尹錫悦: 韓国の大統領 、検事

尹 錫悦(ユン・ソンニョル、朝鮮語: 윤석열、1960年12月18日 - )は、韓国の政治家、元検察官。同国第20代大統領(在任: 2022年5月10日 - )。第43代検察総長(在任: 2019年7月25日 - 2021年3月4日)。

尹 錫悦
윤석열
尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張
大統領公式肖像(2022年)

任期 2022年5月10日 – 在任中
首相
  • 金富謙(2022年5月10日 - 5月11日)
  • 秋慶鎬(権限代行、2022年5月12日 - 2022年5月20日)
  • 韓悳洙(2022年5月21日 - 現職)

任期 2019年7月25日2021年3月4日
大統領 文在寅

大韓民国の旗 大韓民国
第59代 ソウル中央地方検察庁検事長
任期 2017年5月22日2019年7月24日
大統領 文在寅

出生 (1960-12-18) 1960年12月18日(63歳)
大韓民国の旗 韓国 ソウル特別市城北区三仙洞
政党 国民の力
出身校 ソウル大学校法科大学卒業
配偶者 金建希
署名 尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張
尹 錫悦
各種表記
ハングル 윤석열
윤성녈(発音)
漢字 尹錫悅
発音: ユン・ソンニョル
日本語読み: いん せきえつ
ローマ字 Yun Seok-yeol
英語表記: Yoon Suk-yeol
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本貫坡平尹氏朝鮮語版。父は経済学者尹起重。第11・12代国会議員李奉模は大叔父(母方の祖母の弟)。

来歴

尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張 
学生時代の尹錫悦(1976年)

出生

1960年12月18日ソウル特別市城北区普門洞にて誕生。1979年ソウル大学校法学科に入学し、大学在学中の1980年5月8日に粛軍クーデター関連の模擬裁判に裁判長役として参加し、クーデターの首魁とされる国務総理申鉉碻に死刑を宣告し、全斗煥に無期懲役を宣告した。模擬裁判後に尹は当面の間、母方の親戚が住む江原道江陵に身を潜めた。司法試験には9年間9回不合格し、1991年の第33回司法試験に10回目で合格。

検事時代

司法研修院23期修了後の1994年に、検事となった。

水原地方検察庁驪州支庁長として勤務中、2013年4月より国家情報院の世論操作事件特別捜査チーム長として活動しながら、検察庁上層部の反対を無視して国家情報院への強制捜索を断行し、国情院職員を逮捕したために、上司の命令への抵抗として停職1ヶ月の懲戒処分となった。またこの積極捜査が朴槿恵政権に疎まれて左遷させられたとされている。

その後、崔順実ゲート事件の特別検事の特別捜査チーム長を務めるために現場に復帰し、2017年5月19日に文在寅政権からソウル中央地検長に任命された。2019年6月17日に文在寅に検察改革を期待されたことにより検察総長候補者に指名された。文は指名時に「大統領府でも政権与党でも権力に不正があれば厳正に捜査せよ」と訓示を行った。

しかし、曺国(元法相)の起訴を起因に文政権と対立するようになり、秋美愛(後任法相)は検察幹部を総入れ替えし、捜査を指揮してきた幹部は済州島などの地検に異動させ、代わりに文に近い人物らを配置した。この事態を韓国紙は「大虐殺人事」と報道した。秋は4ヶ月間で3回捜査指揮権を発動し、尹を事件の捜査より遠ざけた。2020年11月25日に秋は尹による複数の不正の疑いを確認したと発表し、憲政史上初となる尹の職務執行停止を命令したと発表した。これに対し尹は疑惑は事実と異なり、検証過程での説明機会が与えられなかったとし、職務停止命令の執行停止をソウル行政裁判所に申し立て、取り消しを求める訴訟を起こし、12月1日にソウル行政裁判所は30日までの職務停止効力を一時停止する決定を下した。16日に法務部懲戒委員会は尹を2ヶ月停職処分としたが、尹は処分を不当と主張し、停職処分停止をソウル行政裁判所に再度申し立てた。裁判所は24日に尹側の主張を認め、尹は職務に復帰したが、2021年3月4日に辞任を表明した。

大統領選挙出馬

2021年6月に2022年の大統領選挙が近づいていた中、尹は出馬表明していなかったが、支持率調査で野党系候補のトップに立つなど注目を浴びる存在になった。9日に初公開活動として李会榮(抗日独立運動家)の記念館開会式に出席した。4日に高位公職者犯罪捜査処が尹を職権乱用権利行使妨害などの疑いで正式立件し、捜査中であることがわかった。29日に次期大統領選挙出馬を尹奉吉記念館にて公式宣言し、日韓関係改善への意欲を示した。7月30日には国民の力(最大保守派野党)に入党し、60歳で政治家人生を開始した。陣営に各分野の専門家を集めて勉強を重ね、大統領選のテレビ討論も乗り切った。11月5日に「国民の力」大統領選挙公認候補に選出された。

2022年1月にSNSにて20・30代男性有権者へのアピールと見られる『女性家族部廃止』という文言を投稿し、女性団体が反発した。

大統領府の移転を公約として掲げ、大統領当選後に韓国大統領府の名称を「大統領室」に改名し、光化門付近の政府ソウル庁舎・外交部庁舎か、龍山区の国防部庁舎内に移転し、首席秘書官や民情首席室を廃止し「官民合同委員会」を中心とした組織に再編するなどの方針を示したが、政府ソウル庁舎・外交部庁舎への移転は警護面や交通規制などを理由に中止となり、3月20日に国防部庁舎への移転が正式決定となった。移転後は青瓦台の建物と敷地は公園として国民に開放することとなった。

