『ハックルベリー・フィンの冒険』(ハックルベリー・フィンのぼうけん、Adventures of Huckleberry Finn)は、マーク・トウェインことサミュエル・クレメンズにより、1885年2月18日に初版が出版された。
ハックルベリー・フィンの冒険 Adventures of Huckleberry Finn | ||
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筏の上のハックルベリー・フィンとジム(1884年版の挿絵より) | ||
著者 | マーク・トウェイン | |
発行日 | 1885年 | |
ジャンル | 児童文学 | |
国 | ||
言語 | 英語 | |
コード | ISBN | |
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トム・ソーヤー(マーク・トウェインの他の三篇の作品の主人公)の親友であるハックルベリー(ハック)・フィンによって語られる、方言あるいは口語体で書かれた最初の小説作品で、グレート・アメリカン・ノベルの一つでもある。
『トム・ソーヤーの冒険』の結末で、盗賊の金貨を発見したハックとトム。発見した金貨は二人で折半ということになり、ハックの取り分はサッチャー判事の預かりとなった。1日につき1ドルの利息が払われることとなり、ハックは、金貨の管理人となったダグラス夫人の養子として、屋敷に住むことになった。トムと共に学校へも通うこととなったハックだったが、寝たい時に寝て、好きな時に起きる自由気ままな日々とは違い、決められた時間に寝起きし、礼儀作法をミス・ワトソンから徹底的に仕込まれる日々に堅苦しさを覚える。しかしトムとの交流ばかりは以前と変らず、ハックは次第にダグラス家での日々にも慣れ始めた。
その頃、ハックが大金を得たことを聞きつけ、行方をくらましていた彼の父がセント・ピーターズバーグに現れ、強引にハックを連れ去ってしまう。折を見て自らの死を偽装し、首尾よく父親の元から逃げだしたハックは、ワトソン家の使用人である黒人のジムと再会する。ジムは、ワトソン家の主人が彼を南部に売ろうと計画していたのを立ち聞きし、逃走してきたのだった。奴隷制を廃止した自由州へ向かうというジムと共に、ミシシッピー川を下り始めるハック。当時、アメリカで奴隷は白人の所有物とされており、その逃亡を助ける行為は犯罪とされていた。社会的な価値観による良心の呵責に葛藤しながらも、ハックは様々な人と出会い、騒動に巻き込まれ、次第にジムとの友情を深めていく……
20世紀前半のアメリカ人作家アーネスト・ヘミングウェイは、ノンフィクション作品『アフリカの緑の丘』で、本書を歴史的な文脈に位置づけた。
あらゆる現代アメリカ文学は、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィン』と呼ばれる一冊に由来する。……すべてのアメリカの作家が、この作品に由来する。この作品以前に、アメリカ文学とアメリカの作家は存在しなかった。この作品以降に、これに匹敵する作品は存在しない。
無邪気で幼い主人公と、ミシシッピ川沿いに住む人々や景色の精彩に富む描写、そして当時の人種差別への、真摯かつ痛烈な批判的姿勢によって、本書は知られている。
出版以来、本書は若い読者の間で人気を博し、比較的毒のない『トム・ソーヤーの冒険』(この作品は、いかなる特定の社会的メッセージも含んでいなかった)の続編として捉えられているにもかかわらず、学術的な研究対象でもあり続けている。更に本書は、215回に及ぶ「ニグロ」(黒ん坊)という言葉の使用によっても批判されている(後記「#論争」の節を参照)。
この物語はアメリカ南北戦争以前の、おそらく1830年代か1840年代頃を舞台としている。当時の自宅(マーク・トウェインハウス)で執筆された。
『トム・ソーヤー』で知られているように、ハックはアルコール中毒の父親と暮らす、母親のいない怠惰な幼い放浪者である。父親の元から脱出したハックは、妻や子供との生き別れを意味する川下への売却を恐れて逃亡した黒人奴隷のジムと出会い、自由を求めて、共にオハイオ川の北を横断する事を試みる。本書はその二人の冒険を伝えている。
本書には、主要なテーマがいくつか設定されているが、ここでは、以下の4つについて解説する。
本書の冒頭と終盤でトム・ソーヤーが登場する部分は、一般には、全体的なインパクトを損なっていると否定的に言われている。ただし、トムが物語を開始させ完結させるのに貢献し、トムの途方もない計画が、神話的な川下りの旅を取り巻く「リアリティ」の枠組みを与える、逆説的な効用を持っているという見解も存在する。
『ハックルベリー・フィンの冒険』の出版後、マサチューセッツ州コンコード図書館は、「下品な主題による手法」と「物語を綴る、粗野で無教養な言葉」を理由として、本書を禁書に指定した。サンフランシスコ・クロニクル紙は、1885年の3月29日号ですばやく本書を擁護した。
「本作を通じて描かれるのは、南北戦争以前の奴隷の評価に対する鋭い風刺である。無一文でアル中の貧困白人の息子ハックルベリー・フィンは、黒人奴隷が自由を得ようとするのを手助けするのに彼が負っている役割のため、数多くの良心の呵責に悩まされる。幾人かの批評家はこの感情が大袈裟であると主張しているが、本作以上に真実を描いた作品はない」[2]
本作は20世紀以降も、以下のような形で閲覧制限・禁書処分が実施されたり、あるいは論争・自粛の原因になっている。
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