羽田空港地上衝突事故: 2024年1月2日に羽田空港で発生した航空機事故

羽田空港地上衝突事故(はねだくうこうちじょうしょうとつじこ)は、2024年(令和6年)1月2日、日本の東京都大田区の東京国際空港(羽田空港)に着陸した日本航空(JAL)516便と、離陸のため待機していた海上保安庁(海保)の航空機が滑走路上で衝突した航空事故である。日本国内においては2009年のフェデックス80便着陸失敗事故以来、およそ15年2ヶ月、日本航空においては1985年の日本航空123便墜落事故以来、およそ38年5ヶ月ぶりの機体全損事故となる。

羽田空港地上衝突事故
2024 Haneda Airport runway collision
日本航空 516便 · 海上保安庁 みずなぎ1号
羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因
C滑走路脇に存置されたJAL機(JA13XJ)の残骸(2024年1月3日撮影)
事故の概要
日付 2024年1月2日
概要 滑走路上での航空機2機の衝突と火災(調査中)
現場 日本の旗 日本
東京都の旗 東京都大田区
東京国際空港C滑走路上
北緯35度32分47.0秒 東経139度48分1.0秒 / 北緯35.546389度 東経139.800278度 / 35.546389; 139.800278 東経139度48分1.0秒 / 北緯35.546389度 東経139.800278度 / 35.546389; 139.800278
負傷者総数 15
死者総数 5
生存者総数 380
第1機体
羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因
2022年に撮影された事故機
機種 エアバスA350-941
運用者 日本の旗 日本航空(JAL)
機体記号 JA13XJ
出発地 日本の旗 新千歳空港
目的地 日本の旗 東京国際空港
乗客数 367
乗員数 12
負傷者数
(死者除く)
14
死者数 0
生存者数 379(全員)
第2機体
羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因
2021年に撮影された事故機
機種 デ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q315 (MA722)
機体名 みずなぎ1号
運用者 羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 海上保安庁(JCG)
機体記号 JA722A
出発地 羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 羽田航空基地
目的地 羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 新潟航空基地
乗員数 6
負傷者数
(死者除く)
1
死者数 5
生存者数 1(機長)
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映像外部リンク
羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 機体が炎上した瞬間の映像 YouTubeTBSテレビ提供)
羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 事故翌日に撮影された残骸の空撮映像 YouTube(朝日新聞社提供)

前日に令和6年能登半島地震が発生したばかりで、事故を引き起こした海保機がその地震の支援に向かう途中であったこと、年明けすぐの大事故であったことから国内外に大きな衝撃を与えた。

JAL機には乗客367人と乗員12人の合わせて379人が搭乗していた。機体は衝突後に激しい火災を起こしたが、乗務員の誘導により搭乗者全員が脱出した。一方、海保機には6人が搭乗しており、衝突により5人が死亡、機長が重傷を負った。

事故機

日本航空516便

この便は社内規定に基づく副操縦士の訓練を兼ねており、機長副操縦士に加えてセーフティパイロットの副操縦士が乗務していた。

事故機のJA13XJは、日本航空(JAL)にとって13機目のA350-900であり、2021年11月18日に運用を開始した。2024年1月19日付で、機体滅失を理由に登録抹消された。本事故はエアバスA350としては初めての機体全損事故であり、JAL所属の機体が起こした全損事故としては1985年8月12日のJAL123便墜落事故以来となる。

海上保安庁所属みずなぎ1号

機長は総飛行時間3641時間のベテランで2017年2月に機長となってから1149時間余りの経験があった。前日(1月1日)には中国公船警戒のため別の機体で沖ノ鳥島周辺まで7時間の飛行を行っていたが、ある海保幹部は直前の勤務状況は過酷ではなく健康状態に問題はなかったとしている。

事故機のJA722A「みずなぎ1号」は、事故前24時間において、前日に発生した令和6年能登半島地震の対応のため2回飛行し、事故前に小松空港から羽田空港へ到着した。事故時は被災地向けの物資を中継場所となる新潟航空基地へ搬送する途上であった。当初の報道では「海上保安庁の固定翼機(MA722)」として言及されていた。 また、機種名として「ボンバルディアDHC8-300」とする報道機関もある。運輸安全委員会の発表資料では「ボンバルディア式DHC-8-315型」としている。

当機は2011年平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)による津波仙台空港にて被災し、修復されて約1年後の2012年(平成24年)3月29日に復帰した。仙台空港で被災した航空機では唯一復帰した機体であった。

なお、当機にはADS-Bは非搭載であった。

事故の経緯

羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 
衝突時の位置を示した空中写真。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。2017年5月30日撮影の14枚を合成作成。

事故機のJAL516便は、新千歳空港を定刻より10分遅れた16時に出発し、17時40分に羽田空港に到着する予定だった。17時30分時点での羽田空港では西風1.6メートル毎秒 (3.1 kn) が吹いており、17時54分時点での視程は30 kmだった。516便は千葉県上空で旋回して、C滑走路に正対して東京湾上を降下していた。この後に秋田空港発羽田空港行きのJAL166便が続いていた。