2022年3月3日には安哲秀(国民の党候補)の協力を受け、野党統一候補となった。9日の大統領選挙にて尹は48.56%票を獲得し、李在明共に民主党候補、47.83%票獲得)を0.73%の僅差で破り、第20代大韓民国大統領に当選した。尹は当選後に立候補を取り下げた安を大統領職引継ぎ委員会委員長、張済元国会議員)を次期大統領秘書室長に任命した。4月3日には次期国務総理韓悳洙(元総理)を指名した。

4月13日に政権引受委員会は年齢の数え方について、3種類の計算方法(数え年・年年齢・満年齢)を混用している状況を統一する意向を明らかにし、法・社会的に満年齢を基準とする法改正を2023年までに進める方針も示した。

大統領時代

2022年5月10日に第20代大韓民国大統領に就任し、就任式は汝矣島国会議事堂前で行われ、文在寅朴槿恵も出席し、終了後に龍山区の大統領執務室に向けて出発した。

光復節等における特別赦免(2022 -)

2022年8月12日に尹政権光復節の特別赦免として有罪者1693人に恩赦を与え、釈放し、復権も許可すると発表。交通違反者等を含めると対象者は約60万人となった。対象者は韓国ロッテグループ会長である重光昭夫(辛東彬)サムスングループ実質トップである李在鎔等。

12月27日の閣議では、在任中の収賄や横領の罪で懲役17年の実刑判決が確定した元大統領である李明博の恩赦を決定し、残り約15年の刑期は免除され、選挙権と被選挙権も復権となった(韓国では在任中の罪に問われた大統領経験者が政権交代を機に恩赦となる事例が多く、1997年に元大統領である全斗煥盧泰愚を赦免し、2021年に朴槿恵を赦免)。また28日付で李明博を含む政治家や公職者等 1373人の恩赦を発表。

2023年8月14日には光復節の特別赦免として有罪者2176人に恩赦を与え、釈放し、復権も許可すると発表(15日午前0時発効)。また模範囚821人に対する仮釈放、運転免許や漁業免許等が取り消し・停止となっていた違反者等 約81万人に対しても行政処分を減免した。対象者には政治家や財閥オーナー等が大勢含まれており、李明博政権 企画財政部元長官・政府系韓国産業銀行元会長である姜万洙、元ソウル市江西区長である金泰佑、富栄グループ創業者であるイ・ジュングン、錦湖石油化学グループ名誉会長であるパク・チャング、泰光グループ元会長であるイ・ホジン等、横領・背任等の不正で有罪判決を受けた人物達が含まれていた。またセウォル号沈没事故遺族を不法に調査・監視した元機務司令官であるソ・ガンウォン等の元国軍機務司令部幹部6名も恩赦の対象になった。一方でサムスングループ未来戦略室元室長である崔志成と元次長である張忠基は対象から除外となった。

韓国では光復節等に有罪者に対して特別赦免として行われる恩赦が異常に多い傾向があり、長く続く韓国の恩赦に対し、世間や市民団体からは「重大な経済罪を犯しても結局は政権が赦免するという誤った考えがますます広がる」と、三権分立原則の相違や政経癒着に対する強い非難の声が挙がっている。

文在寅政権による脱北者強制送還事件の捜査

2022年7月6日、尹は韓国文在寅政権による脱北者強制送還事件を「反人道的な犯罪行為」とし、調査に乗り出した。

反北朝鮮・反共主義への転換

文政権の親北朝鮮反日主義から反北朝鮮・反共主義路線へ転換し、文政権に悪化した日韓関係の改善に踏み出した。4年半ぶりに米韓が原子力空母を投入した共同訓練を行い、国連の北朝鮮人権決議案の提起国に加わることを表明した。朝鮮戦争休戦協定締結から69年を迎えた7月27日に北朝鮮平壌で戦勝記念日式典が開催され、金正恩が核戦力を誇示した上で「ふざけるな。南朝鮮(韓国)の尹錫悦政権と軍隊は全滅する」と尹を名指しで非難した。

アメリカ・中国との外交関係

2022年8月にナンシー・ペロシ(アメリカ下院議長)が台湾を訪問し、その足で韓国を訪問した際に尹は休暇中であることを理由にペロシと面談をしなかったこと、ペロシが韓国を離れると間もなく中韓外相会談の実施が発表されたことなどから「アメリカよりも中国を意識した外交姿勢は文在寅政権と変わらないのではないか」と報道された。

2023年6月8日、駐韓中国大使邢海明中国語版は野党・共に民主党の代表、李在明との会談で尹政権の日米との連携を深める外交を非難したため、尹は同月13日の閣議で大使を批判した。

2022年9月の首脳会談

2022年9月に国際連合総会に出席するため、訪米。韓国側は事前に訪米期間中に日韓首脳会談が行われる旨を発表したが、日本側は不快感を表明。韓国側は内閣総理大臣岸田文雄が出席する会議場のビルを突然訪問し、面談時間を設けたが、日本側は会議の内容や会場が準備されていないとして「懇談」として扱ったが、韓国側は一貫して「会談」として扱った。時間は30分間で、懸案事項が解決することはなかった。

米韓首脳会談はバイデン主催による感染症対策基金会合会場を突然訪問する形で、2分間の立ち話が実現した。尹は韓国製電気自動車がアメリカ国内にて差別的待遇を受けているとして不満を表明したが、バイデンは「韓国の憂慮はよくわかっている」と応じたのみであった。会場ではバイデンによる基金への出資表明と記念撮影が行われたが、その際に尹が側近に向けて「こいつら(議員)が議会で可決しなかったら、バイデンのクソメンツは丸つぶれだな」と話し掛けている映像が拡散され、アメリカを侮辱する発言ではないかとして物議を醸した。その後、外交部はこの件について、先に字幕を込めて報道したMBC虚偽報道をしたとして起訴した。2024年1月12日、ソウル西部地方法院は大統領の発言が音声鑑定を通じても内容を確認できないほど不明瞭だとして、原告の勝訴を言い渡し、MBCに訂正報道を命令したが、MBC側は「公権力の行使者である国家や地方自治体が名誉毀損侮辱罪の被害者にはなれない」という大法院の判断に相反するなどとして控訴すると表明した。

