『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(原題:Night of the Living Dead)は、1968年公開のアメリカのホラー映画。タイトルは『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』表記のものもある。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド | |
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Night of the Living Dead | |
監督 | ジョージ・A・ロメロ |
脚本 | ジョン・A・ルッソ |
原案 | ジョージ・A・ロメロ |
製作 | カール・ハードマン ラッセル・ストライナー |
出演者 | デュアン・ジョーンズ ジュディス・オーディア |
撮影 | ジョージ・A・ロメロ(クレジット無し) |
編集 | ジョージ・A・ロメロ(クレジット無し) |
製作会社 | Image Ten Laurel Group Market Square Productions |
配給 | ウォルター・リード・オーガニゼーション |
公開 | 1968年10月1日 劇場未公開 |
上映時間 | 96分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $114,000 |
次作 | ゾンビ |
ジョン・A・ルッソの原作をジョージ・A・ロメロの監督で映画化したもので、アメリカのホラー映画の新時代を築いた作品と位置づけられている。当時のタブーに挑戦した内容は賛否両論あったが、1999年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録される映画に選ばれた。2016年にはデジタル処理を施した4K版がニューヨーク近代美術館で上映された。日本においては、長らく劇場未公開であったが、2022年、上記の4Kリマスター版が公開された。
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
父の墓参りの途中、バーバラと兄のジョニーは突然生ける屍(ゾンビ)となった大男に襲われる。兄を殺された恐怖と悲しみの中、乗ってきた車も動かなくなったバーバラは助けを求めて近くの民家に逃げ込んだ。民家には新たに黒人青年のベンが逃げ込み、地下室には若いカップルのトムとジュディ、クーパー夫妻と大怪我を負った娘が潜んでいた。外部との連絡も取れないまま、周囲はゾンビの群れに取り囲まれていく。ドアや窓を塞ぎゾンビの侵入を防いだうえで脱出の方策を探るベンに対し、救助が来るまで地下室に籠ることにこだわるハリーが対立する。ゾンビたちが人間を食い殺していることをテレビで知ったバーバラたちは、最寄りの避難所への脱出を試みるが、ガス欠のトラックに給油しようとした際に漏れたガソリンに引火してトラックは爆発炎上し、トムとジュディが焼死してしまう。そして生きた屍の群れに餌食とされる二人の遺体。
停電となり情報も得られなくなった中、ベンが玄関先で燃やしていた椅子も燃え尽きたことで牽制されていたゾンビたちが次々に押し寄せる。さらに塞がれていた窓は次々に破られ、状況は絶望的に悪化していく。
本作はドキュメンタリータッチの手法で、9か月を費やしてモノクロ16mmフィルムで撮影された。「人外の者たちに一軒家が包囲・襲撃される」という描写は、リチャード・マシスンの小説『地球最後の男』(1954年)からインスパイアされたものである。
「死体を蘇らせて奴隷にする」というブードゥー教に伝わる“ゾンビ”を、それまでとはまったく違う新解釈でホラー映画のモンスターとして描いた本作は、後年に渡って数多く作られるゾンビ映画の礎と評されている。「死者が蘇って生者の肉を喰らう」「ゾンビに噛まれた者も、またゾンビになる」「脳を破壊されるまで活動を停止しない」という“モダン・ゾンビ”が初めて定義された。
本作に『ゾンビ』(1979年)、『死霊のえじき』(1985年)、『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005年)、『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007年)、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』(2009年)をあわせて“ジョージ・A・ロメロのリビングデッド・シリーズ”と称し、各作品それぞれの権利元(製作会社)は異なるが、世界観は共通するものとなっている。
また、権利元が違うため別名になっているものの複数作にまたがって登場するキャラクターもおり、代表的なのはトム・サヴィーニ演じるブレイズやアラン・ヴァン・スプラング演じるブルーベイカー。「ブレイズ」は『ゾンビ』に登場した暴走族のサブリーダーであり、『ランド・オブ・ザ・デッド』にはゾンビ化した姿でマチェーテゾンビという名で再登場を果たした。一方「ブルーベイカー」は『ランド・オブ・ザ・デッド』に登場した兵士で、『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』では「大佐」、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』では「軍曹」というキャラクター名で再登場している。これらのキャラクターは権利上の問題で作品毎に別名になっているが、同じ演者を起用したり服装を忠実に似せており、同一キャラクターであることがわかるようになっている。
本作では人外の者のことをリビング・デッド("Living Dead"、生ける屍)またはグール("Ghoul"、食屍鬼)と呼称しており、ゾンビという呼称は次作『ゾンビ』から登場する。
『バタリアン』(1985年)は、ダン・オバノンによる続編的パロディ作。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』(1990年)はトム・サヴィーニが監督を務めたリメイクであり、製作はキャノン・フィルムズが手掛けた。
本作はタイトルをNight of the Flesh EatersからNight of the Living Deadへと変更した上で配給された経緯があり、その際に著作権標記を欠落させたことから、アメリカではパブリックドメイン状態にあるとみなされている。このため、販売用のビデオやDVDをコピーしたものをインターネット上でそのまま制限なく配信している場合がある。
1990年。原題はNight of the Living Dead。
トム・サヴィーニの手によるリメイク作品。原典の脚本をロメロが脚色している。原典をほぼ踏襲しているが、原典ではほとんど怯えているだけだったバーバラが次第に強い女性として変貌していくなど、制作当時の世相に合わせた改変が加えられている。また、ベンとハリーの確執に至るエピソードを増やしたり、2人が撃ち合い始めるきっかけをゾンビ化したハリーの娘をベンが射殺しようとすることに変更したりしているほか、負傷したベンが1人で地下に篭城した際にガスタンクの鍵を見つけるシーンが追加されている。ラストに登場する自警団も、原典ではゾンビを1人ずつ倒すだけだったのに対し、本作ではゾンビを木から吊るして射撃をしたり、ゾンビ同士を闘犬のように戦わせて賭けをしたり、ビールを片手にレジャー感覚でゾンビ狩りをしたりする姿が描かれており、「ゾンビより生者の方が醜く恐ろしい」ことを感じさせるエンディングになっている。
1999年。原題はNight of the Living Dead: 30th Anniversary Edition。
本作の30周年を記念してジョン・A・ルッソが新たに15分の追加撮影分を加えて再編集したもの。ロメロ自身は関与していない。冒頭に登場するビル・ハインツマンが演じるゾンビが棺桶から蘇るシーンなどが追加されているほか、音楽も新規に録音されている。
2001年。原題はChildren of the Living Dead。
本作の続編および「ロメロのデッドシリーズ」の番外編として製作されているが、この作品もロメロは関与していない。トム・サヴィーニが出演している。
2006年。原題はNight of the Living Dead 3D。
赤青メガネを使ったアナグラフ方式の3D映画でのリメイク。冒頭のシーンなどはオリジナル版を踏襲しているが、それ以降はほとんど独自シナリオで展開されていく。オリジナル版映画は作中世界において実在の映画という位置づけであり、劇中のテレビでオリジナル版が放送されている。2012年には前日譚にあたるNight of the Living Dead 3D: Re-Animationも製作されている。
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