南カリフォルニア(みなみカリフォルニア、英: Southern California、略してソーカル、英: SoCal)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部にある巨大地域(megaregion)あるいは巨大都市圏(megapolitan area)である。この大きな都市型地域にはロサンゼルス大都市圏、サンディエゴ大都市圏、およびインランド・エンパイアが含まれている。都市の帯は太平洋岸沿いにベンチュラからサウスランドとインランド・エンパイアを通り、サンディエゴさらにはメキシコ国境を越えてティフアナにまで拡がっている。南カリフォルニアはサンフランシスコ・ベイエリアと共に、カリフォルニア州だけでなくアメリカ合衆国国内の主要な文化と経済の中心になっている。
南カリフォルニア | |
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南カリフォルニア | |
国 | アメリカ合衆国 |
州 | カリフォルニア州 |
最大都市 | ロサンゼルス |
人口 | 23,760,000人 |
南カリフォルニアの西には太平洋とチャンネル諸島が拡がり、南にはアメリカ=メキシコ国境がある。東にはアリゾナ州との州境にコロラド砂漠やコロラド川があり、ネバダ州との州境に跨ってモハーヴェ砂漠がある。
南カリフォルニアには、ロサンゼルス、リバーサイド・サンバーナーディーノ(インランド・エンパイア)、サンディエゴ、オックスナード・サウザンドオークス、エル・セントロという5つの都市圏がある。ロサンゼルス大都市圏は人口1,300万人を超え、リバーサイド・サンバーナーディーノ地域は同450万人、サンディエゴ地域は同300万人を超えている。南カリフォルニア全体の人口は、全米第3位のフロリダ州全体(人口2,150万人)をしのぐものであり、アメリカ合衆国の中では北東部の海岸都市圏に続いて2番目に大きな地域になっている。
南カリフォルニアの北側の境界について公式の定義はないが、最も多く使われるものはシエラネバダ山脈とテハチャピ山地より南の地ということであり、テハチャピ山地はロサンゼルス市から約70マイル (112 km) 北に過ぎない。南カリフォルニアは文化的に多様であり、世界でも知名度の高い地域である。多くの観光客が人気のある海浜を求めて南部海岸に、また劇的な解放空間を求めて東部の砂漠地帯を訪れている。
南カリフォルニアにはロサンゼルス市とサンディエゴ市という世界都市に分類される都市が2つ有り、ロサンゼルス市の人口は3,898,747人と全米第2位、南のサンディエゴ市は人口1,386,932人で全米第8位である(いずれも2020年国勢調査)。またアメリカ合衆国の大都市圏の中では2位のロサンゼルス大都市圏、13位のリバーサイド・サンバーナーディーノ都市圏、17位のサンディエゴ都市圏と人口300万人以上の都市圏が3つある。
ロサンゼルス郡、オレンジ郡、サンディエゴ郡、サンバーナーディーノ郡およびリバーサイド郡はアメリカ合衆国の郡で人口の多い15傑に入っており、カリフォルニア州内では1位から5位までを占めている。また乗降客数ではアメリカ合衆国国内で第3位、国際線乗降客数では第2位のロサンゼルス国際空港があり、単一滑走路の空港としては世界一のサンディエゴ国際空港、一般用途空港として世界一のヴァン・ナイズ空港がある。他の商業空港として、オレンジ郡、オンタリオ、バーバンクおよびロングビーチの各空港があり、夥しい商業空港と一般用途空港がある。またアメリカ合衆国で最も繁華な商業港ロサンゼルス港、隣接してロングビーチ港、サンディエゴ港もある。この地域で特筆されるのは高速道路網であり、世界でも最も交通量が多いとされている。通勤用鉄道のメトロリンクは7線のうち6線がロサンゼルス中心街を出発してベンチュラ、サンバーナーディーノ、リバーサイド、オレンジおよびサンディエゴ各郡を結び、残り1線はサンバーナーディーノ、リバーサイドおよびオレンジ各郡を直接結んでいる。
この地域の多様な技術と製造業の基盤、さらには権威有る世界的に著名な研究型大学とその他公的私的研究施設が数多く有ることで、この地域はテックコースト(技術海岸)という渾名が付いた。その中でもカリフォルニア大学の5つのキャンパス(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、同アーバイン校、同リバーサイド校、同サンタバーバラ校、同サンディゴ校)、カリフォルニア州立大学の11のキャンパス(チャンネル諸島、ドミンゲスヒルズ、フラートン、ロングビーチ、ロサンゼルス、ポリテクニック、ポモナ、ノースリッジ、サンバーナーディーノ、サンディエゴ、およびサンマルコス)、さらにはカルテック、南カリフォルニア大学、ペパーダイン大学、ロヨラ・メアリーマウント大学、チャップマン大学、クレアモント・カレッジおよびサンディエゴ大学など私立の教育機関が知られている。