ギャラリー

尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張 
キャンプ・デービッド

政策・主張

  • 基本政治思想は反共主義保守主義とされているが、偏った政治思想を極度に強調したことはない。また、まだ不鮮明であるが新自由主義的、財政保守派でもあると言われており、国内的には教育や労働、医療、年金の制度改革を掲げ、外交では対日関係の改善を主軸に据えている。彼は経済自由主義に対する彼の信念に大きな影響を与えたものとして、経済学者のミルトン・フリードマンの1980年の著書『Free to Choose:A Personal Statement』を挙げている。
  • 反日主義を提唱したことはなく、歴代韓国大統領の中では日本に好意的とされており、文在寅政権時代に悪化した日韓関係の改善を大統領就任前より強く提唱していた。父親の尹起重延世大学校名誉教授・経済学者)も日本に好意的とされており、日本語が堪能であり、日韓の学術交流に深く携わり、複数の日本人学者と面識があるとされている。日韓国交正常化の翌年である1966年から一橋大学に留学していた父親が住む東京都国立市アパートに、尹も訪れ、一橋大教授の家で食事をしたこともあるという。2023年5月21日には内閣総理大臣・岸田文雄との会談前に広島平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に総理と共に献花(韓国大統領が慰霊碑に訪れるのは初)などした。一方で、共に民主党等の野党から親日のレッテルを貼られ支持率が低下、政権基盤が揺らいでいる。

