オルメカ(Olmeca)は、紀元前1200年頃から紀元前後にかけ、先古典期のメソアメリカで栄えた文化・文明である。アメリカ大陸で最も初期に生まれた文明であり、その後のメソアメリカ文明の母体となったことから、「母なる文明」と呼ばれる。
「オルメカ」とは、ナワトル語で「ゴムの人」を意味し、スペイン植民地時代にメキシコ湾岸の住民を指した言葉である。巨石や宝石を加工する技術を持ち、ジャガー信仰などの宗教性も有していた。その美術様式や宗教体系は、マヤ文明などの古典期メソアメリカ文明と共通するものがある。
オルメカの影響は中央アメリカの中部から南部に広がっていたが、支配下にあったのは中心地であるメキシコ湾岸地域に限られた。その領域はベラクルス州南部からタバスコ州北部にかけての低地で、雨の多い熱帯気候のため、度々洪水が起こった。しかし、河川によって肥沃な土地が形成され、神殿を中心とした都市が築かれた。
オルメカの文化は、出土する様々な石像に現れている。人間とジャガーを融合させた神像は、彼らにジャガーを信仰する風習があったことを物語っている。
祭祀場では儀式としての球技が行われ、その際には人間が生贄として捧げられた。また、絵文字や数字を用い、ゼロの概念を持つなど、数学や暦が発達していた。
特徴的な美術としては、巨石人頭像やベビーフェイスと呼ばれる石像が挙げられる。大きな石彫だけでなく、ヒスイのような宝石を使った小さなものもあった。
巨石人頭像は、大きいもので3メートルもの高さがある巨大な石像である。胴体は存在せず、頭部だけが作られたものと考えられている。左右に広がった低い鼻や厚い唇といった顔立ちは、ネグロイド的ともモンゴロイド的ともいわれる。
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