進入

17時43分02秒に管制から羽田空港へ着陸進入中の516便に滑走路34R(C滑走路)への進入継続の指示ならびに風向風速と出発機の情報の伝達があり、同12秒に516便より復唱があった。

17時44分56秒に管制から516便に滑走路は着陸に支障ないことと風向風速の情報の伝達があり、45分01秒に516便より復唱があった。以後516便は着陸進入を継続した。

17時45分11秒に管制から、みずなぎ1号へ、C滑走路脇の停止位置C5への走行指示ならびに順序ナンバー1の伝達があり、同19秒にみずなぎ1号は指示内容を正しく復唱し、離陸順序を優先されたことに感謝の言葉があった。しかし、みずなぎ1号は滑走路手前まで走行するという指示に従わず、停止位置C5を越えて滑走路へ進入し、停止した。

衝突

みずなぎ1号が滑走路で停止して40秒程経過した17時47分ごろ、着陸許可を得ていた516便がC滑走路に着陸し、接地とほぼ同時に516便の機首がみずなぎ1号の垂直尾翼にほぼ真後ろから衝突して火柱が上がった。みずなぎ1号の機長は脱出後に海上保安庁に「機体後部が突然爆発した」と報告しており、また516便の運航乗務員は調査において「着陸直前まで異常は感じなかったが、衝突の直前に何かが横切ったように見えた」と述べている。

衝突後、みずなぎ1号はその場で爆発炎上し、516便は煙と炎を上げながら約1700メートル滑走して滑走路右側へ逸脱した。運航乗務員によれば、この間ブレーキや方向舵・ハンドル操作が効かず機体が滑っているような感覚だったという。乗客によれば、客室内では「腰が浮き上がる」ほどの衝撃と共に「ガシャーン」という衝突音が聞こえて照明が消え、1分ほど後に焦げ臭さと共に白い煙が充満し、また窓外に火災の様子が見えた。

脱出

滑走路脇に停止した516便の機体前方では、客室乗務員が運航乗務員に火災の発生を知らせるとともに脱出を進言して機長が脱出を指示し、機体後方では機内インターフォンが故障して操縦席との連絡ができなかったため客室乗務員の判断で脱出を決意した。

機内の乗客の中からは悲鳴や「早く出してください」「開ければいいじゃないですか」などの声も上がったが、多くの乗客はパニックになることもなく、落ち着いていた。衝突の影響でアナウンスシステムが故障したため、客室乗務員の肉声やメガホンで乗客を誘導し、衝突から約6分後に8箇所の非常脱出口のうち火災のため使用不能だった中間部の4箇所(L2,L3,R2,R3)と後部右舷 (R4) を避けて前部両舷 (L1,R1) と後部左舷(L4)の緊急脱出スライドを展開して脱出を開始した。非常時チェックリストを終えた機長らが客室に入って機内を見廻り、残っていた数人の乗客を脱出させた後、18時5分に非常脱出口L4から最後に機長が脱出して、379人の搭乗者全員が生還した。C滑走路は全日本空輸 (ANA) 系列が発着する第2ターミナルに近い事から、乗客避難時にANAのグランドハンドリングのスタッフ約10人が駆け付け、乗客のケアなど臨機応変に対応した。なお、JAL機の受託手荷物に2件のペットが含まれていたが、救出できなかったと発表された(後述)。

一方、みずなぎ1号では、機長は重傷を負いながらも自力で脱出したが、その他の乗組員5人は安否不明となり、後に外部からの衝撃などの全身挫滅により死亡していたことが確認された。

消火

事故直後、火災を確認した消防車100台以上が出動して炎上した両機の消火活動が開始され、このうちみずなぎ1号の火災は午後8時半頃に鎮火した。

JAL機は両エンジンと胴体下面が炎上していたが、やがて火勢が拡大し、機長が最後に降機してから5分後には火炎が胴体上面まで包み、機内にも延焼して激しく炎上した。消火活動にあたり、防火水槽からの給水では水が足りなくなることが懸念されたため、多数の水槽車が出動した。また、スーパーポンパーという特殊車両を用い東京湾の海水を汲み上げて放水することで大量の消火用水を確保することができた。懸命な消火活動の結果、JAL機の火災は翌3日0時10分ごろにはほぼ消し止められ、2時15分に鎮火した。JAL機の機体は主翼を除く胴体部がほぼ全焼し、海保機も全焼した。

また、後日行われたJAL機の解体作業中に小規模の火災が発生したが、直ちに消火された。

記録

一連の事故発生の模様に関しては、羽田空港第2ターミナルに設置している定点カメラによって一部始終が撮影されており、日本放送協会(NHK)や日本テレビ放送網などによって、世界各国の報道機関に即座に配信された。また羽田空港第2ターミナルには能登半島地震の取材のために東京・渋谷NHK本部から現地に向かおうとしていたNHKメディア総局の取材班がおり、ターミナルビルから事故の状況を速報した。

