『フューチュラマ』 (Futurama) は、31世紀の地球を舞台にしたアメリカ合衆国のSFシットコムテレビアニメシリーズ。フォックス放送で1999年3月28日から2003年8月10日まで、コメディ・セントラルで2008年3月23日から2013年9月4日まで放送された。日本ではDisney+で配信されている。
アニメ『ザ・シンプソンズ』を製作した漫画家マット・グレイニングと脚本家デイヴィッド・X・コーエン (David X. Cohen)が、より大人向けのアニメを作ろうと構想を練り、グレイニングが自らこの企画のために立ち上げたプロダクション・スタジオ、The Curiosity Companyによって製作された。従来のアニメーションの技法に加え、宇宙船の飛行シークエンスや爆発シーンなどでCGIがたびたび使われているのが特徴。エミー賞を3回受賞するなど好評を博した。
合計4シーズンが放送されたが、フォックステレビが第5シーズンの購入を見送ったため放送中止になったが、その後もケーブルテレビ専門局コメディ・セントラルでの再放送などで人気を集め、またDVDソフトの売り上げも好調だったことから、2006年、フォックスから番組の権利を取得したコメディ・セントラルが新規に4本の長編エピソードを発注した。これにより、他局主導によるオリジナルの製作陣、キャストでの番組の復活という異例の展開となった。完成したものは2008年より順次DVDが発売され、それぞれ4つずつに分けて合計16エピソードとしたものが同ケーブル局でも放送された。このDVDシリーズの成功を受け、2009年に同局が新シーズンの再発注を決定したため、6年以上の歳月を経てTVシリーズが再開されることになった。2013年までに第7シーズンが制作されている。
「フューチュラマ」とは、1939年のニューヨーク万博でゼネラルモーターズ(GM)が出展した伝説のパビリオン、「フューチュラマ」に由来する。GM(ジーエム)の社内研究をもとにノーマン・ベル・ゲディーズ(Norman Bel Geddes)がデザインした、20年後(1959年)のアメリカの都市や郊外を再現したジオラマは、アメリカ大衆の輝かしい未来観やサイエンス・フィクションの未来描写に多大な影響を与えた。アニメ『フューチュラマ』は、上記パビリオンをはじめとした、今となっては懐かしくすらあるレトロフューチャーな未来都市やガジェットをパロディにしている。
世界各国では繰り返し放送されている人気番組であるが、日本では(ケーブルテレビなどの有料チャンネルも含め)放送されることがなかったため、国内での知名度は低い。2009年5月、TVシリーズ未放送のまま、長編第1作『フューチュラマ:ベンダーの大冒険』としてWOWOWで字幕付きで放送された。なお、WOWOWでは長編第2作『フューチュラマ:モンスターの襲撃』、長編第3作『フューチュラマ:ベンダーのゲーム』、長編第4作『フューチュラマ:緑の空のかなたへ』なども放送している。また、TVシリーズを元にした漫画『フューチュラマコミックス』(Futurama Comics)も存在している。
2022年3月、アメリカのエンターテイメント専門紙の「バラエティ」によると、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下の動画配信サービスであるHuluが新たなエピソード20話を発注し、9年ぶりに続編の制作が決定したことが明らかになった。本アニメの制作は20th テレビジョン・アニメーションが担当し、2023年7月24日から配信を開始した。日本ではDisney+のスターで配信している。
主人公はニューヨークに住む25歳の冴えないピザ配達人フィリップ・J・フライである。1999年12月31日にピザを配達に行った先の研究所で誤ってコールドスリープされてしまい、解凍されて目覚めたときには千年後の2999年12月31日であった。物語は、フライが仕事を得た先の惑星間運送会社プラネットエクスプレス社の個性的な社員たちの引き起こす騒動と、千年後の未来の社会問題や惑星間関係などをブラックユーモアを交えて描いている。
『フューチュラマ』の舞台は31世紀初頭、ニューヨークの廃墟の上に建てられたニューニューヨーク市であるが、その実際は21世紀初頭のアメリカを誇張表現したものといえる。
