Microsoft Windows 2.x(マイクロソフト ウィンドウズ 2.x)は、マイクロソフトから1987年に発売されたMS-DOS上に動作するオペレーティング環境 (操作環境、Operating Environment)。Microsoft Windows 1.0からの主な変更点は、ウィンドウの表示がオーバーラップ(重ね表示)になったことと、EMSメモリに対応したことである。
Windows 2.x | |
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Microsoft Windows ファミリー | |
開発者 | |
Microsoft | |
リリース情報 | |
リリース日 | 1987年12月9日 |
最新の安定版 | 2.11 - 1989年3月13日 |
ソースモデル | クローズドソース |
ライセンス | Microsoft EULA |
カーネル型 | なし |
先行品 | Windows 1.0 |
後続品 | Windows 3.0 |
サポート状態 | |
サポート終了:2001年12月31日 |
タイル表示しかできなかったWindows 1.0とは異なり、Windows 2.0では複数のウィンドウをお互いに重ねることができるようになった。また、同じアプリケーション内で複数の文書ウィンドウを開くMultiple Document Interface (MDI) アプリケーションの開発をサポートした。Windows 1.0の「アイコン化」 (Iconize) や「ズーム」 (Zoom) に対して「最小化」 (Minimize) や「最大化」 (Maximize) の用語を使うようになった(ただし日本語版ではそれぞれ「アイコン表示」「フルスクリーン表示」)。このデザインはWindows 3.1まで継承された。ただし、Windows 1.xと同様、Windows 2.xアプリケーションはプロテクトモード用に設計されていないため、Windows 3.1以降で動作させるには修正が必要である。
Windows 1.0ではコマンドの頭文字がキーボードショートカットになっていたため、頭文字が重複するとキーを複数回押す必要があったが、Windows 2.0では各項目に対して「ダイレクトアクセスキー」というショートカットキーを割り当てられるようになった。
新しいフォントファイル形式やダイアログボックスで隠れた画面を一時保存するなど、GDIの機能改良によってWindows 1.0と比べ画面表示が高速化された。また、EMSメモリのバンク切り替えをサポートしたため、EMSメモリを搭載した環境ではハードディスクやRAMディスクにスワップする場合に比べオーバーヘッドを減らし、アプリケーションの切り替えが高速化される。
アプリケーション
ツール類
その他のコマンド
このほかPC-9800シリーズでは以下のコマンドの存在が確認できる。
1985年11月に発売されたWindows 1.0は市場では失敗したと見られた。IBMもその競合製品にあたるTopViewがWindowsにすら及ばず、その扱いをどうすべきか決めかねていた。IBMと新OS(後のOS/2)を共同開発していたマイクロソフトは、IBMにWindowsを採用するよう執拗に話を持ちかけた。IBM内部ではアール・ウィーラーが主導していたSystems Application Architecture構想が浮上し、一時は新OSのGUIはグラフィックを専門とするイギリスIBMのチームが扱う予定になっていた。しかしマイクロソフトの必死な呼びかけにより、マイクロソフトはIBMと共同でOS/2とそのGUIとなる「プレゼンテーション・マネージャ」を開発することになった。
この意向は1987年4月2日に正式に発表された。この発表ではプレゼンテーション・マネージャはオーバーラップ方式の画面表示であること。マイクロソフトからもプレゼンテーション・マネージャと同じインターフェイスを搭載したWindows 2.0を供給すること。Windows 2.0はDOSアプリケーションを同時に動かすことができ、OS/2はOS/2アプリケーションを複数またはDOSアプリケーションを単独で動かすことができると発表された。
マイクロソフトのプロダクツマネージャ Mark Mackaman はMS-DOSとOS/2との関係について次のように説明した。
MS-DOSとMicrosoftとOS/2の関係という面ですが、MS-DOSはローエンド向けのものとなるのではないでしょうか?つまり、OS/2にあるようなすべての機能を必要とせず、価格も安いローエンド向けと言うことです。場は、家庭や教育分野です。しかしビジネス環境、オフィス環境では、今後3年から5年のうちに、OS/2が優勢を占めてくると我々は考えています。—Mark Mackaman 「OS/2がやってきた 第1回―「OS/2概観」」、『月刊アスキー』第12巻第2号、1988年、 210-211頁。インタビュー文章より。