南カリフォルニアは映画、テレビおよび音楽といった娯楽分野で世界の首都であり、映画産業の中心であるハリウッドが有る。アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)を所有するウォルト・ディズニー社、ソニー・ピクチャーズ、ユニバーサル、MGM、パラマウント・ピクチャーズ(ドリームワークスの親会社)、20世紀フォックス、およびワーナー・ブラザースが本社を構えている。またユニビジョン、アクティビジョンおよびTHQもある。サンフェルナンド・バレーには世界最大の成人娯楽産業も存在している。
サーフィンとスケートボードといったスポーツでも南カリフォルニアは本場になっている。ボルコム、クイックシルバー、オニール衣料事業部、ノーフェア、ロストエンタプライジズ、セクター9、RVCA、ボディグローブ、およびサーフラインといった会社がここに本社を置いている。プロのスケートボード選手トニー・ホーク、プロのサーファーであるロブ・マチャド、ティム・カラン、ボビー・マルティネス、パット・オコーネル、デーン・レイノルズ、クリス・ウォード、プロのスノーボード選手としてショーン・ホワイトが南カリフォルニアに住んでいる。世界でも伝説的なサーフィンスポットとしては、トレスルズ、リンコン、ザ・ウェッジ、ハンティントンビーチ、およびマリブがあり、サーフィン用の波の質ではオアフ島に次いで2番目とされる。極限スポーツの分野では、Xゲームズ、ブースト・モービル・プロおよびUSオープン・オブ・サーフィンなど世界最大のイベントが開催される。ヨット競技の分野でも重要な地位にある。毎年開催される太平洋横断ヨットレース、すなわち「トランスパック」はロサンゼルスからハワイまでで行われ、ヨットの世界では最高クラスの行事である。サンディゴ・ヨットクラブが1988年から1995年まで最も権威有る賞であるアメリカスカップを保持しており、この期間のレースを主催した。
南カリフォルニアにはFOXスポーツネットなど多くのスポーツ・フランチャイズやネットワークがある。プロのチームとしてはバスケットボールのロサンゼルス・レイカーズとロサンゼルス・クリッパーズ、大リーグ野球のロサンゼルス・ドジャース、ロサンゼルス・エンゼルス、サンディエゴ・パドレス、アイスホッケーのロサンゼルス・キングスとアナハイム・ダックス、サッカーのロサンゼルス・ギャラクシーとチーヴァスUSAおよびアメリカンフットボールのサンディエゴ・チャージャーズがある。大学スポーツではUCLAブルーインズ、USCトロージャンズ、およびサンディエゴ州立大学アステックスなどNCAAのスポーツチームが多い。
南カリフォルニアの北限については、ディアブロ山の南、第6標準緯線を使って、郡の境界に一致する定義がある。北緯35°47′28″にあるディアブロ山から144マイル (230 km) 南であり、サンルイスオビスポ、カーンおよびサンバーナーディーノ各郡の北側境界線である。しかし、南カリフォルニアを構成すると一般に考えられる郡は、ベンチュラ、ロサンゼルス、オレンジ、サンバーナーディーノ、リバーサイド、インペリアル、サンディエゴの各郡であり、さらにサンタバーバラ郡の北半分を除く海岸部である。サンタバーバラ郡の全郡、クエスタグレードの南のサンルイスオビスポ郡、カーン郡東部およびモハーヴェ砂漠に入るインヨー郡南端も見解によっては南カリフォルニアに含まれることが多い。
第3の特徴ある地域としてセントラルコーストを含む中部カリフォルニアはモントレー郡北端まで拡がっている。カーン郡西部はサンホアキン・バレーからセントラル・バレー南部地域にあり、それ故にカーン郡とサンルイスオビスポ郡北部は第6標準緯線より南にあるにもかかわらず、一般に南カリフォルニアの一部とは考えられておらず、むしろ「セントラル・バレー」あるいは「セントラルコースト」にあると考えられている。これらには「海岸山脈」の乾燥した「オークの土地」も含まれている。カリフォルニア州は地域観光業者によって北部、中部および南部の3つに分けられて販促されているのが普通である。州内の大きなAAAオートクラブ2つはそれぞれの会員の区域に当てている線に沿って州を北部と南部の2つに分け、事情を簡略化している。その他に地理学的な言葉で「テハチャピーの南」というのがあり、州を横切る山脈の頂部で南部地域とを分けているが、この定義ではロサンゼルス郡北部やカーン郡東部、サンバーナーディーノ郡の砂漠は、セントラル・バレーや内陸砂漠から遠いために南カリフォルニアに含まれることになる。
郡 Ref. | 人口 | 面積 mi² | 面積 km² | 人口密度 /mi² | 人口密度 /km² |