21世紀初頭の世界にあった社会問題はより極端かつ深刻になっており、笑いのネタとされている。21世紀の人種隔離に対し、31世紀ではミュータントが地下の下水道施設などに追いやられていたり、行過ぎた商業主義への皮肉として、建国記念日の大統領挨拶や、果ては睡眠中の人間の夢の中でも大企業によるコマーシャルが行われるなどしている。環境問題では、捨てる場所に困り、ついには宇宙に打ち上げたゴミの塊が地球を襲ったり、オゾン層が消失していたり、松の木が絶滅していたりする。
31世紀までに宇宙開発など様々な技術革新が進んでいるが、中には人間の頭をビンに入れたまま生かしておく技術というものもあり、この結果かつての政治家や有名人などがまだ生きながらえている(これは脚本家が21世紀の現代のハリウッドなどで活躍する有名人を茶化したり、彼らに声のゲスト出演をさせたりするためのガジェットである)。インターネットも未だ存在し、人間の精神や感覚を没入させられるほどの仮想世界(トロンやマトリックスそっくりのもの)を構築しているが、接続速度が遅いことやコンテンツのほとんどがポルノであることは相変わらずであり、子供向けの検閲も相変わらず存在する。テレビは超高精細化が進んだが、31世紀でも娯楽の主流となっている。アルコールで稼動するロボットは日常的存在となり、自由意志を持ち人間と変わらないような思考をしている。車輪は過去のものとなり、車はエアカーと化している。書類などの搬送用の気送管をほうふつとさせる、人間が吸い込まれて移動するためのチューブも縦横に走っている。
宗教はいまだ社会の重要な位置を占めているが、その状況は変化が激しい。イスラム教、キリスト教、仏教などかつての世界宗教は合併の末「ファースト・アマルガメイテッド・チャーチ(第一合併教会)」となってしまったが、31世紀の宗教の主流はブードゥー教である。その他、21世紀のテレビ司会者オプラ・ウィンフリーを崇拝するオプライズム、ロボットたちの間で信仰されるロボトロジー(サイエントロジーのもじり)、禁止された宗教である「スタートレック・ファンダム」などの新宗教も出現しているようである。
地球は、ワシントンD.C.を首都とし「地球大統領」が元首を務める「地球合衆国」に統一されている。地球国旗はアメリカ合衆国の国旗の50個の星を地球の絵に変えただけの代物にすぎない。地球住民は「アーシカン(Earthicans)」と呼ばれている。火星はテラフォーミングされ密林と化している。
31世紀までに数多くの異星人が地球人と接触し、あるいは地球の植民地支配を受けている。地球のある銀河系の大半は地球合衆国の勢力圏にある。第二次銀河大戦が終結した2945年、二度と戦争を起こさないよう地球ほか様々な惑星が集まって「諸惑星民主主義秩序体」(略称ドゥープ)という、国際連合やスタートレック世界の惑星連邦を思わせる国際機関を形成したが、地球合衆国はしばしばドゥープの決議に基づかず単独行動を行っている。地球から1000光年離れたペルセウス座オミクロン星の第8惑星はしばしばドゥープや地球と紛争を起こす(原因は、オミクロン星系で31世紀現在傍受できる1000年前の地球のテレビ放送の中断など、馬鹿馬鹿しいものばかりである)。
31世紀までの間に言語学上でもいくらか変化があったようである。その顕著な例は2種類(実際には3種類ある)の「エイリアン・アルファベット」で、しばしば登場人物の背後などに書かれている文字である。どちらも実は英語のアルファベットをもとにした暗号になっており、解読すれば視聴者向けの内輪ジョークが書かれている。第一アルファベットは、英語のアルファベットと一対一対応する、単純な換字式暗号である。[1] 第二アルファベットは古代に宇宙を支配した異星人のものとされているが、これもアルファベットによるやや複雑な暗号である。[2] これらエイリアン・アルファベットを除くと、作中に出てくる標記はほとんどが英語であり、ほとんどの異星人も英語を話す。一方、フランス語は完全に死滅したようであり、ほとんどの作中人物はフランス語を全く理解できず紀元3000年を祝うパリ市民は英語でカウントダウンを行っている。(フランスで放送されているフランス語版では、死滅したのはドイツ語に変わっている。)
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各シーズンごとのDVDボックス、および4エピソードを集めたベスト盤がリージョン1、リージョン2、リージョン4で発売されている。またコミックス、ゲームソフト、フィギュアやブリキ人形など各種関連商品が発売されている。
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