尹 錫悦(ユン・ソンニョル、朝鮮語: 윤석열、1960年12月18日 - )は、韓国の政治家、元検察官。同国第20代大統領(在任: 2022年5月10日 - )。第43代検察総長(在任: 2019年7月25日 - 2021年3月4日)。
尹 錫悦 윤석열 | |
大統領公式肖像(2022年) | |
任期 | 2022年5月10日 – 在任中 |
---|---|
首相 | |
任期 | 2019年7月25日 – 2021年3月4日 |
大統領 | 文在寅 |
任期 | 2017年5月22日 – 2019年7月24日 |
大統領 | 文在寅 |
出生 | 1960年12月18日(63歳) 韓国 ソウル特別市城北区三仙洞 |
政党 | 国民の力 |
出身校 | ソウル大学校法科大学卒業 |
配偶者 | 金建希 |
署名 |
尹 錫悦 | |
---|---|
各種表記 | |
ハングル: | 윤석열 윤성녈(発音) |
漢字: | 尹錫悅 |
発音: | ユン・ソンニョル |
日本語読み: | いん せきえつ |
ローマ字: | Yun Seok-yeol |
英語表記: | Yoon Suk-yeol |
1960年12月18日にソウル特別市城北区普門洞にて誕生。1979年にソウル大学校法学科に入学し、大学在学中の1980年5月8日に粛軍クーデター関連の模擬裁判に裁判長役として参加し、クーデターの首魁とされる国務総理の申鉉碻に死刑を宣告し、全斗煥に無期懲役を宣告した。模擬裁判後に尹は当面の間、母方の親戚が住む江原道江陵に身を潜めた。司法試験には9年間9回不合格し、1991年の第33回司法試験に10回目で合格。
司法研修院23期修了後の1994年に、検事となった。
水原地方検察庁驪州支庁長として勤務中、2013年4月より国家情報院の世論操作事件特別捜査チーム長として活動しながら、検察庁上層部の反対を無視して国家情報院への強制捜索を断行し、国情院職員を逮捕したために、上司の命令への抵抗として停職1ヶ月の懲戒処分となった。またこの積極捜査が朴槿恵政権に疎まれて左遷させられたとされている。
その後、崔順実ゲート事件の特別検事の特別捜査チーム長を務めるために現場に復帰し、2017年5月19日に文在寅政権からソウル中央地検長に任命された。2019年6月17日に文在寅に検察改革を期待されたことにより検察総長候補者に指名された。文は指名時に「大統領府でも政権与党でも権力に不正があれば厳正に捜査せよ」と訓示を行った。
しかし、曺国(元法相)の起訴を起因に文政権と対立するようになり、秋美愛(後任法相)は検察幹部を総入れ替えし、捜査を指揮してきた幹部は済州島などの地検に異動させ、代わりに文に近い人物らを配置した。この事態を韓国紙は「大虐殺人事」と報道した。秋は4ヶ月間で3回捜査指揮権を発動し、尹を事件の捜査より遠ざけた。2020年11月25日に秋は尹による複数の不正の疑いを確認したと発表し、憲政史上初となる尹の職務執行停止を命令したと発表した。これに対し尹は疑惑は事実と異なり、検証過程での説明機会が与えられなかったとし、職務停止命令の執行停止をソウル行政裁判所に申し立て、取り消しを求める訴訟を起こし、12月1日にソウル行政裁判所は30日までの職務停止効力を一時停止する決定を下した。16日に法務部懲戒委員会は尹を2ヶ月停職処分としたが、尹は処分を不当と主張し、停職処分停止をソウル行政裁判所に再度申し立てた。裁判所は24日に尹側の主張を認め、尹は職務に復帰したが、2021年3月4日に辞任を表明した。
2021年6月に2022年の大統領選挙が近づいていた中、尹は出馬表明していなかったが、支持率調査で野党系候補のトップに立つなど注目を浴びる存在になった。9日に初公開活動として李会榮(抗日独立運動家)の記念館開会式に出席した。4日に高位公職者犯罪捜査処が尹を職権乱用権利行使妨害などの疑いで正式立件し、捜査中であることがわかった。29日に次期大統領選挙出馬を尹奉吉記念館にて公式宣言し、日韓関係改善への意欲を示した。7月30日には国民の力(最大保守派野党)に入党し、60歳で政治家人生を開始した。陣営に各分野の専門家を集めて勉強を重ね、大統領選のテレビ討論も乗り切った。11月5日に「国民の力」大統領選挙公認候補に選出された。