施策

内政

  • 大統領執務室を青瓦台から国防省の庁舎に移転。
  • 虐めの加害記録の大学入試への反映と加害記録の保存期間延長の決定。
  • 0歳の乳児に100万ウォン、1歳に50万ウォンの親給与を支給するという児童手当法改正案の議決。
  • 文在寅政権で決定された脱原発方針の撤回と原発の新設決定。
  • 2023年に韓国国内で頻発した凶悪事件に対応するため、警察に低危険拳銃を導入することを発表。
  • 政府予算案でODA予算を40%拡大。
  • 医師不足に対応するため、2025年に医学部の入学定員を1000人以上増員させる方針を発表(尹大統領の任期が2027年5月のため)。
  • コメ価格の安定を目的に超過生産分の政府買い上げを義務付ける糧穀管理法改正案に対し拒否権(再議要求権)を行使。拒否権行使の理由としては国の財政に過度な負担を与える上、過剰生産をあおりかねず、結果的に農業の競争力を低下させる恐れがあると判断したためである。
  • 看護師、専門看護師、看護助務士(看護助手)の業務を明確にし、看護師などの勤務環境・待遇の改善に関する国の責務などを規定する「看護法」制定案に対し拒否権(再議要求権)を行使。拒否権行使の理由としては「関連職域間の過度な葛藤を引き起こしている」「看護業務の(地域社会への拡大による)脱医療機関化が国民の健康に対する不安を招いている」と指摘したため。
  • 地方政策の一環として、「機会発展特区」「教育自由特区」「都心融合特区」「文化特区」を創設することを決定。まず機会発展特区では、その地域に移る企業に固定資産税と法人税を5年間免除するなど、破格的な税制優遇を与えると同時に、自治体自ら規制特例を設計することが可能、2つ目に教育自由特区では競争力のある地域大学30校に1校当たり5年間で1000億ウォンを支援し、教育部大学財政支援事業予算の50%以上(2兆ウォン以上)を地方政府主導に転換するなどの内容、3つ目の都心融合特区では地方に板橋テクノバレーのような場所を複数作ることを目指し、建設規制の緩和、青年創業、人材養成教育プログラムを支援するなどの内容、4つ目の文化特区では地方の観光資源と文化を育てるために政府は3年間、都市別に最大200億ウォンを支援する予定で、また地域経済の活性化に寄与する地域価値創業者を5年間で1000人育成し、地域アイデンティティを盛り込んだローカルブランドを5年間で40個育成することが目標とされている。
  • 新型コロナウイルス流行時の緊急対策として支給した支援金についても8000億ウォンの返還を全額免除
  • エネルギーと原材料費の負担軽減のため、ガス料金を分割納付できる制度を実施し、老朽化した冷暖房設備の交換を支援することを決定。
  • 小規模事業者の金融負担を緩和するため、低利融資の資金として4兆ウォンを来年度(2024年1–12月)予算に反映することを決定。
  • 株式のネイキッド・ショート・セリング(裏付けとなる株式を借りずに行う空売り)が公正な価格形成を損なう懸念があると指摘し、2024年6月まで禁止。
  • 故意に養育費を払わない123人の名簿を公開し、出国禁止や運転免許停止などの措置を取ることを決定。(制度導入は2021年)
  • 超高難度のいわゆる「キラー問題」を大学修学能力試験(修能)から排除することを決定。
  • 食料品予算を5.6%拡大。
  • 農業直払金(農家の所得を保全して経営安定を図るため、政府が市場機能を通じず、財政によって農家に直接所得を補助する制度で「固定直払金」と「変動直払金」に区分して支給している。)を5兆ウォンまで拡大することを決定。
  • 大統領選挙の公約であったゲーム内確率型アイテム(いわゆるソーシャルゲームのガチャなど)の情報公開義務化の法改正。改正法によると、ゲームを制作・配給・提供する業者は、来年3月から確率型アイテムの種類と種類別供給確率情報を該当ゲームやホームページ、広告などに表示しなければならない。
  • 紙コップやプラスチックストローなどの使い捨て用品の使用禁止措置の事実上の撤回。撤回の理由としては事業者の負担が多いこと、ビニール袋の使用率が下がっていることを主張。これに対して環境保護団体などは国際社会の動きに逆行していることや規制措置でビニール袋の使用量が2017年の3810トンから660トンに大幅に減ったことから反発。
  • 「化学物質の登録及び評価等に関する法律」と「化学物質管理法」の審査基準などを下げることを指示。(どちらも過去の化学物質被害を理由に成立した法律)
  • 結婚に伴う贈与財産の課税控除。
  • 住宅公示価格が12億ウォン(時価16億ウォン)以下なら総合不動産税を免除。
  • 現行の法人税課表区間別の税率を1%ポイントずつ下方修正。
  • 半導体などの設備投資に対する大企業の税額控除を現行の6%から8%に拡大。
  • 企業主が家業を譲る際、家業相続控除の中堅企業基準が変更され、売上高が現行の4,000億ウォン未満から5,000億ウォン未満に広がり、控除限度も500億ウォンから600億ウォンに引き上げ。
  • 証券取引税を段階的引き下げ。2023年0.20%→2024年0.18%→2025年0.15%
  • 週の労働時間を52時間までとする現行の労働時間制度の枠組みを維持する一方、一部の業種と職種に限り繁忙期に労働時間を延ばし、閑散期には十分休息を取れるよう制度を柔軟化する方針を決定
  • 健康保険地域加入者が所有する自動車に課す保険料を廃止する方針を決定
  • 労働組合および労働関係調整法改正案と放送関連3法の改正案について拒否権を行使。ハン・ドクス首相は国務会議で「労働関係調整法改正案は交渉当事者とストライキ対象を無理に拡大し、民事上の損害賠償原則に例外を設けることで労使関係を大きく阻害する」と述べ、放送関連3法については「公営放送の独立性と政治的中立性の保障が改正目的だというが、内容を見るとむしろこれとは反対の結果を生む可能性があるという指摘を受けている」と述べた。
  • 自殺率を10年以内に半減させることを目標に、青年の精神健康診断を2年ごとに実施することを決定。しかし反対派からは精神疾患と判定されると履歴が残り、保険加入や雇用などで差別されるという懸念が出ている。
  • 大統領室に「政策室長室」を新設
  • 1日3時間以下で仕事をする短時間勤労者の失業給付を削減することを決定。これまで失業給付は1日2時間しか働かなくても4時間とみなしてきたが、実際に働いて受け取る給料を失業給付が上回る状況だった。 この改正では基礎日額は勤労時間に時給をかけた値で、平均賃金の60%と定めている失業給付算定の基準となる
  • 新生児特例貸出( 新生児出産世帯の住宅購入を最低1.6%、最高3.3%の低金利で融資し支援する制度)を施行
