『ハクメイとミコチ』は、樫木祐人による日本の漫画作品。身長9センチメートルのこびとである二人の女の子・ハクメイとミコチの日常を綴った物語。KADOKAWAの漫画誌『ハルタ』で連載中。テレビアニメが2018年1月から3月まで放送された。
ハクメイとミコチ | |
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ジャンル | ファンタジー 日常劇 |
漫画 | |
作者 | 樫木祐人 |
出版社 | エンターブレイン → KADOKAWA |
掲載誌 | Fellows! ハルタ |
レーベル | BEAM COMIX HARTA COMIX |
発表号 | Fellows! volume 22 - 26 ハルタ volume 2 - |
発表期間 | 2012年4月14日 - |
巻数 | 既刊12巻(2024年1月現在) |
アニメ | |
原作 | 樫木祐人 |
監督 | 安藤正臣 |
シリーズ構成 | 吉田玲子 |
脚本 | 吉田玲子、大河内一楼、國澤真理子 |
キャラクターデザイン | 岩佐とも子 |
音楽 | Evan Call |
アニメーション制作 | Lerche |
製作 | ハクメイとミコチ製作委員会 |
放送局 | AT-X・TOKYO MXほか |
放送期間 | 2018年1月 - 3月 |
話数 | 全12回(全25話) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 漫画・アニメ |
本作の原型は樫木が大学の課題で制作した漫画であり、小さな人たちの目線がどのようなものかという考えから執筆された。樫木が担当編集者にその作品を見せたところ、雑誌への掲載を持ち掛けられ、エンターブレイン刊の隔月誌『Fellows!』volume16D(2011年4月発売)に「きのうの茜」のタイトルで読みきり作品として掲載された。「きのうの茜」に対する反響が良かったために同誌の兄弟誌『Fellows!(Q)』Quiet(2011年11月発売)に「足下の歩き方」のタイトルで新作読みきりが2話分掲載された。その後『Fellows!』volume22(2012年4月発売)より『こびと日和』のタイトルで連載を開始し、『Fellows!』volume26(2012年12月発売)掲載分からは現在のタイトルへと改題され、同誌が年10回刊『ハルタ』へと誌名を変更した2013年以降も連載中である。
『Fellows!(Q)』Q.E.D.(2012年9月発売)には「足下の歩き方」が「こびと日和 -side A-」「こびと日和 -side B-」と改題して再録されており、その柱には文字による世界観設定が書かれている他、巻末には更に詳細な作者描きおろしによる世界観設定が2ページ掲載されている。また、『ハルタ』volume47(2017年8月発売)には、小冊子形式の絵本『ハクメイとミコチ レモンのクレープやさん』が付属しており、volume50(2017年12月発売)には、同誌掲載作家18人が本作を題材に執筆した1ページのイラストもしくは漫画を収録した綴込み小冊子『はくみこころころ』が付属している。これらの本編は2020年現在、いずれも単行本未収録である。
単行本カバーや『足下の歩き方』のカラー部分は全て樫木の妹が色塗りを担当している。
一話完結の本作は、回によってストーリーの作り方が異なるが、樫木によると一番多く取られる手法は「言葉にできない『面白いこと』を起点とし、それを掘り下げて面白い理由を突き詰める」ということである。この方法について樫木は、「『面白いこと』を見つけるまで執筆できない上、面白さの本質を見つけてもそのまま伝えられないため、打ち合わせに時間がかかる。だから、とにかく伝わるよう丁寧に書くよう心掛けている」としている。樫木は、この方法を使用した回の一つとして第32話『廃墟と雑草』を例にあげており、「雑草の中の廃墟というイメージに、子どものころ祖父母の家の裏にあった納屋を妹と二人で内側からハンマーで壊すときに感じた面白さをくっつけた。その面白さについて考える中で、引っ越すときに『世話になった』と空っぽの部屋に対して思う気持ちといった家に対する畏敬の念が思い浮かび、登場人物たちが実行したらその感覚が伝わるかもしれないと思って執筆した」と振り返っている。
また、本作は墨ツボから蒸気機関車まで多数の道具が縮小して登場するが、食材などは原寸大で登場する。樫木は、道具を多数登場させた理由について「道具そのものが好きであり、それに関する楽しい思い出がたくさんあったので、描きたかった」からとしており、登場基準について「感覚で登場させる道具を決めているが、判断がつかない場合は、1900年代前半ぐらいの文明レベルで判断するほか、調べることもある。どうしても出したい場合は、矛盾点に目をつぶることもある」と述べている。
樫木は子どものころから生々しく描写されたキャラクターを好んでおり、描く側になった後もキャラクターが生々しいほうが良いと考えて実践しているとebookjapanとのインタビューの中で述べている。
