マウスピースは、口の内部に装着することでスポーツによる衝撃から歯及びその周囲組織を守り外傷を防ぐ装着物。ボクシングなどの格闘技、あるいはラグビーやアメリカンフットボールなど激しい衝突を伴うコンタクトスポーツで使用する。野球、バスケットボール、サッカーなどでも使用されることがあるほか、スノーボードなどウィンタースポーツでも用いられる。
試合中に歯列をしっかり噛み合わせておき、歯自体の損傷、歯による口内の裂傷を防ぎ、脳への振動を軽減するための器具。マウスガード、ガムシールドとも呼び、樹脂製が多い。歯と歯が十分に噛み合うことが出来るため、着用していると普段以上の筋力を発揮できるとされている。
おおむね、上顎に嵌めるシングルタイプと、上下の歯で噛むようにするダブルタイプに分けられる。後者の場合、当然ながら空気が通るようなつくりになっている。
この器具による口内損傷の予防効果は高く、アメリカンフットボールは特に激しい接触を伴うことで有名だが、着用が義務付けられていることによってむしろ他の競技よりも口の中を怪我する確率は低いという(ヘルメットのフェイスマスクにストラップで吊られており、プレーの直前に噛み込む)。北米のアメリカンフットボール選手2,470人の調査ではマウスピースの着用により口や顎のケガの発生率を60%近くから5%以下にまで低減したとの報告がある。
最近ではマウスピース(マウスガード)の効用について徐々に認知されるようになり、各種競技における装着ルール化や競技連盟・団体の装着推奨によって、使用者が増加している。
マウスピースは、その製作方法によって大きく2つに区分される。
ボクシング漫画では、試合中、顔面への打撃によって吹っ飛ぶ、もしくは選手の疲労や、ボディへの加撃によって選手の口から吐き出されるマウスピースの描写が、比較的ポピュラーに用いられている。
ただし、現実的には試合中にマウスピースが落ちるケースは少ない。打撃を受ける際には歯を噛み締めて衝撃に耐えるのが基本だからである。プロの試合ではそのままラウンド終了まで続行されるケースが多い。続行される際に、落下したマウスピースをレフェリーが拾い、セコンドに投げることがあるが、試合の流れに影響がない場合は再度装着させる。これは再度装着時に時間がかかり試合の流れが止まるからである。稀に、故意に落下させ時間を稼ぎ、体力回復を計るケースもある。他の競技、アマ等では試合を中断して選手に再度装着を義務づけることが多い。
頭部への打撃や絞め技によって失神して倒れた選手をレフェリーが仰向けにして顎を上げさせマウスピースを口から取り出すシーンが見られる。これはマウスピースが呼吸を阻害するのを防ぐためである。
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