2022年1月にSNSにて20・30代男性有権者へのアピールと見られる『女性家族部廃止』という文言を投稿し、女性団体が反発した。
大統領府の移転を公約として掲げ、大統領当選後に韓国大統領府の名称を「大統領室」に改名し、光化門付近の政府ソウル庁舎・外交部庁舎か、龍山区の国防部庁舎内に移転し、首席秘書官や民情首席室を廃止し「官民合同委員会」を中心とした組織に再編するなどの方針を示したが、政府ソウル庁舎・外交部庁舎への移転は警護面や交通規制などを理由に中止となり、3月20日に国防部庁舎への移転が正式決定となった。移転後は青瓦台の建物と敷地は公園として国民に開放することとなった。
2022年3月3日には安哲秀(国民の党候補)の協力を受け、野党統一候補となった。9日の大統領選挙にて尹は48.56%票を獲得し、李在明(共に民主党候補、47.83%票獲得)を0.73%の僅差で破り、第20代大韓民国大統領に当選した。尹は当選後に立候補を取り下げた安を大統領職引継ぎ委員会委員長、張済元(国会議員)を次期大統領秘書室長に任命した。4月3日には次期国務総理に韓悳洙(元総理)を指名した。
4月13日に政権引受委員会は年齢の数え方について、3種類の計算方法(数え年・年年齢・満年齢)を混用している状況を統一する意向を明らかにし、法・社会的に満年齢を基準とする法改正を2023年までに進める方針も示した。
2022年5月10日に第20代大韓民国大統領に就任し、就任式は汝矣島の国会議事堂前で行われ、文在寅と朴槿恵も出席し、終了後に龍山区の大統領執務室に向けて出発した。
2022年8月12日に尹政権は光復節の特別赦免として有罪者1693人に恩赦を与え、釈放し、復権も許可すると発表。交通違反者等を含めると対象者は約60万人となった。対象者は韓国ロッテグループ会長である重光昭夫(辛東彬)やサムスングループ実質トップである李在鎔等。
12月27日の閣議では、在任中の収賄や横領の罪で懲役17年の実刑判決が確定した元大統領である李明博の恩赦を決定し、残り約15年の刑期は免除され、選挙権と被選挙権も復権となった(韓国では在任中の罪に問われた大統領経験者が政権交代を機に恩赦となる事例が多く、1997年に元大統領である全斗煥と盧泰愚を赦免し、2021年に朴槿恵を赦免)。また28日付で李明博を含む政治家や公職者等 1373人の恩赦を発表。
2023年8月14日には光復節の特別赦免として有罪者2176人に恩赦を与え、釈放し、復権も許可すると発表(15日午前0時発効)。また模範囚821人に対する仮釈放、運転免許や漁業免許等が取り消し・停止となっていた違反者等 約81万人に対しても行政処分を減免した。対象者には政治家や財閥オーナー等が大勢含まれており、李明博政権 企画財政部元長官・政府系韓国産業銀行元会長である姜万洙、元ソウル市江西区長である金泰佑、富栄グループ創業者であるイ・ジュングン、錦湖石油化学グループ名誉会長であるパク・チャング、泰光グループ元会長であるイ・ホジン等、横領・背任等の不正で有罪判決を受けた人物達が含まれていた。またセウォル号沈没事故遺族を不法に調査・監視した元機務司令官であるソ・ガンウォン等の元国軍機務司令部幹部6名も恩赦の対象になった。一方でサムスングループ未来戦略室元室長である崔志成と元次長である張忠基は対象から除外となった。
韓国では光復節等に有罪者に対して特別赦免として行われる恩赦が異常に多い傾向があり、長く続く韓国の恩赦に対し、世間や市民団体からは「重大な経済罪を犯しても結局は政権が赦免するという誤った考えがますます広がる」と、三権分立原則の相違や政経癒着に対する強い非難の声が挙がっている。
2022年7月6日、尹は韓国文在寅政権による脱北者強制送還事件を「反人道的な犯罪行為」とし、調査に乗り出した。