樫木は前述のインタビューの中で、「ハクメイとミコチは自然に任せながら描くことが多く、描く中で彼女たちの言動に驚くこともある」と述べており、キャラクターがつかみにくい時はストーリーとは直接関係のない日常の様子を想像するとうまくいくと語っている。
本作のキャラクターには具体的な人物モデルはいないものの、出会った人を観察して感じたことの中からその人の魅力を見つけ出し、それをキャラクターに反映するという手法がとられており、大工組合「石貫會」の会長ナライはその一人である。ナライの基になった人物について、樫木は「職人気質というわけではなく、すごく明るい性格だが『圧』のある人物」としており、「自身の持つ魅力に甘えると失ってしまう」という考えからナライを造形したとインタビューの中で述べている。
ハクメイとミコチの他にも多数のこびとやこびとの町も登場し、日常生活を営んでいる。小動物や昆虫などこびと以外の生物の多くは人型化されない本来の形態のまま擬人化されて、こびとたちと普通に会話し、仕事に就くなどして一緒に社会生活を送っている。小動物は異類同士の夫婦も存在する。魚類は食料であり住人と交流している様子はみられず、登場した猛禽のトンビとフクロウは多少の意思を交わしているような描写もあるが会話はなく、フクロウはこびとを捕食する可能性について言及されたエピソードがある。
こびとは耳が尖っており、特徴的な帽子を被っている者もいる。この帽子は「種帽子」と呼ばれ、同じ形のデザインだが模様や色が異なっており、こびとが故郷を旅立つ際に長老(エルダー)の帽子を模したものが与えられ、旅先で定住するとその者が新たな長老となり、子孫に帽子を与えるというものである。こびとの大きさの描写は、他の動植物と比較される形で描かれている。
ハクメイとミコチは、山間の街マキナタの北西にある森の大楠の根元に作られた家に住んでいる。この家はミコチが全財産を使って自分の理想の家を作ったものだが、作中のエピソードで大破し、後にこびとのセンの協力で、センの趣味を勝手に取り入れられた上で再建している。
ファンタジー作品で、センの研究など魔法のようなものも登場するが、魔法とは明言されていない。付喪神が実在しており、作中で街に登場したものはその住人に普通に受け入れられている。
灯りは給油によるランプ、水道は最寄りの水場からの引き込み、キッチンの火力は竈で、バスはあっても自動車ではなく動物に客車を引かせる形式であるが、乾板カメラが使用され、蒸気機関による汽車が走っている程度には、機械文明は進んでいる。
通貨単位は円で、価値もほぼ現代日本と同等。
単行本第10巻現在までいわゆる通常サイズの人間は登場しておらず、人間が居る世界観なのかも言及されていない。2018年1月15日発売の副読本『ハクメイとミコチ ワールドガイド 足下の歩き方』において、こびと達はすべて「ヒト」と表記されている。
『ワールドガイド 足下の歩き方』のワールドマップによると、作中世界は内海であり、主要なものでは3つの島または大陸がある。もっとも南の陸地が「旅人の国・ヒノチ」であり、マキナタはこの国に所在する。ヒノチの海を挟んで北方には東西に長い陸地があり、地続きに4国:西から順に「坂の国・ハルハン」「大木の国・ケイ」「平原の国・カナンカ」「崖の国・ムカク」が占めている。そしてさらに海を挟んで北方の陸地が「洞の国・ガダイ」となっている。
主人公たちが暮らすマキナタはヒノチのほぼ中央にある。ヒノチには、マキナタの西方にアラビがあり、そのすぐ北東にヒロムタ、陸地の北岸にカノカン、その南東にキオウ、南岸にヤシロがある。
特筆がない限り、すべてこびとである。
『このマンガがすごい!』の加山竜司は、本作を「こびとたちはデフォルメされたようなデザインでありながらも日常生活が詳細に描かれており、それが彼女たちの息吹となっている」と評しており、「不思議な世界を舞台にした日常もの」とした。
ササキバラ・ゴウは第1巻に寄せたレビューで、緻密な作画とくつろいだ雰囲気が両立していることを賞賛し、日本人になじみ深い風土や文化を描写していることから、読んでいると懐かしい世界へ旅行をしているような感覚になると評している。
映像外部リンク | |
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TVアニメ「ハクメイとミコチ」PV第1弾 | |
TVアニメ「ハクメイとミコチ」PV第2弾 |
2018年1月から3月まで AT-X・TOKYO MXほかにて放送された。
放送回 | 話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 原作出典 |
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1 | 1 | きのうの茜 | 吉田玲子 | 安藤正臣 | 安藤正臣 | 金子美咲 藤田亜耶乃 | 第1巻第1話 |
2 | 舟歌の市場 | 第1巻第6話 | |||||
2 | 3 | ふたりの歌姫 | 間島崇寛 | 嵯縒能世布 | 第1巻第2話 | ||
