『小さなバイキング』(ちいさなバイキング、スウェーデン語原題:典: Vicke Viking)は、スウェーデン出身の作家にしてジャーナリストであるルーネル・ヨンソン原作による児童文学シリーズである。
学習研究社より「少年少女・新しい世界の文学」シリーズの1巻として刊行された他、評論社から「児童図書館・文学の部屋」シリーズとして6冊刊行された。また、アニメ放送に合わせて、朝日ソノラマより2巻シリーズとして発行された。
1972年にドイツのZDFと日本のズイヨー映像の共同制作によるテレビアニメとして製作された。日本版タイトルは『小さなバイキングビッケ』。当初ZDFが人形劇アニメを計画したが、後に、国際共同制作として瑞鷹にテレビアニメーション製作を依頼し、1972年から1974年にかけて1話23分の全78話と、85分の長編アニメを製作した。
ドイツでは1974年1月31日から8月8日までZDFで『Wickie und die starken Männer』として26話が放送され、残りの52話は1975年3月5日から放送された。オーストリアでは1974年2月17日からORFにて放送された。日本では1974年4月3日から1975年9月24日にかけてフジテレビ系で放送された。
テレビアニメはヨーロッパを中心に全世界に輸出された。タイトルは国や放送局によって異なる。英語圏では『Vicky the Viking』である。2009年にはテレビアニメを元にした実写映画が製作された (後述の実写映画を参照) 。
主人公の名前はZDFのドイツ版や英語版などでは「ヴィッキー」となるが、日本版では原作和訳版を元にした「ビッケ」が用いられる。
同じく海賊を題材にした作品『ONE PIECE』の作者尾田栄一郎は本作をきっかけに海賊好きになったと述べている。なお、1999年より同作がテレビアニメ化された際、奇しくも本作と同じ局・同じ放送枠で開始した。
本作においては、バイキング (ヴァイキング) が海賊であるという見解に沿って描写されているが、史実とは異なる。
作中において「角のついた兜を被る」「捕鯨民族であるバイキングがクジラを助ける (27話) 」[疑問点 ]といった、細かな点においても考証ミスがある。なお、「角のついた兜を被る」というのは欧米におけるバイキングのステレオタイプなイメージであり、本作によってそれが日本にも定着したと言える。
また、オープニング映像に登場するアメリカ・インディアンの描写についても考証ミスが見られる。
役名 | 日本版 | ドイツ版 |
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Wickie(ビッケ) | 栗葉子 | Florian Halm |
Halvar(ハルバル) | 富田耕生 | Walter Reichelt |
Ylva(イルバ) | 中西妙子 | Inge Schulz |
Ylvi(チッチ) | 松金よね子 | Alexandra Ludwig (一部) |
Gilby(ギルビー) | 堀絢子 | Horst Abraham (一部) |
Tjure(チューレ) | 里見たかし | Werner Abrolat |
Snorre(スノーレ) | 滝口順平 | Eberhard Storeck |
Urobe(ウローブ) | 北村弘一 | Leo Bardischewski |
Gorm(ゴルム) | 八代駿 | Manfred Lichtenfeld |
Ulme(ウルメ) | 和久井節緒 | Kurt Zips |
Faxe(ファクセ) | 西尾徳 | Gernot Duda |
Der schreckliche Sven (いじわるスベン) | 加藤正之 大塚周夫 | Kurt E. Ludwig Wolfgang Hess |
Baltac(バルターク) | 雨森雅司 | Herbert Weicker |
Pokka | ? | Hannes Gromball |
Maria | ? | Christa Häussler |
Erzähler(ナレーター) | 増山江威子 | Manfred Seipold (1–26話) Leon Rainer (27–78話) |
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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1 | バイキング誕生 | 才賀明 | 鳥居宥之 | 勝井千賀雄 | 辻伸一 福田皖 |
