初代 スーパーマリン シーガル

スーパーマリン シーガル(英語: Supermarine Seagull)は、イギリスのスーパーマリンが製造した複葉飛行艇。スーパーマリン シール(英語版)の派生型であり、同様に水陸両用機としての運用が可能であった。

オーストラリアリッチモンド基地で撮影されたオーストラリア空軍のシーガル Mk III(1928年)

オーストラリアリッチモンド基地で撮影されたオーストラリア空軍のシーガル Mk III(1928年)

開発

1921年、スーパーマリン シールIIの改造により、後にシーガル Mk Iとして知られる試作型が製造された。エンジンにネイピア ライオンIIを採用し、ナセルを変更した機体は、1機のみが製造された。

1922年にはネイピア ライオンIIIをエンジンとした量産型シーガル Mk IIが生産に入り、25機が空軍省イギリス海軍に納入された。Mk IIには、後に改修された機体も存在している。

1925年、オーストラリア向けにシーガル Mk IIIが開発された。これはMk IIのエンジンをネイピア ライオンVに変更、ラジエーターを熱帯向けに調整した機体となった。6機がオーストラリア空軍に、1機が日本に輸出された。

シーガル Mk IIにハンドレページ式の前縁スロット英語版を設け、双尾翼式に改造された機体が1928年に出現した。これは、スーパーマリン公式の分類ではないが、俗にシーガル Mk IVとみなされた。また、3機のシーガル Mk IIが民間機として登録された。

1930年、同規模・同配置であるが、まだ主流とはなっていなかった金属製の機体を有し、ブリストル ジュピターIXをエンジンとしたプッシャー式飛行艇の開発が開始された。シーガルVとして知られた機体は、1933年に初飛行を遂げた。これが、後のスーパーマリン ウォーラスである。

運用

1923年4月1日の再編に伴い、5月1日イギリスの空母イーグルに編成された第440艦隊偵察飛行隊に配備され、観測機として運用された。従来この任務は、3個飛行隊に配備されたパーナル パンサーによって行われていた。イーグルは、フェアリー フライキャッチャー(第402飛行隊)、ブラックバーン ブラックバーン(第422飛行隊)、ブラックバーン ダート(第460飛行隊)と第440飛行隊の4個飛行隊を有していたが、1個飛行隊は地上運用に充てられていた。1925年、イギリス初のカタパルトによる発艦を記録した飛行艇となった。

イギリス海軍のシーガル Mk IIは、フェアリー IIID英語版によって1925年1月に更新された。

1926年6月、6機のシーガル Mk IIIを導入したオーストラリア空軍ではフェアリー IIIDを更新し、第101飛行隊英語版ポイント・クック英語版ウィリアムズ空軍基地英語版で編成、8月に第101飛行隊は、リッチモンド英語版空軍基地英語版へ移動した。1927年まで、写真偵察機としてモーズビー英語版を支援し、グレート・バリア・リーフの調査に用いられた。1927年1月にイギリスから購入した中古機3機を追加し、ニューギニアまで調査範囲を拡大した。1929年には6機が水上機母艦アルバトロスの飛行隊として編成され、1933年にアルバトロスが予備役となるまで続いた。1934年には重巡洋艦キャンベラオーストラリアに配備された。オーストラリアでの運用はシーガルVによって更新され、1936年3月3日のキャンベラと陸上からの運用が最後となった。

機体

機体は木造で、断面は楕円形。これに浮力を持つ底部と昇降段が二段取り付けられていた。下翼は高翼式の構造を有しており、翼間支柱は3組の2ベイ複葉機、上翼中央にナセルを吊り下げ、4翅式のプロペラを駆動した。武装はルイス軽機関銃 1挺、典型的な乗員はパイロット、無線手、観測手の3人であった。

運用者

現存する機体

  • イギリス海軍航空博物館英語版に機体前方が残されている。1974年までは庭園の小屋として使用されていたが、新しい小屋と交換されている。その後、サウサンプトンソレント航空博物館英語版に長期貸し出し中となっている。
  • イギリス空軍博物館にシーガルV(ウォーラス)がバトル・オブ・ブリテンホールに2016年10月まで展示され、その後収蔵品として扱われている。

要目(シーガル Mk III)

出典:

諸元

性能

  • 最大速度: 174km/h (94kt)
  • 実用上昇限度: 2789m (9150ft)
  • 上昇率: (454.5ft/m)
  • *最大飛行時間 4.5時間

武装

初代 スーパーマリン シーガル  使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

参考文献

  • Andrews, C.F.; Morgan E.B. (1987). Supermarine Aircraft since 1914. London: Putnam. ISBN 0-85177-800-3 
  • Brown, David. "Supermarine Walrus I & Seagull V Variants". Aircraft in Profile, Volume 11. Windsor, Berkshire, UK: Profile Publications Ltd., 1972.
  • Kightly, James and Wallsgrove, Roger. Supermarine Walrus & Stranraer. Sandomierz, Poland/Redbourn, UK: Mushroom Model Publications, 2004. ISBN 83-917178-9-5.
  • Shelton, John (2008). Schneider Trophy to Spitfire - The Design Career of R.J. Mitchell (Hardback). Sparkford: Hayes Publishing. ISBN 978-1-84425-530-6 
  • Thetford, Owen. British Naval Aircraft Since 1912. London: Putnam, 1982 (5th ed.) ISBN 0 370 30021 1
  • Ray Sturtivant: The Squadrons of the Fleet Air Arm, Air-Britain Tonbridge, 1984, ISBN 0-85130-120-7
  • David Brown: HMS Eagle, Warship Profile 35, 1973
  • Kenneth Munson: Flugboote und Wasserflugzeuge seit 1910, Orell Füssli; Zürich, 1972
  • Neville Doyle; from Sea Eagle to Flamingo - Channel Island Airlines 1923-1939, Upton-upon-Severn 1991, ISBN 1-85421-103-X
  • Peter London: British Flying Boats, The History Press, Stroud 2003, ISBN 978-0-7524-6055-0

外部リンク

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