事故原因

羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 
事故の発生時を示した図面

事故原因は現在も調査中だが、以下のことが判明している。

事故当日夜、みずなぎ1号の機長は海上保安庁に対し離陸の許可を得た上で滑走路に進入したと説明したが、事故翌日に公表された両機と管制塔との交信記録によれば、事故前に海上保安庁側に滑走路に入る直前の停止位置までの進行指示が発出され、海上保安庁側も復唱していたものの、滑走路への進入許可は発出されていなかった。JAL機は着陸に際して、みずなぎ1号を視認できておらず、みずなぎ1号が停止位置を誤ったか、「ナンバー1」というJAL機着陸後の離陸順の指示を離陸の許可を得たものと勘違いした可能性がある。一方、JAL機は17時43分に滑走路への進入指示を受けていた。その後、着陸許可も出された。

この事故の直接の原因は、みずなぎ1号が許可なく滑走路に進入したことだが、何故管制官の指示を誤解して進入したのか、また、516便の着陸が迫っていることに気付かなかったのか、何故管制官はみずなぎ1号が滑走路に誤って進入したことに気付かなかったのか、何故516便運航乗務員が滑走路上に他機が居ることを発見できなかったかも問われる。

対応

東京国際空港

東京国際空港の滑走路は18時ごろまでに全て閉鎖され、消防車100台以上の体制で消火活動が行われた。海上保安庁は巡視艇特殊救難隊を出動させたほか、東京消防庁では総勢115隊が出動した。また、DMATも派遣された。滑走路の閉鎖は、21時30分頃に事故のあったC滑走路を除いて解除された。

政府

日本国政府は18時5分、総理大臣官邸危機管理センター情報連絡室を設置した。内閣総理大臣岸田文雄は「関係省庁や関係機関と緊密に連携し、被災者の救出・救助活動に全力を挙げること」「早急に被害状況を把握し、国民への適切な情報提供に努めること」を指示した。また、海上保安庁のみずなぎ1号は令和6年能登半島地震の被災地向け支援物資の搬送中で、本事故により殉職した5人の海上保安官に対して岸田総理は「この方々は被災地、被災者のために高い使命感、責任感を持って職務にあたっていた職員で、大変残念なこと」と哀悼の意を表した。

警視庁

警視庁東京空港警察署特別捜査本部を設置し、捜査一課特殊犯捜査係を中心に業務上過失致死傷容疑を視野に捜査を進めている。現場検証や負傷した乗客の一部への聴取を開始し、海上保安庁側の機長からも入院先の病院で聴取を行っているほか、管制官との交信内容などを詳しく調べる。また、殉職した海上保安官5人の遺体の司法解剖も実施し、死因は外部からの強い圧力や衝撃を受けたことによる全身挫滅と明らかにした。

国土交通省

国土交通省航空局運輸安全委員会 (JTSB) に通知を行った。平岡成哲航空局長は事故原因について「JTSBおよび関係機関が調べる」と述べた。調査はJTSBが主体となって実施し、JAL機がフランス製であることから、製造したエアバス社とフランス航空事故調査局 (BEA) からもそれぞれ専門チームが派遣され、設計国の一つであるドイツの連邦航空機事故調査局 (BFU) と、ロールス・ロイス社製エンジンの製造国であるイギリスの航空事故調査局 (AAIB) も調査に参加した。海保機はカナダ製であることからカナダ運輸安全委員会 (TSB) が、機体の製造元であるデ・ハビランド・カナダ社とエンジンの製造元であるプラット・アンド・ホイットニー・カナダ社の代表者と技術顧問と共に調査に参加した。事故翌日、夜明けを待って本格的な調査を開始。ブラックボックスは6日までに海保機・JAL機共に全て回収された。海保機のコックピットボイスレコーダーはハネウェル製、その他の機器はL3ハリス・テクノロジーズ製と、共にアメリカ製である事から、アメリカ国家運輸安全委員会 (NTSB) も調査に参加する。

また、緊急の安全対策を取りまとめ、次の指示をしたことを9日に発表した。

  1. 管制機関及び航空事業者等への基本動作の徹底指示
  2. 管制官による監視体制の強化
  3. パイロットによる外部監視の徹底、視覚支援
  4. 滑走路進入に関するルールの徹底
  5. 関係者間のコミュニケーションの強化