  • 高所得外国人を対象に「ノマドビザ」を試験的に導入。 発給対象は海外企業に所属する外国人でリモートワークが可能な人のうち、同じ業種で1年以上勤務した経歴を持つ人とその家族。また、所得が韓国の前年の1人あたり国民総所得(GNI)の2倍以上、病院での治療と本国への搬送の保障額が1億ウォン以上の個人向け医療保険への加入といった要件を満たす必要がある。
  • 3年以上優秀な成果を上げた公務員に2024年から最大50%の追加成果給を支給。具体的には 昨年と今年の成果評価で最上級(Sランク)となった6級主務官が来年も最上級を維持した場合、成果給支給額の668万ウォンに50%分の334万ウォンを加えた1002万ウォンを受け取ることができる。
  • 目玉政策の一つである航空庁法の成立。 航空庁法は庁長を次官級とする宇宙航空庁を科学技術情報通信部傘下に新設し、米航空宇宙局(NASA)のように宇宙航空政策を汎政府的に掌握させるという内容
  • 食用のために犬を飼育・増殖・食肉処理することを禁止する法案の成立。 食用を目的に犬を食肉処理すると3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金、飼育・増殖・流通すると2年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金に処することにした。 また、犬飼育農場主、犬用食肉処理・流通業者、飲食店のオーナーなどは施設と営業内容を地方自治体首長に申告しなければならず、国や地方自治体は申告した業者の廃業・転業を支援する内容も含まれている。
  • 半導体投資金の税額控除を延長する方針を決定
  • 金融投資所得税の廃止推進並びに韓国版ISA(個人貯蓄口座)の「個人総合資産管理口座」など、個人の資産形成を促進するプログラムを大幅に拡充する方針を決定
  • 国内の生産年齢人口の減少や人手不足を受け、外国人労働者のさらなる活用に向けて滞在期間の延長や雇用許容業種の拡大等制度の大幅な改編に着手
  • 医療機関を過度に利用した患者の健康保険の本人負担率を引き上げ、外国人の健康保険被扶養者資格の取得条件を厳しくする内容の国民健康保険法施行令改正案を告示。改正案によると、年間の外来診療回数が365回を超過した患者の外来診療の本人負担率が90%に引き上げられる。本人負担率は通常20%程度だが、民間医療保険に加入していれば実質的な本人負担率はさらに低くなるため、一部の患者が過度な「ドクターショッピング」をしていると指摘されていた。
  • 携帯電話事業者に対する端末購入補助金の公示義務を廃止し、販売店などでの追加補助金の上限を廃止する方針を決定。 端末機流通法は2014年10月の施行後、違法な補助金の支給が横行していた端末の流通市場を安定させるのに寄与したと評価される一方で、携帯電話事業者がマーケティング費用を削減したことで流通が萎縮し消費者の利益が害されたとの指摘も出ていた。
  • 大型スーパーに対し、休業日を公休日(日曜日や祝日)の中で指定するよう義務付けている規制を廃止するとともに、営業制限時間のオンライン配送も認める方針を決定。 現行の流通産業発展法は地域の小規模商店を保護するため2012年に改正された。同法によると、大型スーパーは午前0時から午前10時までは営業できない。また、月2日の休業が義務付けられており、休業日は原則、公休日の中から指定するよう定めている。大多数の大型スーパーは第2週と第4週の日曜日に休業している。だが、平日の買い物が困難な共働き夫婦や一人暮らし世帯、早朝配送が活性化していない地方を中心に大型スーパーの規制緩和を求める声が出ていた。政府関係者は「大型スーパーの営業規制は小規模商店を保護するために導入されたが、流通市場の競争構造が変化し、国民の不便を過重させているため、規制を見直さなければならない状況」と述べた。
  • 公職者らへの農水産物ギフトの上限額引き上げ。 改正施行令によると、農水産物と農水産加工品の贈り物の上限額は従来の10万ウォンから15万ウォンに上がる。これに伴い、旧正月と秋夕(中秋節)当日の24日前から5日後までに限っては、普段の2倍の30万ウォンまでの贈り物が可能になる。公職者らがやり取りできる贈り物の範囲も広がる。現在認められている「物品」のみにとどまらず、農畜水産物に交換できるオンライン商品券や映画のチケットなども贈ることが可能になる。ただ、すぐに現金化が可能な百貨店商品券などは含まれない。
  • 矯正公務員処遇改善予算を50億ウォン増加。 法務省全体の職員の半数が矯正職の公務員だが、劣悪な職場環境によって忌避職種になった。チュ・ミエ、パク・ボムギェなどの専任法務長官たちは、検察改革などに重点を置いたため、矯正など他の業務には疎かにしたが、就任以来、矯正職の公務員処遇改善を積極的に推進している。
  • CBT弁護士試験の導入。 既存の弁護士試験は、長時間の間、多くの叙述型問題の答案を手書きで書かなければならないし、受験生たちに体力的負担と手首の痛みを誘発するという批判が提起されてきて、答案の作成と採点による受験生・採点者の時間の消耗も多かった。しかも実務書類は全てコンピューターで作成していて、手書きの必要性についての疑問がこれまで提起されてきた。
  • 弁護士試験の障害者受験者の支援拡大。 全盲の受験者については追加時間を現行の1.5倍から1.7倍に増やし、重症肢体障害と重症脳病変障害、弱視者については追加時間を現行の1.33倍から1.4倍に延長することにした。また、値段が高くて使いにくい点字情報端末などの補助工学機器を受験者が希望する場合提供することにし、論述式試験の場合、争点メモと法典照会を楽にできるように、ノートパソコンを活用する障害受験者にはノートパソコンを追加で提供することにした。あわせて障害受験者には個人用キーボードとマウスも許可することにした。
  • ストーカー処罰法などを改正。 ストーカーにおける反意事不罰罪( 被害者が加害者の処罰を望まなければ刑事処罰できない犯罪)廃止、オンラインストーカー関連規定新設、ストーカー加害者に対する位置追跡電子装置付着などを柱とする。このうち、ストーカー反意事不罰罪の廃止は尹大統領の大統領選挙公約でもあった。
  • 死刑執行30年規定の廃止。刑法第77条は「刑を宣告された人については、時効が完成すればその執行が免除される」と規定しており、第78条は死刑の執行時効を30年と規定した。これに対して法務省は当該執行時効を廃止する刑法改正案を立法予告し、国会通過した。
