『黒い雨』(くろいあめ)は、1989年5月13日より公開された日本映画。
黒い雨 | |
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監督 | 今村昌平 |
脚本 | 石堂淑朗 今村昌平 |
原作 | 井伏鱒二 |
製作 | 飯野久 |
出演者 | 田中好子 北村和夫 市原悦子 三木のり平 |
音楽 | 武満徹 |
撮影 | 川又昻 |
編集 | 岡安肇 |
配給 | 東映 |
公開 | 1989年5月13日 1989年9月17日 |
上映時間 | 123分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
1965年に出版された井伏鱒二の小説『黒い雨』の映画化であり、広島市への原子爆弾(原爆)投下によって人生を変えられた人々の悲劇的な運命を、二次被爆の恐ろしさも交えながら描く。主演の田中好子の演技は高く評価され、公開翌年の第13回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ数々の部門で受賞した。
タイトルは、原爆投下後に降る放射性降下物の一種である黒い雨のことを指している。英語圏では、『Black Rain』(ブラック・レイン)という題名で上映された。
昭和20年8月6日の朝、閑間重松は工場に出勤するため広島市内から列車に乗り込んだが、その直後アメリカ軍により原子爆弾が投下される。その後なんとか帰宅した重松は妻・シゲ子と、海を隔てた知人宅から戻った姪・高丸矢須子の3人で市内から逃げることに。原爆により広島の街は瓦礫の山と化し、多くの怪我人や遺体を間近に見ながら、3人は徒歩で重松の職場である工場にたどり着く。矢須子は海から市内に戻る途中空から降ってきた黒い雨に打たれていたが、被爆した閑間夫妻共々特に大きな症状もなく、工場で寝泊まりしながらそのまま終戦を迎える。
5年後の昭和25年5月、矢須子は福山市で閑間夫妻と暮らし始め、近所には元特攻隊員・悠一や原爆の二次被爆者である重松の友人3人も暮らしていた。結婚適齢期を迎えた矢須子は知人から縁談を持ちかけられるが、二次被爆による健康被害を理由に相手側に断られ、閑間夫妻から心配される。後日三度目の縁談が来て相手も乗り気だったが、数回のデートの後矢須子は原爆投下後に広島市内にいたことを正直に告げると相手家族から断られてしまう。
夏頃シゲ子は、矢須子が嫁に行けないことを不憫に思い祈祷師に見てもらうが、次第にのめり込み精神的に不安定になってしまう。そんな中元気だった重松の友人たちが突然原爆症を発症した後、短期間で亡くなってしまい矢須子も発症への不安を抱き始める。その後矢須子は悠一との日常の触れ合いにより彼の誠実で優しい人柄に気分が癒やされると、後日彼の母が息子と矢須子との結婚を検討してほしいと重松に申し出る。
閑間夫妻が2人の交際を認めようとした矢先、矢須子の体に異変が起き毛髪がごっそり抜け、偶然それを見たシゲ子がショックで1ヶ月後に亡くなってしまう。その後矢須子は重松や悠一の母の手を借りて自宅療養することになり、気分が安定したある日釣りをする叔父と共に近所の池に訪れる。その時池の主である大きな鯉が飛び跳ねるのを2人で目撃するが矢須子が興奮して半狂乱になってしまう帰宅直後に体調を崩した矢須子は、悠一に付き添われて救急車で運ばれることになり、重松は姪の病気が治ることを祈りながら見送る。
あえてモノクロフィルムで撮影を行い、重松の被爆シーン、炸裂する原子爆弾、立ち上るキノコ雲、爆心地に転がる黒焦げの焼死体などを特撮を駆使し、再現している。原爆投下後の広島の惨状は、同じく広島原爆をテーマに制作されたアニメ映画『はだしのゲン』での描写を参考にしている。
劇場公開版やビデオ版では、トラックで矢須子が病院に運ばれる様子を重松が眺める場面でエンドロールとなるが、DVDのデジタルニューマスター版では、矢須子が生き延びて原爆投下から20年後に四国の霊場をヤケドの四十男と共に巡礼として歩く、原作には無いエピソードが19分のカラー映像として描かれている。これは今村監督が当初付け加える予定で撮影したが、迷いに迷った末に完成した作品から削除したものである。その未公開カラー部分は、神が人間を見守るような視線で主人公と戦後の日本人を描いている[要出典]。
庄吉役の小沢昭一は、この映画の撮影時に転落事故を起こして左手手首を骨折した。そのため、映画では原作には無い設定(庄吉は原爆投下の際、腕に大怪我を負ってしまい、それを隠すために包帯を巻いている)が加えられた。小沢は最初から最後まで、左手にギプスをはめた状態で演技をしている。
当初の予定を変更して原作通りの追加撮影をすることになったため、製作費が逼迫してしまった影響からメインスタッフの技師らはノーギャラを宣告されてしまう。スタッフらは「餅代くらいは出すから」と言うプロデューサーの言葉をシャレや冗談だと思っていたが、後日、プロデューサーは本当に市販されている真空パックの切り餅を1個ずつ配った。
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