2 | そーら船出だ失敗だ | 石黒昇 | |||
3 | のこのこぎりぎり大脱走 | 富野喜幸 | 鈴木正俊 | ||
4 | 虫歯よ さらば | 田代淳二 | 小林三男 | ||
5 | いじわるスベンをやっつけろ | 水沢わたる | 神田武幸 | ||
6 | 税金取りなんて 恐くない | 永井憲二 | 上梨満雄 | ||
7 | 狼狩りコンテスト | 金子裕 | 石黒昇 | ||
8 | スベンの逆襲 | 田代淳二 | 富野喜幸 | 神田武幸 | |
9 | ビッケと大あざらし | 金子裕 | 樋口雅一 | ||
10 | ギッチョンパの約束 | 才賀明 | 樋口雅一 | 神田武幸 | |
11 | 赤い目の巨人たち | 石黒昇 | 小林三男 | ||
12 | ハルバルの 救出作戦 | ||||
13 | 鋭い剣を持った スベルケル | 鴨井達比古 | 棚橋一徳 | 岡崎邦彦 | |
14 | 城は見かけによらぬもの | 小沢洋 | 樋口雅一 | ||
15 | 逃げろや逃げろ | 樋口雅一 | 小林三男 | ||
16 | 水攻め大作戦 | 北川幸茂 | 富野喜幸 | ||
17 | 世界で最初の 消防隊 | 石黒昇 | 神田武幸 | ||
18 | 鳩とビッケとあざらしと | 金子裕 | 水沢わたる | 小林三男 | |
19 | ビッケと 大きなタコ | 富野喜幸 | 神田武幸 | ||
20 | 王様はくいしんぼ | 北川幸茂 | 樋口雅一 | ||
21 | くしゃみ粉 25番 | 富野喜幸 | 神田武幸 | ||
22 | ハルバルの宝箱 | 金子裕 | 樋口雅一 | ||
23 | のこぎりエイの 敵討ち | 北川幸茂 | 鈴木正俊 | 小林三男 | |
24 | ファクセのお嫁さん | 金子裕 | 水沢わたる | ||
25 | ゆうれい船をやっつけろ | 鴨井達比古 | 石黒昇 | 神田武幸 | |
26 | 雪と氷の宝島 | 樋口雅一 | |||
27 | ビッケとクジラの親子 | 大川久男 | - | ||
28 | かもめのカール | 案納正美 | |||
29 | ギリシャの国の迷路 | 富野喜幸 | |||
30 | ギリシャの国のオリンピック | 安藤正信 | |||
31 | デンマークの冒険(前編) | 吉田義昭 | 水沢わたる | 福田皖 | |
32 | デンマークの冒険(後編) | ||||
33 | 北国から来た男 | 大川久男 | 菊地正 | ||
34 | シュラック村の少年 | 松元力 | 安藤正信 | ||
35 | ビッケ空をとぶ | 大川久男 | 富野喜幸 | ||
36 | ハルバル 迷子になる | 新田義方 | |||
37 | 変てこな おもてなし | 菊地正 | |||
38 | ビンカ人の宝物 | 森光 | |||
39 | おしゃれなスノッペ | 富野喜幸 | |||
40 | のびたスノッペの 巻毛 | 菊地武 | |||
41 | なつかしの フラーケ | ||||
42 | フラーケ村に サーカスがやって来た | ||||
43 | わら人形戦争 | 岡崎邦彦 | 菊田武勝 | ||
44 | フラーケ族は 畑仕事が大きらい | 日高武治 | 案納正美 | ||
45 | 雷声ブルーレットとビッケ | 内田有紀彦 | |||
46 | 親知らずと トンネル作戦 | ||||
47 | ビッケと竹馬作戦 | 菊田武勝 | |||
48 | わがままブルーレットの大反撃 | 高田良夫 | |||
49 | 大きな木馬の贈り物 | 案納正美 | |||
50 | 北極の冒険 | 高橋資裕 | |||
51 | ハルバル父さんの脱出作戦 | 大川久男 | 菊田武勝 | ||
52 | ビッケの 火山島探検 | 日高武治 | |||
53 | ハルバル父さんの熊退治 | 高橋資祐 | 福田皖 辻伸一 | ||
54 | おたふく風邪とハルバル | 案納正美 | 福田皖 | ||
55 | ウローブじいさんの活躍 | 金子裕 | 高橋史祐 | ||
56 | ハルバル父さんの素敵なおみやげ | 日高武治 | 菊田武勝 | ||
57 | ビッケとチッチの漂流記 | 金子裕 | 案納正美 | 辻伸一 | |
58 | 狼なんて恐くない | 日高武治 | 高橋資祐 | 福田皖 | |