  • 児童虐待処罰法改正推進。児童虐待による殺害が未遂にとどまった場合でも執行猶予なく実刑を宣告するように、児童虐待殺人未遂犯についても児童虐待殺害罪処罰規定を新設することが最も核心的な内容だ。従来は児童虐待による殺害が未遂にとどまった場合、児童虐待処罰法には処罰規定がなく、刑法上殺人未遂罪が適用された。他にも被害児童希望時に保護施設ではない親戚など縁故者にも引き渡せるようにする内容や検査が児童虐待行為者接近禁止など臨時措置の延長・取り消し・変更を裁判所に請求できるようにする内容、児童虐待行為者に治療プログラム履修命令を一緒に課せるようにする内容などが含まれた。
  • デジタルコンテンツ契約法の導入。法務省はデジタルコンテンツ契約法の導入のために民法の一部改正法案を立法予告した。民法第3編(債券編)第2章(契約)では15種の選考契約を規定しているが、選考契約に5条12項からなる「デジタル製品提供契約」を追加してデジタルコンテンツ及び関連サービスに関する取引を規律するのだ。デジタルコンテンツ契約は、その特性上、一般的な物の売買契約と違うが、これを規律する法律がなくて、主に企業の約款を通じて規律されているが、利用者保護が不十分だという理由。
  • 人格標識営利権の導入。法務省は人格標識営利権(パブリシティ権)の導入のために民法の一部改正法案を立法予告した。人格標識営利権は、人が氏名・肖像・音声などの人格標識を営利的に利用する権利で、SNSや動画プラットフォームなどで誰でも有名になれるようになり、その有名になった人格標識を営利に活用できるようになった社会的変化を反映したものである。海外では人格標識の営利権を認める法律や判例が存在し、韓国でも判例が存在するが、相続に関する法的紛争が存在し、権利保護に限界があった。
  • 人格権明文化。人格権を明文化して人格権侵害に対する救済手段を付与する 一部改正法案は人格権を「人の生命、身体、健康、自由、名誉、私生活、氏名、肖像、音声、個人情報、その他の人格的利益に対する権利」と規定しており、人格権が侵害される時に人格権侵害の中止を請求したり、事前にその侵害の予防を請求できるように規定する侵害除去・予防請求権も規定している。これまで人格権は最高裁判所の判例と憲法裁判所の決定例で認められたが、その適用範囲に限界があった。
  • 犯罪被害者の支援を一元的に対応する犯罪被害者ワンストップソリューションセンター開設
  • 犯罪被害者国選弁護士支援拡大及び裁判記録閲覧・等辞権保障推進。 従来は性暴力、児童・障害者虐待、人身売買、ストーカー被害者だけが国選弁護士の支援範囲に含まれていたが、改正案は殺人・強盗・組織暴力など特定強力犯罪法に列挙された特定強力犯罪の被害者も支援範囲が拡大する内容を含んでいる。また、19歳未満の被害者と心身微弱障害者被害者は義務的支援対象になる。また、被害者の裁判記録閲覧・等事申請を裁判所が棄却する場合、上級審でこれを争うように不服手続き(即時抗告・再抗告)を設ける内容も改正案に含まれた。特に被害者国選弁護士支援対象犯罪については、被害者の身辺保護・権利救済の必要性が認められる場合に、裁判記録の閲覧・等事を原則的に許容する特例規定も盛り込んでいる。
  • 学業達成度評価の拡大。助けが必要な学生を正確に把握して支援を強化する為であり、基礎学力検査結果と教師・親の意見などを基に学習支援学生を選定できるように定めている。基礎学力未達の学生を学年の初めに選別して、遅れないように足りない部分を補充する。政府は基礎学歴未達の学生に対する「診断」と「支援」を一緒に強化することにした。まず、既存の小学校1年生から高校1年生を対象にしていた「基礎学力診断・補正システム」の受験対象を2024年から高校2年生までに拡大する。基礎学力診断・補正システムは、学生が基礎学歴を備えているか分析して支援するシステムで2012年に導入された。学業達成度をレベル別に評価するのではなく、基礎学歴未達かどうかだけ選別する。
  • 教権侵害範囲拡大。これにより、授業時間に教師の指導に従わずに教室を歩き回ったり、机に横になったりするなど、意図的な授業妨害行為も教権侵害とみなされ、ボランティア活動、特別教育、出席停止などの懲戒措置が可能になり、最終的には強制転校、(高校限定)退学処分も可能になる。
  • 教師-親間の相談規律。教師と保護者はお互いに相談を要請することができ、相手の相談要請に応じなければならない。この場合、相談の日時や方法などについて、教師と保護者は事前に協議しなければならない。教師は勤務時間外または職務範囲外の相談について拒否することができ、相談中に暴言・脅迫・暴行が起きた時に相談を中断することができる。
  • 専門家による検査・相談・治療勧告。教員は保護者に専門家による学生検査・相談・治療を勧告する助言をすることができる。
  • 学生・親の異議申し立て権規律。教員の生活指導について、学生または保護者が学校長に異議申し立てをして回答を受ける権利を明示し、学生・親の権利が萎縮しないようにする。
  • ワクチン被害補償支援センターの設置。
  • 地方ドクターヘリの追加導入及び救急医療体系改編。 大田・忠北と釜山・蔚山・慶南、京畿北部・春川、江原永東など4か所に2025年までにドクターヘリコプターを追加導入し、3年以内にドクターヘリコプターを従来8台から12台まで増やして応急搬送システムを強化するという計画を盛り込んだ。また、ドクターヘリの出動要請基準も「救急車の運行が不可能な場合」、「ドクターヘリが必ず必要な場合」で曖昧だったことを、救急車ではゴールデンタイムを守れない医療脆弱地にまず割り当てて、患者症状・事故タイプ別に出動対象を具体的に定めることで改善。
  • 不法診療費の差し押さえ迅速化。 検察の起訴から財産差し押さえまでかかる期間が約5ヶ月から1ヶ月に短縮。
  • 伝統的に数え年を廃止し、代わりに誕生日を基準に年齢を重ねていく「満年齢」を採用。 尹大統は従来の数え方だと「不必要な社会的・経済的コスト」が生じていると主張し、これまで、保険金の支払いや政府補助の受給資格の決定をめぐって問題が起きてきた。
  • 天安艦沈没事件など北朝鮮が行った事件を歴史教科書に明示
  • 竦病(成長板が閉まる前に骨の骨化作用に問題が起きて発生する一連の骨障害)治療薬の健康保険適用
  • 国家賠償制度の改善。以前までは 国の過ちで怪我をしたり亡くなった人の賠償額を算定する時、徴兵された男性は就職可能期間から軍服務期間18ヶ月が除外される問題があったが、改善された。 例えば国の過ちで亡くなった男性、女性がいると仮定すると、現行の法では、賠償金算定時に男の子の遺族が2千682万ウォンほど少なく受けることになるが、軍服務期間も就職可能期間に含めるようにして男女間の公平性を合わせた。
  • 予備軍訓練参加大学生の不利益禁止を法制化。以前まで一部の大学では予備役の訓練で授業の出席が出来なかった学生に対して、出席点の削減など不利益が生じていた。
  • TOEICなど公認英語試験の成績認定期間を既存の2年から5年に拡大
  • 経済活性化を目的に45万人の恩赦を決定
  • ニュース専門局YTNの売却承認