また、WindowsとOS/2との関係については次のように説明した。
我々がユーザーに提案する目標や戦略的方向は、MS-DOSのWindows Ver.2.0を採用して、Presentation Managerと同じユーザーインターフェイスを提供するウィンドウ環境を作ると言うことです。そうすれば、ユーザーにとってなじみのあるものになるし、我々がそうできるよう、ユーザーは一つのシステムから別のシステムへ透過的に移行することができます。MS-DOSというプラットホームでWindowsを用いることで、我々は今日の環境であるMS-DOSの環境から明日の環境であるOS/2への移行が容易になることでしょう。—Mark Mackaman 「OS/2がやってきた 第1回―「OS/2概観」」、『月刊アスキー』第12巻第2号、1988年、 210-211頁。インタビュー文章より。
Intel 80386用として開発されたWindows/386とOS/2が競合するのでは、という問いに対しては、Windows内部には新機能はほとんどない上に、プロセス間通信といったOS/2にある多くの機能がWindowsにはなく、あくまでWindowsはMS-DOSからOS/2への橋渡しであると説明した。また翌年のインタビューでは、Windowsはスタンドアローン環境の家庭向け、OS/2はネットワークを利用する中規模以上の企業向けというユーザー層の違いを挙げた。
マイクロソフトは1985年9月のMacintosh版Excel発売直後からWindows版Excelの開発に取り組んでいた。1987年10月6日にWindows 2.0のランタイムを同梱したExcel 2.0の発売とWindows 2.0の発表が行われた。Excel 2.0はInfoworld誌で10点中9.4点を獲得するなど非常に好評を得た。Excel 2.0とWindows 2.0の同時登場は好印象を与えた。1987年11月にアルダス PageMaker、1988年1月にマイクログラフィックス Designer 2.0といったサードパーティの有力なソフトウェアも出始めた。Windows 2.0は月5万本の販売ペースを維持し続け、Windows累計出荷本数は1987年6月時点で25万本とされていたのが1989年初頭には200万本を達成した。しかしながら、この時点でIBM PC互換機は3000万台以上出荷されており、Windowsはまだ十分に普及したと言える状況ではなかった。
Windows 2.0はアメリカでは堅調に売れたが、日本ではアメリカほど売れなかった。1989年5月末に発売された日本語版Excel 2.1は発売時に用意された15万枚のカタログが1ヶ月でなくなるほど注目を集めたが、導入するとなるとメモリやハードディスクなどのハードウェアの増設が必要となり、実質的に30万円ほどの追加費用がかかることが導入のハードルを高くした。日本で1986年9月に発売されたMS-DOS用表計算ソフトのLotus 1-2-3が1989年8月時点で累計20万本の出荷であるのに対して、Excel 2.1は1990年末までに35000本が出荷された。また、そもそもWindowsの土台となるMS-DOS自体が1987年まではアスキーの販売戦略で市販ソフトへの添付を許されていたため、ユーザーがOSを別個に購入する習慣も根付いていなかった。
1988年5月27日、マイクロソフトはWindows 2.1 (Windows/286) とともにWindows/386を発売した。Windows/386はIntel 80386の仮想86モードを利用してDOSアプリケーションの同時実行を実現した。OS/2のDOS互換ボックスは互換性が不完全であったため評判は今ひとつで、WindowsがOS/2よりも優位にたったようにも見えた。このことはユーザーの間でWindowsとOS/2のどちらが主流となるのかという混乱を生じさせた。
1989年11月14日、IBMとマイクロソフトの共同声明で将来のWindowsは次の機能をサポートしないことが発表された。
しかし、この論争はWindows 3.0の発売をきっかけにさらに白熱することになった。
1988年3月17日、Appleは同社が所有するMacintosh System Softwareの著作権を侵害しているとしてマイクロソフトとヒューレット・パッカードに対して訴訟を起こした。アップルは、Macintoshオペレーティングシステムの「ルック・アンド・フィール」は著作権で保護されており、Windows 2.0は同じアイコンを使用しているためこの著作権を侵害していると主張した。裁判官はアップルが訴えた189件の特許案件のうち10件を除き、マイクロソフトとヒューレット・パッカードに有利な判決を下した。この10件にはオーバーラップ方式ウィンドウやアイコン、操作方法が含まれていたが、これらの特許については著作権の保護対象ではないという判断が下され、アップルの訴えは退けられる形となった。
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