4 | ガラスの灯 | 第1巻第3話 | |||||
5 | 一服の珈琲 | 第4巻第23話 | |||||
3 | 6 | 星空とポンカン | 瀬村俊一郎 | 福井洋平 | 山田勝、村松尚雄 相原理沙、菅原浩喜 | 第1巻第4話 | |
7 | 仕事の日 | 足下の歩き方その5 第1巻第5話 | |||||
4 | 8 | 仕事の日2 | 大河内一楼 | 安藤正臣 | 鈴木芳成 | 藤田亜耶乃、安形佳己 成川多加志、樋口博美 難波聖美 | 第1巻第7話 |
9 | ミミズクと昔話 | 足下の歩き方その7 第2巻第9話 | |||||
5 | 10 | 組合の現場 | 國澤真理子 | 大橋明代 | 柴田裕介 | 金子美咲、幸野浩二 山形孝二、永田陽菜 | 第2巻第11話 |
11 | 大岩と飼い石 | 第2巻第12話 | |||||
6 | 12 | 卵の美容師 | 吉田玲子 | 名村英敏 | 野亦則行 | 山田勝、安形佳己 樋口博美、稲田真樹 成川多加志 | 第2巻第13話 |
13 | 休みの日 | 第3巻第17話 | |||||
14 | 卵の美容師 別の日 | 第2巻第13話 | |||||
7 | 15 | 樹上の梯子 | 大河内一楼 | 瀬村俊一郎 | 浅見松雄 | 柳孝相、ハンミンギ 山村俊了 | 第3巻第16話 |
16 | 都会的な生活 | 足下の歩き方その16 第5巻第33話 | |||||
17 | 笑顔の写真 | 第3巻第19話 | |||||
8 | 18 | 長い一日 | 國澤真理子 | 大橋明代 | 間島崇寛 | 幸野浩二、安形佳己 成川多加志、藤田亜耶乃 | 第3巻第15話 |
9 | 19 | 水底のリズム | 吉田玲子 | 名村英敏 | 福井洋平 | 嵯縒能世布 | 第4巻第20話 |
20 | 凝り性の染め物 | 第2巻第10話 | |||||
10 | 21 | 竹の湯 | 國澤真理子 | 木野目優 | 鈴木芳成 | 相原理沙、菅原浩喜 漢人寛子、安形佳己 西村幸恵、アベ正巳 | 第4巻第24話 |
22 | 大根とパイプ | 第4巻第25話 | |||||
11 | 23 | 夜越しの汽車 | 吉田玲子 | 夕澄慶英! | 野亦則行 | 藤田亜耶乃、山田勝 安形佳己 | 第4巻第26話 |
24 | 雨とテンカラ | 第5巻第27話 | |||||
12 | 25 | 紅髪の記憶 | 木野目優 安藤正臣 | 笹原嘉文 | 金子美咲、成川多加志 樋口博美、藤田亜耶乃 山田勝 | 第5巻第30話 | |
OVA | 26 | ネジとベッド | 向井雅浩 笹原嘉文 | 鈴木芳成 笹原嘉文 | 樋口博美、藤田亜耶乃 山田勝、永田陽菜 | 第4巻第21話 | |
27 | 囲炉裏と博打 | 第1巻第8話 |
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
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2018年1月12日 - 3月30日 | 金曜 21:00 - 21:30 | AT-X | 日本全域 | CS放送 / リピート放送あり |
金曜 22:30 - 23:00 | TOKYO MX | 東京都 | リピート放送あり | |
金曜 23:00 - 23:30 | BS11 | 日本全域 | BS放送 / 『ANIME+』枠 | |
2018年1月13日 - 3月31日 | 土曜 0:30 - 1:00(金曜深夜) | サンテレビ | 兵庫県 | |
土曜 1:30 - 2:00(金曜深夜) | KBS京都 | 京都府 | ||
土曜 3:05 - 3:35(金曜深夜) | テレビ愛知 | 愛知県 | ||
2018年1月16日 - 4月3日 | 火曜 2:30 - 3:00(月曜深夜) | TVQ九州放送 | 福岡県 |
配信期間 | 配信時間 | 配信サイト |
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2018年1月12日 - 3月30日 | 金曜 22:30 更新 | Amazonプライム・ビデオ(見放題・独占配信) |
巻 | 発売日 | 収録話 | 規格品番 | |
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BD | DVD | |||
上 | 2018年4月25日 | 第1話 - 第6話 | ZMAZ-11931 | ZMSZ-11941 |
下 | 2018年6月27日 | 第7話 - 第12話 + OVA | ZMAZ-11932 | ZMSZ-11942 |
『ハクメイとミコチ ラジオの日』は、2018年1月11日から5月3日まで音泉にて隔週木曜に配信されていたWebラジオ。全9回。パーソナリティはハクメイ役の松田利冴とミコチ役の下地紫野。
ゲスト
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