特徴
一般的にセラミックスは次のような性質を持っている。ただし、セラミックスと呼ばれる物質群は、極めて広汎でその特性も様々であり、下記の性質が必ずしも当てはまらない。
歴史
日本におけるセラミックスの名称
昔、日本では可塑性の合成樹脂 材料をプラスチックと呼び、その製品をプラスチックスと区別していたように、セラミックスも、材料をセラミック、製品をセラミックスと呼んでいたが、最近では、両者の区別があいまいになっている。一般的には伝統的なガラス や陶磁器 製品とは区別されて、1980年代 以降はファインセラミックス に相当するものを「セラミックス」と呼ぶことが多い。
なお、英語 の「ceramic(セラミック)」は物質名詞 としてよりも、「陶器の」、「陶芸の」という意味として用いられる例の方が多く、本項のように各種の製品を総称する場合は複数形の「ceramics(セラミックス)」を用いるのが通常適切である。しかし、日本では、製品総称においても英語などでは名詞の単数形あるいは形容詞に当たる「セラミック」という表現が広く使われている。
主なセラミックスの種類
窒化ケイ素の成形品 セラミックスは、組成の面から、以下に分類される。
セラミックスの用途
陶磁器 ガラス セメント 石膏 複合装甲 ほうろう ...但しこれは金属の基材に釉薬 皮膜を施したものであるので狭義のセラミックには含まれない。 代用陶器...第2次大戦中の金属類回収令 を受け、金属製品の代用として開発流通し、戦後消滅した。 ファインセラミックス (ニューセラミックス):天然原料ではなく、高純度で精密に制御された微粉末を原料とする。 エンジニアリングセラミックス : 熱的機能、機械的機能の優れたファインセラミックス。 主なファインセラミックス チタン酸バリウムのセラミック(袋入り) フェライト磁石 より高度な機能が要求されるファインセラミックスの場合、純度の高い合成粉末を原料として、微細組織を高精度に制御して合成される。用途により基材には微量の添加物が加えられる。誘電性・磁性 ・光学的な面などで高機能をもつ。医療 用、電子部品 (IC基板 、コンデンサ など)の材料として利用されている。
チタン酸バリウム - 誘電性を持ち、その機械的、電気的、熱的な性質から、電気機械変換器、コンデンサとして広く用いられている。粒界でPTC 効果を持つため、ヒータ材料としても用いられる。 Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 O10 - 高温超伝導 セラミックス。 窒化ホウ素 - 炭素とよく似たグラファイト構造 とダイヤモンド構造 をとる。 フェライト - 磁性を持ち、磁石 類(フェライト磁石 )やインダクタ のコア(フェライトコア )等として多用される。 チタン酸ジルコン酸鉛 - 高い圧電性をもち、センサ、アクチュエータ材料として用いられる。 酸化アルミニウム - 高硬度・高融点が特長、主に研磨材 、耐火材 として用いられる。 炭化ケイ素 - 高硬度・高融点が特長、耐火材・研磨材の代表的な材料であり、電気素子材料としても用いられる。 窒化ケイ素 - 高い靱性をもち、構造材、研磨剤として用いられる。 ステアタイト (MgOSiO2 ) - 代表的な絶縁材料。 YBa2 Cu3 O7-δ - 高温超伝導 セラミックス。 酸化亜鉛 - 半導体 であり、バリスタ の材料として用いられる。 ジルコニア - 室温と焼結温度の間で相転移することを利用した部分安定化ジルコニアは高い靱性を持ち、セラミックナイフやはさみなどに使われる。また、高温で固体電解質 となり、燃料電池 や酸素センサ の材料として用いられる。また近年、金属に変わる差し歯やブリッジの歯科治療材料(セルコン 、ラヴァ)としても着目されており、需要が増えている。 原子炉用核燃料 ( UO2 , PuO2 ) 製造方法
原料調合 → 成形 → 乾燥・仮焼 → 華飾・施釉 → 焼成 → 仕上げ加工の手順で製造される。
主な成形方法 成形とは、原料を焼き固める(焼結)前に、形を整える工程である。完成品の用途に応じてさまざまな成形方法を使い分ける。
乾式成形 粉体(原料)を金型に入れて、加圧し成形する方法。量産性が非常によく、もっとも一般的な方法である。成形体の密度は不均一で、密度が均一な成形体を求める場合には適さない。また、得られる成形体の形は、単純な形状に限られる。 ゴム型に粉体を充填して、静水圧を印加して成形する方法。等方的に加圧されるため、作製される成形体の密度は均一で、一軸加圧成形の欠点を克服しているが、設備に高いコストがかかる。 HPとは焼結を伴いながら一軸加圧成形する方法である。HIPとは焼結を伴いながら静水圧で成形する方法である。 塑性成形 杯土(原料)を回転台の上に乗せ、回転させながら形を整える方法である。設備は簡単であるが量産性はない。皿やつぼなどの少量生産の製品や、芸術品を作るときに用いられる。 ところてん のように、杯土を口金を通じて押し出して成形する方法である。連続生産が可能で、棒状やパイプ状・ハニカム状の製品を作る場合に用いられる。成形体に配向が残るという欠点がある。 原料に樹脂を混ぜ可塑性を持たせ、金型に射出して成形する方法。複雑形状の成形体を作ることができ、密度は均一でかつ寸法精度も良い。一方、加熱して樹脂を除く脱脂工程で二酸化炭素が排出されたり、脱脂時間が長く多くのエネルギーを要するため、環境に悪い成形方法とも言われる。 鋳込み成形 泥漿を型に流し込み、着肉後、排泥するか、そのまま固化して成形体を得る方法。簡単な設備で複雑な形状の成形体が得られる。生産性が悪い、寸法精度が悪いという欠点がある。 加圧した泥漿を流し込んで着肉速度を速め、生産性を高めた方法。 遠心力を用いて着肉速度を速めた方法。高密度で、均質な成形体が得られるが、形状は回転体 に限られる。 テープ成形 原料と有機溶剤を混ぜて泥漿をつくり、ブレードと呼ばれる刃状部品で厚さを調整しながら、うすい板状に成形する方法。生産性がよく、多層構造体をもった成形体を作ることができるため、積層コンデンサーなどの電子部品を作成する際に使われる。工程の中で、板状に成形した泥漿に熱風を当てて有機溶媒を気化させ、乾燥させる。気化した有機溶媒は、有害であり、それを処理する設備が必要になるため、設備に高いコストがかかる。また、設備を運用する上で、作業員の健康や周辺環境の汚染に留意する必要がある。有機溶剤の代わりに、無害な溶剤を用いる研究もされているが、たとえば水を用いると、水は有機溶剤に比べて気化しにくく、乾燥させる工程で生産性が著しく落ちるなどの問題がある。 参考文献 脚注 関連項目 外部リンク
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