それぞれの実施状況は、次の通りである。

  1. 1月3日に管制官及び航空事業者等に対して実施。
  2. 滑走路への誤進入を常時レーダ監視する要員の配置。羽田空港は1月6日から実施、同レーダ設置の成田国際空港、中部国際空港大阪国際空港(伊丹空港)、関西国際空港(関空)、福岡空港と軍民共用の那覇空港那覇基地)について順次対応。
  3. 航空事業者等への滑走路進入時及び着陸進入時における外部監視の徹底指示を1月8日に実施。滑走路進入手前の停止位置標識高輝度塗色。羽田空港C滑走路は1月6日実施、羽田空港のその他の滑走路と新千歳空港千歳基地)、成田国際空港、中部国際空港、伊丹空港、関空、福岡空港、那覇空港について順次実施。
  4. 滑走路進入に関する管制用語を Cleared for take-off(離陸を許可する)、Cross runway(滑走路横断支障なし)、Line up and wait(滑走路に入って待機せよ)、Taxi via runway(滑走路を地上走行せよ)、Backtrack runway(滑走路を離着陸方向と反対に地上走行せよ)のみとし、許可や指示を受けた場合は確実に復唱し、疑義が生じた場合は管制官に確認するよう1月8日に周知徹底を実施済み。航空機の離陸順序を示す「No.1」「No.2」などの情報提供を当面停止。羽田について1月8日から実施、以降、全空港で順次実施。滑走路周辺の走行に関する要注意事項の航空事業者等への周知徹底。これらは羽田空港については1月中実施予定。新千歳空港、成田国際空港、中部国際空港、伊丹空港、関空、福岡空港、那覇空港について順次実施予定。
  5. 管制官とパイロットの交信に関する緊急会議の開催。羽田空港については1月中実施予定。新千歳空港、成田国際空港、中部国際空港、伊丹空港、関空、福岡空港、那覇空港について順次実施予定。

一方で「ナンバー1」等の情報がないと順番待ちする各機運航乗務員らと管制官の間で離陸順を巡り認識の齟齬が生じるリスクが指摘されている。

1月30日に、運航乗務員と管制官の意見交換会を羽田空港で緊急に開催し合わせて40人が参加した。当面「ナンパー1」等の情報が伝えられないことについて運航乗務員側から順番の情報は有益だとする意見があった。今後も全国で開催する。

2月6日、国土交通省の職員らで結成している国土交通労働組合は安全体制を強化するために航空管制官の大幅な増員などを求める声明を発表した。

航空会社

JAL機の乗客には、JALから一旦見舞金と預け荷物弁済金として各10万円を支払い、それ以上の高価な荷物を預けていた場合は個別に対応すると伝えられたという。

全日空は事故翌日の羽田着の便が遅延した乗客に飲食代として2千円を渡した。

影響・反応

この事故を巡り、広範囲に影響が及び、また各企業・組織が対応をとった。

航空便への影響

羽田空港地上衝突事故: 事故機, 事故の経緯, 事故原因 
事故により全便が運行停止となった全日空 (ANA) のお知らせ看板(羽田空港第2ターミナル)

事故発生後、21時半まで全滑走路が閉鎖され、羽田に着陸予定だった便の一部がダイバートとなり、成田国際空港(成田空港)に23便(国内線9便、国際線14便)、茨城空港に2便、中部国際空港(中部空港)に13便(国内線12便、国際線1便)がそれぞれ着陸した。

なお、事故を起こしたJAL516便の次に着陸を予定していた秋田空港発羽田空港行きのJAL166便(B738/B737-800)は、ダイバートの上22分遅れで成田国際空港に到着した。

ANAは羽田を出発する一部路線の欠航を決定し、JALも事故後に羽田から出発する便全便が欠航となった。

当日21時半以降も羽田空港最長のC滑走路は事故処理および検証、残骸の撤去作業と滑走路や設備損傷確認のため7日まで閉鎖となった。その間の滑走路運用は冬場の北風優勢運用のため、実質A滑走路着陸とD滑走路離陸の2本運用となり、最長のC滑走路が利用できなくなったことから、長距離国際線においては必要量の燃料を搭載して離陸できず、羽田出発後に給油のため成田空港や中部空港にテクニカルランディングする便も発生した。

また、JAL機が滑走路脇にあるC滑走路16L側の進入角指示灯を損傷したため復旧するまで1ヶ月の間、C滑走路は南風運用時に使用される都心上空ルートが運用不可能になると見込まれ、千葉上空飛行頻度が増す可能性があり、千葉県はこれを容認しつつ、早期復旧と夜間上空飛行を避け東京湾上空を飛行するよう申し入れていた。その後、悪天候での南風運用時使用していた計器着陸装置が損傷無く使えることが確認されたため、8日から進入角指示灯復旧までは計器着陸装置を使用した進入角の浅い(進入角指示灯進入角3.25°>計器着陸装置進入角3°)悪天時の都心上空ルートで運用する。

羽田空港の運用制限中は羽田発着路線を中心に大幅な欠航や遅延が発生していることから、ANAやJALでは成田空港と国内各地を結ぶ臨時便を設定した。1月8日零時よりC滑走路は運用を再開し、ほぼ平常通りに戻ったが、JALは事故後の大規模な遅延対応や事故処理対応などが長引き、9日まで一部の便が欠航していた。

ジェットスター・ジャパンでは7日まで一部の職員がストライキを継続する予定だったが、前日の震災をうけて2日以降のストライキを中止し、羽田の事故をうけて労働組合が従業員に業務へ協力するよう要請した。

