ナメル(Namer, ヘブライ語: נמר)は、メルカバ戦車の車体を基礎としたイスラエルの装甲兵員輸送車である。イスラエル国防軍武器科によって開発され、製造された。2008年夏以降、本車は少数がイスラエル国防軍に就役した。
ナメル | |
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種類 | 装甲兵員輸送車 (ナメルAPC) 戦闘工兵車 (ナメルCEV) 歩兵戦闘車 (ナメルIFV) |
原開発国 | イスラエル |
運用史 | |
配備期間 | 2008年-現代 |
配備先 | イスラエル国防軍 |
関連戦争・紛争 | ガザ紛争 |
開発史 | |
開発者 | イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ |
製造業者 | イスラエル国防軍武器科(組み立て) |
値段 | 300万ドル |
製造期間 | 2008年-現代 |
製造数 | 200両 |
諸元 | |
重量 | 60t |
要員数 | 3名(車長、操縦士、RCWS操作手)、上限で12名までの歩兵 |
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装甲 | 複合材料に類別される積層化セラミックス、鋼板、ニッケル合金を使用。爆発反応装甲を追加。傾斜したモジュラー装甲の設計。 |
主兵装 | ブローニングM2重機関銃かMk19 自動擲弾銃、もしくはより小型の機銃をサムソン RCWSに装備。 |
副兵装 | 7.62mm FN MAGを1挺 60mm迫撃砲を1門、外部装備 12基の発煙弾発射機 |
エンジン | 1,200hp ターボチャージャー付きディーゼル |
出力重量比 | 20馬力/トン |
搭載容量 | 歩兵9名 |
懸架・駆動 | コイルスプリングサスペンション |
行動距離 | 500km |
速度 | 最高60km/h |
ナメルとは「ヒョウ」の意味であり、また、「Nagmash」(APC)および「Merkava」の綴りの略語である。
センチュリオン戦車をナグマショット・ナグマホン・ナクパドン装甲兵員輸送車へ、また、プーマ戦闘工兵車に作り替えた経験に続き、多数のT-54およびT-55戦車がアチザリットに改修されて成功した。こうしたことは、メルカバ戦車を重防御の装甲兵員輸送車・歩兵戦闘車に作り替えるというアイディアを後押しした。この考えには大きな成功の見込みがあった。理由としては、250両という多数のメルカバ Mk 1が任務から徐々に退役させられることになっており、また、メルカバ Mk 2の105mm主砲も、現代的なIMI 120mm主砲へとこれ以上アップグレードできないことが明確になっていたためである。
1990年代中、資金の不足を理由として開発は大きく前進しなかったものの、続く2004年のガザ紛争では、M113装甲兵員輸送車が即席爆発装置やRPGに対して脆弱であることが暴露され、イスラエル国防軍は開発を再開した。この時点では、ナメルの国内生産がストライカー装甲車の導入よりも好まれていた。
最終的にイスラエル陸軍武器科は、メルカバ Mk 1の車体を基礎として歩兵戦闘車の試作車両を開発し、さらにまた、メルカバ Mk 4の車体をもとに歩兵戦闘車を少数開発した。これらの車輌は当初「Nemmera(女豹の意)」と呼ばれたものの、後には「Namer」と改称された。
2005年2月15日、マアリヴ誌によれば、メルカバ Mk 1を元に作られ自走するナメル試作車両が、審査と評価のためにギヴァティ旅団に試験的に配備されたとした。この車輛は、ラファエル・オーバーヘッド・ウェポン・ステーションを装備しており、これは遠隔操作および車輌内部からの給弾が可能である。同一のユニットがユーロサトリ2005年軍事展示会において模擬試験を行い、輸出するにあたり有望な顧客たちが興味を示した。
2006年、レバノン侵攻の際の戦闘から戦訓が学ばれ、ここでも広くナメルの計画が妥当であるとされた。そこで、2007年、最初に50両のナメルが2008年中に配備され、さらに100両以上が2個戦闘旅団に装備されるだろうことが報告された。しかしながら、新規に作られたメルカバ Mk 4の車体がより望ましいとされたことから、この改修計画は放棄された。