59 | 急がば回れ救出作戦 | 馬嶋満 | 菊田武勝 | ||
60 | パルリの王女様 | 金子裕 | 水沢わたる | ||
61 | おかしな困った とうせんぼ | 日高武治 | 案納正美 | 辻伸一 | |
62 | 幽霊さんを 助けよう | 馬嶋満 | 高橋資祐 | 福田皖 | |
63 | 本当のバイキングだぞ | 水沢わたる | |||
64 | スノーレの大予言 | 日高武治 | 案納正美 | 辻伸一 | |
65 | 黄金の剣と グライダー | 金子裕 | 福田皖 | ||
66 | ビッケがチェスで大勝利 | 沖島勲 | |||
67 | 川と川を 結んじゃえ! | 金子裕 | 高橋資裕 | ||
68 | チューレとスノーレの 大げんか | 日高武治 | 辻伸一 | ||
69 | 次のおかしらは 誰だ | 高橋資祐 | 福田皖 | ||
70 | ハルバル父さんと紙芝居 | 沖島勲 | 案納正美 | ||
71 | へそくりべそかき宝物 | 日高武治 | 水沢わたる | ||
72 | ビッケとハルバルの 知恵くらべ | 案納正美 | 辻伸一 | ||
73 | ロビン小父さんの住む島 | 沖島勲 | 高橋資祐 | 福田皖 | |
74 | どっちの山が 高いか | 金子裕 | 案納正美 | ||
75 | 泣くなチューレ | 日高武治 | 大館克美 | 辻伸一 | |
76 | ファクセと気球と ルンドの娘 | 案納正美 | 福田皖 | ||
77 | 新しい船を おくろう | 沖島勲 | |||
78 | 仲間はずれにされた ハルバル | - | - |
この節の加筆が望まれています。 |
フジテレビ系 水曜 19:00 - 19:30 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
荒野の少年イサム (1973年4月4日 - 1974年3月27日) | 小さなバイキングビッケ (1974年4月3日 - 1975年9月24日) | アラビアンナイト シンドバットの冒険 (1975年10月1日 - 1976年9月29日) |
2011年にはベルギーのstudio100により3Dアニメとしてリメイクされ、日本ではこのリメイク版(原題は「VIC THE VIKING」、日本語版タイトルは「ビッケはちいさなバイキング」)が2014年5月5日にディズニー・チャンネルで先行放映された後、5月26日から月~木曜午前11時半~11時45分に同チャンネルで本放送される。なお、毎日の放送時間帯は朝の特別枠ディズニー・ジュニアの範囲内だが、同チャンネルの公式サイトでは、放送番組のジャンルではディズニー・ジュニアではなく普通のアニメーションに属している。
役名 | 日本版 |
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ビッケ | 一色まゆ |
ハルバル | 斉藤次郎 |
チューレ | 星野健一 |
スノーレ | 細谷カズヨシ |
イルビ | 冨田泰代 |
イルバ | 遠藤さやか |
第43話で、『みつばちマーヤ』の登場キャラであるマーヤとウイリーがゲスト出演している(ただし通りすがりのキャラ扱いで、ウイリーがスノーレの鼻を刺してすぐに飛び去った)。
コメディアンのミヒャエル・ヘルビークが監督した実写版映画『Wickie und die starken Männer』 (ヴィッキーと強い男たち) が2009年9月にドイツで公開され記録的な大ヒットとなった。
日本では『小さなバイキング ビッケ』の邦題で、2010年に第18回キンダー・フィルム・フェスティバル (東京)、第23回東京国際映画祭にてライブ吹き替え上映されたほか、京都HISTORICA2010では日本語字幕付きで上映され、2012年12月に日本版DVDが発売された。
2011年にはクリスティアン・ディッター監督による続編『Wickie auf großer Fahrt』(ヴィッキーの大きな旅)が3D映画として製作された。
日本ではこの2作目も『ビッケと神々の秘宝』の邦題で、第20回キンダー・フィルム・フェスティバル (東京)で上映され、2012年の京都ヒストリカ国際映画祭でも上映され、2015年12月に日本版DVDが発売された。
第3作目として『Wickie und der große Wettkampf』(ヴィッキーの大競争)の製作が2011年に予告されていたが、映画の重要キャストであった「恐ろしいスベン」役俳優ギュンター·カウフマンの急逝により製作が頓挫、その後制作会社も解散した。