外交 ・安全保障

  • 日韓通貨スワップ協定の再開合意。
  • 岸田首相と共に日韓シャトル外交を再開
  • 戦時下のウクライナ訪問と大規模な財政支援策、ロシアに対する経済制裁
  • フィリピンとの自由貿易協定署名
  • サウジアラビア訪問で、エネルギー、インフラ、電気自動車などの新産業分野で投資MOUと契約51件(合計156億ドル)を締結することを発表
  • カタール訪問では、約46億ドル規模の契約またはMOUを締結し、両国関係を「包括的戦略パートナー関係」に格上げすることを発表
  • UAEと包括的経済連携協定(CEPA)交渉の最終妥結を確認する共同宣言文に署名。これにより自由貿易協定(FTA)の一種であるCEPAを締結
  • グリーン気候基金に3億ドルを供与
  • 国連にデジタル倫理規範を議論し、提示するための国際機関の設置を提案
  • 米国の核戦力の運用などについて話し合う「米韓核協議グループ」の創設と有事の際に韓国が「米韓核協議グループ」を通じ、情報を詳細に理解し、発言できる体制を整えるほか、弾道ミサイル搭載可能な原子力潜水艦を韓国に派遣することなどを盛り込んだワシントン宣言を採択。なお宣言にはには韓国が独自の核開発兵器計画を追求しないという新たな誓約も含まれる
  • 文在寅政権が2019年に破棄を通告した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、破棄通告を撤回
  • 2023年にイスラエルで発生した2023年パレスチナ・イスラエル戦争の対応で同国に滞在する韓国人、日本人、シンガポール人を韓国軍用機に乗せ、退避
  • 12カ国に在外公館を新設。(新たに在外公館が設置されるのは、ルクセンブルクリトアニアマーシャル諸島ボツワナスリナムスロベニアシエラレオネアルメニアエストニアジャマイカザンビアジョージアで、このうちボツワナとスリナムには大使館の前段階にあたる分館が、そのほかは大使館が置かれる。ジャマイカとジョージアはすでにある分館が大使館に格上げされる。)
  • 北朝鮮の弾道ミサイル情報を日米韓3カ国で即時共有するシステムの運用開始。(日米、韓米はミサイル情報をシステムを通じリアルタイムで共有しているが、日韓は事後共有にとどまってきた。)
  • 韓米の対北朝鮮戦略を10年ぶりに改定し、「米国の核能力を含む軍事力を活用する」という内容を規定
  • 米国の早期警戒衛星のデータをリアルタイムで両国が共有することで合意
  • 中国企業などが韓国メディアを装って開設した親中・反米コンテンツを配信するサイトを遮断
  • 日韓農林水産技術協力委員会を5年ぶりに会合開催
  • 韓国、イギリスの関係を「包括的・創造的パートナーシップ」から「グローバル戦略的パートナーシップ」に格上げ
  • アジア太平洋地域の薬物犯罪に共同で対応する「アジア麻薬情報協力体」の発足準備。協力体では薬物犯罪の関連情報を加盟国と共有し、違法薬物の流通経路を共同で追跡するなど多国間の協力関係へと発展させる方針
  • 南北軍事合意の効力を一部停止
  • オランダと国防協力に関する覚書(MOU)を締結
  • オランダと半導体同盟を構築することを発表。共同声明では 外交・経済担当閣僚による経済版2プラス2を新設し隔年で会議を開くことや包括的に安保を取り扱う実務者協議、サイバー政策協議会などの開催が盛り込まれた
  • 東京に観光企業支援センターを開所。 韓国政府が海外に観光企業支援センターをオープンするのは、シンガポールに続き2カ所目
  • 韓国防衛事業庁に最先端技術力を保有した先進国と国際協力事業を専門担当する「国際協力事業開発チーム」を新設
  • 「精神戦力教育基本教材」に「独島(竹島)問題など領土紛争も進行中であり、いつでも軍事的衝突が発生するおそれがある」と記述されていたため、即時に回収を命令
  • 日本の能登半島地震に300万ドルを支援
  • キューバと外交関係を樹立

人物

  • 正義感の強い人物とされている。保守派の朴槿恵政権時代は、大統領選に絡んだ世論工作の捜査が政権の不興を買い、左遷された。朴の友人による国政介入事件では、朴の捜査・公判を指揮した。以上の理由から進歩派の文在寅政権により検事総長に抜擢されたが、文政権による脱北者強制送還を非難したり、文の側近を巡る不正に対する捜査を指揮するなど「反・文在寅」の象徴として国民的な人気を集めた。
  • 司法試験には9年間9回不合格し、1991年の第33回司法試験に10回目で合格。司法浪人の原因は全斗煥模擬裁判が影響したとされている。司法研修院23期修了後の1994年に33歳で検事人生を開始した。
  • 2012年3月に50代で初婚で金建希と結婚した。子女はいない。
  • 大統領就任後は、日本との関係改善や日米韓3か国の協力立て直しを掲げる。
  • 兵役未経験者であり、1980・1981年に2回兵役を延期したが、1982年に不同視を理由に兵役免除処分となった。
  • 尊敬する人物はウィンストン・チャーチルであり、ナチス・ドイツに妥協せずに国民を説得しながら困難を突破し、自由民主という秩序を回復させたことが理由であるという。
  • 趣味は歌・料理・動物関係。得意料理はチゲ・パスタ・オムレツ。保護犬や保護猫を飼育している。日本食では盛りそばうどんうな重が好きで、孤独のグルメは欠かさず見ているという。
  • 本貫は坡平尹氏であり、父方祖先は朝鮮王朝時代に公州にて儒学者を代々輩出してきた名門の家柄である。両親は共に学者であり、父親の尹起重延世大学名誉教授・経済学者)の影響で幼少時より経済学の書籍を多く読んできたとされており、ミルトン・フリードマンのような通貨主義者的見解下で自由市場を擁護し、アダム・スミスの『国富論』の該当の一節を引用するなど、経済に精通しているとされている。母親は梨花女子大学校にて教鞭を取っていた。
  • 大統領選挙の党内予備選挙中に全斗煥(民主化運動を弾圧した元大統領)の功績を認めるような発言を行ったことを批判され、リンゴの写真をSNSに投稿した(朝鮮語でリンゴ(沙果)と謝罪(謝過)は共に「사과」という同音異義語)。「国民を犬に見立てて謝っている」と批判された。
  • 2022年9月に訪米しニューヨークジョー・バイデン米国大統領と会談した際に卑俗な言葉を口走ったような映像が報じられた辺りから、報道機関(特に反政権寄りな報道をする韓国MBC等)に対して強硬姿勢を見せるようになった。韓国MBCに対しては、偏向報道を理由に大統領外遊の際の大統領専用機への搭乗を拒否されている。
  • 信念に大きな影響を与えたものとして、経済学者のミルトン・フリードマンとフリードマンの1980年の著書『Free to Choice: A Personal Statement』を挙げている。