2008年3月1日、メルカバ Mk 4の車体を基礎として完全に最初から開発され、実用できるナメルが公式にイスラエル国防軍により公開された。報道によれば、2008年5月、アメリカ合衆国から部品を輸入して組み立て作業を促進したとしている。2008年9月15日、ナメルはリション・レジオンの展示会において一般大衆に公開された。
2010年10月25日、アメリカの企業であるジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムズが契約交渉のために選ばれた。内容はライマにあるジョイントシステムズ・マニュファクチャリングセンターにおいて、一定数の車体を生産し、完成させるというものである。
ナメルは、生残性と急速な補修を考慮し、モジュラー装甲、V字型底部装甲パック、さらにNBC防護を採用して設計されている。
ヤロン・リブナット准将の言及では、「"The weight saved by eliminating the turret was ‘reinvested’ in beefing up the armor... this has resulted, with Namer having better protected from belly charges".砲塔の撤去によって重量を抑えたことで、装甲強化が再び加えられた。この結果、ナメルは底部からの攻撃に対してより良好な装甲防御を得ている。」アクティブ防護システムの装備も準備されている。
2009年6月、イスラエル国防軍は、ナメル用としてイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ製のアイアンフィストAPSの取得を認可した。
2015年から2016年にかけて、ナメルにトロフィーAPSを搭載する改修が開始された。
ナメルは、ラファエル製のRWSであるサムソンRCWSに据え付けるブローニングM2重機関銃もしくはMk19 自動擲弾銃、そして、1挺の7.62mm FN MAGと1門の60mm迫撃砲で武装している。また、発煙弾発射機も装備されている。
外部遠隔操作式の30mm機関砲、およびスパイク対戦車誘導ミサイルの搭載も考慮されている。
30mm機関砲を装備した無人砲塔を搭載したナメルのIFVモデルは2017年7月に公開された(詳細は後述)。
ナメルは、難渋する地形での機動能力があり、メルカバ Mk 3にも搭載されるテレダイン・コンチネンタル製のAVDS-1790-9AR、1,200馬力V12空冷ディーゼルエンジンによって駆動する。ナメルは、搭乗員と完全武装した歩兵12名を運ぶ事ができる。さらに「ナメルビュランス」と呼ばれる救急車バージョンでは、担架1台か2台と医療設備を輸送する。
原型となったメルカバ Mk 4由来の後部入口は、狙撃ポート付きでより幅の広いドアランプへと再設計されている。二つのハッチが天井に装備され、これらはメルカバの車体天井よりも高く配置されている。ナメルはまた、メルカバ Mk 1が装備するデジタル戦場管制システムを共有している。
2016年4月13日、イスラエル国防省はナメルの戦闘工兵車 (CEV) タイプの評価試験の写真および動画を公開した。CEVタイプのナメルには3種類の形式があり、工兵中隊指揮官が搭乗するブルドーザー型、小隊指揮官が搭乗する障害物突破/進路啓開型、小隊下士官が運用する牽引型、となっている。ナメルCEVにはトロフィーAPS(アクティブ防護システム)が標準装備されており、従来に比べより危険な地域での工兵作業が可能になると考えられている。ナメルCEVは2016年5月11日に行われたイスラエルの第68回独立記念イベントで一般公開された。
2017年7月31日、イスラエル国防省はナメルの歩兵戦闘車 (IFV) タイプの評価試験の写真および動画を公開した。公開されたナメルIFVには、30mm機関砲およびトロフィーAPSを搭載した無人砲塔が搭載されている。この無人砲塔は、同じくイスラエルで開発されている装輪式の装甲兵員輸送車であるエイタンにも搭載される計画があるとされている。
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