他交通機関の対応

この事故は年末年始に起きたため、Uターンラッシュのピークを直撃した。このため、交通各社では以下の対応が行われた。各鉄道会社でも新幹線など臨時便を多数運行して対応している。

JR東海は本事故に伴う首都圏関西圏の混雑を懸念し、2日の21時40分以降に東京駅新大阪駅を発車する東海道新幹線のぞみ」1往復を臨時で増便した。新幹線(ミニ新幹線区間を除く)は騒音規制により、通常は日付を跨いだ24時台以降に運行するダイヤを設定していないが、臨時便は例外的に終着駅到着時刻が24時を越えたダイヤとなった。到着時には首都圏と関西圏の鉄道各線が既に終電を迎えていることを考慮して、東京駅と新大阪駅では翌朝まで列車ホテルも用意された。翌3日以降も東京駅始発の「のぞみ」を増便した。この時「のぞみ」は3大ピーク期対応のため全列車とも全車指定席としていたが、増便分については普通車は全車自由席、グリーン車については自由席特急券を購入の上で乗車し、車内で車掌がグリーン券を発売する対応をとった。またJR北海道JR東日本札幌駅からの臨時特急と、新函館北斗駅で臨時特急から接続する東京行き東北北海道新幹線はやて(全席自由席、グリーン車・グランクラス非営業)」を各1本増便したほか、JR西日本・JR東日本も北陸新幹線金沢駅発東京駅行きの「はくたか(全席自由席、グリーン車・グランクラス非営業)」を1本増便した。

成田空港に連絡する路線を持つ京成電鉄は本事故に伴う同空港へのダイバートや混雑を懸念し、2日の25時台に成田空港駅から成田スカイアクセス線経由で京成上野駅へ向かうアクセス特急を臨時に増発した。JR東日本も同様の理由により、成田線空港支線の5368F・成田空港駅始発千葉行き最終列車の発車時刻を遅らせる対応を取った。

関東鉄道茨城空港へのダイバートによる乗客対応のため、JR常磐線石岡駅までの臨時バスを運行した。名古屋鉄道でも同様に中部国際空港へのダイバートによる乗客対応のため、臨時列車が運行された。

羽田空港に連絡する路線を持つ京浜急行電鉄は滑走路の一部閉鎖による到着便遅延が見込まれるため、4日~8日の通常の終電後に羽田空港から品川駅へ向かう特急をはじめ臨時列車を数本増発し、東京モノレールも4日と5日の通常の終電後に羽田空港から浜松町駅へ向かう空港快速を臨時に2本増発した。

2月27日に国土交通省関東運輸局は事故に対応して臨時の列車やバスの増便やタクシーの配車の増加にあたった交通各社に対して感謝状を贈った。

事故時の代替交通手段を巡る論評

TBSテレビ系列で、愛媛県で放送するあいテレビの記者は、空路に依存する高速交通網の脆弱性と新幹線による冗長化の有用性を指摘している。同社のニュースサイトで2024年1月8日に掲載された記事では、2024年1月3日に稚内空港から羽田空港で飛行機を乗り継いで松山市に戻ろうした際、この事故の影響により羽田空港到着が遅れ、松山空港行きの便が欠航となったため、翌4日朝の便に振り替えるもそれも欠航となり、新幹線「のぞみ」と特急「しおかぜ」の乗り継ぎで品川駅から約7時間かけて松山に戻ったことを記した。記者は四国新幹線の構想について、新幹線であれば松山から新大阪までおよそ1時間半、リニア中央新幹線との乗り継ぎで東京も3時間圏内になるという事に触れ、四国新幹線があれば重宝する人も少なくないと感じたと記している。

郵便・物流への影響

日本郵便佐川急便は、事故の影響で羽田空港の発着便が欠航したことにより、郵便物や宅配便の配達に遅延が生じていることを明らかにした。なお、事故機に郵便や航空貨物の搭載はなかった。

放送の対応

NHKは前日に発生した能登半島地震の被害や避難情報に関する臨時編成で終日放送を行っていたところ、17時58分に羽田空港で火災が生じていることを中継映像とともに報じ、以後、能登半島地震関連の情報と、羽田空港の衝突事故について随時報道した。

一部の民放テレビ局ではゴールデンタイムに放送していた正月特別番組を中断した上で事故に関する臨時ニュースを挿入した。その内の一局であるテレビ朝日は当時放送中だった『夢対決2024 とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』を一時中断したことにより、中断前に放送されていた番組内容の一部が一部地域では最後まで放送されなかった。その後、1月6日の日中帯に「完全版」として放送することが発表された。

また、事故を受けて、JALは各放送局へのコマーシャルメッセージ(CM)の出稿を1月22日まで停止したため、同社が提供している『ジェットストリーム』(TOKYO FM制作)を始めとする各番組内のCMはACジャパンに差し替えられた。