語録

  • 「100年前の歴史で日本は許し請えという考えは受け入れられない」(日韓歴史問題に対して)
  • 「鳥は飛ぶ方向が決まっていてこそ左の翼と右の翼が力を合わせることができる」
  • 「1+1を100と言う人たち」(福島第一原子力発電所処理水放出に反対する進歩派に対して)
  • 「国民はいつも無条件に正しい。どんな批判にも言い訳をしてはいけない」
  • 「軍が強力な力で国の安全保障を守るとき、国民も皆さんを信頼して経済活動を行い、雇用を生み成長していける」
  • 「敵には恐怖を、国民には信頼を与える強い軍隊を作るために最善を尽くす」
  • 「 国ごとに軍事力の大きさは異なるが私たち全員が固く連帯して力を集め、そして原則に基づいて一貫して行動するとき、いかなる違法な挑発も防ぐことができます」
  • 「国民の安全を守ることが、国家の最初の存在理由であることを胸に深く刻んでください」
  • 「皆さんの汗と献身が大韓民国の産業の基礎であり、皆さんの人生が我が国の現代史でした。見知らぬ環境と危険な現場の中で、家族と故国に対する責任感が今日の皆さんと大韓民国を作り出しました」
  • 「われわれが今日享受する自由と繁栄はお年寄りの血と汗のおかげ。共産勢力から自由な韓国を守り、自由民主主義と市場経済に基づき成長の礎を築いたお年寄りの方々の献身を忘れない」
  • 「今日の韓国は国連軍の犠牲と献身、血塗られた軍服の上に成り立っている。70年間守ってきた自由の価値が未来に引き継がれるよう最善を尽くす」
  • ハーバード大での懇談会で質問として「K-POPが世界で愛されている理由」を尋ねられた際に「政府が関与しなかったから」と答え、「今後も精いっぱい支援するが、皆さんの仕事に一切介入や関与はしない」と述べた。 また「米国民が韓国に好感を持つようになったのは、多くの盛大な行事より歌の1小節(の影響が)はるかに大きいことが分かった」とも述べた。
  • 国家が発展する段階では歴史的、政治的な状況によって、革命、民族主義的、国家主義的な理念によって、国の政治、経済、社会秩序が形成される場合が多い。結局、究極的な終着点は、自由主義という普遍的な価値を追求するところに行かなければならない。ある共同体が侵略勢力から攻撃を受ける時、共同体構成員たちや自由人たちが、自分たちの自由を守るためには一緒に力を合わせなければならない。経済的、社会的に非常に劣悪な地位にある人々は、事実上法的に自由人だとしても、奴隷と変わらない。一緒に力を合わせ、困っている人を助けなければならない。自由と連帯はほぼ同じ概念だ。連帯によって自由を守ることができ、自由人は連帯して、社会の構成員全ての人々が一人も欠かさず自由を享受できるようにしなければならない。近代以降に、人類が文明を発展させてきた動力は、まさに自由だと思う。韓国も日本も先進7か国(G7)もまさに、自由、人権、連帯、法治という、持続可能な普遍的価値を国家の根本秩序としている。そのような普遍的価値を共有する国家同士は、国際社会でより強力に連帯できる。普遍的価値を共有しているため、互いにシステムが似ているし、互いに信頼でき、相手がどのように対応するのか予測可能だ。このような普遍的価値を共有する国家間の予測可能性が、国家(同士)を強力に結びつけることができるとみている。
  • ソウルと東京は、(飛行機で)2時間の距離しかない。韓国と日本の首脳や閣僚たちは何か懸案がある時、すぐに会って解決し、誤解を解いて、協力の方法を議論することは、地政学的にも非常に条件がいい。なぜしないのだろうか。シャトル外交が重要と思う。欧州諸国の首脳同士の関係を見て、それをしないこと自体が、おかしいと考えた。とにかく機会があれば、私や閣僚が日本とのシャトル外交をもう少し強化し、両国当局者の間で頻繁に会えるようにしてみようと思う。
  • 日本への印象を聞かれ、「 学生の時に思ったことは、先進国らしくきれいだということだ。日本の方々は正直で、(何事にも)正確だということを多く感じた。一橋大の教授の家にも招待されて食事をした。とても美しい記憶として残っている。また、私は日本の食べ物が好きだ。盛りそばやうどん、うな重などが好きで、今も(日本のテレビドラマ)「孤独のグルメ」が(韓国の)テレビで流れていれば必ず見る。」
  • 「北朝鮮が挑発してくるなら私たちは何倍にも懲らしめる」閣議でこう述べた上で「『戦争か平和か』と脅す戦術はもはや通用しない」とも述べた。
  • 北朝鮮人は、自由、人権、繁栄を享受する権利を持っている私たちと同じような人々です。私たちは彼らを温かく受け入れる必要があります。政府は北部の人々が私たちの社会にうまく定着するのを助けるために注意と支援を惜しまないでしょう。

脚注

注釈

出典

外部リンク

公職
先代
文在寅
尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張  大韓民国大統領
第20代∶2022年5月10日 - 現職
次代
現職
先代
文武一朝鮮語版
尹錫悦: 来歴, ギャラリー, 政策・主張  大韓民国検察総長
2019年7月 - 2021年3月
次代
金五洙朝鮮語版

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