ポテトサラダ: 茹でたじゃがいもを用いたサラダ

ポテトサラダ(英: Potato salad)は、茹でたジャガイモを主材料としたサラダのことである。ポテサラと略される場合もあるが、この言葉はケンコーマヨネーズの商標登録である。

ポテトサラダ: 歴史, 日本, 出典
日本のポテトサラダ(調理例)

歴史

ポテトサラダ: 歴史, 日本, 出典 
南ドイツ、シュヴァーベンのポテトサラダ。
マヨネーズを使わず、酢、油、スープで味を整える。具材も少ない。

ポテトサラダの起源については諸説あるが、19世紀にモスクワで考案されたオリヴィエ・サラダを起源とする説が有力である。

オリヴィエ・サラダを発祥とするポテトサラダは世界各国に広がり、国ごとに独自の発展を遂げていった。以下に例を挙げる。

  • アメリカ合衆国 - たっぷりの酢を効かせた野菜サラダにポテトを加えたサラダ。
  • 上海 - ミルクやマヨネーズ、野菜やリンゴの角切りをジャガイモと混ぜたサラダ。
  • ギリシャトルコ - タラモサラダ
  • フランス - ゆでたジャガイモをオイルとワインビネガー、マスタードなどで和えたサラダ。マヨネーズは用いない。

日本

日本においては、「ポテトサラダ」とは、ゆでてつぶしたジャガイモに野菜やハムなどの具材を合わせ、マヨネーズであえた料理を指すのが一般的である。

ポテトサラダは、カレーコロッケと並ぶ代表的な家庭料理である。

カットしたジャガイモにマヨネーズやサワークリームで和えたポテトサラダは、フィンランドやアメリカにもみられるが、ジャガイモを潰したものは日本以外では少ない

日本は米食文化であるにもかかわらず、ポテトサラダが広く普及しているが、これには日本で生産されるマヨネーズ製品がコクとうま味が強い卵黄タイプのマヨネーズであるためではないかと言われている(日本以外のマヨネーズ製品は全卵タイプが主流)。

マヨネーズにはが欠かせないが、適度な酢の酸味は食の対比効果によってジャガイモの甘味を引き立てると共に重くなりがちな後味を引き締める効果がある。

日本のポテトサラダの歴史

日本にジャガイモが伝来したのは、サツマイモと同時期の江戸時代初期であるが、サツマイモが寛政年間にレシピ本『甘藷百珍』の出版があるように親しまれていたのと対照に、ジャガイモには窮乏食のイメージが強かった。ジャガイモは米を節約するための食材であり、こと和食の分野では長らくジャガイモを用いたまもとな料理は無かった。1980年代になって肉じゃがが和風料理、家庭料理の代表格としてジャガイモ料理の地位向上に貢献した。

一方、明治以降に日本に入ってきた西洋料理の料理本によって、さまざまなジャガイモ料理が紹介されることになるのだが、当初は日本風にはアレンジされず、スライスしたジャガイモにヴィネグレットソースをかけけたもの、ボイルドドレッシングサラダクリームと和えたものが紹介されている。ポテトサラダについていえば、明治29年発行の『西洋料理法』には、ジャガイモをゆでて薄切りにしてレタスの葉を混ぜてドレッシングを添えるポテトサラダが記載されているし、明治43年発行の『西洋料理教科書』には薄切りにしたゆでジャガイモにスライスしたタマネギを乗せ、芥子を加えたドレッシングで和えたポテトサラダが記載されている。

マヨネーズを用いたポテトサラダは、大正時代帝国ホテルで考案され、日本のポテトサラダは徐々にドレッシングだけのものから、ドレッシングとマヨネーズを両方使ったもの、マヨネーズのみを使ったものへとなっていった。昭和初期にはマヨネーズを用いたポテトサラダが一般的になり、1960年代になるとマヨネーズが普及したことにより、ポテトサラダも急速に普及することになった。