損害額と業績への影響

本事故で全損したJA13XJについて、JALは1月4日、損害額は約150億円を見込んでいると発表した。JALは航空保険が適応される見込みであるとしており、2024年3月期連結業績への影響を精査するとしている。また、ロイター通信は業界関係者の話として、JA13XJに関する保険契約は米保険大手AIGを幹事保険会社とする「全危険負担」で、保険金額は1億3000万ドル(1ドル143円換算で約186億円)であること、契約に際してはウィリス・タワーズ・ワトソンが主要な仲介会社を務めたことを報じている。

1月4日、2024年最初の取引となった東京証券取引所では事故に伴う相次ぐ欠航などがJALの業績を下押しすると懸念されたため、JALの株価は前年末(2023年12月29日)終値と比べて一時69円 (2.5%) 安となった。しかし、前述の通り、機体の損害が航空保険で補填されることが明らかになったほか、乗客乗員が全員脱出したことが評価され、JALの株式を買い戻す動きも見られたため、同日終値は21円5銭 (0.8%) 高の2796円5銭となった。

2月2日、JALは同日開いた決算会見の中で事故に伴う羽田空港C滑走路閉鎖に伴う減収が約20億円生じる見込みであることを明らかにした。なお、業績への影響は限定的としており、2023年度の純利益予想なども据え置いている。

JAL側の事故機の代替機

本事故で全損となったJAL機のJA13XJは同年1月19日に登録が抹消され、以降JALは当該機の埋め合わせをする形で国際線用のボーイング777-300ERを国内線に投入する繋ぎ運用を続けている。事故から2ヶ月後の3月21日に、全損補填分となる1機の国内線用エアバスA350型機を2025年度後半に導入することが発表された。

海上保安庁への影響

事故の影響を受けて、海上保安庁は心のケアや安全体制の再確認などを行うため、当面の間羽田航空基地の運用を停止することが1月11日に報じられた。運用再開までの間は近隣の航空基地が代替で担当するほか、無人航空機シーガーディアンも活用することで対応する。

1月30日に第三管区海上保安本部は定例会見を開き、その中で事故を起こしたことに対するお詫びと、遺族のケアを万全に行っていること、職員のメンタルヘルス対策をとっていること、安全対策を強化していることを述べた。

殉職者の公葬・追悼

3月2日に海上保安庁は東京都大田区で海上保安本部葬を執り行い、殉職した5人を追悼した。また、午後6時ごろに空港の現場付近で遺族や関係者が献花を行った。この公葬には遺族や同僚ら約300人が参列し、事故の再発防止を願う遺族のメッセージが公表された。

ペットの救出問題

ANAやJALは従前よりペット同行サービスを提供しており、本事故において当初、ペットの預かりはないとされていたが、後に広報からペットに関して2件の預かりがあったことが公表された。前述の通り2匹とも救出出来ずに、日本航空から謝罪の声明が出された。

しかし、以前からANAやJALによるサービスにおいてはペットは貨物扱いで、給水が認められずに貨物室の高温に晒された犬が熱中症によって犠牲となり、それを口止めしようとしていたことが公になったケースを筆頭に、ペットが死亡する事例が年々増えていることが問題視されていた。こうした背景もあり、この航空会社の対応について意見が著名人SNSを中心に続出し賛否が分かれた。また、ペットの客室同伴搭乗を求める署名が始まって2日で1.6万を超えるなど多くの反応が集まっている。

これらの議論においてはしばしば「ペットの客室同伴」と「事故時のペット救出」を混同し、客室同伴することで事故時にペットを救出できることを前提にしている。

しかし、国土交通省航空局は客室同伴の条件について、

  1. ペットがケージの中にいること
  2. 大型の手荷物と同等の条件であること

と定めており、また手荷物は緊急脱出時に機内に残さねばならないので、日本においては、この規定が変わらない限りペットは置き去りにしなければならず、客室同伴しても救出が可能にはならない。

既に2022年3月から国内の一部路線において、ペットの客室同伴サービス「FLY WITH PET!」を行っているスターフライヤーでは、「緊急脱出が必要になった際は、客室内に持ち込んだペットは機内に置いて脱出しなければならない」旨を、公式ホームページの当該サービス紹介ページ及び同ページにある「ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項(以下遵守事項)」に記載している他、「ペットの機内持込に関する同意書兼申込書」には遵守事項に記載されている各項目を理解し同意する旨の記述がなされている。2024年1月15日からは同サービスを国内全路線に拡大したが、国土交通省からの指針に従う形で引き続き緊急時のペット持ち出し禁止を継続している。外国ではエールフランスがペットの客室持ち込みを許可しているが、緊急時には手荷物として扱い、機内に置いて脱出しなければいけないのに変わりはない。

