店の1割に当たる赤字店舗閉店・無駄経費徹底削減・人材育成改革・組織体制の抜本的な変更などを断行していった。また業績悪化の一番の原因であった商品力の回復に向けて取り組み、無印良品のクリエイターやデザイナーは日本の禅や茶道の価値観に影響を受けていたため、素材を見直し、生産工程での無駄を排除し、包装を簡素化することで質を落とさずに価格を下げ、機能に無関係な工程は全てカットし、商品はシンプルで機能性重視にした。

商品企画力の強化などの業務改革が奏功して恢復した。2015年3 - 8月期の連結営業利益は160億円程度となり同期における最高益を更新すると報じられた。

セゾングループ解体後は旧グループ各社との関係は薄れたものの、2006年ファミリーマートと資本提携を締結した。2016年ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足するとファミリーマートは無印良品の扱いを見直し、2019年1月28日で取扱を終了した。良品計画も保有していたユニー・ファミリーマート100万株を段階的に売却したとみられる。2020年6月からローソン首都圏一部店舗で、無印良品の実験販売を開始した。

「MUJI」ロゴはイギリス進出時に開発された。英語圏の人々に発音しやすく、日本語の「無地」に繋がり、英語でも悪い意味にはならないということで決定された。海外で用いるMUJIブランドを、一時期日本国内で「MUJI」ロゴとして商品表記などに配した。のちにアドバイザリーボードの原研哉らの勧めでMUJIを排したが、「MUJI Card」のほかに東京ミッドタウン、新宿、銀座松坂屋に「Cafe Meal MUJI」がある。2016年春夏から再び、日本国内の無印良品で「MUJI」ロゴを用いる。多角経営は終えているが、現在もカフェやキャンプ場などは経営している。

沿革

  • 1980年(昭和55年)12月 - 西友ストアー、西武百貨店、ファミリーマートの一部で「無印良品」の発売を開始。
  • 1982年(昭和57年) - 提携店へ卸売を開始。
  • 1983年(昭和58年) - 青山に直営1号店出店、百貨店インショップ化開始。
  • 1983年(昭和58年)10月 - 大阪アメ村三角公園前に関西1号店出店。
  • 1984年(昭和59年) - 西友でもインショップ化開始。
  • 1989年(平成元年)6月 - 西友から独立、(旧)株式会社良品計画を設立。
  • 1990年(平成2年)3月 - 西友から「無印良品」の営業権を譲り受ける。
  • 1991年(平成3年)7月 - ロンドンに海外1号店出店。
  • 1992年(平成4年)9月 - 休眠会社の株式会社魚力が(旧)株式会社良品計画を吸収合併し、(2代目)株式会社良品計画に商号変更(いわゆる株式額面変更目的の合併)。
  • 1995年(平成7年)8月 - 店頭 (JASDAQ) 公開。
  • 1996年(平成8年)3月 - 花卉販売店舗の花良をスタート。
  • 1998年(平成10年)12月 - 東京証券取引所第二部上場。
  • 2000年(平成12年)8月 - 東京証券取引所第一部に指定変え。
  • 2003年(平成15年) - 織部賞を受賞。
  • 2006年(平成18年)8月 - 家具製造販売のイデー (IDÉE) の事業を譲り受け、子会社として株式会社ニューイデー(9月に株式会社イデーに改称)を設立。
  • 2007年(平成19年)11月 - ニューヨークソーホー地区にアメリカ第1号店を出店。
  • 2011年(平成23年)12月27日 - 連結子会社であった花良品を解散。
  • 2019年(平成31年)
    • 1月28日 - ファミリーマートでの無印良品の商品取り扱いが終了。
    • 4月4日 - 銀座にホテル「MUJI HOTEL GINZA」を開業。
    • 4月20日-無印良品初のロードサイド店舗「野々市明倫通り」がオープン。
  • 2020年(令和2年)
    • 6月 - ローソンの一部店舗で無印良品の商品の取り扱いを開始。
    • 7月 - アメリカ子会社MUJI U.S.A. Limitedの連邦倒産法第11章適用を申請(民事再生申し立て)。
  • 2022年(令和4年)
    • 4月27日 - 無印良品の商品を取り扱っているローソンの店舗を2023年までにほぼ全店にあたる14,000店に拡大することを発表。
    • 9月、10月 -500円以下の商品を中心に取り扱う新業態の店舗「無印良品 500」がスタート。
  • 2023年(令和5年)
    • 7月26日 - 本社を文京区後楽の住友不動産飯田橋ファーストビルに移転し、本社ビルを売却することを発表した。
  • 2024年(令和6年)
    • 1月28日 - 本社ビル1階の「MUJIcom 東池袋」を閉店。
    • 1月30日 - 本社移転に伴い、お客様相談室を文京区後楽の日教販ビルに移転。
    • 2月1日 - 本社を文京区後楽の住友不動産飯田橋ファーストビルに移転。
    • 2月5日 - 連結子会社のMUJI HOUSEを文京区後楽の住友不動産飯田橋ファーストビルに移転。

関連子会社

  • 2020年8月31日現在。

連結子会社

店舗

国内・海外計:1251店舗(2023年8月期末)。

国内の全47都道府県に出店しているが、都道府県庁所在地のうち、甲府市だけは出店していない。奈良市和歌山市徳島市は一時期出店していなかったが、後に再出店している。大津市は無印良品の家展示場のみ営業している。