近年では「糖質が多い」というイメージから、特に女性層からポテトサラダが敬遠される傾向もある。

具材

ジャガイモはもちろんであるが、ニンジンタマネギキュウリがよく使われる。

日本各地で「ご当地ポテトサラダ」として様々な具材が使われており、一例として北海道ではカズノコ茨城県ではレンコン長野県では小さく切ったリンゴ京都ではしば漬け沖縄県ではゴーヤといったもの加えたポテトサラダがある。多数例ではないが、キムチ 、缶詰のミカントマトを加えることもある。いろいろな食材を加えることのあるポテトサラダであるが、刺し身では生臭みが立つので適しているとは言い難い。しかし、発酵させたイカの塩辛はポテトサラダと相性も良く、ニシンの酢漬けはロシアなどでもポテトサラダに使用される。

作り方のポイント

キユーピーが日本調理科学会で発表した研究成果によれば、粗熱を取った40度のジャガイモにマヨネーズを加えて混ぜ合わせた時が、ジャガイモとマヨネーズの両方の旨味を引き出せるとのことで、ゆでた後に冷ましたジャガイモでは味が引き出せない。

ポテトサラダ論争

2020年夏頃、総菜コーナーでポテトサラダを買おうとした幼児連れの女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ」と言われるのを目撃した、という内容がTwitter(現・X)に投稿された。投稿内容の真偽は不明であるが、この投稿内容について「母親像の押しつけである」、「ポテトサラダは一見簡単そうに見えるが作るのには手間がかかるから惣菜を買ったほうが良い」、逆に「手作りすべきだ」、といった多数の意見がSNS上を席捲し、特に日本の高齢男性の家事見識のなさへの批判など日本の社会構造にまで問題を波及させた議論が行われた。この論争がポテトサラダ論争ポテサラ論争と呼ばれた。

上述のような問題はさておき、こういった論争が日本で活発化した理由としてポテトサラダが日本人に身近なものであったためではないかと推測されている。

また、ポテトサラダに限らず、惣菜を購入することを問題視する風潮は1976年発行の『日本の民俗2 日本人の衣食住』(瀬川清子河出書房新社)にも見られている(ただし、『日本人の衣食住』では仕事帰りの男性がデパートで惣菜を購入する姿を批判的に記している)。小林カツ代は『働く女性のキッチンライフ』(1981年、大和書房)で、「たまにはお総菜を買っても良い」と女性を応援する記事を書いているが、当時、惣菜を購入する女性が増え始め、批判されるようになっていたことへの反論でもある。

出典

関連項目

外部リンク

Tags:

ポテトサラダ 歴史ポテトサラダ 日本ポテトサラダ 出典ポテトサラダ 関連項目ポテトサラダ 外部リンクポテトサラダケンコーマヨネーズサラダジャガイモ英語茹でた

🔥 Trending searches on Wiki 日本語:

ヒロド歩美報徳学園中学校・高等学校浅野いにおジュリアン・アサンジサグラダ・ファミリアラランド (お笑いコンビ)井川意高松重豊帝銀事件あの鳥山明ドラゴンボールラヴィット!King Gnu三浦春馬アン・ハサウェイダルビッシュ有おジャ魔女どれみFRUITS ZIPPER沖田浩之中村愛美紅しょうが (お笑い)森永卓郎緒方恵美HUNTER×HUNTER石田ひかりオードリー (テレビドラマ)ショーン・コムズ三田明小島みなみ青木崇高第二次世界大戦僕の心のヤバイやつ清原果耶徳川家康中川大志 (俳優)将軍 SHŌGUN森祐喜外科医エリーゼ救命病棟24時の登場人物千葉小3女児殺害事件松田聖子戦場のメリークリスマス川村優希福島孝徳長濱ねる水原一平全国高等学校野球選手権大会八重の桜神戸連続児童殺傷事件中村悠平源高明ギザの大ピラミッド近藤太香巳LE SSERAFIMBiSH加山雄三木内幸男Chilla's Art黒田清子黒田美樹グループ魂井上尚弥杉原杏璃上白石萌歌コチニール色素宇治原史規沖田総司勃起SixTONESR-指定 (ラッパー)紫式部中原中也三和グループ杉咲花まんぷく美空ひばり🡆 More