なお、身体障害者補助犬については、身体障害者補助犬法第8条の定めにより機内への同伴が認められており、緊急時には状況が許せば脱出させることができる。

全乗客脱出に対する評価

本事故ではJAL機の乗員乗客379人全員が脱出に成功しており、CNNをはじめとする海外メディアは「奇跡」、また乗客が手荷物を持たずに脱出したことから、「脱出時のお手本」と報じた。特にCNNは1985年のJAL123便墜落事故を機に講じた徹底した安全対策や教育訓練の賜物と報じ、「8.12連絡会」の美谷島邦子事務局長も『毎日新聞』の取材を通じて同様の見解を示した。

この結果に対し、日本のインターネットではJALの対応に驚きと賞賛の声が上がっており、X(旧ツイッター)では、「#ありがとうJAL」がトレンド入りした。

また、JAL社長の赤坂祐二も「乗員は本当に普段の訓練の成果をしっかりあげてくれた。もしかしたら訓練以上の結果が出せたのではないか。そして何よりも、お客様のご理解があってこそこのような結果が成し得たと心から思う」と乗客乗員に感謝・感嘆の意を述べたほか、ANAホールディングス社長の芝田浩二も「本当にプロフェッショナルな働きだなと思っている」と評価した。

なお、搭乗していた客室乗務員(CA)9人のうち半数が2023年4月入社の新人であった。教育を受けたばかりの乗務員が多く訓練の成果を忠実に活かせたこと、また、乗客が落ち着いて乗務員の指示に従って行動したことも全員脱出に寄与したと指摘されている。

反面、本事故では事故発生から脱出開始までに最低でも6分、全員脱出までに18分が経過している。アメリカ連邦航空局 (FAA) および欧州共同航空当局英語版 (JAA) の規定で、非常時には、非常口開放から90秒以内に乗員乗客全員を脱出させることが定められているが、本事故の脱出においては全く満たせておらず、航空評論家で元JAL機長の杉江弘は「時間がかかり過ぎている印象を受けた」と指摘している。

JALの機内安全ビデオに対する評価

搭乗者全員脱出が達成された要因として、事故機の素材、日本人の文化、乗務員の迅速な行動などが挙げられる他、JALが本事故の5年前にエアバスA350型機の導入に合わせて刷新していた機内安全ビデオが、本事故での脱出成功によって注目を浴びることとなった。

近年では海外などで自国の観光地を案内したり、伝統芸能・スポーツと合わせて設備を紹介するなどの「乗客に案内をより注視してもらうためのユニークな安全ビデオ」を導入する同業他社も増えているが、JALではそのようなユニークさをあえて取り入れず、旧来の映像を踏まえて改善したCGアニメーション形式とした。

JALでは2016年に新千歳空港エンジン出火事故を起こした際、客室乗務員の指示に反して乗客が荷物を持って脱出しようとしたことで乗務員が荷物を取り上げるなどの手間を要して脱出に時間を要し、また、避難援助をすることが出来ず、また3人の負傷者を出したことがあったことから、事故以降JALは旧安全ビデオに手荷物の持ち出し禁止や乗客へのスライド下での脱出援助の要請などの内容を盛り込んだ。その3年後に作られた新ビデオでは「脱出時に、荷物は持たないでください!」("Leave your baggage when you evacuate!")と緊急脱出時に手荷物の持ち出しをより強い口調で禁じる場面があり、それによって生じるリスクも視覚的に解説するなど徹底した危険性の周知を行っている。

2016年のインシデントから8年経って発生した本事故では、機体が全焼する大事故にも関わらず搭乗していた乗客乗員全員が生還できた。航空ライターのJTジェンター氏は、脱出成功の理由の一つとしてこのビデオの緊急避難に関する丁寧な説明があるのではないかとこの安全ビデオを高く評価している。

カンタス航空の機内安全ビデオに対する批判

本事故から約4週間後の2024年1月26日、オーストラリアのカンタス航空が機内安全ビデオを刷新した。しかし、新しく作られたビデオには「マーケティングツール化している」との非難が殺到。マーケティングやエンターテインメントの要素を一切取り入れなかったJAL機のビデオとの比較がされたことが批判の要因となったとみられている。なお、事故を起こしたJAL機にはオーストラリア人の乗客も搭乗していたため、オーストラリアでは報道で大きく取り上げられた。

事故対応に対する反応

日本の民間航空従事者の団体である航空安全推進連絡会議 (JFAS) は1月3日に声明を発表し、報道関係者やSNS利用者に対し、発信する情報について憶測や想像を排除し正確な情報のみを取り扱うよう求めた。また航空事故について警視庁が業務上過失致死傷罪の適用を視野に捜査を行う旨を表明し、運輸安全委員会調査結果を捜査や裁判の証拠として採用し関係者を刑事裁判で処罰することは、日本が批准する国際民間航空条約(シカゴ条約)で関係者の免責を前提に憂いなく証言や調査への協力を得て原因を深く追求し事故防止に活かす方針から逸脱する行為であるとして是正を求め、刑事捜査より事故原因の調査を優先することを強く要請した。