映画 小さなバイキング ビッケ | |
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Vic the Viking and the Magic Sword | |
監督 | エリック・カズ |
脚本 | エリック・カズ オリバー・フーツリー |
原作 | ルーネル・ヨンソン |
出演者 | 伊藤沙莉 三宅健太 前野智昭 和多田美咲 白井悠介 神尾晋一郎 野津山幸宏 |
制作会社 | Studio100 Animation |
配給 | イオンエンターテイメント / AMGエンタテインメント |
公開 | 2020年10月2日 |
上映時間 | 77分 |
製作国 | ドイツ フランス ベルギー |
『小さなバイキング ビッケ』(ちいさなバイキング ビッケ、英: Vic the Viking and the Magic Sword)のタイトルで、2020年10月2日にCGアニメーション映画として公開された。
魔法の剣によって黄金に変えられてしまった母を救うために、ビッケが海賊の父親とその仲間たちとともに魔法の剣の秘密を解き明かす、原作と異なるオリジナルストーリーである。
2018年1月13日、日本の大学入試センター試験(本試験)の地理Bの第5問-問4で、アニメ版「小さなバイキングビッケ」に関する問題が出題され、インターネット上で話題を呼んだ。
出題された問題には「(『ムーミン』と『小さなバイキングビッケ』は)ノルウェーとフィンランドを舞台にしたアニメーション」と記されている。しかし、ビッケの原作者ルーネル・ヨンソンはスウェーデンの作家であり、ビッケが拠点とする「フラーケ」も原作本文中で「(ビッケたちが大規模な駆除を行ったので)フラーケはスウェーデンではじめてオオカミのいない地方になったのでした」や「ハルバル(注:ビッケの父)はスウェーデンのフラーケ地方に住むバイキングの族長」と明記されていた。このことにより、出題が妥当であるかどうかの議論が起きた。
駐日スウェーデン大使の公式Twitterは以下のコメントを記した。
ムーミンもいいけど…ビッケは?ビッケはスウェーデン人作家ルーネル ヨンソンの作品ですよ。
スウェーデン大使館も今後周知に努めます。 — スウェーデン大使館Twitter 「スウェーデン大使館さんのツイート」による
朝日新聞は大学入試センターに「『小さなバイキングビッケ』の舞台はノルウェーと言えるのか。原作には主人公たちが住む村はスウェーデンのフラーケ地方にあるという記述がある」という内容の質問を行った。それに対し、大学入試センターは「バイキングの表記から海が結氷せず、海上活動が盛んだったノルウェーやスウェーデンを含むスカンディナビア半島の沿岸や周辺海域が類推されます。バイキングは現在のスウェーデンを含む地域においても活動していましたが、設問の設計上スウェーデンはすでに例示しており、また、フィンランドとは関連が薄いことから、ノルウェーが類推されます。」と回答した。
センターの回答では、アニメの舞台にふれていないため、改めて朝日新聞が電話取材をしたところ、センターは「舞台がノルウェーであることを明確に示す出典は確認できていません。その意味では『ノルウェーを舞台にしたアニメーション』との記述は、厳密な意味で正確なものではありません」と答えた。ただ、センターは「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」としており、出題ミスではないとしている。一連の騒動を踏まえ、センターの大塚雄作・試験・研究統括官は「設問の趣旨を受験生に分かりやすく示すため、単純化した記述としたものであることをご理解いただきたい」とコメントした。
アニメの著作権を持つ瑞鷹(東京都)は、「ビッケたちの拠点は架空の『フラーケ村』で、具体的な国名は不明。海賊なので色々な地を巡ります」と答えた。
なお、オープニング主題歌の「ビッケは小さなバイキング」の歌詞では、出かけていく先を羅列する部分で「イギリス オランダ ブルガリア」「グリーンランド」(以上1番)「フリースランド」(2番)「イタリア アメリカ デンマーク」「アイスランド」(以上3番)とある。
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