万年自鳴鐘(まんねんじめいしょう、旧字体:萬秊自鳴鐘)は、江戸時代の発明家、田中久重によって製作された機械式の置時計である。万年時計の名で広く知られている。1000点を超える部品(ほとんどが田中による手作り)から作られている。
ぜんまいばねには厚さ2ミリメートル、長さ4メートルの真鍮を使い、このぜんまいを2機装備、一度巻けば一年動くという機械式時計としては驚異的な持続時間を実現している。六角柱様の本体の各面に7つの機能が配置され、それらが底部のぜんまい動力によって連動して動作する。
このほか打鐘の機能もある。
ただし、当時は力学が未成熟であったため、機械の一部に大きな負荷がかかって歯車が変形してしまい、田中久重の死後まもなく動作しなくなった可能性が見出されている。また田中は西洋の時計の専門家ではなかったため、改造したスイス製懐中時計を洋時計として組み込み、本体の機構に接続している。
外装部には、京指物、木彫、京七宝、蒔絵、螺鈿、金属工芸といった、様々な伝統工芸の技法が用いられた。平成16年(2004年)の復刻プロジェクトでは、京都の6分野の職人らによる外装の復刻が行われた。土台には京都の迎賓館でも使用されている尾州のヒノキが用いられ、細部には木彫が施された。また、六角形の台座には、漆で金粉を定着・乾燥させた後、全体に真っ黒な漆を塗り、駿河炭などを使って表面を磨く「研ぎ出し蒔絵」という技法が用られた。そして、台座の側面には京七宝(しっぽう)で6枚の日本画が描かれ、周囲にはアワビや夜光貝の真珠層を用いた螺鈿(らでん)が施された。さらに、金属部分にも透かし彫りの装飾が施された。
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