各店舗の面積やラインナップは様々であり、面積:200坪 - 1870坪の「無印良品」、面積:30坪 - 80坪の小型店「MUJIcom」、500円以下の商品を中心に取り扱う「無印良品 500」、空港を中心に展開する「MUJI to GO」のほか、カフェ「Café&Meal MUJI」などがある。日本国内ではセゾングループであった関係から西武西友パルコなどへ出店も多いが、イオンモールららぽーとアリオルミネアピタ丸井平和堂など様々な商業施設にテナントとして入居する。

2019年4月に無印良品有楽町から移転した無印良品銀座は、MUJI HOTEL GINZAのほかMUJI Dinerを併設し、世界最大級の無印良品の旗艦店である。

2022年4月22日に広島のアルパーク西棟に新装開店した無印良品広島アルパークは、約1,870坪の店舗面積で世界最大の無印良品である 。

2023年11月23日に開店した無印良品ヨシヅヤ可児には、可児市立図書館の分館として「市立カニミライブ図書館」が併設されている。無印良品の店舗内に図書館が併設されるのは、無印良品ヨシヅヤ可児が全国で初めてである。独自の図書分類法が採用されていること、カフェスペースが併設されていること、無印良品の店舗との隔てが無いことなどが特徴である。

この他、津南(新潟県津南町)・南乗鞍(岐阜県高山市)・カンパーニャ嬬恋(群馬県嬬恋村)の3か所の「無印良品キャンプ場」を経営している。

製品

  • 製品デザインには様々な著名デザイナーが関わっている。プロダクトデザインに深澤直人、エンツォ・マーリ、サム・ヘクト、アズミズ、ジャスパー・モリソン、ファッションデザインに永澤陽一(1992年 - 2002年)、山本耀司・植原邦雄(2002年 - 2005年)、無印の家プロジェクトに建築家北山恒難波和彦などである。
  • 全体のアートディレクションは田中一光に代わり、アドバイザリーボードが担当する。広告のアートディレクションはグラフィックデザイナーの原研哉が務める。
    • アドバイザリーボードメンバー
      • 小池一子
      • 原研哉
      • 深澤直人
      • 須藤玲子
    • 過去のアドバイザリーボードメンバー
      • 麹谷宏
      • 杉本貴志
      • 天野勝
  • 家具の世界的な見本市ミラノサローネにも出展している。
  • 2006年(平成18年)からデザインコンペティションMUJI AWARDを主催している。

情報システム

良品計画では社内で使用する情報処理システムの内製化を進めている。当初は一般の企業と同じく全て業者へアウトソーシングしていたが、仕様を策定している間にニーズが変化して、活用されないことがあった。システムの自社開発を計画したが開発経験を有する担当者がおらず、シェルスクリプト (Bash) で開発し、データ自体もデータベース管理ソフトではなく単なるテキストファイルで管理するユニケージ開発手法を採用した。これにより25万件の商品データを約2秒で全件検索可能な、軽量で高速なシステムが誕生した。更新に伴うメンテナンスのために2019年12月31日にシステムを停止して2020年1月1日に再開する予定であったが、「使用に耐えうる表示速度が満たせず」およそ一か月間停止した。。

不正・訴訟

  • 定番商品のポリプロピレン製収納ケースを無印から受託製造しているリス株式会社は、類似商品を販売する株式会社伸和を不正競争行為として告訴したが、「独創性は認められない」と無印が敗訴した。
  • 無印良品は、株式会社カインズが定番商品のユニットシェルフに類似した商品を販売していることは不正競争行為であるとして当該商品の販売差し止めを求めて訴訟し、2017年(平成29年)8月に勝訴した。カインズは控訴したが2018年3月の2審で棄却された。
  • 2018年4月25日、消費者庁は無印良品のソファカバーについて、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出した。生地の調達先を変更した際に、社内で情報共有されていなかった。

中華人民共和国での訴訟

  • 2005年7月、中華人民共和国での1号店を上海市に開店したが、中国香港の企業・盛能投資有限公司が、被服履物について「無印良品」「MUJI」の商標1994年(平成6年)に先行登録しており、当初は中国大陸での衣料品の販売ができなかった。同年12月に商標登録の無効の訴えが認められた。
  • 2017年12月、中華人民共和国の『無印良品』が権利侵害で損害賠償を求める訴訟を起こした。のちに第1審判決で、主張が一部認められる。
  • 2018年11月、中華人民共和国の『無印良品』が日本の『無印良品』を権利侵害で提訴した。上海市中級人民法院は、日本の『無印良品』が敗訴の判決を出した。日本の『無印良品』は、判決に不服として控訴し、係争中である。

MUJIGRAM

MUJIGRAM(ムジグラム)は、無印良品の社員・アルバイト用の業務マニュアルのことである。このMUJIGRAMは全13冊、併せて1683ページにも及ぶ膨大なマニュアルであり、レジ業務から経理、労務、配車などあらゆる業務を網羅している。

これは、売上が著しく下落した2000年(平成12年)度に当時社長を務めていた松井忠三(現・名誉顧問)が自ら作成した。新人でもわかる記述を重視し、図や写真をふんだんに使い、書類の書き方も非常に詳細かつ簡潔に書かれている。

2013年に、松井忠三の著書『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』や、テレビ番組『日経スペシャル カンブリア宮殿』でMUJIGRAMが紹介された。

    MUJIGRAM全13巻の内訳
  • 売り場に立つ前に
  • レジ業務
  • 承り
  • 配送/自転車
  • 売り場作り
  • 商品管理
  • 経理
  • 労務管理
  • 危機管理
  • 出店準備
  • 店舗マネジメント
  • 店舗システム
  • ファイリング

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク

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