同音異義語(どうおんいぎご)またはホモフォン(英語: homophone)とは、発音は同じだが、互いに区別される語。
日本語では漢語に同音異義語が多く見られる。中国語では声調によって区別されていた語が、日本語では同音になってしまう例が多数起きた。また、日本語に導入された当初は区別されていた語が、のちの音韻変化で合流し、同音異義語になる例も多い。
きしゅ(奇手、鬼手)、じょうせき(定石、定跡)、かいほう(解放、開放)、とくしゅ(特殊、特種)、へいこう(平行、並行)のように似た意味の場合もあれば、へんざい(偏在、遍在)、れいぐう(冷遇、礼遇)、きょうえん(競演、協演)、ふかつ(賦活、不活)、ばいしゅん(売春、買春)などのようにほぼ正反対の意味になる場合もある。
しょくじけん(食事券)、きもの(着物)のように、それ自体は同音異義語ではないが、丁寧語にすると同音異義語が生じる例もある(おしょくじけん(お食事券、汚職事件)、おきもの(お着物、置き物))。
日本語において最も同音異義語が多いとされる熟語は「こうしょう」であり、『スーパー大辞林3.0』では48語が該当する(交渉・考証・工匠・高尚・鉱床・口承・厚相・哄笑・公称・工廠・公証・公娼・校章など)。『広辞苑』第6版には50もの仮名見出しがある。
説明読みは、正式な読み方ではないが、誤解を避けるため、機に応じて行われている読み方である。同音異義語の読み分けにも用いられており、国語辞典の見出し語として用いられるものもある。
具体的には、下記のようなものがある。
中国語には、中古漢語は約3500個音であるし、現代北京語には約1200個音あり、広東語には約1800個音がある。その結果、中国語を表す文字である漢字を日本語に導入した事で、音に違いは無くとも意味を区別出来るさまざまな表記の組み合わせが生まれた。
朝鮮語では、開音節と閉音節が存在するので、日本語よりは同音異義語が少ないが[要出典]、日本語と同じく声調の区別は無く、また無声音と有声音の対立がなく、母音の長短は表記されないので(日本語はニンギョとニンギョーなど長音の区別があるため単純計算で2倍)、やはり漢語には同音異義語は多い。例えば검사(コムサ:検査・検事)、독자(トクチャ:独自・読者)、실업(シロプ:実業・失業)、사과(サグァ:沙果・謝過)のように日本語もしくは漢字表記ならば区別できるものもある。このため一般に普及しているハングル専用表記では同音異義がしばしば問題となり、文脈からの判断が難しい場合は漢字が併記される場合がある。
カタカナ表記における英語のLight(ライト:光)とRight(ライト:正しい、右)のように、ある言語が外来語を示す際、自国語の表音文字では表記できない(≒発音できない)音素があるとき、代替文字に複数の音素を内包させざるを得ない(または足りない音素を省略する)ために同音異義語は増えてゆく。シルバーシートなど座席のことを日本語のカタカナで「シート」と表記するが、この英語は seat [siːt]、一方、切手シートなど一枚の紙や一枚の敷布も日本語のカタカナで「シート」と表記するが、これに対応する英単語はsheet [ʃiːt] である。この二つの単語は、英語では文字も発音も違うが、日本語では区別できない。
日本語の漢字の音読みでは、かつて「収集(しうしふ)」「少将(せうしゃう)」「葬送(さうそう)」などは発音・表記共に区別していたが、それぞれ「しゅうしゅう」「しょうしょう」「そうそう」と発音が単純化され、本来は異音であった単語が同音語へと変わり、結果として多くの同音異義語が生まれた。
また、韓国語では頭音法則により同音異義語が増大している。たとえば이해(イヘ:異解)と리해(リヘ:理解)、北の朝鮮語ではこれらの2つの熟語を区別できるが、南の韓国語では語頭の子音のㄹ(ラ行)を忌避しているために2つとも이해(イヘ:異解・理解)となっている。
英語においては、日本語よりもはるかに音素の数が多く(例えば日本語の「ア」に相当する音が、ӕ、a、ɑ、ʌ、əの5種類存在する)、同音異義語の数ははるかに少ない。ただし音素の数に対して文字の数が少ないので、表記と発音の不一致という問題が生じている。
もっとも、少ないながらもいくらかの例が見受けられ(antとaunt、capitalとcapitol、gorillaとguerrilla、knowとno、rightとwriteとriteとwright、sonとsun、nightとknight、meetとmeatとmete、airとheir、alterとaltar、stationaryとstationery、flowerとflour、marshalとmartial、sewとsoとsowなど)、また以下のような同音もしくは類似音を利用した「だじゃれ」もある。(問題となる語の語源は同じなので同音異義語というより、多義語を用いた例である)
原文におけるこれらの技法を日本語に翻訳することは不可能に近いので、日本語ではまったく別のしゃれを使って訳にあてることが多い。これは、逆に日本語の洒落を英語に翻訳するときも同様である。
非常に少ないながら、上記「説明読み」に類似した例もある(例:oral「口の」とaural「耳の」はともに/ˈɔːɹəl/と発音されるが区別が必要な場合(同じ文脈に共起しうる)後者を/ˈaʊɹəl/と発音することがある)。
フランス語には、つづりは違っても発音が同じ語が多い。たとえば「ペ」の場合はpaix「平和」とpet「屁」とpaie「しはらう(1・3人称単数現在」とpaît「<牧草>を食べる(3人称単数現在)」、「オ」はau「~の中に(男性形)」とhaut「高い」とeau「水」、「ファン」はfin「終わり」とfaim「飢え」とfeint「うわべの」、「ソン」に近い「サン」はsang「血」とsans「~なしに」とcent「百」とsent「感じる(3人称単数現在)」、「サン」はsaint「聖なる(男性形。女性形は sainte(サント)となる)」とsain「健康な」とseins「乳房」とceint「巻く(3人称単数現在)」、「サル」はsale「きたない」とsalle「部屋」とsal-「『塩』をあらわす接頭辞」、「レ」はlait「ミルク」とlaid「みにくい」、「メール」はmer「海」とmaire「市長」とmère「母」、「ウ」はou「または」とoù「どこ」とaoût「8月」など。またリエゾンのせいで違う意味の文が同じ発音になる「同音異義文」もある。例 Il est tout vert. (イレトゥヴェール)「彼はまっさおだ」Il est ouvert. 「彼はあけっぴろげだ」
韓国が制定する「ハングル正書法」第57項には一部の固有語の同音異義語の用例を掲載している。
有栖川有栖の「雨天決行」は、同音異義語が題材。被害者女性が変死する前に「うてんけっこうよ」と話していたが、その意味は実は、というストーリーである。
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