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ロサンゼルス郡 | 10,014,009 | 4,060.87 | 10,517.61 | 2,465.98 | 952.12 |
サンディエゴ郡 | 3,298,634 | 4,199.89 | 10,877.67 | 785.41 | 303.25 |
オレンジ郡 | 3,186,989 | 789.40 | 2,044.54 | 4,037.23 | 1,558.78 |
リバーサイド郡 | 2,418,185 | 7,207.37 | 18,667.00 | 335.52 | 129.54 |
サンバーナーディーノ郡 | 2,181,654 | 20,052.50 | 51,935.74 | 108.80 | 42.01 |
カーン郡 | 909,235 | 8,140.96 | 21,084.99 | 111.69 | 43.12 |
ベンチュラ郡 | 843,843 | 1,845.30 | 4,779.31 | 457.29 | 176.56 |
サンタバーバラ郡 | 448,229 | 2,737.01 | 7,088.82 | 163.77 | 63.23 |
サンルイスオビスポ郡 | 282,424 | 3,304.32 | 8,558.15 | 85.47 | 33.00 |
インペリアル郡 | 179,702 | 4,174.73 | 10,812.50 | 43.05 | 16.62 |
南カリフォルニア | 23,762,904 | 56,512.35 | 146,366.31 | 420.49 | 162.35 |
カリフォルニア州 | 39,538,223 | 155,959.34 | 403,932.84 | 253.52 | 97.88 |
南カリフォルニアは開発された都市環境と未開のままに残された広大な乾燥地域が共存している。アメリカ合衆国の国内ではワシントンD.C.、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストンを繋ぐ北東部大都市圏に次いで、2番目に大きな都市化地域である。これらの都市は密集しており、中心街の人口が多く、鉄道など交通体系が整備されているが、南カリフォルニアの大半はその広大に拡がった郊外地域があり、自動車や高速道路を使うことで有名である。中心となるのはロサンゼルス市、オレンジ郡、サンディエゴ市、リバーサイド市およびサンバーナーディーノ市であり、そのそれぞれが都市圏の中心であり、多くの小さな都市や地域社会で構成されている。
州間高速道路5号線を南に降ると、連続する都会の隙間にキャンプ・ペンドルトンがある。州間高速道路15号線と州間高速道路215号線に沿った地域社会は相互関係が強く、テメクラはサンディエゴ郡都市圏と同様にインランド・エンパイアとの結びつきも強い。アメリカ合衆国国勢調査局ではサンバーナーディーノ郡とリバーサイド郡をサンバーナーディーノ・リバーサイド都市圏として、ロサンゼルス郡とは別の都市圏として考えている。ロサンゼルス市やオレンジ郡に通勤する者が多いが、サンバーナーディーノ郡とリバーサイド郡の大半は1980年代と1990年代に開発されたので、開発形態に違いがある。
南カリフォルニアは州内や国内の他地域よりも多様な地質、地勢および自然生態景観の集合する地域である。太平洋のチャンネル諸島、海岸線、海浜、海岸平原から横断山脈や半島山脈とその山頂を経て、大小の内陸渓谷そして広大な砂漠まで拡がっている。
これらのリストは以下のカテゴリーを参照。
南カリフォルニアは文化、政治および経済で幾つかの明確な地域に分けられ、そのそれぞれが国内、場合によっては地球規模で認識された都市を中心に独自の文化と雰囲気を持っており、これらの都市はそれぞれの地域で経済活動の中心となり、観光目的地にもなっている。それぞれの地域はさらに文化的に特徴ある多くの地域に分けられるが、全体として南カリフォルニアの雰囲気を創出している。以下は大中小に区分される地域である。
南カリフォルニアには広域都市圏1つ、および都市圏8つがある。人口は2020年国勢調査による
以下の都市人口は2020年国勢調査による
南カリフォルニアは地理的に次のように区分できる。
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南カリフォルニアでは毎年約1万回の地震が起こる。そのほとんど全ては小規模であり、感知されないものである。数百回の地震がマグニチュード3.0以上であり、15ないし20の地震がマグニチュード4.0以上である。
以下は南カリフォルニアにおける重要な事業地区である。
下記の空港は現在商業定期便が運行されている。
カリフォルニア州道
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