文政権の親北朝鮮・反日主義から反北朝鮮・反共主義路線へ転換し、文政権に悪化した日韓関係の改善に踏み出した。4年半ぶりに米韓が原子力空母を投入した共同訓練を行い、国連の北朝鮮人権決議案の提起国に加わることを表明した。朝鮮戦争休戦協定締結から69年を迎えた7月27日に北朝鮮平壌で戦勝記念日式典が開催され、金正恩が核戦力を誇示した上で「ふざけるな。南朝鮮(韓国)の尹錫悦政権と軍隊は全滅する」と尹を名指しで非難した。
2022年8月にナンシー・ペロシ(アメリカ下院議長)が台湾を訪問し、その足で韓国を訪問した際に尹は休暇中であることを理由にペロシと面談をしなかったこと、ペロシが韓国を離れると間もなく中韓外相会談の実施が発表されたことなどから「アメリカよりも中国を意識した外交姿勢は文在寅政権と変わらないのではないか」と報道された。
2023年6月8日、駐韓中国大使の邢海明は野党・共に民主党の代表、李在明との会談で尹政権の日米との連携を深める外交を非難したため、尹は同月13日の閣議で大使を批判した。
2022年9月に国際連合総会に出席するため、訪米。韓国側は事前に訪米期間中に日韓首脳会談が行われる旨を発表したが、日本側は不快感を表明。韓国側は内閣総理大臣岸田文雄が出席する会議場のビルを突然訪問し、面談時間を設けたが、日本側は会議の内容や会場が準備されていないとして「懇談」として扱ったが、韓国側は一貫して「会談」として扱った。時間は30分間で、懸案事項が解決することはなかった。
米韓首脳会談はバイデン主催による感染症対策基金会合会場を突然訪問する形で、2分間の立ち話が実現した。尹は韓国製電気自動車がアメリカ国内にて差別的待遇を受けているとして不満を表明したが、バイデンは「韓国の憂慮はよくわかっている」と応じたのみであった。会場ではバイデンによる基金への出資表明と記念撮影が行われたが、その際に尹が側近に向けて「こいつら(議員)が議会で可決しなかったら、バイデンのクソメンツは丸つぶれだな」と話し掛けている映像が拡散され、アメリカを侮辱する発言ではないかとして物議を醸した。その後、外交部はこの件について、先に字幕を込めて報道したMBCを虚偽報道をしたとして起訴した。2024年1月12日、ソウル西部地方法院は大統領の発言が音声鑑定を通じても内容を確認できないほど不明瞭だとして、原告の勝訴を言い渡し、MBCに訂正報道を命令したが、MBC側は「公権力の行使者である国家や地方自治体が名誉毀損や侮辱罪の被害者にはなれない」という大法院の判断に相反するなどとして控訴すると表明した。
公職 | ||
---|---|---|
先代 文在寅 | 大韓民国大統領 第20代∶2022年5月10日 - 現職 | 次代 現職 |
先代 文武一 | 大韓民国検察総長 2019年7月 - 2021年3月 | 次代 金五洙 |
This article uses material from the Wikipedia 日本語 article 尹錫悦, which is released under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 license ("CC BY-SA 3.0"); additional terms may apply (view authors). コンテンツは、特に記載されていない限り、CC BY-SA 4.0のもとで利用可能です。 Images, videos and audio are available under their respective licenses.
®Wikipedia is a registered trademark of the Wiki Foundation, Inc. Wiki 日本語 (DUHOCTRUNGQUOC.VN) is an independent company and has no affiliation with Wiki Foundation.