また日本の航空乗員労働組合の連合体である日本乗員組合連絡会議 (ALPA Japan) も声明を発表し、国際民間航空条約第13附属書に則り、再発防止を目的とする事故調査を罪や責任を課す刑事捜査などの司法行政手続きと分離することや、情報発信は確認された事実のみにとどめ、安易な発信を厳に慎むよう求めた。

SNSにおける偽情報の拡散

NHKによるインプレゾンビの分析で、X(旧Twitter)においてインプレッション数(閲覧数)に伴う収益を目的とした偽情報が海外のアカウントから多数投稿され、今回の事故に関する偽情報が少なくとも70件あり、250万回以上閲覧されていたことが明らかになった。

他にも、「事故はフェイク映像だ」といった偽情報を広めるアカウントが見られた。やはり動機はインプレッション数ではないかと指摘されている。

類似の事故

滑走路上での衝突事故や、航空機火災で脱出した事例、類似のインシデントを挙げる。

滑走路上で衝突した事故

大型機と小型機や車両等が滑走路上で衝突した事故として以下の様なものがある。また報道では以前の衝突事故の事例としてテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故を挙げている。

火災が発生し乗客が脱出した事故

離着陸に際して火災が発生し乗客が脱出した事故として以下の事例がある。

類似の事故・インシデント

大事には至らなかったものの、以下の様な事故やインシデントがある。

  • 日本航空455便着陸復航2015年4月5日10時58分、ボーイング767-300徳島空港に到着し着陸許可を得て着陸進入していたところ、滑走路上に車両が居るのを発見して着陸復行を行い主脚が接地後に上昇した。同機は再度の着陸を試みたものの風の影響で断念し、25分後に3回目で着陸した。管制官が滑走路上に作業車両が居ることを失念して455便に着陸許可を出したのが原因である。背景として管制業務を1人で行っており複数による確認体制がなかったこと、滑走路が使用不可であることを示すリマインダの運用を怠っていたことがある。
  • 日本航空3512便緊急脱出2016年2月23日新千歳空港で離陸準備中のボーイング737-800が急速な天候悪化で激しい降雪に見舞われ着氷がエンジン内部にまで及び空気流量が減少したことから軸受け部のオイルが漏出して発火した。エンジン後部から炎が上がり機内にも異臭と煙が立ち込めたため機長が緊急脱出を決意し乗員乗客全員が脱出した。なお、出口に殺到した乗客の多くが手荷物を抱えており一部はそのまま脱出したほか、脱出口で客室乗務員が手荷物を取り上げる手間を要してスムーズな脱出ができず、積み上げられた手荷物が操縦室ドアを塞ぎ運航乗務員の移動の妨げとなって脱出の指揮に支障をきたし、降機した乗客の誘導が不適切で機体の近くに屯していた、脱出の判断から避難完了まで9分を要したなど、脱出時の安全確保・手順・誘導が徹底されておらず課題を残した。
  • 日本航空68便滑走路誤進入現地時間2023年11月5日午前9時40分(日本時間6日午前2時40分)ごろ、ボーイング767シアトル・タコマ国際空港に到着し、3本の平行滑走路のうちターミナルから最も遠い滑走路16Rに着陸後、ターミナルに向かうにあたり途中16C、16Lの順に滑走路を横切るところで、管制から滑走路16C手前で待機する様に指示されたのに対し、68便は指示を取り違えて滑走路16L手前で待機すると復唱して、そのまま滑走路16Cを横断して滑走路16L手前まで走行したことから、管制から滑走路16Cへの誤進入を指摘された。なお、復唱内容の誤りにつき管制官から指摘はなかった。
  • 日本航空65便停止線オーバー現地時間2024年2月6日正午(日本時間7日午前5時)ごろ、ボーイング787-8サンディエゴ国際空港から出発するにあたり、管制から誘導路Bを経由して誘導路B8へ走行する様に指示されたのに対し、65便は誘導路B10へ走行し、さらに滑走路への進入許可を得ぬまま停止線を越えたところで管制が誤りを指摘した。この時、別の旅客機が着陸進入していたところで管制はゴーアラウンドを指示し、当該機が復航して旋回している間に65便は滑走路経由で誘導路に退避した。前年11月の68便の事案も含めて海外でミスが相次いだ事から国土交通省は13日に抜き打ち検査を実施した。
  • 日本航空2088便と2215便:2024年2月19日午後8時ごろ、伊丹空港で管制官が仙台空港行き2215便を滑走路上で待機させる一方で、那覇空港発伊丹空港行き2088便に着陸許可を出した。滑走路上の2215便の指摘で管制官は誤りに気づき2088便の着陸許可を取り消した。この時、両機の間は10Kmあり、また、管制官が2215便の指摘を受ける前に誤りに気付いて着陸許可を取り消そうとしていたとして、国土交通省は「重大インシデント」に指定しない。

NHKが運輸安全委員会の調査報告書を調べたところ、誤進入に関するインシデントはこの10年で23件あり、その9割は目視で誤りに気付いて事故を回避している。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

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